(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5955143
(24)【登録日】2016年6月24日
(45)【発行日】2016年7月20日
(54)【発明の名称】在宅医療マネージメントシステム、在宅医療マネージメント方法及びWebサーバ
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/22 20120101AFI20160707BHJP
G06Q 50/24 20120101ALI20160707BHJP
【FI】
G06Q50/22
G06Q50/24
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2012-158309(P2012-158309)
(22)【出願日】2012年7月17日
(65)【公開番号】特開2014-21639(P2014-21639A)
(43)【公開日】2014年2月3日
【審査請求日】2015年6月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000112602
【氏名又は名称】フクダ電子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105050
【弁理士】
【氏名又は名称】鷲田 公一
(72)【発明者】
【氏名】本木 明広
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 優
(72)【発明者】
【氏名】綱嶋 俊介
【審査官】
佐藤 裕子
(56)【参考文献】
【文献】
特開2002−83066(JP,A)
【文献】
特開2006−318174(JP,A)
【文献】
特開2007−330284(JP,A)
【文献】
特開2004−145483(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 − 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者名と、各患者に対応する患者IDと、を保持しており、インターネットに接続可能な、医療機関側コンピュータと、
各患者に使用される医療機器の使用情報を、各患者IDに対応付けて格納する、データベースサーバと、
前記医療機関側コンピュータから、前記インターネットを経由して、前記患者名と、前記患者IDと、を取得すると共に、前記データベースサーバからこの患者IDに対応する前記医療機器の使用情報を取得し、患者名と、この患者名に対応する医療機器の使用情報と、を含む、図表を作成し、この図表を前記インターネットを経由して前記医療機関側コンピュータに送信する、Webサーバと、
を具備し、
前記Webサーバは、前記医療機関側コンピュータとの接続が切断された後まで前記Webサーバに前記患者名の情報が残ることがないように、前記患者名の情報を消去する、
在宅医療マネージメントシステム。
【請求項2】
前記データベースサーバと、前記Webサーバとの間には、ファイヤーウォールが設けられている、
請求項1に記載の在宅医療マネージメントシステム。
【請求項3】
データベースサーバに、各患者に使用される医療機器の使用情報を、各患者IDに対応付けて格納するステップと、
医療機関側コンピュータから、インターネットを経由して、Webサーバに、患者名と、患者IDと、を送信するステップと、
前記Webサーバが、前記医療機関側コンピュータからの要求に応じて、前記医療機関側コンピュータから送信された前記患者IDに対応する前記医療機器の使用情報を前記データベースサーバから取得し、患者名と、この患者名に対応する医療機器の使用情報と、を含む、図表を作成し、この図表を前記インターネットを経由して前記医療機関側コンピュータに送信するステップと、
前記Webサーバが、前記医療機関側コンピュータとの接続が切断された後まで前記Webサーバに前記患者名の情報が残ることがないように、前記患者名の情報を消去するステップと、
を含む在宅医療マネージメント方法。
【請求項4】
患者名と、各患者に対応する患者IDと、を保持しており、インターネットに接続可能な、医療機関側コンピュータと、各患者に使用される医療機器の使用情報を、各患者IDに対応付けて格納する、データベースサーバと、を有する在宅医療マネージメントシステムに用いられるWebサーバであって、
前記医療機関側コンピュータから、前記インターネットを経由して、前記患者名と、前記患者IDと、を取得すると共に、前記データベースサーバからこの患者IDに対応する前記医療機器の使用情報を取得し、
患者名と、この患者名に対応する医療機器の使用情報と、を含む、図表を作成し、この図表を前記インターネットを経由して前記医療機関側コンピュータに送信し、
前記医療機関側コンピュータとの接続が切断された後まで前記Webサーバに前記患者名の情報が残ることがないように、前記患者名の情報を消去する、
