特許第5955101号(P5955101)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5955101
(24)【登録日】2016年6月24日
(45)【発行日】2016年7月20日
(54)【発明の名称】ケーブル検査装置
(51)【国際特許分類】
   E01D 22/00 20060101AFI20160707BHJP
   E01D 11/00 20060101ALI20160707BHJP
【FI】
   E01D22/00 A
   E01D11/00
【請求項の数】7
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2012-120580(P2012-120580)
(22)【出願日】2012年5月28日
(65)【公開番号】特開2013-245496(P2013-245496A)
(43)【公開日】2013年12月9日
【審査請求日】2015年3月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】310010575
【氏名又は名称】地方独立行政法人北海道立総合研究機構
(73)【特許権者】
【識別番号】301078113
【氏名又は名称】株式会社 帝国設計事務所
(73)【特許権者】
【識別番号】508061549
【氏名又は名称】阪神高速技術株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】512138965
【氏名又は名称】内外構造株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100138896
【弁理士】
【氏名又は名称】森川 淳
(72)【発明者】
【氏名】浦池 隆文
(72)【発明者】
【氏名】波 通隆
(72)【発明者】
【氏名】須永 俊明
(72)【発明者】
【氏名】若山 昌信
(72)【発明者】
【氏名】杉井 謙一
(72)【発明者】
【氏名】宇都宮 光治
(72)【発明者】
【氏名】米谷 真二
(72)【発明者】
【氏名】谷川 光弘
【審査官】 越柴 洋哉
(56)【参考文献】
【文献】 特開平05−098609(JP,A)
【文献】 特開平05−033311(JP,A)
【文献】 特開平10−118964(JP,A)
【文献】 実開平01−084047(JP,U)
【文献】 特開2012−163402(JP,A)
【文献】 特開2012−242310(JP,A)
【文献】 中国特許出願公開第1256190(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01D 1/00−24/00
G01N 21/84−21/958
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
橋梁のケーブルの検査を行うための検査手段が搭載され、上記ケーブルに沿って走行するケーブル検査装置であって、
上記ケーブルを取り囲むフレームと、
上記フレームに取り付けられ、上記ケーブルの周面に接して駆動される駆動車輪と、
上記フレームの上記駆動車輪と対向する側に取り付けられ、上記フレームの中心軸に向かって揺動可能に設置された押圧車輪と、
上記押圧車輪を上記フレームの中心軸に向かって付勢し、上記押圧車輪をケーブルの周面に押圧する付勢手段と、
上記フレームの中心よりも押圧車輪側に全体の重心を偏らせる重心偏向手段と
上記駆動車輪を操舵する操舵機構と
を備えることを特徴とするケーブル検査装置。
【請求項2】
請求項に記載のケーブル検査装置において、
姿勢を検出する姿勢検出手段と、
上記姿勢検出手段の検出信号に基づいて上記操舵機構を制御する制御手段と
を備えることを特徴とするケーブル検査装置。
【請求項3】
請求項1に記載のケーブル検査装置において、
上記重心偏向手段は、電源装置、及び、上記駆動車輪又は検査手段を制御する制御装置の少なくとも1つを含むことを特徴とするケーブル検査装置。
【請求項4】
請求項1に記載のケーブル検査装置において、
上記フレームの中心軸直角断面において、2つの上記駆動車輪と1つの上記押圧車輪が、上記フレームに周方向に等間隔をおいて配置され、
上記重心偏向手段が、上記フレームの外側、かつ、上記押圧車輪が配置された周方向位置に配置されていることを特徴とするケーブル検査装置。
【請求項5】
請求項1に記載のケーブル検査装置において、
上記駆動車輪は、この駆動車輪を駆動する駆動源と共に駆動車輪アッセンブリに搭載され、
上記駆動車輪アッセンブリは、上記フレームに設けられてフレームの中心軸と直角に延在する操舵軸に枢着された車台と、この車台に設置された上記駆動源と、この駆動源が発生した動力を上記駆動車輪に伝達する動力伝達機構とを有することを特徴とするケーブル検査装置。
【請求項6】
請求項1に記載のケーブル検査装置において、
上記フレームの中心軸直角断面において2つの上記駆動車輪と1つの上記押圧車輪を備え、上記2つの駆動車輪と1つの押圧車輪が、上記フレームの中心軸方向に少なくとも2組設けられており、
