特許第5954961号(P5954961)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ トムソン ライセンシングの特許一覧

特許5954961通信パスを決定するためのデバイス及び方法
<>
  • 特許5954961-通信パスを決定するためのデバイス及び方法 図000003
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5954961
(24)【登録日】2016年6月24日
(45)【発行日】2016年7月20日
(54)【発明の名称】通信パスを決定するためのデバイス及び方法
(51)【国際特許分類】
   H04L 12/729 20130101AFI20160707BHJP
【FI】
   H04L12/729
【請求項の数】15
【外国語出願】
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2011-249488(P2011-249488)
(22)【出願日】2011年11月15日
(65)【公開番号】特開2012-109968(P2012-109968A)
(43)【公開日】2012年6月7日
【審査請求日】2014年11月17日
(31)【優先権主張番号】10306268.3
(32)【優先日】2010年11月17日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】501263810
【氏名又は名称】トムソン ライセンシング
【氏名又は名称原語表記】Thomson Licensing
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100091214
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 進介
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(72)【発明者】
【氏名】ギヨーム ビショー
(72)【発明者】
【氏名】ステファン ガッシュ
【審査官】 菊地 陽一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−281623(JP,A)
【文献】 特開2008−113224(JP,A)
【文献】 岩崎 あかね他,マルチパスを利用したSCTPにおける帯域集約機構の提案,マルチメディア,分散,協調とモバイル(DICOMO2008)シンポジウム論文集,2008年 7月,vol.2008 No.1,pp.601-608
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 12/729
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2つの通信パスを使用した通信セッションの範囲での2つの通信機器の器材の間の情報伝送のための方法であって、第1の通信機器の器材は、通信アドレスを持つ少なくとも1つの通信インターフェースを有し、かつ第2の通信機器の器材は、異なる通信アドレスを持つ少なくとも2つの通信インターフェースを有し、
当該方法は、
(i)前記第1の通信機器の器材において受信で達成できる最大のバンド幅を示す第1の情報のアイテムに関連する前記第の通信機器の器材の各前記通信インターフェースの通信アドレスを含む制御メッセージを、前記第1の通信機器の器材において、生成するステップと、
(ii)前記制御メッセージに含まれる少なくとも前記第1の情報のアイテムに従って、前記第2の通信機器の器材の通信インターフェースの1つと、前記制御メッセージを伝送した前記第1の通信機器の器材の通信インターフェースとの間の前記通信セッションのパケットを伝送するための少なくとも1つの通信パスを決定するために、前記第1の通信機器の器材から前記第2の通信機器の器材に前記制御メッセージを伝送するステップと、
を有する方法であって、
前記最大のバンド幅は、時及び/又は場所によって変わり得る実際の最大のバンド幅である、方法
【請求項2】
ステップ(i)において、前記生成された制御メッセージは、第の通信機器の器材のインターフェースの各々に対して、前記通信インターフェースの利用優先のレベルを表す第2の情報のアイテムをも含む、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記第1の通信機器の器材において前記通信インターフェースにおける受信で達成できる前記最大のバンド幅は、考慮された前記通信セッションのために、前記第1の通信機器の器材の前記通信インターフェースにおいて受信に利用可能な前記バンド幅の平均値に等しい、請求項1又は2記載の方法。
【請求項4】
