【文献】
Verschleissreduzierung durch Beschichtung von PET‐Vorformlingen Spezialschmierstoffe beim Kunststoffspritzguss,Plast Verarbeiter,ドイツ,2011年 9月,Vol.62 No.9,Page.106-108
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
プリフォームを整列させて搬送するプリフォーム搬送部と、整列して搬送されたプリフォームを加熱する加熱部と、プリフォームをブロー成形するボトル成形部と、成形したボトルを搬送するボトル搬送部とを備える容器製造装置において、加熱部入口にはプリフォームの搬送路に沿って潤滑剤添着部が設けてあり、潤滑剤添着部にプリフォームの外周面が当接して潤滑剤を添着することを特徴とする容器の製造装置。
加熱部はプリフォームの口部に装着するヒーターマンドレルを備え、ヒーターマンドレルを回転することにより、プリフォームの外周面を潤滑剤添着部に当接させた後、プリフォームを加熱しつつ回転させることを特徴とする請求項1に記載の容器の製造装置。
潤滑剤添着部は、プリフォーム搬送路を挟んで設けた潤滑剤含有体と、潤滑剤含有体をプリフォーム搬送路に向けて押圧する付勢部材とを有し、プリフォームは回転しつつ搬送路を移動することにより、潤滑剤含有体に当接して潤滑剤を外周面に添着することを特徴とする請求項2に記載の容器の製造装置。
潤滑剤含有体は搬送方向に沿って複数設けてあり、各潤滑剤含有体は搬送路側面を搬送路に沿う平面部と、搬送方向上流側ほど対向する潤滑剤含有体が互いに離れるように傾斜した傾斜部とを備えることを特徴とする請求項3に記載の容器の製造装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の技術では、容器胴部の外周面を潤滑剤含有体に当接させているので、容器胴部の外周面に凹凸がある場合には、凹部に潤滑剤を添着することができないとう問題があった。
特に、正立状態で容器をガイド部材で案内して移送する場合には、ガイド部材は容器胴部の凹部に当接して案内しており、凹部に潤滑剤が添着していないとガイド部材に対する滑り性を向上させることができないという不都合があった。
また、容器胴部の断面形状が略四角形や六角形等の円形でない場合には、容器を回転させて潤滑剤含有体に当接させても容器胴部の外周面全体に潤滑剤を添着できないという問題があった。
【0005】
そこで、本発明は、容器胴部の形状や凹凸の有無にかかわらず、容器の外周面に潤滑剤を添着でき
る容器の製造装
置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
請求項
1に記載された発明は、プリフォームを整列させて搬送するプリフォーム搬送部と、整列して搬送されたプリフォームを加熱する加熱部と、プリフォームをブロー成形するボトル成形部と、成形したボトルを搬送するボトル搬送部とを備える容器製造装置において、加熱部入口にはプリフォームの搬送路に沿って潤滑剤添着部が設けてあり、潤滑剤添着部にプリフォームの外周面が当接して潤滑剤を添着することを特徴とする容器の製造装置である。
【0014】
請求項
2に記載された発明は、請求項
1に記載の発明において、加熱部はプリフォームの口部に装着するヒーターマンドレルを備え、ヒーターマンドレルを回転することにより、プリフォームの外周面を潤滑剤添着部に当接させた後、プリフォームを加熱しつつ回転させることを特徴とする。
【0015】
請求項
3に記載された発明は、請求項
2に記載の発明において、潤滑剤添着部は、プリフォーム搬送路を挟んで設けた潤滑剤含有体と、潤滑剤含有体をプリフォーム搬送路に向けて押圧する付勢部材とを有し、プリフォームは回転しつつ搬送路を移動することにより、潤滑剤含有体に当接して潤滑剤を外周面に添着することを特徴とする。
【0016】
請求項
4に記載された発明は、請求項
3に記載の発明において、潤滑剤含有体は搬送方向に沿って複数設けてあり、各潤滑剤含有体は搬送路側面を搬送路に沿う平面部と、搬送方向上流側ほど対向する潤滑剤含有体が互いに離れるように傾斜した傾斜部とを備えることを特徴とする。
