特許第5955153号(P5955153)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5955153
(24)【登録日】2016年6月24日
(45)【発行日】2016年7月20日
(54)【発明の名称】表示装置
(51)【国際特許分類】
   B60R 1/00 20060101AFI20160707BHJP
   H04N 5/225 20060101ALI20160707BHJP
   G09G 3/20 20060101ALI20160707BHJP
   G09G 3/34 20060101ALI20160707BHJP
   G09G 3/36 20060101ALI20160707BHJP
   G03B 15/00 20060101ALI20160707BHJP
   G03B 15/02 20060101ALI20160707BHJP
   G03B 15/05 20060101ALI20160707BHJP
   G09F 9/00 20060101ALI20160707BHJP
   B60K 35/00 20060101ALI20160707BHJP
【FI】
   B60R1/00 A
   H04N5/225 F
   H04N5/225 C
   G09G3/20 691G
   G09G3/34 J
   G09G3/20 642F
   G09G3/36
   G03B15/00 S
   G03B15/02 F
   G03B15/05
   G09F9/00 362
   G09F9/00 366Z
   B60K35/00 Z
【請求項の数】8
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2012-173924(P2012-173924)
(22)【出願日】2012年8月6日
(65)【公開番号】特開2014-31140(P2014-31140A)
(43)【公開日】2014年2月20日
【審査請求日】2015年2月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】000101732
【氏名又は名称】アルパイン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098497
【弁理士】
【氏名又は名称】片寄 恭三
(72)【発明者】
【氏名】小幡 喜重郎
【審査官】 菅 和幸
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−074146(JP,A)
【文献】 特開2002−094955(JP,A)
【文献】 特開2011−025748(JP,A)
【文献】 特開2010−176382(JP,A)
【文献】 特開2010−006362(JP,A)
【文献】 特開2009−113621(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 1/00
B60K 35/00
G03B 15/00
G03B 15/02
G03B 15/05
G09F 9/00
G09G 3/20
G09G 3/34
G09G 3/36
H04N 5/225
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像素子を包含する表示装置であって、
画像データに基づき画像を表示可能であり、少なくともR(赤)、G(緑)、B(青)のカラーフィルタを含む液晶パネルを有する表示手段と、
前記表示手段の背面側に配置され、前記表示手段を介して物体を撮像可能な撮像手段と、
赤外光を出射する光源と、
前記撮像手段に対応する前記表示手段の所定表示領域からRのフィルタを介して一定以上の波長の光を透過させるように、前記所定表示領域を赤色で表示させる制御手段と、
を有する表示装置。
【請求項2】
前記表示手段は、バックライトを含み、前記光源は前記バックライト内に設けられる、請求項に記載の表示装置。
【請求項3】
前記表示手段は、前記所定表示領域を覆う赤外光フィルタを含む、請求項1または2記載の表示装置。
【請求項4】
表示装置はさらに、周辺の明るさを検出する検出手段と、前記光源の駆動を制御する駆動制御手段と、前記検出手段からの検出結果に基づき周辺が暗いか否かを判定する判定手段とを有し、前記駆動制御手段は、前記判定手段により周辺が暗いと判定されたとき、前記光源から赤外光を出射される、請求項1ないしいずれか1つに記載の表示装置。
【請求項5】
前記制御手段は、前記判定手段により周辺が明るいと判定されたとき、前記所定表示領域の光の透過量が減少するように前記所定表示領域の表示画像を制御する、請求項に記載の表示装置。
【請求項6】
前記表示手段は、車両のメータ等を表示するインスツルメンツパネルを構成する、請求項1ないしいずれか1つに記載の表示装置。
【請求項7】
請求項1ないしいずれか1つに記載の表示装置を含む運転者監視システムであって、
