特許第5955138号(P5955138)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5955138
(24)【登録日】2016年6月24日
(45)【発行日】2016年7月20日
(54)【発明の名称】車載用ディスプレイ装置
(51)【国際特許分類】
   B60R 11/02 20060101AFI20160707BHJP
【FI】
   B60R11/02 C
【請求項の数】4
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2012-152738(P2012-152738)
(22)【出願日】2012年7月6日
(65)【公開番号】特開2014-15091(P2014-15091A)
(43)【公開日】2014年1月30日
【審査請求日】2015年2月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】000101732
【氏名又は名称】アルパイン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000442
【氏名又は名称】特許業務法人 武和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】阿部 弘
【審査官】 加藤 信秀
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−088772(JP,A)
【文献】 特表2006−507172(JP,A)
【文献】 特開2003−146146(JP,A)
【文献】 特開2006−329410(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0203135(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 11/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに平行な一対の側板間を連結板で橋絡してなるシャーシと、前記連結板に沿って配置されて両端部に連結ギアを有する連結シャフトと、この連結シャフトを回転駆動させるモータと、前記両側板にそれぞれ移動可能に保持された一対のスライダと、これら両スライダに支持された表示パネルと、前記連結シャフトの回転に伴って前記両スライダを駆動させる一対の動力伝達機構とを備え、
一対の前記動力伝達機構のそれぞれは、前記側板に軸支された駆動側タイミングプーリおよび従動側タイミングプーリと、これら両タイミングプーリ間に巻回されたタイミングベルトと、前記駆動側タイミングプーリに一体化された同期ギアとを有しており前記タイミングベルトが対応する前記スライダに固定されていると共に、前記両側板に端面を開放した溝部が設けられており、前記連結シャフトを前記溝部に挿入して回転可能に支持することにより、前記連結シャフトの両端部に設けられた前記連結ギアがそれぞれ前記同期ギアに噛合されていることを特徴とする車載用ディスプレイ装置。
【請求項2】
請求項1の記載において、いずれか一方の前記側板に前記モータと該モータに噛合するアイドルギアが搭載されていると共に、前記連結シャフトの両端部が前記側板と前記連結板との間に軸支されており、この連結シャフトに前記アイドルギアに噛合する駆動ギアが設けられていることを特徴とする車載用ディスプレイ装置。
【請求項3】
請求項1または2の記載において、前記駆動側タイミングプーリに刻設されたタイミングギアの歯数に対して前記同期ギアの歯数が整数倍に設定されていることを特徴とする車載用ディスプレイ装置。
【請求項4】
請求項1の記載において、前記スライダに前記タイミングベルトの歯部形状に合致する係止溝が形成されており、この係止溝に前記タイミングベルトを挿入することにより、該タイミングベルトが対応する前記スライダに固定されていることを特徴とする車載用ディスプレイ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車室内のコンソールボックスやダッシュボード等に設置して使用される車載用ディスプレイ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、前後方向を開口した枠状のシャーシの両側壁に動力伝達機構を設け、これら動力伝達機構を動作させて移動ブラケットを上下方向に移動することにより、移動ブラケットに支持された表示パネルをシャーシの前面開口に沿って上下動させるようにした車載用ディスプレイ装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。この車載用ディスプレイ装置では、断面コ字状の移動ブラケットの両側壁にピンが設けられており、このピンはシャーシの両側板に穿設されたガイド孔に摺動自在に挿入されている。動力伝達機構は駆動プーリと従動プーリとの間に巻回されたタイミングベルト等によって構成されており、タイミングベルトの外周面には移動ブラケットと係合する伝達片が設けられている。
