特許第5955105号(P5955105)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5955105
(24)【登録日】2016年6月24日
(45)【発行日】2016年7月20日
(54)【発明の名称】直進炎型ガスバーナ
(51)【国際特許分類】
   F23D 14/22 20060101AFI20160707BHJP
【FI】
   F23D14/22 F
【請求項の数】2
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2012-126345(P2012-126345)
(22)【出願日】2012年6月1日
(65)【公開番号】特開2013-250025(P2013-250025A)
(43)【公開日】2013年12月12日
【審査請求日】2015年1月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000284
【氏名又は名称】大阪瓦斯株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107308
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 修一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100120352
【弁理士】
【氏名又は名称】三宅 一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100128901
【弁理士】
【氏名又は名称】東 邦彦
(72)【発明者】
【氏名】田中 康郎
【審査官】 鈴木 貴雄
(56)【参考文献】
【文献】 特開平06−137525(JP,A)
【文献】 特開平09−296913(JP,A)
【文献】 特開平03−140706(JP,A)
【文献】 特公平01−020323(JP,B2)
【文献】 特開2004−191018(JP,A)
【文献】 実開平02−028929(JP,U)
【文献】 米国特許第06024083(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F23D 14/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
後端側から前端側に向けて燃焼用空気が流動する円筒状の燃焼筒内に、バーナ本体が、前記燃焼筒の内周面との間に環状の空気流路を形成する状態でかつ前記燃焼筒の前端部よりも燃焼用空気の流動方向上手側に位置させる状態で配置され、
前記バーナ本体が、前記燃焼用空気の流動方向下手側に位置する先端部ほど大径となる中空円錐台状のコーン部と、前記コーン部の後端側底部に連なりかつガス燃料が供給されるガス燃料供給用筒部とを備える状態に形成され、
前記コーン部の後端側底部に、前記ガス燃料供給用筒部から供給されるガス燃料を前記コーン部の内部空間に噴出する主炎孔が形成され、
前記コーン部の周壁部に、前記コーン部の後端側底部の外周側部分と前記コーン部の先端部とを連通して、前記ガス燃料供給用筒部から供給されるガス燃料を前記コーン部の先端部から前記燃焼用空気の流動方向下手側に向けて噴出するガス案内通路が、前記コーン部の周方向に間隔を隔てて並ぶ状態で複数設けられ、
前記コーン部の周壁部をその厚さ方向で貫通して、前記燃焼用空気を前記内部空間に導く空気流動孔が、複数の前記ガス案内通路の隣接するもの同士の間に位置させる状態で、前記コーン部の周方向に並べて複数形成され、
前記ガス案内通路の途中位置からガス燃料を前記内部空間に噴出する保炎孔が、前記コーン部の周壁部に形成された直進炎型ガスバーナであって、
前記主炎孔が、前記コーン部の後端側底部に分散して形成される複数の主炎孔形成用孔部分にて構成され
複数の前記主炎孔形成用孔部分が、前記コーン部の後端側底部における外周側に、周方向に間隔を隔てて形成される複数の外周側孔部分と、前記コーン部の後端側底部における中央部に形成される中央側孔部分とを備え、
