(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記差圧伝送器は、前記基準レグの容器内部が液体で満たされている場合に前記基準レグと前記可変レグとの差圧を検出する第1の圧力センサと、前記開閉弁が開放されて前記基準レグの容器内部が蒸気に満たされた場合に前記基準レグと前記可変レグとの差圧を検出する第2の圧力センサとを含む請求項1に記載の差圧式液面位置計測装置。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明を実施するための形態(実施形態)につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。
図1は、本実施形態に係る液面位置計測装置を示す模式図である。
図2は、基準レグに保有される液体の液面高さが低下する状態を示す模式図である。
図3は、本実施形態に係る液面位置計測装置が基準レグに保有される液体を排出した状態を示す模式図である。差圧式液面位置計測装置1は、密閉された液体タンク20の液体Wの液面位置を計測する装置である。
【0015】
差圧式液面位置計測装置1は、基準レグ21と、コンデンスポット22と、液体タンク20の上部とコンデンスポット22とを接続する接続配管23と、可変レグ24と、差圧伝送器34と、開閉弁40と、液面位置演算装置31とを含む。
【0016】
液体タンク20には、容器内部に液体Wが貯留されている。そして、液体Wの上方には、液体タンク20の容器内部に蒸気Stが存在している。接続配管23は、液体タンク20の上部とコンデンスポット22とを接続する。このため、接続配管23を通じて、蒸気Stが液体タンク20とコンデンスポット22との間で流通可能な状態にある。
【0017】
コンデンススポット22は、内部の蒸気Stを凝縮させる凝縮器である。コンデンスポット22は、蒸気Stを凝縮させ、容器内部に液体wとして貯留する。また、接続配管23が液体タンク20の上部に接続する接続位置は、接続配管23がコンデンスポット22に接続する接続位置よりも低くなっている。これにより、コンデンスポット22の容器内部に貯留する液体wの液面は、一定となる。
【0018】
基準レグ21は、筒状の容器であり、液体wの圧力が導入される導圧管である。基準レグ21の上端部は、コンデンスポット22の下部に接続されている。これにより通常、基準レグ21には、コンデンスポット22が貯留する液体wの一部が導入され、液体wが基準レグ21の容器内部を満たしている。そして、基準レグ21の下端部は、差圧伝送器34及び開閉弁40に接続されている。
【0019】
開閉弁40は、液面位置演算装置31の制御指令により基準レグ21の内部の液体wの流路を開閉する弁である。本実施形態において、開閉弁40は、第1開閉弁41と第2開閉弁42とが直列接続されている。第1開閉弁41と第2開閉弁42とは、通常、閉鎖されており、基準レグ21に液体wを貯留することができるようになっている。開閉弁40は、複数の開閉弁を直列にすることで、液体wの止水の確実性を高めている。
【0020】
第1開閉弁41と第2開閉弁42の電磁弁または電動弁は、直流駆動であることが好ましい。そして、開閉弁40には、第1開閉弁41及び第2開閉弁42の電磁弁または電動弁に電力を供給する直流電池が付随しており、停電時でも、液面位置演算装置31の制御指令により第1開閉弁41及び第2開閉弁42を開閉する駆動ができることがより好ましい。
【0021】
また、開閉弁40の下流の流路には、ドレインタンク26が備えられている。さらに、ドレインタンク26と開閉弁40との間の流路には、スチームトラップ25が備えられていることがより好ましい。開閉弁40が開放される場合、液体wが下流のスチームトラップ25を介してドレインタンク26に流れる。このため、開閉弁40が開放される場合であってもスチームトラップ25が蒸気Stの流出を抑制することができる。そして、スチームトラップ25は、十分な液体wの排出量を備え、凝縮水である液体wがたまることによる静水頭の影響を抑制することができる。
【0022】
可変レグ24は、筒状の容器であり、上端部が液体タンク20に接続されて液体Wの圧力が導入される導圧管である。可変レグ24の下端部は、差圧伝送器34に接続されている。なお、可変レグ24の下流の流路には、開閉弁40と同様な開閉弁を備えて、ドレインタンク26と接続し、この開閉弁を開放することで、可変レグ24に液体タンク20の液体Wを満たすようにしてもよい。