前記制御メッセージの各々は、SCTP通信プロトコルに従う、請求項1ないし3のうちいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
2つの通信機器の器材の間に確立された少なくとも2つの通信パスを利用した通信セッションのパケットのための通信パスを決定する方法であって、第1の通信機器の器材は、通信アドレスを持つ少なくとも1つのインターフェースを持ち、かつ第2の通信機器の器材は、異なる通信アドレスを持つ少なくとも2つの通信インターフェースを持ち、
当該方法は、
前記第2の通信機器の器材から前記第1の通信機器の器材への前記通信セッションのパケットの伝送のために、前記第1の通信機器の器材のインターフェースに対して受信で達成できる少なくとも最大のバンド幅、及び存在する通信パスにおいて利用することができるバンド幅に従って、前記第1の通信機器の器材の通信インターフェースと、前記第2の通信機器の器材の通信インターフェースとの間に存在する少なくとも1つの通信パスを選択するステップ、
を有する方法であって、
前記最大のバンド幅は、時及び/又は場所によって変わり得る実際の最大のバンド幅である、方法
【請求項6】
前記第1の通信機器の器材が、異なる通信アドレスを持つ少なくとも2つの通信インターフェースを含む場合、これらの通信インターフェースの1つが選択され、これによって、これらに関連する利用優先のレベルに従って、これが前記選択された通信パスの一端を形成する、請求項5記載の方法。
【請求項7】
前記選択は、前記通信セッションの伝送されるべきパケットの前記最大のバンド幅より大きい受信で許可された最大のバンド幅に関連する前記第1の通信機器の器材の通信インターフェースの間で実行される、請求項6記載の方法。
【請求項8】
前記選択された通信パスで利用できるバンド幅が、前記選択された通信パスの一端を形成する前記第1の通信機器の器材の前記通信インターフェースのための受信で達成できる前記最大のバンド幅より小さい場合、前記第2の通信機器の器材の選択されていない他の前記通信インターフェースと、前記第1の通信機器の器材の前記通信インターフェースとの間に存在する少なくとも1つの他の通信パスが新たに選択され、これにより、前記通信セッションのパケットが、前記新たに選択された通信パスにおいて伝送される、請求項5ないし7のうちいずれか1項記載の方法。
【請求項9】
2つの通信機器の器材の間に確立された少なくとも2つの通信パスを利用した通信セッションのための制御メッセージを生成するためのデバイスであって、第1の通信機器の器材は、通信アドレスを持つ少なくとも1つの通信インターフェースを持ち、かつ、第2の通信機器の器材は、異なる通信アドレスを持つ少なくとも2つの通信インターフェースを有し、
前記第1の通信機器の器材のために、受信で達成でき、かつ前記第2の通信機器の器材に用いるための最大のバンド幅の前記第の通信機器の器材の各通信インターフェースの通信アドレスを含む制御メッセージを生成する手段、を有するデバイスであって、
前記最大のバンド幅は、時及び/又は場所によって変わり得る実際の最大のバンド幅である、デバイス
【請求項10】
前記第の通信機器の器材の通信インターフェースの各々に対して、前記通信インターフェースの利用優先のレベルを示す情報の第2のアイテムをも含む制御メッセージを生成するよう構成された、請求項9記載のデバイス。
【請求項11】
前記第1の通信機器の器材において前記通信インターフェースにおける受信で達成できる最大のバンド幅は、考慮された前記通信セッションのために、前記第1の通信機器の器材の前記通信インターフェースにおいて受信に利用可能なバンド幅の平均値に等しい、請求項9又は10記載のデバイス。
【請求項12】
SCTPトランスポートプロトコルに従って、制御メッセージを生成する、請求項9ないし11のうちいずれか1項記載のデバイス。
【請求項13】
2つの通信機器の器材の間に確立された少なくとも2つの通信パスを使用して、通信セッションのパケットの通信パスを決定するためのデバイスであって、第1の通信機器の器材は、通信アドレスを持つ少なくとも1つの通信インターフェースを持ち、かつ第2の通信機器の器材は、異なる通信アドレスを持つ少なくとも2つの通信インターフェースを持ち、
当該デバイスは、
前記第2の通信機器の器材から、前記第1の通信機器の器材への前記通信セッションのパケットの伝送のために、前記第1の通信機器の器材の通信インターフェースに対して受信で達成できる少なくとも最大のバンド幅、及び存在する通信パスで利用されているバンド幅に従って、前記第1の通信機器の器材の通信インターフェースと、前記第2の通信機器の器材の通信インターフェースとの間に存在する少なくとも1つの通信パスを選択するための手段、
を有するデバイスであって、
前記最大のバンド幅は、時及び/又は場所によって変わり得る実際の最大のバンド幅である、デバイス
