(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
「例示的」という単語は、本明細書では「実例、例、または具体例として役立つ」ことを意味するのに用いられる。本明細書で「例示的」として説明されるいかなる実施形態も、必ずしも他の実施形態より好ましい、または有利であるように解釈されるべきではない。
【0014】
以下で添付図に関連して示される詳細な説明は、本発明の例示的実施形態の説明として意図されており、本発明が実施され得る唯一の実施形態を表すようには意図されていない。この説明の全体にわたって用いられる用語「例示的」は、「実例、例、または具体例として役立つ」を意味し、必ずしも他の例示的実施形態より好ましい、または有利であるように解釈されるべきではない。詳細な説明は、本発明の例示的実施形態の十分な理解をもたらすために特定の詳細を含んでいる。本発明の例示的実施形態が、これら特定の詳細なしで実施され得ることが当業者には明らかであろう。いくつかの例では、本明細書で示される例示的実施形態の斬新性が不明瞭にならないようにするために、周知の構造体およびデバイスがブロック図の形態で示されている。
【0015】
単語「無線電力」は、本明細書では、電場、磁場、電磁場、またはそうでなければ送信器から受信器の間で、物理的な電磁気の導体を使用することなく伝送されるものに関連したエネルギーのあらゆる形態を意味するように用いられる。
【0016】
図1は、本発明の様々な例示的実施形態による、無線の伝送または充電のシステム100を示す。エネルギー伝達をもたらすための放射場106を生成するために、入力電力102が送信器104に供給される。受信器108は、放射場106へ結合し、出力電力110に結合されたデバイス(図示せず)による蓄積または消費のための出力電力110を生成する。送信器104および受信器108の両方が、距離112だけ離されている。例示の一実施形態では、送信器104および受信器108は、相互に共振する関係によって構成されており、受信器108の共振周波数と送信器104の共振周波数が非常に近いと、放射場106の「近接場(near field)」に受信器108が配置されるとき、送信器104と受信器108との間の伝送損失は最小限である。
【0017】
送信器104は、エネルギー伝送の手段をもたらすための送信アンテナ114をさらに含み、受信器108は、エネルギーを受け取るための手段をもたらすための受信アンテナ118をさらに含む。送信アンテナおよび受信アンテナは、関連する用途およびデバイスに従ったサイズに作製される。前述のように、効率的なエネルギー伝達は、非近接場へ大部分の電磁波のエネルギーを伝搬させるのではなく、送信アンテナの近接場で受信アンテナへエネルギーの大部分を結合することにより生じる。この近接場では、送信アンテナ114と受信アンテナ118との間で結合モードが拡張され得る。この近接場結合が生じ得るアンテナ114および118の辺りの領域は、本明細書では結合モード領域と称される。
【0018】
図2は、無線電力伝達システムの簡易概略図を示す。送信器104は、発振器122、電力増幅器124ならびにフィルタおよび整合回路126を含む。発振器は、所望の周波数を生成するように構成され、それは、調節信号123に応答して調節され得る。発振器の信号は、電力増幅器124によって増幅され得ると共に、増幅量は制御信号125に応答し得る。フィルタおよび整合回路126は、高調波または他の望ましくない周波数をフィルタリングし、かつ送信器104のインピーダンスを送信アンテナ114に一致させるために含まれ得る。
【0019】
受信器108は、整合回路132ならびに整流器およびスイッチング回路134を含み得ると共に、
図2に示されるように、バッテリー136を充電するか、または受信器(図示せず)に結合されたデバイスに給電するために、直流電力出力を生成し得る。受信器108のインピーダンスを受信アンテナ118に整合させるために、整合回路132が含まれ得る。受信器108と送信器104は、個別の通信チャンネル119(例えばブルートゥース、ジグビー、セルラーなど)で通信することができる。
【0020】
図3に示されるように、例示的実施形態に使用されるアンテナは、「ループ」アンテナ150として構成され得ると共に、本明細書では「磁気」アンテナとも称され得る。ループアンテナは、空気磁心またはフェライト磁心などの物理的磁心を含むように構成され得る。空気磁心ループアンテナは、磁心の近傍に配置された異質の物理的デバイスをより許容することができる。さらに、空気磁心ループアンテナによれば、コア領域の内部に他の構成要素を配置することが可能になる。また、空気磁心ループによれば、送信アンテナ114(
図2)の結合モード領域がより強力であり得る送信アンテナ114(
図2)の面内に、受信アンテナ118(
図2)をより容易に配置することが可能になる。
【0021】
前述のように、送信器104と受信器108との間の効率的なエネルギー伝達は、送信器104と受信器108との間の一致した、またはほぼ一致した共振の期間中に生じる。しかし、送信器と受信器108との間で共振が一致しないときにさえ、エネルギーは低効率で伝達され得る。エネルギー伝達は、送信アンテナからのエネルギーを自由空間へ伝搬させるのではなく、その送信アンテナの近接場からのエネルギーをこの近接場が確立される近隣に存在する受信アンテナに結合することにより生じる。
【0022】
ループアンテナまたは磁気アンテナの共振周波数は、インダクタンスとキャパシタンスに基づくものである。一般に、ループアンテナのインダクタンスは、単純にループによって生成されたインダクタンスであるが、キャパシタンスは、所望の共振周波数で共振する構造体を作製するために、一般にループアンテナのインダクタンスに追加される。限定的でない実例として、共振信号156を生成する共振回路を作製するために、コンデンサ152およびコンデンサ154がアンテナに追加され得る。したがって、より大きな直径のループアンテナについては、共振を誘起するために必要とされるキャパシタンスのサイズは、ループの直径またはインダクタンスが増加するのにつれて縮小する。さらに、ループアンテナまたは磁気アンテナの直径が増加するのにつれて、近接場の効率的なエネルギー伝達領域が拡大する。もちろん、他の共振回路が可能である。別の限定的でない実例として、ループアンテナの2つの端子間に並列にコンデンサが配置され得る。また、当業者なら、送信アンテナについては、共振信号156がループアンテナ150に対する入力であり得ることを理解するであろう。
【0023】
本発明の例示的実施形態は、互いの近接場に存在する2つのアンテナ間の結合電力を含んでいる。前述のように、近接場はアンテナの辺りの領域であり、ここでは、電磁場が存在するがアンテナから離れて伝搬または放射し得ない。近接場は、一般にアンテナの物理的ボリューム(physical volume)に近いボリューム(volume)に制限される。磁気タイプアンテナの場合、磁気近接場の振幅が電気タイプのアンテナ(例えば小さなダイポール)の電気近接場に比べてより大きい傾向があるので、本発明の例示的実施形態では、送信(Tx)アンテナシステムおよび受信(Rx)アンテナシステムのどちらにも単一巻ループアンテナおよび多重巻ループアンテナなどの磁気タイプアンテナが使用される。これによって、この対の間の潜在的により高い結合が可能になる。さらに、「電気」アンテナ(例えばダイポールおよびモノポール)または磁気アンテナと電気アンテナの組合せも企図される。
【0024】
送信アンテナは、以前に言及された非近接場および誘導の手法で可能とされる距離よりかなり大きな距離において、小さな受信アンテナに対して優れた結合(例えば>-4dB)を達成することができるほど十分に低い周波数および十分に大きいアンテナサイズで作動させられ得る。送信アンテナが正確なサイズに作製されれば、駆動された送信ループアンテナの結合モード領域(すなわち近接場)内にホストデバイス上の受信アンテナが配置されるとき、高い結合レベル(例えば-1dBから-4dB)が達成され得る。