上記駆動車輪は、この駆動車輪を駆動する駆動源と共に駆動車輪アッセンブリに搭載され、
上記駆動車輪アッセンブリは、上記フレームに設けられてフレームの中心軸と直角に延在する操舵軸に枢着された車台と、この車台に設置された上記駆動源と、この駆動源が発生した動力を上記駆動車輪に伝達する動力伝達機構とを有し、
上記フレームに関して同一の周方向位置にある少なくとも2つの上記駆動車輪アッセンブリが、上記フレームの中心軸と略平行の連動リンクで互いに連結されていることを特徴とするケーブル検査装置。
【請求項7】
請求項1に記載のケーブル検査装置において、
上記検査手段は、フレームの環状部材に設置された複数の撮像装置であることを特徴とするケーブル検査装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば斜張橋や吊り橋等の橋梁のケーブルを検査するために用いられるケーブル検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
斜張橋や吊り橋等のように、ケーブルを主要構造に用いた橋梁では、ケーブルの健全性を維持することが重要であり、そのため、定期的にケーブルの検査を行っている。橋梁のケーブルの検査は、検査員がケーブルに接近して直接目視をして行う近接検査が一般的である。吊り橋のメインケーブルに関して、ケーブルの上面に設置されたハンドロープに沿って検査員がケーブルを歩行しながら近接検査を行う例がある。
【0003】
しかしながら、検査員がケーブルを歩行して行う近接検査は、検査員が落下の危険に晒される問題がある。そこで、従来、吊り橋のメインケーブルの近接検査を行う装置として、ケーブルに沿って走行する車体と、この車体からケーブルの両側に吊り下げられて作業員が搭乗する2つのゴンドラを備えた検査車が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
この検査車は、ケーブルの上面に接触する主車輪と、ケーブルと平行に設置されたハンドロープに係合する補助車輪と、ハンドロープの支柱に固定したウインチロープを巻き取るウインチを備える。この検査車は、主車輪と補助車輪とでバランスを取りながらケーブルに沿って走行することにより、検査員が搭乗するゴンドラを安定して移動させ、ゴンドラから検査員が安全にケーブルの検査を行うことを可能としている。
【0005】
しかしながら、ケーブルにハンドロープが設置された橋梁は大型のものに限られるため、特許文献1の検査車を適用できる橋梁は少数である。また、ケーブルの検査においては、数ミリメートルの微細な亀裂をも検出する必要があり、しかも、微細な亀裂のケーブルにおける位置を正確に特定する必要があるが、このような精緻な作業をゴンドラに搭乗した検査者が行うのは困難である。また、主車輪がケーブルの上面に接触し、補助車輪がハンドロープに係合すると共に、ゴンドラがケーブルの両側に吊り下げられる上記検査車は、ケーブルの径やハンドロープの設置位置によって構造が決定されるため、専ら単一の橋梁にしか使用できず、汎用性が無く、コストが嵩む問題がある。
【0006】
ところで、斜張橋に関し、ケーブルに沿って本体を移動させる移動装置と、ケーブルを撮影するカメラと、カメラの撮影画像を送信する無線通信装置を備え、地上から移動装置の動作を遠隔制御して所望位置のケーブルをカメラで撮影し、撮影画像を地上の検査員が視認して検査を行うように構成したメンテナンスロボットが提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【0007】
このメンテナンスロボットの移動装置は、ケーブルを幅方向の両側から挟持するハンド部を本体の前後に2つ配置し、これらの2つのハンド部の間に、シリンダ機構等で形成した伸縮部を配置して構成されている。この移動装置は、一方のハンド部でケーブルを挟持すると共に他方のハンド部のケーブルの挟持を解除し、伸縮部を伸張して他方のハンド部を一方のハンド部から遠ざけた後、他方のハンド部でケーブルを挟持すると共に一方のハンド部のケーブルの挟持を解除し、伸縮部を収縮して一方のハンド部を他方のハンド部に近づける。この動作を移動装置が繰り返すことにより、メンテナンスロボットが尺取虫のようにケーブルに沿って移動する。ケーブルを撮影するカメラは、ハンド部のケーブルを挟持する部分から遠い部分に設置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2007−120242号公報
【特許文献2】特開平10−118964号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記従来のメンテナンスロボットは、移動装置が、ハンド部でケーブルを挟持する動作と、伸縮部を伸縮してハンド部を接離させる動作とを交互に行って移動動作をするので、移動の過程において、一方のハンド部のみしかケーブルに固定されない期間がある。この期間にケーブルの振動や風が生じると、メンテナンスロボットの姿勢が崩れる恐れがある。メンテナンスロボットの姿勢が崩れて本体がケーブルの軸周りに下方に移動した場合、ハンド部のケーブルの挟持が解除されると、ハンド部がケーブルから脱落してメンテナンスロボットが落下する恐れがある。したがって、上記メンテナンスロボットを用いてケーブルの検査を行う場合は、橋梁の交通を制限する必要がある。
