【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するため、本発明のケーブル検査装置は、橋梁のケーブルの検査を行うための検査手段が搭載され、上記ケーブルに沿って走行するケーブル検査装置であって、
上記ケーブルを取り囲むフレームと、
上記フレームに取り付けられ、上記ケーブルの周面に接して駆動される駆動車輪と、
上記フレームの上記駆動車輪と対向する側に取り付けられ、上記フレームの中心軸に向かって揺動可能に設置された押圧車輪と、
上記押圧車輪を上記フレームの中心軸に向かって付勢し、上記押圧車輪をケーブルの周面に押圧する付勢手段と、
上記フレームの中心よりも押圧車輪側に全体の重心を偏らせる重心偏向手段と
を備えることを特徴としている。
【0013】
上記構成によれば、駆動車輪と押圧車輪が取り付けられるフレームは、ケーブルを取り囲むように形成されているので、万一、駆動車輪と押圧車輪によるケーブルの挟持が解除されても、ケーブル検査装置をケーブルに係合させることができるので、ケーブル検査装置がケーブルから離脱して落下することを防止できる。
【0014】
また、フレームの中心軸に向かって揺動可能に設置され、かつ、付勢手段で付勢された押圧車輪と、駆動車輪とでケーブルを挟持した状態で、上記駆動車輪が駆動されるので、このケーブル検査装置は安定してケーブルに沿って走行することができる。例えば、ケーブルに歪みが存在しても、ケーブルの表面との摩擦が不足して駆動車輪が空転したり、ケーブルの表面との摩擦が過大になって駆動車輪が停止したりすることが無く、安定してケーブルに沿って走行することができる。
【0015】
ここで、上記押圧車輪が取り付けられる位置に関し、上記フレームの上記駆動車輪と対向する側とは、駆動車輪が1つである場合は、フレームの中心軸と平行な法線を有する断面であって、上記中心軸に対して直角に切断されたときに表れる断面(以下「中心軸直角断面」という。)において、駆動車輪の幅方向の中央とフレームの中心とを結ぶ線と直角の線に関して、駆動車輪と反対の側をいう。また、駆動車輪が2つ以上である場合は、フレームの中心軸直角断面において、複数の駆動車輪の図心とフレームの中心とを結ぶ線と直角の線に関して、駆動車輪の図心と反対の側をいう。ここで、フレームの中心軸とは、フレームが取り囲むケーブルの中心軸と平行をなし、かつ、ケーブルの中心軸直角断面におけるフレームの図心を通る軸をいう。また、フレームの中心軸直角断面におけるフレームの中心とは、フレームの図心をいう。要は、付勢手段が押圧車輪に付与する付勢力により、駆動車輪をケーブルに押圧する方向の反力が得られる位置であればよい。
【0016】
また、上記構成のケーブル検査装置によれば、上記付勢手段によって、ケーブルの走行に伴う振動を軽減することができるので、検査手段に対する振動の影響を少なくできる。したがって、ケーブルに沿って移動しながら、検査手段によるケーブルの検査を精度良く行うことができる。その結果、精度の高い検査を効率的に行うことができる。また、上記駆動車輪は、少なくともケーブルに接する部分を樹脂又はゴムで形成することにより、走行時の振動を低減でき、検査手段に対する振動の影響を少なくできる。更に、押圧車輪の少なくともケーブルに接する部分を樹脂又はゴムで形成することにより、走行時の振動を更に低減できる。
【0017】
また、重心偏向手段により、フレームの中心よりも押圧車輪側に、このケーブル検査装置の全体の重心が偏るので、ケーブルに関して重心偏向手段が下方に位置するようにケーブル検査装置の姿勢が保持される。したがって、検査手段により検査を実行する位置を安定させることができるので、例えば数ミリメートルの微細な亀裂の発生位置を高精度に特定することができる。その結果、ケーブルの損傷や劣化の分析を正確に行うことができ、ケーブルの適切な補修計画を立てることができる。
【0018】
ここで、上記検査手段としては、可視光画像を撮る撮像装置や、赤外線画像を撮る撮像装置や、超音波をケーブルに出射して反射波を収集し、反射波に基づいてケーブルの内部を探査する超音波探査装置や、電磁波をケーブルに出射して反射波を収集し、反射波に基づいてケーブルの内部を探査する電磁波探査装置等が該当する。また、上記検査手段が収集したケーブルに関する情報は、情報格納手段に格納してもよく、また、無線通信装置で遠隔位置の受信装置に送信してもよい。
【0019】
また、上記橋梁は、吊り橋、斜張橋、及び、ニールセン橋等の種々の形式の橋梁が該当し、上記ケーブルは、橋梁に用いられるワイヤやロープ等の線状の部材が広く該当する。
【0020】
一実施形態のケーブル検査装置は、上記駆動車輪を操舵する操舵機構を備える。
【0021】