【0025】
さらに、例示的実施形態は、例えば“充電”マットまたは表面に埋め込まれた送信アンテナと充電される電子デバイスに埋め込まれた受信アンテナ(および整流回路)との間の電磁結合に基づく無線エネルギー伝送技術の手法も含み得る。
【0026】
図4は、本発明の例示的実施形態による送信器200の簡易ブロック図である。送信器200は、送信回路202および送信アンテナ204を含む。一般に、送信回路202は、周期的に振動している信号を供給することによって送信アンテナ204にRF電力を供給し、結果として送信アンテナ204のまわりに近接場エネルギーが生じることになる。一例として、送信器200は、13.56MHzのISMバンドで作動することができる。
【0027】
例示的送信回路202は、送信回路202のインピーダンス(例えば50オーム)を送信アンテナ204に整合させるための一定のインピーダンス整合回路206、および高調波の放射を、受信器108(
図1)に結合されたデバイスの自己妨害を防止するレベルまで低減するように構成された低域通過フィルタ(LPF)208を含んでいる。他の例示的実施形態は、特定の周波数成分を減衰させる一方で他の周波数成分を通すノッチフィルタ含むがこれに限定されない様々なフィルタトポロジーを含み得ると共に、また、アンテナへの出力電力または電力増幅器によるDC電流引き込みなどの測定可能な伝送メトリクスに基づいて変更され得る適応型インピーダンス整合を含み得る。送信回路202は、発振器212(本明細書では信号発生器とも称される)によって決定されるRF信号を駆動するように構成された電力増幅器210をさらに含む。送信回路は、個別のデバイスまたは回路、あるいは一体化された組立体から成り得る。送信アンテナ204からの例示的RF電力出力は、2.5ワットから8.0ワット程度であり得る。
【0028】
送信回路202は、特定の受信器向けの送信段階(またはデューティサイクル)の期間中発振器212を有効にするため、発振器の周波数を調節するため、出力電力レベルを調節するため、隣接のデバイスに取り付けられている受信器を介して同デバイスと相互作用するために通信プロトコルを実施するためのコントローラ214をさらに含む。コントローラ214は、結合モード領域に配置された受信器による結合モード領域における変化による送信アンテナ204でのインピーダンス変化を求めるためのものでもある。
【0029】
送信回路202は、送信アンテナ204によって生成された近接場の近傍における活動状態の受信器の有無を検出するための負荷検知回路216をさらに含み得る。一例として、負荷検知回路216は、送信アンテナ204によって生成された近接場の近傍における活動状態の受信器の有無によって影響を受ける、電力増幅器210へ流れる電流を監視する。電力増幅器210に対する負荷の変化の検出は、活動状態の受信器と通信するためのエネルギーを伝送するために発振器212を有効にするべきか否かを判断するのに使用されるコントローラ214によって監視される。
【0030】
送信アンテナ204は、抵抗性の損失を低く保つように選択された厚さ、幅および金属タイプを有するアンテナストリップ(strip:細長片)として実施され得る。従来型の実装形態では、送信アンテナ204は、一般に、テーブル、マット、ランプまたはそれほど携帯性のない他の構成などのより大きな構造体との関連向けに構成され得る。したがって、送信アンテナ204は、一般に、実用的な寸法であるために「巻」を必要としないことになる。送信アンテナ204の例示的実装形態は、「電気的に小さく」(すなわち波長の数分の1)、共振周波数を定義するために、コンデンサを使用することにより、より低い使用可能な周波数で共振するように調整され得る。受信アンテナに比較して、送信アンテナ204の直径がより大きい、あるいは正方形のループの場合には側面の長さがより大きい(例えば0.50メートル)ものであり得る例示的用途では、送信アンテナ204は、適切なキャパシタンスを得るのに必ずしも多くの巻数を必要としないことになる。
【0031】
送信器200は、送信器200と関連づけられ得る受信器デバイスの状態および所在の情報を収集し、かつ追跡することができる。したがって、送信回路202は、コントローラ214(本明細書ではプロセッサとも称される)に接続された、存在検出器280、密閉検出器260、またはそれらの組合せを含み得る。コントローラ214は、存在検出器280および密閉検出器260からの存在信号に応答して、増幅器210によって送出される電力量を調節することができる。送信器は、例えば建築物にある従来型の交流電力を変換するためのAC/DCコンバータ(図示せず)、従来型の直流電源を送信器200に適切な電圧に変換するためのDC/DCコンバータ(図示せず)などの複数の電源を介して、あるいは従来型の直流電源(図示せず)から直接、電力を受け取ることができる。
【0032】
限定的でない実例として、存在検出器280は、送信器の有効範囲領域に挿入された充電されるデバイスの初期の存在を検知するのに利用される動き検出器でよい。検出後に送信器がオンにされ得ると共に、デバイスによって受け取られたRF電力が、所定のやり方で受信器デバイスのスイッチを切り換えるのに利用されることができ、このことが、結果として送信器の駆動ポイントインピーダンスの変化をもたらす。
【0033】
別の限定的でない実例として、存在検出器280は、例えば赤外線検出、動き検出、または他の適切な手段により、人間を検出することができる検出器でよい。いくつかの例示的実施形態では、送信アンテナが特定の周波数で伝送することができる電力量を制限する規定が存在することがある。場合によっては、これらの規定は、電磁放射から人間を保護するように意図されている。しかし、例えば車庫、作業現場、店などの、人に占有されない、または希にしか人に占有されない領域に送信アンテナが配置される環境があり得る。これらの環境に人が居ない場合、平常の電力制限規定を上回って送信アンテナの電力出力を増加することが許され得る。換言すれば、コントローラ214は、人の存在に応じて送信アンテナ204の電力出力を規定レベル以下に調整し、人が送信アンテナ204の電磁場からの規定距離外へ出たとき、送信アンテナ204の電力出力を、規定レベルを上回るレベルへ調節する。
【0034】
限定的でない実例として、密閉検出器260(本明細書では密閉隔室検出器または密閉空間検出器とも称されることがある)は、囲壁が閉じた状態であるか開いた状態であるかを判断するための検知スイッチなどのデバイスでよい。送信器が、密閉状態の囲壁内にあるとき、送信器の電力レベルが増加され得る。
【0035】
例示的実施形態では、送信器200が無期限にオンのままではない方法が用いられ得る。この場合、送信器200は、ユーザによって決定された時間の後に停止するようにプログラムされ得る。この機能は、送信器200、特に電力増幅器210が、その周辺の無線デバイスが完全に充電されたずっと後にも動作するのを防止する。周辺の無線デバイスが完全に充電されたずっと後にも送信器200が動作する事象は、中継器または受信コイルのいずれかから送られる、デバイスが完全に充電されたことを示す信号を検出する回路の故障によるものであり得る。送信器200が、その周辺に別のデバイスが配置された場合に自動停止するのを防止するために、送信器200の自動停止機能は、その周辺で動きが検出されない設定時間の後に初めて起動され得る。ユーザは、非活動時間間隔を決定し、必要に応じて変化させることができる。限定的でない実例として、その時間間隔は、特定のタイプの無線デバイスが最初は完全放電しているという仮定の下に、同デバイスを完全充電するのに必要とされる時間より長くしてよい。
【0036】
図5は、本発明の例示的実施形態による受信器300の簡易ブロック図である。受信器300は、受信回路302および受信アンテナ304を含んでいる。受信器300は、デバイス350へ受信電力を供給するために、デバイス350にさらに結合する。受信器300は、デバイス350の外部にあるように示されているが、デバイス350に一体化されてもよいことに留意されたい。一般に、エネルギーは受信アンテナ304へ無線で伝搬され、次いで受信回路302を介してデバイス350に結合される。
