【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、皮膚潰瘍処置用外用剤に、アルキル基で疎水化変性されたセルロースエーテルを含むゲル状基剤を用いることにより、皮膚潰瘍部の悪臭が抑制され、稠度、展延性、安定性、薬物浸透性、保形性、に優れ、調製が容易で使用感がよく、患部から容易に剥離することができるという優れた特性を有する皮膚潰瘍処置用ゲル状外用剤が得られることを見出した。本発明は、この様な知見に基づき、さらに検討を重ねて完成されたものである。
【0009】
本発明は、下記項1〜13に示す皮膚潰瘍処置用外用剤のゲル状基剤、並びに該ゲル状基剤及びイミダゾール系抗菌剤を含む皮膚潰瘍処置用外用剤を提供する。
項1. 炭素数6〜26のアルキル基で疎水化変性されたセルロースエーテルを含有する、皮膚潰瘍処置用ゲル状外用剤。
項2. 前記炭素数6〜26のアルキル基で疎水化変性されたセルロースエーテルが、下記一般式(1)
【0010】
【化1】
【0011】
[式中、R
1、R
2及びR
3は同一又は異なって、水素原子、低級アルキル基、
基:−[CH
2CH
2−k(CH
3)
kO]
mH、又は
基:−CH
2CH(OH)CH
2OC
jH
2j+1である。
nは100〜100,000の整数、kは0又は1の整数、mは1〜10の整数、
jは6〜26の整数を示す。]
で表されるものであって、
該炭素数6〜26のアルキル基で疎水化変性されたセルロースエーテルが、
基:−CH
2CH(OH)CH
2OC
jH
2j+1を必ず含むものである、
項1に記載の皮膚潰瘍処置用ゲル状外用剤。
項3. 前記炭素数6〜26のアルキル基で疎水化変性されたセルロースエーテルが、ステアリル化ヒドロキシプロピルメチルセルロースである項1又は2に記載の皮膚潰瘍処置用ゲル状外用剤。
項4. 更に、イミダゾール系抗菌剤を含む、項1〜3のいずれかに記載の皮膚潰瘍処置用ゲル状外用剤。
項5. 前記イミダゾール系抗菌剤が下記一般式(2)
【0012】
【化2】
【0013】
[式中、R
4及びR
5は同一または異なって、置換基を有していてもよいアルキル基を示す]
で表される化合物である項4に記載の皮膚潰瘍処置用ゲル状外用剤。
項6. 前記イミダゾール系抗菌剤がメトロニダゾールである項4又は5に記載の皮膚潰瘍処置用ゲル状外用剤。
項7. 更に、リドカインを含む、項1〜6のいずれかに記載の皮膚潰瘍処置用ゲル状外用剤。
項8. 前記炭素数6〜26のアルキル基で疎水化変性されたセルロースエーテルの含有量が、0.2〜3.0質量%である、項1〜7のいずれかに記載の皮膚潰瘍処置用ゲル状外用剤。
項9. 前記炭素数6〜26のアルキル基で疎水化変性されたセルロースエーテル含有量が、0.2〜3.0質量%であり、
前記イミダゾール系抗菌剤の含有量が、0.1〜5.0質量%である、
項4〜7のいずれかに記載の皮膚潰瘍処置用ゲル状外用剤。
項10. 前記炭素数6〜26のアルキル基で疎水化変性されたセルロースエーテル含有量が、0.2〜3.0質量%であり、
前記リドカインの含有量が、0.05〜2.0質量%である、
項7に記載の皮膚潰瘍処置用ゲル状外用剤。
項11. 前記炭素数6〜26のアルキル基で疎水化変性されたセルロースエーテル含有量が、0.2〜3.0質量%であり、
前記イミダゾール系抗菌剤の含有量が、0.1〜5.0質量%であり、
前記リドカインの含有量が、0.05〜2.0質量%である、
項7に記載の皮膚潰瘍処置用ゲル状外用剤。
項12. 前記ゲル状基剤に、プロピレングリコールを含む、項1〜11のいずれかに記載の皮膚潰瘍処置用ゲル状外用剤。
項13. 皮膚潰瘍が、がん性皮膚潰瘍である、項1〜12のいずれかに記載の皮膚潰瘍処置用ゲル状外用剤。
【0014】
以下、本発明を詳細に説明する。
(1)皮膚潰瘍処置用外用剤のゲル状基剤
(1−1)炭素数6〜26のアルキル基で疎水化変性されたセルロースエーテル