上記実施形態によれば、操舵機構で駆動車輪を操舵することにより、ケーブル検査装置の走行方向をケーブルの中心軸周りに変更することができ、ケーブル検査装置の姿勢を調節することができる。
【0022】
一実施形態のケーブル検査装置は、姿勢を検出する姿勢検出手段と、
上記姿勢検出手段の検出信号に基づいて上記操舵機構を制御する制御手段と
を備える。
【0023】
上記実施形態によれば、姿勢検出手段によってケーブル検査装置の姿勢が検出され、この姿勢検出手段の検出信号に基づいて、制御手段により操舵機構が制御されることにより、ケーブル検査装置の姿勢を自律的に適正に保持することができる。ここで、ケーブル検査装置の姿勢は、例えば、重力の方向に対するフレームの中心軸の傾斜角度と、フレームの中心軸周りの回動角度に基づいて特定することができる。また、姿勢検出手段としては、傾斜センサ、加速度センサ又はジャイロセンサ若しくはこれらの組み合わせ等を用いることができる。
【0024】
一実施形態のケーブル検査装置は、上記重心偏向手段は、電源装置、及び、上記駆動車輪又は検査手段を制御する制御装置の少なくとも1つを含む。
【0025】
上記実施形態によれば、電源装置、及び、駆動車輪又は検査手段を制御する制御装置の少なくとも1つを含んで重心偏向手段を形成することにより、ケーブル検査装置の構成部品を利用して、軽量化を図りながらケーブル検査装置の姿勢を保持することができる。
【0026】
一実施形態のケーブル検査装置は、上記フレームの中心軸直角断面において、2つの上記駆動車輪と1つの上記押圧車輪が、上記フレームに周方向に等間隔をおいて配置され、
上記重心偏向手段が、上記フレームの外側、かつ、上記押圧車輪が配置された周方向位置に配置されている。
【0027】
上記実施形態によれば、2つの駆動車輪と1つの押圧車輪が、フレームの周方向に等間隔をおいて配置されるので、駆動の安定性と操舵性を両立することができる。また、重心偏向手段が、フレームの押圧車輪が配置された周方向位置の外側に配置されるので、押圧車輪に対向して配置された駆動車輪に、ケーブル検査装置の荷重を集中して作用させることができる。したがって、駆動車輪とケーブルの表面と間の摩擦力を十分に確保でき、駆動車輪の空転や操舵不足を防止できる。
【0028】
一実施形態のケーブル検査装置は、上記駆動車輪は、この駆動車輪を駆動する駆動源と共に駆動車輪アッセンブリに搭載され、
上記駆動車輪アッセンブリは、上記フレームに設けられてフレームの中心軸と直角に延在する操舵軸に枢着された車台と、この車台に設置された上記駆動源と、この駆動源が発生した動力を上記駆動車輪に伝達する動力伝達機構とを有する。
【0029】
上記実施形態によれば、駆動車輪が駆動車輪アッセンブリとして提供されるので、ケーブル検査装置を容易に組み立てることができ、また、駆動に関する不具合が生じたときに、駆動車輪アッセンブリを交換することにより、容易に修理ができる。
【0030】
一実施形態のケーブル検査装置は、上記フレームの中心軸直角断面において2つの上記駆動車輪と1つの上記押圧車輪を備え、上記2つの駆動車輪と1つの押圧車輪が、上記フレームの中心軸方向に少なくとも2組設けられており、
上記駆動車輪は、この駆動車輪を駆動する駆動源と共に駆動車輪アッセンブリに搭載され、
上記駆動車輪アッセンブリは、上記フレームに設けられてフレームの中心軸と直角に延在する操舵軸に枢着された車台と、この車台に設置された上記駆動源と、この駆動源が発生した動力を上記駆動車輪に伝達する動力伝達機構とを有し、
上記フレームに関して同一の周方向位置にある少なくとも2つの上記駆動車輪アッセンブリが、上記フレームの中心軸と略平行の連動リンクで互いに連結されている。
【0031】
上記実施形態によれば、2つの駆動車輪と1つの押圧車輪の組がフレームの中心軸方向に少なくとも2組設けられているので、ケーブル検査装置を安定して走行させることができる。また、少なくとも2つの駆動車輪のアッセンブリが連動リンクで連結されているので、駆動車輪を連動させて、ケーブル検査装置を安定して駆動することができる。また、操舵を行う際に、少なくとも2つの駆動車輪の操舵を同調させて、精度良くケーブル検査装置の走行方向を変更することができる。
【0032】
一実施形態のケーブル検査装置は、上記検査
手段は、フレームの環状部材に設置された複数の撮像装置である。
【0033】
上記実施形態によれば、検査
手段としてのフレームの環状部材に設置された複数の撮像装置により、ケーブルの周面の画像を周方向に連続的に撮影することができる。さらに、ケーブル検査装置が走行しながら複数の撮像装置で撮影を行うことにより、ケーブルの周面の展開画像を作成することができる。ここで、本発明のケーブル検査装置は、姿勢を保持して走行できるので、上記ケーブルの周面の展開画像に基づいて、ケーブルに生じた亀裂等の位置及び大きさを高精度に特定できる。