【0037】
受信アンテナ304は、送信アンテナ204(
図4)と、同一周波数で、または同一周波数の近くで共振するように調整される。受信アンテナ304は、送信アンテナ204に似た寸法に設定され得るか、または関連するデバイス350の寸法に基づいて違ったサイズに設定され得る。一例として、デバイス350は、送信アンテナ204の直径または長さより小さい直径または長さを有する携帯用電子デバイスでよい。このような実例では、受信アンテナ304は、同調コンデンサ(図示せず)のキャパシタンス値を低減し、かつ受信アンテナのインピーダンスを増加するために、多重巻アンテナとして実施され得る。一例として、受信アンテナ304は、アンテナ直径を最大化し、かつ受信アンテナのループの巻き(すなわち巻線)の数および巻線間キャパシタンスを低減するためにデバイス350の実質的な周囲のまわりに配置され得る。
【0038】
受信回路302は、受信アンテナ304にインピーダンス整合をもたらす。受信回路302は、受信したRFエネルギー源をデバイス350用の充電電力に変換するための電力変換回路306を含んでいる。電力変換回路306は、RF/DCコンバータ308を含み、DC/DCコンバータ310も含み得る。RF/DCコンバータ308は、受信アンテナ304で受け取られたRFエネルギー信号を非交番電力へと整流し、DC/DCコンバータ310は、整流されたRFエネルギー信号をデバイス350に適合するエネルギー電位(例えば電圧)に変換する。半波整流器および全波整流器、レギュレータ、ブリッジ、2乗器、ならびに線形コンバータおよびスイッチングコンバータを含む様々なRF/DCコンバータが企図される。
【0039】
受信回路302は、受信アンテナ304を電力変換回路306に接続するため、あるいは電力変換回路306を切り離すためのスイッチング回路312をさらに含むことができる。電力変換回路306から受信アンテナ304を切り離すことは、デバイス350の充電を一時停止するだけでなく、送信器200(
図2)「から見た」「負荷」を変化させる。
【0040】
上記で開示されたように、送信器200は、送信器の電力増幅器210に供給されるバイアス電流の変化を検出する負荷検知回路216を含んでいる。したがって、送信器200は、いつ受信器が送信器の近接場に存在するのかを判断するための機構を有する。
【0041】
送信器の近接場に複数の受信器300が存在するとき、他の受信器がより効率的に送信器に結合することを可能にするために1つまたは複数の受信器のローディング(loading:(送信器に)負荷をかけること)とアンローディング(unloading)を時分割するのが望ましいことであり得る。受信器は、近くの他の受信器への結合を解消するか、または近くの送信器に対するローディングを低減するためにクローキング(cloaking:隠すこと)され得る。この、受信器の「アンローディング」は、本明細書では「クローキング」としても知られている。さらに、この、受信器300によって制御され、送信器200によって検出されるアンローディングとローディングとの間のスイッチングは、以下でより十分に説明されるように、受信器300から送信器200への通信機構をもたらす。さらに、プロトコルは、受信器300から送信器200へのメッセージ送信を可能にするスイッチングと関連づけられ得る。一例として、スイッチング速度は100μsec程度でよい。
【0042】
例示的実施形態では、送信器と受信器との間の通信は、従来型の双方向通信ではなく、デバイスの検知および充電の制御機構を意味する。換言すれば、送信器は、近接場に有効なエネルギーがあるかどうかということに合わせて、送信される信号のオン/オフのキーイングを用いる。受信器は、エネルギーのこれらの変化を送信器からのメッセージとして解釈する。受信器側では、受信器は、どれだけの電力が近接場から受け取られているかということに合わせて受信アンテナの同調および離調を用いる。送信器は、近接場から消費される電力におけるこの差を検出し、これらの変化を受信器からのメッセージとして解釈することができる。
【0043】
受信回路302は、受信エネルギーの変化を識別するのに使用される信号伝達検出器およびビーコン回路314をさらに含み得ると共に、これは、送信器から受信器への情報の信号伝達に対応することができる。さらに、無線充電向けに受信回路302を構成するために、信号伝達およびビーコンの回路314は、低減されたRF信号エネルギー(すなわちビーコン信号)の伝送を検出するのに、また、低減されたRF信号エネルギーを、受信回路302の内部の電力供給されていない回路または電力が消耗された回路を喚起するための公称電力へと整流するのに、使用され得る。
【0044】
受信回路302は、本明細書で説明された受信器300のプロセスを、本明細書で説明されたスイッチング回路312の制御を含めて調整するためのプロセッサ316をさらに含む。受信器300のクローキングは、デバイス350に充電電力を供給する外部の配線式充電電源(例えば壁/USB電力)の検出を含む他の事象が発生したときにも生じることがある。プロセッサ316は、受信器のクローキングの制御に加えて、ビーコンの状態を求め、かつ送信器から送られたメッセージを抽出するために、ビーコン回路314を監視することもできる。プロセッサ316は、性能を改善するためにDC/DCコンバータ310を調節することもできる。
【0045】
いくつかの例示的実施形態では、受信回路302は、例えば所望の電力レベル、最大電力レベル、所望の電流レベル、最大電流レベル、所望の電圧レベル、および最大電圧レベルの形で、送信器に電源条件を信号伝達することができる。これらのレベルおよび送信器から受け取られた実際の電力量に基づいて、プロセッサ316は、DC/DCコンバータ310の動作を調節することができ、その出力を、電流レベルを調節すること、電圧レベルを調節すること、またはそれらの組合せのような形で安定化することができる。
【0046】
送信器と受信器との間に通信リンクを確立することは有用であり得ると共に、その結果、複数のデバイスが同時に充電されているとき、充電状態の情報ならびにデバイスの識別および制御の情報が、受信器から送信器へ中継され得る。送信器が受信器へ命令を送る一方で、受信器ユニットが所定のやり方で情報を送り返す必要があるので、この通信リンクは、最も効果的に動作するには双方向であるべきである。これを達成するための多くの方法がある。
【0047】
特に効率的な通信方法は、もう一方のデバイスによって検知され得る、帯域内の送信器および受信器の負荷変調によるものである。帯域内という用語によって、無線充電に割り当てられた周波数チャンネル内で情報が完全に交換されることが意味される。すなわち、一般に、別の周波数で動作して自由空間にデータを放射する外部の無線リンクは必要とされない。外部の無線リンクを追加することは、無線充電システムのサイズ、コストおよび複雑さに影響を及ぼすことになり、その上、空中の無線伝送および干渉の問題をたらす可能性が高い。帯域内周波信号方式は、これらの問題を回避する。しかし、帯域内負荷変調を実施する際に、効果的かつ正確に負荷インピーダンスの変化を検出するという問題がある。これは、受信器から送信器デバイスへ信号伝達すること(逆方向リンクの信号伝達)に特に当てはまる。送られているデータが正確に受け取られることを保証するために、信号検出の頑健な方法が必要とされる。
【0048】