【0010】
また、カメラがハンド部のケーブルを把持する部分から遠い部分に設置されているので、カメラとケーブルとの間が比較的遠いうえ、移動時にハンド部の動作に伴う振動がカメラに伝わり、撮影画像が不鮮明になりやすい問題がある。したがって、上記メンテナンスロボットは、移動装置が停止し、かつ、移動装置の2つのハンド部がケーブルを挟持する状態でしか、鮮明な撮影画像を取得できない不都合がある。
【0011】
そこで、本発明の課題は、落下を確実に防止でき、橋梁の交通を制限することなくケーブルの検査が可能なケーブル検査装置を提供することにある。また、ケーブルに沿って安定に走行でき、かつ、走行しながらケーブルに関する検査情報を精度良く採集でき、その結果、ケーブルの効率的な検査ができるケーブル検査装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するため、本発明のケーブル検査装置は、橋梁のケーブルの検査を行うための検査手段が搭載され、上記ケーブルに沿って走行するケーブル検査装置であって、
上記ケーブルを取り囲むフレームと、
上記フレームに取り付けられ、上記ケーブルの周面に接して駆動される駆動車輪と、
上記フレームの上記駆動車輪と対向する側に取り付けられ、上記フレームの中心軸に向かって揺動可能に設置された押圧車輪と、
上記押圧車輪を上記フレームの中心軸に向かって付勢し、上記押圧車輪をケーブルの周面に押圧する付勢手段と、
上記フレームの中心よりも押圧車輪側に全体の重心を偏らせる重心偏向手段と
を備えることを特徴としている。
【0013】
上記構成によれば、駆動車輪と押圧車輪が取り付けられるフレームは、ケーブルを取り囲むように形成されているので、万一、駆動車輪と押圧車輪によるケーブルの挟持が解除されても、ケーブル検査装置をケーブルに係合させることができるので、ケーブル検査装置がケーブルから離脱して落下することを防止できる。
【0014】
また、フレームの中心軸に向かって揺動可能に設置され、かつ、付勢手段で付勢された押圧車輪と、駆動車輪とでケーブルを挟持した状態で、上記駆動車輪が駆動されるので、このケーブル検査装置は安定してケーブルに沿って走行することができる。例えば、ケーブルに歪みが存在しても、ケーブルの表面との摩擦が不足して駆動車輪が空転したり、ケーブルの表面との摩擦が過大になって駆動車輪が停止したりすることが無く、安定してケーブルに沿って走行することができる。
【0015】
ここで、上記押圧車輪が取り付けられる位置に関し、上記フレームの上記駆動車輪と対向する側とは、駆動車輪が1つである場合は、フレームの中心軸と平行な法線を有する断面であって、上記中心軸に対して直角に切断されたときに表れる断面(以下「中心軸直角断面」という。)において、駆動車輪の幅方向の中央とフレームの中心とを結ぶ線と直角の線に関して、駆動車輪と反対の側をいう。また、駆動車輪が2つ以上である場合は、フレームの中心軸直角断面において、複数の駆動車輪の図心とフレームの中心とを結ぶ線と直角の線に関して、駆動車輪の図心と反対の側をいう。ここで、フレームの中心軸とは、フレームが取り囲むケーブルの中心軸と平行をなし、かつ、ケーブルの中心軸直角断面におけるフレームの図心を通る軸をいう。また、フレームの中心軸直角断面におけるフレームの中心とは、フレームの図心をいう。要は、付勢手段が押圧車輪に付与する付勢力により、駆動車輪をケーブルに押圧する方向の反力が得られる位置であればよい。
【0016】
また、上記構成のケーブル検査装置によれば、上記付勢手段によって、ケーブルの走行に伴う振動を軽減することができるので、検査手段に対する振動の影響を少なくできる。したがって、ケーブルに沿って移動しながら、検査手段によるケーブルの検査を精度良く行うことができる。その結果、精度の高い検査を効率的に行うことができる。また、上記駆動車輪は、少なくともケーブルに接する部分を樹脂又はゴムで形成することにより、走行時の振動を低減でき、検査手段に対する振動の影響を少なくできる。更に、押圧車輪の少なくともケーブルに接する部分を樹脂又はゴムで形成することにより、走行時の振動を更に低減できる。
【0017】
また、重心偏向手段により、フレームの中心よりも押圧車輪側に、このケーブル検査装置の全体の重心が偏るので、ケーブルに関して重心偏向手段が下方に位置するようにケーブル検査装置の姿勢が保持される。したがって、検査手段により検査を実行する位置を安定させることができるので、例えば数ミリメートルの微細な亀裂の発生位置を高精度に特定することができる。その結果、ケーブルの損傷や劣化の分析を正確に行うことができ、ケーブルの適切な補修計画を立てることができる。
【0018】
