(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
従来、圧電デバイスは、素子搭載部材と、素子搭載部材に搭載された集積回路素子および圧電素子とを含んでいる。
【0003】
従来の圧電デバイスにおいては、集積回路素子を搭載する下側凹部の底面に、集積回路素子を電気的に接続する複数の搭載パッドが設けられている。複数の搭載パッドには、圧電素子測定用パターンおよび出力用配線パターンが接続されている。
【0004】
圧電素子測定用パターンは、圧電素子に電気的に接続されており、圧電素子の出力信号が印加される。出力用配線パターンは、集積回路素子の出力電極に電気的に接続されており、集積回路素子の出力信号(圧電デバイスの出力信号となる信号)を伝送する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来の圧電デバイスは、集積回路素子が搭載された下側凹部の底面において、圧電素子測定用パターンと出力用配線パターンとの間に容量が付加されて、例えば出力用配線パターンによって伝送される出力信号の周波数が変動する可能性があった。
【0007】
本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものであり、圧電素子測定用パターンと出力用配線パターンとの間に容量を低減でき、出力信号の周波数変動を低減できる圧電デバイスを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一つの態様による圧電デバイスは、複数の搭載パッド、グランド用配線パターン、出力用配線パターンおよび一対の圧電素子測定用パターンが基板部の下面に設けられた素子搭載部材と、複数の搭載パッドに搭載された集積回路素子と、基板部の上面に設けられており、前記集積回路素子に電気的に接続された圧電素子とを含んでいる。グランド用配線パターン、出力用配線パターンおよび一対の圧電素子測定用パターンはそれぞれ異なる搭載パッドに接続されており、グランド用配線パターンが、一対の圧電素子測定用パターンの出力用配線パターンに近い方の圧電素子測定用パターンと、前記出力用配線パターンとの間に配置され
ており、グランド用配線パターンが、出力用配線パターンとの間だけでなく、出力用配線パターンとは反対側にも設けられており、圧電素子測定用パターンを3方向で囲むように配置されている。
【発明の効果】
【0009】
本発明の一つの態様による圧電デバイスは、グランド用配線パターンを、一対の圧電素子測定用パターンの出力用配線パターンに近い方の圧電素子測定用パターンと出力用配線パターンとの間に配置することによって、圧電素子測定用パターンと出力用配線パターンとの間に電気的なシールド効果を得ることができ、出力用配線パターンに対する圧電素子測定用パターンの影響をグランド用配線パターンにより低減できる。したがって、出力用配線パターンによって伝送される出力信号の周波数変動が低減される。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の例示的な実施形態について図面を参照して説明する。
【0012】
図1に示されているように、本発明の一つの実施形態における圧電デバイス100は、素子搭載部材110と、素子搭載部材110に搭載された集積回路素子120および圧電素子130とを含んでいる。なお、
図1は、
図2に示された圧電デバイス100のA−Aにおける断面図を示している。
【0013】
素子搭載部材110は、
図1、
図2に示されているように、基板部110a、基板部110aの下面に設けられた第1の枠部110b、基板部110aの上面に設けられた第2の枠部110c、複数の搭載パッド113、一対の圧電素子測定用パターン114、複数の外部端子116、出力用配線パターン117、及びグランド用配線パターン118とを含んでいる。ここで、素子搭載部材110の下面の凹部空間を下側凹部K1、上面の凹部空間を上側凹部K2とする。素子搭載部材110を構成する基板部110aと第1の枠部110bと第2の枠部110cとは、例えば、ガラス−セラミックス、アルミナセラミックス等のセラミック材料からなる。
【0014】
基板部110aは、例えば、
図1、
図2に示されているように、矩形の平板状である。第1の枠部110bは、基板部110aの下面の縁部に沿って設けられており、基板部110aとで下側凹部K1が形成されている。また、第2の枠部110cは、基板部110aの上面の縁部に沿って設けられており、基板部110aとで上側凹部K2が形成されている。
【0015】
基板部110aの下面には、
図2、
図3に示されているように、集積回路素子120が搭載される複数の搭載パッド113、一対の圧電素子測定用パターン114、出力用配線パターン117、及びグランド用配線パターン118が配置されている。また、第1の枠部110bの下面の四隅部には、複数の外部端子116が配置されている。なお、複数の搭載パッド113のそれぞれは、符号113の後にアルファベットを付して例えば113a、113b等のように示されている。また、複数の外部端子116のそれぞれは、符号116の後にアルファベットを付して例えば116a、116b等のように示されている。
【0016】
複数の搭載パッド113は、
図1に示されているように、例えば、半田等の導電性接合材122によって、集積回路素子120が有する複数の接続端子121と電気的に接続されている。また、例えば、複数の搭載パッド113のうちの所定の2つは、一対の圧電素子測定用パターン114を介して圧電素子130と電気的に接続されている。また、例えば、残りの4つの搭載パッド113は、複数の外部端子116と電気的に接続されている。
【0017】
一対の圧電素子測定用パターン114は、圧電素子130に電気的に接続されており、圧電素子130の出力信号が印加される。また、一対の圧電素子測定用パターン114は、
図3に示されているように、複数の搭載パッド113a〜113fの両側に設けられ、下側凹部K1の長辺に平行な多角形状である。
【0018】
複数の外部端子116は、例えば、
図2に示されているように、素子搭載部材110の一方の下側凹部K1を形成する第1の枠部110bの四隅に1個ずつ4個設けられている。複数の外部端子116は、例えば、出力端子116a、GND端子116b、制御端子116c、電源端子116dとして機能する端子が含まれている。
【0019】