前記外周側孔部分が、前記コーン部の周方向において、前記コーン部の周方向に並ぶ前記空気流動孔の隣接するもの同士の間に相当する位置に形成され、
複数の前記外周側孔部分が、先端側ほど前記コーン部の周壁部に近づく傾斜姿勢で形成され、かつ、前記中央側孔部分が、前記燃焼筒の軸心と平行な姿勢で形成され、
前記中央側孔部分が、前記外周側孔部分よりも大径であり、前記コーン部の後端側底部が、前記外周側孔部分の径よりも厚い平板状である直進炎型ガスバーナ。
【請求項2】
前記燃焼筒の前端側部分が、先端側ほど小径となる絞り形状に形成されている請求項1記載の直進炎型ガスバーナ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、後端側から前端側に向けて燃焼用空気が流動する円筒状の燃焼筒内に、バーナ本体が、前記燃焼筒の内周面との間に環状の空気流路を形成する状態でかつ前記燃焼筒の前端部よりも燃焼用空気の流動方向上手側に位置させる状態で配置され、
前記バーナ本体が、前記燃焼用空気の流動方向下手側に位置する先端部ほど大径となる中空円錐台状のコーン部と、前記コーン部の後端側底部に連なりかつガス燃料が供給されるガス燃料供給用筒部とを備える状態に形成され、
前記コーン部の後端側底部に、前記ガス燃料供給用筒部から供給されるガス燃料を前記コーン部の内部空間に噴出する主炎孔が形成され、
前記コーン部の周壁部に、前記コーン部の後端側底部の外周側部分と前記コーン部の先端部とを連通して、前記ガス燃料供給用筒部から供給されるガス燃料を前記コーン部の先端部から前記燃焼用空気の流動方向下手側に向けて噴出するガス案内通路が、前記コーン部の周方向に間隔を隔てて並ぶ状態で複数設けられ、
前記コーン部の周壁部をその厚さ方向で貫通して、前記燃焼用空気を前記内部空間に導く空気流動孔が、複数の前記ガス案内通路の隣接するもの同士の間に位置させる状態で、前記コーン部の周方向に並べて複数形成され、
前記ガス案内通路の途中位置からガス燃料を前記内部空間に噴出する保炎孔が、前記コーン部の周壁部に形成された直進炎型ガスバーナに関する。
【背景技術】
【0002】
かかる直進炎型ガスバーナは、例えば、鍛造炉等の加熱炉に装備して使用されるものであって、ガス燃料を、主炎孔のみならず、ガス案内通路や保炎孔からも噴出することにより、ガス燃料を複数箇所から分散して噴出させるものであるから、ガス燃料と燃焼用空気との混合を促進することができるため、全体構成の小型化を図りながらも、高負荷燃焼を行え、かつ、燃焼筒の前方側に向けて直進状に伸びる火炎の短炎化を図ることができるものである。
【0003】
このような直進炎型ガスバーナの従来例として、主炎孔が、バーナ本体のコーン部における後端側底部の中央部に、一つの孔として形成されたものがある(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3096363号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このような直進炎型ガスバーナにおいては、火炎の短炎化によって、火炎の温度を上昇させることが要求されることがあるが、従来の直進炎型ガスバーナにおいては、火炎を十分に短炎化できないものであり、改善が望まれるものであった。
【0006】
例えば、有機物、無機物の球状化や鉱物の焼成を行うにあたり、処理物を火炎中を通過させて加熱処理することによって、生成物をつくることがある。
このような生成物をつくるために使用するバーナとしては、従来、油等を燃料として利用するオイルバーナや酸素燃焼バーナが用いられているが、近年では、メンテナンスが行い易く、コスト、環境性等の理由により、ガス燃料(例えば、都市ガス13A)による空気燃焼をさせるガスバーナを用いることが望まれている。
【0007】
このような要望を満足させるべく、本発明者は、従来例の直進炎型ガスバーナを用い、火炎中に処理物を通過させて加熱処理することによって、生成物をつくることを試みたが、大粒の処理物は、適正通りの加熱処理を行えないケースがあった。
【0008】