【0003】
このように概略構成された従来の車載用ディスプレイ装置において、表示パネルがシャーシの前面開口を塞ぐ最下位置にあるとき、モータを駆動源として駆動プーリを一方向へ回転すると、両プーリ間に巻回されたタイミングベルトが回転駆動されるため、タイミングベルトの回動が伝達片を介して移動ブラケットに伝達される。その結果、移動ブラケットがシャーシ側板のガイド孔に案内されて上方へ移動し、それに伴って表示パネルが最下位置から移動してシャーシの上方へ突出する。また、表示パネルが突出位置にあるとき、モータを駆動して駆動プーリを他方向へ回転すると、タイミングベルトが上記と逆向きに回動して移動ブラケットが下方へ移動するため、表示パネルは突出位置から下動して再び最下位置へ戻る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−12880号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前述した従来の車載用ディスプレイ装置は、移動ブラケットに支持された表示パネルがシャーシの前面開口に沿って上下動するようになっているため、例えば、シャーシの内部を小物入れ等の収納スペースとして利用し、表示パネルの上下動に伴って収納スペースを開閉するという使用形態が可能になる。その場合、ディスプレイ装置を車室内の所定箇所に設置したとき、表示パネルの背面側に収納スペースが位置することになるため、シャーシを一対の側板に分割して収納スペースの左右両側に配置すると共に、各側板に設けた一対の動力伝達機構を連結シャフト等を用いて連動させる必要がある。すなわち、左右の動力伝達機構を正確に位置合わせしておかないと、両動力伝達機構の駆動プーリやタイミングベルトに位相差を生じて同期回転しなくなるため、表示パネルを傾きのない姿勢で上下動させることができなくなる。
【0006】
本発明は、このような従来技術の実情に鑑みてなされたもので、その目的は、一対の動力伝達機構を簡単かつ正確に位置合わせすることができる車載用ディスプレイ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために、本発明の車載用ディスプレイ装置は、互いに平行な一対の側板間を連結板で橋絡してなるシャーシと、前記連結板に沿って配置されて両端部に連結ギアを有する連結シャフトと、この連結シャフトを回転駆動させるモータと、前記両側板にそれぞれ移動可能に保持された一対のスライダと、これら両スライダに支持された表示パネルと、前記連結シャフトの回転に伴って前記両スライダを駆動させる一対の動力伝達機構とを備え、一対の前記動力伝達機構のそれぞれは、前記側板に軸支された駆動側タイミングプーリおよび従動側タイミングプーリと、これら両タイミングプーリ間に巻回されたタイミングベルトと、前記駆動側タイミングプーリに一体化された同期ギアとを有しており前記タイミングベルトが対応する前記スライダに固定されていると共に、前記両側板に端面を開放した溝部が設けられており、前記連結シャフトを前記溝部に挿入して回転可能に支持することにより、前記連結シャフトの両端部に設けられた前記連結ギアがそれぞれ前記同期ギアに噛合されている構成とした。
【0008】
このように構成された車載用ディスプレイ装置では、左右一対の側板にそれぞれ動力伝達機構(駆動側および従動側タイミングプーリとタイミングベルト)やスライダを組み込んだ後、左右のスライダが平行になるように位置決めした状態で両動力伝達機構を連結シャフトで連結すると、連結シャフトを両側板の溝部に挿入して組み込む際に左右の駆動側タイミングプーリの回転方向の位相が正確に一致しているため、駆動側タイミングプーリに一体化された同期ギアと連結シャフトの両端部に設けられた連結ギアとをスムーズに噛合させることができ、簡単な組立作業で左右の動力伝達機構を正確に位置合わせすることができる。
【0009】
上記の構成において、いずれか一方の側板にモータと該モータに噛合するアイドルギアが搭載されていると共に、連結シャフトの両端部が側板と連結板との間に軸支されており、この連結シャフトにアイドルギアに噛合する駆動ギアが設けられていると、モータの回転を連結シャフトに対して簡単かつ確実に伝達することができる。
【0010】
