【実施例】
【0081】
<結晶セルロース複合体のコロイド状セルロース成分含有率>
(1)結晶セルロース複合体を、1質量%濃度の水分散液とし、高せん断ホモジナイザー(日本精機(株)製、エクセルオートホモジナイザーED−7、処理条件;15,000rpmを5分間)を用いてイオン交換水に分散させた。
(2)次に、遠心分離した。(久保田商事(株)製、6800型遠心分離機、ロータータイプRA−400、処理条件:遠心力2,000rpm(5600G、Gは重力加速度)×15分間、仕込み量:50g(遠沈管))
(3)遠心分離後の上澄み液をガラス製秤量瓶に導入し、60℃で15時間、その後105℃で2時間乾燥し、デシケーター内で恒量した後、重量を測定した。また、別途、未遠心の水分散体も同様に乾燥し、重量を測定した。それらの結果から、上澄みに残存するコロイド状セルロース固形分の質量百分率を、以下の式より求めた。
コロイド状セルロース成分含有率=(上澄み50gの固形分)/(未遠心50g中の固形分)×100
【0082】
<ゲル強度>
(1)ゲル化剤を、家庭用ミキサー(三洋電機(株)製、SM−L56型)で3分間攪拌し、イオン交換水に分散させ、4%の水分散液とした。
(2)次に、この4%分散液の入った容器を、85℃の湯浴中に入れて、30分間加熱した。
(3)容器を湯浴から取り出し、直径4.5mmの円筒型の容器に流し入れ、ラップと輪ゴムで蓋をした。これを流水中で60分間冷却し、さらに室温で60分間静置させて、ゲルを作製した。
(4)このゲルのラップを外して試料とし、テクスチャーアナライザー(英弘精機(株)製、商品名「TA XT plus」)により、ゲル強度を測定した。ロードセルは5kgを使用した。プローブはP/10 10mm DIA CYLINDER DELRINを使用した。テストモードをReturn to Startとし、プレテストスピードを1.0mm/s、テストスピードを1.0mm/s、Triger Typeを5g、押し込み距離を25mmとして測定した。この測定において、最大値となるStressの値(単位面積あたりの荷重値)を、ゲル強度として測定した。
【0083】
<ゲルの破断距離>
上記<ゲル強度>の項の(1)〜(4)と同様にしてゲルを作製し、同じテクスチャーアナライザーを用いてゲル強度を測定した。押し込み距離を25mmとし、最初に凸型のピークが出現したときの押し込み距離を、ゲルの破断距離として測定した。
【0084】
<加工食品の加熱後の歩留まり>
ハンバーグや、その他加工食品を、成型し、予め重量を測定した(加熱前の重量)。次に、加熱した後、クッキングペーパー(リードヘルシークッキングペーパー、ライオン(株)製)で包んで、余分なドリップを吸い取った。その後の重量を加熱後のとして測定した。加熱後の歩留まりの割合は、以下の式により算出した。
加熱後の歩留まり=100−{(加熱前の重量)−(加熱後の重量)/(加熱前の重量)}×100
【0085】
<加工食品の冷解凍後の歩留まり>
ハンバーグや、その他加工食品の加熱前および加熱後の重量を前記のようにして測定した。次に、−20℃で冷凍した加熱後の加工食品を、電子レンジを用いて600Wで3分間加熱し、解凍した。解凍した加工食品のドリップを、クッキングペーパーで吸い取った。その後、重量を測定した(冷解凍後の重量)。冷解凍後の歩留まりの割合は、以下の式により算出した。
冷解凍後の歩留まり=100−{(加熱前の重量)−(冷解凍後の重量)/(加熱前の重量)}×100
【0086】
<加工食品のジューシー感>
12人のパネラーに、加工食品のジューシー感について、1〜5段階で点数をつけてもらった。そのうち、一番高い点数と低い点数を一人ずつ除外し、10人の点数の平均値を採用した。点数は最高点を5点とし、以下4、3、2、1として点数をつけてもらった。評価の基準は、最もジューシー感を感じるものを5点とし、以下、ややジューシー感を感じるものを4点、どちらともいえないものを3点、ジューシー感があまり感じられないものを2点、ジューシー感が感じられないものを1点として採点した。
【0087】
<加工食品の高さ>
前記のテクスチャーアナライザーを用いて、ゲル強度の測定時に計測される高さの値を記述した。すなわち、加工食品を成型する際、同一の型(高さ17mm)に入れて成型した。加熱し、冷凍したものを、電子レンジで解凍した。そのときの高さが、17mmよりも高くなったものは、食感がふっくらしており、低くなったものは、形状を維持できずに縮んだといえる。
【0088】
<加工食品の表面の硬さ>
加工食品の表面の硬さを、前記のテクスチャーアナライザーを用いて測定した。ロードセルは5kgを使用した。プローブはP/10 10mm DIA CYLINDER DELRINを使用した。テストモードをReturn to Startとし、プレテストスピードを1.0mm/s、テストスピードを1.0mm/s、Triger Typeを5g、押し込み距離は、加工食品が破断されないよう、5mmとして測定した。このときの最大値となるStressの値(単位面積あたりの荷重値)を、加工食品の表面の硬さとして測定した。Stressの値が大きいほど、加工食品の表面の硬さは硬く、手や舌で触った際に感じる硬さを表現する。
【0089】
<加工食品の内部の硬さ>
加工食品の内部の硬さを、前記のテクスチャーアナライザーを用いて測定した。ロードセルは5kgを使用した。プローブはP/10 10mm DIA CYLINDER DELRINを使用した。テストモードをReturn to Startとし、プレテストスピードを1.0mm/s、テストスピードを1.0mm/s、Triger Typeを5g、押し込み距離は、加工食品が破断するよう、20mmとして測定した。このときの最大値となるStressの値(単位面積あたりの荷重値)を、加工食品の表面の硬さとして測定した。Stressの値が大きいほど、加工食品の内面の硬さは硬く、咀嚼時に歯ごたえを感じる。
【0090】
<加工食品の破断距離>
加工食品の内部の硬さを、前記のテクスチャーアナライザーを用いて測定した。ロードセルは5kgを使用した。プローブはP/10 10mm DIA CYLINDER DELRINを使用した。テストモードをReturn to Startとし、プレテストスピードを1.0mm/s、テストスピードを1.0mm/s、Triger Typeを5g、押し込み距離は、加工食品が破断するよう、20mmとして測定した。このときの最初に出現するピーク値となる破断距離の値を測定した。破断距離が短いほど、箸やスプーン、フォーク等で破断する際に破断しやすく(弱い力で破断できる)、破断距離が長いほど、加工食品は弾力性があり、破断時に強い力を要するといえる。