Webサーバ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医者等の医療従事者が在宅患者の医療機器の使用情報を把握し管理するための、在宅医療マネージメントシステム、在宅医療マネージメント方法及びそれに用いられるWebサーバに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、医療機関のコンピュータと、在宅患者が使用している医療機器と、を通信回線を用いて接続することで、医者等の医療従事者が在宅患者が使用している医療機器の使用情報を把握し管理することができるようになされた在宅医療マネージメントシステムが提案され実現されている。
【0003】
この種の在宅医療マネージメントシステムの一つとして、本出願の出願人は、特許文献1を出願している。特許文献1には、在宅酸素療法(HOT:home oxygen therapy)を受けている在宅患者による医療機器の使用情報を、医療機関に配置されたコンピュータで把握できるようになっている。具体的には、在宅患者が使っている酸素濃縮器の動作情報及びパルスオキシメータの計測値情報(つまり、酸素流量や動脈血酸素飽和度(SpO
2))を、通信回線を介して、医療機関のコンピュータに送信することで、医療機関のコンピュータに在宅患者による医療機器の使用情報(つまり、処方通り酸素濃縮器を使っているか等)を表示できるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−194306号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、医療機関のコンピュータに表示される在宅患者による医療機器の使用情報は、その使用情報を図表などにして、医療従事者が把握しやすい形態で表示することが好ましい。
【0006】
ただし、このような図表を作成するためには、専用の図表作成プログラムが必要となる。医療機関の各コンピュータに専用の図表作成プログラムを導入することは、実際上、コンピュータのスペックを高める必要があったり、プログラム導入のための費用や手間もかかったりすることにもなる。
【0007】
そこで、図表作成を行う機能を医療機関の管理外となるWebサーバに持たせ、医療機関のコンピュータはWebサーバにアクセスしてWebサーバに図表を作成することを要求するような構成とすれば、医療機関のコンピュータの構成やプログラムを変更する必要がなくなるので、非常に有効であると考えられる。
【0008】
しかしながら、このように医療機関の管理外となるWebサーバを利用した場合、医療機関のコンピュータに保持されている患者の個人情報をあらかじめ医療機関の管理外となるWebサーバもしくはWebサーバに接続されたデータベースサーバに提供しなければならず、患者が増える度にその患者の個人情報の提供を行わなければならない。また、Webサーバもしくはデータベースサーバは、提供された患者の個人情報を安全に保持し続けなければならない。このため、Webサーバもしくはデータベースサーバは、患者の個人情報を保護するための高いセキュリティが要求される。高いセキュリティを維持するためには、通常、システムの構成や管理に多大な費用が必要となる。
【0009】
本発明は、医療機関のコンピュータの構成やプログラムを変更しなくても、在宅患者の個人情報と医療機器の使用情報とが関連付けられた図表を作成でき、かつ、システムの構成や管理に多大な費用をかけなくても個人情報を保護することができる、在宅医療マネージメントシステム、在宅医療マネージメント方法及びWebサーバを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の在宅医療マネージメントシステムの一つの態様は、
患者名と、各患者に対応する患者IDと、を保持しており、インターネットに接続可能な、医療機関側コンピュータと、
各患者に使用される医療機器の使用情報を、各患者IDに対応付けて格納する、データベースサーバと、
前記医療機関側コンピュータから、前記インターネットを経由して、前記患者名と、前記患者IDと、を取得すると共に、前記データベースサーバからこの患者IDに対応する前記医療機器の使用情報を取得し、患者名と、この患者名に対応する医療機器の使用情報と、を含む、図表を作成し、この図表を前記インターネットを経由して前記医療機関側コンピュータに送信する、Webサーバと、
を具備し、
前記Webサーバは、前記医療機関側コンピュータとの接続が切断された後まで前記Webサーバに前記患者名の情報が残ることがないように、前記患者名の情報を消去する。
【0011】
本発明の在宅医療マネージメント方法の一つの態様は、
データベースサーバに、各患者に使用される医療機器の使用情報を、各患者IDに対応付けて格納するステップと、
