(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
機器操作有効化手段が車両のリスクの増大またはリスクの増大の予測判定によって機器の操作の有効化を中止する場合、事前に運転者に対して機器の操作の有効化を中止することを報知する報知手段を有することを特徴とする請求項3に記載の車両制御装置。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の車両制御装置を備えた車両1は、
図1に示すように、車両1の外部の情報を取得する撮像装置2と、車両1の走行速度等を検出する車両状態検出装置3と、車両1のリスクに基づいて車両1の制御を行う制御部4と、車両1の運転席に設けられたカーナビゲーションシステム5と、運転席において運転手に表示や音、振動などで報知する手段、例えば警報を出力する警報装置6とを備えている。
【0012】
外部情報取得手段である撮像装置2は、車両1の前部に設けられた2台のフロントカメラであり、所定時間(例えば4ミリ秒)毎に、車両1の外部を撮像して画像データを取得する。本実施形態では、撮像装置2は、車両1のフロントガラス付近の車内側に設置され、車両1の前方を撮像するが、これに限らず、車両1の側方や後方を撮像するカメラを設けてもよい。
【0013】
車両状態検出装置3は、車両1の走行速度と、車両1に作用しているモーメントや車両1の舵角を検出して、検出した走行速度に応じた車速データ、検出したモーメントに応じたモーメントデータ、および検出した舵角に応じた舵角データを取得する。
【0014】
制御部4は、例えばCPUやECUであり、
図2に示すように、撮像装置2と車両状態検出装置3とが取得した情報に基づいて車両1の走行支援の制御を行う走行支援制御部7と、車両1の車載機器の制御を行う車載機器制御部8と、を備えている。
【0015】
走行支援制御部7は、車両1のエンジンの点火装置または原動機としてのモータ制御の始動部、例えば電動機の始動装置のスイッチであるイグニッションスイッチ(図示せず)のON操作とともに、またはその信号に基づき設定される時間に起動し、前記スイッチが起動状態であるときは車両1の走行支援を常時実行する。走行支援制御部7は、車両1のリスクを認識して判定するリスク認識部9と、リスク認識部9によって判定された車両1のリスクに基づいて車両1の運転操作の実行を指示する支援指示部10と、支援指示部10による指示に従って車両1の運転操作に関する警告および支援の制御を行う運転操作支援部11と、を有している。
【0016】
リスク認識手段であるリスク認識部9は、撮像装置2から取得した画像データを解析して得られた外部情報に基づいて車両1のリスクを算出・判定する。本実施形態においては、リスク認識部9は、撮像装置2が取得した画像データに基づいて、車両1の走行方向に存在する先行車両や歩行者、障害物の有無、車両1から該障害物までの距離、車線に対する車両1の走行方向などを判別する。さらに、リスク認識部9は、車両状態検出装置3が取得したモーメントデータ、および舵角データに基づいて、車両1のリスクを算出・判定する。本実施形態においては、リスク認識部9は、車両状態検出装置3が取得したモーメントデータに基づいて、車両1に作用するヨー、ピッチ、ロール等のモーメントの種別とモーメントの強弱を判別するとともに、舵角データや、前記モーメントの強弱またはこれらの組み合わせに基づいて車両1の舵角を判別する。そして、リスク認識部9は、画像データ、モーメントデータ、および舵角データに基づいて判別した各情報を用いて、総合的に車両1のリスクを分析して判定する。
【0017】
例えば、リスク認識部9は、画像データ、モーメントデータ、舵角データ、および経過時間等、またはこれらの組み合わせに基づいて、先行車両、歩行者、および障害物等の物体と車両1との相対位置を算出し、リスクが増大しているか否かを判定する。そして、モーメントデータや舵角データ等から推定される車両1の進行方向に、車両1の走行方向に物体が無い、または車両1から物体までの距離が遠いと、画像データから推定される場合は、リスクが増大していないと判定する。一方、車両1の進行方向であって、車両1から近距離の範囲に物体があると推定される場合や、当該物体に車両1が近づいている場合は、リスクが増大していると判定する。
【0018】
また、リスク認識部9は、車両1のリスクが将来(所定時間経過後)に増大するか否かを予測判定する。具体的には、リスク認識部9は、画像データ、モーメントデータ、舵角データ、運転者の姿勢や運転時間などの運転者状態データ、および、例えば10秒前などの一定時間までのステアリング、アクセルペダル、およびブレーキペダルの操作量などの運転履歴のデータに基づいて、予測時間を設定する。この予測時間は、リスク認識部9は、画像データ、モーメントデータ、舵角データ、運転者状態データ、および運転履歴のデータの全てを用いて設定してもよいし、これらのデータの内のいずれかの組み合わせに基づいて予測時間を設定してもよい。そして、リスク認識部9は、現在から設定した予測時間が経過するまでに、判定したリスクが増大するか否かを予測判定する。
【0019】
なお、リスク認識部9は、撮像装置2が取得した画像データのみに基づいて車両1のリスクを判定してもよいし、車両状態検出装置3が取得したモーメントデータや舵角データのみに基づいて車両1のリスクを判定してもよい。また、画像データやモーメントデータ等に加えて、車両状態検出装置3が取得した車速データに基づいて車両1のリスクを判定してもよい。
【0020】
