(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記回転部は、シート上下方向を軸方向とするメインシャフトに一体に連結されていると共に、前記回転部は、前記メインシャフトを上昇及び下降させる昇降機構並びに該メインシャフトを回転させる回転機構によって上昇、下降及び回転するように構成されている請求項1記載の車両用シート。
前記昇降機構は、前記メインシャフトと同軸上に配置されかつ該メインシャフトに連結されたリードスクリュと、前記メインシャフトと同軸上に配置されかつ回転されることによって前記リードスクリュをシート上下方向に移動させる受動側リフトギヤと、を含んで構成されていると共に、前記回転機構は、前記メインシャフトと同軸上に配置されかつ回転されることによって前記メインシャフトをその軸線周りに回転させる受動側回転ギヤを含んで構成されている請求項2記載の車両用シート。
前記昇降機構は、前記受動側リフトギヤと噛合うことによって前記受動側リフトギヤをその軸線周りに回転させる駆動側リフトギヤを含んで構成されていると共に、前記回転機構は、前記駆動側リフトギヤと一体回転可能に設けられかつ前記受動側回転ギヤと噛合うことによって前記受動側回転ギヤをその軸線周りに回転させる駆動側回転ギヤを含んで構成されており、
前記受動側リフトギヤと前記駆動側リフトギヤとが噛合っている時には、前記受動側回転ギヤと前記駆動側回転ギヤとが噛合っていないように構成され、かつ前記受動側リフトギヤと前記駆動側リフトギヤとが噛合っていない時には、前記受動側回転ギヤと前記駆動側回転ギヤとが噛合っているように構成されている請求項3記載の車両用シート。
前記受動側リフトギヤ及び前記駆動側リフトギヤのいずれか一方には、前記回転部から前記リードスクリュにシート上下方向の荷重が入力された際に、前記受動側リフトギヤが前記駆動側リフトギヤを回転させることを防止する当接部が設けられており、
前記受動側回転ギヤ及び前記駆動側回転ギヤのいずれか一方には、前記回転部から前記受動側回転ギヤに該受動側回転ギヤを回転させる回転力が伝達された際に、前記受動側回転ギヤが前記駆動側回転ギヤを回転させることを防止する当接部が設けられている請求項4記載の車両用シート。
前記リードスクリュの内部には、該リードスクリュをシート上方側に付勢するヘルパースプリングが設けられている請求項3〜請求項5のいずれか1項に記載の車両用シート。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に記載された車両用シートでは、乗員がシートクッションに着座した状態において、回転部が回転すると、乗員の大腿部とシートクッションの非回転部とが摺れる。すなわち、上記特許文献1に記載された車両用シートでは、乗員の大腿部とシートクッションの非回転部とが摺れることによって、回転部のスムーズな回転が阻害されていた。
【0005】
本発明は上記事実を考慮し、シートクッションに設けられた回転部をスムーズに回転させることができる車両用シートを得ることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の本発明に係る車両用シートは、乗員が着座すると共に、該乗員の臀部及び大腿部を支持するシートクッションと、前記シートクッションにおける前記乗員の臀部と接地する部位に
前記シートクッションと別体で設けられ、かつ前記シートクッションの座面に対して上昇
して前記乗員の臀部を持ち上げた後にシート上下方向を軸方向として回転及び回転後に下降可能とされた回転部と、を備えている。
【0007】
請求項1記載の本発明では、シートクッションに設けられた回転部が、該シートクッションの座面に対してシート上方側に上昇した後にシート上下方向を軸方向として回転する。また、回転部は、シート上下方向を軸方向として回転した後に下降する。そのため、乗員がシートクッションに着座した状態では、回転部が乗員の臀部及び大腿部を持ち上げた後に回転部が回転する、又は回転部が回転した後に乗員と共に下降する。その結果、乗員の臀部及び大腿部がシートクッションの座面(非回転部)に摺れることが抑制される。