【0091】
実施例1
市販DPパルプを裁断後、2.5mol/L塩酸中で105℃、15分間加水分解した後、水洗・濾過を行い、固形分が50質量%のウェットケーキ状の結晶セルロース(MCC)を作製した(平均重合度は220であった)。
【0092】
次に、ウエットケーキ状のMCCと、キサンタンガム(Xanと表記、丸善製薬(株)製、FJ、0.1質量%溶液の粘度は46mPa・s)を用意し、プラネタリーミキサー((株)品川工業所製、5DM−03−R、撹拌羽根はフック型)にMCC/Xanの質量比が94/6となるように投入し、固形分が45質量%となるよう、イオン交換水を添加した。
【0093】
その後、126rpmで混練し、セルロース複合体Aを得た。混練エネルギーは、プラネタリーミキサーの混練時間により制御され、実測値は、65Wh/kgであった。混練温度は、熱伝対を用いて、混練物の温度が直接測定され、混練を通して20〜60℃、到達温度は50〜60℃であった。結晶セルロース複合体Aの体積平均粒子径は8.2μmであり、コロイド状セルロース成分量は、65質量%、粒子L/Dは1.6であった。
【0094】
この結晶セルロース複合体Aと、グルコマンナン(GMと表記、清水化学(株)製、レオックスRS、0.2質量%溶液の粘度は30mPa・s)を、質量比が、結晶セルロース複合体A/GM=70/30となるよう、V型混合機に入れて、均一に混ざるよう30分間攪拌し、ゲル化剤Aを作製した。
【0095】
ゲル化剤Aを用いて、ゲルを作製した。イオン交換水とゲル化剤Aを用意し、ゲル化剤Aの濃度が4質量%となるよう、イオン交換水中に添加した。これを、TKホモミキサー(特殊機化工業(株)製、MARKII)を用いて、5,000rpmで10分間攪拌した。この分散液を、室温で1時間静置させた後、ゼリーカップに充填して蓋を覆い、ウォーターバス中に浸漬させて、85℃で30分間加熱した。これを冷水中で1時間、さらに室温で1時間静置させて、ゲルAを作製した。ゲル化剤の組成の概要を表1に、ゲル強度及びゲルの破断距離の測定結果を表2に示した。
【0096】
このゲルAで、肉の50%を代替した、低カロリーハンバーグを作製した。フードプロセッサー(Panasonic(株)製、MK−K61型、低速)の容器中に、牛肉と豚肉が、7:3質量%の割合で混合された合挽きミンチ140gと、ゲルAを140g(あらかじめフードプロセッサーで低速で10秒間攪拌して破砕したもの)、玉葱(3mmの大きさにみじん切りし、電子レンジ(松下電器産業(株)製、NE−J20型)で600Wで10分加熱調理したもの)、パン粉(日清製粉(株)製、ソフトパン粉)16g、全卵((株)サン・ファーム、朝採りもみじたまご)16g、牛乳(南日本酪農協同(株)製、デーリィ牛乳)10g、食塩(伯方塩業(株)、伯方の塩)4.8g、砂糖(大日本明治製糖(株)、ばら印の白砂糖)4.0g、コショウ(ヱスビー食品(株)製、テーブルコショー)0.8g、調味料(味の素(商品名)、味の素(株)製)0.4gを添加して全量400gとし、低速にて、10秒攪拌して蓋をあけて、側面をシリコン製のスパチュラで掻き落とすというサイクルを3セット繰り返し、合計30秒間攪拌して、混ぜ合わせた。これを70gずつ量り取り、空気を抜きながらハンバーグ成型器(明道メタル(株)製、小判型、高さ17mm)に入れて平らな小判型に成型した。成型したハンバーグをクッキングシート(旭化成ホームプロダクツ(株)製、クックパー)上に並べて、予め予熱230℃で温めておいたオーブン(松下電器産業(株)製、NE−J20型)に入れて、230℃で10分間加熱し、加熱した。加熱後、オーブンから取り出して、クッキングペーパー(ライオン(株)製、リードヘルシークッキングペーパー)で余分なドリップを吸い取った。その後、ハンバーグの重量を測定して、加熱後の歩留まりを算出した。このハンバーグを、室温で静置して放冷した後、−20℃で冷凍した。冷凍したハンバーグを、電子レンジ600Wで3分間加熱して解凍した。解凍したハンバーグのドリップをクッキングペーパーで吸い取った後、重量を測定し、冷解凍後の歩留まりを算出した。このハンバーグの高さ、表面および内面の硬さ、破断距離を、テクスチャーアナライザーを用いて計測した。その結果を表2に示した。ただし、測定値はn=5の平均値を示す。また、官能評価によるジューシー感の評価結果を、表1に示す。
【0097】
実施例2
実施例1と同様にして、ウェットケーキ状の結晶セルロースを作製し、MCC/Xan(丸善製薬(株)製、FNS、0.1質量%溶液の粘度は61mPa・s)の質量比が、88/12となるよう秤量し、イオン交換水を添加して固形濃度が47質量%となるよう調製し、プラネタリーミキサーで混練して複合化させ、結晶セルロース複合体Bを作製した。混練エネルギーは95Wh/kgであった。混練温度は、熱伝対を用いて、混練物の温度が直接測定され、混練を通して20〜60℃、到達温度は50〜60℃であった。結晶セルロース複合体Bの体積平均粒子径は7.3μmであり、コロイド状セルロース成分量は、72質量%、粒子L/Dは1.6であった。
【0098】
この結晶セルロース複合体Bと、グルコマンナン(清水化学(株)製、レオックスRS、0.2質量%溶液の粘度は30mPa・s)を、質量比が、結晶セルロース複合体B/GM=70/30となるよう、V型混合機に入れて、均一に混ざるよう30分間攪拌し、ゲル化剤Bを作製した。
【0099】
このゲル化剤Bを用いて、実施例1と同様にしてゲルBを作製した。ゲル化剤の組成の概要を表1に、ゲル強度及び破断距離の値を表2に示した。
【0100】
このゲルBを用いて、実施例1と同様にして低カロリーハンバーグを試作し、評価した。加熱後の歩留まり、冷解凍後の歩留まり、ジューシー感の官能評価、ハンバーグの高さ、表面の硬さ、内面の硬さ、破断距離の結果を表2に示した。
【0101】
実施例3
実施例1と同様にして、ウェットケーキ状の結晶セルロースを作製し、MCC/Xan(小川香料(株)製、RP−R−W、0.1質量%溶液の粘度は64mPa・s)の質量比が、75/25となるよう秤量し、イオン交換水を添加して固形濃度が47質量%となるよう調製し、プラネタリーミキサーで混練して複合化させ、結晶セルロース複合体Cを作製した。混練エネルギーは83Wh/kgであった。混練温度は、熱伝対を用いて、混練物の温度が直接測定され、混練を通して20〜60℃、到達温度は50〜60℃であった。結晶セルロース複合体Cの体積平均粒子径は6.8μmであり、コロイド状セルロース成分量は、74質量%、粒子L/Dは1.6であった。