また、リスク認識部9は、個々のリスクの積算値によって、車両1のリスクを判定してもよい。すなわち、画像データから算出されるリスク値、モーメントデータから算出されるリスク値、舵角データから算出されるリスク値等を積算して、各リスク値の積算値を用いて車両1のリスクを判定する。例えば、車両1の走行方向に先行車両、歩行者、および障害物等がないと判別した場合は、リスク値は低くなる。また、車両1の走行方向に車両1の走行方向に先行車両が走行していると判別した場合、車両1から当該先行車両までの距離が近いほどリスク値は高くなる。また、車両1に作用するモーメントが弱いほどリスク値は低く、舵角が車両1の直進に近いほどリスク値は低くなる。したがって、例えば、車両1から先行車両までの距離が近くなくとも、車両1に作用するモーメントが強い場合は、リスクの積算値が高くなる。個々のリスクには、例えば、乗員の乗車位置や姿勢などに基づいた乗員傷害のリスクなどが含まれるようにしてもよい。
【0021】
ここで、リスク認識部9は、個々のリスク値を算出する場合であっても、個々のリスクの積算値に基づいて車両1のリスクを判定するのではなく、個々のリスク値が全て所定以下であるか否かを判定するようにしてもよい。また、個々のリスクの積算値ではなく、個々のリスク値のうちの最大値を用いて車両1のリスクを判定するようにしてもよい。
【0022】
また、リスク認識部9は、撮像装置2によって取得された画像データに基づいて車両1のリスクポテンシャルの分布を示すリスクマップを設定し、当該設定したリスクマップに基づいて車両1のリスクを算出、判定するようにしてもよい。この場合、例えば、画像データに基づいて、道路種別や車両1の周囲にある障害物等の種別等に基づいた複数のリスクポテンシャル分布を生成し、これらのリスクポテンシャルを合成してリスクマップを作成する。そして、作成されたリスクマップに基づき、リスクポテンシャルの分布が相対的に増大するか否か、およびリスクポテンシャルに車両1が接近するか否かによってリスクを判定する。
【0023】
また、リスク認識部9は、リスクを撮像装置2が取得した画像データの特徴量に基づいてリスク分布を得て、当該リスク分布によって車両1のリスクを判定するようにしてもよい。ここで、画像データの特徴量から判定されるリスクは、例えば、画像データによって検出された車両1の周囲の立体物が道路構造物であるよりも車両である方が高く、さらに車両であるよりも歩行者である方が高くなる。リスクの高さを表現したリスク分布は等高線のように表される。そして、リスク認識部9は、リスク分布を参照し、車両1の状態等に基づいて、車両1のリスクを判定する。
【0024】
さらに、リスク認識部9は、ドライバの内部状態を推定して車両1のリスクを判定するようにしてもよい。この場合、例えば、リスク認識部9は、撮像装置2が取得した画像データと運転者の運転操作データとから学習してモデルパラメータを作成する。当該モデルパラメータを用いて走行環境リスクレベルと運転者の操作特徴量との関連性を獲得し、現在のドライバの内部状態を推定する。そして、推定したドライバの内部状態と走行環境リスクとを比較し、車両1のリスクを判定する。
【0025】
このように、走行支援制御部7のリスク認識部9は、認識した車両1の環境に基づいた演算によって、リスクをパラメータ化したり、リスクポテンシャルを評価したり、リスクマップを作成したりすることによって車両1のリスクを判定する。
【0026】
支援指示部10は、リスク認識部9によって判定された車両1のリスクに基づいて、運転者による運転操作の支援を実行するか否かを判断し、運転操作の支援の実行を運転操作支援部11に指示する。例えば、支援指示部10は、リスク認識部9によって判定された車両1のリスクが所定以上である場合や、車両1のリスクが増大傾向にある場合には、運転操作の支援を実行すると判断する。なお、本実施形態では、支援指示部10によって運転支援を実行すると判断された場合にのみ、運転操作支援部11による運転操作の支援が行われるが、支援指示部10による指示を介さずに、リスク認識部9によって判定されたリスクに基づいて、運転操作支援部11が運転操作の支援を行うか否かを判断するようにしてもよいし、運転操作支援部11は常に運転操作の支援を行うようにしてもよい。
【0027】
運転操作支援部11は、支援指示部10からの指示に従い、支援指示部10を介して撮像装置2や車両状態検出装置3から入力した各種データを解析して、車両1の運転操作の支援および運転操作に関する警告の制御を行う。すなわち、車両1の外部の状況や車両1の走行速度等に応じて、車両1の駆動量やブレーキ量、操舵量の調整を行い、車両1の走行の安全性を向上させるとともに運転者による運転操作を快適化する支援を行う。また、車両1の外部の状況に応じて、運転者に対して、車両1の減速などを促すための警告を行う。
【0028】
運転操作支援部11によって実行される車両1の運転操作の支援の制御は、車両1のリスクに基づいて行われる。本実施形態では、運転操作支援部11は、リスク認識部9によって判定された車両1のリスクを回避または軽減するように車両1の駆動量やブレーキ量、操舵量を調整する制御を行う。
【0029】
なお、この運転操作の支援の制御方法は、前述の方法に限られるものではない。例えば、運転操作支援部11またはリスク認識部9によって車両1の障害物等への衝突条件を算出して、運転操作支援部11は、当該衝突条件に基づいて車両1の障害物等への衝突を回避したり、衝突被害を緩和させたりするために車両1の駆動量やブレーキ量、操舵量の調整を行ってもよい。この場合、例えば、画像データに基づいて障害物等の車両1との相対位置を算出する。そして、車両1が現在の走行速度や舵角のままで走行した場合の当該障害物等への衝突条件を算出するとともに、衝突部位や乗員の体格、姿勢等の各リスクを算出して総和する。算出された衝突条件から、衝突を回避することが可能である場合は、運転者への報知手段、例えば警報装置6によって警報を行うとともに、衝突を回避するための運転操作の支援を制御する。なお、前記報知手段は視覚的な表示や、振動などの機械的な動きでも良い。また、車両1の障害物等への衝突が不可避である場合は、総和された乗員のリスクを最小にするための運転操作の支援を制御する。