ここで、上記検査手段としては、可視光画像を撮る撮像装置や、赤外線画像を撮る撮像装置や、超音波をケーブルに出射して反射波を収集し、反射波に基づいてケーブルの内部を探査する超音波探査装置や、電磁波をケーブルに出射して反射波を収集し、反射波に基づいてケーブルの内部を探査する電磁波探査装置等が該当する。また、上記検査手段が収集したケーブルに関する情報は、情報格納手段に格納してもよく、また、無線通信装置で遠隔位置の受信装置に送信してもよい。
【0019】
また、上記橋梁は、吊り橋、斜張橋、及び、ニールセン橋等の種々の形式の橋梁が該当し、上記ケーブルは、橋梁に用いられるワイヤやロープ等の線状の部材が広く該当する。
【0020】
一実施形態のケーブル検査装置は、上記駆動車輪を操舵する操舵機構を備える。
【0021】
上記実施形態によれば、操舵機構で駆動車輪を操舵することにより、ケーブル検査装置の走行方向をケーブルの中心軸周りに変更することができ、ケーブル検査装置の姿勢を調節することができる。
【0022】
一実施形態のケーブル検査装置は、姿勢を検出する姿勢検出手段と、
上記姿勢検出手段の検出信号に基づいて上記操舵機構を制御する制御手段と
を備える。
【0023】
上記実施形態によれば、姿勢検出手段によってケーブル検査装置の姿勢が検出され、この姿勢検出手段の検出信号に基づいて、制御手段により操舵機構が制御されることにより、ケーブル検査装置の姿勢を自律的に適正に保持することができる。ここで、ケーブル検査装置の姿勢は、例えば、重力の方向に対するフレームの中心軸の傾斜角度と、フレームの中心軸周りの回動角度に基づいて特定することができる。また、姿勢検出手段としては、傾斜センサ、加速度センサ又はジャイロセンサ若しくはこれらの組み合わせ等を用いることができる。
【0024】
一実施形態のケーブル検査装置は、上記重心偏向手段は、電源装置、及び、上記駆動車輪又は検査手段を制御する制御装置の少なくとも1つを含む。
【0025】
上記実施形態によれば、電源装置、及び、駆動車輪又は検査手段を制御する制御装置の少なくとも1つを含んで重心偏向手段を形成することにより、ケーブル検査装置の構成部品を利用して、軽量化を図りながらケーブル検査装置の姿勢を保持することができる。
【0026】
一実施形態のケーブル検査装置は、上記フレームの中心軸直角断面において、2つの上記駆動車輪と1つの上記押圧車輪が、上記フレームに周方向に等間隔をおいて配置され、
上記重心偏向手段が、上記フレームの外側、かつ、上記押圧車輪が配置された周方向位置に配置されている。
【0027】
上記実施形態によれば、2つの駆動車輪と1つの押圧車輪が、フレームの周方向に等間隔をおいて配置されるので、駆動の安定性と操舵性を両立することができる。また、重心偏向手段が、フレームの押圧車輪が配置された周方向位置の外側に配置されるので、押圧車輪に対向して配置された駆動車輪に、ケーブル検査装置の荷重を集中して作用させることができる。したがって、駆動車輪とケーブルの表面と間の摩擦力を十分に確保でき、駆動車輪の空転や操舵不足を防止できる。
【0028】
一実施形態のケーブル検査装置は、上記駆動車輪は、この駆動車輪を駆動する駆動源と共に駆動車輪アッセンブリに搭載され、
上記駆動車輪アッセンブリは、上記フレームに設けられてフレームの中心軸と直角に延在する操舵軸に枢着された車台と、この車台に設置された上記駆動源と、この駆動源が発生した動力を上記駆動車輪に伝達する動力伝達機構とを有する。
【0029】
上記実施形態によれば、駆動車輪が駆動車輪アッセンブリとして提供されるので、ケーブル検査装置を容易に組み立てることができ、また、駆動に関する不具合が生じたときに、駆動車輪アッセンブリを交換することにより、容易に修理ができる。
【0030】
一実施形態のケーブル検査装置は、上記フレームの中心軸直角断面において2つの上記駆動車輪と1つの上記押圧車輪を備え、上記2つの駆動車輪と1つの押圧車輪が、上記フレームの中心軸方向に少なくとも2組設けられており、
上記駆動車輪は、この駆動車輪を駆動する駆動源と共に駆動車輪アッセンブリに搭載され、
上記駆動車輪アッセンブリは、上記フレームに設けられてフレームの中心軸と直角に延在する操舵軸に枢着された車台と、この車台に設置された上記駆動源と、この駆動源が発生した動力を上記駆動車輪に伝達する動力伝達機構とを有し、
上記フレームに関して同一の周方向位置にある少なくとも2つの上記駆動車輪アッセンブリが、上記フレームの中心軸と略平行の連動リンクで互いに連結されている。
【0031】
上記実施形態によれば、2つの駆動車輪と1つの押圧車輪の組がフレームの中心軸方向に少なくとも2組設けられているので、ケーブル検査装置を安定して走行させることができる。また、少なくとも2つの駆動車輪のアッセンブリが連動リンクで連結されているので、駆動車輪を連動させて、ケーブル検査装置を安定して駆動することができる。また、操舵を行う際に、少なくとも2つの駆動車輪の操舵を同調させて、精度良くケーブル検査装置の走行方向を変更することができる。
【0032】
一実施形態のケーブル検査装置は、上記検査手段は、フレームの環状部材に設置された複数の撮像装置である。
【0033】