当該運転者監視システムは、前記撮像手段により撮像された画像データを処理する処置手段と、処理された画像データから運転者の瞼または目の状態を監視する監視手段と、監視手段の監視結果に基づき警告を発する警告手段とを含む、運転者監視システム。
【請求項8】
前記監視手段は、運転者の居眠りを検知する、請求項に記載の運転者監視システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置に関し、特に、車両に搭載されるカメラを内蔵したディスプレイ装置またはディスプレイユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
テレビ会議システム等では、対話する相手を撮像するためのカメラと、カメラで撮像された人物を表示するためのディスプレイとを必要とする。このため、小型化、省スペース化の観点からカメラを内蔵したディスプレイ装置が望まれている。特許文献1は、透過型液晶パネルの背部にカメラを設け、薄型化を可能にしたカメラ内蔵のディスプレイ装置を開示している。液晶表示部の中央には、点滅表示されるシャッター領域が設定され、シャッター領域の画像を制御することで、前面側からの光の透過を可能にしている。特許文献2は、視野角を広くするために複数のカメラを内蔵し、複数のカメラで撮像されたデータを合成するカメラ内蔵ディスプレイ装置を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−163816号公報
【特許文献2】特開2009−15272号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
運転者監視システムを搭載する車両では、ステアリングの後方にカメラユニットを設置し、カメラユニットにより運転者の目や瞼の状態を撮像し、撮像データから運転者の居眠りを検知している。図1は、運転者監視システムに用いられるカメラユニットの取付例を示す図である。同図に示すように、運転者の正面には、スピードメータ等の計器類を配したメータパネル10が設置され、メータパネル10の下部には専用のカメラユニット12が取付けられる。カメラユニット12内には、撮像素子と、夜間でも確実に運転者の顔を撮像できるようにするための赤外線を出射する複数のLED光源14が内蔵されている。しかしながら、このようなカメラユニット12を設置すると、メータパネル10の視認性を損ねたり、メータパネル10の外観上の美観やデザイン性を損ねるという課題がある。
【0005】
他方、特許文献1または2に示されるカメラ内蔵のディスプレイ装置は、カメラユニットのレンズを収容するための孔をバックライトユニット内に形成するなどの微細な物理的加工を必要とするため、構成が複雑であり、低コスト化を図ることが難しいという課題がある。さらに、夜間の撮像に必ずしも適した構成にはなっていない。
【0006】
本発明は、このような従来の課題を解決するものであり、デザイン性や美観を損なわせることなく低コスト化を図ることができる、撮像素子を包含する表示装置を提供することを目的とする。
さらに本発明は、車両の運転者監視システムに適した撮像素子を包含する表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る撮像素子を包含する表示装置は、画像データに基づき画像を表示可能な表示手段と、前記表示手段の背面側に配置され、前記表示手段を介して物体を撮像可能な撮像手段と、赤外光を出射する光源と、前記撮像手段に対応する前記表示手段の所定表示領域が前記光源からの赤外光を透過するようにように、前記所定表示領域の表示画像を制御する制御手段とを有する。
【0008】
好ましくは前記表示手段は、少なくとも液晶パネルを含み、前記制御手段は、前記所定表示領域を赤色で表示させる。好ましくは前記液晶パネルは、R(赤)、G(緑)、B(青)を含むカラーフィルタを含み、前記制御手段は、前記所定表示領域からRのフィルタにより一定以上の波長の光を透過させる。好ましくは前記表示手段は、バックライトを含み、前記光源は前記バックライト内に設けられる。好ましくは前記表示手段は、前記所定表示領域を覆う赤外光フィルタを含む。好ましくは表示装置はさらに、周辺の明るさを検出する検出手段と、前記光源の駆動を制御する駆動制御手段と、前記検出手段からの検出結果に基づき周辺が暗いか否かを判定する判定手段とを有し、前記駆動制御手段は、前記判定手段により周辺が暗いと判定されたとき、前記光源から赤外光を出射される。好ましくは前記制御手段は、前記判定手段により周辺が明るいと判定されたとき、前記所定表示領域の光の透過量が減少するように前記所定表示領域の表示画像を制御する。好ましくは前記表示手段は、車両のメータ等を表示するインスツルメンツパネルを構成する。
【0009】