【0030】
また、運転操作支援部11は、撮像装置2によって取得された画像データに基づいて車両1のリスクポテンシャルの分布を示すリスクマップを設定し、当該設定したリスクマップに基づいて車両1の目標走行ルートを設定するようにしてもよい。この場合、例えば、画像データに基づいて、道路種別や車両1の周囲にある障害物等の種別等に基づいた複数のリスクポテンシャル分布を生成し、これらのリスクポテンシャルを合成してリスクマップを作成する。そして、作成したリスクマップに基づいて、高いリスクポテンシャルが分布する領域を回避する目標走行ルートを設定し、目標走行ルートに即した合理的な運転操作の支援を行う。
【0031】
また、運転操作支援部11は、リスク認識部9によって判定された車両1のリスクとリスク最小の軌跡計画とにより、運転操作の支援の制御を行うようにしてもよい。この場合、リスク認識部9は、撮像装置2が取得した画像データの特徴量に基づいて車両1のリスクを認識する。このリスクは、例えば、画像データによって検出された車両1の周囲の立体物が道路構造物であるよりも車両である方が高く、さらに車両であるよりも歩行者である方が高くなる。運転操作支援部11は、認識したリスクの分布状況を等高線のように表現し、等高線の高い場所を避けて最もリスクの低い場所を車両1が走行するように、車両1の走行すべき軌跡を計画する。そして、車両1の位置が軌跡計画に合わさるように、車両1の駆動量やブレーキ量、操舵量を調整する制御を行う。
【0032】
このように、運転操作支援部11は、車両1の外部の状況や車両1の状態に応じて、車両1の駆動量やブレーキ量、操舵量等の調整や警報によって運転操作を支援する制御を行う。
【0033】
なお、本実施形態では、リスク認識部9、支援指示部10、および運転操作支援部11は、制御部4が有する走行支援制御部7を構成するが、これに限らず、それぞれ独立した制御装置として設けられてもよい。この場合は、支援指示部10や運転操作支援部11は、撮像装置2や車両状態検出装置3から直接データを入力して、車両1のリスクの判定や運転操作の支援の制御等を行う。
【0034】
車載機器制御部8は、カーナビゲーションシステム5の操作を無効にする制御を行う操作無効化制御部12と、操作無効化制御部12によって無効にされているカーナビゲーションシステム5の操作を有効にする操作有効化制御部13と、を有している。
【0035】
機器操作無効化手段である操作無効化制御部12は、車両1の車速が所定以上であるときに、カーナビゲーションシステム5の操作を無効とする制御を行う。すなわち、車両1が所定以上の車速、例えば10km/h以上で走行しているときは、カーナビゲーションシステム5の操作が行われても当該操作によってカーナビゲーションシステム5が作動しないようにしている。なお、走行中にカーナビゲーションシステム5が操作された場合は、操作自体を行うことができないように制御するようにしてもよい。
【0036】
機器操作有効化手段である操作有効化制御部13は、所定の条件が成立している場合に、操作無効化制御部12によって無効にされているカーナビゲーションシステム5の操作を有効にする制御を行う。すなわち、車両1が所定以上の車速で走行しているときであっても、所定の条件が成立している場合には、カーナビゲーションシステム5の操作が有効となる。具体的な詳細については後述するが、操作有効化制御部13は、運転操作支援部11が車両1の運転操作を支援する制御を行っており、車両1のリスクが所定範囲である場合は、カーナビゲーションシステム5の操作を有効にする制御を行う。
【0037】
なお、車載機器制御部8と運転操作支援部11とは、いずれもリスク認識部9によって判定された車両1のリスクに基づいた制御を行っているが、車載機器制御部8が用いる車両1のリスクと運転操作支援部11が用いるリスクとは、同じものであっても、異なるものであってもよい。例えば、車載機器制御部8は、乗員による車載機器の操作中に生じうるリスクを予測的に判断して制御を行い、運転操作支援部11は、実際に生じている回避するべき車両1のリスクを判断して制御を行うようにしてもよい。具体的な例としては、車両1と物体との距離が100mである場合、車載機器制御部8の操作有効化制御部13は、車両1のリスクが所定以下であるとして車載機器の操作を有効とする制御を行うのに対し、運転操作支援部11は、回避するべきリスクとして、車両1の駆動量や操舵量調整する制御を行っても良い。また、車両1が後進中であって後進方向に物体が無い場合、車載機器制御部8の操作無効化制御部12は、リスクが所定以上であるとして車載機器の操作を無効とする制御を行うのに対し、支援指示部10は、回避するべきリスクが無いとして運転操作の支援の制御を行う指示をしなくともよい。
【0038】
カーナビゲーションシステム5は、車両1の運転席に設置された車載機器であり、タッチパネルディスプレイ51を有している。タッチパネルディスプレイ51は、地図情報などを表示する機能とともに、運転者の操作を受け付ける機能を有する。運転者は、タッチパネルディスプレイ51を操作することによって、地図情報の呼び出しや経路確認などを行うことができる。