本発明の皮膚潰瘍処置用外用剤のゲル状基剤は、炭素数6〜26のアルキル基で疎水化変性されたセルロースエーテルを含有する。なお、本発明では、炭素数6〜26のアルキル基で疎水化変性されたセルロースエーテルを疎水化ヒドロキシプロピルメチルセルロースと記すことがある。
【0015】
本発明の皮膚潰瘍処置用外用剤のゲル状基剤は、炭素数6〜26のアルキル基で疎水化変性されたセルロースエーテルを溶媒に溶解させてゲル化させたものである。そして、炭素数6〜26のアルキル基で疎水化変性されたセルロースエーテルは、水溶性セルロースエーテル誘導体に、疎水性基である長鎖アルキル基を導入した化合物である。
【0016】
本発明で使用する炭素数6〜26のアルキル基で疎水化変性されたセルロースエーテルの重量平均分子量(Mw)は、通常10,000〜10,000,000程度、好ましくは50,000〜5,000,000程度、より好ましくは100,000〜1,000,000程度である。
【0017】
炭素数6〜26のアルキル基で疎水化変性されたセルロースエーテルとしては、刺激感を減少させることが可能であり、さらには、ゲル基剤として用いた場合に、乾きにくく、保護ガーゼが剥がしやすいという理由から、
下記一般式(1)
【0018】
【化3】
【0019】
[式中、R
1、R
2及びR
3は同一又は異なって、水素原子、低級アルキル基、
基:−[CH
2CH
2−k(CH
3)
kO]
mH、又は
基:−CH
2CH(OH)CH
2OC
jH
2j+1である。
nは100〜100,000の整数、kは0又は1の整数、mは1〜10の整数、
jは6〜26の整数を示す。]
で表されるものであって、
該炭素数6〜26のアルキル基で疎水化変性されたセルロースエーテルが、
基:−CH
2CH(OH)CH
2OC
jH
2j+1を必ず含むものである化合物が好ましい。
【0020】
一般式(1)において、nは通常100〜100,000整数であり、好ましくは100〜10,000、更に好ましくは2,000〜4,000の整数である。
【0021】
一般式(1)において、R
1、R
2及びR
3は同一又は異なってよいが、水素原子、低級アルキル基、基:−[CH
2CH
2−k(CH
3)
kO]
mH、又は基:−CH
2CH(OH)CH
2OC
jH
2j+1である。
【0022】
前記低級アルキル基とは、低級アルキル基とは、炭素原子数1〜4個の直鎖状または分枝鎖状のものであり、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基などである。
【0023】
一般式(1)において、kは0又は1の整数である。一般式(1)において、mは1〜10の整数、好ましくは1〜5の整数、より好ましくは1である。一般式(1)において、jは、通常6〜26の整数、好ましくは10〜20の整数、より好ましくは15〜18の整数である。
【0024】
通常、一般式(1)中の低級アルキル基、基:−[CH
2CH
2−k(CH
3)
kO]
mH、及び基:−CH
2CH(OH)CH
2OC
jH
2j+1の割合は、低級アルキル基が10.0〜50.0重量%程度、基:−[CH
2CH
2−k(CH
3)
kO]
mHが3.0〜20.0重量%程度、及び基:−CH
2CH(OH)CH
2OC
jH
2j+1が0.1〜10.0重量%程度が好ましい。
【0025】
なお、一般式(1)中の低級アルキル基、基:−[CH
2CH
2−k(CH
3)
kO]
mH、及び基:−CH
2CH(OH)CH
2OC
jH
2j+1の割合は、第13改正日本薬局方ヒドロキシプロピルメチルセルロース2208の項に準じた方法によって測定した値である。
【0026】
炭素数6〜26のアルキル基で疎水化変性されたセルロースエーテルは、一種単独で使用してもよく、二種以上混合して使用してもよい。
【0027】
一般式(1)で表される化合物は、従来公知の製造方法により製造することができ、例えば、特開平3−151330号公報に記載の方法に準じた方法により得られる。また、疎水化ヒドロキシプロピルメチルセルロースの市販品としては、例えば、大同化成工業株式会社製のサンジェロース(登録商標)が挙げられる。