上記実施形態によれば、検査手段としてのフレームの環状部材に設置された複数の撮像装置により、ケーブルの周面の画像を周方向に連続的に撮影することができる。さらに、ケーブル検査装置が走行しながら複数の撮像装置で撮影を行うことにより、ケーブルの周面の展開画像を作成することができる。ここで、本発明のケーブル検査装置は、姿勢を保持して走行できるので、上記ケーブルの周面の展開画像に基づいて、ケーブルに生じた亀裂等の位置及び大きさを高精度に特定できる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1】本発明の実施形態のケーブル検査装置を示す斜視図である。
図2】橋梁としての斜張橋を示す側面図である。
図3】ケーブル検査装置を模式的に示した横断面図である。
図4】ケーブル検査装置を模式的に示した縦断面図である。
図5】小径のケーブルを検査する様子を模式的に示した横断面図である。
図6】大径のケーブルを検査する様子を模式的に示した横断面図である。
図7】駆動車輪ユニットを示す側面図である。
図8】駆動車輪ユニットを示す平面図である。
図9】押圧車輪ユニットを示す側面図である。
図10】押圧車輪ユニットを示す平面図である。
図11】制御装置による制御系統を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、本発明を図示の実施の形態により詳細に説明する。
【0036】
本発明の実施形態のケーブル検査装置は、橋梁の主要部材を構成するケーブルの健全性を判断するため、ケーブルに沿って無人で移動しながらケーブルの損傷に関する情報を収集するものである。図1の斜視図に示すように、実施形態のケーブル検査装置1は、ケーブル12を取り囲むフレーム2と、ケーブル12の周面に接して駆動される駆動車輪3と、ケーブル12の周面を押圧する押圧車輪4と、フレーム2の外径側に突出して配置された重心偏向手段としての制御ボックス6と、フレーム2の端部に設置された検査手段としての撮像装置8を備える。
【0037】
このケーブル検査装置1は、図2の側面図に示すような斜張橋10に適用され、主塔11の上部から床版13に向かって掛け渡された複数のケーブル12,12,12・・・の検査を行う。この斜張橋10には、3種類の異なる径のケーブル12が用いられており、本実施形態のケーブル検査装置1は、上記径の異なる全てのケーブル12の検査が可能に構成されている。
【0038】
ケーブル検査装置1のフレーム2は、概ね円筒形状を有し、両端に配置された環状の端部枠21,21の間に、6つの板状のユニットフレーム22が掛け渡されて構成されている。6つのユニットフレーム22は、周方向の相互間に隙間をおき、かつ、隣り合う2つのユニットフレーム22が120°の角度をなすように配置されている。なお、端部枠は環状に限らず、6角形や12角形等の多角形でもよい。また、ユニットフレーム22は、板状に限らず、型材で構成された枠状であってもよい。また、隣り合うユニットフレーム22の端部を接続部材で接続して円筒形状のフレームを構成してもよい。フレーム2は、2つの円筒半割部分に分割され、互いの円筒半割部分の一端縁がヒンジで接続されて開閉可能になっている。フレーム2の円筒半割部分の他端縁を開いて、斜張橋10のケーブル12に着脱するように構成されている。なお、2つの円筒半割部分はヒンジ以外の連結具で連結されてもよい。また、ケーブル12に着脱可能であれば、円筒形状のフレーム2を2つの半割部分で構成する以外に、円筒形状のフレーム2の側面の一部を開閉可能又は着脱可能に形成してもよい。
【0039】
図3は、ケーブル検査装置1を模式的に示した横断面図であり、概ね円筒形状をなすフレーム2の中心軸直角断面を示している。なお、厳密には、フレーム2を駆動車輪3の近傍で切断すると、6つの板状のユニットフレーム22の断面が現れるが、図3では、フレーム2の断面として、ユニットフレーム22を取り囲む環状の断面に近似して示している。図5及び6の横断面図についても、フレーム2の断面として、ユニットフレーム22を取り囲む環状の断面に近似して示す。図3に示すように、2つの駆動車輪3と1つの押圧車輪4は、互いに等角度間隔をおいてフレーム2の内側に配置されている。すなわち、2つの駆動車輪3と1つの押圧車輪4は、フレーム2の中心軸直角断面において、駆動車輪3と押圧車輪4の幅方向の中央が、フレーム2の中心Cから120°おきに描いた半径線L1又はL2を通るように配置されている。なお、フレーム2の中心Cは、フレーム2の中心軸が通る点である。フレーム2の中心軸直角断面において、2つの駆動車輪3の幅方向の中央を結ぶ線分L3の2等分点に、2つの駆動車輪3の図心Pが位置する。この図心Pとフレームの中心Cとを結ぶ線分L4と直角をなす径線Dに関して、駆動車輪3の図心Pの反対側に押圧車輪4が配置されている。このように、押圧車輪4は、2つの駆動車輪3と対向する位置に配置されている。
【0040】