【0102】
この結晶セルロース複合体Cと、グルコマンナン(清水化学(株)製、レオックスRS、0.2質量%溶液の粘度は30mPa・s)を、質量比が、結晶セルロース複合体C/GM=70/30となるよう、V型混合機に入れて、均一に混ざるよう30分間攪拌し、ゲル化剤Cを作製した。
【0103】
このゲル化剤Cを用いて、実施例1と同様にしてゲルCを作製した。ゲル化剤の組成の概要を表1に、ゲル強度及び破断距離の値を表2に示した。
【0104】
このゲルCを用いて、実施例1と同様にして低カロリーハンバーグを試作し、評価した。加熱後の歩留まり、冷解凍後の歩留まり、ジューシー感の官能評価、ハンバーグの高さ、表面の硬さ、内面の硬さ、破断距離の結果を表2に示した。
【0105】
実施例4
実施例1と同様にして、ウェットケーキ状の結晶セルロースを作製し、MCC/Xan(小川香料(株)製、RP−R−W、0.1質量%溶液の粘度は64mPa・s)の質量比が、60/40となるよう秤量し、イオン交換水を添加して固形濃度が47質量%となるよう調製し、プラネタリーミキサーで混練して複合化させ、結晶セルロース複合体Dを作製した。混練エネルギーは59Wh/kgであった。混練温度は、熱伝対を用いて、混練物の温度が直接測定され、混練を通して20〜60℃、到達温度は50〜60℃であった。結晶セルロース複合体Dの体積平均粒子径は8.4μmであり、コロイド状セルロース成分量は、58質量%、粒子L/Dは1.6であった。
【0106】
この結晶セルロース複合体Dと、グルコマンナン(清水化学(株)製、レオックスRS、0.2質量%溶液の粘度は30mPa・s)を、質量比が、結晶セルロース複合体D/GM=70/30となるよう、V型混合機に入れて、均一に混ざるよう30分間攪拌し、ゲル化剤Dを作製した。
【0107】
このゲル化剤Dを用いて、実施例1と同様にしてゲルDを作製した。ゲル化剤の組成の概要を表1に、ゲル強度及び破断距離の値を表2に示した。
【0108】
このゲルDを用いて、実施例1と同様にして低カロリーハンバーグを試作し、評価した。加熱後の歩留まり、冷解凍後の歩留まり、ジューシー感の官能評価、ハンバーグの高さ、表面の硬さ、内面の硬さ、破断距離の結果を表2に示した。
【0109】
実施例5
実施例1と同様にして、ウェットケーキ状の結晶セルロースを作製し、MCC/Xan(小川香料(株)製、RP−R−W、0.1質量%溶液の粘度は64mPa・s)の質量比が、60/40となるよう秤量し、イオン交換水を添加して固形濃度が47質量%となるよう調製し、プラネタリーミキサーで混練して複合化させ、結晶セルロース複合体Eを作製した。混練エネルギーは55Wh/kgであった。混練温度は、熱伝対を用いて、混練物の温度が直接測定され、混練を通して20〜60℃、到達温度は50〜60℃であった。結晶セルロース複合体Eの体積平均粒子径は10.5μmであり、コロイド状セルロース成分量は、48質量%、粒子L/Dは1.6であった。
【0110】
この結晶セルロース複合体Eと、グルコマンナン(清水化学(株)製、レオックスRS、0.2質量%溶液の粘度は30mPa・s)を、質量比が、結晶セルロース複合体D/GM=70/30となるよう、V型混合機に入れて、均一に混ざるよう30分間攪拌し、ゲル化剤Eを作製した。
【0111】
このゲル化剤Eを用いて、実施例1と同様にしてゲルDを作製した。ゲル化剤の組成の概要を表1に、ゲル強度及び破断距離の値を表2に示した。
【0112】
このゲルEを用いて、実施例1と同様にして低カロリーハンバーグを試作し、評価した。加熱後の歩留まり、冷解凍後の歩留まり、ジューシー感の官能評価、ハンバーグの高さ、表面の硬さ、内面の硬さ、破断距離の結果を表2に示した。
【0113】
実施例6
実施例2と同様にして、ウェットケーキ状の結晶セルロースを作製し、MCC/Xan(丸善製薬(株)製、FNS、0.1質量%溶液の粘度は61mPa・s)の質量比が、88/12となるよう秤量し、イオン交換水を添加して固形濃度が33質量%となるよう調製し、プラネタリーミキサーで混練して複合化させ、結晶セルロース複合体Fを作製した。混練エネルギーは52Wh/kgであった。混練温度は、熱伝対を用いて、混練物の温度が直接測定され、混練を通して20〜60℃、到達温度は50〜60℃であった。結晶セルロース複合体Fの体積平均粒子径は12.6μmであり、コロイド状セルロース成分量は、33質量%、粒子L/Dは1.6であった。
【0114】
この結晶セルロース複合体Fと、グルコマンナン(清水化学(株)製、レオックスRS、0.2質量%溶液の粘度は30mPa・s)を、質量比が、結晶セルロース複合体F/GM=70/30となるよう、V型混合機に入れて、均一に混ざるよう30分間攪拌し、ゲル化剤Fを作製した。
【0115】
このゲル化剤Fを用いて、実施例1と同様にしてゲルFを作製した。ゲル化剤の組成の概要を表1に、ゲル強度及び破断距離の値を表2に示した。
【0116】
このゲルFを用いて、実施例1と同様にして低カロリーハンバーグを試作し、評価した。加熱後の歩留まり、冷解凍後の歩留まり、ジューシー感の官能評価、ハンバーグの高さ、表面の硬さ、内面の硬さ、破断距離の結果を表2に示した。
【0117】
実施例7
実施例2と同様にして、ウェットケーキ状の結晶セルロースを作製し、MCC/Xan(丸善製薬(株)製、FNS、0.1質量%溶液の粘度は61mPa・s)の質量比が、88/12となるよう秤量し、イオン交換水を添加して固形濃度が42質量%となるよう調製し、プラネタリーミキサーで混練して複合化させ、結晶セルロース複合体Gを作製した。混練エネルギーは48Wh/kgであった。混練温度は、熱伝対を用いて、混練物の温度が直接測定され、混練を通して20〜60℃、到達温度は50〜60℃であった。結晶セルロース複合体Gの体積平均粒子径は9.6μmであり、コロイド状セルロース成分量は、42質量%、粒子L/Dは1.6であった。
【0118】
この結晶セルロース複合体Fと、グルコマンナン(清水化学(株)製、レオックスRS、0.2質量%溶液の粘度は30mPa・s)を、質量比が、結晶セルロース複合体G/GM=70/30となるよう、V型混合機に入れて、均一に混ざるよう30分間攪拌し、ゲル化剤Gを作製した。