本発明は、上記実状に鑑みて為されたものであって、その目的は、火炎を十分に短炎化させることができる直進炎型ガスバーナを提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の直進炎型ガスバーナは、後端側から前端側に向けて燃焼用空気が流動する円筒状の燃焼筒内に、バーナ本体が、前記燃焼筒の内周面との間に環状の空気流路を形成する状態でかつ前記燃焼筒の前端部よりも燃焼用空気の流動方向上手側に位置させる状態で配置され、
前記バーナ本体が、前記燃焼用空気の流動方向下手側に位置する先端部ほど大径となる中空円錐台状のコーン部と、前記コーン部の後端側底部に連なりかつガス燃料が供給されるガス燃料供給用筒部とを備える状態に形成され、
前記コーン部の後端側底部に、前記ガス燃料供給用筒部から供給されるガス燃料を前記コーン部の内部空間に噴出する主炎孔が形成され、
前記コーン部の周壁部に、前記コーン部の後端側底部の外周側部分と前記コーン部の先端部とを連通して、前記ガス燃料供給用筒部から供給されるガス燃料を前記コーン部の先端部から前記燃焼用空気の流動方向下手側に向けて噴出するガス案内通路が、前記コーン部の周方向に間隔を隔てて並ぶ状態で複数設けられ、
前記コーン部の周壁部をその厚さ方向で貫通して、前記燃焼用空気を前記内部空間に導く空気流動孔が、複数の前記ガス案内通路の隣接するもの同士の間に位置させる状態で、前記コーン部の周方向に並べて複数形成され、
前記ガス案内通路の途中位置からガス燃料を前記内部空間に噴出する保炎孔が、前記コーン部の周壁部に形成されたものであって、その第1特徴構成は、
前記主炎孔が、前記コーン部の後端側底部に分散して形成される複数の主炎孔形成用孔部分にて構成され
複数の前記主炎孔形成用孔部分が、前記コーン部の後端側底部における外周側に、周方向に間隔を隔てて形成される複数の外周側孔部分と、前記コーン部の後端側底部における中央部に形成される中央側孔部分とを備え、
前記外周側孔部分が、前記コーン部の周方向において、前記コーン部の周方向に並ぶ前記空気流動孔の隣接するもの同士の間に相当する位置に形成され、
複数の前記外周側孔部分が、先端側ほど前記コーン部の周壁部に近づく傾斜姿勢で形成され、かつ、前記中央側孔部分が、前記燃焼筒の軸心と平行な姿勢で形成され、
前記中央側孔部分が、前記外周側孔部分よりも大径であり、前記コーン部の後端側底部が、前記外周側孔部分の径よりも厚い平板状である点を特徴とする。
【0010】
すなわち、主炎孔が、コーン部の後端側底部に分散して形成される複数の主炎孔形成用孔部分にて構成されているから、ガス燃料が、コーン部の後端側底部に分散する複数の主炎孔形成用孔部分の夫々から互いに分離した状態で噴出されることになり、それら分離した状態で噴出されるガス燃料の夫々に対して、空気流動孔からコーン部の内部空間に供給される燃焼用空気が各別に混合されることになるため、主炎孔を構成する複数の主炎孔形成用孔部分からコーン部の内部空間に噴出されるガス燃料と、空気流動孔からコーン部の内部空間に供給される燃焼用空気との混合が促進されて、燃焼筒の前方側に向けて直進状に伸びる火炎の短炎化を図ることができるのである。
【0011】
つまり、主炎孔からコーン部の内部空間に噴出されたガス燃料と、空気流動孔からコーン部の内部空間に供給される燃焼用空気とが、コーン部の内部空間にて混合されて、内部側の混合ガスとなり、また、ガス案内通路から噴出されたガス燃料と、空気通路を流動する燃焼用空気とが、混合されて外部側の混合ガスとなる。
【0012】
そして、内部側の混合ガスと外部側の混合ガスとが、燃焼筒の内部にて混合しながら燃焼筒の前方に流動することになり、そのように流動する混合ガスが、燃焼筒の内部にて燃焼を開始しながら、燃焼筒の前方側に向けて直進状に伸びる火炎を形成することになる。
ちなみに、燃焼筒の前方に流動する混合ガスは、燃焼筒から供給される燃焼用空気に加えて、周囲の空気を燃焼用空気として巻き込みながら燃焼して、上述の火炎を形成することになる。
【0013】