また、上記の構成において、駆動側タイミングプーリに刻設されたタイミングギアの歯数に対して同期ギアの歯数が整数倍に設定されていることが好ましく、特に、タイミングギアの歯数と同期ギアの歯数が1:1になっていると好ましい。
【0011】
また、上記の構成において、スライダにタイミングベルトの歯部形状に合致する係止溝が形成されており、この係止溝にタイミングベルトを挿入することにより、該タイミングベルトが対応するスライダに固定されるようになっていると、スライダとタイミングベルトを簡単かつ正確に連結することができて好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明の車載用ディスプレイ装置では、左右一対の側板にそれぞれ動力伝達機構(駆動側および従動側タイミングプーリとタイミングベルト)やスライダを組み込んだ後、左右のスライダが平行になるように位置決めした状態で両動力伝達機構を連結シャフトで連結すると、連結シャフトを両側板の溝部に挿入して組み込む際に左右の駆動側タイミングプーリの回転方向の位相が正確に一致しているため、駆動側タイミングプーリに一体化された同期ギアと連結シャフトの両端部に設けられた連結ギアとをスムーズに噛合させることができる。それゆえ、簡単な組立作業で左右の動力伝達機構を正確に位置合わせすることができ、両スライダに支持された表示パネルを傾きのない姿勢で上下動させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の実施形態例に係る車載用ディスプレイ装置の斜視図である。
図2図1に示す車載用ディスプレイ装置の右側面図である。
図3図1に示す車載用ディスプレイ装置の左側面図である。
図4】該車載用ディスプレイ装置に備えられる表示パネルが最下位置に移動した状態を示す右側面図である。
図5】該車載用ディスプレイ装置に備えられる表示パネルが最下位置に移動した状態を示す左側面図である。
図6】該車載用ディスプレイ装置の動力伝達機構を示す斜視図である。
図7】該動力伝達機構の要部を示す斜視図である。
図8図7に対応する平面図である。
図9】該動力伝達機構に備えられるタイミングベルトとスライダの連結部分を示す説明図である。
図10】該動力伝達機構に備えられる駆動側タイミングプーリと同期ギアの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
発明の実施の形態について図面を参照して説明すると、図1図9に示すように、本実施形態例に係る車載用ディスプレイ装置は、収納空間Sを介して平行に対向する一対の側板1,2と、両側板1,2の上端部を橋絡する連結板3と、側板1,2にそれぞれ移動可能に支持された一対のスライダ4と、これらスライダ4に支持された表示パネル5と、一方の側板2に取り付けられたモータ6と、モータ6を駆動源としてスライダ4を同期駆動させる一対の動力伝達機構7等によって主に構成されている。この車載用ディスプレイ装置は、例えば車室内のコンソールボックス等に設けられた小物入れを包囲するように設置され、その場合、側板1,2が小物入れを挟んだ左右両側に設置されると共に、連結板3が小物入れの天井面に設置される。
【0015】
両側板1,2と連結板3はいずれも金属平板からなり、これら側板1,2と連結板3はネジ止め等により一体化されて門形のシャーシを構成している。左方の側板1には上下方向に延びる一対のガイド孔1aと位置決め孔1bが形成されており、一方のスライダ4はこれらガイド孔1aに沿って側板1の上下方向へガイドされている。右方の側板2にも同様のガイド孔2aと位置決め孔2bが形成されており、他方のスライダ4はこれらガイド孔2aに沿って側板2の上下方向へガイドされている。両スライダ4には側板1,2の内面側に配置された支持板8が連結されており、これら支持板8に表示パネル5が固定されている。したがって、両スライダ4が各ガイド孔1a,2aに沿って上下方向へ移動すると、表示パネル5が収納空間Sの前方を上下動するようになっている。また、両スライダ4には側板1,2の位置決め孔1b,2bに対応する位置決め孔4aが形成されており、これら位置決め孔1b,2bと位置決め孔4aに図示せぬ治具を挿入することにより、スライダ4を側板1,2に対して基準位置に位置決めできるようになっている。
【0016】