【0119】
このゲル化剤Gを用いて、実施例1と同様にしてゲルFを作製した。ゲル化剤の組成の概要を表1に、ゲル強度及び破断距離の値を表2に示した。
【0120】
このゲルGを用いて、実施例1と同様にして低カロリーハンバーグを試作し、評価した。加熱後の歩留まり、冷解凍後の歩留まり、ジューシー感の官能評価、ハンバーグの高さ、表面の硬さ、内面の硬さ、破断距離の結果を表2に示した。
【0121】
実施例8
実施例2と同様にして、結晶セルロース複合体Bを作製した。この結晶セルロース複合体Bと、グルコマンナン(清水化学(株)製、レオックスLM、0.2質量%溶液の粘度は2mPa・s)を、質量比が、結晶セルロース複合体B/GM=70/30となるよう、V型混合機に入れて、均一に混ざるよう30分間攪拌し、ゲル化剤Hを作製した。
【0122】
このゲル化剤Hを用いて、実施例1と同様にしてゲルHを作製した。ゲル化剤の組成の概要を表1に、ゲル強度及び破断距離の値を表2に示した。
【0123】
このゲルHを用いて、実施例1と同様にして低カロリーハンバーグを試作し、評価した。加熱後の歩留まり、冷解凍後の歩留まり、ジューシー感の官能評価、ハンバーグの高さ、表面の硬さ、内面の硬さ、破断距離の結果を表2に示した。
【0124】
実施例9
実施例3と同様にして、結晶セルロース複合体Cを作製した。この結晶セルロース複合体Cと、グルコマンナン(清水化学(株)製、レオックス、0.2質量%溶液の粘度50mPa・s)を、質量比が、結晶セルロース複合体B/GM=70/30となるよう、V型混合機に入れて、均一に混ざるよう30分間攪拌し、ゲル化剤Iを作製した。
【0125】
このゲル化剤Iを用いて、実施例1と同様にしてゲルIを作製した。ゲル化剤の組成の概要を表1に、ゲル強度及び破断距離の値を表2に示した。
【0126】
このゲルIを用いて、実施例1と同様にして低カロリーハンバーグを試作し、評価した。加熱後の歩留まり、冷解凍後の歩留まり、ジューシー感の官能評価、ハンバーグの高さ、表面の硬さ、内面の硬さ、破断距離の結果を表2に示した。
【0127】
実施例10
実施例2と同様にして、結晶セルロース複合体Bを作製した。この結晶セルロース複合体Bと、グルコマンナン(清水化学(株)製、レオックスRS、0.2質量%溶液の粘度は30mPa・s)を、質量比が、結晶セルロース複合体B/GM=12/88となるよう、V型混合機に入れて、均一に混ざるよう30分間攪拌し、ゲル化剤Jを作製した。
【0128】
このゲル化剤Jを用いて、実施例1と同様にしてゲルJを作製した。ゲル化剤の組成の概要を表1に、ゲル強度及び破断距離の値を表2に示した。
【0129】
このゲルJを用いて、実施例1と同様にして低カロリーハンバーグを試作し、評価した。加熱後の歩留まり、冷解凍後の歩留まり、ジューシー感の官能評価、ハンバーグの高さ、表面の硬さ、内面の硬さ、破断距離の結果を表2に示した。
【0130】
実施例11
実施例2と同様にして、結晶セルロース複合体Bを作製した。この結晶セルロース複合体Bと、グルコマンナン(清水化学(株)製、レオックスRS、0.2質量%溶液の粘度は30mPa・s)を、質量比が、結晶セルロース複合体B/GM=25/75となるよう、V型混合機に入れて、均一に混ざるよう30分間攪拌し、ゲル化剤Kを作製した。
【0131】
このゲル化剤Kを用いて、実施例1と同様にしてゲルKを作製した。ゲル化剤の組成の概要を表1に、ゲル強度及び破断距離の値を表2に示した。
【0132】
このゲルKを用いて、実施例1と同様にして低カロリーハンバーグを試作し、評価した。加熱後の歩留まり、冷解凍後の歩留まり、ジューシー感の官能評価、ハンバーグの高さ、表面の硬さ、内面の硬さ、破断距離の結果を表2に示した。
【0133】
実施例12
実施例2と同様にして、結晶セルロース複合体Bを作製した。この結晶セルロース複合体Bと、グルコマンナン(清水化学(株)製、レオックスRS、0.2質量%溶液の粘度は30mPa・s)を、質量比が、結晶セルロース複合体B/GM=84/16となるよう、V型混合機に入れて、均一に混ざるよう30分間攪拌し、ゲル化剤Lを作製した。
【0134】
このゲル化剤Lを用いて、実施例1と同様にしてゲルLを作製した。ゲル化剤の組成の概要を表1に、ゲル強度及び破断距離の値を表2に示した。
【0135】
このゲルLを用いて、実施例1と同様にして低カロリーハンバーグを試作し、評価した。加熱後の歩留まり、冷解凍後の歩留まり、ジューシー感の官能評価、ハンバーグの高さ、表面の硬さ、内面の硬さ、破断距離の結果を表2に示した。
【0136】
実施例13
実施例12と同様にして、ゲル化剤Lを作製した。このゲル化剤Lを用いて、実施例1と同様にして低カロリーハンバーグを試作した。ゲルではなく、粉体状のゲル化剤を、そのままフードプロセッサー中に投入した。牛肉と豚肉が、7:3質量%の割合で混合された合挽きミンチ140gと、ゲル化剤Lを5.6g(固形分換算)、玉葱のみじん切り、パン粉16g、全卵16g、牛乳10g、食塩4.8g、砂糖4.0g、コショウ0.8g、味の素0.4gを添加し、残りはイオン交換水を添加して、全量400gとなるよう調製した。実施例1と同様にハンバーグを作製し、加熱後の歩留まり、冷解凍後の歩留まり、ジューシー感の官能評価、ハンバーグの高さ、表面の硬さ、内面の硬さ、破断距離について評価した結果を、表1に示した。実施例12では、ゲル化剤Lで、一旦ゲルLを形成したものを、肉の代替素材として添加したのに対し、実施例13では、ゲル化せずに、ゲル化剤をそのままハンバーグ中に添加した。ゲル状態で添加した実施例12のほうが良好な結果が得られているものの、ゲル化剤のまま添加しても、本発明の効果を十分に発揮しており、遜色のない結果が得られた。
【0137】
実施例14
実施例2と同様にして、結晶セルロース複合体Bを作製した。この結晶セルロース複合体Bと、グルコマンナン(清水化学(株)製、レオックスRS、0.2質量%溶液の粘度は30mPa・s)、およびゲル化成分として、キサンタンガム(三栄源エフ・エフ・アイ(株)製、サンエースC、グルコマンナン(レオックスRS)0.03質量%とキサンタンガム0.02質量%の混合溶液の粘度が512mPa・s)を、質量比が、結晶セルロース複合体B/GM/Xan=23/10/67となるよう、V型混合機に入れて、均一に混ざるよう30分間攪拌し、ゲル化剤Mを作製した。
【0138】
このゲル化剤Mを用いて、実施例1と同様にしてゲルMを作製した。ゲル化剤の組成の概要を表1に、ゲル強度及び破断距離の値を表2に示した。