また、保炎孔から噴出されるガス燃料が、空気流動孔から供給される燃焼用空気によって、コーン部の周壁部の内面近くにて燃焼することによって、保炎が形成されているから、内部側の混合ガスは、保炎によって加熱されることになる。
【0014】
したがって、主炎孔から噴出されたガス燃料と空気流動孔から供給される燃焼用空気との混合を促進すると、内部側の混合ガスの燃焼を促進して、その内部側の混合ガスと外部側の混合ガスとの混合ガスの燃焼を促進することができるものとなるが、本第1特徴構成によれば、上述の如く、主炎孔から噴出されたガス燃料と空気流動孔から供給される燃焼用空気との混合を促進できるため、燃焼筒の前方側に向けて直進状に伸びる火炎の短炎化を十分に図ることができるのである。
【0015】
ちなみに、火炎が短炎になることによって、火炎の温度が上昇するものであるから、例えば、有機物、無機物の球状化や鉱物の焼成を行うにあたり、火炎中に処理物を通過させて加熱処理することによって、生成物をつくる場合において、大粒の処理物に対する加熱も、十分な高温で行うことができるため、適正通り、生成することができる。
【0016】
要するに、本発明の第1特徴構成によれば、火炎を十分に短炎化させることができる直進炎型ガスバーナを提供できる。
【0018】
又、本発明の第1特徴構成によれば、主炎孔を構成する複数の主炎孔形成用孔部分として、コーン部の後端側底部における外周側に、周方向に間隔を隔てて形成される複数の外周側孔部分と、コーン部の後端側底部における中央部に形成される中央側孔部分とが備えられるものであるから、主炎孔形成用孔部分を、コーン部の後端側底部の全体に分散させた形態で、つまり、主炎孔形成用孔部分同士が近づきすぎることを抑制する形態で、極力多く存在させることができるものとなる。
【0019】
説明を加えると、主炎孔形成用孔部分同士が近づきすぎると、主炎孔形成用孔部分の夫々から噴出されるガス燃料の間を通して燃焼用空気が流動し難いものとなって、ガス燃料と燃焼用空気との混合を促進し難いものとなるが、中央側孔部分と複数の外周側孔部分とは、コーン部の後端側底部の径方向に間隔を隔てることができ、また、複数の外周側孔部分は、複数の外周側孔部分の周方向に間隔を隔てることができるため、主炎孔形成用孔部分同士が近づきすぎることを抑制する形態で、極力多数の主炎孔形成用孔部分を存在させることができるのである。
【0020】
このように、主炎孔形成用孔部分同士が近づきすぎないようにしながらも、極力多数の主炎孔形成用孔部分を存在させることができるから、多数の主炎孔形成用孔部分の夫々からガス燃料を分割して噴出させて、それら噴出させたガス燃料の夫々に対して燃焼用空気を適切に混合させることができるものとなるため、主炎孔から噴出されるガス燃料と空気流動孔から供給される燃焼用空気との混合を一層促進させることができるものとなり、火炎の一層の短炎化を図ることができるものとなる。
【0021】
要するに、本発明の第特徴構成によれば、上記作用効果に加えて、主炎孔から噴出されるガス燃料と空気流動孔から供給される燃焼用空気との混合を一層促進させて、火炎の一層の短炎化を図ることができる直進炎型ガスバーナを提供できる。
【0023】
又、本発明の第1特徴構成によれば、外周側孔部分が、コーン部の周方向において、コーン部の周方向に並ぶ空気流動孔の隣接するもの同士の間に相当する位置に形成されているから、空気流動孔からコーン部の内部空間に供給される燃焼用空気が、複数の外周側孔部分の夫々から噴出されるガス燃料の隣接するもの同士の間に向けて流動することになる。
【0024】
このように、空気流動孔からコーン部の内部空間に供給される燃焼用空気が、複数の外周側孔部分の夫々から噴出されるガス燃料の隣接するもの同士の間に向けて流動することになるから、空気流動孔から供給される燃焼用空気が、外周側孔部分から噴出されるガス燃料に巻き込まれながらも、中央側孔部分から噴出されるガス燃料の存在箇所にも流動してそのガス燃料にも巻き込まれることになるため、外周側孔部分から噴出されるガス燃料と燃焼用空気との混合、及び、中央側孔部分から噴出されるガス燃料と燃焼用空気との混合を良好に行わせることができるものとなる。
【0025】