撮像装置8は可視光画像を撮影するデジタルカメラであり、フレーム2が取り囲むケーブル12の周面にレンズを向けて、フレーム2の端部枠21の端面に取り付けられている。撮像装置8は、端部枠21に沿って複数個設置され、ケーブル検査装置1がケーブル12に沿って走行するに伴い、ケーブル12の全周面を連続して撮影するように構成されている。撮像装置8が撮影した画像の情報は、位置情報が付与されて無線通信装置で送信される。無線通信装置で送信された画像情報は、遠隔位置の受信装置に受信され、ディスプレイに表示されて検査員の目視検査が行われると共に、受信装置に接続された記憶装置に保存される。なお、撮像装置8が撮影した画像情報は、ケーブル検査装置1に設けた図示しない記憶装置に保存してもよい。
【0041】
図4は、ケーブル検査装置1を模式的に示した縦断面図であり、円筒形状をなすフレーム2の中心軸に沿った断面を示している。図3及び4に示すように、駆動車輪3は車台としての支持台32上に立設された駆動軸支柱31に回動可能に支持され、支持台32は、フレーム2の径方向に延在する操舵軸33に枢着されている。後に詳述するように、駆動車輪3は、支持台32に取り付けられた駆動源としてのモータ35によって駆動される。また、押圧車輪4は揺動アーム41に支持され、この揺動アーム41は、フレーム2に一端が連結された付勢手段43によってフレーム2の中心軸側に付勢されている。これにより、押圧車輪4を、2つの駆動車輪3の間に配置されるケーブル12側に付勢して、押圧車輪4をケーブル12の周面に押圧している。
【0042】
フレーム2の押圧車輪4と同じ周方向位置に、フレーム2の外周側に突出する制御ボックス6が配置されている。制御ボックス6は、フレーム2に連結された収容枠60内に、制御装置61と、受信装置62と、姿勢検出手段としての姿勢センサ63と、電源装置64が収容されて構成されている。電源装置64は、充電可能な蓄電池で形成されるが、太陽光発電機を含んでもよい。収容枠60は、箱状であっても、骨組状であってもよい。この制御ボックス6により、ケーブル検査装置1の全体の重心が、フレーム2の中心軸よりも押圧車輪4側に位置している。これにより、ケーブル12に沿って走行する際に、押圧車輪4及び制御ボックス6がケーブル12の下側に位置して、姿勢を安定に保持するようになっている。なお、収容枠60内には、制御装置61、受信装置62、姿勢センサ63、及び、電源装置64以外に、錘を設置してもよい。
【0043】
本実施形態のケーブル検査装置1は、2つの駆動車輪3に対向する1つの押圧車輪4が、フレーム2の中心軸に向かって揺動可能に形成され、かつ、付勢手段43によってフレーム2の中心軸側に付勢されているので、径が異なる種々のケーブル12に適用できる。図3のように、中心軸がフレーム2の中心軸と略一致する径を有するケーブル12では、2つの駆動車輪3の幅方向の中心がケーブル12の周面に接触する。一方、ケーブル検査装置1を図3のケーブル12よりも径の小さいケーブル12に適用する場合、図5の横断面図に示すように、押圧車輪4が図3におけるよりもフレーム2の中心軸側に移動してケーブル12の周面の下側部分を押圧する。これと共に、2つの駆動車輪3は、幅方向の中央よりも互いに近い部分がケーブル12の周面の上側部分に接触する。他方、ケーブル検査装置1を図3のケーブル12よりも径の大きいケーブル12に適用する場合、図6の横断面図に示すように、押圧車輪4が図3におけるよりも制御ボックス6側に移動してケーブル12の周面の下側部分を押圧する。これと共に、2つの駆動車輪3は、幅方向の中央よりも互いに遠い部分がケーブル12の周面の上側部分に接触する。このようにして、本実施形態のケーブル検査装置1は、斜張橋10に用いられる160mm、180mm、及び、200mmの3種類の直径のケーブル12の検査が可能となっている。なお、本実施形態のケーブル検査装置1を適用するケーブルは、上記径のケーブル12に限られない。また、単一のケーブル検査装置1によって検査を行うケーブルの種類は、3種類以外の何種類でもよい。
【0044】
上記フレーム2を構成する6つのユニットフレーム22のうち、2つのユニットフレーム22は、駆動車輪3及びモータが設置されて駆動車輪ユニット23を構成し、1つのユニットフレーム22は、押圧車輪4が設置されて押圧車輪ユニット24を構成している。
【0045】
図7は、駆動車輪ユニット23を示す側面図であり、図8は、駆動車輪ユニット23を示す平面図である。駆動車輪ユニット23は、ユニットフレーム22の長手方向の両端部の近傍に操舵軸33が立設され、この操舵軸33に、駆動車輪アッセンブリ30が枢着されている。駆動車輪アッセンブリ30は、操舵軸33に枢着された支持台32と、支持台32の両端縁に立設された駆動軸支柱31と、駆動軸支柱31に回動可能に支持された駆動車輪3と、支持台32上に設置された駆動モータ35を有する。駆動モータ35の回転力が出力軸プーリ36から動力伝達ベルト37を介して駆動車輪3の入力軸プーリ38に伝達され、駆動車輪3が矢印Rで示すように回転駆動される。このように、出力軸プーリ36と動力伝達ベルト37と入力軸プーリ38で動力伝達機構を構成しているが、歯車やチェーン等を用いて動力伝達機構を構成してもよい。
【0046】