【0139】
このゲルMを用いて、実施例1と同様にして低カロリーハンバーグを試作し、評価した。加熱後の歩留まり、冷解凍後の歩留まり、ジューシー感の官能評価、ハンバーグの高さ、表面の硬さ、内面の硬さ、破断距離の結果を表2に示した。
【0140】
実施例15
実施例2と同様にして、結晶セルロース複合体Bを作製した。この結晶セルロース複合体Bと、グルコマンナン(清水化学(株)製、レオックスRS、0.2質量%溶液の粘度は30mPa・s)、およびゲル化成分として、キサンタンガム(三栄源エフ・エフ・アイ(株)製、サンエースC、グルコマンナン(レオックスRS)0.03質量%とキサンタンガム0.02質量%の混合溶液の粘度が512mPa・s)を、質量比が、結晶セルロース複合体B/GM/Xan=35/15/50となるよう、V型混合機に入れて、均一に混ざるよう30分間攪拌し、ゲル化剤Nを作製した。
【0141】
このゲル化剤Nを用いて、実施例1と同様にしてゲルNを作製した。ゲル化剤の組成の概要を表1に、ゲル強度及び破断距離の値を表2に示した。
【0142】
このゲルNを用いて、実施例1と同様にして低カロリーハンバーグを試作し、評価した。加熱後の歩留まり、冷解凍後の歩留まり、ジューシー感の官能評価、ハンバーグの高さ、表面の硬さ、内面の硬さ、破断距離の結果を表2に示した。
【0143】
実施例16
実施例2と同様にして、結晶セルロース複合体Bを作製した。この結晶セルロース複合体Bと、グルコマンナン(清水化学(株)製、レオックスRS、0.2質量%溶液の粘度は30mPa・s)、およびゲル化成分として、キサンタンガム(三栄源エフ・エフ・アイ(株)製、サンエースC、グルコマンナン(レオックスRS)0.03質量%とキサンタンガム0.02質量%の混合溶液の粘度が512mPa・s)を、質量比が、結晶セルロース複合体B/GM/Xan=47/20/33となるよう、V型混合機に入れて、均一に混ざるよう30分間攪拌し、ゲル化剤Oを作製した。
【0144】
このゲル化剤Oを用いて、実施例1と同様にしてゲルOを作製した。ゲル化剤の組成の概要を表1に、ゲル強度及び破断距離の値を表2に示した。
【0145】
このゲルOを用いて、実施例1と同様にして低カロリーハンバーグを試作し、評価した。加熱後の歩留まり、冷解凍後の歩留まり、ジューシー感の官能評価、ハンバーグの高さ、表面の硬さ、内面の硬さ、破断距離の結果を表2に示した。
【0146】
実施例17
実施例2と同様にして、結晶セルロース複合体Bを作製した。この結晶セルロース複合体Bと、グルコマンナン(清水化学(株)製、レオックスRS、0.2質量%溶液の粘度は30mPa・s)、およびゲル化成分として、キサンタンガム(三栄源エフ・エフ・アイ(株)製、サンエースC、グルコマンナン(レオックスRS)0.03質量%とキサンタンガム0.02質量%の混合溶液の粘度が512mPa・s)を、質量比が、結晶セルロース複合体B/GM/Xan=61/26/13となるよう、V型混合機に入れて、均一に混ざるよう30分間攪拌し、ゲル化剤Pを作製した。
【0147】
このゲル化剤Oを用いて、実施例1と同様にしてゲルPを作製した。ゲル化剤の組成の概要を表1に、ゲル強度及び破断距離の値を表2に示した。
【0148】
このゲルPを用いて、実施例1と同様にして低カロリーハンバーグを試作し、評価した。加熱後の歩留まり、冷解凍後の歩留まり、ジューシー感の官能評価、ハンバーグの高さ、表面の硬さ、内面の硬さ、破断距離の結果を表2に示した。
【0149】
実施例18
実施例2と同様にして、結晶セルロース複合体Bを作製した。この結晶セルロース複合体Bと、グルコマンナン(清水化学(株)製、レオックスRS、0.2質量%溶液の粘度は30mPa・s)、およびゲル化成分として、キサンタンガム(小川香料(株)製、FA−R−C、グルコマンナン(レオックスRS)0.03質量%とキサンタンガム0.02質量%の混合溶液の粘度が335mPa・s)を、質量比が、結晶セルロース複合体B/GM/Xan=61/26/13となるよう、V型混合機に入れて、均一に混ざるよう30分間攪拌し、ゲル化剤Qを作製した。
【0150】
このゲル化剤Qを用いて、実施例1と同様にしてゲルQを作製した。ゲル化剤の組成の概要を表1に、ゲル強度及び破断距離の値を表2に示した。
【0151】
このゲルQを用いて、実施例1と同様にして低カロリーハンバーグを試作し、評価した。加熱後の歩留まり、冷解凍後の歩留まり、ジューシー感の官能評価、ハンバーグの高さ、表面の硬さ、内面の硬さ、破断距離の結果を表2に示した。
【0152】
実施例19
実施例2と同様にして、結晶セルロース複合体Bを作製した。この結晶セルロース複合体Bと、グルコマンナン(清水化学(株)製、レオックスRS、0.2質量%溶液の粘度は30mPa・s)、およびゲル化成分として、キサンタンガム(三栄源エフ・エフ・アイ(株)製、サンエースC、グルコマンナン(レオックスRS)0.03質量%とキサンタンガム0.02質量%の混合溶液の粘度が512mPa・s)を、質量比が、結晶セルロース複合体B/GM/Xan=66/28/6となるよう、V型混合機に入れて、均一に混ざるよう30分間攪拌し、ゲル化剤Rを作製した。
【0153】
このゲル化剤Rを用いて、実施例1と同様にしてゲルRを作製した。ゲル化剤の組成の概要を表1に、ゲル強度及び破断距離の値を表2に示した。
【0154】
このゲルRを用いて、実施例1と同様にして低カロリーハンバーグを試作し、評価した。加熱後の歩留まり、冷解凍後の歩留まり、ジューシー感の官能評価、ハンバーグの高さ、表面の硬さ、内面の硬さ、破断距離の結果を表2に示した。
【0155】
実施例20
実施例2と同様にして、結晶セルロース複合体Bを作製した。この結晶セルロース複合体Bと、グルコマンナン(清水化学(株)製、レオックスRS、0.2質量%溶液の粘度は30mPa・s)、およびゲル化成分として、キサンタンガム(三栄源エフ・エフ・アイ(株)製、サンエースC、グルコマンナン(レオックスRS)0.03質量%とキサンタンガム0.02質量%の混合溶液の粘度が512mPa・s)を、質量比が、結晶セルロース複合体B/GM/Xan=68/29/3となるよう、V型混合機に入れて、均一に混ざるよう30分間攪拌し、ゲル化剤Sを作製した。
【0156】
このゲル化剤Sを用いて、実施例1と同様にしてゲルSを作製した。ゲル化剤の組成の概要を表1に、ゲル強度及び破断距離の値を表2に示した。