ちなみに、コーン部の周方向に並ぶ複数の空気流動孔の夫々から供給される燃焼用空気が、中央側孔部分から噴出されるガス燃料に流動されるものであるから、外周側孔部分よりも中央側孔部分を大径に形成して、外周側孔部分よりも中央側孔部分にて多量のガス燃料を噴出させるようにしても、中央側孔部分から噴出されるガス燃料に対して十分な量の燃焼用空気を供給できることになる。
【0026】
要するに、本発明の第特徴構成によれば、上記作用効果に加えて、外周側孔部分から噴出されるガス燃料と燃焼用空気との混合、及び、中央側孔部分から噴出されるガス燃料と燃焼用空気との混合を良好に行わせることができる直進炎型ガスバーナを提供できる。
【0028】
又、本発明の第1特徴構成によれば、複数の外周側孔部分が、先端側ほどコーン部の周壁部に近づく傾斜姿勢で形成されているから、外周側孔部分から噴出されるガス燃料の流れを、空気流動孔に近づけることができるため、空気流動孔からコーン部の内部空間に供給される燃焼用空気の一部を、外周側孔部分から噴出されるガス燃料の流れに巻き込み易いものとなり、外周側孔部分から噴出されるガス燃料と燃焼用空気との混合を一層良好に行える。
【0029】
また、中央側孔部分が、燃焼筒の軸心と平行な姿勢で形成されているから、中央側孔部分から噴出されるガス燃料が、燃焼筒の軸心と平行な方向に沿って、外周側孔部分から噴出されるガス燃料とは分離した状態で流れる傾向となるため、空気流動孔からコーン部の内部空間に供給される燃焼用空気が、中央側孔部分から噴出されるガス燃料の周囲に流れ込み易いものとなり、中央側孔部分から噴出されるガス燃料と燃焼用空気との混合を一層良好に行える。
【0030】
要するに、本発明の第特徴構成によれば、上記作用効果に加えて、外周側孔部分から噴出されるガス燃料と燃焼用空気との混合や、中央側孔部分から噴出されるガス燃料と燃焼用空気との混合を一層良好に行わせることができる直進炎型ガスバーナを提供できる。
【0031】
本発明の第特徴構成は、上記第1特徴構成に加えて、
前記燃焼筒の前端側部分が、先端側ほど小径となる絞り形状に形成されている点を特徴とする。
【0032】
すなわち、バーナ本体よりも燃焼空気の流動方向下手側に伸びる状態となる燃焼筒の前端側部分が、先端側ほど小径となる絞り形状に形成されているから、燃焼筒から前方に流動する混合ガスを乱流状態にすることにより、燃焼筒の前方側に向けて直進状に伸びる火炎の一層の短炎化を図ることができる。
【0033】
つまり、上述の如く、主炎孔からコーン部の内部空間に噴出されたガス燃料と空気流動孔からコーン部の内部空間に供給される燃焼用空気とが混合した内部側の混合ガスと、ガス案内通路から噴出されたガス燃料と空気通路を流動する燃焼用空気とが混合した外部側の混合ガスとが、燃焼筒の内部にて混合しながら燃焼筒の前方に流動することになり、そのように流動する混合ガスが、燃焼筒の内部にて燃焼を開始しながら、燃焼筒の前方側に向けて直進状に伸びる火炎を形成することになる。
【0034】
そして、本第特徴構成によれば、燃焼筒の前端側部分が先端側ほど小径となる絞り形状に形成されているから、燃焼筒の前方に流動する混合ガスが、乱流状態になるため、その混合ガスに含まれるガス燃料と燃焼用空気との混合を促進し、しかも、混合ガス中に周囲の空気を巻き込むことを促進できるため、燃焼筒の前方側に向けて直進状に伸びる火炎の一層の短炎化を図ることができるのである。
【0035】
要するに、本発明の第特徴構成によれば、上記第1特徴構成による作用効果に加えて、燃焼筒の前方側に向けて直進状に伸びる火炎の一層の短炎化を図ることができる直進炎型ガスバーナを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1】炉の概略縦断側面図
図2】ガスバーナの切欠き側面図
図3】バーナ本体部の正面図
図4図3におけるIV−IV線矢視図
【発明を実施するための形態】
【0037】
〔実施形態〕
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する