【請求項14】
前記選択するための手段は、前記第1の通信機器の器材が、異なる通信アドレスを持つ少なくとも2つの通信インターフェースを有する場合、これらの通信インターフェースのうちの1つが選択され、これにより、選択された前記通信インターフェースに関連する利用優先のレベルに従って通信パスを選択する、請求項13記載のデバイス。
【請求項15】
通信アドレスを持つ少なくとも1つの通信インターフェースを有する通信機器の器材であって、当該通信機器の器材は、請求項9ないし12のうちいずれか1項に記載の、制御メッセージを生成するためのデバイス、及び/又は、請求項13又は14記載の、通信パスを決定するためのデバイス、を有する、通信機器の器材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信機器の器材の間のデータの通信パケットの伝送に関する。
【背景技術】
【0002】
通信機器のうちの一部のものは、アクセスネットワークに接続された少なくとも特定の通信インターフェースを含み、通信機器のうちのその他のものは、異なる通信アドレスを持つ少なくとも2つの通信インターフェースを持ち、マルチパスモードで伝送を行うことが可能である。
【0003】
本明細書において「通信パス」とは、各々が通信アドレスで定義された2つの通信インターフェース(機器の器材に1つ)を介して2つの通信機器の器材に接続するパスを意味する。通信パスとは、2つの通信インターフェースのペアとなった通信アドレスによって特定される。
【0004】
更に、「通信機器の器材」は、いかなるタイプの機器であってもよく、有線又は無線の少なくとも1つの通信インターフェースを含み、かつ、ほかの通信機器の器材(異なるタイプでもよい)とパケットを交換する能力を有する。したがって、これは、固定又は移動電話に関連してもよく、例えば「スマートフォン」のタイプ、固定又はポータブルコンピュータ、PDA(「ポケットPDA」を含む)、コンテンツレシーバ(例えば、デコーダ、宅内ゲートウエイ、又はセットトップボックス、又はネットワーク機器の器材(例えばコンテンツサーバ))が挙げられる。 当業者に知られているように、第1の(通信)機器の器材が、異なるアクセスネットワークに接続できる少なくとも2つの通信インターフェースを持つ場合、それは、通信セッションの範囲において、かつ、少なくとも2つの異なる通信パスに従って、アクセスネットワークに接続できる少なくとも1つの通信インターフェースを持つ第2の(通信)機器の器材と、データを交換することができる。この場合、この通信セッションは、マルチプルタイプであり得る。第1の機器の器材は、関係するアプリケーションの要求(及び、特にそれが利用又は生成するデータのタイプ)、及びそれと第2の機器の器材との間に存在する通信パスの特徴及びそれぞれの状態に従って、1つ又は幾つかの通信パスを選択するために、パケット伝送方式をインプリメントしなければならない。これらの特徴及び状態は、通信パスによって利用される異なるアクセスネットワークの現在の状態(これらは測定に基づいて、定期的にアップデートされる)に適合していなければならない。
【0005】
非限定的な例示として、通信セッションが、ビデオブロードキャスティングのアプリケーションに関連する場合、各々の通信パスは、パラメータ、例えばバンド幅又は「バイナリデビット」(実際、これらは、同じ単位(ユニット)を持つ同様の名称として、単位時間当たりのビット数がある)、パケットジッタ、パケットの伝送時間(すなわち遅延)によって特徴付けられる。これらのパラメータは、エンドツーエンド技術と呼ばれる様々な技術によって、測定(又は推定)される。この技術は、これらは中断を起こさない(non−intrusive)(すなわち、これらはインターフェアランスを起こしてはならない)という事実により、一般的に単純(trivial)ではない。例えば、通信プロトコルがTCP(Transmission Control Protocol)又はSCTP(Stream Control Transmission Protocol、規則RFC4960及び5061であってIETFのもとにより特に規定されている)タイプである場合、Westwoodタイプアルゴリズムが、伝送されたパケットの複製された受信応答を介して、かつパケット到着時刻のインターバルにおいて、通信パスで利用できるバンド幅を継続的に計測するために利用される。
【0006】
しかしながら、複数の通信インターフェースに対する第1の機器の器材のパケット伝送方式が、通信セッションにおいて、厳密なパラメータ値及び、パーソナルローカル情報(例えば、そのアクセスネットワークの利用コストにリンクされたインターフェースの利用コスト)を利用したとしても、それは、通信セッションに参加した第2の機器の器材(又は端点(エンドポイント))に特有なローカル情報の少なくとも1つのアイテム(言い換えれば、受信においてサポートするよう用意された最大のバンド幅)を考慮しない。しかしながら、第2の機器の器材のローカル情報の少なくともこのアイテムの知識は、通信パスのその選択において、有利に第1の機器の器材に影響し得る。
