特許第5955119号(P5955119)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5955119
(24)【登録日】2016年6月24日
(45)【発行日】2016年7月20日
(54)【発明の名称】食用油脂の製造方法
(51)【国際特許分類】
   A23D 9/02 20060101AFI20160707BHJP
【FI】
   A23D9/02
【請求項の数】6
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2012-135778(P2012-135778)
(22)【出願日】2012年6月15日
(65)【公開番号】特開2014-11(P2014-11A)
(43)【公開日】2014年1月9日
【審査請求日】2014年11月12日
(73)【特許権者】
【識別番号】000189970
【氏名又は名称】植田製油株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100074206
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 文二
(74)【代理人】
【識別番号】100084858
【弁理士】
【氏名又は名称】東尾 正博
(74)【代理人】
【識別番号】100112575
【弁理士】
【氏名又は名称】田川 孝由
(74)【代理人】
【識別番号】100117400
【弁理士】
【氏名又は名称】北川 政徳
(74)【代理人】
【識別番号】100127340
【弁理士】
【氏名又は名称】飛永 充啓
(74)【代理人】
【識別番号】100130513
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 直也
(74)【代理人】
【識別番号】100130177
【弁理士】
【氏名又は名称】中谷 弥一郎
(72)【発明者】
【氏名】山本 浩志
(72)【発明者】
【氏名】中西 功
(72)【発明者】
【氏名】熊西 敦則
(72)【発明者】
【氏名】東 紗耶香
【審査官】 戸来 幸男
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−014263(JP,A)
【文献】 特開2002−322488(JP,A)
【文献】 日本油化学会誌,1999年,vol.48, no.9,pp.17-23
【文献】 Eur. J. Lipid Sci. Technol.,2008年,vol.110, no.3,pp.245-253
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23D 7/00−9/06
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS/FSTA/
FROSTI/WPIDS(STN)
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
脱臭工程を含む食用油脂の製造方法において、前記脱臭工程を、バッチ式またはトレイ型半連続式脱臭装置を用いて真空度10hPa以下で脱臭温度200℃以上で行ない、その際にトランス脂肪酸生成量を0.5質量%以下に抑制し、かつ脱臭工程前の原料油脂に含有されるトコフェロール類を脱臭工程後に80%以上残存させるように、前記脱臭温度、脱臭時間および前記脱臭温度での水蒸気吹込量の油に対する質量比率を調整し、この調整が、上記脱臭温度をT℃で示し、上記脱臭時間をM分で示し、前記脱臭温度での水蒸気吹込量の油に対する質量比率をS質量%で示すとき、T、M、Sの変数を含む下記の数1および数2の式を用いて行なう調整であることを特徴とする食用油脂の製造方法。
【数1】
【数2】
【請求項2】
上記脱臭温度(T℃)が210〜240℃であり、脱臭時間(M分)が10〜100分であり、かつ脱臭温度での水蒸気吹込量の油に対する比率(S質量%)が、1〜10質量%である請求項1に記載の食用油脂の製造方法。
【請求項3】
上記脱臭工程前の原料油脂が、トランス脂肪酸含量0.2質量%以下であり、かつ脂肪酸組成のジエン脂肪酸質量%(X)とトリエン脂肪酸質量%(Y)との関係が、下記の数3に示される関係を満足する油脂である請求項1または2に記載の食用油脂の製造方法。
【数3】
【請求項4】
上記脱臭温度(T℃)が、215〜235℃であり、かつ数1で示される式の右辺が0.2〜2であるように調整される請求項1〜3のいずれかに記載の食用油脂の製造方法。
【請求項5】