図1に示すように、本発明の直進炎型ガスバーナJが、有機物、無機物の球状化や鉱物の焼成を行うにあたり、火炎中を通過させて加熱処理することによって、生成物をつくる炉Gに装備されている。
【0038】
炉Gは、ガスバーナJを装備する基端部1、原料投入部4が備えられている。
したがって、炉Gは、原料投入部4から供給された処理物をガスバーナJの火炎Fの内部を通過させて、加熱処理する構成となっている。
【0039】
ガスバーナJは、図1及び図2に示すように、後端側から前端側に向けて燃焼用空気が流動する円筒状の燃焼筒7とバーナ本体Bとを備えるものであって、燃焼筒7内に、バーナ本体Bが、燃焼筒7の内周面との間に環状の空気流路Aを形成する状態でかつ燃焼筒7の前端部よりも燃焼用空気の流動方向上手側に位置させる状態で配設されている。
【0040】
バーナ本体Bが、燃焼用空気の流動方向下手側に位置する先端部ほど大径となる中空円錐台状のコーン部Bcと、コーン部Bcの後端側底部に連なりかつガス燃料が供給される直円筒状のガス燃料供給用筒部Btとを備える状態に形成されている。
また、燃焼筒7は、上述の説明から明らか如く、バーナ本体Bよりも燃焼空気の流動方向下手側に伸びる状態で設けられることになるが、その前端側部分7sが、先端側ほど小径となる絞り形状に形成されている。
【0041】
図1に示すように、ガス燃料(例えば、都市ガス13A)が供給されるガス燃料供給口8及び送風機からの燃焼用空気が供給される空気供給口9を備えるバーナ基枠10が設けられ、そのバーナ基枠10に燃焼筒7が接続され、また、図2に示すように、バーナ本体Bのガス燃料供給用筒部Btに、バーナ基枠10から延出するガス供給管11が接続されている。
【0042】
つまり、バーナ基枠10に供給された燃焼用空気が、バーナ基枠10の内部通路を通して燃焼筒7に供給され、バーナ基枠10に供給されたガス燃料が、バーナ基枠10の内部のガス供給管11を通してバーナ本体Bのガス燃料供給用筒部Btに供給されるように構成されている。
尚、図2に示すように、バーナ本体Bには、点火器Eが付設されている。
【0043】
ちなみに、本実施形態においては、バーナ本体Bが噴出するガス燃料を燃焼させるのに必要とする燃焼空気は、燃焼筒7を通して供給させる場合、もしくは燃焼筒7に一部通し、炉Gの内部に侵入する空気を残りの燃焼用空気として用いる場合にも調整できるように構成されている。
尚、図1には、炉Gにおける各所の隙間から炉Gの内部に侵入する空気の流れNを例示している。
【0044】
したがって、本実施形態のガスバーナJは、燃焼筒7を通る燃焼用空気を一部の燃焼用空気とし、残りの燃焼用空気を炉Gの内部に侵入する空気とする形態で、燃焼筒7の前方側に向けて直進状に伸びる火炎Fを形成する状態で燃焼するように構成され、火炎Fの短炎化を図るようになっている。
ちなみに、本実施形態のガスバーナJは、燃焼筒7から供給される燃焼用空気のみを用いて、燃焼筒7の前方側に向けて直進状に伸びる火炎Fを形成する状態で燃焼するように構成してもよい。
【0045】
そして、火炎Fの短炎化を図ることによって、火炎Fの温度が上昇するため、ガス燃料による空気燃焼でありながらも、大粒の処理物を適正に加熱処理して、良好に生成できるものとなる。
【0046】
ちなみに、本実施形態においては、ガスバーナJは、燃焼筒7の前方側に向けて直進状に伸びる火炎Fが、炉Gの中心軸に沿って伸びる状態になるように、基端部1における炉Gの中心軸に対応する位置に配設されている。
【0047】
以下、図3及び図4に基づいて、バーナ本体Bについて説明を加える。
コーン部Bcの後端側底部に、ガス燃料供給用筒部から供給されるガス燃料をコーン部Bcの内部空間Kに噴出する主炎孔12が形成されている。
本実施形態においては、主炎孔12が、コーン部Bcの後端側底部に分散して形成される複数の主炎孔形成用孔部分Dにて構成されている。
【0048】
本実施形態においては、複数の主炎孔形成用孔部分Dが、コーン部Bcの後端側底部における外周側に、周方向に間隔を隔てて形成される複数の外周側孔部分12bと、コーン部Bcの後端側底部における中央部に形成される中央側孔部分12aとを備えるように構成されている。