【0017】
請求項
5に記載された発明は、請求項
1〜
4のいずれか一項に記載の発明において、潤滑剤はフッ素化合物であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0028】
請求項
1に記載の発明によれば、
ブロー成形した後の容器の形状や凹凸の有無にかかわらず、容器の外周面に潤滑剤を添着することができる。
しかも、プリフォームの外周面に潤滑剤を添着することで、容易に容器の外周面に潤滑剤を添着できる。
プリフォームをブロー成形するときにプリフォームが溶融するので成形後の容器外周面に潤滑剤粒子が固着するから、潤滑剤が剥がれ落ち難くい。例えば、容器の洗浄後にも容器外周面における滑り性を持続することができる。
【0029】
請求項
2に記載の発明によれば、請求項
1に記載の発明と作用効果を奏する
と共に、プリフォームの外周面全体に容易に潤滑剤を添着できる。
プリフォームは容器に比較して厚みが厚く硬いから、潤滑剤含有体に当接させた場合に、強く圧接でき、潤滑剤の付着が容易にできる。
【0030】
請求項
3に記載の発明によれば、請求項
2に記載の発明と同様の作用効果を奏すると共に、簡易な構成でプリフォームの外周面全体に潤滑剤を添着できる。
潤滑体含有体を付勢部材によりプリフォーム搬送路側に押し付けているので、潤滑体外遊体が摺り減っても供給することができる。
【0031】
請求項
4に記載の発明によれば、請求項
3に記載の発明と同様の作用効果を奏することができると共に、潤滑含有体を複数設けることにより、プリフォームの外周面に確実に潤滑剤を添着でき、搬送方向上流側では潤滑含有体の傾斜部によりプリフォームの移動をスムーズに案内できる。
【0032】
請求項
5に記載の発明によれば、請求項
1〜4のいずれか一項に記載の発明と同様の作用効果を奏することができる
と共に、フッ素化合物は汎用性があり且つ安価であるから、容器に安価に滑り性を付与することができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【
図1】本発明の実施の形態にかかる容器の製造装置において、プリフォームに潤滑剤を添着する状態を示す正面図である。
【
図2】本発明の実施の形態にかかる容器の製造装置において、潤滑剤添着部を示す平面図である。
【
図3】本発明の実施の形態にかかる容器の製造装置全体を概略的に示す平面図である。
【
図4】本発明の実施の形態にかかる潤滑剤添着領域を示す図であり、(a)はプリフォームの正面図、(b)は容器の正面図である。
【
図5】滑り性評価試験1及び2で用いた容器の正面図である。
【
図6】滑り性評価試験1で用いた治具の概略図であり、(a)は縦断面図、(b)は正面図である。
【
図7】滑り性評価試験2で用いた治具の概略図であり、(a)は平面図、(b)は正面図である。
【
図8】滑り性評価試験1及び2で用いた実施例品のプリフォームについてX線元素分析の結果を示すグラフである。
【
図9】滑り性評価試験1及び2で用いた比較例品のプリフォームについてX線元素分析の結果を示すグラフである。
【
図10】滑り性評価試験1及び2で用いた実施例品の容器についてX線元素分析の結果を示すグラフである。
【
図11】滑り性評価試験1及び2で用いた比較例品の容器についてX線元素分析の結果を示すグラフである。
【
図12】滑り性評価試験1及び2で用いた実施例品のプリフォーム表面の電子顕微鏡写真である。
【
図13】滑り性評価試験1及び2で用いた比較例品のプリフォーム表面の電子顕微鏡写真である。
【
図14】滑り性評価試験1及び2で用いた実施例品の容器表面の電子顕微鏡写真である。
【
図15】滑り性評価試験1及び2で用いた比較例品の容器表面の電子顕微鏡写真である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下に、添付図面を参照して、本発明の実施の形態を詳細に説明する。
まず、本実施の形態にかかる容器の製造装置について説明する。