食用油脂が、大豆油、なたね油、コーン油、コメ油、綿実油、ヒマワリ油およびサフラワー油からなる群から選ばれる1種以上の食用油脂である請求項1〜4のいずれかに記載の食用油脂の製造方法。
【請求項6】
上記脱臭工程前の原料油脂に、アルカリ処理及び吸着剤処理を施して酸価を0.3以下に低減させ、かつ色調を50以下に低減させる請求項1〜5のいずれかに記載の食用油脂の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、トランス脂肪酸の生成が低減され、風味、酸化安定性に優れた食用油脂の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
食用油脂は、動植物から採油された原料油に含まれる不純物を取り除く工程、すなわち精製工程を経ることにより、風味や色調を良くして、様々な食品に使用できるようになる。中でも精製の最終工程では、それまでの精製工程で除去しきれなかった、微量な脂肪酸や有臭成分、色素等を取り除くための脱臭と呼ばれる工程が行なわれている。
【0003】
通常、脱臭の方法としては減圧水蒸気蒸留が採用されており、真空度5hPa前後、温度240〜260℃が主流となっている。
【0004】
食用油脂は様々な食品に使用され、油脂以外の成分の呈味性や色具合を引き出す必要があるため、脱臭後の油はほとんど臭気を感じることがないものとし、淡黄色で極めて無味に近いものが求められてきた。そのため、脱臭温度を高くすることでこの要望に対応してきた。
【0005】
一方、トランス脂肪酸を過剰に摂取すると、血液中のLDLコレステロールを上昇させると共にHDLコレステロールを低下させて冠動脈心疾患のリスクを高めることが喧伝されるに至り、油脂中のトランス脂肪酸を極力少なくするべき対策が進められてきた。
【0006】
トランス脂肪酸の生成において、油脂中に多量に含有させる可能性のある部分水素添加については、水素添加方法の工夫やエステル交換油で代替するなどにより大幅な低減がなされつつある。
【0007】
しかし、油脂の脱臭工程においても少量ながらトランス脂肪酸が生成する。それにもかかわらず、現状の品質と製造コストを悪化させずにトランス脂肪酸を低減させる食用油の製造方法は知られていない。
【0008】
因みに、トランス脂肪酸は、油脂に対する処理温度が160〜180℃の条件では、ほとんど生成されないことは食品安全委員会の新開発食品評価書「食品に含まれるトランス脂肪酸」で言及されており、脱臭温度を下げれば低減できることは予測できるが、それだけでは、脱臭の本来の目的である不純物や有臭成分の効率的な除去と、天然油脂が有する酸化安定性に寄与する成分の残存を両立させ、しかも現在の安価なコストの範囲内で実現させるための具体的方法とはなりえない。
【0009】
また、油脂には二重結合数の異なる種々の脂肪酸が含有されているため、トランス脂肪酸と一口でいってもそれぞれ異性化し易さは大いに異なり、油脂のおかれた様々な条件により変わるので、非常に複雑なことになり、反応速度論的に計算することは困難と考えられ、実質的には不可能である。
【0010】
食用油の脱臭に係る製造方法としては、脱臭温度230℃、脱臭時間60分間、蒸気吹込量対油5質量%でトランス型脂肪酸含量が2.2質量%になることが、フラックス油で示されている(特許文献1)。
【0011】
また、トリエン脂肪酸が40質量%以上の油脂に関して198〜247℃で脱臭した後、脱臭済の第二の油脂とブレンドする方法がある(特許文献2)。
【0012】
また、薄膜式カラムとトレイ式装置を組み合わせた精製方法も知られている(特許文献3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開2000−157170号公報
【特許文献2】特開2009−79153号公報
【特許文献3】特開2007−14263号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
しかし、特許文献1に記載されている脱臭温度230℃、脱臭時間60分間、蒸気吹込量対油5質量%でトランス型脂肪酸含量が2.2質量%になるフラックス油では、トランス脂肪酸が高く、また同特許文献において比較例として記載されている脱臭温度215℃の温度条件では風味、臭気共に不良であるという問題点がある。
【0015】
また、特許文献2に記載されている方法では、単独の食用油脂を得ることはできず、実施例に示された菜種油やコーン油はトランス脂肪酸がいずれも高いものになるという問題点がある。
【0016】
また、特許文献3に記載された方法では、実質的には脱臭方法に関するものであるが、トランス脂肪酸の増加量は0.5%以上であり、油脂の色調も高く、薄膜式カラムとトレイ式装置という2つの装置を用いる必要があるため、工程数が多くコスト的にも有利ではなかった。