【0039】
警報装置6は、車両1の運転席に設けられたスピーカであり、車内に向けて、警告音や音声を出力する。なお、警報装置6は、カーナビゲーションシステム5が兼用するようにしてもよい。すなわち、カーナビゲーションシステム5において、警告音や音声、および警告表示を行うようにしてもよい。また、車内ではなく、車外の歩行者等に向けて、車両1の接近を報知する報知音を出力するようにしてもよい。
【0040】
図2は、車両1の車両制御装置の一部の構成を示すブロック図である。
図2に示すように、走行支援制御部7のリスク認識部9の入力側には撮像装置2と車両状態検出装置3とが接続されている。これにより、撮像装置2によって取得された画像データ、車両状態検出装置3によって取得された車速データ、モーメントデータ、および舵角データ等がリスク認識部9へと入力されるようになっている。一方、走行支援制御部10のリスク認識部9の出力側には、支援指示部10と車載機器制御部8とが接続されている。支援指示部10の出力側には運転操作支援部11が接続され、さらに、運転操作支援部11の出力側には、車載機器制御部8と、警報装置6と、車両1の走行用の駆動量の調整の制御を行う走行出力指令部14と、車両1のブレーキ装置の調整の制御を行うブレーキ指令部15と、車両1のステアリングの操舵量の調整を行うステアリング指令部16とが接続されている。これにより、車載機器制御部8には、リスク認識部9からのリスク判定データや車速データ等と、運転操作支援部11からの支援データとが入力されるようになっている。また、警報装置6、走行出力指令部14、ブレーキ指令部15、ステアリング指令部16には、それぞれ運転操作支援部11からの各制御信号が出力されるようになっている。
【0041】
車載機器制御部8の操作無効化制御部12および操作有効化制御部13の出力側には、それぞれカーナビゲーションシステム5が接続している。これにより、車載機器制御部8からカーナビゲーションシステム5へと無効化信号や有効化信号等の信号出力が可能になっている。
【0042】
なお、本実施形態では、車載機器制御部8はカーナビゲーションシステム5へ信号の出力が可能となっているが、これに限らず、車載機器制御部8は、オーディオ機器や空調装置など、車両の走行を行うための運転操作以外を目的としたその他の車載機器に対して信号の出力ができるようにしてもよい。また、撮像装置2が取得した画像データ、および車両状態検出装置3が取得した車速データ等は、リスク認識部9を介さずに車載機器制御部8へと直接出力されるようにしてもよい。
【0043】
走行出力指令部14は、車両1の駆動動力源を制御する駆動制御装置(図示せず)に対し、車両1の加速または減速を指令する信号を出力する。駆動制御装置は、走行出力指令部14からの指令に応じて、アクセル操作に関わらず、車両1の駆動量を増減させることが可能となっている。
【0044】
ブレーキ指令部15は、運転者のブレーキ操作に対応して車両1のブレーキ装置を作動させる制御を行うブレーキ制御装置(図示せず)に対し、ブレーキの作動を指令する信号を出力する。ブレーキ制御装置は、ブレーキ指令部15からの指令に応じて、ブレーキ操作の有無に関わらず、車両1のブレーキ装置を作動させたり、ブレーキの強弱を調整したりする制御を行うことが可能になっている。
【0045】
ステアリング指令部16は、運転者のハンドル操作に対応して車両1のステアリング装置を作動させる制御を行うステアリング制御装置(図示せず)に対し、ステアリング装置の操舵量を指令する信号を出力する。ステアリング制御装置は、ステアリング指令部16からの指令に応じて、ハンドル操作に関わらず、車両1のステアリング装置の操舵量を変更することが可能となっている。
【0046】
次に、
図3を用いて、リスク認識部9による車両1のリスクの算出・判定を行うためのリスク判定処理について説明する。なお、
図3に示す処理フローは、所定の周期(例えば4ミリ秒)毎に、常時実行される。
【0047】
まず、ステップS1において、リスク認識部9は、撮像装置2によって取得された画像データ、車両状態検出装置3によって取得された車速データ、モーメントデータ、および舵角データを入力する処理を行う。
【0048】
ステップS2において、リスク認識部9は、上記ステップS1において入力した画像データ、車速データ、モーメントデータ、および舵角データに基づいて、車両1のリスクを算出して判定する。この処理において、リスク認識部9は、上述した通り、車両1の走行方向に存在する障害物等の有無や、車両1から当該障害物までの距離、車両1のモーメントや舵角、および経過時間等、またはこれらの組み合わせに基づいて、先行車両、歩行者、および障害物等の物体と車両1との相対位置を算出し、リスクが所定以上であるか否か、およびリスクが増大しているか否かを判定する。
【0049】
ステップS3において、リスク認識部9は、上記ステップS2において判定した車両1のリスクが所定時間経過後において増大するか否かを予測判定する。この所定時間は、リスク認識部9が、画像データ、車速データ、モーメントデータ、舵角データ、運転者の状態データ、および運転履歴データのいずれかまたはこれらのデータの組み合わせに基づいて決定する。運転者の状態データとは、運転者の姿勢や運転継続時間等を示すデータである。また、運転履歴データとは、一定時間前から現在に至るまでのステアリング、アクセルペダル、およびブレーキペダルの操作量などの履歴を示すデータである。なお、リスク認識部9がリスクの予測判定に用いる所定時間は、これに限らず、予め任意に設定できるようにしてもよいし、車両1や運転者等の特徴に基づいて決定されるようにしてもよい。この場合、車両1の特徴とは車両1の車種や重量等であり、運転者の特徴とは、運転者の年齢や体格等である。