ちなみに、本実施形態においては、外周側孔部分12bが、周方向に沿って45度間隔おきに並ぶ状態で8個形成されている。
【0049】
さらに、複数の外周側孔部分12bが、先端側ほどコーン部Bcの周壁部に近づく傾斜姿勢で形成され、かつ、中央側孔部分12aが、燃焼筒7の軸心と平行な姿勢で形成されている。
ちなみに、本実施形態においては、外周側孔部分12bの傾斜姿勢は、燃焼筒7の軸心に対して24度傾斜する姿勢である。
【0050】
コーン部Bcの周壁部に、コーン部Bcの後端側底部の外周側部分とコーン部Bcの先端部とを連通して、ガス燃料供給用筒部Btから供給されるガス燃料をコーン部Bcの先端部から燃焼用空気の流動方向下手側に向けて噴出するガス案内通路13が、コーン部Bcの周方向に間隔を隔てて並ぶ状態で複数設けられている。
ちなみに、本実施形態においては、ガス案内通路13が、上述した外周側孔部分12bと同じ位相となる状態で、周方向に沿って45度間隔おきに8個形成されている。
【0051】
ガス案内通路13の途中位置からガス燃料を内部空間Kに噴出する保炎孔14が、コーン部Bcの周壁部に形成されている。
ちなみに、本実施形態においては、8個のガス案内通路13の夫々に対して、保炎孔14が一つずつ設けられている。つまり、本実施形態においては、保炎孔14は、ガス案内通路13と同様に、上述した外周側孔部分12bと同じ位相となる状態で、周方向に沿って45度間隔おきに8個形成されている。
【0052】
コーン部Bcの周壁部をその厚さ方向で貫通して、燃焼用空気を内部空間Kに導く空気流動孔15が、複数のガス案内通路13の隣接するもの同士の間に位置させる状態で、コーン部Bcの周方向に並べて複数形成されている。
本実施形態においては、空気流動孔15が、ガス案内通路13の隣接するもの同士の間に、燃焼筒7の軸心方向に2個ずつ並ぶ状態で、全体で16個形成されている。
【0053】
そして、本実施形態においては、今までの説明からも明らかな如く、主炎孔12の外周側孔部分12bが、コーン部Bcの周方向において、コーン部Bcの周方向に並ぶ空気流動孔15の隣接するもの同士の間に相当する位置に形成されることになる。
【0054】
ちなみに、本実施形態のガスバーナJは、ガス案内通路13は、内径が5.4mmであり、保炎孔14の径が、2.5mmであり、中央側孔部分12aの径が、9.0mmであり、外周側孔部分12bの径が、4.2mmである。
したがって、8個のガス案内通路13の開口面積の総和と、8個の保炎孔14の開口面積の総和と、1個の中央側孔部分12a及び8個の外周側孔部分12bを備える主炎孔12の開口面積とを加えたバーナ全体の開口面積に対して、8個のガス案内通路13の開口面積の総和及び主炎孔12の開口面積が、それぞれ45パーセント程度になり、かつ、8個の保炎孔14の開口面積の総和が、10パーセント程度になる。
【0055】
ちなみに、本実施形態のバーナ全体の開口面積は、本明細書の背景技術の欄にて説明した従来のガスバーナのバーナ全体の開口面積に較べて、4分の1程度であり、ガス燃料の噴出圧は、例えば8.6kPaに設定されている。
尚、ガス燃料の噴出圧を高めることによって、噴出されるガス燃料が燃焼用空気を巻き込み易いものとなり、ガス燃料と燃焼用空気との混合を促進できるものとなる。
【0056】
以下、ガスバーナJの燃焼について説明を加える。
すなわち、主炎孔12からコーン部Bcの内部空間Kに噴出されたガス燃料と、空気流動孔15からコーン部Bcの内部空間Kに供給される燃焼用空気とが、コーン部Bcの内部空間Kにて混合されて、内部側の混合ガスとなり、ガス案内通路13から噴出されたガス燃料と、空気流路Aを流動する燃焼用空気とが、混合されて外部側の混合ガスとなる。
【0057】
そして、内部側の混合ガスと外部側の混合ガスとが、燃焼筒7の内部にて混合しながら燃焼筒7の前方に流動することになり、そのように流動する混合ガスが、燃焼筒7の内部にて燃焼を開始しながら、燃焼筒7の前方側に向けて直進状に伸びる火炎Fを形成することになる。