【0017】
ところで、マーガリン類やフライ用油脂において、家庭用向けの商品に関しては食感の点から液状油や融点の低い油脂が多く用いられている。
【0018】
固形脂のトランス脂肪酸は、概ね0.5%以下に低減させることが可能であるが、二重結合の多い液状油等では脱臭後の精製油脂においてトランス脂肪酸を1%以上含有しており、より一層の低減を図るためには、精製時における特に最終工程の油脂の脱臭工程時に、トランス脂肪酸の生成量を低減させる必要がある。
また、トランス脂肪酸の生成量を充分に低減させ得たとしても、油脂の品質を低下させることは避ける必要があり、また大幅なコスト上昇は産業上受け入れられない。
【0019】
そこで、本願の各請求項に係る発明(以下、本願発明という。)は、上記した問題を解決し、トランス脂肪酸の生成量を従来の精製油脂における生成量よりも充分に低減すると共に、風味や酸化安定性に影響を及ぼす不純物を充分に除去し、しかも酸化安定性や風味安定性を向上させた食用油の製造方法とすることを課題としている。
【0020】
また、食用油脂製造産業における利用価値を高めるため、可及的に簡易で低コストの製造工程とすることも課題である。
【課題を解決するための手段】
【0021】
本願の発明者らは、食用油の製造での脱臭工程における、脱臭温度、脱臭時間、水蒸気吹込対油量とトランス脂肪酸の生成量及び精製油の品質を詳細に調べ、トランス脂肪酸が生成しやすい温度領域において、精製油脂の品質が良好であり、特定の温度域では上記3因子が密接に関係しあってトランス脂肪酸の生成量が変動することを見出し、さらに水蒸気吹込対油量を多くするとトランス脂肪酸の生成が抑制されることを見出した。
【0022】
また、上記3つの因子のバランスをとる所定調整によって、脱臭後の油脂の品質を悪化させることなく、風味や酸化安定性に優れた食用油脂が得られることを見出した。
【0023】
さらに、トランス酸を極力生成させないように工夫する過程において、特定の脂肪酸構成を持つ原料油について、前記効果がより顕著に現れることを見出し、本願の各請求項に係る発明を完成させるに至った。
【0024】
具体的には、先ず、大豆油、なたね油について、後述する図1に示すガラス器具を用い、脱臭時間を50分、脱臭中の水蒸気脱臭吹込み対油比率を1%と一定にして脱臭温度を180〜250℃の範囲でいろいろ変えて脱臭油のトランス脂肪酸の生成量を調べた。この脱臭試験時に脱臭温度を横軸(x)、トランス脂肪酸量の生成量を縦軸(y)にプロットしてみると図2に示すものが得られ、脱臭温度が上がるにつれて指数関数的に増加しているものと考えらえた。
【0025】
そこで、このプロットが収まる近似曲線を描いた。図2中の近似曲線は、ネイピア数(e)を底とする指数関数であり、決定係数R(Rは相関係数である。)は0.9以上となった。よって、1に近い正の相関があることからみて指数関数として推定できると判断した。
【0026】
次に、脱臭温度を230℃の一定として、脱臭時間を半分にするとトランス脂肪酸量は減少し、2倍にするとトランス脂肪酸量は増加した。また、水蒸気吹込量を2倍にするとトランス脂肪酸量は減少し、脱臭時間と水蒸気吹込量とは反比例の関係と考えられた。また、この時の増減量は概ね、脱臭温度の±5℃に相当するとみなすことができた。これらのことを総合的に表す指数関数として、下記の数1の式の左項の関係式を創出して、トランス脂肪酸の生成量が0.5%以下となる範囲を検討した結果、その範囲は3以下であるとしたのである。
【0027】
【数1】
【0028】
【数2】
【0029】
一方、食用油の風味や色調を良くするには、できるだけ原料油の不純物を取り除く必要があるので、脱臭温度を高くすることや脱臭時間を長くすること、及び吹込水蒸気量を多くすることが有効であるが、過度にしすぎると本来含有されている抗酸化物質まで取り除かれるので適度な範囲にしておくことが必要であると考え、数2の式の左項の関係式を創出して、適切な範囲を検討した結果、その範囲は50以上300以下としたのである。
【0030】
すなわち、本願の発明では、脱臭工程を含む食用油脂の製造方法において、前記脱臭工程を、バッチ式またはトレイ型半連続式脱臭装置を用いて真空度10hPa以下で脱臭温度200℃以上で行ない、その際にトランス脂肪酸生成量を0.5質量%以下に抑制し、かつ脱臭工程前の原料油脂に含有されるトコフェロール類を脱臭工程後に80%以上残存させるように、前記脱臭温度、脱臭時間および前記脱臭温度での水蒸気吹込量の油に対する質量比率を特定の関係性によって調整することによる食用油脂の製造方法としたのである。
【0031】