【0028】
本発明の皮膚潰瘍処置用外用剤のゲル状基剤では、重量平均分子量(Mw)30万〜50万程度の炭素数6〜26のアルキル基で疎水化変性されたセルロースエーテル(例えば、大同化成工業株式会社製のサンジェロース(登録商標)60シリーズ)と、重量平均分子量(Mw)70万〜90万程度の炭素数6〜26のアルキル基で疎水化変性されたセルロースエーテル(例えば、大同化成工業株式会社製のサンジェロース(登録商標)90シリーズ)とを混合して使用することが好ましい。
【0029】
重量平均分子量(Mw)30万〜50万程度の炭素数6〜26のアルキル基で疎水化変性されたセルロースエーテルと重量平均分子量(Mw)70万〜90万程度の炭素数6〜26のアルキル基で疎水化変性されたセルロースエーテルを、好ましくは10:90〜50:50、より好ましくは20:80〜40:60混合比で使用することができる。
(1−2)皮膚潰瘍処置用外用剤のゲル状基剤の調製
炭素数6〜26のアルキル基で疎水化変性されたセルロースエーテルを溶解させる溶媒としては、例えば、水、水と低級アルコー及び/又はグリコール類の混合溶液を使用することができる。
【0030】
低級アルコールとしては、例えば、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール等の炭素数2〜3のアルカノールが挙げられる。
【0031】
また、グリコール類としては、例えば、グリセリン、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール等が挙げられる。これらの中でも、水及びプロピレングリコールの混合液が好ましい。
【0032】
水と低級アルコール及び/又はグリコール類とを混合して溶媒とする場合、混合比率は、通常99:1〜20:80程度、好ましくは90:10〜40:60程度である。
【0033】
本発明の皮膚潰瘍処置用外用剤のゲル状基剤は、炭素数6〜26のアルキル基で疎水化変性されたセルロースエーテルと前記溶媒とを混合し、炭素数6〜26のアルキル基で疎水化変性されたセルロースエーテルを溶媒中に均一分散させることにより容易にゲル化させたものである。
【0034】
炭素数6〜26のアルキル基で疎水化変性されたセルロースエーテルを溶媒中に均一分散させてゲル化させる方法は特に限定されない。例えば、50〜99℃の前記溶媒と炭素数6〜26のアルキル基で疎水化変性されたセルロースエーテルとを混合し、放冷しながら撹拌することによって得られる。
【0035】
ゲル化させる際には、後述の抗菌剤及び必要に応じてその他の成分が含まれていてもよく、基剤をゲル化させた後に抗菌剤及び必要に応じてその他の成分を混合してもよい。
【0036】
製剤中の炭素数6〜26のアルキル基で疎水化変性されたセルロースエーテルの濃度は、0.1質量%未満では十分な粘度が得られず、また10質量%を超えると皮膚に塗布した際に多量のポリマーが析出して使用感に劣る傾向があることから、通常0.1〜10質量%程度が好ましく、0.5〜2.0質量%程度がより好ましい。
【0037】
本発明の皮膚潰瘍処置用外用剤のゲル状基剤は、稠度、展延性、安定性、薬物浸透性、保形性に優れ、調製が容易で使用感がよいという優れた特性を有する。また、本発明のゲル状基剤は、患部から容易に剥離することができるという優れた特性も有する。従って、患部を覆ったガーゼを剥がす際の痛みを軽減することもでき、患者の精神的苦痛を和らげることが可能である。
【0038】
(2)皮膚潰瘍処置用ゲル状外用剤
本発明の皮膚潰瘍処置用ゲル状外用剤は、前記炭素数6〜26のアルキル基で疎水化変性されたセルロースエーテルを含むゲル状基剤に加えて、イミダゾール系抗菌剤、リドカイン及びプロピレングリコールを含むことが好ましい。
(2−1)イミダゾール系抗菌剤