【0157】
このゲルSを用いて、実施例1と同様にして低カロリーハンバーグを試作し、評価した。加熱後の歩留まり、冷解凍後の歩留まり、ジューシー感の官能評価、ハンバーグの高さ、表面の硬さ、内面の硬さ、破断距離の結果を表2に示した。
【0158】
実施例21
実施例2と同様にして、結晶セルロース複合体Bを作製した。この結晶セルロース複合体Bと、グルコマンナン(清水化学(株)製、レオックスRS、0.2質量%溶液の粘度は30mPa・s)、およびゲル化成分として、タマリンドシードガム(TSGと表記、大日本住友製薬(株)製、グリロイド2A)を、質量比が、結晶セルロース複合体B/GM/TSG=61/26/13となるよう、V型混合機に入れて、均一に混ざるよう30分間攪拌し、ゲル化剤Tを作製した。
【0159】
このゲル化剤Tを用いて、実施例1と同様にしてゲルTを作製した。ゲル化剤の組成の概要を表1に、ゲル強度及び破断距離の値を表2に示した。
【0160】
このゲルTを用いて、実施例1と同様にして低カロリーハンバーグを試作し、評価した。加熱後の歩留まり、冷解凍後の歩留まり、ジューシー感の官能評価、ハンバーグの高さ、表面の硬さ、内面の硬さ、破断距離の結果を表2に示した。
【0161】
実施例22
実施例2と同様にして、結晶セルロース複合体Bを作製した。この結晶セルロース複合体Bと、グルコマンナン(清水化学(株)製、レオックスRS、0.2質量%溶液の粘度は30mPa・s)、およびゲル化成分として、寒天(Agaと表記、伊那食品工業(株)製、イナアガーL)を、質量比が、結晶セルロース複合体B/GM/Aga=61/26/13となるよう、V型混合機に入れて、均一に混ざるよう30分間攪拌し、ゲル化剤Tを作製した。
【0162】
このゲル化剤Tを用いて、実施例1と同様にしてゲルTを作製した。ゲル化剤の組成の概要を表1に、ゲル強度及び破断距離の値を表2に示した。
【0163】
このゲルTを用いて、実施例1と同様にして低カロリーハンバーグを試作し、評価した。加熱後の歩留まり、冷解凍後の歩留まり、ジューシー感の官能評価、ハンバーグの高さ、表面の硬さ、内面の硬さ、破断距離の結果を表2に示した。
【0164】
実施例23
実施例2と同様にして、ゲル化剤Bを作製した。ゲル化剤Bを用いて、ゲルBを作製した。このゲルBを用いて、鶏肉の50%をゲルで代替した、低カロリー鶏肉団子を試作した。鶏肉(モモ肉)のミンチ150g、ゲルB(あらかじめフードプロセッサーで低速で10秒間攪拌して破砕したもの)150g、全卵30g、玉葱のみじん切り30g、パン粉30g、鶏がらスープの素((株)味の素、丸鶏がらスープ)4g、食塩3g、コショウ3g(全量400g)をフードプロセッサーに投入し、低速で20秒間攪拌した。これを、70gずつ空気を抜きながらハンバーグ成型器に入れて成型する。成型した原料を、沸騰した湯の中に投入して茹でる。茹で上がった鶏肉団子から、クッキングペーパーで、余分なドリップを吸い取った。その後、鶏肉団子の重量を測定して、加熱後の歩留まりを算出した。この鶏肉団子を室温で静置して放冷した後、−20℃で冷凍した。冷凍した鶏肉団子を、沸騰した湯の中に投入して8分間加熱して解凍した。解凍した鶏肉団子のドリップをクッキングペーパーで吸い取った後、重量を測定し、冷解凍後の歩留まりを算出した。この鶏肉団子の高さ、表面および内面の硬さ、破断距離を、テクスチャーアナライザーを用いて計測した。その結果を表2に示した。ただし、測定値はn=5の平均値を示す。また、官能評価によるジューシー感の評価結果を、表2に示す。
【0165】
実施例24
実施例2と同様にして、ゲル化剤Bを作製した。ゲル化剤Bを用いて、ゲルBを作製した。このゲルBを用いて、魚のすり身の50%をゲルで代替した、低カロリーさつま揚げを試作した。魚のすり身150g、ゲルB(あらかじめフードプロセッサーで低速で10秒間攪拌して破砕したもの)150g、生姜(ヱスビー食品(株)、本生生しょうが)5g、醤油(キッコーマン(株)製、しぼりたて生しょうゆ)5g、砂糖15g、酒((株)ミツカングループ製、料理酒)15g、食塩5g、片栗粉30g、全卵60g(全量435g)をフードプロセッサーに投入し、低速で20秒間攪拌した。これを、70gずつ空気を抜きながらハンバーグ成型器に入れて成型する。成型した原料を、160℃の揚げ油(日清オイリオ(株)製、キャノーラ油)中に静かに入れて、揚げる。一旦、網の上に取り出して、10分間静置して余分な油を切った後、さらにクッキングペーパーで余分なドリップを吸い取った。その後、さつま揚げの重量を測定して、加熱後の歩留まりを算出した。このさつま揚げを、−20℃で冷凍した。冷凍したさつま揚げを、電子レンジ600Wで3分間加熱して解凍した。解凍したさつま揚げのドリップをクッキングペーパーで吸い取った後、重量を測定し、冷解凍後の歩留まりを算出した。このさつま揚げの高さ、表面および内面の硬さ、破断距離を、テクスチャーアナライザーを用いて計測した。その結果を表2に示した。ただし、測定値はn=5の平均値を示す。また、官能評価によるジューシー感の評価結果も表2に示した。
【0166】
【表1】
【0167】
【表2】
【0168】
比較例1
結晶セルロース(旭化成ケミカルズ(株)製、セオラスPH−301、複合体ではない)と、グルコマンナン(清水化学(株)製、レオックスRS、0.2質量%溶液の粘度は30mPa・s)を、質量比がMCC/GM=70/30となるよう、V型混合機に入れて、均一に混ざるよう30分間攪拌し、ゲル化剤Iを作製した。
【0169】
このゲル化剤Iを用いて、実施例1と同様にしてゲルIを作製したが、ゲル化しなかったため、ゲル強度および破断距離は測定できなかった(表3参照)。
【0170】
このゲル化剤Iを用いて、実施例13と同様にして低カロリーハンバーグを試作し、評価した。加熱後の歩留まり、冷解凍後の歩留まり、ジューシー感の官能評価、ハンバーグの高さ、表面の硬さ、内面の硬さ、破断距離の結果を、表3に示した。ゲル化剤Iに使用した結晶セルロースは、複合体ではないため、水系媒体中に分散させてもネットワーク構造を形成することができず、沈降してしまう。そのため、グルコマンナンと混ぜ合わせてゲル化剤とし、ゲルを形成しようとしてもネットワーク構造を形成することができず、また、グルコマンナン単独では、アルカリで処理しないと、ゲルを形成することができないため、粘調液の状態であった。そのため、ハンバーグ中にゲル化剤を添加すると、ドリップが大量に発生し、ジューシー感を損ねてしまった。また、ドリップが大量に発生したことにより、収縮し、高さは成型前よりも低くなった。また、ハンバーグ内部の液体成分が抜けてしまい、表面、内面ともに硬くなった。