【0007】
留意すべき点としては、第2の機器の器材が幾つかの通信インターフェースを持っている場合、ローカルパーソナル情報のこれらのアイテムの他の要素は、通信パスのその選択の際に、第1の機器の器材に対して有用である。これは、例えば、アクセスネットワークの利用コストにリンクされるインターフェースの利用コストの場合、通信インターフェースのQoS(Quality of Service)の制御の可能性、及び所定のバンド幅のためのエネルギー消費(これは、考慮される場所、及び/又は時刻に従って、通信インターフェースによって異なる)が挙げられる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、この状況を改善することである。より詳細には、機器の器材(中間ポイント又はエンドポイント)に認識されているローカル情報の特定のアイテムを考慮して、パケット伝送方式を作動させることである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この目的のために、本発明は、特に第1の方法を提案する。この第1の方法は、通信セッションの内において、少なくとも2つの通信パスを利用して、2つの通信機器の器材の間での情報の伝送を実行するものであり、これらの機器の器材の一方は、異なる通信アドレスを持つ少なくとも2つの通信インターフェースを持ち、かつ、他方は、通信アドレスを持つ少なくとも1つの通信インターフェースを持ち、
ステップ(i)は、受信で達成できる最大バンド幅を示す少なくとも1つの第1の情報のアイテムに関連する各前記通信インターフェースの各通信アドレスを含む制御メッセージを、前記通信機器の器材の少なくとも1つにおいて、生成する。
【0010】
ステップ(ii)は、前記制御メッセージに含まれる少なくとも前記第1の対応する情報のアイテムに従って、これらの通信インターフェースの1つと、前記制御メッセージを伝送した前記通信機器の器材の通信インターフェースの1つとの間の前記通信セッションのパケットを伝送するための少なくとも1つの通信パスを決定するために、前記通信機器の器材の前記他方に前記制御メッセージを伝送する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】動的及び機能的に2つの通信機器の器材を示した図であり、本発明に従って制御メッセージを生成するデバイス、本発明に従って通信パスを決定するデバイス、及び、アクセスネットワークに接続する特定の通信インターフェースを含む。通信機器の他の器材は、2つの特定の通信インターフェースを持ち、それぞれ、異なるアクセスネットワークに接続されている。
【発明を実施するための形態】
【0012】
上述の「達成できる最大バンド幅」は、機器の器材が所定のインターフェースにおいて受信でサポートできる最大バンド幅であると理解される。
【0013】
本発明に従った第1の方法は、個別的に又は組合せにより達成でき他の特徴を有している。すなわち、本方法は、
ステップ(i)において、前記生成された制御メッセージは、通信インターフェースの各々に対して、前記通信インターフェースの利用優先のレベルを表す第2の情報のアイテムをも含む。
【0014】
インターフェースのレベルにおける受信で達成できる前記最大バンド幅は、考慮された前記通信セッションのために、このインターフェースの前記レベルにおいて受信に利用可能な前記バンド幅の平均値に等しくすることができる。
【0015】
制御メッセージの各々は、SCTP(Stream Control Transmission Protocol)通信プロトコルに従うことができる。
【0016】
本発明は、第2の発明を提案する。この第2の発明は、2つの通信機器の器材の間に確立された少なくとも2つの通信パスを利用した通信セッションのパケットのための通信パスを決定する方法であって、第1の前記機器の器材は、通信アドレスを持つ少なくとも1つのインターフェースを持ち、かつ第2の前記機器の器材は、異なる通信アドレスを持つ少なくとも2つの通信インターフェースを持ち、この第2の方法は、前記第2の通信機器の器材から前記1の器材への通信セッションのパケットの伝送のために、この第1のインターフェースに対して受信で達成できる少なくとも最大のバンド幅、及び存在する通信パスにおいて利用することができるバンド幅に従って、通信機器の前記第1器材の通信インターフェースと、前記第2の通信機器の器材の通信インターフェースとの間に存在する少なくとも1つの通信パスを選択するステップ、を有する方法を提供する。
【0017】