図3に示すように、容器の製造装置1は、プリフォーム3を整列させて搬送するプリフォーム搬送部5と、整列して搬送されたプリフォーム3を加熱する加熱部7と、プリフォーム3をブロー成形するボトル成形部9と、成形した容器2を搬送するボトル搬送部11とを備えている。
【0038】
図4(a)に示すように、プリフォーム3は、口部13と、フランジ部15と、胴部17とを備え、胴部17には円筒状の本体部17aと下方に突出した湾曲状の底部17bとが形成されている。
プリフォーム3は、ポリエステル樹脂製であり、本実施の形態では、PET(ポリエチレンテレフタレート)製である。
【0039】
図1に示すように、加熱部7では、プリフォーム搬送部5から整列して搬送されてきたプリフォーム3の口部13にヒーターマンドレル19を挿入してプリフォーム3を吊り下げて保持する。
図3に示すように、加熱部7には、ヒーター21が設けてあり、ヒーターマンドレル19により保持されたプリフォーム3はヒーター21の周囲を移動して加熱される。プリフォームの移送中に、
図1に示すように、ヒーターマンドレル19は回転してプリフォーム3を回転する。
【0040】
図3に示すように、この加熱部7の入口には、プリフォーム3の搬送路に潤滑剤添着部23が設けてある。潤滑剤添着部23は、搬送方向に沿って並んで設けた3つの添着装置25が設けてある。
図2に示すように、各添着装置25は、プリフォーム3の搬送路Sを挟んで設けた一対の潤滑剤含有体27と、各潤滑剤含有体27を搬送路に向けて押圧する付勢部材29と、各潤滑剤含有体27を支持する支持体31とが設けてある。
潤滑剤含有体27は搬送路S側の平面部27aと、搬送方向上流側ほど対向する潤滑剤含有体27、27が互いに離れるように傾斜した傾斜部27bとを備えており、対向する傾斜部27b、27b間の間隔を平面部27a、27a間よりも広くしてあり且つプリフォーム3の搬送方向上流側の間隔を次第に広くしている。
【0041】
潤滑剤含有体27はフッ素化合物であることが好ましく、具体的には、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレン・エチレン共重合体(FTFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、クロロトリフルオロエチレン・エチレン共重合体(ECTFE)、ポリビニリデンフルオライド(PVDF)、ポリビニルフルオロライド(PVF)等が用いられる。
【0042】
対向する一対の潤滑剤含有体27、27間の間隔Wは、プリフォーム3が通過する前の自由状態でプリフォーム3の胴部17の外径よりも狭くして、プリフォーム3が通るときにプリフォーム3に平面部27aを押し付けている。
図1に示すように、潤滑剤含有体27の平面部27aの高さHは、プリフォーム3の胴部17が当たる高さに設定されている。
各添着装置25では、各々1回転以上プリフォーム3が回転するようにしてあり、潤滑剤添着部23全体では、3回転以上プリフォーム3が回転して潤滑剤含有体27、27に当接する。
【0043】
次に、本実施の形態にかかる容器の製造装置1による容器2の製造方法、作用及び効果について説明する。
図3に示すように、プリフォーム搬送部5から単列で整列して搬送されてきたプリフォーム3は、加熱部5に入ったところで、
図1に示すようにプリフォーム3の口部13にヒーターマンドレル19が装着されて、吊り下げた状態で潤滑剤添着部23へ移送される。
【0044】
図2に示すように、潤滑剤添着部23では、ヒーターマンドレル19は回転しながらプリフォーム3を搬送し、一対の添着剤含有体27、27間を移動する。ここで、プリフォーム3は、胴部17の外周面を添着剤含有体27の平面部27aに押し当てながら回転して添着剤粒子を付着する。
潤滑剤添着部23では、3つの添着装置25で順次外周面に添着剤が確実に付着される。各添着装置25では、対向する一対の潤滑剤含有体27、27間を通過するが、各潤滑剤含有体27、27間では、搬送方向上流側が傾斜部27b、27bにより開口を広くしているので、潤滑剤含有体27、27間にスムーズに挿入できる。
これにより、
図4(a)に二点鎖線で示す領域Aに潤滑剤粒子が添着する。
【0045】
そして、ヒーターマンドレル19により吊り下げられたプリフォーム3は、