上記特定の関係性をもつ調整が、上記脱臭温度をT℃で示し、上記脱臭時間をM分で示し、前記脱臭温度での油の質量に対する水蒸気吹込量の比率をS質量%で示すとき、T、M、Sの変数を含む上記の数1および数2の式で示される関係を満足する調整であるようにした上記の食用油脂の製造方法とすることが好ましい。
【0032】
また、上記脱臭温度(T℃)が210〜240℃であり、脱臭時間(M分)が10〜100分であり、かつ脱臭温度での水蒸気吹込量の油に対する比率(S質量%)が、1〜10質量%である上記の食用油脂の製造方法とすることが好ましい。
【0033】
また、上記脱臭工程前の原料油脂が、トランス脂肪酸含量0.2質量%以下であり、かつ脂肪酸組成のジエン脂肪酸質量%(X)とトリエン脂肪酸質量%(Y)との関係が、下記の数3に示される関係を満足する油脂である食用油脂の製造方法とすることが好ましい。
【0034】
【数3】
【0035】
上記脱臭温度(T℃)が、215〜235℃であり、かつ数1で示される式の右辺が0.2〜2であるように調整される上記の食用油脂の製造方法とすることが、トランス脂肪酸の低減効果と脱臭後の品質のバランスがとれたものとなるので好ましい。
【0036】
さらには、上記脱臭工程前の原料油脂に、アルカリ処理及び吸着剤処理を施して酸価を0.3以下に低減させ、かつ色調を50以下に低減させる上記の食用油脂の製造方法とすることがより好ましい。
【発明の効果】
【0037】
本願の発明によれば、食用油脂の製造方法における脱臭工程を、トランス脂肪酸生成量を所定量以下に抑制し、かつ原料油に含有されるトコフェロール類を所定量以上残存させるように脱臭温度、脱臭時間および脱臭温度での水蒸気吹込量の油に対する質量比率を調整することによって行なうので、トランス脂肪酸の生成を従来の精製油脂より大幅に低減し、かつ風味や酸化安定性に影響を及ぼす不純物を充分に除去するだけでなく、酸化安定性、風味安定性をも向上させた食用油脂を製造可能にする利点がある。
【0038】
また、可及的に簡易で安価な製造工程を採用できるようになり、食用油脂製造産業における利用価値を高める利点もある。
【図面の簡単な説明】
【0039】
図1】実施例に用いた脱臭装置の模式図
図2】脱臭試験における脱臭温度とトランス脂肪酸の生成量の関係を示す図表
【発明を実施するための形態】
【0040】
本願発明の実施形態に用いる食用油脂の脱臭装置は、バッチ式またはトレイ型半連続式脱臭装置を使用することができ、シングルトレイや二段式の回文式脱臭装置でも使用可能であるが、効率的な製造を行なうにはガードラー型のような半連続多段型脱臭装置が好ましい。
【0041】
脱臭工程前の原料油脂については、動植物油脂やその水素添加油脂、分別油脂、エステル交換油脂から選ばれる1種またはこれらの混合物を使用することができる。具体的な原料油脂としては、なたね油、大豆油、コーン油、ひまわり油、米油、紅花油、綿実油、パーム油、牛脂、豚脂等を挙げることができる。または、これらの油脂を分別した分別油、混合油、または水素添加油、エステル交換反応などにより脂肪酸組成を調整したエステル交換油も原料として利用できる。なお、トランス脂肪酸含量を低減させる点から部分的な水素添加をしていないものであることが好ましい。
【0042】
また、脱臭工程前の原料油脂は、脱ガム、脱酸、脱色といった通常の精製工程を経たものがよい。酸価が0.3以下、色調が50以下であるものが好ましく、さらには酸価が0.2以下であり、色調は30以下であるものがより好ましい。トランス脂肪酸の含量は、できるだけ低いことが好ましく、例えば0.2質量%以下が好ましく、より好ましくは0.1質量%以下である。
【0043】
特に、本願発明の効果は、脱臭時にトランス異性化が起こりやすいジエン脂肪酸やトリエン脂肪酸を含有する油脂に発揮されるので、常温で液状である、大豆油、なたね油、コーン油、綿実油、米油やパームスーパーオレインや融点の低いエステル交換油等を使用できる。
【0044】
本願発明の実施に好ましい油脂は、トリエン脂肪酸が25質量%以下の油脂であり、さらに好ましいのはトリエン脂肪酸が12質量%以下でジエン脂肪酸が60質量%以下の油脂である。
【0045】
脱臭時の温度は200〜240℃がよく、さらには210〜240℃が好ましく、215〜235℃が最も適している。脱臭温度が高いと酸価や色調は良くなるが、トランス脂肪酸の生成量が多くなり、トコフェロール類を代表とする、天然の抗酸化物質の含有量が減少する。トランス脂肪酸の生成量は、210〜220℃を変曲点として、それ以上の温度では指数曲線的に増加する。
【0046】