本発明に従った第2の方法は、他の特徴を含むことができる。これらの特徴は、個別に又は組み合わせて採用することができる。第2の方法は、
前記第1の通信機器の器材が、異なる通信アドレスを持つ少なくとも2つの通信インターフェースを含む場合、これらの通信インターフェースの1つが選択することができ、これによって、これらに関連する利用優先のレベルに従って、これが前記選択された通信パスの一端を形成する。
【0018】
前記選択は、前記通信セッションの伝送されるべきパケットのバンド幅より大きい受信で達成できる前記第1の通信機器の器材の通信インターフェースの間で実行され得る。
【0019】
前記選択された通信パスで(有効に)利用できるバンド幅が、前記選択された通信パスの一端を形成する前記第1の通信機器の器材の前記通信インターフェースのための受信で達成できる前記最大のバンド幅より極端に小さい場合、前記第2の通信機器の器材の他の前記通信インターフェースと、通信機器の前記第1器材の前記通信インターフェースとの間に存在する少なくとも1つの他の通信パスが選択され得、これにより、前記通信セッションのパケットが、選択された通信パスの各々において伝送される。
【0020】
本発明は、第1のデバイスを提案する。本デバイスは、2つの通信機器の器材の間の通信セッションのための制御メッセージを生成するためのデバイスであって、それらの一方は、異なる通信アドレスを持つ少なくとも2つの通信インターフェースを持ち、他方は、通信アドレスを持つ少なくとも1つの通信インターフェースを持ち、前記通信機器の器材の1つのために、受信で達成でき、かつ他の通信機器の器材に用いるための最大のバンド幅を示す情報の少なくとも第1のアイテムに関連する各通信インターフェースの各通信アドレスを含む制御メッセージを生成する。
【0021】
本発明に従った第1のデバイスは、個別的に又は組み合わせて他の特徴を有することができる。すなわち、以下の通りである。
【0022】
通信インターフェースの各々に対して、前記通信インターフェースの利用優先のレベルを示す情報の第2のアイテムをも含む制御メッセージを生成する。
【0023】
考慮される前記通信セッションのためのインターフェースのレベルにおいて受信で(有効に)利用できるバンド幅の平均値と等しいインターフェースのレベルにおいて受信で達成できる最大バンド幅を、前記制御メッセージに導入する。
【0024】
SCTPトランスポートプロトコルに従って、制御メッセージを生成する。
【0025】
本発明は、第2のデバイスを提案する。すなわち、2つの通信機器の器材の間の通信セッションのパケットの通信パスを決定するためのデバイスであって、これらの第1のものは、通信アドレスを持つ少なくとも1つの通信インターフェースを持ち、かつこれらの第2のものは、異なる通信アドレスを持つ少なくとも2つの通信インターフェースを持つ。
【0026】
第2の発明は、機器の前記第2の器材から、機器の前記第1の器材への前記通信セッションのパケットの伝送のために、第1のインターフェースに対して受信で達成できる少なくとも最大のバンド幅、及び存在する通信パスで利用されているバンド幅に従って、前記第1の通信機器の器材の通信インターフェースと、通信機器の前記第2の機器の通信インターフェースとの間に存在する少なくとも1つの通信パスを選択する、選択するための第1の手段を有する。
【0027】
更に、この第2のデバイスの前記選択するための第1の手段は、
前記第1の通信機器の器材が、異なる通信アドレスを持つ少なくとも2つの通信インターフェースを有する場合、これらの通信インターフェースのうちの1つが選択され、これにより、これらに関連する利用優先のレベルに従ってこれが前記選択された通信パスの一端を形成する。
【0028】
本発明は、通信機器の器材であって、一方では、通信アドレスを持つ少なくとも1つの通信インターフェースを有する器材であり、当該器材は、上述に記載したタイプの制御メッセージを生成するためのデバイス、及び/又は、他方では、上述に記載したタイプの通信パスを決定するためのデバイス、を有する。
【0029】
本発明の1つの特徴及び有利な効果は、以下の明細書及び添付の図面に記載されている。
【実施例】
【0030】
添付の図面は、本発明を完全ならしめるため、および必要な場合には、その定義を行うために用いられる。
【0031】
本発明の目的は、(中間点又は端点の)通信機器Ejの器材が認識する、ローカル情報のアイテムに対して注意を向けることである。この通信機器Ejは、通信パスを選択する間に、通信セッションに参加する。
【0032】