【0050】
ステップS4において、リスク認識部9は、上記ステップS2における判定結果をリスク判定データとしてデータ化し、支援指示部10へ該リスク判定データを出力する処理を行う。
【0051】
ステップS5において、リスク認識部9は、上記ステップS3における予測判定結果を予測判定データとしてデータ化し、車載機器制御部8へ該予測判定データを出力する処理を行う。
【0052】
ステップS6において、リスク認識部9は、ステップS1において入力した車速データを車載機器制御部8へと出力する処理を行う。本ステップの処理が終了すると、リスク判定処理を終了する。
【0053】
次に、
図4を用いて、支援指示部10による運転操作支援部11に対して運転操作の支援の実行を指示するための支援指示処理について説明する。なお、
図4に示す処理フローは、所定の周期(例えば4ミリ秒)毎に実行される。
【0054】
まず、ステップS11において、支援指示部10は、リスク認識部9からリスク認識部9による車両1のリスクの判定結果を示すリスク判定データを入力する処理を行う。
【0055】
ステップS12において、支援指示部10は、運転操作の支援を実行するか否かを判断する処理を行う。具体的には、支援指示部10は、上記ステップS11において入力したリスク判定データを解析し、車両1のリスクが所定以上である場合、および、車両1のリスクが増大している場合は、運転操作の支援を実行すると判断する。一方、車両1のリスクが所定以下であって増大傾向にない場合は、運転操作の支援を実行しないと判断する。なお、支援指示部10は、予測判定データを入力して車両1の予測判定結果を参照して、運転操作の支援の有無を判断するようにしてもよい。また、車両1のリスクが増大傾向であっても、僅かな増大であれば運転操作の支援を実行しないと判断してもよい。そして、ステップS13において、支援指示部10は、上記ステップS12において運転操作の支援を実行すると判断した場合はステップS14に処理を移し、運転操作の支援を実行しないと判断した場合は、支援指示処理を終了する。
【0056】
ステップS14において、支援指示部10は、運転操作の支援の実行を指示するための支援指示信号を運転操作支援部11に出力する処理を行う。
【0057】
ステップS15において、支援指示部10は、リスク認識部10から入力したリスク判定データを運転操作支援部11に出力する処理を行い、支援指示処理を終了する。
【0058】
次に、
図5を用いて、運転操作支援部11による車両1の運転操作の支援および警告を行うための運転操作支援制御処理について説明する。なお、
図5に示す処理フローは、所定の周期(例えば4ミリ秒)毎に実行される。
【0059】
まず、ステップS21において、運転操作支援部11は、支援指示部10から支援指示信号を入力したか否かを判断する。そして、支援指示信号を入力した場合はステップS22に処理を移し、ステップS22において、支援指示部10からリスク判定データを入力する処理を行う。一方、運転操作支援部11は、支援指示信号を入力しない場合は運転操作支援制御処理を終了する。
【0060】
ステップS23において、運転操作支援部11は、上記ステップS22において入力したリスク判定データに基づいて、どのような運転操作の支援を行うかを判定する処理を行う。運転操作支援部11は、リスク判定データを解析することにより、車両1の外部の状況や車両1の状態から認識される環境を把握することができる。そして、運転操作支援部11は、例えば、車速が所定車速よりも速い場合は、車両1の駆動量を調整して車速を下げる支援を行うと判定する。また、車両1に作用するモーメントが大きい場合や、車両1が走行車線から逸れることが予想される舵角の場合は、ステアリング装置の操舵量を変更する支援を行うと判定する。また、車両1の前方に歩行者がいる場合は、ブレーキ装置を作動させるとともに、運転者に対して警告する支援を行うと判定する。すなわち、運転操作支援部11は、車両1のリスクに応じて、車両1の運転操作をより快適で安全にするための支援を行うように判定する。なお、運転操作支援部11は、撮像装置2や車両状態検出装置3から、画像データ、モーメントデータ、および舵角データを直接取得して、どのような運転操作の支援を行うかを判定するようにしてもよい。
【0061】
ステップS24において、運転操作支援部11は、上記ステップS23において判定した運転操作支援方法に基づいた制御信号を、警報装置6、走行出力指令部14、ブレーキ指令部15、およびステアリング指令部16に出力する処理を行う。警報を出力するとの制御信号を入力した警報装置6は、車内に向けて警告音や音声を出力する。また、走行出力指令部14は、入力した制御信号に応じた指令信号を駆動制御装置に出力する。また、ブレーキ指令部15は、入力した制御信号に応じた指令信号をブレーキ制御装置に出力する。また、ステアリング指令部16は、入力した制御信号に応じた指令信号をステアリング制御装置に出力する。
【0062】
ステップS25において、運転操作支援部11は、車載機器制御部8に、運転操作支援を行ったことを示す運転操作支援実行信号を出力する処理を行う。これにより、車載機器制御部8は、車両1の運転操作の支援が実行されていることを把握することができる。本ステップの処理が終了すると、運転操作支援制御処理を終了する。
【0063】
次に、
図6を用いて、車載機器制御部8の操作無効化制御部12による車載機器の操作を無効にするための機器操作無効化制御処理を説明する。なお、
