(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5955077
(24)【登録日】2016年6月24日
(45)【発行日】2016年7月20日
(54)【発明の名称】包装用箱
(51)【国際特許分類】
B65D 5/54 20060101AFI20160707BHJP
B65D 5/66 20060101ALI20160707BHJP
【FI】
B65D5/54 301P
B65D5/66 301D
B65D5/66 301G
【請求項の数】2
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2012-99741(P2012-99741)
(22)【出願日】2012年4月25日
(65)【公開番号】特開2013-227036(P2013-227036A)
(43)【公開日】2013年11月7日
【審査請求日】2014年5月2日
(73)【特許権者】
【識別番号】391019500
【氏名又は名称】朝日印刷株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000206956
【氏名又は名称】大塚製薬株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095430
【弁理士】
【氏名又は名称】廣澤 勲
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 信介
(72)【発明者】
【氏名】山根 佳子
(72)【発明者】
【氏名】山田 昌平
【審査官】
植前 津子
(56)【参考文献】
【文献】
実開昭60−142720(JP,U)
【文献】
実開昭58−161879(JP,U)
【文献】
実開昭62−179918(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 5/00−5/74
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一枚の箱体形成片から成り、前記箱体形成片には、正面板、第一側面板、背面板、及び第二側面板が順に互いに平行な折罫線を介して連接され、前記正面板と前記背面板の一方には、前記連接方向と平行な端縁に外蓋片が延設され、前記正面板と前記背面板の他方の前記連接方向と平行な端縁に内蓋片が延設され、組み立て状態で、前記正面板、前記第一側面板、前記背面板、及び前記第二側面板から成る筒状体の開口端を、前記内蓋片に前記外蓋片を重ねて閉塞する包装用箱において、
前記第二側面板の前記連接方向の前記背面板と反対側の端部に、組み立て状態で前記正面板の裏面に対面して固定される裏面板が連接され、
前記正面板には、前記連接方向と平行な一方の端縁の両端から連続する一対の破断線と前記端縁の折罫線とで囲まれた開封部が設けられているとともに、前記正面板の前記開封部を形成する前記破断線の先端部間に開封用の透孔が形成され、
前記透孔と対面する前記裏面板の部分には、コ字状の切り込み線によって形成され、前記透孔全体を覆うとともに前記正面板の外側から押圧されると内側に凹む押圧吸収部が形成され、
前記裏面板の前記開封部と対面する端縁に、前記開封部よりも小さく切除され、前記コ字状の切り込み線の両端部の近傍に達する上部逃げ部が形成され、
組み立て状態で、前記透孔から前記破断線を破断して前記開封部を開封した後、前記開封部を前記裏面板の内側に差し込むことによって再封可能としたことを特徴とする包装用箱。
【請求項2】
前記開封部の前記破断線は直線状に形成され、前記透孔が半円状に形成されている請求項1記載の包装用箱。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、商品等を収容し両端開口部を糊付けして封止するシールエンドカートン型の包装用箱に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、商品を収容して搬送し店頭に陳列等するための包装用箱として、一枚のブランクシートから一体的に打ち抜かれた箱体形成片を立体的に組み立てたシートエンドカートン型の包装用箱が使用されている。この箱体形成片には、平行に連接された4つの側面と、一側面の両端部に形成された外蓋片と、組み立て状態でこの側面に対向する側面の両端部に形成された内蓋片と、その他の一対の側面の両端部に形成されたフラップが設けられ、連接方向の外側に位置する一側面の側縁部には小さい糊付片が設けられている。
【0003】