以下、比制限的な例示として、通信機器Ejの器材は、固定された(fixed)コンピュータ又はコンテンツサーバである。なお、本発明は、これらのタイプの通信機器に限定されるものではない。これは、実際、(有線、又は無線、及びデータのパケットを他の通信機器の器材Ej’(j’≠j)と交換することが可能な、異なるタイプであってもよい)少なくとも1つの通信インターフェースIjiを有するいかなる機器のタイプEjにも関連する。したがって、これは、例えば、固定電話、固定又はポータブルコンピュータ、PDA(ポケットPDAを含む)、コンテンツレシーバ(例えば、デコーダ、宅内ゲートウエイ、又はセットトップボックス(STB)、又は、データパケットの伝送に関わるいかなる他のタイプのネットワーク機器をも含む。
【0033】
非制限的な例示として、2つの(通信)機器の器材Ej(j=1又は2)のペアリングが、図1に動的に示されている。
【0034】
第1の機器の器材E1(j=1)は、この例においては、第1のアクセスネットワークR1(例えばADSLタイプ)に接続可能な単一の通信インターフェースI11を有する。この第1の機器の器材E1は、例えば固定のコンピュータである。
【0035】
第2のタイプの機器E2(j=2)は、この比制限的な例においては、2つの通信インターフェースI2iを有する。この第1の通信インターフェースI21(i=1)は、第2のアクセスネットワークR2(例えば、R1と同じADSLタイプ)に接続することができる。第2の通信インターフェースI22(i=2)は、第3のアクセスネットワークR3(例えばWiFiタイプ)に接続することができる。そして、第1のアクセスネットワークR1及び第2のアクセスネットワークR2とペアを組んでいる。第2の機器の器材E2は、例えば(ビデオ等の)コンテンツサーバである。
【0036】
更に、比制限的な例示として示されるように、第1のパケット通信パスC(m=1)は、第1の機器の器材E1の単一の(通信)インターフェースI11と、第2の機器の器材の第1の(通信)インターフェースI21との間で、第1のアクセスネットワークR1及び第2のアクセスネットワークR2を介して確立される。そして、第2のパケット通信パスC(m=2)は、第1の機器の器材E1の単一の(通信)インターフェースI11と、第2の機器の器材E2の第2の(通信)インターフェースI22との間で、第1のアクセスネットワークR1及び第3のアクセスネットワークR3を介して確立される。
【0037】
機器の器材Ejが機器の器材Ej’のローカル情報の特定のアイテムを知ることができ、これによって、通信セッションを確立することができる。本発明は、機器の器材Ejの間での情報の伝達のための第1の方法をインプリメントすることを提案する。
【0038】
この第1の方法は、2つのステップ(i)及び(ii)を有する。
【0039】
第1のステップ(i)は、受信Kjiにおいて達成できる(すなわち、最適に達成できる)最大バンド幅を示す少なくとも1つの第1の情報のアイテムに関連する各前記(通信)インターフェースIjiの各通信アドレスを含む制御メッセージを、前記通信機器の器材Ejの少なくとも1つにおいて生成する。
【0040】
所定の機器の器材EjのインターフェースIjiのレベルにおける受信Kjiにおいて、達成できるこの最大のバンド幅(すなわち、最大のビットレート)は、例えば、バンド幅の平均値と等しい。このバンド幅の平均値は、受信において、考慮されている通信セッションのために、インターフェースIjiのレベルで(有効に)利用される。
例えば、第1の機器の器材E1と、第1のアクセスネットワークR1との間のADSLリンクのトータルのバント幅は、8Mbpsに等しい。そして、第2の機器の器材E2のビデオダウンロードタイプの通信セッションのための受信においてそのインターフェースI11のレベルで利用され得るバンド幅の平均値は、2.5Mbpsに等しい。この場合、受信K11におけるインターフェースI11の最大のバンド幅は、2.5Mbpsと等しい。
【0041】
以下の点に留意すべきである。機器の器材Ej’のインターフェースIj’iが、幾つかの(少なくとも2つの)通信パスCの端を形成しており、反対側の端は、他の機器の器材Ej’(j’≠j)の少なくともインターフェースIjiで形成されている場合、第1の機器の器材E1の単一のインターフェースI11がこの場合に該当し、受信Kj’iにおいて達成できるこの最大のバンド幅(すなわち最大のバイナリ・デビット)は、考慮されている通信セッションに対して、上述のように異なる通信パスCに対する受信kにおけるインターフェースIj’iのレベルで達成できる最大バンド幅の総和として認識される。すなわち以下の通りである。
【0042】
【数1】
例えば、図示の例においては、K11=k+k である。
【0043】