集積回路素子120の複数の接続端子121は、
図2に示されているように、複数の外部端子116のうち出力端子116aに接続される出力接続端子121aと、GND端子116bに接続されるGND接続端子121bと、制御端子116cに接続される制御接続端子121cと、電源端子116dに接続される電源接続端子121dと、一対の圧電素子測定用パターン114に接続される測定用接続端子121eおよび121fとから構成される。
【0020】
また、
図3に示されているように、出力搭載パッド113aは、集積回路素子120から出力された信号が印加され、出力用配線パターン117を介して出力端子116aに電気的に接続されている。GND搭載パッド113bは、グランド用配線パターン118を介してGND端子116bに電気的に接続されており、接地電圧が印加される。制御搭載パッド113cは、制御端子116cに電気的に接続されており、集積回路素子120の出力状態を制御するための信号(すなわち、制御信号)が印加される。電源パッド113dは、電源端子116dに電気的に接続されており、電源電圧が印加される。測定用搭載パッド113eおよび113fは、圧電素子130に電気的に接続されており、集積回路素子120に入力される圧電素子130の出力信号が印加される。
【0021】
また、圧電素子130は、所定の結晶軸でカットした圧電素板に外部からの変動電圧が一対の接続用電極と励振用電極を介して圧電素板に印加されると、所定の周波数で音叉振動を起こすようになっている。また、圧電素板としては、例えば音叉型の水晶が用いられる。また、圧電素子130が収容される素子搭載部材110の他方の上側凹部K2は、第2の枠部110cと蓋部材140とで気密封止されている
【0022】
本実施形態の圧電デバイス100は、
図3に示されているように、グランド用配線パターン118が一対の圧電素子測定用パターン114の出力用配線パターン117に近い方の圧電素子測定用パターン114と出力用配線パターン117との間に配置されている。
【0023】
グランド用配線パターン118は、
図3に示されているように、基板部110aの長辺方向に延び、一対の圧電素子測定用パターン114の出力用配線パターン117に近い方の一部を囲むように形成されている。
【0024】
また、グランド用配線パターン118は、一端をGND搭載パッド113bに接続され、他端をGND端子116bに接続されている。ここで、GND搭載パッド113bは、
図3に示されているように、集積回路素子120が搭載される基板部110aの中央部において、基板部110aの短辺方向における中央部に設けられている。
【0025】
GND端子116bは、
図3に示されているように、第1の枠部111bの短辺方向における他端側に設けられている。ここで、第1の枠部111bの短辺方向とは、
図3において、仮想のY軸方向であり、一端側とは、仮想のY軸方向の下方向である。
【0026】
出力用配線パターン117は、一端を出力搭載パッド113aに接続され、他端を出力端子116aに接続されている。また、出力用配線パターン117は、
図3に示されているように、基板部110aの長辺方向に延び、その一部が第1の枠部110bと重なる位置に配置されている。
図3において、基板部110aの長辺方向とは仮想のX軸方向である。
【0027】
ここで、出力搭載パッド113aは、
図3に示されているように、集積回路素子120が搭載される基板部110aの中央部において、基板部110aの短辺方向における一端側に設けられている。
図3において、基板部110aの短辺方向とは仮想のY軸方向であり、一端側とは、仮想のY軸方向の上方向である。
【0028】
出力端子116aは、
図3に示されているように、第1の枠部111bの短辺方向における一端側に設けられている。ここで、第1の枠部111bの短辺方向とは、
図3において、仮想のY軸方向であり、一端側とは、仮想のY軸方向の上方向である。
【0029】
本実施形態の圧電デバイス100は、グランド用配線パターン118が一対の圧電素子測定用パターン114の出力用配線パターン117に近い方の圧電素子測定用パターン114と出力用配線パターン117との間に配置することによって、圧電素子測定用パターン114と出力用配線パターン117との間に電気的なシールド効果を得ることができる。よって、本実施形態の圧電デバイス100は、出力用配線パターン117に対する圧電素子測定用パターン114の影響をグランド用配線パターン118により低減できる。したがって、出力用配線パターン117によって伝送される出力信号の周波数の変動を低減することができる。
【0030】
また、
図2、
図3においては、グランド用配線パターン118と出力用配線パターン117を一対の圧電素子測定用パターン114が設けられている面と同一層に設けているが出力用配線パターン117を一対の圧電素子測定用パターン114と異なる層に設けても構わない。この場合も、出力用配線パターン117に対する圧電素子測定用パターン114の影響をグランド用配線パターン118により低減できる。
【0031】
本実施形態の圧電デバイス100におけるグランド用配線パターン118は、
図3に示されているように、一対の圧電素子測定用パターン114の出力用配線パターン117に近い方を囲むように配置されている。本実施形態の圧電デバイス100は、グランド用配線パターン118によって、出力用配線パターン117で伝送される出力信号が、圧電素子130の出力信号による影響を受けることを抑えることができ、さらに、安定した出力信号を得ることができる。
【0032】
また、本実施形態の圧電デバイス100の変形例として、グランド用配線パターン118は、
図4に示されているように、基板部110aの一対の圧電素子測定用パターン114の、出力用配線パターン117側だけでなく、出力用配線パターン117とは反対側でも圧電素子測定用パターン114を囲むように追加して配置しても構わない。この場合は、外部の他のデバイスによる影響を、グランド用配線パターン118により低減することができる。
【0033】
また、前記した実施形態以外にも、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更、改良等が可能である。例えば、前記実施形態に示した圧電デバイス100の上側凹部K2に搭載される素子として、音叉型の圧電素子130を示したが、これに限定することなく、例えば、ATカット振動素子や弾性表面波素子を用いても構わない。