【0008】
請求項2記載の本発明に係る車両用シートは、請求項1記載の車両用シートにおいて、前記回転部は、シート上下方向を軸方向とするメインシャフトに一体に連結されていると共に、前記回転部は、前記メインシャフトを上昇及び下降させる昇降機構並びに該メインシャフトを回転させる回転機構によって上昇、下降及び回転するように構成されている。
【0009】
請求項2記載の本発明では、回転部が連結されたメインシャフトを上昇及び下降させる昇降機構と、メインシャフトを回転させる回転機構とを各々制御することによって、回転部が乗員の臀部及び大腿部を持ち上げた後に回転部が回転する、又は回転部が回転した後に乗員と共に下降する。その結果、乗員の臀部及び大腿部がシートクッションの座面(非回転部)に摺れることが抑制される。
【0010】
請求項3記載の本発明に係る車両用シートは、請求項2記載の車両用シートにおいて、前記昇降機構は、前記メインシャフトと同軸上に配置されかつ該メインシャフトに連結されたリードスクリュと、前記メインシャフトと同軸上に配置されかつ回転されることによって前記リードスクリュをシート上下方向に移動させる受動側リフトギヤと、を含んで構成されていると共に、前記回転機構は、前記メインシャフトと同軸上に配置されかつ回転されることによって前記メインシャフトをその軸線周りに回転させる受動側回転ギヤを含んで構成されている。
【0011】
請求項3記載の本発明では、昇降機構を構成する受動側リフトギヤと、回転機構を構成する受動側回転ギヤとが回転部が連結されたメインシャフトと同軸上に配置されている。そのため、昇降機構の少スペース化が図られると共に、回転機構の省スペース化が図られる。
【0012】
請求項4記載の本発明に係る車両用シートは、請求項3記載の車両用シートにおいて、前記昇降機構は、前記受動側リフトギヤと噛合うことによって前記受動側リフトギヤをその軸線周りに回転させる駆動側リフトギヤを含んで構成されていると共に、前記回転機構は、前記駆動側リフトギヤと一体回転可能に設けられかつ前記受動側回転ギヤと噛合うことによって前記受動側回転ギヤをその軸線周りに回転させる駆動側回転ギヤを含んで構成されており、前記受動側リフトギヤと前記駆動側リフトギヤとが噛合っている時には、前記受動側回転ギヤと前記駆動側回転ギヤとが噛合っていないように構成され、かつ前記受動側リフトギヤと前記駆動側リフトギヤとが噛合っていない時には、前記受動側回転ギヤと前記駆動側回転ギヤとが噛合っているように構成されている。
【0013】
請求項4記載の本発明では、受動側リフトギヤを回転させる駆動側リフトギヤを含んで昇降機構が構成されており、また受動側回転ギヤを回転させると共に駆動側リフトギヤと一体回転可能に設けられた駆動側回転ギヤを含んで回転機構が構成されている。さらに、本発明では、受動側リフトギヤと駆動側リフトギヤとが噛合っている時には、受動側回転ギヤと駆動側回転ギヤとが噛合っていないように構成されており、また受動側リフトギヤと駆動側リフトギヤとが噛合っていない時には、受動側回転ギヤと駆動側回転ギヤとが噛合っているように構成されている。そのため、駆動側リフトギヤ及び駆動側回転ギヤを単一のアクチュエータ(例えばモータ)を用いて回転させることによって、シートクッションに設けられた回転部が、該シートクッションの座面に対してシート上方側に上昇した後にシート上下方向を軸方向として回転する。
【0014】
請求項5記載の本発明に係る車両用シートは、請求項4記載の車両用シートにおいて、前記受動側リフトギヤ及び前記駆動側リフトギヤのいずれか一方には、前記回転部から前記リードスクリュにシート上下方向の荷重が入力された際に、前記受動側リフトギヤが前記駆動側リフトギヤを回転させることを防止する当接部が設けられており、前記受動側回転ギヤ及び前記駆動側回転ギヤのいずれか一方には、前記回転部から前記受動側回転ギヤに該受動側回転ギヤを回転させる回転力が伝達された際に、前記受動側回転ギヤが前記駆動側回転ギヤを回転させることを防止する当接部が設けられている。
【0015】