順方向(すなわち送信器から受信器)の信号伝達は、各デバイスが送信器から大きな信号を受け取っているので簡単明瞭である。逆方向(すなわち受信器から送信器)の信号伝達は、より問題を含むことがある。受信器インピーダンスの変調などのいくつかの方式が、送信器から見た電圧定在波比(VSWR)または逆方向損失を変化させるのに用いられ得るが、多くの場合、所与のデバイスの構成、配向および受信器設計がそれらのパラメータにどのような影響を及ぼすことになるのか予測するのが困難であるため、送信器の電力、電圧、または電流の変化の検出が困難なことがある。例えば、信号伝達の期間中電力が増加するようにデバイスがインピーダンスを変化させるシステムは、デバイスがコイルの縁端部に非常に近い場合、またはデバイスが別のデバイスにあまりにも近く配置される場合、減少に変わる可能性がある。これによって、逆方向の信号のデコーディングが、不可能ではないにしても困難になる。さらに、信号伝達の期間中、位相だけが変化する場合、振幅に基づく検知方式は、いずれにしても最適には機能しないことになる。同様に、逆方向信号伝達の試みの期間中、振幅だけが変化し、送信器が位相の変化だけを検出する場合、信号の検出は、不可能ではないにしても困難であろう。
【0049】
図6Aおよび
図6Bは、逆方向リンクの信号伝達をもたらすための受信回路の一部分の簡易概略図を示す。これらの逆方向リンクの信号伝達回路は、受信アンテナを同調させたり離調させたりすることによって信号伝達をもたらすための可能な回路の実例として示されている。受信アンテナの同調によって送信器に逆方向リンクの信号伝達をもたらすための他の多くの回路が可能であり、本発明の範囲内のものとして企図されている。
【0050】
図6Aの回路は、受信アンテナ304、共振回路330A、および受信アンテナ304と共振回路330Aとの間に結合された離調スイッチS1Aを含んでいる。共振回路330Aは、インダクタL1AおよびコンデンサC1Aを含み、離調スイッチS1Aが閉じた状態で受信アンテナ304が特定の周波数またはその周波数の近くで電磁放射によって励起されているとき、その特定の周波数で共振するように構成される。
【0051】
充電、給電、またはそれらの組合せのために受信器デバイス(図示せず)に電力を供給するための実質的に一定の直流出力信号309を供給するように、ダイオードD1およびコンデンサC2が整流器として働く。受信器は、離調スイッチS1Aを開くことにより受信アンテナを離調(すなわちクローキング)させるか、または離調スイッチS1Aを閉じることにより受信アンテナを同調(すなわちアンクローキング)させて、送信器に逆方向信号伝達をもたらすことができる。
【0052】
図6Bの回路は、受信アンテナ304、共振回路330Bおよび離調スイッチS1Bを含んでいる。共振回路330Aは、インダクタL1BおよびコンデンサC1Bを含み、離調スイッチS1Bが開いた状態で受信アンテナ304が特定の周波数またはその周波数の近くで電磁放射によって励起されているとき、その特定の周波数で共振するように構成される。離調スイッチS1BはインダクタL1BとコンデンサC1Bとの間に結合され、また、離調スイッチS1Bが閉じているときには共振回路が短絡され、離調スイッチS1Bが開いているときには共振回路が共振するように構成されるように、離調スイッチS1Bはアースに結合される。
【0053】
充電、給電、またはそれらの組合せのために受信器デバイス(図示せず)に電力を供給するための実質的に一定の直流出力信号309を供給するように、ダイオードD1およびコンデンサC2が整流器として働く。
【0054】
受信器は、離調スイッチS1Bを閉じることにより受信アンテナを離調(すなわちクローキング)するか、または離調スイッチS1Bを開くことにより受信アンテナを同調(すなわちアンクローキング)して、送信器に逆方向信号伝達をもたらすことができる。
【0055】
クローキング信号、ビーコン信号およびこれらの信号を生成するための回路に関する他のいくつかの例示的実施形態の詳細は、そのすべてが、参照によって全体が本明細書に組み込まれる、2008年10月10日に出願された「Reverse link signaling via receive antenna impedance modulation」という名称の米国実用特許出願(U.S. Utility Patent Application)第12/249,873号、2008年10月10日に出願された「Transmit power control for a wireless charging system」という名称の米国実用特許出願第12/249,861号、および2008年10月10日に出願された「Signaling charging in wireless power environment」という名称の米国実用特許出願第12/249,866号において見られ得る。
【0056】
図7A〜
図7Cは、逆方向リンクの信号伝達によるものであり得る、送信アンテナにおけるインピーダンス変化を求めるための送信回路の一部分の簡易概略図を示す。これらのインピーダンス変化は、送信アンテナに送出された電流の変化、生成された信号と伝送された信号の間の位相の変化、生成された信号と伝送された信号との間の振幅の変化、またはそれらの組合せによって求められ得る。
【0057】
図7Aは、送信器と受信器との間のメッセージ伝達を実行するための送信回路の一部分の簡易概略図を示す。本発明のいくつかの例示的実施形態では、送信器と受信器との間で通信のための手段が有効にされ得る。
図7Aで、電力増幅器210は、放射場106を生成するために送信アンテナ204を駆動する。電力増幅器は、送信アンテナ204用の所望の周波数で周期的に振動しているキャリア信号220によって駆動される。電力増幅器210の出力を制御するために送信変調信号224が利用され得る。
【0058】
送信回路は、電力増幅器210に関するオン/オフのキーイングプロセスを用いることにより、受信器へ信号を送ることができる。換言すれば、送信変調信号224がアサートされるとき、電力増幅器210は、送信アンテナ204上に現れるキャリア信号220の周波数を駆動することになる。送信変調信号224が無効にされるとき、電力増幅器は、送信アンテナ204に対していかなる周波数も送り出さないことになる。
【0059】
図7Aの送信回路は、電力増幅器210に電力を供給し、受信信号235の出力を生成する負荷検知回路216も含んでいる。負荷検知回路216では、抵抗R
Sの両端の電圧降下が、信号226の電力と電力増幅器210への電源228との間に生じる。電力増幅器210によって消費される電力のいかなる変化も、差動増幅器230によって増幅される電圧降下に変化をもたらすことになる。送信アンテナが受信器内にある受信アンテナとの結合モードにあるとき、電力増幅器210に引き込まれる電流の量が変化することになる。換言すれば、送信アンテナ204に対して結合モード共振が存在しなければ、放射される電磁場を駆動するのに必要な電力は、第1の量になるはずである。結合モード共振が存在すれば、電力の多くが受信アンテナに結合されるので、電力増幅器210によって消費される電力量は上昇することになる。したがって、受信信号235は、送信アンテナ204に結合された受信アンテナの存在を示すことができ、受信アンテナから送られた信号を検出することもできる。さらに、クローキングおよびアンクローキングによる受信器の電流引き込みの変化は、送信器の電力増幅器の電流引き込みで観測できるはずであり、この変化は、受信アンテナからの信号を検出するのに用いられ得る。
【0060】
図7Aの送信回路は、電力増幅器210による電流引き込みの差に基づいて受信器からの信号伝達を求めるように受信信号235をサンプリングするためのコントローラ214を含んでおり、このことは以下でより十分に説明される。
【0061】
図7Bで、電力増幅器210は非方向性結合器260を駆動し、非方向性結合器260は、放射場106を生成するために送信アンテナ204を駆動する。電力増幅器210は、送信アンテナ204用の所望の周波数で発振している発振器212からのキャリア信号220(本明細書ではRF信号とも称される)によって駆動される。電力増幅器210の出力を制御するために送信変調信号224が利用され得る。
【0062】
基準回路270は、送信アンテナ204向けの送信信号に対して相関性があるが、しかし電力増幅器210の入力信号の振幅に類似したより小さい振幅の基準信号を生成する。したがって、基準回路は、振幅を例えば約25dBだけ低減し得る。