好ましくは本発明の運転者監視システムは、上記構成の撮像素子を包含する表示装置を含み、当該運転者監視システムは、前記撮像手段により撮像された画像データを処理する処置手段と、処理された画像データから運転者の瞼または目の状態を監視する監視手段と、監視手段の監視結果に基づき警告を発する警告手段とを含む。好ましくは前記監視手段は、運転者の居眠りを検知する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、撮像素子を表示手段の背面側に配置し、表示手段の所定表示領域を利用して赤外光を透過させるようにしたので、表示装置の外観上の美観が損なわれることがなくなる。さらに、赤外光の光源を備え、赤外光による撮像が可能になるため、夜間等であっても、運転者等を確実に撮像することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】従来の運転者監視システムに用いられるカメラユニットの取付例を説明する図である。
図2】本発明の第1の実施例に係るカメラモジュール内蔵ディスプレイ装置の構成を示す側面図と正面図である。
図3】液晶パネルのカラーフィルタの分光特性の一例を示すグラフである。
図4】本発明の第1の実施例に係る運転者監視システムの構成を示すブロック図である。
図5】本発明の第2の実施例に係るカメラモジュール内蔵ディスプレイ装置の構成を示す側面図と正面図である。
図6】本発明の第2の実施例に係る運転者監視システムの構成を示すブロック図である。
図7】本発明の第3の実施例による赤外光透過領域の表示タイミング制御を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の好ましい実施態様について図面を参照して説明する。本実施の態様では、カメラ内蔵のディスプレイ装置は、車両のメータパネルを構成する表示ユニットとして利用され、かつ運転者監視システムにおける運転者を撮像する撮像ユニットとしても利用される。図2(A)は、本発明の実施例に係るカメラモジュール内蔵のディスプレイ装置の概略側面図、図2(B)は、本発明の実施例に係るカメラモジュール内蔵のディスプレイ装置の正面図である。
【0013】
本実施例のカメラモジュール内蔵のディスプレイ装置100は、薄型の矩形状を有する液晶装置110と、カメラユニット120とを含み、液晶装置110は、液晶パネル112とバックライトユニット114とを含んで構成される。バックライトユニット114の底部には、光源116が設けられている。
【0014】
液晶パネル112は、公知のように、2枚の透明な基板の間に液晶材料をサンドイッチし、2枚の透明な基板の表面側には、R(赤)、G(緑)、B(青)のカラーフィルタが配列されたカラーフィルタ基板が配置され、背面側には、TFTなどが形成されたアクティブ基板が配置される。典型的な液晶パネルでは、2つの透明基板のさらに外側に1組の偏光フィルタ(偏光板)が設けられる。透過型の液晶パネルでは、バックライトユニット114から発せられた光が、偏光フィルタ、アクティブ基板、液晶、カラーフィルタ基板、偏光フィルタを通り、ユーザーの目に到達する。
【0015】
バックライトユニット114は、導光板や光源116などを含み、液晶パネル112の全面を背面側からほぼ垂直方向に照射する。光源116には、例えば、CCFL(冷陰極管)や白色LEDなどが利用される。好ましくは、バックライトユニット114は、図2に示すように、導光板のエッジに光源116を配置したエッジライト型により構成され、液晶装置110の薄型化を図っている。なお、バックライトユニット114は、導光板を持たずに拡散板などを用いて均一な光を照射するものであってもよい。
【0016】
本実施例では、光源116は、液晶パネル112の表示輝度を調整するためのランプ、例えば白色LEDと、運転者を撮像するための赤外線の波長を出射する赤外光LEDとを含み、これらのLEDは、バックライトユニット114のエッジに一列に配置される。赤外光LED116Aは、図2(B)に示すように、液晶パネル12の一部の表示エリアに割り当てられる赤外光透過領域130に対応して配置され、例えば、800nm程度の近赤外の波長を出射する。図の例では、赤外光透過領域130の下部において、赤外光LED116A(ハッチングで示す)と白色LED116Bとが交互に配置され、赤外光透過領域130以外の領域には、白色LED116Bが配置されている。
【0017】
白色LED116Bから出射された光は、バックライトユニット114内の導光板等によりほぼ垂直方向に反射され、これらの光は、液晶パネル112の面光源として機能する。赤外光LEDも同様にバックライトユニット114内でほぼ垂直方向に反射される、その一部は、赤外光透過領域130を透過して液晶パネル112の正面側から外部へ放射される。赤外光透過領域130に対応して配置される赤外光LED116Aの数や配列等は、白色LED116Bによる照射ムラが生じないように、また液晶パネル112の輝度が大きく損なわれないように、他方、赤外光透過領域130を介して運転者の瞼または眼の状態を十分に撮像できる光量が得られるように、適宜選択される。