本発明の皮膚潰瘍処置用ゲル状外用剤は、前記炭素数6〜26のアルキル基で疎水化変性されたセルロースエーテルに加えて、病院薬局製剤としての品質確保、製剤成分の安定性及び製剤からの薬物放出性を確保できるという理由から、イミダゾール系抗菌剤を含むことが好ましい。
【0039】
本発明の皮膚潰瘍処置用ゲル状外用剤の主薬として使用されるイミダゾール系抗菌剤は、皮膚炎等の抗菌剤として一般的に使用されるものを用いることができる。
【0040】
該イミダゾール系抗菌剤としては、
下記一般式(2):
【0041】
【化4】
【0042】
[式中、R
4及びR
5は同一または異なって、置換基を有していてもよいアルキル基を示す]
で表されるニトロイミダゾール系化合物が好ましい。
【0043】
該置換基を有していてもよいアルキル基は、直鎖又は分岐鎖のいずれであってもよい。また、該アルキル基の炭素数は、通常、1〜10程度、好ましくは1〜5程度である。
【0044】
該置換基を有していてもよいアルキル基の置換基としては、例えば、ヒドロキシ基、ハロゲン基、アミノ基、フェニル基、ベンジル基、シクロアルキル基、アルコキシ基等が挙げられる。
【0045】
置換基を有していてもよいアルキル基の中でも、R
4としては、ヒドロキシ基を有するアルキル基が好ましい。さらに、ヒドロキシ基を有するアルキル基の中でも、CH
2OH基、CH
2CH
2OH基又はCH
2CH
2CH
2OH基が好ましく、CH
2CH
2OH基が特に好ましい。
【0046】
また、置換基を有していてもよいアルキル基の中でも、R
5としては、飽和アルキル基が好ましい。さらに、飽和アルキル基の中でも、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基が好ましく、メチル基が特に好ましい。
【0047】
一般式(2)で表される化合物の中でも、下記一般式(2A):
【0048】
【化5】
【0049】
で表されるメトロニダゾール(2−メチル-5-ニトロイミダゾール-1−エタノール)(2−(2−Methyl−5−nitro−1−imidazolyl)ethanol)が特に好ましい。
【0050】
本発明において、一般式(2)及び一般式(2A)で表される化合物は、薬理学的に許容される塩を形成していてもよい。塩は特に限定されないが、例えば、ハロゲン化水素酸、塩酸、硝酸、硫酸、リン酸等の無機酸;酢酸、プロパン酸、安息香酸、クエン酸、乳酸等の有機酸との塩が挙げられる。一般式(2)及び一般式(2A)中にヒドロキシル基が存在する場合、該ヒドロキシル基は薬理学的に許容される保護基で保護されていてもよい。
【0051】
本発明において、イミダゾール系抗菌剤は、一種単独で使用してもよいし、二種以上混合して使用してもよい。
(2−2)リドカイン
本発明の皮膚潰瘍処置用ゲル状外用剤は、病院薬局製剤としての品質確保、製剤成分の安定性及び製剤からの薬物放出性を確保できるという理由から、前記炭素数6〜26のアルキル基で疎水化変性されたセルロースエーテルを含むゲル状基剤に加えて、リドカインを含むことが好ましい。
【0052】
なお、リドカイン(2−Diethylamino−N−(2,6−dimethylphenyl)acetamide))は、一般的に麻酔剤として用いられるものであり、以下の構造を持つ。
【0053】
【化6】
【0054】
本発明において、リドカインは、薬理学的に許容される塩を形成していてもよい。
(2−3)プロピレングリコール
本発明の皮膚潰瘍処置用ゲル状外用剤は、前記炭素数6〜26のアルキル基で疎水化変性されたセルロースエーテルに加えて、プロピレングリコールを含むことが好ましい。
(2−4)他の成分
本発明の皮膚潰瘍処置用ゲル状外用剤には、必要に応じて、前記炭素数6〜26のアルキル基で疎水化変性されたセルロースエーテルを含むゲル状基剤、イミダゾール系抗菌剤、リドカイン及びプロピレングリコールに加えて他の成分を加えてもよい。
【0055】