図7Bの例示的実施形態では、基準回路270は抵抗R1および抵抗R2を含む簡単な分圧器である。
【0063】
非方向性結合器260は絶縁をもたらし、このため、基準回路270は、伝送される信号から限定された電力を引き込み、伝送される信号に対する干渉を低減する。非方向性結合器260は、順方向信号と逆方向信号との間を区別する必要がないので、方向性結合器(
図7Bの例示的実施形態では不要である)より実施するのがより簡単であり得る。
【0064】
位相比較器280で、基準回路270の出力である基準信号275が、RF信号220に対して、2つの信号間の位相差を求めるために比較される。可能な一例として、位相比較に論理ゲートが用いられ得る。位相差信号282は、アナログデジタル(A/D)コンバータによってコントローラ214に結合され、A/Dコンバータは、個別のものでも(図示せず)コントローラ214に一体化されたものでもよい。
【0065】
例示的実施形態では、無線充電システムの高いエンドツーエンド効率(E2EE)のために、高効率のスイッチングタイプの電力増幅器210を用いるのが望ましいことであり得る。これらの電力増幅器(PA)210は、必ずしも線形増幅器でなくてよく、基本的に、同調した回路負荷を駆動するスイッチとして作動させられ得る。そのため、これら電力増幅器の入力信号は、矩形波パルス列またはそれに非常に近い駆動信号である。これらの入力駆動信号は、位相基準として位相比較信号検出方式に用いることができる。
【0066】
したがって、スイッチングPA 210に対する駆動信号が、基準として用いられ、そのレベルがRF信号220のレベルと同等になるように、振幅が低減されている絶縁された送信器出力信号(すなわち基準信号275)と比較され、また、これら2つの信号間の位相差を比較する。1つの可能な実例として、位相比較の可能な実装形態として論理ゲートが使用される。
【0067】
受信器負荷が負荷変調下で変更されるとき、送信アンテナ駆動信号が変化することになるので、この変化は、送信器側の適切な手段によって検出され得る。特に、送信器駆動信号の位相の変化を検出することが可能である。例示的実施形態では、コントローラ214は、送信信号のレートよりはるかに速いレートで位相差信号282をサンプリングし、連続したサンプル間の距離を計算することができる。したがって、受信器デバイスからの信号伝達を示すために、受信器のインピーダンスの顕著な変化による位相変化がコントローラ214によって求められ得る。
【0068】
例示的実施形態では、受信器デバイスがクローキングされていないとき、駆動信号と送信器出力との位相関係は、約10度の位相ずれなどの位相の不一致になる。受信器負荷がクローキングされるとき、送信器出力を示していたインピーダンスが、顕著な量だけ変化する可能性がある。この変化は、受信器デバイスがクローキングされたときと、受信器デバイスがアンクローキングされたときの、RF信号220と基準信号275との間の位相変化として現われることになる。
【0069】
送信器は、基準信号275をバッファリングする(場合により、増幅もする)ためのバッファ290も含むことができる。バッファ290からの振幅信号292は、アナログデジタル(A/D)コンバータによってコントローラ214に結合され得ると共に、A/Dコンバータは、個別のものでも(図示せず)コントローラ214に一体化されたものでもよい。
【0070】
位相差と同様に、受信器負荷が負荷変調下で変更されるとき、送信アンテナ駆動信号が変化することになるので、この変化は、送信器側の適切な手段によって検出され得る。特に、送信器駆動信号の振幅の変化を検出することが可能である。例示的実施形態では、コントローラ214は、送信信号のレートよりはるかに速いレートで振幅信号292をサンプリングすることができる。したがって、受信器デバイスからの信号伝達を示すために、受信器のインピーダンスの顕著な変化による振幅変化がコントローラ214によって求められ得る。
【0071】
以下でより十分に説明されるように、いくつかの例示的実施形態では、位相変化および振幅変化は、受信器からの信号伝達を求める際に組み合わせられ得る。さらに、
図7Aを参照しながら上記で論じられた電流変化が、位相変化および振幅変化と共に含まれ得る。
従って、コントローラ214は、さらに、電力変化をサンプリングして、位相出力の変化および振幅出力の変化に応答するデジタル信号伝達値を求める際に電力変化を含むように構成される。
【0072】
例示的実施形態では、無線充電システムは、信号伝達レートより高くあるべき反復レートで位相および振幅を監視することにより、受信器がいつ負荷変調されるかということを学習するようにそれ自体を訓練することができる。したがって、信号に対して平均化が遂行され得ると共に、このようにして得られた情報は、メモリに記憶され、最後の入来データサンプルと比較するのに使用され得る。信号の平均化は、エラー率を低減するために用いられ得る。
【0073】
図7Bの例示的実施形態は、順方向信号情報も反射信号情報も必要とせず、付随する方向性結合器と同様に順方向振幅検出回路および反射振幅検出回路も不要である。さらに、送信器駆動信号に対して振幅変化が用いられてもよいが、そのようにする必要性はない。
【0074】
図7Cで、電力増幅器210は方向性結合器265を駆動し、方向性結合器265は、放射場106を生成するために送信アンテナ204を駆動する。電力増幅器210は、送信アンテナ204用の所望の周波数で発振している発振器212からのキャリア信号220(本明細書ではRF信号とも称される)によって駆動される。電力増幅器210の出力を制御するために送信変調信号224が利用され得る。
【0075】
方向性結合器265は、入力側(ポート266とポート267との間)と絶縁された側(ポート268と269との間)との間に絶縁をもたらし、その結果、検出回路が、伝送された信号から限定された電力を引き出し、伝送された信号に対する干渉を低減する。したがって、逆方向信号は、順方向信号から絶縁されており、逆方向信号の振幅および位相の指標をもたらす。
【0076】
いくつかの例示的実施形態では、受信されたRF信号を振幅によって変化するDC信号に変更するために、絶縁された側の順方向ポート268および逆方向ポート269は、それぞれ検出器272および274に結合され得る。これらの振幅信号は、振幅信号297としてリターンパス損失を与えるように、差動増幅器295を使用して減じられ得る。振幅差信号297は、アナログデジタル(A/D)コンバータを介してコントローラ214によってサンプリングされ、A/Dコンバータは、個別のものでも(図示せず)コントローラ214に一体化されたものでもよい。
【0077】
他の例示的実施形態では、検出器(272および274)がなくてもよく、差動増幅器295が、振幅差信号297を求めるために、信号268および269上の両RF信号を比較し得る。コントローラは、比較的高いレートで振幅差信号297をサンプリングし、従来型のフィルタリングアルゴリズムを用いて直流振幅を得ることができる。
【0078】
順方向信号と逆方向信号との間の位相差を求めるために、位相比較器285が順方向ポート268および逆方向ポート269に結合され得る。可能な一例として、位相比較に論理ゲートが用いられ得る。位相比較器285からの位相差信号287は、A/Dコンバータによってコントローラ214に結合され、A/Dコンバータは、個別のものでも(図示せず)コントローラ214に一体化されたものでもよい。さらに、いくつかの例示的実施形態では、1つのA/Dコンバータが、位相差信号287と振幅信号297との間で共有され得る。
【0079】
受信器負荷が負荷変調下で変更されるとき、送信アンテナ駆動信号が変化することになり、この変化は、送信器側の適切な手段によって検出され得る。特に、送信器駆動信号の振幅の変化および位相の変化を検出することが可能である。例示的実施形態では、コントローラ214は、送信信号のレートよりはるかに速いレートで振幅信号297および位相差信号287をサンプリングすることができる。したがって、受信器デバイスからの信号伝達を示すために、受信器のインピーダンスの顕著な変化による振幅の変化、位相の変化、またはそれらの組合せがコントローラ214によって求められ得る。