【0023】
差圧伝送器34は、例えば、歪ゲージをダイヤフラム上に形成した圧力センサである。差圧伝送器34は、基準レグ21の下端部と可変レグ24の下端部との間にダイヤフラムを内在させ、基準レグ21の下端部と可変レグ24の下端部との間の圧力差である差圧を検出することができる。差圧伝送器34は、検出された差圧の情報を液面位置演算装置31へ出力することができる。
【0024】
差圧式液面位置計測装置1は、液面位置演算装置31と、液面位置演算装置31の演算結果を表示する表示装置32と、温度センサ33を含む。液面位置演算装置31は、差圧伝送器34で検出された差圧の情報に基づいて液体タンク20における液体の液面位置(以下、液体タンク液面位置という)Hwを求める演算を行う演算装置である。液面位置演算装置31は、CPU(Central Processing Unit)を中心とするマイクロプロセッサと、このCPUの他に、処理プログラムを記憶するROM(Read Only Memory)と、データを一時的に記憶するRAM(Random Access Memory)と、記憶手段となる記憶装置とを含む。
【0025】
図1に示すように、本実施形態に係る差圧式液面位置計測装置1は、液面位置演算装置31が、液体タンク20に接続する可変レグ24の上端部の位置を水位0%の基準位置H
0として、基準位置H
0から液体Wの液面までの距離を液体タンク液面位置Hwとして求める。そして、基準位置H
0からコンデンスポット22の液体wの液面の位置(以下、基準レグ高さという)Hfは、差圧式液面位置計測装置1が計測できる最大のタンク液面位置H
100であり、水位100%の位置である。なお、基準位置H
0から差圧伝送器34のある底部位置Hlまでの高さは、本実施形態では底部高さHfbとする。
【0026】
温度センサ33は、基準レグ21に設けられて、底部位置Hlでの基準レグ21の内部温度を検出する。温度センサ33は、検出した温度の情報を液面位置演算装置31に送出する。
【0027】
一般的に、液体が入っている容器において、容器の底面にかかる圧力は、液体の高さと液体の密度(比重)に比例する。つまり、差圧伝送器34が検出する差圧ΔPは、下記式(1)で演算できる値と等価である。
【0029】
ここで、γwは、液体タンク20の液体Wの比重である。γsは、蒸気Stの比重である。γfは、基準レグ21の液体wの比重である。可変レグ24の液体の比重も基準レグ21の液体wの比重と同等であるので、rfとする。上記式(1)を下記式(2)のようにすることで、ΔPを検出できれば、液面位置演算装置31が液体タンク液面位置Hwを演算できる。
【0031】
実際の基準レグ21に保有される液体wの液面高さが基準レグ高さHfと等しい場合、差圧式液面位置計測装置1は、液面位置演算装置31が上記式(2)を用いて差圧ΔPから液体タンク液面位置Hwを演算する。
【0032】
図2に示すように、実際の基準レグ21に保有される液体wの液面高さHfxが基準レグ高さHfよりも低くなる可能性もある。例えば、基準レグ21の周囲の温度が設計想定以上の温度となり、基準レグ21に保有される液体wが蒸発して、少なくなる場合が想定される。
【0033】
または、液体タンク20がなんらかの理由により減圧されると、コンデンスポット22内の圧力も減圧される。この場合、液体w内に含まれる非凝縮性ガスの分離が生じる可能性があり、ガスの発生に伴って、コンデンスポット22から液体タンク20に液体wが移動してしまう可能性がある。
【0034】
このように、基準レグ21に保有される液体wの蒸発が生じた場合または減圧により基準レグ21に保有される液体w内の非凝縮性ガスの分離が生じた場合、実際に基準レグ21に保有される液体の液面高さHfxが低下する可能性がある。この場合、測定対象である液体タンク液面位置Hwを求める精度が低下する可能性があるので、例えば上述した特許文献1の技術では、基準レグ21に保有される液体wを補充する技術が記載されている。しかしながら、基準レグ21に保有される液体の液面高さHfxに低下してしまう要因は継続して発生していることが予想され、どの程度液体wを補充すれば液体タンク20に貯留された液体の液面の位置を求める際の精度低下を抑制できるのか不明である。また、上述した特許文献1の技術では、基準レグ21に保有される液体wを補充する量にも限りがある。