一対の動力伝達機構7は左右の側板1,2に設けられているが、両者は同一構成であるため、ここでは右方の側板2に設けられた動力伝達機構7について説明する。この動力伝達機構7は、側板2の上部に軸支された駆動側タイミングプーリ9と、側板2の下部に軸支された従動側タイミングプーリ10と、これら両タイミングプーリ9,10間に巻回されたタイミングベルト11と、駆動側タイミングプーリ9に一体化された同期ギア12とを有しており、タイミングベルト11には与圧ローラ13からプリテンションが付与されている。駆動側タイミングプーリ9と従動側タイミングプーリ10にはそれぞれタイミングギア9a,10aが刻設されており、これらタイミングギア9a,10aにタイミングベルト11の内周面に形成された凹凸形状の歯部11aが噛合している。図9に示すように、スライダ4にはタイミングベルト11に向かって突出する連結片4bが一体形成されており、この連結片4bにタイミングベルト11の歯部11aと同一形状の係止溝4cが形成されている。そして、この係止溝4c内にタイミングベルト11を挿入することにより、スライダ4とタイミングベルト11が一体的に移動するように連結されている。
【0017】
図10に示すように、同期ギア12は駆動側タイミングプーリ9の背面に凹凸嵌合により取り付けられており、駆動側タイミングプーリ9と同期ギア12は同軸上に軸支されて一体的に回転する。同期ギア12には駆動側タイミングプーリ9のタイミングギア9aと同じ歯数のギア12aが刻設されており、同期ギア12を駆動側タイミングプーリ9に取り付けたとき、タイミングギア9aとギア12aとの間で両者の歯先と歯元の位置が一致するようになっている。このように、駆動側タイミングプーリ9のタイミングギア9aの歯数と同期ギア12のギア12aの歯数は1:1の関係に設定されている。
【0018】
図6図8に示すように、モータ6の回転軸にはウォームギア14が固着されており、このウォームギア14は側板2に軸支されたアイドルギア15と噛合している。アイドルギア15は側板2に軸支された別のアイドルギア16と噛合しており、このアイドルギア16が連結シャフト17に固着された駆動ギア18と噛合している。連結シャフト17の両端部近傍は側板1,2の上端面に形成されたU字状溝(図示せず)に挿入されており、このU字状溝に軸受け部材19を挿入した状態で連結板3を側板1,2の上端に固定することにより、連結シャフト17は側板1,2と連結板3との間に回転可能に支持されている。この連結シャフト17の両端部には連結ギア20が固着されており、これら連結ギア20はそれぞれ両動力伝達機構7の同期ギア12と噛合している。これにより、モータ6の回転がアイドルギア15,16と駆動ギア18を介して連結シャフト17に伝達された後、この連結シャフト17の回転が連結ギア20を介して左右の動力伝達機構7へと伝達されるようになっている。
【0019】
なお、右方の側板2に設けられた動力伝達機構7のタイミングベルト11には三角形状の突出片21が固着されており、この突出片21の上部先端側には水平方向へ延びる長孔21aが形成されている。また、側板2の内面側にはスライドボリューム等の位置センサ(図示せず)が配設されており、この位置センサに設けられた検知ピン22は側板2に形成された円弧状溝2cを挿通して長孔21aと係合している。これにより、タイミングベルト11の回動に伴って突出片21が側板2の上下方向へ移動すると、位置センサの検知ピン22が側板2の左右方向へ移動し、位置センサからタイミングベルト11の回動位置に応じた検出信号が出力される。
【0020】
本実施形態例に係る車載用ディスプレイ装置の組立工程では、まず、左右一対の側板1,2にそれぞれスライダ4や動力伝達機構7(駆動側および従動側タイミングプーリ9,10とタイミングベルト11)等を組み込んだ後、これら側板1,2を対向させてスライダ4の位置決め孔4aと側板1,2の位置決め孔1b,2bに図示せぬ治具を挿入する。これにより、左右のスライダ4が側板1,2の基準位置に平行な姿勢で仮固定されるため、両スライダ4に連結された左右のタイミングベルト11は同位相となり、これらタイミングベルト11に噛合する両駆動側タイミングプーリ9の回転方向の位相は正確に一致することになる。そして、この状態で連結シャフト17を側板1,2の上方からU字状溝に落とし込むと、連結シャフト17の駆動ギア18がアイドルギア16に噛合すると共に、連結シャフト17の両連結ギア20が左右の同期ギア12に噛合する。このとき、駆動側タイミングプーリ9に一体化された両同期ギア12の回転方向の位相が正確に一致しているため、両連結ギア20を対応する同期ギア12に対して抵抗無くスムーズに噛合させることができ、左右のスライダ4の平行度は維持される。しかる後、軸受け部材19を介して連結板3を側板1,2の上端に固定し、前述した治具を取り除いてスライダ4の仮固定状態を解除することにより、車載用ディスプレイ装置の組立工程が完了する。
【0021】