図6に示す処理フローは、所定の周期(例えば4ミリ秒)毎に実行される。
【0064】
まず、ステップS31において、操作無効化制御部12は、リスク認識部9から車速データを入力する処理を行う。なお、操作無効化制御部12は、車両状態検出装置3から直接車速データを入力するようにしてもよい。
【0065】
ステップS32において、操作無効化制御部12は、車両1の車速が所定値未満であるか否かを判断する処理を行う。具体的には、操作無効化制御部12は、上記ステップS31において入力した車速データを解析し、車両1が停止中または車速が所定値、例えば10km/h未満で走行中であるか否かを判断する。そして、車両1の車速が10km/h未満である場合はステップS34に処理を移し、車速が10km/h以上である場合はステップS33に処理を移す。
【0066】
ステップS33において、操作無効化制御部12は、カーナビゲーションシステム5に対する操作無効化信号の出力を開始または継続する処理を行う。これにより、操作無効化制御部12からカーナビゲーションシステム5への操作無効化信号の出力が開始され、また、既に操作無効化信号が出力中である場合は、該操作無効化信号の出力が継続される。本ステップの処理を終了すると機器操作無効化制御処理を終了する。
【0067】
ステップS34において、操作無効化制御部12は、カーナビゲーションシステム5に対する操作無効化信号の出力を停止する処理を行う。これにより、操作無効化制御部12からカーナビゲーションシステム5へ操作無効化信号が出力されなくなる。本ステップの処理を終了すると機器操作無効化制御処理を終了する。
【0068】
次に、
図7を用いて、車載機器制御部8の操作有効化制御部13による無効化された車載機器の操作を有効にするための機器操作有効化制御処理を説明する。なお、
図7に示す処理フローは、所定の周期(例えば4ミリ秒)毎に実行される。
【0069】
まず、ステップS41において、操作有効化制御部13は、リスク認識部9から予測判定データを入力する処理を行う。これにより、操作有効化制御部13は、上記ステップS3においてリスク認識部9が車両1のリスクが所定時間経過後において増大するか否かを予測判定した結果のデータを取得する。
【0070】
ステップS42において、操作有効化制御部13は、運転操作支援部11が車両1の運転操作を支援する制御を行っているか否かを判断する。具体的には、操作有効化制御部13は、運転操作支援部11から運転操作支援実行信号を入力したか否かを確認し、運転操作支援実行信号を入力した場合は、運転操作支援部11が車両1の運転操作を支援する制御を行っていると判断する。運転操作支援部11が車両1の運転操作を支援する制御を行っていない場合とは、車両1のリスクが所定以下である場合、何らかの不具合によって運転操作支援部11が作動していない場合、運転操作支援部11による運転操作の支援が、運転者の操作によって停止させられている場合などである。そして、運転操作支援部11が車両1の運転操作を支援する制御を行っている場合はステップS43に処理を移し、運転操作支援部11が車両1の運転操作を支援する制御を行っていない場合はステップS48に処理を移す。
【0071】
ステップS43において、操作有効化制御部13は、上記ステップS41において入力した予測判定データを解析する。そして、リスク認識部9による予測判定結果が車両1のリスクが所定時間経過までに増大するとするものである場合はステップS45に処理を移し、車両1のリスクが所定時間経過までに増大しないとするものである場合はステップS44に処理を移す。
【0072】
ステップS44において、操作有効化制御部13は、カーナビゲーションシステム5に対する操作有効化信号の出力を開始または継続する処理を行う。これにより、操作有効化制御部13からカーナビゲーションシステム5への操作有効化信号の出力が開始され、また、既に操作有効化信号が出力中である場合は、該操作有効化信号の出力が継続される。本ステップの処理を終了すると機器操作有効化制御処理を終了する。
【0073】
ステップS45において、操作有効化制御部13は、カーナビゲーションシステム5に対して操作有効化信号を現在出力中であるか否かを判断する。そして、操作有効化信号を現在出力中である場合はステップS46に処理を移し、操作有効化信号を現在出力していない場合はステップS48に処理を移す。
【0074】
ステップS46において、操作有効化制御部13は、警報装置6へ有効化中止報知信号を出力する処理を行うとともに、操作有効化制御部13に内蔵されたRAMの記憶領域が有するタイマカウンタである有効化中止タイマに所定の有効化中止時間(例えば3秒)に対応する値をセットする。有効化中止報知信号を入力した警報装置6は、例えば「3秒後に車載機器の操作ができなくなります」などの音声を出力し、乗員に対して車載機器の操作が所定時間経過後に無効になることを報知する。また、有効化中止タイマは、セットした値が「0」になるまで所定周期毎に減算処理される。有効化中止タイマにセットする有効化中止時間は、上記ステップS3においてリスク認識部9によってリスクの予測判定に用いられた所定時間と同時間が望ましいが、これに限らず、任意の時間でもよいし、予測判定に用いられた所定時間よりも短い時間でもよい。
【0075】
ステップS47において、操作有効化制御部13は、上記ステップS46においてセットされた有効化中止タイマの値が「0」であるか否かを判断する。有効化中止タイマの値が「0」である場合とは、ステップS46においてセットされた有効化中止時間が経過した場合である。そして、有効化中止タイマの値が「0」である場合はステップS48に処理を移し、有効化中止タイマの値が「0」でない場合は、当該値が「0」になるまで本ステップの処理を繰り返し実行する。