請求項5記載の本発明では、上記構成の当接部が設けられている。そのため、回転部からリードスクリュにシート上下方向の荷重が入力されたとしても、回転部が上昇又は下降することが防止される。また、回転部から受動側回転ギヤに受動側回転ギヤを回転させる回転力が伝達されたとしても、回転部が回転することが防止される。
【0016】
請求項6記載の本発明に係る車両用シートは、請求項3〜請求項5のいずれか1項に記載の車両用シートにおいて、前記リードスクリュの内部には、該リードスクリュをシート上方側に付勢するヘルパースプリングが設けられている。
【0017】
請求項6記載の本発明では、リードスクリュをシート上方側に付勢するヘルパースプリングが設けられている。そのため、受動側リフトギヤが回転することによってリードスクリュをシート上方側に移動させようとする操作力がヘルパースプリングによってアシストされる。その結果、昇降機構の負荷が低減され、該昇降機構が大型化することが抑制される。
【発明の効果】
【0018】
請求項1記載の本発明に係る車両用シートは、シートクッションに設けられた回転部をスムーズに回転させることができる、という優れた効果を有する。
【0019】
請求項2記載の本発明に係る車両用シートは、回転部の上昇及び下降と回転部の回転とを各々独立に制御することができる、という優れた効果を有する。
【0020】
請求項3記載の本発明に係る車両用シートは、昇降機構と回転機構とを効率よくシートクッション内に配置することができる、という優れた効果を有する。
【0021】
請求項4記載の本発明に係る車両用シートは、昇降機構と回転機構とを単一のアクチュエータによって作動させることができる、という優れた効果を有する。
【0022】
請求項5記載の本発明に係る車両用シートは、回転部の不用意な上昇及び下降並びに回転を防止することができる、という優れた効果を有する。
【0023】
請求項6記載の本発明に係る車両用シートは、昇降機構の小型化及び低コスト化を図ることができる、という優れた効果を有する。
【発明を実施するための形態】
【0025】
(実施形態)
次に、
図1〜
図6を用いて本発明の実施形態に係る車両用シートについて説明する。なお、以下の説明において前後左右上下の方向を示して説明するときは、車両用シートに着座した乗員から見た前後左右上下の方向を示すものとし、また各図に適宜示す矢印FRは前方向、矢印UPは上方向、矢印RHは右方向、矢印LHは左方向をそれぞれ示すものとする。
【0026】
図1に示されるように、実施形態に係る車両用シート10は、運転席又は助手席等に用いられるセパレートシートとされている。具体的には、車両用シート10は、乗員の臀部及び大腿部を支持するシートクッション12と、乗員の上体を支持するシートバック14と、を備えている。また、シートクッション12には、シート上下方向に上昇及び下降することが可能とされ、かつシート上下方向を軸方向として回転することによって、乗員の車両への乗車及び車両からの降車をアシストするための回転部16が設けられている。以下、先ず車両用シート10を構成するシートクッション12について説明し、次いでシートバック14について説明し、最後に本実施形態の要部である回転部16及びこの回転部16を上昇及び下降させる昇降機構並びに回転部16を回転させる回転機構について説明する。
【0027】
(シートクッション12)
シートクッション12は、シート前後方向に延びると共にシート幅方向の左右それぞれに配置された一対のサイドフレーム(図示せず)を備えている。また、
図2に示されるように、シートクッション12は、この左右のサイドフレームをシート幅方向に繋ぐと共にシート前後方向に延在するクッションパン18を備えている。このサイドフレーム及びクッションパン18等によってシートクッションフレームが構成されている。さらに、クッションパン18のシート幅方向の略中心部には、後述する回転部16及びこの回転部16を支持する支軸等が挿通される円形の開口部20が形成されている。
【0028】
また、サイドフレーム(図示せず)及びクッションパン18には、発泡ウレタン等を用いて形成されたシートクッションパッドが取付けられており、このシートクッションパッドには、布やレザー等を用いて形成された表皮材22(
図1参照)が取付けられている。さらに、