このように構成された車載用ディスプレイ装置は、コンソールボックス等に設けられた小物入れを包囲するように設置され、図4,5に示すように、左右のスライダ4が側板1,2の最下位置に移動しているとき、表示パネル5によって小物入れは覆い隠されている。この状態でモータ6を正逆いずれか一方向へ回転駆動すると、モータ6の回転がウォームギア14からアイドルギア15,16と駆動ギア18を介して連結シャフト17に伝達された後、この連結シャフト17の回転が各連結ギア20を介して左右の動力伝達機構7の同期ギア12へと伝達される。その際、左右の同期ギア12の回転方向の位相は正確に一致しているため、左右の動力伝達機構7は位相差を生じることなく同じように動作し、左右のタイミングベルト11が図4,5の矢印A方向へ回動する。これにより、図1図3に示すように、各タイミングベルト11に連結されたスライダ4がそれぞれ側板1,2の最下位置から上方へ移動し、それに伴って表示パネル5が突出位置へ移動して小物入れを露出させる。また、表示パネル5が突出位置にあるときにモータ6を他方向へ回転駆動すると、タイミングベルト11が図2,3の矢印Bへ回動して両スライダ4がそれぞれ側板1,2の下方へ移動するため、表示パネル3は突出位置から下動して再び図4,5に示す最下位置へ戻る。
【0022】
以上説明したように、本実施形態例に係る車載用ディスプレイ装置では、モータ6を駆動源とする連結シャフト17の回転に伴って左右のスライダ4を駆動させる一対の動力伝達機構7が、左右の側板1,2に軸支された駆動側タイミングプーリ9および従動側タイミングプーリ10と、これら両タイミングプーリ9,10間に巻回されたタイミングベルト11と、駆動側タイミングプーリ9に一体化された同期ギア12とを有しており、連結シャフト17の両端部に固着した一対の連結ギア20がそれぞれ同期ギア12に噛合されていると共に、各タイミングベルト11が対応するスライダ4に固定された構成となっている。したがって、シャーシの構成部材である左右一対の側板1,2にそれぞれ動力伝達機構7(駆動側および従動側タイミングプーリ9,10とタイミングベルト11)やスライダ4を組み込んだ後、左右のスライダ4が平行になるように位置決めすることにより、左右の駆動側タイミングプーリ9の回転方向の位相が正確に一致した状態となり、この状態で連結シャフト17を組み込んで両動力伝達機構7に連結すると、駆動側タイミングプーリ9に一体化された同期ギア12と連結シャフト17の連結ギア20とを抵抗無くスムーズに噛合させることができる。それゆえ、簡単な組立作業で左右の動力伝達機構7を正確に位置合わせすることができ、左右のスライダ4に支持された表示パネル5を傾きのない姿勢で上下動させることができる。
【0023】
また、本実施形態例では、いずれか一方の側板2にモータ6と該モータ6に噛合するアイドルギア15,16が搭載されていると共に、連結シャフト17の両端部が側板1,2と連結板3との間に軸支されており、この連結シャフト17にアイドルギア16に噛合する駆動ギア18が固着されているので、モータ6の回転を連結シャフト17に対して簡単かつ確実に伝達することができる。
【0024】
また、本実施形態例では、駆動側タイミングプーリ9に刻設されたタイミングギア9aの歯数と同期ギア12に刻設されたギア12aの歯数が1:1に設定されているため、同期ギア12を駆動側タイミングプーリ9に取り付けたとき、タイミングギア9aとギア12aとの間で両者の歯先と歯元の位置を簡単且つ正確に一致させることができる。ただし、タイミングギア9aとギア12aの歯数の関係は1:1に限定されず、タイミングギア9aの歯数に対してギア12aの歯数が整数倍に設定されていれば良い。
【0025】
また、本実施形態例では、スライダ4に突設された連結片4bにタイミングベルト11の歯部11aの凹凸形状に合致する係止溝4cが形成されており、この係止溝4cにタイミングベルト11を挿入することにより、タイミングベルト11が対応するスライダ4に固定されるようになっているため、スライダ4とタイミングベルト11を簡単かつ正確に連結することができる。
【符号の説明】
【0026】
1,2 側板
1a,2a ガイド孔
1b,2b 位置決め孔
3 連結板
4 スライダ
4a 位置決め孔
4b 連結片
4c 係止溝
5 表示パネル
6 モータ
7 動力伝達機構
8 支持板
9 駆動側タイミングプーリ
9a タイミングギア
10 従動側タイミングプーリ
10a タイミングギア
11 タイミングベルト
11a 歯部
12 1同期ギア
12a ギア
13 与圧ローラ
14ウォームギア
15,16 アイドルギア
17 連結シャフト
18 駆動ギア
19 軸受け部材
20 連結ギア
S 収納空間
図9
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図10