また、以下の点にも留意すべきである。機器の器材Ejが、幾つかの(少なくとも2つの)インターフェースIjiを有する場合、第1のステップ(i)において、各々のインターフェースIjiは、この通信インターフェースIjiの利用優先順位のレベルを示す関連する情報の第2のアイテムとして、生成された制御メッセージに追加することが可能である。例えば、第2の機器の器材E2の場合、第1のインターフェースI21が優先的に利用されることが望まれる。第2のインターフェースI22は、したがって、より低い優先順位を持つ(これは、第1インターフェースI21が利用できない場合、又は考慮される第2の通信セッションが関連するアプリケーションの要求に対して第1の通信パスCにおいて利用されるバンド幅を満足させることができないときに後者(I21)と共に使われる場合である)。
【0044】
利用優先のレベルは、所定の機器の器材Ejに関係する。例えば、レベルが小さければ小さいほど、対応するインターフェースIjiが優先的に利用される。以下、インターフェースIjiは、利用優先のレベルの値が1に等しいとし、これは、利用優先のレベルが2に等しいインターフェースIji’(i≠i’)よりも大きな優先度を有するとする。
【0045】
留意すべき点は、所定の機器の器材Ejの利用優先のレベル及び/又は受信KjiにおけるインターフェースIjiのレベルの最大バンド幅は、日、及び/又は時刻及び/又は場所によって変化するということである。更に、機器の器材Ejは、ローカルインターフェースIjiに関連する受信(Kji)で達成されるバンド幅を示す(及び/又はバンド幅の平均を示す)その時々で変化するということである。これは、例えば、アップストリームのトラフィックのより高い推定によるものである(アップストリームとダウンストリームのトラフィックにセパレーションがない場合)。
【0046】
例えば、各々の制御メッセージは、SCTP(Stream Control Transmission Protocol)通信プロトコルに従う。なお、「マルチホーミング」、すなわちマルチパスをサポートするいかなる他の通信プロトコルも利用することができる。例えば、SCTPプロトコルのINIT及びASCONFタイプのメッセージは、各々のインターフェースIjiに関連して情報(受信Kjiにおいて達成できる最大バンド幅、及び可能な利用優先のレベル)をこれに付加するために修正することができる。したがって、IPv4タイプの通信アドレスの場合、「長さ」のフィールドの値は、8ビットから12ビットをパスするよう変更され、そして、そのフィールドの定義用にIPv4アドレス(32ビット)、又は、Kjiの定義(28ビット)及び第2のフィールドとして、利用優先のレベルの定義(4ビット)を追加する。IPv6タイプの通信アドレスの場合、「長さ」フィールドの値は、(「長さ」=20ビット)は維持され、IPv6アドレス(128ビット)の定義のためのフィールド、又は、Kji(32ビット)の定義のためのフィールド、又はKjiの定義の最初のフィールド(28ビット)及び利用優先のレベルの定義のための第2のフィールド(4ビット)を追加する。
【0047】
留意すべき点は、第1のステップ(i)は、(制御メッセージの生成のために)第1のデバイスD1によってインプリメントされる。デバイスD1は、それぞれの機器の器材Ejに関連している。第1のデバイスD1の各々は、制御メッセージを生成する役割を担う。
【0048】
ここで、「関連する(associated)」とは、機器の器材Ej(図示)の一部分を構成するという事実と、機器の器材Ejに直接又は間接的にペアリングしている事実を意味する。したがって、(制御メッセージの生成のための)第1のデバイスD1は、ソフトウエアモジュール又は電子回路又は電子回路とソフトウエアの組合せとしてインプリメントすることができる。
【0049】
第1の方法の第2のステップ(ii)は、それに含まれる特に情報の第1のアイテムの各々に従って、これらのインターフェースI2iの1つと、(制御メッセージを伝送した)第1の機器の器材E1の通信インターフェースI1i(この場合I11)との間において考慮された通信セッションのパケットを伝送するための少なくとも1つの通信パスCを決定するために、第1の機器の器材(例えばE1)により生成された制御メッセージを、第2の機器の器材(例えばE2)に伝送する。
【0050】
上述した制御メッセージに含まれたローカル情報を利用するために、本発明は、2つの機器の器材Ejとの間の、通信セッションの通信パケットの通信パスを決定する第2の方法を提案する。
【0051】
この第2の方法は、考慮されている通信セッションのパケットの伝送を可能とするために、前記第2の機器の器材Ej(ここではE2)の通信インターフェースIji(この場合I2i)と、第1の機器の器材Ej’(ここではE1)通信インターフェースIj’i(ここではI1i)との間に存在する通信パケットCの少なくとも1つを、選択するステップを有する。この選択は、受信K1i(ここではK11)でのインターフェースI1i(ここではI11)に対して達成できるバンド幅、及び存在する通信パスCと異なるもので利用されている(今の)バンド幅の、少なくとも最大のバンド幅に従ってなされる。通信パスCが選択されるためには、この通信パスCにおいて利用され得るバンド幅が、接続されているインターフェースに対して受信で達成できる最大のバンド幅と等しいか、より大きくなければならない。