【0080】
したがって、いくつかの例示的実施形態では、リターンパス損失および位相差の大きさが、複素インピーダンス平面の2つの直交軸に変換され得ると共に、負荷の複素インピーダンスを間接的に表すことができる。例示的実施形態では、信号伝達の期間中、受信器は、実質的にそのインピーダンスを変化させるための措置を講ずる。これが、振幅変化、位相変化、またはそれらの組合せに反映されることになる。コントローラ214は、負荷の複素インピーダンスを周期的にサンプリングし、それぞれの連続したポイント間の距離「d」を測定する。例示的実施形態では、距離「d」は、次式によって計算され、
距離d=sqrt((mag1-mag2)
2+(ph1-ph2)
2)
【0081】
この式で、mag1およびph1は第1の測定値の振幅および位相であり、mag2およびph2は第2の測定値の振幅および位相である。距離が1つまたは複数のサンプルに関するしきい値を上回るとき、送信器は受信器からの信号として変化を認識することになる。多くの無線電力システムでは、結合モード領域内における受信器デバイスの特定の配置は、送信器によって検出される逆方向リンクの信号伝達の電力、振幅、および位相に影響を及ぼす可能性がある。
【0082】
図8A〜
図8Cは、送信アンテナ204を有し、送信アンテナ204に対して様々な位置に配置された受信器デバイスを含むホストデバイス510を示す。話を簡単にするために、本明細書では2つの受信器デバイスだけが論じられるが、複数のデバイスの使用も本開示の教示の範囲内であるように企図されており、そのようなものに関する変更形態は、当業者には明らかであろう。
【0083】
受信器デバイス(520および530)は、送信アンテナ204の結合モード領域内に配置して示されている。示されていないが、受信器デバイス(520および530)は、
図5に示されるように受信アンテナ304および受信回路302を含むことができる。
図8A〜
図8Cで、ホストデバイス510は充電マットとして示されているが、家具、あるいは壁、天井、および床などの建築部位に一体化され得る。さらに、ホストデバイス510は、例えば、送信器が組み込まれたハンドバック、バックパック、または書類カバンなどの品目でもよい。あるいは、ホストデバイスは、充電バッグなど、ユーザが運搬して受信器デバイス(520および530)を充電するように特別に設計された携帯用送信器でもよい。
【0084】
本明細書で用いられる「同一平面上の」は、送信アンテナと受信アンテナが実質的に整列した(すなわち、実質的に同一方向を指す表面法線を有する)面を有し、また、送信アンテナの面と受信アンテナの面との間の距離がない(または小さな距離である)ことを意味する。本明細書で用いられる「共軸の」は、送信アンテナと受信アンテナが実質的に整列した(すなわち、実質的に同一方向を指す表面法線を有する)面を有し、また、2つの面の間の距離が自明でなく、さらに、送信アンテナおよび受信アンテナの表面法線が実質的に同一ベクトルに沿って存在するか、または両法線が雁行状(echelon)である。
【0085】
同一平面上の配置は、比較的高い結合効率を有することができる。しかし、結合は、送信アンテナに対して受信アンテナがどこに配置されるかということ次第で変化する可能性がある。例えば、送信ループアンテナの外側の同一平面上の配置ポイントは、送信ループの内側の同一平面上の配置ポイントほど効率的に結合し得ない。さらに、送信ループ内の同一平面上の配置ポイントであるが、しかし同ループに対して別々の位置における配置ポイントは、別々の結合効率を有することがある。
【0086】
共軸の配置は、より低い結合効率を有する可能性がある。しかし、結合効率は、その出願の内容の全体が参照によって本明細書に組み込まれる、2008年10月10日に出願された「METHOD AND APPARATUS FOR AN ENLARGED WIRELESS CHARGING AREA」という名称の米国実用特許出願第12/249,875号で説明されているような中継アンテナの使用で改善され得る。
【0087】
図8Aは、受信器デバイス(520および530)の両方が送信アンテナの周辺からほぼ同一の距離だけ離れるようにして送信アンテナ204の中心の近くで実質的に対称に配置されるシナリオを示す。
図8Bで、受信器デバイス(520および530)は、互いから離されるが、送信アンテナ204の周辺からほぼ同一の距離に配置される。
図8Cは、受信器デバイス(520および530)が送信アンテナ204に対して別々に配置されるシナリオを示す。
【0088】
複数の受信器デバイスがあるため、520が、530の逆方向リンクの信号伝達に影響を及ぼす可能性があり、その逆もあり得る。さらに、受信器デバイス520および530は、アンテナの設計または充電領域内の配置により、送信アンテナに対して異なって結合される可能性があり、したがって、送信アンテナが、別々の量の電力変化、振幅変化、および位相変化を検出する可能性がある。
【0089】
図9A〜
図9Cは、送信アンテナに対する受信器の様々な配置に応答して送信器で求められたインピーダンス特性を示すグラフである。
図9Aで、第1の位置における受信器の配置は、受信器が逆方向リンクの信号伝達をしているとき第1の結果をもたらす。ライン910Aは信号伝達の位相差を示し、ライン912Aは信号伝達の振幅差を示す。ライン922Aは、
図7Cを参照しながら上記で概説されたように距離割出しの計算を示し、ライン920Aは、距離計算結果の一次導関数である差分計算を示す。
【0090】
図9Bで、第2の位置における受信器の配置は、受信器が逆方向リンクの信号伝達をしているとき第2の結果をもたらす。ライン910Bは信号伝達の位相差を示し、912Bは信号伝達の振幅差を示す。ライン922Bは、
図7Cを参照しながら上記で概説されたように距離割出しの計算を示し、ライン920Bは、距離計算結果の一次導関数である差分計算を示す。
【0091】
図9Cでは、逆方向リンクの信号伝達をしている受信器はない。その結果、ライン910Cは比較的一定の位相差を示し、ライン912Cは比較的一定の振幅差を示す。ライン922Cは、実質的に0の近くにとどまっている距離の割出し計算を示す。
【0092】
本開示の例示的実施形態は、無線電力伝達に関する送信器の振幅差、位相差、およびPA電流の変化を確実に識別し、そのような変化は、充電されている受信デバイスのアンテナ負荷をスイッチング(クローキング)することによりもたらされる。充電中のデバイスのアンテナの負荷状態を検出する能力は、充電中のデバイスと送信器との間の2進法の通信プロトコルを実施する基本を形成する。実際、情報ビットの「0」および「1」が、受信アンテナの負荷の変化にマッピングされ得ると共に、負荷の変化は、その結果として、送信器で見られる電流およびインピーダンスの変化を誘起する。
【0093】
本開示の例示的実施形態は、結合モード領域の逆方向リンクで送信されたビットを復調するための簡単であるが頑健なやり方を対象にする。いくつかの別々の信号が、最初に最も高信頼の信号を識別し、次に選択された信号から情報ビットを抽出するのに使用され得る。この特定の実施形態は、差分マンチェスター符号化プロトコルに適合するが、他の符号化システムとも同様に作動するように容易に変更され得る。
【0094】
無線充電システムの性質により、これらの変化の大きさが予測不能であり、信号間で相関関係がなく、すなわち1つの信号が大きな変化を経験している一方で他の緒信号が経験しない可能性がある。これらの複数のパラメータを処理することにより、1つのパラメータを処理するのとは対照的に、情報ビットの改善された復号化が達成され得る。
【0095】