図1に示されるように、シートクッション12のシート幅方向の両端部には、シート幅方向の中間部分である座面24よりも車両上方側に突出するサイドサポート部26が形成されている。
【0029】
(シートバック14)
シートバック14は、シート幅方向の左右それぞれに設けられた一対のサイドフレーム(図示せず)と、この一対のサイドフレームの上端をシート幅方向に繋ぐアッパフレーム(図示せず)と、を備えている。このサイドフレーム及びアッパフレームを含んでシートバック14の骨格が形成されている。また、サイドフレーム及びアッパフレームには、図示しないシートバックパッド及び表皮材28が取付けられている。以上説明したシートバック14がシートクッション12の後端部に傾倒可能に取付けられている。なお、シートバック14の上端部には、乗員の頭部を支持するヘッドレスト30が取付けられている。
【0030】
(回転部)
回転部16は、円盤状に形成されていると共にシートクッション12における着座乗員の臀部と接地する部位に設けられている。具体的には、
図3(A)及び(B)に示されるように、回転部16は、発泡ウレタン等を用いて形成されたクッション材34に表皮材が取付けられたパッド部36が金属材料を用いて形成された薄肉円盤状の回転板38に取付けられることによって構成されている。また、回転部16は、シート上下方向を軸方向とすると共に略円柱状に形成されたメインシャフト40に第1支軸部材42及び第2支軸部材44を介して連結されている。さらに、メインシャフト40は該メインシャフト40を上昇及び下降させる昇降機構並びに該メインシャフト40を回転させる回転機構に接続されている。
【0031】
(昇降機構)
図2、
図3(A)及び(B)に示されるように、昇降機構は、メインシャフト40と同軸上に配置されたリードスクリュ46と、メインシャフト40と同軸上に配置され、かつ回転されることによってリードスクリュ46をシート上下方向に移動させる受動側リフトギヤ48と、を備えている。また、昇降機構は、受動側リフトギヤ48と噛合うことによって該受動側リフトギヤ48をその軸線周りに回転させる駆動側リフトギヤ50を備えている。
【0032】
リードスクリュ46は、シート下方側が開放された有底円筒状に形成されていると共に、その外周部には図示しない雄螺子部がリードスクリュ46の軸方向に沿って形成されている。また、リードスクリュ46の上端部はメインシャフト40との連結部52とされていると共に、リードスクリュ46の下端部はリードスクリュホルダ54に保持される保持部56とされている。さらに、リードスクリュ46の連結部52が図示しないピン等を介してメインシャフト40の下端部に連結されている。その結果、リードスクリュ46とメインシャフト40とが一体回転可能かつ軸方向に一体に移動することが可能となる構成である。また、リードスクリュ46の内部には、ヘルパースプリング収容部58が設けられていると共に、ヘルパースプリング60がヘルパースプリング収容部58に収容されている。このヘルパースプリング60は、圧縮コイルスプリングとされており、リードスクリュホルダ54と
リードスクリュ46との間に圧縮された状態で介装されることによって、リードスクリュ46をシート上方側に付勢している。
【0033】
図3(B)、
図4(A)及び(B)に示されるように、受動側リフトギヤ48は、メインシャフト40と同軸上に配置されていると共に、メインシャフト40が挿通される円筒状の筒状部62と、筒状部62の径方向外側に向けて突出すると共に外周端に平歯車66が形成されたギヤ部64と、を備えている。
【0034】
筒状部62の内周面には、リードスクリュ46の外周面に形成された雄螺子部に対応する雌螺子部が形成されている。その結果、筒状部62(受動側リフトギヤ48)が回転することによってリードスクリュ46がシート上下方向に移動することが可能となる構成である。
【0035】
また、ギヤ部64には、その周方向に沿って平歯車66が形成されている。この平歯車66は、ギヤ部64の周方向に沿って平歯車66を有しない部分(欠歯部68)を有する所謂欠歯ギヤとされている。さらに、欠歯部68には、筒状部62の径方向外側に向けて凸状とされたカム部70が形成されている。