この発明でいう水蒸気吹込量は、脱臭処理の対象となる油脂に対して、脱臭温度に到達してから吹き込む水蒸気としての水の総量であり、以下、この水の総質量の油脂の質量に対する割合(100分率)を「水蒸気吹込量対油比率」と記載している。この発明における脱臭温度での水蒸気吹込量対油比率は、1〜10質量%とすることができる。
【0047】
脱臭工程中は、真空度を10hPa以下に維持しておく必要がある。水蒸気の吹込量を多くすると、脂肪酸をはじめとする油脂中の不純物が多く除去され、指標としての酸価が低下する。しかしながら、トコフェロール類をはじめとする油脂中の酸化防止成分も除去されやすくなるので、脱臭時間や脱臭温度とのバランスをとることが重要となる。
よって、脱臭時間は、10〜100分の間で脱臭温度と脱臭温度での水蒸気吹込量対油比率に関連させて、前記した数1、2の2つの式をいずれも満足するように調整する。
【0048】
数1の式は、トランス脂肪酸の生成量に関するものであり、発明者らの詳細な検討によりトランス脂肪酸の生成量は指数関数的に表すことができ、第一には脱臭温度に依存することを示しており、次に脱臭時間に依存して増加することをも示している。
【0049】
また、水蒸気吹込量対油比率に関しては、トランス脂肪酸の生成を抑制する方向に働くことを示している。このことを別に言い換えると、脱臭時間を長くすることは脱臭温度を高くすることと同じであり、水蒸気吹込量対油比率を上げることは脱臭温度を下げることと同様の効果をもたらす。
【0050】
水蒸気吹込量対油比率を多くすると酸価や色調は良くなり、しかもトランス脂肪酸の生成量も抑えることができる。例えば、脱臭時間50分で水蒸気吹込量対油比率1質量%の時に対し、水蒸気吹込量対油比率2質量%とすると脱臭温度を5℃低下させるのと同様の効果となる。脱臭温度を215〜235℃、脱臭時間を20〜60分、脱臭温度と脱臭温度での水蒸気吹込量対油比率を2〜6%として数1の式の左項が0.2〜2となるようにバランスをとることが最も好ましい。
【0051】
数2で示される式は、脱臭工程前の原料油脂に含有される主にトコフェロール類の天然酸化防止成分を脱臭工程後に80%以上残存させるようにする脱臭効果に関するものであり、これについても第一に脱臭温度に依存しつつ、脱臭時間と水蒸気吹込量対油比率も影響を及ぼす。
脱臭時間を長くすると、酸価の低下や色調の淡色化が進み、脱臭直後の油の品質は向上するが、トコフェロール類をはじめとする天然の酸化防止成分の除去も進行し、含有量が減少する。
【0052】
また、水蒸気吹込量対油比率を上げることも同様の現象となる。
逆に、脱臭時間を短くすると、酸価の低下が少なくなって色調が悪化するので、脱臭温度での水蒸気吹込量対油比率を多くする必要がある。よって、酸価の低下と色の淡色化を満足させつつ、脱臭油の風味・酸化安定性を向上させるには数2で示される式で示すような特定の範囲とするのである。
【0053】
日本農林規格によれば、食用植物油脂の規格は各油脂毎に制定されており、規格の厳しいなたねサラダ油では、酸価が0.15以下であり、なたねサラダ油等では、色調がロビボンド法による133.4mmセルで黄20以下、赤2.0以下とされている。本願発明の製造方法によって得られる油脂は、この規格に合致するものである。
【0054】
従来のバッチ式脱臭では、250℃での脱臭時間は、50分〜60分程度であるが、本願の発明では、1例として220℃での脱臭時間25分で水蒸気吹込量対油比率が5質量%であった。
【0055】
例えば、大豆油は脱臭前の原料油ではトコフェロール類が1000〜1200ppm程度含有されているが、250℃、60分の脱臭では20%以上が失われることとなる。本願の発明によれば、トコフェロール類を80%以上残存させることが可能となる。
【0056】
本願発明の製造方法による油脂は、風味や酸化安定性が良好であるので、炒め油やフライ用に使用できる。また、トランス脂肪酸を低減したものの、まだ十分でなかった従来のマーガリン類をはじめとする各種加工油脂製品に使用することで、トランス脂肪酸を極限に近いところまで低減することができる。
【実施例】
【0057】
以下の実施例及び比較例にて使用した原料油および作製した油脂について、酸価は基準油脂分析試験法2.3.1−1996で測定し、色調は、基準油脂分析試験法2.2.1.1−1996、脂肪酸組成は基準油脂分析試験法暫15−2003にて行ない、トランス脂肪酸含有量は、基準油脂分析試験法暫17−2007、トコフェロール含量は、基準油脂分析試験法2.4.10−1996にて分析を行なった。尚、色調は、10R+Yの数値として表した。
【0058】
[実施例1〜4]