【0035】
そこで、
図3に示すように、本実施形態に係る差圧式液面位置計測装置1は、基準レグ21内の液体wをドレインタンク26に排出し、基準レグ21の容器内を蒸気Stで満たしている。例えば、差圧式液面位置計測装置1は、
図4に示すフローチャートに沿って制御される。
【0036】
図4は、本実施形態に係る液面位置計測装置の制御例を示すフローチャートである。上述した
図1に示すように、実際の基準レグ21に保有される液体wの液面高さが基準レグ高さH
fと等しい場合、差圧式液面位置計測装置1は、液面位置演算装置31が上記式(2)を用いて差圧ΔPから液体タンク液面位置Hwを演算する(ステップS101)。
【0037】
次に、液面位置演算装置31は、ステップS101で求めた液体タンク液面位置Hwを表示装置32に表示する(ステップS102)。
【0038】
次に、液面位置演算装置31は、基準レグ21に保有される液体wの液面高さが、
図2に示すような液面高さHfxに低下していない場合(ステップS103、No)、上記ステップS101に処理を戻す。
【0039】
次に、液面位置演算装置31は、基準レグ21に保有される液体wの液面高さが、
図2に示すような液面高さHfxに低下している場合(ステップS103、Yes)、処理をステップS104に進める。
【0040】
次に、液面位置演算装置31は、基準レグ21に保有される液体wの液面高さが、
図2に示すような液面高さHfxに低下している判断は、例えば、温度センサ33の温度情報に基づき、基準レグ温度Tfの温度が液体wの飽和温度に近い閾値を超える場合、基準レグ21の水面が低下しているとする。
【0041】
次に、液面位置演算装置31において、ステップS103の判断の処理は、例えば、温度センサ33の温度情報に基づき、基準レグ温度Tfの温度が液体wの飽和温度に近い閾値を超える場合、基準レグ21の液面高さが低下しているとする。
【0042】
本実施形態に係る差圧式液面位置計測装置1が温度センサ33を有しなくても、液面位置演算装置31において、ステップS103の判断の処理をすることができる。例えば、同一の液体タンク20の液体タンク液面位置Hwを演算する差圧式液面位置計測装置1を設ける。そして、複数の差圧式液面位置計測装置1のうち、ステップS101の処理で演算した液体タンク液面位置Hwが他の差圧式液面位置計測装置1よりも所定の閾値以上高い特定の差圧式液面位置計測装置1がある場合、特定の差圧式液面位置計測装置1における基準レグ21の液面高さが低下しているとする。
【0043】
次に、
図4に示すステップS104において、液面位置演算装置31は、開閉弁40を開放する。例えば、液面位置演算装置31の制御指令により第1開閉弁41及び第2開閉弁42の電磁弁または電動弁が流路を開放する。そして、基準レグ21内の液体wは、ドレインタンク26に排水される。なお、開閉弁40の開放は、運転員の判断により、手動で行ってもよい。
【0044】
次に、液面位置演算装置31は、基準レグ21の液体wの排出が完了していない場合(ステップS105、No)、液体タンク液面位置Hwを求めても精度が低下する可能性があるので排水を継続する。例えば、液面位置演算装置31は、温度センサ33の温度情報に基づき、基準レグ温度Tfの温度が液体wの飽和温度で安定していない場合、排水を続け、基準レグ温度Tfの温度が液体wの飽和温度で安定するまで処理を進めない。
【0045】
次に、液面位置演算装置31は、基準レグ21の液体wの排出が完了している場合(ステップS105、Yes)、処理をステップS106に進める。例えば、ステップS105において、温度センサ33の温度情報に基づき、基準レグ温度Tfの温度が液体wの飽和温度で安定した場合、排水が完了したとして処理をステップS106に進める。
【0046】
排水が完了した場合、
図3に示すように基準レグ21の容器内部は、蒸気Stで満たされている。つまり、差圧伝送器34が検出する差圧ΔPは、下記式(3)で演算できる値と等価である。
【0048】
ここで、γwは、液体タンク20の液体Wの比重である。γfは、可変レグ24の液体の比重である。γsは、蒸気Stの比重である。γfsは、基準レグ21の蒸気Stの比重である。上記式(3)を下記式(4)のようにすることで、ΔPを検出できれば、液面位置演算装置31は、液体タンク液面位置Hwを演算できる。
【0050】