【0036】
また、欠歯部68における前述のカム部70と隣り合う部位(矢印CW方向に隣り合う部位)には、筒状部62の径方向外側に向けて開放された凹状の当接部72が形成されている。この当接部72が、駆動側リフトギヤ50の外周部に当接することによって、回転部16(
図3等参照)からリードスクリュ46(
図3等参照)にシート上下方向の荷重が入力された際に、受動側リフトギヤ48が駆動側リフトギヤ50を回転させることが防止される構成である。
【0037】
図5(A)及び(B)に示されるように、駆動側リフトギヤ50は、円盤状に形成されていると共に、メインシャフト40と略平行に配置されたカウンタシャフト74に支持されている。具体的には、駆動側リフトギヤ50の外周部には、該駆動側リフトギヤ50の周方向に沿って平歯車76が形成されている。また、この平歯車76は、受動側リフトギヤ48の平歯車66と対応する歯形に形成されている。さらに、この平歯車76は、その周方向に沿って平歯車76を有しない部分(欠歯部78)を有する所謂欠歯ギヤとされている。その結果、受動側リフトギヤ48の平歯車66と駆動側リフトギヤ50の平歯76とが各々所定の回転角度の範囲内で噛合うことが可能となっている。さらに、欠歯部78には、駆動側リフトギヤ50の径方向外側に向けて開放された凹状とされ、かつ駆動側リフトギヤ50の周方向に沿って延びるカム部80が形成されている。
【0038】
(回転機構)
図2、
図3(A)及び(B)に示されるように、回転機構は、メインシャフト40と同軸上に配置され、かつ回転されることによってメインシャフト40をその軸線周りに回転させる受動側回転ギヤ82を備えている。また、回転機構は、駆動側リフトギヤ50と一体回転可能に設けられ、かつ受動側回転ギヤ82と噛合うことによって受動側回転ギヤ82をその軸線周りに回転させる駆動側回転ギヤ84を備えている。
【0039】
受動側回転ギヤ82は、その回転軸がメインシャフト40と同軸上に配置されていると共に、シート上方視で略扇形の板状に形成されている。具体的には、受動側回転ギヤ82の外周部には、該受動側回転ギヤ82の周方向に沿って平歯車86が形成されている。また、この平歯車86は、所謂欠歯ギヤとされている。さらに、受動側回転ギヤ82は、メインシャフト40の下端部に固定されている。その結果、受動側回転ギヤ82が回転することによって、メインシャフト40をその軸線周りに回転させることが可能となる構成である。また、
図6(A)及び(B)に示されるように、受動側回転ギヤ82の周方向の一端部(矢印CW方向の端部)には、該受動側回転ギヤ82の径方向外側に向けて凸状とされたカム部88が形成されている。
【0040】
駆動側回転ギヤ84は、カウンタギヤ90及び駆動側リフトギヤ50よりもシート上方側に配置されていると共に、軸心部がカウンタシャフト74に支持されている。そのため、駆動側回転ギヤ84は、カウンタシャフト74を軸中心としてカウンタギヤ90及び駆動側リフトギヤ50と共に一体回転可能となっている。また、駆動側回転ギヤ84は、略円筒状に形成された筒状部92を備えている。また、筒状部92には、該筒状部92の周方向に沿って、かつ該筒状部92の軸方向に延びる平歯車94が形成されている。さらに、この平歯車94は、受動側回転ギヤ82の平歯車86と対応する歯形に形成されている。また、この平歯車94は、その周方向に沿って平歯車94を有しない部分(欠歯部96)を有する所謂欠歯ギヤとされている。その結果、受動側回転ギヤ82の平歯車86と駆動側回転ギヤ84の平歯車94とが各々所定の回転角度の範囲内で噛合うことが可能となっている。さらに、欠歯部96には、駆動側リフトギヤ50の径方向外側に向けて開放された凹状とされ、かつ駆動側リフトギヤ50の周方向に沿って延びるカム部98が形成されている。
【0041】
また、受動側リフトギヤ48の平歯車66と駆動側リフトギヤ50の平歯76とが噛合っている時には、受動側回転ギヤ82と駆動側回転ギヤ84とが噛合っていないように、また受動側リフトギヤ48の平歯車66と駆動側リフトギヤ50の平歯76とが噛合っていない時には、受動側回転ギヤ82の平歯車86と駆動側回転ギヤ84の平歯車94とが噛合っているように各々の平歯車66,76,86,94が配置されている。