図1に模式的に示した構造の脱臭装置を用い、脱臭前原料油脂Oとして、脱色大豆油1kgを2L容量のガラス製水蒸気蒸留フラスコ1に投入し、バッチ式脱臭を行なった。その際に水蒸気は、水蒸気発生器2で蒸留水WをヒータHで加熱して発生したものをフラスコ1の底部まで延びるガラス管3で供給し、その量は蒸留水2の減量をもって計測して脱臭時の水蒸気吹込量とした。
【0059】
フラスコ1には真空ポンプPを、氷水トラップ4を経由して接続して減圧状態とし、フラスコ1内の真空度はマノメータ5にて測定した。フラスコ1内の加熱はマントルヒータ6で行ない、脱臭温度に達するまでの加熱時間は34分であった。温度計7で測定される脱臭温度は220℃、225℃、230℃、235℃として、脱臭時間は50分とし、脱臭時の水蒸気吹込量対油比率は1%を目標に行ない、試験中の真空度は3hPaを維持した。なお、図1中の符号8はゴム管、9はコックである。
【0060】
原料の脱色油および得られた脱臭油の酸価、色調、トランス脂肪酸含量、トコフェロール含量、風味評価を表1中に示すと共に、数1、2に示した式の左項の値を同表中に示した。なお、脱色大豆油の脂肪酸組成におけるジエン脂肪酸(C18−2)は57.0%、トリエン脂肪酸(C18−3)は7.3%であり、数3の式における左項の値は130であった。
【0061】
表中の脱臭油の風味は、下記の基準に従って評価した。
○ 異味異臭なく良好
△ 僅かに原料特有の味がする
× 不快な味があり、食するのに不適
【0062】
[比較例1〜4]
比較例1〜4においては、実施例1における脱臭温度を順に180℃、210℃、240℃、250℃に設定することの他、表1に示される条件で調整したこと以外は、実施例1と同様に脱臭工程を行ない、得られた食用油脂の評価を表1中に併記した。
【0063】
【表1】
【0064】
表1に示す結果からも明らかなように、実施例の製法によって得られた油脂は、トランス脂肪酸の生成量が0.5%以下であり、酸価、色調共に日本農林規格以下であり、風味も良好で、トコフェロールの残存量も80%以上であった。
【0065】
これに対し、比較例1及び2ではトランス脂肪酸は低いが、酸価や色調が不良であり、比較例3や4ではトランス脂肪酸の生成量が多く、低減効果が不十分であった。
【0066】
[実施例5〜7]
実施例5〜7は、実施例1の製造方法で用いた脱色大豆油を脱色なたね油に変更し、脱臭温度を順に220℃、230℃、235℃に設定したこと以外は、実施例1と同様にして脱臭工程を行なった。真空度は3hPaを維持できていた。原料の脱色油および得られた脱臭油の評価として、酸価、色調、トランス脂肪酸含量、トコフェロール含量、風味評価と、数1、2に示した式の左項を表2中に示した。
【0067】
なお、脱色なたね油の脂肪酸組成におけるジエン脂肪酸(C18−2)は20.3%、トリエン脂肪酸(C18−3)は10.3%であったので、数3の式における左項は123.3であった。
【0068】
[比較例5〜7]
実施例1における脱臭温度を180℃、240℃、250℃に設定することの他、表2
に示される条件で調整したこと以外は、実施例1と同様に脱臭を行ない、得られた油脂の評価を表2中に併記した。
【0069】
【表2】
【0070】
表2に示す結果からも明らかなように、脱色なたね油から実施例の製造方法で得られた油脂は、トランス脂肪酸生成量が0.5%以下であり、酸価、色調共に日本農林規格以下であり、風味も良好で、トコフェロールの残存量も80%以上であった。
【0071】
これに対し、比較例5ではトランス脂肪酸は低いが、酸価や色調が不良であり、比較例6や7ではトランス脂肪酸の生成量が多く、低減効果が不十分であった。
【0072】
[実施例8〜10]
実施例1の製造方法で用いた脱色大豆油における脱臭温度と脱臭時の水蒸気吹込量対油比率を表3に示すようにしたこと以外は、実施例1と同様にして脱臭を行なった。
【0073】
原料の脱色油および得られた脱臭油の評価として、酸価、色調、トランス脂肪酸含量、トコフェロール含量、風味評価を示すと共に、数1、2に示した式の左項の値を表3中に示した。
【0074】
【表3】
【0075】
表3に示す結果から明らかなように、脱臭温度が低い場合でも脱臭時間と水蒸気吹込量対油比率を増やすことで、実施例8〜10の製造方法で得られた油脂は、トランス脂肪酸の生成量を低く抑えながらも酸価、色調、風味も良好であり、トコフェロールの残存量も80%以上であった。
【0076】
[実施例11〜14]
実施例5の製造方法で用いた脱色なたね油を原料とし、脱臭温度220℃または230℃で脱臭時間を35分とし、5hPa以下の真空度を維持して脱臭時の水蒸気吹込量対油比率を1.5%と2.5%とする条件で脱臭を行なった。
原料の脱色油および得られた脱臭油の酸価、色調、トランス脂肪酸含量、トコフェロール含量、風味評価と、数1、2、3に示した式の左項の値を表4中に併記した。