図3に示すように、ヒーター21の周囲を移動して加熱された後、ボトル成形部9へ搬送され、ブロー成形により
図4(b)に示す容器2を成形し、容器2はその後、ボトル搬送部から次工程へ搬送される。
図4(b)に示すように、成形された容器2は、プリフォーム3における潤滑剤粒子の添着領域に対応して、二点鎖線で示す領域Bが潤滑剤粒子の添着領域となる。
【0046】
本実施の形態によれば、
図4(b)から明らかなように、ブロー成形した後の容器2の形状や凹凸の有無にかかわらず、容器の外周面に潤滑剤を添着することができる。
特に、容器2の凹部2aにも潤滑剤を添着できるので、ガイド部材を凹部2aに当てて正立状態で容器2を搬送する場合にもガイド部材に対する滑り性を付与することができ、容器2をスムーズに移送することができる。
プリフォーム3は容器2に比較して硬いので、潤滑剤の添着が容易にできると共に潤滑剤含有体27を強く圧接して確実に潤滑剤の添着ができる。
潤滑剤を添着したプリフォーム3をブロー成形することにより、プリフォームが溶融するので成形後の容器外周面には潤滑剤(潤滑剤粒子)が固着するから、添着した潤滑剤が剥がれ落ち難くい。したがって、容器の洗浄後にも容器外周面における滑り性を持続することができ、滑り性を長期に亘って維持することができる。
【0047】
潤滑剤は、容器2よりも小さいプリフォーム3の外周面に添着するので、容器2に潤滑剤を添着する場合に比較して、添着装置25を小さくできる。
容器製造装置1において、プリフォーム3の加熱部7の入口でプリフォーム3へ潤滑剤の添着を行い、次いで加熱を行うので、容器製造工程中に無駄なく潤滑剤の添着ができる。
加熱部7でプリフォーム3に添着剤を添着しているので、加熱部7で使用するヒーターマンドレル19をそのまま使用でき、潤滑剤添着部23の構成を簡易にできる。
プリフォーム3では、胴部17にのみ潤滑剤を添着するので、成形後に容器2の胴部となる部分にのみ潤滑剤を添着していることになり、潤滑剤を無駄なく添着できる。
【0048】
本実施の形態では、潤滑剤として、汎用性があり且つ安価なフッ素化合物を用いているので、容器に安価に滑り性を付与することができる。
潤滑剤添着部23では、潤滑体含有体27を付勢部材29によりプリフォーム搬送路S側に押し付けているので、潤滑体含有体27が摺り減っても潤滑剤の添着ができる。
【0049】
以下に、比較試験を行ったので、その試験及び結果について説明する。
上述した実施の形態に係る容器の製造装置を用いて、プリフォーム3から容器2を製造した。
プリフォーム3は、
図4(a)に示す形状のものを用い、容器2は
図5に示す形状にした。プリフォームは高さ90mm,内口径22mm,重量24gのものを使用し、容器2は胴部が略円筒状の胴部径70mm、高さ210mm、ボトル平均肉厚0.3mmに成形した。
プリフォーム3の胴部17の外周面にフッ素樹脂を添着したものを実施例品とし、フッ素樹脂を添着しないものを比較例品(ブランク)とした。比較例品は、潤滑剤添着処理が無い以外は実施例品と同じ方法による製造した同じ形状のプリフォーム及び容器を用いた。
【0050】
実施例品について、プリフォーム3へのフッ素樹脂の添着は以下の条件と方法によりおこなった。
潤滑剤含有体27としてフッ素樹脂板を用いた。潤滑剤含有体27は1ユニットあたり長さ90mm、厚さ10mmのテフロン(登録商標)板を縦方向に4枚重ね、高さはプリフォーム3の天面より35mm下方位置になるよう設置した。
図2に示すように、水平方向に連続して3ユニット設置した。
潤滑剤含有体27へのプリフォーム3の押付け圧(スプリング圧)は16N(ニュートン)とし、対向する潤滑剤含有体27、27の間隔は15mmとした。
潤滑剤含有体27、27間でのプリフォーム3の回転数は3回転/3ユニットとし、プリフォーム搬送速度は500mm/secとした。
【0051】
実施例品と比較例品について、プリフォーム3に対する潤滑剤粒子(フッ素樹脂)の付着の確認は、走査電子顕微鏡で観察すると共にX線元素分析を行った。その結果を、
図8〜
図15に示す。尚、走査電子顕微鏡の倍率は、1000倍とした。
実施例品のプリフォーム3の表面の電子顕微鏡写真を