他の成分としては、ミリスチン酸イソプロピル、アジピン酸ジイソプロピル、ベンジルアルコール等の吸収助剤、防腐剤、香料等が挙げられる。さらに、目的や用途に応じて、抗生物質、化学療法剤、ビタミン剤、局所麻酔剤、抗ヒスタミン剤、消炎鎮痛剤、収れん剤、サルファ剤、血行促進剤、副腎皮質ホルモン等の薬物を配合させることもできる。
【0056】
(2−5)皮膚潰瘍処置用ゲル状外用剤の調製
本発明の皮膚潰瘍処置用ゲル状外用剤は、前記炭素数6〜26のアルキル基で疎水化変性されたセルロースエーテルを含むゲル状基剤、必要に応じてイミダゾール系抗菌剤、リドカイン、プロピレングリコール及び他の成分を添加して混合することにより得られる。これらの成分を混合する順序は特に限定されない。
【0057】
炭素数6〜26のアルキル基で疎水化変性されたセルロースエーテルを含むゲル状基剤、必要に応じてイミダゾール系抗菌剤、リドカイン、プロピレングリコール及び他の成分は、均一に分散するように混合することが好ましい。
【0058】
アルキル基で疎水化変性されたセルロースエーテルを含むゲル状基剤、必要に応じてイミダゾール系抗菌剤、リドカイン、プロピレングリコール及び他の成分を均一に分散させてゲル化させる方法は特に限定されない。
【0059】
例えば、以下の手順により行うことができる。
(i)50〜99℃の前記溶媒とアルキル基で疎水化変性されたセルロースエーテルを混合し、放冷しながら撹拌する。
(ii)前記(i)で得られた混合液と、抗菌剤及び前記溶媒の混合液とを混合する。
【0060】
前記(i)で使用する溶媒は、水が好ましく、上記(ii)で使用する溶媒は、プロピレングリコールが好ましい。
【0061】
皮膚潰瘍処置用ゲル状外用剤中の炭素数6〜26のアルキル基で疎水化変性されたセルロースエーテルの含有量は、0.1質量%未満では十分な粘度が得られず、また10質量%を超えると皮膚に塗布した際に多量のポリマーが析出して使用感に劣る傾向があることから、通常0.1〜10質量%程度とすることが好ましく、0.2〜3.0質量%程度とすることがより好ましく、0.5〜2.0質量%程度とすることが更に好ましい。
【0062】
皮膚潰瘍処置用ゲル状外用剤中のイミダゾール系抗菌剤の含有量は、0.1質量%未満では充分な殺菌力が発揮できず、また5.0質量%を超えると副作用が発現するという理由から、通常0.1〜5.0質量%程度とすることが好ましく、0.5〜2.0質量%程度とすることがより好ましい。
【0063】
皮膚潰瘍処置用ゲル状外用剤中のリドカインの含有量は、0.05質量%未満では充分な鎮痛効果が得られず、また2.0質量%を超えると副作用が発現するという理由から、通常0.05〜2.0質量%程度とすることが好ましく、0.1〜0.4質量%程度とすることがより好ましい。
【0064】
本発明の皮膚潰瘍処置用ゲル状外用剤中のプロピレングリコールの含有量は、1.0質量%未満では、充分な湿潤性が得られず、また50.0質量%を超えると実用的な製剤の粘度にならないという理由から、通常1.0〜50.0質量%程度とすることが好ましく、5.0〜20.0質量%程度とすることがより好ましい。
【0065】
(3)使用方法
本発明のゲル状基剤を使用した皮膚潰瘍処置用ゲル状外用剤は、ガーゼ等に該組成物を塗布し、これを患部に貼り付けて使用することができる。本発明の皮膚潰瘍処置用ゲル状外用剤は、皮膚潰瘍部の悪臭を抑制し、稠度、展延性、安定性、薬物浸透性、保形性に優れ、調製が容易で使用感がよいという優れた特性を有する。
【0066】
本発明の皮膚潰瘍処置用ゲル状外用剤は、皮膚潰瘍に伴う悪臭を効果的に抑制することができ、特に、通常の感染等に比してかなり強い独特の悪臭を放つがん性皮膚潰瘍に対して効果的に悪臭を抑えることができる。
【0067】
本発明の皮膚潰瘍処置用ゲル状外用剤は、患部から容易に剥離することができるという優れた特性も有する。従って、本発明の皮膚潰瘍処置用ゲル状外用剤は、患部を覆ったガーゼを剥がす際の痛みを軽減することもでき、患者の精神的苦痛を和らげることが可能である。