この箱体形成片を組み立てるときは、糊付片をその反対側の側面裏面に糊付けし、各側面が各々直角になるように起こして四角い筒状体を形成し、筒状体の一端部にある一対のフラップを側面に対して直角に折り曲げ、次に内蓋片を折り曲げ、その内蓋片の表面に糊を塗布し、その上面に外蓋片を折り重ねて糊付けして閉鎖する。そして、商品を収容後、筒状体の他方の端部も同様に閉鎖するものである。
【0004】
しかし、シールエンドカートンは、一旦開封すると後に再封することができず、箱体内に商品が残っている場合の封止に問題があった。
【0005】
そこで、例えば、特許文献1,2に開示されているように、開封される一側面に差し込み片を形成し、その内側に内側壁板を設け、開封後にも内側壁板に形成されたスリットに外側の差し込み片を挿入可能に形成された包装用箱が多数提案されている。
【0006】
また、特許文献3に開示されているように、再封可能な包装用箱であって、蓋体先端部の差し込み部分への差し込みが可能であるとともに、蓋体先端部を側面板側に掛け止めることができるようにし、蓋体の再閉鎖に際して、差し込みと掛け止めを使用者側で自由に選択できるようにした包装用箱も提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平9−193926号公報
【特許文献2】特開2003−112724号公報
【特許文献3】特開2004−91014号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、特許文献1,2に開示された包装容器は、開封後の再封に際して、差し込み片を側面の中央部に形成された差し込み用のスリットに差し込むので、側面の中に形成されたスリットに差し込み片を挿入する操作が難しく、容易に差し込みできないという問題があった。
【0009】
また、特許文献3に開示された包装用箱は、再封に際して、差し込みと引き掛けを選択できるが、この場合も、差し込み動作は上記と同様に面倒であり、引き掛け片の係止も通常の再封動作と異なり面倒なものであった。
【0010】
この発明は、上記背景技術に鑑みて成されたものであり、簡単な構造で容易に開封及び再封を行うことができるシールエンドカートン型の包装用箱を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この発明は、一枚のブランクシートから一体的に打ち抜かれた箱体形成片から成り、前記箱体形成片には、正面板、第一側面板、背面板、及び第二側面板が順に互いに平行な折罫線を介して連接され、前記正面板と前記背面板の一方には、前記連接方向と平行な端縁に外蓋片が延設され、前記正面板と前記背面板の他方の前記連接方向と平行な端縁に内蓋片が延設され、組み立て状態で、前記正面板、前記第一側面板、前記背面板、及び前記第二側面板から成る筒状体の開口端を、前記内蓋片に前記外蓋片を重ねて閉塞する包装用箱であって、前記第二側面板の前記連接方向の前記背面板と反対側の端部に、組み立て状態で前記正面板の裏面に対面して固定される裏面板が連接され、前記正面板には、前記連接方向と平行な一方の端縁の両端から連続する一対の破断線と前記端縁の折罫線とで囲まれた開封部が設けられているとともに、前記正面板の前記開封部を形成する前記破断線の先端部間に開封用の透孔が形成され、前記透孔と対面する前記裏面板の部分には、前記透孔
全体を覆うとともに前記正面板の外側から押圧されると凹む押圧吸収部が形成され、組み立て状態で、前記透孔から前記破断線を破断して前記開封部を開封した後、前記開封部を前記裏面板の内側に差し込むことによって再封可能とした包装用箱である。
【0012】
前記押圧吸収部は、コ字状の切り込み線によって形成されているものである。さらに、前記裏面板の前記開封部と対面する端縁に、前記開封部よりも小さく切除され
前記コ字状の切り込み線の両端部の近傍に達する上部逃げ部が形成されてい
るものである。
【0013】
また、前記開封部の前記破断線は直線状に形成され、前記透孔が半円状に形成されているものである。
【発明の効果】
【0014】
この発明の包装用箱は、簡単な構造で組み立て易く、開封の操作が容易であるとともに、開封後も容易に再封することができる。しかも、既存のシールエンドカートンを形成する包装装置を利用することができ、包装の作業性が良いものである。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】この発明の一実施形態の包装用箱の箱体形成片を示す展開図である。
【
図2】この実施形態の包装用箱の箱体形成片を筒状に組み立てた状態を示す斜視図である。
【