ユニットフレーム22の両端部に設置された2つの駆動車輪アッセンブリ30のうち、一方の駆動車輪アッセンブリ30に、操舵リンク53が連結されている。操舵リンク53は、一端が、駆動車輪アッセンブリ30の支持台32の幅方向において一方の端部に連結されており、他端が、操舵モータ51の出力軸に連結された揺動アーム52に連結されている。駆動車輪アッセンブリ30の支持台32の幅方向において他方の端部には、連動リンク55の一端が連結されている。連動リンク55の他端は、他方の駆動車輪アッセンブリ30の支持台32の幅方向において他方の端部に連結されている。上記操舵モータ51と、揺動アーム52と、操舵リンク53と、連動リンク55とで操舵機構を構成している。操舵機構は、操舵モータ51の回転力により、矢印Sで示すように、2つの駆動車輪アッセンブリ30を同時に操舵軸33周りに回動させて駆動車輪3を操舵する。なお、連動リンク55を削除すると共に他方の駆動車輪アッセンブリ30をユニットフレーム22に固定し、一方の駆動車輪アッセンブリ30のみを操舵するように構成してもよい。あるいは、駆動車輪アッセンブリ30の間を連結する連動リンク55を削除すると共に、駆動車輪アッセンブリ30毎に操舵モータ51を配置し、複数の操舵モータ51の制御を連動又は協調させてもよい。この場合、複数の駆動車輪アッセンブリ30を、互いに同じ操舵角度に操舵してもよく、互いに異なる操舵角度に操舵してもよい。また、駆動車輪ユニット23は、駆動車輪アッセンブリ30を必ずしも操舵可能に設置する必要は無く、ユニットフレーム22に駆動車輪アッセンブリ30を固定してもよい。この場合、重心偏向手段としての制御ボックス6のみによって、ケーブル検査装置1の走行方向が調整される。
【0047】
図9は、押圧車輪ユニット24を示す側面図であり、図10は、押圧車輪ユニット24を示す平面図である。押圧車輪ユニット24は、ユニットフレーム22の長手方向の両端部の近傍に、2つの押圧車輪アッセンブリ40が固定されている。押圧車輪アッセンブリ40は、ユニットフレーム22に立設された押圧軸支柱42と、この押圧軸支柱42に枢着された揺動アーム41と、この揺動アーム41の一端に回転可能に支持された押圧車輪4と、一端がユニットフレーム22に固定されて他端が揺動アーム41の他端に連結された付勢手段43を有する。付勢手段43は、コイルバネや板バネ等の弾性部材を用いて付勢力を発揮するものや、ガスシリンダやオイルシリンダ等の流体圧を用いて付勢力を発揮するものを採用できる。上記付勢手段43により、揺動アーム41を介して押圧車輪4をユニットフレーム22の法線方向に付勢し、すなわち、ユニットフレーム22を含んで構成されたフレーム2の中心軸側に押圧車輪4を付勢するように構成されている。これにより、押圧車輪4をケーブル12の周面に押圧して、押圧車輪ユニット24と対向して設置された駆動車輪ユニット23の駆動車輪3と、ケーブル12の周面との間の摩擦力を高めるように構成されている。
【0048】
押圧車輪ユニット24のユニットフレーム22の長手方向における略中央には、エンコーダアッセンブリ70が設置されている。エンコーダアッセンブリ70は、ユニットフレーム22に立設されたロータ支柱72と、ロータ支柱72に揺動自在に支持された揺動アーム71と、揺動アーム71の一端に回動自在に枢着されたロータ7と、一端がユニットフレーム22に固定されて他端が揺動アーム71の他端に連結された付勢手段73を有する。付勢手段73により、揺動アーム71を介してロータ7をユニットフレーム22の法線方向に付勢し、すなわち、ユニットフレーム22を含んで構成されたフレーム2の中心軸側にロータ7を付勢するように構成されている。これにより、ロータ7がケーブル12の周面に押圧され、ケーブル検査装置1がケーブル12に沿って移動するに伴って上記ロータ7が回転する。このロータ7の回転角度を、図示しないフォトインタラプタ等で検出し、検出されたロータ7の回転角度に基づいて、ケーブル検査装置1の移動距離を検知するように構成されている。エンコーダアッセンブリ70で検知された移動距離に関する情報は、撮像装置8が撮影した画像の位置情報として、画像情報に関連付けられて無線通信装置で送信される。無線通信装置で送信された情報は、遠隔位置の受信装置に受信されて、ディスプレイに表示されると共に、受信装置に接続された記憶装置に保存される。なお、移動距離に関する情報は、ケーブル検査装置1に設けた図示しない記憶装置に保存してもよい。
【0049】
図11は、制御装置61による制御系統を示すブロック図である。制御装置61は、受信装置62と姿勢センサ63からの信号に基づいて、駆動車輪ユニット23の駆動モータ35と、操舵モータ51を制御するように構成されている。受信装置62は、遠隔位置の操作者が操作するコントローラから、速度及び/又は進行方向を指令する信号を受信する。姿勢センサ63はフレーム2に設置され、加速度センサによって形成されている。なお、姿勢センサ63は、傾斜センサで形成してもよい。また、姿勢センサ63は、加速度センサとジャイロセンサを組み合わせて形成してもよく、あるいは、傾斜センサとジャイロセンサを組み合わせて形成してもよい。この姿勢センサ63からの出力信号に基づいて、フレーム2の中心軸の重力方向に対する傾斜角度と、フレーム2の中心軸周りの回動角度が算出されてケーブル検査装置1の姿勢が検知される。