【0052】
留意すべき点は、第1の機器の器材E1が、異なる通信アドレスを持つ少なくとも2つのインターフェースI1iを有し(これは、図示した例とは異なる)、かつ、ローカル情報の第2のアイテム(インターフェースI1iの各々に関連する利用優先のレベルを示す)を含む制御メッセージが受信されている場合、これらのインターフェースI1iの1つが、通信パスの一端を形成するよう、最初に選択され、これらに関連する利用優先のレベルに従ってこれが選択されなければならない(この場合C)。この目的のため、リストを作成することから開始される。このリストでは、インターフェースI1iが、それぞれの利用優先のレベルの降順に分類される。そして、例えば、受信K1iにおいて達成され得る(以前に受信した制御メッセージによって提供された)最大のバンド幅に関連する、第1の機器の器材E1の通信インターフェースI1iから、インターフェースの選択が行われる。このバンド幅は、考慮されている通信セッションのパケットのバンド幅より大きい。これは、第2の機器の器材E2から第1の機器の器材E1に伝送されなければならない。
【0053】
例えば、第2の機器の器材E2の第1のインターフェースI21が、同じ第2の機器の器材E2の第2のインターフェースI22より大きな優先度を持っている場合、この第1のインターフェースI21は、好適に選択される。したがって、第1の通信パスC(これは、第1のインターフェースI21と単独のインターフェースI11とをペアリングする)は、第2の機器の器材E2の通信セッションのパケットを(少なくとも一定の期間)第1の機器の器材E1に伝送する。なお、これは、第1の通信パスCが、第1のインターフェースI21のための受信K21において達成され得る最大のバンド幅より大きいか等しい場合に限られる。
【0054】
留意すべき点は、選択された通信パスC(例えばC)で(有効に)利用され得るバンド幅Bが、インターフェースI1i(ここではI11)に対して受信K1i(ここではK11)において達成できる最大のバンド幅より極端に小さい(小さくなった)場合、第2の機器の器材E2のインターフェースI2i’と、第1の機器の器材E1のインターフェースI11との間に存在する他の通信パスC(m≠1、この場合m=2)の少なくとも1つが、選択され得る。幾つかの通信パスが潜在的に利用できる場合、通信パスの選択は、例えば、これらの通信パスC(m≠1)でパケットを伝送するために必要な時間Rに従って決定される。通信セッションのパケットは、その後、第2の機器の器材E2から第1の機器の器材E1に伝送される。この伝送は、最初に選択された通信パスCと新たに選択された通信パスC(m≠1、この場合m=2)とによって共有の形で行われるか、又は、新たに選択されたC(m≠1、この場合m=2)によって排他的に行われる。これらの状況は、通信パスとして最初は、Cが選択されており、ネットワークの機能を司り、これが、一時的に重い利用がなされ、あるいは、サチュレートした場合が挙げられる(これは、インターネットにおいてよく見られる)。
【0055】
留意すべき点としては、第2の方法は、機器の器材Ejにそれぞれ関連する(通信パスを決定する)第2のデバイスD2によってインプリメントされる。第2のデバイスD2の各々は、1つ又は幾つかの通信パスを決定する責任を有している。
【0056】
例えば、非制限的に図示されているように、第2のデバイスD2は、受信Kjiにおいて達成できる少なくとも1つの最大のバンド幅に従って、及び、必要な場合には存在する異なる通信パスに関連する利用優先のレベルに従って、少なくとも1つの通信パスCを選択する役割を担う、選択するための第1の手段MS1を有する。
【0057】
ここで、「関連する(associated)」とは、機器の器材Ej(図示)の一部分を構成するという事実と、機器の器材Ejに直接又は間接的にペアリングしている事実を意味する。したがって、(制御メッセージの生成のための)第1のデバイスD2は、ソフトウエアモジュール又は電子回路又は電子回路とソフトウエアの組合せとしてインプリメントすることができる。
【0058】
本発明は、上述の、情報の伝送のための方法、通信パスを決定するための方法、制御メッセージを生成するためのデバイス、パケット通信パスを決定するためのデバイス、及び、通信機器の器材の実施例に限定されるものではない。これらは、例示に過ぎない。なお、これらは、以下に記載する請求項の技術的範囲内にある当業者が考えられ得る変形例を包含する。
【符号の説明】
【0059】
MS1 選択手段
D デバイス
I 通信インターフェース
E 通信機器の器材
R アクセスネットワーク
C 通信パス
図1