基準レグ21の容器内部は、蒸気Stで満たされている場合、液面位置演算装置31は、上記式(4)を用いて差圧ΔPから液体タンク液面位置Hwを演算する(ステップS106)。
【0051】
次に、液面位置演算装置31は、ステップS106で求めた液体タンク液面位置Hwを表示装置32に表示する(ステップS107)。
【0052】
以上説明したように、本実施形態に係る差圧式液面位置計測装置1は、基準レグ21と、コンデンスポット22と、可変レグ24と、差圧伝送器34と、開閉弁40とを含む。液体タンク20には、液体Wと蒸気Stとが密閉されており、コンデンスポット22には、液体タンク20に接続されて蒸気の一部が導入される。基準レグ21には、コンデンスポット22の下部に上端部が接続され、可変レグ24には液体タンク20の下部に上端部が接続されている。開閉弁40は、基準レグ21に通じる通路を開閉でき、閉止時には基準レグ21内に液体wを貯留できると共に、開放時には基準レグ21内の液体wを排出できる。そして、差圧伝送器34は、基準レグ21の下端部と可変レグ24の下端部との差圧ΔPを検出する。
【0053】
この構造により、基準レグ21内の液体wを排出できるため、基準レグ21内の液体wの高さに左右されず、基準レグ21内の蒸気に基づいて、差圧伝送器34は、基準レグ21の下端部と可変レグ24の下端部の差圧を検出する。
【0054】
そして、差圧伝送器34は、開閉弁40が開放されることで基準レグ21内の液体wが排出され、蒸気Stに満たされた基準レグ21と、可変レグ24との差圧ΔPを検出し、液面位置演算装置31はこの差圧ΔPに基づいて液体タンク液面位置Hwを求めることができる。
【0055】
(変形例)
図5は、本実施形態の変形例に係る液面位置計測装置が基準レグに保有される液体を排出した状態を示す模式図である。
図5に示すように、差圧式液面位置計測装置1は、差圧伝送器34Aが第1の圧力センサ34a及び第2の圧力センサ34bを備えている。なお、上述した実施形態と同じ構成要素には同一の符号を付して、重複する説明は省略する。
【0056】
差圧伝送器34Aは、例えば、歪ゲージをダイヤフラム上に形成した第1の圧力センサ34a及び第2の圧力センサ34bを備えている。差圧伝送器34の第1圧力センサ34a及び第2の圧力センサ34bは、基準レグ21の下端部と可変レグ24の下端部との間にダイヤフラムを内在させ、基準レグ21の下端部と可変レグ24の下端部との間の圧力差である差圧を検出することができる。差圧伝送器34Aは、検出された差圧の情報を液面位置演算装置31へ出力することができる。
【0057】
第1の圧力センサ34aは、上記式(1)の差圧ΔPの変化に対応し、予め定められた差圧電気信号変換特性(測定レンジ)に応じて出力電流を生じさせる。同様に、第2の圧力センサ34b、上記式(3)の差圧ΔPの変化に対応し、予め定められた差圧電気信号変換特性(測定レンジ)に応じて出力電流を生じさせる。
【0058】
一般的には、圧力センサの出力電流の分解能及び圧力センサのA/D変換のデジタル値の分解能を変更しないまま、圧力センサの測定レンジを広げる場合、圧力センサの出力電流から得られる計測値の精度は低下する可能性がある。このため、上述した実施形態の差圧伝送器34は、圧力センサの差圧電気信号変換特性(測定レンジ)を上記式(3)の差圧ΔPの変化に合わせておくことが望ましい。
【0059】
本実施形態の変形例では、
図5に示すように、差圧伝送器34Aが差圧伝送器34Aが第1の圧力センサ34a及び第2の圧力センサ34bを備え、第1の圧力センサ34aの測定レンジは、第2の圧力センサ34bの測定レンジよりも狭いようにする。このため、基準レグ21の容器内部が液体wで満たされている場合、差圧伝送器34Aは、第1の圧力センサ34aで検出された差圧の情報を液面位置演算装置31へ出力する。また、基準レグ21の容器内部が蒸気stで満たされている場合、差圧伝送器34Aは、第2の圧力センサ34bで検出された差圧ΔPの情報を液面位置演算装置31へ出力する。これにより、第2の圧力センサ34bの測定レンジとは無関係に、基準レグ21の容器内部が液体wで満たされている場合に最適な第1の圧力センサ34aの測定レンジを定めることができることから、第1の圧力センサ34aで検出された差圧ΔPの情報を高精度に保つことができる。
【0060】