ちなみに、燃焼筒7の前方に流動する混合ガスは、周囲の空気を燃焼用空気として巻き込みながら燃焼して、上述の火炎Fを形成することになる。
【0058】
また、保炎孔14から噴出されるガス燃料が、空気流動孔15から供給される燃焼用空気によって、コーン部Bcの周壁部の内面に近くにて燃焼することによって、保炎が形成されているから、内部側の混合ガスは、保炎によって加熱されることになる。
【0059】
そして、本実施形態によれば、主炎孔12を、コーン部Bcの後端側底部に分散して形成される複数の主炎孔形成用孔部分Dにて構成することよって、主炎孔12から噴出されるガス燃料と空気流動孔15から供給される燃焼用空気との混合を促進し、しかも、複数の主炎孔形成用孔部分Dとして、コーン部Bcの後端側底部における外周側に、周方向に間隔を隔てて形成される複数の外周側孔部分12bと、コーン部Bcの後端側底部における中央部に形成される中央側孔部分12aとから構成することによって、主炎孔12から噴出されるガス燃料と空気流動孔15から供給される燃焼用空気との混合を一層促進させるようになっている。
【0060】
また、複数の外周側孔部分12bを、先端側ほどコーン部Bcの周壁部に近づく傾斜姿勢に形成することにより、複数の外周側孔部分12bから噴出されたガス燃料と空気流動孔15から供給される燃焼用空気との混合を促進させ、加えて、主炎孔12の外周側孔部分12bを、コーン部Bcの周方向において、コーン部Bcの周方向に並ぶ空気流動孔15の隣接するもの同士の間に相当する位置に形成することにより、主炎孔12の中央側孔部分12aと空気流動孔15から供給される燃焼用空気との混合をも適切に行えるようになっている。
【0061】
このように、本実施形態のガスバーナJによれば、主炎孔12から噴出されるガス燃料と空気流動孔15から供給される燃焼用空気との混合を促進するものであるから、燃焼筒7から伸びる状態で形成される火炎Fの短炎化を図ることができるものとなる。
【0062】
つまり、主炎孔12から噴出されたガス燃料と空気流動孔15から供給される燃焼用空気との混合を促進すると、内部側の混合ガスの燃焼を促進して、その内部側の混合ガスと外部側の混合ガスとの混合ガスの燃焼を促進することができるものとなるが、本実施形態においては、上述の如く、主炎孔12から噴出されたガス燃料と空気流動孔15から供給される燃焼用空気との混合を促進できるため、燃焼筒7の前方側に向けて直進状に伸びる火炎の短炎化を十分に図ることができるのである。
【0063】
さらに、本実施形態のガスバーナJによれば、燃焼筒7の前端側部分7sが、先端側ほど小径となる絞り形状に形成されているから、燃焼筒7の前方に流動する混合ガスが、乱流状態になるため、その混合ガスに含まれるガス燃料と燃焼用空気との混合を促進し、しかも、混合ガス中に周囲の空気を巻き込むことを促進できるため、燃焼筒7の前方側に向けて直進状に伸びる火炎Fの一層の短炎化を図ることができる。
【0064】
したがって、本実施形態の炉Gにおいては、ガスバーナJの火炎Fの短炎化により、火炎Fの温度が上昇するため、上述の如く、ガス燃料による空気燃焼でありながらも大粒の処理物を適正に加熱処理して、良好に生成できるものとなる。
【0065】
〔別実施形態〕
次に別実施形態を説明する
【0067】
)上記実施形態においては、ガスバーナJを有機物、無機物の球状化や鉱物の焼成を行う炉Gに装備する場合を例示したが、本発明のガスバーナJは、鍛造炉等の各種の加熱炉に適用する等、種々の加熱に適用できるものである。
【0068】
)上記実施形態においては、燃焼筒7の前端側部分7sを、先端側ほど小径となる絞り形状に形成して、火炎の短炎化を十分に図るようにしたが、さほど火炎の短炎化が要求されない場合には、前端側部分7sを含めて、燃焼筒7の全体を直円筒状に形成する形態で実施してもよい。
【符号の説明】
【0069】
7 燃焼筒
7s 前端側部分
12 主炎孔
12a 中央側孔部分
12b 外周側孔部分
13 ガス案内通路
14 保炎孔
15 空気流動孔
A 空気流路
B バーナ本体
Bc コーン部
Bt ガス燃料供給用筒部
D 主炎孔形成用孔部分
図1
図2
図3
図4