図3】この実施形態の包装用箱を組み立てた状態を示す斜視図である。
【
図4】
図3の天面側部分のA−A線縦断面図である。
【
図5】この実施形態の包装用箱を開封する動作を説明する部分斜視図(a)、部分縦断面図(b)である。
【
図6】この実施形態の包装用箱を開封する動作を説明する部分斜視図(a)、部分縦断面図(b)である。
【
図7】この実施形態の包装用箱を再封する際の動作を説明する部分斜視図(a)、部分縦断面図(b)である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、この発明の包装用箱の一実施形態について、
図1〜
図7に基づいて説明する。この発明の一実施形態の包装用箱10は、
図3に示すように、矩形の筒状体の両端部(天面側及び底面側)が各々閉鎖されたシートエンドカートン型の箱体であり、
図1に示す箱体形成片12を組み立てて形成される。
【0017】
箱体形成片12は、厚紙等の一枚のブランクシートを打ち抜いて形成され、正面板14、第一側面板16、背面板18、第二側面板20が順に連接されている。さらに、第二側面板20の側方には、組み立て状態で正面板14の裏面側に対向し糊付される裏面板22が連接されている。正面板14及び背面板18はほぼ同形であり、裏面板22は、それよりも僅かに小さい。第一側面板16及び第二側面板20はほぼ同形である。正面板14、第一側面板16、背面板18、第二側面板20、裏面板22は、各々折罫線24,26,28,30で区切られている。
【0018】
正面板14の天面側の一端部には、略台形状の外蓋片32が延設され、折罫線34で正面板14と区切られている。外蓋片32の延設長さは、第一側面板16の連接方向長さとほぼ等しい。折罫線34の両端部から僅かに底面側の正面板14には、その両端から底面方向に斜めに互いに対称に直線状に形成された一対の破断線36が設けられている。さらに、正面板14の一対の破断線36の先端部分には、破断線36の先端部をつなぎ折罫線34と平行な直線と略半円弧で囲まれた透孔38が設けられている。破断線36と透孔38及び折罫線34で囲まれた台形状の開封部40が、開封時の摘みとなるとともに再封時の差込片となる。
【0019】
正面板14の底面側の一端部にも、外蓋片32とほぼ同形の外蓋片42が延設され、折罫線44で正面板14と区切られている。折罫線44には、その両端部と重なるとともに折罫線44の中央部では天面側に円弧状に形成された略Ω状の破断線45が設けられている。
【0020】
第一側面板16の天面側の一端部にはフラップ46が延設され、折罫線48で第一側面板16と区切られている。第一側面板16の底面側の一端部にも、フラップ46と同形のフラップ50が延設され、折罫線52で第一側面板16と区切られている。
【0021】
背面板18の天面側の一端部には略台形の内蓋片54が延設され、折罫線56で背面板18と区切られている。内蓋片54の延設方向長さは、第一側面板16の連接方向長さよりも短い。背面板18の底面側の一端部にも、内蓋片54とほぼ同形の内蓋片60が延設され、折罫線62で背面板18と区切られている。
【0022】
第二側面板20の天面側の一端部には、フラップ46とほぼ同形のフラップ64が延設され、折罫線66で第二側面板20と区切られている。第二側面板20の底面側の一端部にも、フラップ64と同形のフラップ68が延設され、折罫線70で第二側面板20と区切られている。
【0023】
裏面板22の天面側には、組み立て状態で正面板14の透孔38と対向する位置に、コ字状の切り込み線72で囲まれた押圧吸収部74が形成されている。コ字状の切り込み線72は、その開口部が天面側を向き、底部が底面側を向いて透孔38の外側に位置し、透孔38全体が、裏面板22の一部分である押圧吸収部74と対面して覆われるように位置している。裏面板22の
上端部中央には、円弧状に切り取られた上部逃げ部75が設けられ、上部逃げ部75は切り込み線72の両端部の近傍に達している。裏面板22の下端部中央には、円弧状に切り取られた下部逃げ部76が設けられ、正面板14の破断線45での破断を容易にする。
【0024】
次に、この箱体形成片12の組み立て方法について、
図1〜
図4を基にして説明する。
図1は箱体形成片12を裏面側から見たものであり、以下、箱体形成片12の表面側が凸になる折り方を正折り、裏面側が凹になる折り方を逆折りと称する。
【0025】
まず、正面板14の裏面の両側折罫線と平行に、対面する裏面板22の押圧吸収部74の両側に位置する箇所から縦方向に適宜の幅で、図示しない糊を塗布し、折罫線28を正折りし、折罫線24を正折りして、裏面板22の表面と正面板14の裏面を糊付する。箱体形成片12は、この状態で包装用箱10の製造工場から出荷される。