【0171】
比較例2
実施例1と同様にして、ウェットケーキ状の結晶セルロースを作製した。MCC/カラヤガム(ソマール(株)製、ガムカラヤ)の質量比が、75/25となるよう秤量し、イオン交換水を添加して固形濃度が45質量%となるよう調製し、プラネタリーミキサーで混練して複合化させ、結晶セルロース複合体Iを作製した。混練エネルギーは74Wh/kgであった。混練温度は、熱伝対を用いて、混練物の温度が直接測定され、混練を通して20〜60℃、到達温度は50〜60℃であった。結晶セルロース複合体Iの体積平均粒子径は8.8μmであり、コロイド状セルロース成分量は、63質量%、粒子L/Dは1.6であった。
【0172】
この結晶セルロース複合体Iと、グルコマンナン(清水化学(株)製、レオックスRS、0.2質量%溶液の粘度は30mPa・s)を、質量比が、結晶セルロース複合体I/カラヤガム=70/30となるよう、V型混合機に入れて、均一に混ざるよう30分間攪拌し、ゲル化剤IIを作製した。
【0173】
このゲル化剤IIを用いて、実施例1と同様にしてゲルIIを作製したが、ゲル化しなかったため、ゲル強度および破断距離は測定できなかった(表3参照)。
【0174】
このゲル化剤IIを用いて、比較例1と同様にして低カロリーハンバーグを試作し、評価した。加熱後の歩留まり、冷解凍後の歩留まり、ジューシー感の官能評価、ハンバーグの高さ、表面の硬さ、内面の硬さ、破断距離の結果を、表3に示した。ゲル化剤IIには、結晶セルロース複合体Iが配合され、組成にカラヤガムも配合されてはいるが、キサンタンガムは配合されていない。そのため、結晶セルロース複合体I自体は水系媒体中で安定にネットワーク構造を形成することが出来るが、グルコマンナンと一緒にゲル化剤としてゲル化させようとしても、結晶セルロース複合体とグルコマンナンとの相互作用が弱いため、ゲルを形成することができない。したがって、ゲル化剤IIをハンバーグ中に添加すると、結晶セルロース複合体を含む故、歩留まりの向上やジューシー感の向上に効果を示すも、キサンタンガムを組成に持つ複合体と比較すると、その効果は小さい。そのため、本発明のゲル化剤ほどの効果は得られなかった。
【0175】
比較例3
実施例1と同様にして、ウェットケーキ状の結晶セルロースを作製した。MCC/カルボキシメチルセルロースナトリウム(CMCと表記、第一工業製薬(株)製、F−7A)の質量比が、75/25となるよう秤量し、イオン交換水を添加して固形濃度が45質量%となるよう調製し、プラネタリーミキサーで混練して複合化させ、結晶セルロース複合体IIを作製した。混練エネルギーは78Wh/kgであった。混練温度は、熱伝対を用いて、混練物の温度が直接測定され、混練を通して20〜60℃、到達温度は50〜60℃であった。結晶セルロース複合体IIの体積平均粒子径は7.9μmであり、コロイド状セルロース成分量は、71質量%、粒子L/Dは1.6であった。
【0176】
この結晶セルロース複合体IIと、グルコマンナン(清水化学(株)製、レオックスRS、0.2質量%溶液の粘度は30mPa・s)を、質量比が、結晶セルロース複合体II/CMC=70/30となるよう、V型混合機に入れて、均一に混ざるよう30分間攪拌し、ゲル化剤IIIを作製した。
【0177】
このゲル化剤IIIを用いて、実施例1と同様にしてゲルIIIを作製し、評価した。ゲル強度および破断距離の結果を、表3に示した。
【0178】
このゲルIIIを用いて、実施例1と同様にして低カロリーハンバーグを試作し、評価した。加熱後の歩留まり、冷解凍後の歩留まり、ジューシー感の官能評価、ハンバーグの高さ、表面の硬さ、内面の硬さ、破断距離の結果を、表3に示した。ゲル化剤IIIには、結晶セルロース複合体IIが配合され、組成にCMCが配合されてはいるが、キサンタンガムは配合されていない。そのため、結晶セルロース複合体II自体は水系媒体中で安定にネットワーク構造を形成することが出来るが、グルコマンナンと一緒にゲル化剤としてゲル化させようとしても、結晶セルロース複合体とグルコマンナンとの相互作用が弱い。ただし、カラヤガムを組成に持つゲル化剤IIよりはネットワークを形成したため、なんとかゲルを形成できたが、ゲルの構造は不安定である。したがって、ゲル化剤IIIが形成するゲルIIIをハンバーグ中に添加すると、結晶セルロース複合体を含む故、歩留まりの向上やジューシー感の向上に効果を示すも、キサンタンガムを組成に持つ複合体と比較すると、その効果は小さい。そのため、本発明のゲル化剤ほどの効果は得られなかった。ただし、ゲル化剤IIよりは若干良好な結果が得られた。
【0179】
比較例4
実施例3と同様にして、ウェットケーキ状の結晶セルロースを作製し、MCC/Xan(小川香料(株)製、RP−R−W、0.1質量%溶液の粘度は64mPa・s)の質量比が、75/25となるよう秤量し、イオン交換水を添加して固形濃度が28質量%となるよう調製し、プラネタリーミキサーで混練して複合化させ、結晶セルロース複合体IIIを作製した。混練エネルギーは46Wh/kgであった。混練温度は、熱伝対を用いて、混練物の温度が直接測定され、混練を通して20〜60℃、到達温度は50〜60℃であった。結晶セルロース複合体IIIの体積平均粒子径は18.5μmであり、コロイド状セルロース成分量は、27質量%、粒子L/Dは1.6であった。
【0180】
この結晶セルロース複合体IIIと、グルコマンナン(清水化学(株)製、レオックスRS、0.2質量%溶液の粘度は30mPa・s)を、質量比が、結晶セルロース複合体III/GM=70/30となるよう、V型混合機に入れて、均一に混ざるよう30分間攪拌し、ゲル化剤IVを作製した。
【0181】
このゲル化剤IVを用いて、実施例1と同様にしてゲルIVを作製したが、ゲル化しなかったため、ゲル強度および破断距離は測定できなかった(表3参照)。
【0182】