図12に示し、実施例品の容器2の表面の電子顕微鏡写真を
図14に示す。
図12及び
図14から明らかなように、実施例品のプリフォーム3及び実施例品の容器2では、共に表面に白っぽい付着物が確認できた。
一方、潤滑剤粒子の付着処理をしていない比較例品のプリフォームの表面の電子顕微鏡写真は
図13に示し、比較例品の容器の表面の電子顕微鏡写真は
図15に示す。
図13及び
図15から明らかなように、比較例品のプリフォーム及び容器の表面には付着物が確認できなかった。
【0052】
次に、実施例品及び比較例品において、各プリフォームと容器のX線元素分析を行ったのでその結果について説明する。
図8〜
図11は各々、検出元素のピークを示しており、Oは酸素、Cは炭素であり、Fはフッ素を示している。実施例品のプリフォーム3は
図8に示すようにフッ素を検出しており、実施例品の容器2は
図10に示すようにフッ素を検出していることから、実施例品の付着物はフッ素樹脂(潤滑剤粒子)であるとこが確認できた。
一方、比較例品のプリフォームは
図9に示すようにフッ素の検出がなく、同様に比較例品の容器も
図11に示すようにフッ素の検出が無かった。
【0053】
次に、実施例品の容器2と比較例品の容器について、2つの滑り性の評価試験を行ったのでその結果について、説明する。
滑り性評価試験1(容器相互間滑り測定)
容器2、2間の滑り性を評価した。容器2に内容物が充填された条件を再現するため、炭酸ガス含有水500mlを充填し、
図6に示すように、容器3本を横倒しした状態で治具35に縦積みし、真中の容器2の底部2bを一定速度で押出し、動き出したときの荷重を記録した。
かかる試験を実施例品と比較例品とについて、各々5回おこなった。その結果を表1に示す。
【0055】
表1から明らかなように、実施例品は全ての回において、比較例品よりも小さい荷重で容器を押出しできた。即ち、表1で示すように、実施例品と比較例品では滑り性に差があり、また統計学上の危険率5%で有意差があった。よって、実施例品は、比較例品よりも容器の滑り性が向上したことが確認できた。
【0056】
滑り性評価試験2(対鉄板滑り性測定)
この滑り性評価試験2は、自動販売機装填時を想定した滑り性の測定を行ったものである。
滑り性評価試験1と同様に、実施例品と比較例品とについて、各々容器2に内容物が充填された条件を再現するため、炭酸ガス含有水500mlを充填して試験を行った。
試験方法は、
図7に示すように、自動販売機の通路鉄板状に模したSUS製V字型鉄板37に容器2を横倒し状態で1本置き、容器2の底部2bを一定速度で押出し、動き出したときの荷重を記録した。
その結果を表2に示す。
【0058】
表2に示すように、第1回から第4回では、実施例品は比較例品よりも小さい荷重で容器を押出しできた。第5回では、実施例品と比較例品とは略同じ荷重であったが、第1から第5回までの平均値では実施例品は比較例品よりも小さい荷重で押出しできた。即ち、プリフォームに潤滑剤を添着処理した実施例品と、プリフォームに潤滑剤を添着処理していない比較例品とでは、滑り性に差があり、また、統計学上の危険率5%で有意差があった。この滑り評価試験2により、自動販売機装填時にも容器の滑り性が向上したことが確認できた。
【0059】
本発明は上述した実施の形態に限定されず、その要旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能である。
例えば、容器の製造装置1に潤滑剤添着部23を設けて、プリフォーム3に潤滑剤を付着する工程とボトル成形部でブロー成形する工程を連続して行ったが、これに限らず、容器の製造装置1とは別にプリフォーム3に潤滑剤を添着し、潤滑剤添着部23のない容器製造装置1に潤滑剤を添着したプリフォーム3を供給して容器をブロー成形しても良い。この場合には、プリフォーム3をホッパーやコンテナ等から容器製造装置に供給したり、整列させたりするときにプリフォーム3どうしの粘着性を低減するので、プリフォーム3の詰まりを防止できる。
また、本発明の潤滑剤含有体27の形状は、プリフォームに潤滑剤を添着できればその形状は問わない。たとえばブラシ状、ベルト状などが考えられる。