【0077】
【表4】
【0078】
表4の結果から明らかなように、水蒸気吹込量対油比率を増やすことで、実施例の製造方法による油脂は、酸価をさらに低減できるだけでなく、トランス脂肪酸の生成量も低く抑えられた油脂となっていた。
【0079】
[実施例15〜21、比較例8]
実施例1の製造方法において、原料の脱色大豆油を5hPa以下の真空度を維持して脱臭温度、脱臭時間、脱臭時の水蒸気吹込量対油比率を表5に示すように変動させたこと以外は、実施例1と同様にして脱臭を行なった。
【0080】
脱色大豆油は、トコフェロール含量が保管中に若干減少していたが、そのまま使用した。原料の脱色油および得られた脱臭油の酸価、色調、トランス脂肪酸含量、トコフェロール含量、風味評価を示すと共に、数1、2、3に示した式の左項の値を表5中に併記した。
【0081】
【表5】
【0082】
表5に示す結果から明らかなように、脱臭温度、脱臭時間、脱臭時の水蒸気吹込量対油比率を実施例の製造方法でバランスよく調整した実施例15〜21の油脂は、トランス脂肪酸の生成量が0.5%以下であり、酸価、色調、風味も良好で、トコフェロールの残存量も80%以上であった。
【0083】
これに対し、比較例8の油脂では、数2の式を満足しないS,M,Tの値を採用したので、トコフェロールの残存量が80%未満であった。
【0084】
[実施例22]
実施例15の製造方法において、脱色大豆油の脱臭温度を220℃、脱臭時間40分、脱臭時の水蒸気吹込量対油比率8.0%とし、真空度8hPaとしたこと以外は同様にして脱臭工程を行なった。原料の脱色大豆油および得られた脱臭油の酸価、色調、トランス脂肪酸含量、トコフェロール含量、風味評価を示すと共に、数1、2、3に示した式の左項の値を表6中に併記した。
【0085】
【表6】
【0086】
表6の結果からも明らかなように、実施例22の大豆油はトランス脂肪酸の生成量は相当に低く、脱臭油の品質は優れたものであった。
【0087】
[実施例23、比較例9]
実施例1において、脱色大豆油の代わりに脱色豚脂400gを用い、1L容量のガラス製水蒸気蒸留フラスコを用いて真空度2hPaで脱臭を行なったこと、脱臭時の水蒸気吹込量対油比率を表7に示した通りとしたこと以外は実施例1と同様にして脱臭工程を行ない、食用油脂を製造した。
【0088】
原料の脱色豚脂および得られた食用油脂の酸価、色調、トランス脂肪酸含量、トコフェロール含量、風味評価を表7中に示すと共に、数1〜3に示した式の左項の値を同表中に併記した。なお、脱色豚脂の脂肪酸組成におけるジエン脂肪酸(C18−2)は7.9%、トリエン脂肪酸(C18−3)は0.7%であったので、数3の式の左項は14.9であった。
【0089】
【表7】
【0090】
表7の結果からも明らかなように、動物脂である豚脂に対しても実施例22は比較例9に比べてトランス脂肪酸の生成量は、実質的に全く生成しない程度に低く、脱臭油の品質は優れたものであった。
【0091】
[実施例24、比較例10]
実施例1において、原料の脱色大豆油の代わりに脱色大豆油320gと脱色えごま油80gを混合した大豆えごま混合油400gを用いたこと、1L容量のガラス製水蒸気蒸留フラスコを用いて真空度2hPaで脱臭を行なったこと、表8に示した脱臭時の水蒸気吹込量対油比率としたこと以外は実施例1と同様にして脱臭工程を行ない、食用油脂を製造した。
【0092】
原料に用いた脱色大豆えごま混合油および得られた脱臭油の酸価、色調、トランス脂肪酸含量、トコフェロール含量、風味評価を示すと共に、数1、2、3に示した式の左項の値を表8中に併記した。なお、大豆えごま混合油の脂肪酸組成におけるジエン脂肪酸(C18−2)は45.8%、トリエン脂肪酸(C18−3)は17.2%であり、数3の式に示される左項は217.8であった。
【0093】
【表8】
【0094】
表8の結果からも明らかなように、脱臭工程前の原料油脂が、ジエン脂肪酸とトリエン脂肪酸の含量の高い混合油を使用した実施例24は、トランス脂肪酸の生成量が相当に低くなり、脱臭油の品質は優れたものであった。
【0095】
一方、数1、2の条件を満足しない脱臭工程条件を採用した比較例10はトランス脂肪酸の生成量は多く、トコフェロールの残存量は相当に低いものであった。
【0096】
[実施例25]
脱色なたね油900gとパーム極度硬化油100gを混合し、70℃まで加温した後、油脂に対し3gのナトリウムメトキシドを加え、30分間攪拌混合してランダムエステル交換反応を行なった。反応後、水洗して触媒を除去し、得られた反応油に活性白土を1%添加して105℃減圧下で30分間吸着処理をした後、濾紙にてろ過し、エステル交換油800gを得た。