医療機関側コンピュータから、インターネットを経由して、Webサーバに、患者名と、患者IDと、を送信するステップと、
前記Webサーバが、前記医療機関側コンピュータからの要求に応じて、前記医療機関側コンピュータから送信された前記患者IDに対応する前記医療機器の使用情報を前記データベースサーバから取得し、患者名と、この患者名に対応する医療機器の使用情報と、を含む、図表を作成し、この図表を前記インターネットを経由して前記医療機関側コンピュータに送信するステップと、
前記Webサーバが、前記医療機関側コンピュータとの接続が切断された後まで前記Webサーバに前記患者名の情報が残ることがないように、前記患者名の情報を消去するステップと、
を含む。
【0012】
本発明のWebサーバの一つの態様は、
患者名と、各患者に対応する患者IDと、を保持しており、インターネットに接続可能な、医療機関側コンピュータと、各患者に使用される医療機器の使用情報を、各患者IDに対応付けて格納する、データベースサーバと、を有する在宅医療マネージメントシステムに用いられるWebサーバであって、
前記医療機関側コンピュータから、前記インターネットを経由して、前記患者名と、前記患者IDと、を取得すると共に、前記データベースサーバからこの患者IDに対応する前記医療機器の使用情報を取得し、
患者名と、この患者名に対応する医療機器の使用情報と、を含む、図表を作成し、この図表を前記インターネットを経由して前記医療機関側コンピュータに送信し、
前記医療機関側コンピュータとの接続が切断された後まで前記Webサーバに前記患者名の情報が残ることがないように、前記患者名の情報を消去する。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、Webサーバによって、患者名と、この患者名に対応する医療機器の使用情報と、を含む、図表を作成し、この図表をインターネットを経由して医療機関側コンピュータに送信するので、医療機関のコンピュータの構成やプログラムを変更しなくても、在宅患者の個人情報と医療機器の使用情報とが関連付けられた図表を作成できる。また、Webサーバは、医療機関側コンピュータとの接続が切断された後まで患者名の情報が残ることがないように、患者名の情報を消去することにより、システムの構成や管理に多大な費用をかけなくても個人情報を保護することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】実施の形態の在宅医療マネージメントシステムの全体構成を示す図
【
図2】医療機関側コンピュータに表示される管理画像の例を示す図
【
図3】Webサーバによって作成される図表の例を示す図
【
図4】Webサーバの動作の説明に供するフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0016】
図1は、本実施の形態の在宅医療マネージメントシステムの全体構成を示す。
【0017】
在宅医療マネージメントシステム100は、病院等の医療機関に設けられた医療機関側コンピュータ110と、サービス会社等に設けられたサーバ群130と、を有する。医療機関側コンピュータ110と、サーバ群130は、インターネット120によって接続される。
【0018】
本実施の形態の場合、サーバ群130は、Webサーバ131と、バックアップサーバ132と、データベースサーバ133と、から構成されている。
【0019】
データベースサーバ133は、在宅患者140が使っている酸素濃縮器141及びパルスオキシメータ142に電話回線やインターネット等の通信回線を介して接続されている。なお、
図1では、図を簡単化するために、1つの在宅患者140、酸素濃縮器141及びパルスオキシメータ142のみを示したが、実際には、データベースサーバ133には、複数の在宅患者140、酸素濃縮器141及びパルスオキシメータ142が接続される。データベースサーバ133は、通信回線を介して、酸素濃縮器141及びパルスオキシメータ142の使用情報を取得して格納する。
【0020】
この使用情報とは、酸素濃縮器141によって患者140に供給された酸素流量等の情報(つまりは酸素濃縮器の動作情報)、及び、パルスオキシメータ142により測定された患者140の動脈血酸素飽和度(SpO
2)(つまりはパルスオキシメータの測定値情報)であり、患者が処方通り酸素濃縮器を使っているか等を示す情報である。この使用情報は、患者ID(患者コードと言ってもよい)や酸素濃縮器141及びパルスオキシメータ142の機器番号に対応付けられて、データベースサーバ133に格納される。実際には、酸素濃縮器141及びパルスオキシメータ142は、データベースサーバ133に、使用情報と共に、患者ID及び機器番号を送信する。
【0021】