【0042】
また、欠歯部96の上端側には、駆動側リフトギヤ50の径方向外側に向けて突出する当接部100が形成されている。この当接部100が、第2支軸部材44に設けられた被当接部102に当接することによって、回転部16(
図3等参照)から受動側回転ギヤ82に該受動側回転ギヤ82を回転させる回転力が伝達された際に、該受動側回転ギヤ82が駆動側回転ギヤ84を回転させることが防止される構成である。
【0043】
(本実施形態の作用並びに効果)
次に、
図4から
図10を用いて、本実施形態の作用並びに効果について説明する。
【0044】
図9(A)に示されるように、回転部16のシート上方側の面16Aが、シートクッション12の座面24と略面一に配置されている状態では、
図4(A)及び
図5(A)に示されるように、駆動側リフトギヤ50の平歯76と受動側リフトギヤ48の平歯車66とが噛合っている。この状態において、駆動側リフトギヤ50が、カウンタシャフト74、カウンタシャフト74に支持されたカウンタギヤ90及びピニオンギヤ91を介して矢印CCW方向に回転されると(
図2に示された減速機付モータ130によって回転されると)、駆動側リフトギヤ50の回転力(矢印CCW方向への回転力)が受動側リフトギヤ48に伝達されて、受動側リフトギヤ48が矢印CW方向に回転する。その結果、
図4(B)に示されるように、リードスクリュ46がメインシャフト40と共に、シート上方側に移動する。これにより、
図9(B)に示されるように、回転部16がシートクッション12の座面24に対してシート上方側に上昇する。
【0045】
一方、駆動側リフトギヤ50の回転力(矢印CCW側への回転力)が受動側リフトギヤ48に伝達されて、受動側リフトギヤ48が回転している際には、
図6(A)及び(B)に示されるように、受動側回転ギヤ82のカム部88が駆動側回転ギヤ84のカム部98内に配置されている。すなわち、駆動側リフトギヤ50の回転力(矢印CCW側への回転力)が受動側リフトギヤ48に伝達されて、受動側リフトギヤ48が回転している際には、駆動側回転ギヤ84の回転力が受動側回転ギヤ82に伝達されない(駆動側回転ギヤ84が回転しても受動側回転ギヤ82は回転しない)。
【0046】
また、
図9(B)に示された所定の位置まで回転部16が上昇し、さらに駆動側リフトギヤ50が矢印CCW方向に回転されると、
図5(B)に示されるように、受動側リフトギヤ48のカム部70が駆動側リフトギヤ50のカム部80内に配置される。その結果、駆動側リフトギヤ50がそれ以上回転しても(矢印CCW方向に回転しても)駆動側リフトギヤ50の回転力が受動側リフトギヤ48に伝達されない(駆動側リフトギヤ50が回転しても受動側リフトギヤ48は回転しない)。
【0047】
また、
図9(B)に示された所定の位置まで回転部16が上昇した後に、駆動側回転ギヤ84が矢印CCW方向に回転すると、
図7(A)に示されるように、駆動側回転ギヤ84の平歯車94と受動側回転ギヤ82の平歯車86とが噛合う。そしてさらに、駆動側回転ギヤ84が矢印CCW方向に回転すると、
図7(B)に示されるように、駆動側回転ギヤ84の回転力(矢印CCW側への回転力)が受動側回転ギヤ82に伝達されて、受動側回転ギヤ82が矢印CW方向に回転する。その結果、
図9(C)に示されるように、回転部16がメインシャフト40(
図4等参照)と共に回転する。
【0048】
一方、駆動側回転ギヤ84の回転力(矢印CCW側への回転力)が受動側回転ギヤ82に伝達されて、受動側回転ギヤ82が回転している際には、
図8(A)及び(B)に示されるように、受動側リフトギヤ48のカム部70が駆動側リフトギヤ50のカム部80内に配置されている。すなわち、駆動側回転ギヤ84の回転力(矢印CCW側への回転力)が受動側回転ギヤ82に伝達されて、受動側回転ギヤ82が回転している際には、駆動側リフトギヤ50の回転力が受動側リフトギヤ48に伝達されない(駆動側リフトギヤ50が回転しても受動側リフトギヤ48は回転しない)。