【0076】
ステップS48において、操作有効化制御部13は、カーナビゲーションシステム5に対する操作有効化信号の出力を停止する処理を行う。これにより、操作有効化制御部13からカーナビゲーションシステム5へ操作有効化信号が出力されなくなる。本ステップの処理を終了すると機器操作有効化制御処理を終了する。なお、本実施形態では、運転操作支援部11によって車両1の運転操作の支援制御が行われているときであっても、リスク認識部9による予測判定結果が車両1のリスクが所定時間経過までに増大するとするものである場合は操作有効信号の出力を停止する制御を行っているが(上記ステップS43参照)、これに限られない。例えば、操作有効化制御部13は、リスク認識部9からリスク判定データを入力して解析し、該リスク判定結果が、所定時間前に入力したリスク判定結果よりもリスクが増大している場合に、操作有効信号の出力を停止するようにしてもよい。
【0077】
次に、
図8を用いて、カーナビゲーションシステム5の機器操作処理について説明する。なお、
図8に示す処理フローは、所定の周期(例えば4ミリ秒)毎に実行される。
【0078】
まず、ステップS51おいて、カーナビゲーションシステム5は、操作無効化制御部12から操作無効化信号を入力したか否かを判断する。そして、操作無効化制御部12から操作無効化信号を入力した場合はステップS52に処理を移し、操作無効化信号を入力しない場合はステップS53に処理を移す。
【0079】
ステップS52において、カーナビゲーションシステム5は、操作有効化制御部13から操作有効化信号を入力したか否かを判断する。そして、操作有効化信号を入力した場合はステップS53に処理を移し、操作有効化信号を入力しない場合はステップS54に処理を移す。
【0080】
ステップS53において、カーナビゲーションシステム5は、カーナビゲーションシステム5に内蔵されたRAMに記憶された操作有効フラグをONに設定する処理を行う。本ステップの処理が終了すると、ステップS55に処理を移す。
【0081】
ステップS54において、カーナビゲーションシステム5は、カーナビゲーションシステム5に内蔵されたRAMに記憶された操作有効フラグをOFFに設定する処理を行う。本ステップの処理が終了すると、ステップS55に処理を移す。
【0082】
ステップS55において、カーナビゲーションシステム5は、タッチパネルディスプレイ51からタッチパネルディスプレイ51が操作されたことを示す操作信号が入力されたか否かを判断する。そして、タッチパネルディスプレイ51が操作された場合はステップS56に処理を移し、タッチパネルディスプレイ51が操作されていない場合は機器操作処理を終了する。
【0083】
ステップS56において、カーナビゲーションシステム5は、カーナビゲーションシステム5に内蔵されたRAMに記憶された操作有効フラグがONに設定されているか否かを判断する。そして、操作有効フラグがONの場合はステップS57に処理を移し、操作有効フラグがOFFの場合は機器操作処理を終了する。
【0084】
ステップS57において、カーナビゲーションシステム5は、タッチパネルディスプレイ51における操作に応じた動作を行う。すなわち、タッチパネルディスプレイ51の操作に応じて、例えば、目的地の設定などのナビゲーション機能や曲の選定などのオーディオ機能を動作させる。本ステップの処理を終了すると機器操作処理を終了する。
【0085】
なお、本実施形態では、カーナビゲーションシステム5は、タッチパネルディスプレイ51が操作されたときに操作有効フラグがONであるか否かを判断し、ONである場合に当該操作に応じた動作を行うが、これに限られない。例えば、カーナビゲーションシステム5は、操作有効フラグがOFFであるときはタッチパネルディスプレイ51の感応用電源をOFFにし、タッチパネルディスプレイ51の操作を受け付けることができないようにしてもよい。
【0086】
このように、車両1の車速が所定値である10km/h以上であるときは、操作無効化制御部12からカーナビゲーションシステム5に操作無効化信号が出力され、カーナビゲーションシステム5の操作を無効化する制御を行っている。しかし、カーナビゲーションシステム5に操作無効化信号が出力されているときであっても、リスク判定結果に基づいた運転操作の支援制御の実行中であって、かつ、車両1のリスクの予測判定結果が車両1のリスクが所定時間経過までに増大しないとするものである場合は、操作有効化制御部13からカーナビゲーションシステム5に操作有効化信号が出力される。これにより、車両1の車速が所定値以上であるときでも、カーナビゲーションシステム5の操作を行うことが可能になる。
【0087】
一方、車両1の運転操作の支援制御が実行されていない場合、および、車両1のリスクの予測判定結果が車両1のリスクが所定時間経過までに増大するとするものである場合は、操作有効化制御部13からカーナビゲーションシステム5に操作有効化信号が出力されない。したがって、車両1の車速が所定以上であって運転操作の支援制御が行われていない場合は、カーナビゲーションシステム5の操作は有効とならない。また、カーナビゲーションシステム5の操作を有効とした後に、運転操作の支援制御が停止したり、車両1のリスクが増大すると予測判定されたりした場合には、カーナビゲーションシステム5の操作の有効化は中止されることになる。
【0088】