なお、患者IDは、医者等の医療従事者が酸素濃縮器141やパルスオキシメータ142を患者140に提供する際に、医療従事者によって患者毎に設定されるものである。患者IDは、少なくとも患者個人を識別する情報を含み、また医療機関を識別する情報等を付加して構成されていてもよい。この患者IDは、酸素濃縮器141やパルスオキシメータ142にも記憶され、例えばパルスオキシメータ142を酸素濃縮器141に接続された通信機能を備えるクレードル(図示せず)に差し込んだ際に、データベースサーバ133に送信される。
【0022】
医療機関側コンピュータ110は、患者名と、患者IDと、を対応付けて保持している。また、医療機関側コンピュータ110は、患者に提供された医療機器の機器番号等も患者IDと対応付けて保持している。なお、患者IDとして、医療機器の機器番号を当てることも可能である。この場合、酸素濃縮器141やパルスオキシメータ142に患者IDを記憶する必要は無く、医療機関側コンピュータが患者名と機器番号を対応付けて保持することになる。要はどの患者にどの医療機器が提供されているかが分かれば良い。
【0023】
図2は、医療機関側コンピュータ110に表示される管理画像の例を示す。医療従事者は、
図2に示す画像から、図表を作成したい患者を選択し、対応するチェックボックス111をチェックする。また、医療従事者は、図中の一時利用のタグ112をクリックする。これにより、医療機関側コンピュータ110からWebサーバ131に、選択された患者名及び患者IDを含む患者の個人情報と、「一時利用」であることを示す情報が送信される。因みに、この「一時利用」であることを示す情報は、後で説明するWebサーバ131が患者名を消去するための参照情報として使われる。
【0024】
Webサーバ131は、医療機関側コンピュータ110から、インターネット120を経由して、患者名と患者IDとを含む患者の個人情報と、「一時利用」であることを示す情報と、を取得する。そして、Webサーバ131は、データベースサーバ133から、医療機関側コンピュータ110から取得した患者IDに対応する医療機器の使用情報(酸素流量及びSpO
2)を取得する。そして、Webサーバ131は、所定の図表作成プログラムを実行することで、患者名と、この患者名に対応する医療機器の使用情報と、を含む、図表を作成する。本実施の形態の場合、Webサーバ131は、バックアップサーバ132を利用しながら図表を作成する。Webサーバ131は、作成した図表をインターネット120を経由して医療機関側コンピュータ110に送信する。
【0025】
図表は、医療機関側コンピュータ110のモニタに表示され、これにより、医療従事者は、図表を見ながら、在宅患者140による医療機器の使用情報を容易に把握することができる。
【0026】
医療従事者は、図表の閲覧を終了する場合、ログアウト113をクリックする。これにより「一時利用」を解除する命令が送信され、医療機関側コンピュータ110とWebサーバ131との接続が切断される。
【0027】
図3は、Webサーバ131によって作成され、医療機関側コンピュータ110のモニタに表示される図表の例を示す。
【0028】
図3に示すように、患者の個人情報としてID入力欄患者151aには患者IDが、基本患者情報表示部151bには患者の氏名等の基本情報が、バイタル情報表示部151cには患者の身長等のバイタル情報が、処方流量情報表示部151dには患者の処方流量情報が、それぞれ表示される。
【0029】
また、分布図表示領域152には、測定時刻別の酸素飽和度測定値の分布図が表示される。分布図は、X軸を時刻の軸としY軸を酸素飽和度測定値の軸とする平面上に、各スポット測定における測定値を示すマーク152a〜152eがプロットされる。この分布図は、例えばトレンドグラフのように測定値を時系列の表示するものとは異なり、複数の酸素飽和度測定値の測定日が相違していても測定時刻が同一であればそれらをそれぞれ示す複数のマークのX座標は同一となる。したがって、特定の一日における測定値の傾向でなく、長期間にわたる日常生活における全体的な測定値の傾向を把握することができる。
【0030】
図3に示すような測定時刻別の酸素飽和度測定値の分布図を作成することにより、測定時刻に対する酸素飽和度測定値の傾向を、酸素濃縮器141から供給される酸素流量値との関係で把握することができる。例えば、朝や夜は酸素飽和度が高い値で安定しているが昼は酸素飽和度が若干低下する傾向にあることを把握することができるだけでなく、労作時用の酸素飽和度測定値は測定時間帯とは無関係に若干低下する傾向にあることを把握することができ、労作時用の処方の見直しを検討することができる。また、例えば、15:00前後には酸素濃縮器141があまり使用されないことを把握することができる。よって、その時間帯は患者が日常的に外出している可能性を、日記や問診に依存しなくても認識することができる。
【0031】
次に、
図4を用いて、本実施の形態の動作について説明する。本発明は、特にWebサーバ131の動作に特徴があるので、
図4には、Webサーバ131の動作フローが示されている。