本開示の例示的実施形態は、受信器で遂行されたクローキング動作の結果としての送信アンテナで見られたインピーダンスの変化またはPA電流の変化を確実に検出することを対象にする。クローキング(オン)、クローキングなし(オフ)の2つの状態は、送信アンテナで見られる、PA電流レベル、振幅差および位相差の3つの観察可能な物理量の変化をもたらす。これらの信号変化の検出に関連したいくつかの問題がある。
【0096】
これらの量は、結合モード領域内の受信器および他の近くの受信器の位置の関数であり得るので、これらの量のそれぞれの定常値は確定的ではない。クローキング/アンクローキングのスイッチングによってもたらされる変化は、時間が経つにつれて変化する可能性があり、信号間で不規則に異なる可能性がある。これらの問題に対処するために、本開示の例示的実施形態は、送信器において、特にPA電流、振幅差および位相差の複数の信号を利用する。
【0097】
具体的には、前述のパラメータの導関数が時間に対して計算される。ある信号の導関数が平均値の影響を受けない場合、この信号の定常値は、「1」と「0」との間の差を求める際に考慮されない。
【0098】
本開示の例示的実施形態は最も高信頼の信号源(すなわち最大の変化を経験するもの)を識別し、ビットストリームを復号するのに、この「好ましい」信号を利用する。このプロセスは、
1) 自己同期化および
2) ビット復号のためのしきい値推定、の2つのステージに分割される。
どちらのステージも、シーケンスの最初の数ビットに及ぶトレーニングシーケンスについての観測を通じて行なわれる。
【0099】
同期プロシージャは、伝送されるビット列の最初の境界と最後の境界が正確に識別される送受信タイミングの正確な境界合わせを指す。例示的実施形態では、同期プロシージャがマンチェスター符号の特性を利用し、すべてのビットがビット間隔の中央で変化を示す。
【0100】
図10は、簡単な2進法の信号伝達プロトコルを示す。このプロトコルでは、「1」は信号1020の高レベルによって示され、「0」は信号1020の低レベルによって示される。この簡単な信号伝達では、一連の長い0または一連の長い1は、信号変化がない長い間隔を生じることがあり、これによって送信器と受信器との間の同期が困難になる恐れがある。
【0101】
図11は、クロック1110、データ1120、および符号化されたデータ1130を示すことにより、差分マンチェスター符号化プロトコルを示す。マンチェスター符号化は、同期したビットストリームのクロックおよびデータを符号化して、データストリームの連続的変化を保証するために用いられる同期クロック符号化技術である。この技術では、伝送される実際の2進法のデータは1と0の一連の論理として送られるわけではない。むしろ、諸ビットは、複数の利点を有するわずかに異なったフォーマットに変換される。差分マンチェスター符号化は、論理的値を示すのに変化の有/無を用いる。多くの場合、変化の検出は、高レベルまたは低レベルの検出より間違いが発生しづらいものであり得る。
【0102】
変化の存在だけが重要であるので、極性は重要ではない。換言すれば、差分符号化方式は、信号が反転されても同じ働きをすることになる。
図11では、信号の前半を前のビット信号の後半と等しくすることによって1のビットが示されている(すなわち、ビット時間の開始で変化が生じない)。一方、0のビットは、信号の前半を前のビット信号の後半と反対にすることによって示されている(すなわち、ビット時間の開始における変化によって0のビットが示される)。複数の1および複数の0については、高レベルから低レベルであろうと、低レベルから高レベルであろうと、常にビット時間の中央に変化がある。
【0103】
したがって、差分マンチェスター符号化では、1はビット時間内の1つの変化によって表され、0はビット時間内の2つの変化によって表される。1つの変化よって表される0と2つの変化によって表される1とを用いる反対の方式が可能である。
【0104】
本発明の例示的実施形態では、メッセージの初めのトレーニングシーケンスは、ビット境界を同期し、求め、かつ3つの別々の信号の信号強度を求めるのに用いられる。この実施形態によれば、トレーニングシーケンスは様々なビット数でよく、別々の間隔で生じてよい。例示の一実施形態では、各データバイトは、2つのビットを含むトレーニングシーケンスによって先行される。
【0105】
図12は、送信器によって求められた、トレーニングシーケンス期間中のいくつかの例示的変化の微分位相1230、微分振幅1240、および微分電流1220を示す。これらの信号は、対応するサンプリングされた信号の導関数によって求められる。その結果、変化は、テール(tail)が減衰するピークによって表される。ライン1210は、変化の間の中間点を示す。したがって、単なる実例として、ライン1210はビット境界と見なされ得ると共に、ビット境界の中央の近くに示された変化は、ビット境界の中央に1つの変化を有する一連の4つの1を表すものと見なされ得る。
【0106】
あるいは、ライン1210は、可能な変化の間の境界と見なされ得る。したがって、2つの連続するライン1210はビット境界を定義する。この場合、2つのビットが示されており、これら2つのビットが1ビット当たり2つの変化を含む両ビットによって表される代替符号化(alternate encoding)を用いてもよい。
図12のさらなる詳細が、
図13と組み合わせて論じられる。
【0107】
図13は、送信器におけるインピーダンス変化に基づいて受信器からの信号伝達を求めるためのプロシージャの簡易流れ図である。導関数計算ブロック1310は、それぞれΔIsc、Δmag(Z)、およびΔPh(Z)として表される電流、振幅、および位相に誘起された変化を抽出するために用いられる。差分マンチェスター符号の場合、ビット情報が、1つのビット当たりの変化の数にあって、それらの符号にはないことを考えれば、導関数の大きさが、しきい値推定およびビット期間検出プロセスの両方に用いられ得る。
【0108】
同期は、式max{abs[ΔIsc]、abs[Δmag(Z)]、abs[ΔPh(Z)]}を用いることにより、ブロック1312で達成される。ここで、最大値は、トレーニングシーケンスと等しい期間にわたって評価される。
【0109】
微分電流、微分振幅、および微分位相のそれぞれが、作業ブロック1320M、1320P、および1320Iで、それぞれ独立して処理される。理解しやすいように、作業ブロック1320Pおよび1320Iの詳細は示されていないが、作業ブロック1320Mのものと同様である。一旦、同期が達成されると、
図13にスライス(S1、S2、S3、S4)として示された4ビット間隔の境界は、
図12のライン1210で表された各信号として識別される。このスライス作業が、各スライスにピークが1つしかないことを保証するので、ピーク探索操作が簡単になる。各信号のエネルギーは、各スライスに対してピークの合計(例えば
図12の微分電流1220に関するA+B+C+D)として計算される。ブロック1350M、1350P、および1350Iは、それぞれ微分電流、微分振幅、および微分位相のそれぞれに関するエネルギー計算結果を示す。
【0110】
最も高いエネルギーレベルを有する信号(例えば
図12の微分電流1220)は、最も高信頼と見なされた信号であり、ブロック1352の検出用に選択される。
【0111】
時間が経つにつれて変化の幅が変化する可能性があるとき、ビット期間を通じて生じる変化の数を識別するのに適応型しきい値が用いられ得る。適応型しきい値THは次式で計算される。
TH=(A+B+C+D+tail_avg)/2
ここで、tail_avg=4つのシンボルにわたって平均された中心ピークからのオフセットで評価された信号の振幅、である。
図12では、このオフセットは、微分電流1220の減衰するテール上に示された星によって定義されている。このtail_avgパラメータは、変化として受け取ることができる低エネルギーレベルの推定値を示す。