なお、本実施形態では、車両1の車速が所定以上であるときは、運転操作の支援制御の実行中であって、かつ、車両1のリスクが所定時間経過までに増大しないと予測判定された場合に、カーナビゲーションシステム5の操作が有効となる。しかし、これに限らず、車両1の車速が所定以上であるときに運転操作の支援制御の実行中であれば、カーナビゲーションシステム5の操作を有効とするようにしてもよい。また、車両1の車速が所定以上であるときに車両1のリスクが所定時間経過までに増大しないと予測判定されれば、カーナビゲーションシステム5の操作を有効とするようにしてもよい。
【0089】
また、カーナビゲーションシステム5は、操作有効フラグがONであるときは、タッチパネルディスプレイ51に「現在、カーナビゲーションシステムに操作が可能です」と表示する制御を行うようにしてもよい。また、操作有効フラグがOFFであるときは、タッチパネルディスプレイ51に「現在、カーナビゲーションシステムの操作はできません」と表示する制御を行うようにしてもよい。このように、運転者に対して、カーナビゲーションシステム5の操作が可能であるか否かを報知することにより、運転者の利便性を向上させることができる。
【0090】
以上のように構成された車両制御装置によれば、車両1の車速が所定以上である場合、操作無効化制御部12からカーナビゲーションシステム5へと操作無効化信号が出力され、カーナビゲーションシステム5の操作を無効にする制御が行われる。しかし、運転操作支援部11によって車両1のリスク判定に基づいた運転操作の支援が行われているときは、操作有効化制御部13からカーナビゲーションシステム5へと操作有効化信号が出力され、操作無効化制御部12から操作無効化信号が出力されているとしても、カーナビゲーションシステム5の操作が有効化される。これにより、車両の走行中における安全性および快適性と、車内での機器操作の利便性とを両立させることができる。
【0091】
また、リスク認識部9は、判定した車両1のリスクが所定時間経過後において増大するか否かを予測判定する。そして、操作有効化制御部13は、該予測判定結果が車両1のリスクが所定時間経過までに増大しないとするものである場合に、操作有効化信号をカーナビゲーションシステム5に出力する。これにより、運転操作の支援制御が行われており、かつ、車両1のリスクが所定時間が経過するまでに増大しないと予測判定されたときに、無効化されているカーナビゲーションシステム5の操作が有効化されることになる。すなわち、運転操作の支援制御が行われているときであっても、車両1のリスクが増大する場合には、カーナビゲーションシステム5の操作は有効化されない。これにより、車両の走行中に車載機器の操作を有効にする際の安全性をより向上させることができる。
【0092】
また、操作有効化制御部13は、操作有効化信号をカーナビゲーションシステム5に出力しているときに、車両1のリスクの予測判定結果が所定時間経過までに増大するとするものである場合や、所定時間前のリスク判定結果よりも車両1のリスクが増大している場合は、操作有効化信号の出力を停止する。すなわち、車両の走行中に車載機器の操作を有効にしているときに、車両1のリスクの変化に応じて速やかに車載機器の操作の有効化を中止する。これにより、車両の走行中における車載機器の操作の安全性をより向上させることができる。
【0093】
また、操作有効化制御部13は、リスク認識部9の予測判定結果等に基づいて車載機器の操作の有効化を中止する場合、警報装置6に対して有効化中止報知信号を出力してから有効化中止時間経過後に操作有効化信号の出力を停止する。したがって、乗員に対して車載機器の操作の有効化が中止されることが事前に報知される。これにより、乗員は、車載機器の操作の有効化が中止されるまでに、車載機器の操作を早く終わらせるなどの対処を行うことが可能になり、突然車載機器が操作できなくなることによる不便性を解消することができる。
【0094】
また、リスク認識部9は、車両1のリスクが所定時間経過後に増大するか否かを予測判定する際に、該所定時間を、画像データから取得した車両1の外部の情報、車速データ、モーメントデータ、および舵角データから取得した車両1の状態に関する情報、および運転者の状態データから取得した運転者の状態に関する情報に基づいて決定する。さらに、リスク認識部9は、車両1のリスクの予測判定に用いる所定時間の決定を、さらに、運転履歴データを参照して決定することも可能であり、さらに、予め任意に設定したり、車両1や運転者等の特徴に基づいて決定したりすることも可能である。これにより、車両1のリスクのより的確な予測判定を行うことが可能となる。
【0095】
なお、本実施形態では、車載機器制御部8の操作無効化制御部12と操作有効化制御部13とは、カーナビゲーションシステム5の操作を無効または有効とする制御を行っているが、これに限られない。運転席には、カーナビゲーションシステム5の他、オーディオ機器や空調装置など、車両の走行を行うための運転操作以外を目的とした図示しない機器が多数備えられており、これらの機器の車両1の走行中における操作も、車載機器制御部8によってカーナビゲーションシステム5と同様の制御が行われるようにしてもよい。また、車両1に搭載された機器に限らず、例えば、運転者が車内に持ち込んだ携帯電話や携帯テレビ等の操作についても、車載機器制御部8によって制御できるようにしてもよい。
【0096】
また、本実施形態では、リスク認識部9は、撮像装置2によって撮像された車両1の外部の画像データに基づいて、車両1の外部の状況を判断して車両1の環境を認識している。しかし、これに限らず、例えば、リスク認識部9は、電磁波を使用したレーダーや超音波を使用したソナー等の他の手段によって取得した車両1の外部の状況のデータに基づいて車両1の外部の状況を判断してもよい。