【0032】
Webサーバ131は、ステップST11で、医療機関側コンピュータ110から、インターネット120を経由して、患者名及び患者IDを含む患者の個人情報を取得する。次に、Webサーバ131は、ステップST12で、ステップST11で取得した患者IDに対応する前記医療機器の使用情報を、データベースサーバ133から取得する。
【0033】
次に、Webサーバ131は、ステップST13で、患者名と、この患者名に対応する医療機器の使用情報と、を含む、図表(
図3参照)を作成し、この図表をインターネット120を経由して医療機関側コンピュータ110に送信する。
【0034】
次に、Webサーバ131は、ステップST14で、患者名の情報を消去する。Webサーバ131は、少なくとも医療機関側コンピュータ110との接続が切断された後は、患者名の情報を保持しない状態とされる。この患者名の消去は、例えば医療機関側コンピュータ110のログアウト113のクリックをトリガとして行えばよい。Webサーバ131は、医療機関側コンピュータ110での医療従事者によるログアウト操作により、「一時利用」を解除する命令を受信し、医療機関側コンピュータ110とWebサーバ131との接続を切断すると共に、患者名を消去する。バックアップサーバ132に患者名が存在する場合には、それも消去する。
【0035】
また、患者名以外の患者の個人情報や、図表の作成に使用した医療機器の使用情報を同時に消去すればより効果的である。
【0036】
なお、本実施の形態における、医療機関側コンピュータ110とWebサーバ131との間の接続の「切断」とは、上述したログアウトによる切断以外に、長時間に亘って接続したまま未使用状態であったことによるタイムリミットでの切断や、不用意にLANケーブルを外してしまったことによる物理的な切断など、全ての意味での切断を含むものとする。そして、Webサーバ131は、切断した場合に、患者名の情報を消去する。すなわち、本実施の形態では、「切断」がどのような原因で生じたかにかかわらず、医療機関側コンピュータ110とWebサーバ131との間の接続が「切断」された場合には、Webサーバ131から患者名の情報を消去されるようになっている。
【0037】
以上説明したように、本実施の形態によれば、Webサーバ131によって、患者名と、この患者名に対応する医療機器の使用情報とを含む、図表を作成する構成としたことにより、医療機関のコンピュータの構成やプログラムを変更しなくても、在宅患者の個人情報と医療機器の使用情報とが関連付けられた図表を作成できる。
【0038】
また、医療機関側コンピュータ110との接続が切断された後まで患者名の情報が残ることがないように、Webサーバ131上の患者名の情報を消去したことにより、システムの構成や管理に多大な費用をかけなくても個人情報を保護することができる。
【0039】
さらに、データベースサーバ133と、Webサーバ131との間にファイヤーウォール134を設けたことにより、インターネット120及びWebサーバ131を介して、データベースサーバ133内に格納されている、患者140による医療機器の使用情報のセキュリティを高めることができる。つまり、本実施の形態では、Webサーバ131が個人情報として最も重要である患者名の情報は消去するので、最も重要な情報は守ることができる。一方で、患者140による医療機器の使用情報は、患者名とはリンクできないので患者名ほどではないが、重要な情報の一つに変わりは無い。従って、ファイヤーウォール134を設けることで、情報のセキュリティをより高めることができる。
【0040】
なお、実施の形態での在宅の意味は自宅に居ることに限定されない。在宅とは、例えば介護施設等の施設に居ることも含むものとする。本発明で言う在宅とは、本質的には、医療機関側コンピュータ110から離れた場所に居ることを意味する。
【0041】
また、上述の実施の形態では、医療機器として通信機器(クレードル)に接続された酸素濃縮器141及びパルスオキシメータ142が用いられている場合について述べたが、本発明の対象となる医療機器はこれに限らない。例えば在宅用人工呼吸器や持続陽圧呼吸療法装置(CPAP装置)、血圧計のように在宅で継続または定期的に使用される医療機器であって、通信機能を内蔵もしくは通信機器と接続可能な医療機器であれば同様に適用される。
【0042】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明は、例えば各在宅患者による酸素濃縮器の使用情報を管理するシステムに適用し得る。
【符号の説明】
【0044】
100 在宅医療マネージメントシステム
110 医療機関側コンピュータ
120 インターネット
130 サーバ群
131 Webサーバ
132 バックアップサーバ
133 データベースサーバ
134 ファイヤーウォール
140 在宅患者
141 酸素濃縮器
142 パルスオキシメータ