【0097】
得られたエステル交換油400gについて、1L容量のガラス製水蒸気蒸留フラスコを用いて真空度2hPaで脱臭を行なった。脱臭温度、脱臭時間、脱臭時の水蒸気吹込量対油比率は表9に示したとおりであり、原料の脱色油および得られた脱臭油の酸価、色調、トランス脂肪酸含量、トコフェロール含量、風味評価を示すと共に、数1、2、3に示した式の左項の値を表9中に併記した。
【0098】
なお、エステル交換油の脂肪酸組成におけるジエン脂肪酸(C18−2)は17.0%、トリエン脂肪酸(C18−3)は8.7%であったので、数3の式に示す左項は、104であった。
【0099】
【表9】
【0100】
表9の結果からも明らかなように、エステル交換油に対しても実施例25は、トランス脂肪酸の生成量は相当に低く、しかも脱臭油の品質は優れたものであった。
【0101】
[実施例26〜27]
ガードラー式トレイ型半連続式脱臭装置を用いて、真空度4hPaでコーン油、大豆油の脱臭を実施した。
トレイ数は5であり、トレイの油脂仕込量は1250kgとした。脱臭温度は220℃とし、第1トレイと第2トレイで220℃まで加熱し、第3トレイと第4トレイで脱臭を行なった。
【0102】
コーン油の場合は、各トレイで24分ずつ、計48分の保持時間(脱臭時間)とし、脱臭時の水蒸気吹込量対油比率を1.1%とした。
【0103】
大豆油の場合は各トレイで20分ずつ、計40分の保持時間(脱臭時間)とし、脱臭時の水蒸気吹込量対油比率を1.9%とした。
【0104】
第5トレイでの冷却を経た後、完全に窒素気流下となっているタンクに移送した脱臭油脂をサンプリングして品質を調べた。この結果を表10に示した。尚、脱臭前の原料油についても表10に併記した。
【0105】
また、得られた脱臭油について、保存の風味評価試験とその評価を以下のように行ない、その結果を表10中に併記した。
【0106】
<保存後の風味評価試験>
脱臭油を500ml容スチール缶に500g入れ、密栓後20℃に90日間保存した後、下記の基準に従い風味評価及び過酸化物価を行なった。
○: ほとんど無味か、微かに戻り臭がある程度であり良好である
△: 戻り臭や少し劣化した味が感じられる
×: 劣化しており、食用に不適である
【0107】
[比較例11〜12]
実施例26と27において、脱臭温度を250℃、脱臭時間を48分とし、脱臭時の水蒸気吹込量対油比率を通常の1.1%としたこと以外は同様に行ない、結果を表10中に併記した。
【0108】
【表10】
【0109】
表10の結果から明らかなように、脱臭工程における脱臭温度、脱臭時間、脱臭時の水蒸気吹込量対油比率を数1、2に示す所定の関係性をもってバランスよく調整した実施例26、27の油脂は、トランス脂肪酸の生成量が0.2%以下であり、酸価、色調、風味も良好で、トコフェロールの残存量も80%以上であった。
【0110】
これに対し、比較例11、12の脱臭工程で製造された油脂では、数1、2に示す所定の関係性を満足せずに、トコフェロールの残存量が80%未満であり、トランス脂肪酸の生成量が0.5質量%を超えていた。
【0111】
[実施例28]
実施例27において、大豆油に代えて脱色なたね油を原料として脱臭を行なった。脱色なたね油は、色調が80であったので、再度の脱色処理を行なった。その場合、なたね油20トンに対して活性白土を0.5%添加して90℃減圧下で30分間吸着処理をした後、フィルタープレスにてろ過し、得られたなたね脱色油を脱臭装置に供した。得られた脱色なたね油の酸価は、0.11であり、色調は19であった。
【0112】
脱臭工程は、真空度4hPaで脱色油脂を220℃、40分間脱臭し、脱臭なたね油を得た。脱臭なたね油及び脱臭前の脱色なたね油の品質を表11中に示した。
また、得られた脱臭油について、実施例27と同様に保存テストを行ない、その結果を表11中に併記した。
【0113】
【表11】
【0114】
表11の結果から明らかなように、脱臭工程における脱臭温度、脱臭時間、脱臭時の水蒸気吹込量対油比率を数1、2に示す所定の関係性をもってバランスよく調整した実施例28の製造方法で得られた油脂は、トランス脂肪酸の生成量が0.16と低く、酸価、色調、風味も良好で、トコフェロールの残存量も80%以上であった。特に、脱臭前の原料油に吸着剤処理を施し、色調を19に低減させたことにより、比較例7に示された油脂の色調以上に淡色のものとなった。
【符号の説明】
【0115】
1 フラスコ
2 水蒸気発生器
3 ガラス管
4 氷水トラップ
5 マノメータ
6 マントルヒータ
7 温度計
8 ゴム管
9 コック
W 蒸留水
O 原料油脂
図1
図2