このゲル化剤IVを用いて、実施例1と同様にして低カロリーハンバーグを試作し、評価した。加熱後の歩留まり、冷解凍後の歩留まり、ジューシー感の官能評価、ハンバーグの高さ、表面の硬さ、内面の硬さ、破断距離の結果を、表3に示した。ゲル化剤IV中に配合された結晶セルロース複合体IIIは、キサンタンガムを組成に持つが、コロイド状セルロース成分量が30質量%未満である。これは、結晶セルロースとキサンタンガムとの複合化の工程において、混練エネルギーが弱く、複合化が十分にすすんでおらず、結晶セルロースの表面に、キサンタンガムが十分に被覆されていないことに起因していると考えられる。したがって、結晶セルロース複合体IIIは、水系媒体中に分散させても安定なネットワーク構造を形成することができないため、ゲル化剤中に配合して、グルコマンナンと一緒にゲル化させようと試みても、互いが絡み合ったネットワークを形成することができないので、ゲル化できなかった。このゲル化剤IVを、ハンバーグ中に添加しても、結晶セルロース表面に被覆されたキサンタンガムの量は少ないため、ドリップの抑制効果や、ハンバーグ中でネットワークを形成することによるハンバーグの形状維持の効果が小さかった。
【0183】
比較例5
実施例1と同様にして、ウェットケーキ状の結晶セルロースを作製した。このウェットケーキ状のMCCに、ローカストビーンガム(LBGと表記、MRCポリサッカライド(株)製、MC1000)とキサンタンガム(小川香料(株)製、RP−R−W、0.1質量%溶液の粘度は64mPa・s)、デキストリン(Dexと表記、松谷化学(株)製、パインデックス♯100)を、MCC/LBG/Xan/Dex=70/6/4/20となるようとなるよう秤量し、イオン交換水を添加して固形濃度が35質量%となるよう調製し、プラネタリーミキサーで混練して複合化させ、結晶セルロース複合体IVを作製した。混練エネルギーは44Wh/kgであった。混練温度は、熱伝対を用いて、混練物の温度が直接測定され、混練を通して20〜60℃、到達温度は50〜60℃であった。結晶セルロース複合体IVの体積平均粒子径は10.8μmであり、コロイド状セルロース成分量は、28質量%、粒子L/Dは1.6であった。
【0184】
この結晶セルロース複合体IVと、グルコマンナン(清水化学(株)製、レオックスRS、0.2質量%溶液の粘度は30mPa・s)を、質量比が、結晶セルロース複合体IV/GM=70/30となるよう、V型混合機に入れて、均一に混ざるよう30分間攪拌し、ゲル化剤Vを作製した。
【0185】
このゲル化剤Vを用いて、実施例1と同様にしてゲルVを作製したが、ゲル化しなかったため、ゲル強度および破断距離は測定できなかった(表3参照)。
【0186】
このゲル化剤Vを用いて、実施例1と同様にして低カロリーハンバーグを試作し、評価した。加熱後の歩留まり、冷解凍後の歩留まり、ジューシー感の官能評価、ハンバーグの高さ、表面の硬さ、内面の硬さ、破断距離の結果を、表3に示した。ゲル化剤Vがゲルを形成できず、また、ハンバーグに添加しても十分な効果がえられなかったのは、比較例4のゲル化剤IVと同様、コロイド状セルロース成分量が少ないことにより、水系媒体中で安定なネットワーク構造を形成できないためであると考える。
【0187】
【表3】
【0188】
比較例6
市販のバガスパルプ(平均重合度1320、α−セルロース含有量77質量%)を、6×16mm角のパルプチップに裁断し、固形濃度が77質量%となるよう、イオン交換水を添加した。水とパルプチップができるだけ分離しないよう注意しながら、カッターミル(カッティングヘッド/水平刃間隙:2.03mm、インペラー回転数3,600rpm)に1回通した。セルロース濃度が2質量%になるようにカッターミル処理品と水を量りとり、これらを混合して繊維の絡みがなくなるまで攪拌した。得られた水分散液を、高圧ホモジナイザー(処理圧力90MPa)で9パス処理し、微細繊維状セルロースのスラリーを得た。高分解能走査型顕微鏡(SEM)で観察したところ、長径/短径比が、20〜250の極めて微細な繊維状のセルロースが観察された。この微細繊維状セルロースのスラリーに、CMC、デキストリンを、微細繊維状セルロース/CMC/Dex=68/12/20となるようそれぞれ秤量した。これを、攪拌型ホモジナイザー(特殊機化工業(株)製、T.K.AUTO HOMO MIXER)を用いて、8,000rpmで30分間攪拌混合した後、前記の高圧ホモジナイザーで20MPaで1パス処理し、微細繊維状セルロース混合液を得た。ついで、この混合液を、アプリケーターを用いて厚さ2mmでアルミニウム板状にキャストし、熱風乾燥機を使用して、120℃で45分間乾燥して、フィルム状とした。これを、カッターミル(不二パウダル(株)製)で、目開き1mmの篩を全通する程度まで粉砕し、微細繊維状セルロース複合体aを得た。混練エネルギー(攪拌型ホモジナイザーによる攪拌エネルギー)は、総量として0.01Wh/kg未満であり、攪拌時の温度は、20〜60℃、到達温度は50〜60℃であった。微細繊維状セルロース複合体aの体積平均粒子径は38.2μmであり、コロイド状セルロース成分量は、71質量%であった。
【0189】
この微細繊維状セルロース複合体aと、グルコマンナン(清水化学(株)製、レオックスRS、0.2質量%溶液の粘度は30mPa・s)、キサンタンガム(三栄源エフ・エフ・アイ(株)製、サンエースC、グルコマンナン(レオックスRS)0.03質量%とキサンタンガム0.02質量%の混合溶液の粘度が512mPa・s)を、質量比が、微細繊維状セルロース複合体a/GM/Xan=50/35/15となるよう、V型混合機に入れて、均一に混ざるよう30分間攪拌し、ゲル化剤VIを作製した。
【0190】
このゲル化剤VIを用いて、実施例1と同様にしてゲルVIを作製し、評価した。ゲル強度および破断距離の結果を、表4に示した。
【0191】
このゲルVIを用いて、実施例1と同様にして低カロリーハンバーグを試作し、評価した。加熱後の歩留まり、冷解凍後の歩留まり、ジューシー感の官能評価、ハンバーグの高さ、表面の硬さ、内面の硬さ、破断距離の結果を、表4に示した。ゲル化剤VI中に配合された微細繊維状セルロース複合体aは、本発明の結晶セルロース複合体と比較して、非常に細長い形状を有する。そのため、微細繊維状セルロース複合体が形成するネットワークは、非常に疎な構造である。したがって、ゲル化剤VIが形成するゲルVIは、ゲル中のネットワークが疎であるため、ゲルの破断性には優れる一方、ゲル強度は低い。さらに、ハンバーグ中に添加すると、ハンバーグ中の水や旨み成分等のドリップをネットワーク構造中に捕捉できないため、歩留まり抑制の効果が見られず、食感もジューシーさに欠けた。また、ゲル強度が低いため、ハンバーグは柔らかく、歯ごたえのない食感となり、また加熱後に形状を維持できずに、ハンバーグはだれてしまい、高さは加熱前よりも低くなった。
【0192】
【表4】