【0018】
バックライトユニット114の背面には、カメラモジュール120が取付けられる。カメラモジュール120は、撮像素子としてのCCDやCMOSセンサを含み、さらに一定の視野角を得るためにレンズを含むことができる。ここに用いられる撮像素子は、赤外光、好ましくは近赤外光を検知し、運転者の撮像を可能にする。従って、カメラのレンズは、赤外光を透過可能な材料から構成される。カメラモジュール120は、赤外光透過領域130の後方であっておおよそ液晶パネル110のほぼ中央に配置される。図2(B)に示す領域122は、カメラモジュール120への赤外光が入射される領域であって、少なくともバックライトユニット114の領域122は、赤外光を透過するような材料から構成されるか、または反射しない形状を有する。あるいは領域122は、穴または空洞を形成するものであってもよい。後述するように、赤外光透過領域130は、赤外光を透過するように画像制御される領域であり、赤外光LED116Aから発せられた赤外光は、バックライトユニット114、赤外光透過領域130を介して外部へ出射され、物体を撮像した赤外光は、赤外光透過領域130、バックライトユニット114の領域122を介してカメラの撮像素子へ入射される。
【0019】
好ましい態様では、液晶パネル112は、車両のメータパネルを構成する。図2(B)に示すように、液晶パネル112には、画像データに基づき、メータパネルに含まれるメータ類140が表示される。メータ類140は、例えば、スピードメータ、タコメータ、燃料メータ、ラジエータの水温計などである。メータ類140の下方には、赤外光透過領域130が割り当てられる。赤外光透過領域130は、他の領域と同様に画像データに基づき画像を表示することが可能であるが、赤外光透過領域130が画像データに基づき赤色を表示するように画像制御されたとき、カラーフィルタの分光特性により赤の波長のみならずこれよりも波長が大きい赤外光も透過される。
【0020】
図3に、液晶パネルのカラーフィルタの分光特性の例を示す。同図には、R(赤)、G(緑)、B(青)の分光特性(光透過度)が示されている。赤色フィルタは、約600nm以上の波長の光を透過するため、液晶パネル112で赤色の表示が行われた領域では、近赤外光(800nm程度)もまたそこを透過する。
【0021】
このように、赤外光透過領域130が赤外光を透過させるとき、赤外光透過領域130は赤色を表示することになる。液晶パネル112の一定領域が赤色に表示されると、非常に目立ち、デザイン的に好ましくない。このため、赤外光透過領域130を覆う赤外光フィルタ150を液晶パネル112の表面に取付けることが望ましい。赤外光フィルタ150は、赤外光を透過し、それ以外の光を吸収することができるので、赤外光透過領域130の赤色の表示を目立たせなくすることができる。
【0022】
図4は、本発明の実施例の運転者監視システムの構成を示すブロック図である。本実施例の運転者監視システム200は、カメラモジュール内蔵のディスプレイ装置100、システム全体を制御する制御部210、ディスプレイ装置100の表示画像を制御する表示制御部220、カメラモジュール内蔵のディスプレイ装置100により撮像された運転者の顔の画像データを処理する画像処理部230、および運転者等に警告を発する警告部240を含んで構成される。
【0023】
表示制御部220は、制御部210の制御下において、画像データに基づき液晶パネル112に図2(B)に示すようなメータ類140を表示させる。また、表示制御部220は、画像データに基づき赤外光透過領域130が赤色を表示するように表示制御をする。これにより、液晶パネル112には、メータ類140のリアルタイムな情報が表示され、同時に、赤外光透過領域130を介して運転者が赤外光により照射され、その反射光が赤外光透過領域130を介してカメラモジュール120(撮像素子)で受光される。カメラモジュール120は、受光された電気信号を増幅し、これを画像処理部230へ出力する。画像処理部230は、電気信号をディジタル信号に変換し、ディジタル画像データに基づき運転者の瞼や視線を検出し、これを制御部210へ出力する。制御部210は、運転者の瞼の開き具合、または瞬きの回数などから運転者が居眠りをしているか否かを判定し、居眠りをしていると判定した場合には、警告部240を介して警告を運転者に与える。
【0024】
このように本実施例では、バックライトユニット114の白色LED116Bの一部を赤外光LED116Aに置換し、新たに赤外光を発光させるための装置または筐体(例えば、図1のユニット12)を設ける必要がなくなり、メータパネルのデザイン性、美観を維持することができる。また、カメラ内蔵のディスプレイ装置100をユニット化またはモジュール化して車両に搭載することで、取付けが容易になり、生産性が改善される。
【0025】