図12で、オフセットは、ピークサンプルの後の第2のサンプルとして定義される。しかし、他のサンプリングレートを用いて別のサンプルが使用されてもよい。さらに、オフセットレベルは、ピーク値からの特定の時間遅延ではなく、ピーク値のパーセンテージとして定義されてもよい。作業ブロック1354は、4つの変化のそれぞれに対するテール値の割出しを示す。
【0112】
作業ブロック1356は、4つのテール値の平均の計算を示す。
図12では、この平均は星の位置の平均高さになり、それは約17である。作業ブロック1358は、適応型しきい値の計算を示す。
【0113】
最後に、作業ブロック1360で、適応型しきい値が、受信器が実際に信号伝達せずノイズのみの状態が誤って検出され得る無効状態にシステムがないことを確認するのに用いられる受入れしきい値(TH_acc)と比較される。適応型しきい値が受入れしきい値未満である場合、信号処理は停止され、信号を抽出する試みは行なわれない。適応型しきい値が受入れしきい値以上である場合、処理が継続し、コントローラは、いつ変化が生じたか判断するために、選択されたパラメータの微分値を適応型しきい値と比較することにより、次のデータビットを抽出する。変化は、微分値が適応型しきい値を上回るあらゆるときに定義される。
【0114】
このプロシージャは、最大の変化を有する信号が識別されることをいかなる所与の時点でも保証するために、周期的に繰り返される。したがって、検出のためにどのパラメータを用いるべきかという不確実性が解決される。
【0115】
要約すると、逆方向リンク通信に関する2つの問題は以下である。
1)確定的でなく、0でないDC信号値が、PA電流、振幅差、および位相差に関して観測される。
2)送信器において負荷スイッチングによって誘起されるパラメータ変化は、信号間で相関がなく、時間が経つにつれて変化する可能性がある。
【0116】
導関数の絶対値に基づく本開示の例示的実施形態は、各信号の特定の直流オフセット値に実質的に感応しない。さらに、いくつかのパラメータを同時処理することにより、最も強い信号が適応して識別される。検出は、その導関数の絶対値を適応型しきい値と比較することにより実行される。
【0117】
当業者なら、情報および信号が、様々な別々の技術および技法のうち任意のものを用いて表され得ることを理解するであろう。例えば、上記の説明の全体にわたって参照され得るデータ、命令、コマンド、情報、信号、ビット、シンボル、およびチップは、電圧、電流、電磁波、磁場または粒子、光場または粒子、あるいはそれらの任意の組合せによって表され得る。
【0118】
当業者なら、本明細書で開示された例示的実施形態に関連して説明された様々な例示の論理ブロック、モジュール、回路、およびアルゴリズムのステップが、電子的ハードウェア、コンピュータソフトウェアまたは両者の組合せとして実施され得ることをさらに理解するであろう。ハードウェアおよびソフトウェアのこの互換性を明確に示すために、様々な例示の構成要素、ブロック、モジュール、回路、およびステップが、一般にそれらの機能の面から上で説明されてきた。このような機能が、ハードウェアとして実施されるかソフトウェアとして実施されるかということは、特定の用途および総合的なシステムに課される設計制約次第である。当業者なら、それぞれの特定の用途の説明された機能について様々なやり方で実施することができるが、このような実装形態の決定が本発明の例示的実施形態の範囲からの逸脱をもたらすと解釈されるべきではない。
【0119】
本明細書に開示された例示的実施形態に関連して説明された様々な例示的論理ブロック、モジュール、および回路は、汎用プロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)あるいは本明細書に説明された機能を遂行するように設計された他のプログラマブルロジックデバイス、個別のゲートまたはトランジスタロジック、個別のハードウェア構成要素、またはそれらの任意の組合せを用いて実施されるかまたは遂行され得る。汎用プロセッサはマイクロプロセッサであり得るが、別の方法として、プロセッサは、任意の従来型プロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラまたはステートマシンであり得る。プロセッサは、コンピューティングデバイスの組合せ、例えばDSPとマイクロプロセッサの組合せ、複数のマイクロプロセッサ、DSPコアと1つまたは複数のマイクロプロセッサの併用、または何らかの他のこのような構成として実施され得る。
【0120】
本明細書に開示された例示的実施形態に関連して説明された方法またはアルゴリズムのステップは、ハードウェアで直接的に実施され、プロセッサによって実行されるソフトウェアモジュールで実施され、あるいはこの両者の組合せで実施され得る。ソフトウェアモジュールは、ランダムアクセスメモリ(RAM)、フラッシュメモリ、読取り専用メモリ(ROM)、電気的プログラマブルROM(EPROM)、電気的消去可能プログラマブルROM(EEPROM)、レジスタ、ハードディスク、リムーバブルディスク、CD-ROM、または当技術分野で既知の記憶媒体の他の形態の中に存在し得る。例示的記憶媒体は、同記憶媒体に対してプロセッサが情報を読み取り、かつ書き込むことができるようにプロセッサに結合される。別の方法として、この記憶媒体は、プロセッサに一体化され得る。プロセッサおよび記憶媒体は、ASICの中に存在し得る。ASICは、ユーザ端末の中に存在し得る。別の方法として、プロセッサおよび記憶媒体は、ユーザ端末の中に個別の構成要素として存在し得る。
【0121】
1つまたは複数の例示的実施形態では、説明された機能は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、またはそれの任意の組合せで実施され得る。ソフトウェアで実施される場合、これらの機能は、1つまたは複数の命令またはコードとしてコンピュータ可読媒体に蓄積されるかまたは伝送され得る。コンピュータ可読媒体は、コンピュータの記憶媒体とコンピュータプログラムをある場所から別の場所に転送するのを容易にする任意の媒体を含む通信媒体との両方を含む。記憶媒体は、コンピュータによってアクセスされ得る任意の入手可能な媒体であり得る。限定するものではない一例として、このようなコンピュータ可読媒体は、RAM、ROM、EEPROM、CD-ROMまたは他の光ディスク記憶装置、磁気ディスク記憶装置または他の磁気記憶デバイス、あるいは所望のプログラムコードを命令またはデータ構造の形で搬送するかまたは記憶するために用いることができ、コンピュータによってアクセスされ得る任意の他の媒体を備えることができる。また、いかなる接続も、適切にコンピュータ可読媒体と称される。例えば、ソフトウェアが、同軸ケーブル、光ファイバケーブル、撚り対線、デジタル加入者線(DSL)、あるいは赤外線、無線、およびマイクロ波などの無線技術を用いて、ウェブサイト、サーバ、または他の遠方のソースから伝送される場合、同軸ケーブル、光ファイバケーブル、撚り対線、DSL、あるいは赤外線、無線、およびマイクロ波などの無線技術は、媒体の定義に含まれる。本明細書で使用される磁気ディスクおよび光学ディスク(Disk and disc)は、コンパクトディスク(CD)、レーザーディスク、光ディスク、デジタル多用途ディスク(DVD)、フロッピー(登録商標)ディスクおよびブルーレイディスクを含み、磁気ディスクが、通常、データを磁気的に再現するのに対して、光学ディスクはレーザを用いてデータを光学的に再現する。上記のものの組合せも、コンピュータ可読媒体の範囲内に含まれるべきである。
【0122】
開示された例示的実施形態の以前の説明は、いかなる当業者も本発明を作製するかまたは用いることを可能にするために提供されている。これらの例示的実施形態に対する様々な変更は、当業者には容易に明らかになるはずであり、本明細書に定義された一般的な原理は、本発明の趣旨または範囲から逸脱することなく他の実施形態に適用され得る。したがって、本発明は、本明細書に示された実施形態に限定されるようには意図されておらず、本明細書に開示された原理および新規の機能と一致する最も広い範囲を認められるべきである。