制御装置61は、受信装置62がコントローラから速度を指令する信号を受信すると、指令された速度となるように駆動モータ35の動作を制御する。また、受信装置62がコントローラから進行方向を指令する信号を受信すると、制御装置61は、指令された進行方向となるように操舵モータ51の動作を制御する。このように、ケーブル検査装置1は、制御装置61の制御の下、コントローラを用いた遠隔操作に応じた速度及び進行方向に走行する。また、制御装置61は、姿勢センサ63からの出力信号に基づいて、押圧車輪4及び制御ボックス6がケーブル12の下側に位置するように操舵モータ51の動作を制御する。これにより、ケーブル検査装置1の姿勢を、自律的に安定に保持する。
【0050】
本実施形態のケーブル検査装置1によれば、円筒形状のフレーム2がケーブル12を取り囲むように形成されているので、万一、駆動車輪3と押圧車輪4によるケーブル12の挟持が解除されても、ケーブル検査装置1をケーブル12に係合させることができる。したがって、ケーブル検査装置1がケーブル12から離脱して落下することを防止できるので、斜張橋10の床版13上の交通を規制することなく、ケーブル12の検査を行うことができる。
【0051】
また、本実施形態のケーブル検査装置1は、フレーム2の中心軸に向かって揺動可能に設置され、かつ、付勢手段43で付勢された押圧車輪4と、駆動車輪3とでケーブル12を挟持した状態で、駆動車輪3を駆動するので、ケーブル12の表面に歪みが存在しても、駆動車輪3の空転や停止が生じることなく、安定してケーブル12に沿って走行することができる。
【0052】
上記駆動車輪3は、少なくともケーブル12に接する部分を樹脂又はゴムで形成するのが好ましい。駆動車輪3を樹脂又はゴムで形成することにより、走行時の振動を低減でき、撮像装置8に対する振動の影響を少なくできる。したがって、ケーブル12に沿って移動しながら、撮像装置8によってケーブル12の表面の高精細画像を撮影することができる。その結果、効率的かつ正確にケーブル12の表面の状態を検査することができる。また、押圧車輪4の少なくともケーブル12に接する部分を樹脂又はゴムで形成することにより、走行時の振動を更に低減できる。
【0053】
また、本実施形態のケーブル検査装置1は、制御ボックス6により、フレーム2の中心軸よりも押圧車輪4側に重心を偏らせるので、ケーブル検査装置1の姿勢が、ケーブル12の下方に制御ボックス6が位置するように保持される。したがって、撮像装置8による画像の撮影位置を安定させることができるので、撮影画像のケーブル12に対応する位置を正確に特定できるから、撮影画像中の数ミリメートルの微細な亀裂のケーブル12上の位置を正確に特定できる。その結果、ケーブル12の損傷や劣化の分析を正確に行うことができ、ケーブル12の適切な補修計画を立てることができる。
【0054】
上記実施形態のケーブル検査装置1は、フレーム2の中心軸直角断面における2つの駆動車輪3と1つの押圧車輪4からなる組を、フレーム2の中心軸方向に2組設けたが、3組以上設けてもよい。また、フレーム2の中心軸直角断面において、2つの駆動車輪3と1つの押圧車輪4を設けたが、駆動車輪3と押圧車輪4の個数は適宜変更してもよい。
【0055】
また、上記実施形態のケーブル検査装置1は、押圧車輪4以外の車輪を全て駆動車輪3としたが、押圧車輪4と駆動車輪3の他に従動車輪を設けてもよい。ここで、従動車輪とは、駆動力を受けず、回転自在にフレームに取り付けられ、ケーブル12に沿ってケーブル検査装置1が移動する際にケーブル12の表面と接触する車輪をいう。例えば、図7の駆動車輪ユニット23が有する2つの駆動車輪アッセンブリ30のうち、いずれか1つの駆動車輪アッセンブリ30から駆動モータ35、出力軸プーリ36、動力伝達ベルト37及び入力軸プーリ38を削除し、残った駆動車輪3を従動車輪としてもよい。すなわち、従動車輪は、フレーム2の径方向に延在する操舵軸33に枢着された車台としての支持台32上に回転軸支柱を立設し、この回転軸支柱に回転自在に支持されてもよい。あるいは、従動車輪は、フレーム2に回転軸支柱を立設して回転自在に支持されてもよい。
【0056】
また、上記実施形態のケーブル検査装置1は、検査手段として撮像装置8を搭載したが、赤外線撮像装置や、超音波探査装置や、電磁波探査装置等を搭載してもよい。
【0057】
また、上記実施形態では、ケーブル検査装置1で斜張橋10のケーブルを検査する例を説明したが、本発明のケーブル検査装置は、吊り橋やニールセン橋等の種々の形式の橋梁が備えるケーブルやロープの検査に適用できる。例えば、吊り橋のハンガーロープや、ニールセン橋の斜材ケーブルの検査に、本発明のケーブル検査装置を適用できる。
【符号の説明】
【0058】
1 ケーブル検査装置
2 フレーム
3 駆動車輪
4 押圧車輪
6 制御ボックス
8 撮像装置
10 斜張橋
12 ケーブル
43 付勢手段
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11