【0026】
次に、商品を収容し包装する工場等において、折罫線24,26,28,30を各々90度になるように正折りし、
図2に示すように、四角形の筒状体を形成する。そして、底面側のフラップ50,68を各々折罫線52,70で90度に正折りし、外蓋片42の裏面または内蓋片60表面に糊を塗布し、内蓋片60を折罫線62で90度に正折りし、外蓋片42を折罫線44で90度に正折りし、外蓋片42の裏面と内蓋片60の表面を糊付けする。この作業により、筒状体の底面側の端部が閉鎖される。この後、医薬品等の商品を、筒状体の天面側の開放している端部から内側に挿入する。
【0027】
次に、天面側のフラップ46,64を各々折罫線48,66で90度に正折りし、外蓋片32の裏面または内蓋片54の表面に糊を塗布し、内蓋片54を折罫線56で90度に正折りし、外蓋片32を折罫線34で90度に正折りし、外蓋片32の裏面と内蓋片54の表面を糊付けする。この動作により、筒状体の天面側の端部が閉鎖され、
図3に示す状態になって商品の包装作業が終了する。この状態で、天面側及び底面側は、
図4に示す天面側の断面図のように封止された構造となる。なお、上記とは逆に、先に天面側の蓋片を閉じて、底面側から商品を入れた後、底面側の蓋片を閉じても良い。
【0028】
包装用箱10を開封及び再封する操作は、以下のように行う。開封するときは、まず、
図5(a)(b)に示すように、正面板14の透孔38を指で押し込んで裏面板22の押圧吸収部74を内側に僅かに押し込む。この状態で、破断線36で囲まれた開封部40と押圧吸収部74との間に僅かに隙間ができ、開封部40の端縁に指を掛ける。そして、開封部40に指を掛けたまま、上方に引き上げるようにして破断線36を破断させ、内蓋片54及び外蓋片32を開く。このとき、開封部40は折罫線34を介して外蓋片32と連続し、且つ、外蓋片32及び内蓋片54が互いに糊付され、開封部40、外蓋片32及び内蓋片54が一体になっているので、本体から分離する部分がなくゴミ等は生じない。
【0029】
なお、開封時に透孔38で開封部40の端縁を摘み、そのまま引き上げて開封しても良く、逆に開封部40を箱体内側に押圧して、破断線36を破り、開封しても良く、開封方法は問わない。
【0030】
この後、
図6に示すように、フラップ46,64を引き上げることによって筒状体の端部を開放し、中の商品を取り出すことができる。
【0031】
開封後、包装用箱10を再封するときは、フラップ46,64を閉じ、
図7に示すように、開封部40を裏面板22の内側に差し込み、係止することによって筒状体の端部を閉鎖する。このとき、開封部40は裏面板22の逃げ部75を塞いで、隙間が空かないように閉じられる。
【0032】
以上説明したように、この実施形態の包装用箱10は、簡単な構造で組み立て易く、開封する操作が容易で、開封後は通常の差込片付きの包装用箱と同様に違和感なく確実に再封することができる。また、既存のシールエンドカートンに用いられる包装装置を利用して包装することが可能であり、新規の包装装置を導入する必要がない。
【0033】
さらに、底面側の外蓋片42の基端部の位置に破断線45が設けられているので、包装用箱10を廃棄する際、破断線45を破り容易に解体して平坦に折り畳むことができる。
【0034】
なお、この発明の包装用箱は上記実施形態に限定されるものではなく、筒状体の側面のいずれの面を正面板と背面板にしても良く、この発明では説明上、開封部の設けられた面を正面板と定義したもので、箱体の表示上又は展示上の正面が上記正面板である必要はない。その他、外蓋片と内蓋片の位置は逆でも良く、開封部や押圧吸収部も、天面側だけでなく底面側にも設けて、筒状体の両側を開封及び再封可能な構造にしてもよい。
【0035】
また、押圧吸収部は、外側からの応圧により内側に凹む構造であれば良く、ミシン線や破断線で区切られ、部分破断するものでも良い。透孔と対面した裏面板は、側面の透孔や破断線と対面した位置に覆いがあれば良く、裏面板の中央部がない場合もあり得るものである。その他、箱体の大きさ、素材、各部材の形状等は適宜変更可能であり、開封部及び透孔の形状は、箱体の素材の強度などを考慮し、適宜設定することができる。
【符号の説明】
【0036】
10 包装用箱
12 箱体形成片
14 正面板
16 第一側面板
18 背面板
20 第二側面板
22 裏面板
32,42 外蓋片
36 破断線
38 透孔
40 開封部
54,60 内蓋片
72 切り込み線
74 押圧吸収部
75,76 逃げ部