そして、第2の圧力センサ34bは、第1の圧力センサ34aよりも出力電流の分解能を高めることがより好ましい。あるいは、第2の圧力センサ34bまたは第2の圧力センサ34bの出力を処理する差圧伝送器34Aの処理回路は、第1の圧力センサ34aまたは第1の圧力センサ34aの出力を処理する差圧伝送器34Aの処理回路よりも、出力電流のA/D変換のデジタル値の分解能を高めることがより好ましい。これにより、基準レグ21の容器内部が蒸気stで満たされている場合に最適な第2の圧力センサ34bの測定レンジを定めることができることから、第2の圧力センサ34bで検出された差圧ΔPの情報を高精度に保つことができる。
【0061】
以上説明したように、差圧伝送器34Aは、基準レグ21の容器内部が液体wで満たされている場合に基準レグ21と可変レグ24との差圧を検出する第1の圧力センサ34aと、開閉弁40が開放されて基準レグ21内の液体wが排出され、かつ基準レグ21の容器内部が蒸気wtに満たされた場合に基準レグ21と可変レグ24との差圧を検出する第2の圧力センサ34bとを含む。この構造により、基準レグ21の容器内部が液体wで満たされている場合及び基準レグ21の容器内部が蒸気stで満たされている場合のいずれの場合でも差圧ΔPの情報を高精度に保つことができる。
【0062】
図6は、本実施形態に係る液面位置計測装置が設けられた原子力施設の概略構成図である。原子力施設100は、例えば、原子力発電プラントである。本実施形態において、原子力発電プラントは、加圧水型原子炉(PWR:Pressurized Water Reactor)となっている。加圧水型の原子力発電プラントは、原子炉5が一次冷却材となる軽水を加熱した後、加圧器6によって高温・高圧となった軽水をポンプにより蒸気発生器7に送る。そして、原子力発電プラントは、蒸気発生器7が、高温となった軽水を二次冷却材と熱交換させることにより二次冷却材を蒸発させ、蒸発した二次冷却材(蒸気)をタービンに送って発電機を駆動させることにより、発電を行っている。
【0063】
図6に示すように、原子力施設100は、原子炉5と、原子炉5を格納する原子炉格納容器10と、原子炉格納容器10の底部に設けられた貯水槽15とを備えている。原子炉格納容器10は、中空半球状に形成された容器天井部10aと、有底円筒状に形成された容器本体部10bとで一体に構成されている。原子炉格納容器10内の容器天井部10aには、スプレイ設備16が設けられている。スプレイ設備16は、複数のスプレイリング17と、貯水槽15からスプレイリング17へ向けて冷却水を供給する図示しないスプレイポンプとを有している。
【0064】
貯水槽15は、冷却水を貯水するものであり、用途に応じて複数種設けられている。貯水槽15としては、例えば、原子炉格納容器10内で用いられる冷却水を貯水する格納容器サンプ15a、スプレイリング17に供給される冷却水を貯水する再循環サンプ15b、原子炉格納容器10内の冷却時において冷却水が溜まるキャビティ15c等がある。
【0065】
原子力施設100は、原子力施設100で用いられる液体(一次冷却材又は二次冷却材等)を貯留する液体タンク20を有する。原子力施設100の液体タンク20は、例えば、上述した原子炉5、加圧器6及び蒸気発生器7等がある。加圧器6は、原子力施設100で用いられる液体のうち一次冷却材を貯留し、蒸気発生器7は、水室に一次冷却材を、伝熱管群が格納されて一次冷却材と二次冷却材との熱交換を行う熱交換部に二次冷却材を貯留する。この原子力施設100は、上述した差圧式液面位置計測装置1を含むので、液体タンク20に貯留された液体の液面の位置を求める際における精度低下を抑制することができる。
【0066】
本実施形態は、加圧水型原子炉の液体タンク20を対象としたが、本実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、本実施形態で説明した差圧式液面位置計測装置1は、沸騰水型原子炉(BWR:Boiling Water Reactor)の液体タンク、火力発電所の液体タンクに対しても適用できる。
【0067】
以上、本実施形態について説明したが、本実施形態は、上述した内容によって限定されるものではない。また、上述した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、上述した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。また、本実施形態の要旨を逸脱しない範囲で構成要素の種々の省略、置換又は変更を行うことができる。