なお、上記実施例では、赤外光透過領域130は、液晶パネルの下方に割り当てるようにしたが、これに限らず他の領域であってもよい。また、赤外光透過領域130の大きさ、形状は、適宜選択可能であるし、さらに赤外光透過領域130は、複数の領域であってもよい。いずれの場合にも、カメラモジュール120は、赤外光透過領域130からの赤外光を入射できるように位置されるか、あるいはそのような光学系を生じさせるようにレンズやミラー等の光学部品を含むことができる。さらに上記実施例では、カメラ内蔵のディスプレイ装置により車両のメータパネルを表示する例を示したが、ディスプレイ装置は、このような表示以外にも、他の画像を表示するものとして利用することも可能である。
【0026】
次に、本発明の第2の実施例について説明する。第1の実施例では、バックライトユニットの光源の一部を赤外光LEDに置換するものであったが、第2の実施例では、バックライトユニットの背面に赤外光LEDを配置するものである。図5に、第2の実施例のカメラモジュール内蔵のディスプレイ装置を示し、図2と同一構成については同一参照番号を附す。
【0027】
第2の実施例のディスプレイ装置100Aにおいて、複数の赤外光LED300がバックライトユニット114の背面側であって赤外光透過領域130と重複する位置に取付けられる。赤色LED300は、バックライトユニット114、液晶パネル112の面にほぼ垂直に入射され、第1の実施例のときと同様に、赤外光透過領域130を透過し、運転者の顔面を照射する。第2の実施例では、バックライトユニット114の全体、または赤外光透過領域130に対応する領域は、赤外光を透過可能な材料から構成されることが望ましい。
【0028】
第2の実施例では、赤外光LED300をバックライトユニット114の白色光源と別構成とすることで赤外光LED300を、バックライトユニット114の光源から独立して駆動することが可能になる。これにより、バックライトユニット114による光量を低下させることなく、赤外光LED300により夜間でも確実に運転者の瞼の状態を撮像することができる。好ましくは、運転者の周囲が暗いときに赤外光LED300を点灯させ、周囲が明るいときには赤外光LED300を消灯させることができる。
【0029】
図6は、第2の実施例の運転者監視システムの構成を示すブロック図である。第2の実施例の運転者監視システム200Aでは新たに、照度センサ310、ディマースイッチ320、点灯駆動部330を含む。照度センサ310は、例えばフォトダイオードまたはフォトトランジスタを含み、ディスプレイ装置100Aまたは運転者の近傍の明るさを検出し、この検出結果を制御部210へ提供する。ディマースイッチ320は、車両のライトがオンしたことを検知するものであり、この検知結果は制御部210へ提供される。制御部210は、周囲の明るさが暗くなった判定したとき、またはディマースイッチがオンされたとき、点灯駆動部330を介して赤外光LED300をオンさせ、夜間等においても運転者の顔面を赤外光で照射できるようにする。また、制御部210は、周囲の明るさに応じて赤外光の光量が段階的に増加するように、点灯させる赤外光LEDの数を可変するようにしてもよい。
【0030】
上記実施例では、赤外光LED300は、バックライトユニットの光源と別構成であれば、どのような取付けの形態であってもよい。例えば、赤外光LED300は、カメラモジュール120と一体に取付けられるようにしてもよいし、バックライトユニット114の背面に一体に取付けられるようにしてもよい。また、照度センサ310もまた、ディスプレイ装置100Aと一体に取付けられるようにしてもよい。
【0031】
次に、本発明の第3の実施例について説明する。第3の実施例では、直射日光がカメラに直接当たるような入射光量が非常に多い場面に、赤外光透過領域130の液晶の表示制御により、カメラのレンズ部分の透過率を下げることで、カメラの露出を調整する。図6において、照度センサ310による検出結果が制御部210に提供され、制御部210は、周囲の明るさが一定上であると判定すると、表示制御部220を介して赤外線の透過量を減少させる。例えば、図7に示すように、赤外光透過領域130が赤色を表示する期間がTであるとき、断続的に短い期間Taで赤色が表示されるように表示タイミングを制御することで、透過量を調整する。
【0032】
本発明の好ましい実施の形態について詳述したが、本発明は、特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の要旨の範囲において、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0033】
100、100A:カメラモジュール内蔵ディスプレイ装置
110:液晶装置
112:液晶パネル
114:バックライトユニット
116:光源
116A、300:赤外光LED
116B:白色LED
120:カメラモジュール
130:赤外光透過領域
140:メータ類
150:赤外光フィルタ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7