【0049】
また、
図4に示された駆動側リフトギヤ50及び駆動側回転ギヤ84が矢印CW方向に回転されると、前述した動きと逆の順で駆動側リフトギヤ50及び駆動側回転ギヤ84の回転力が受動側リフトギヤ48及び受動側回転ギヤ82に伝達される。すなわち、
図9(D)及び(E)に示されるように、回転部16が矢印CCW方向に回転した後に、
図9(F)に示されるように、回転部16がシート下方側に向けて下降する。
【0050】
以上説明したように、本実施形態では、シートクッション12に設けられた回転部16が、該シートクッション12の座面24に対してシート上方側に上昇した後にシート上下方向を軸方向として回転する。そのため、乗員がシートクッションに着座した状態では、回転部16が乗員の臀部及び大腿部を持ち上げた後に回転部16が回転する。その結果、乗員の臀部及び大腿部がシートクッション12の座面24(非回転部)に摺れることが抑制される。すなわち、本実施形態に係る車両用シート10では、シートクッション12に設けられた回転部16をスムーズに回転させることができる。
【0051】
また、本実施形態では、回転部16が連結されたメインシャフト40(
図3等参照)を上昇及び下降させる昇降機構と、メインシャフト40を回転させる回転機構とを各々制御することによって(平歯車66,76,86,94の設定をすることによって)、回転部16が乗員の臀部及び大腿部を持ち上げた後に回転部16が回転する。すなわち、本実施形態に係る車両用シート10では、回転部16の上昇及び下降と回転部16の回転とを各々独立に制御することができる。
【0052】
さらに、
図4(A)及び(B)に示されるように、本実施形態では、昇降機構を構成する受動側リフトギヤ48と、回転機構を構成する受動側回転ギヤ82とが回転部16が連結されたメインシャフト40と同軸上に配置されている。そのため、昇降機構の少スペース化が図られると共に、回転機構の省スペース化が図られる。すなわち、本実施形態では、昇降機構と回転機構とを効率よくシートクッション12(
図1参照)内に配置することができる。
【0053】
また、本実施形態では、受動側リフトギヤ48を回転させる駆動側リフトギヤ50を含んで昇降機構が構成されており、また受動側回転ギヤ82を回転させると共に駆動側リフトギヤ50と一体回転可能に設けられた駆動側回転ギヤ84を含んで回転機構が構成されている。さらに、本実施形態では、受動側リフトギヤ48と駆動側リフトギヤ50とが噛合っている時には、受動側回転ギヤ82と駆動側回転ギヤ84とが噛合っていないように構成されており、また受動側リフトギヤ48と駆動側リフトギヤ50とが噛合っていない時には、受動側回転ギヤ82と駆動側回転ギヤ84とが噛合っているように構成されている。そのため、駆動側リフトギヤ50及び駆動側回転ギヤ84を単一のアクチュエータ(本実施形態では減速機付モータ130)を用いて回転させることによって、シートクッション12に設けられた回転部16が、該シートクッション12の座面24に対してシート上方側に上昇した後にシート上下方向を軸方向として回転する。すなわち、本実施形態では、昇降機構と回転機構とを単一のアクチュエータによって作動させることができ、ひいては車両用シート10のコスト及び重量の削減をすることができる。
【0054】
さらに、本実施形態では、上記構成の当接部72,100が受動側リフトギヤ48及び駆動側回転ギヤ84にそれぞれ設けられている。そのため、
図10(A)に示されるように、回転部16からリードスクリュ46にシート上下方向の荷重が入力されることによって、受動側リフトギヤ48に回転力T1,T2が入力されたとしても、当接部72が駆動側リフトギヤ50の外周部に当接して、回転部16が上昇又は下降することが防止される。また、
図10(B)に示されるように、回転部16から受動側回転ギヤ82に該受動側回転ギヤ82を回転させる回転力T3,T4が伝達されたとしても、当接部100が、第2軸支部材に設けられた被当接部102に当接することによって、受動側回転ギヤ82が駆動側回転ギヤ84を回転させることが防止される。すなわち、本実施形態の車両用シート10は、回転部16の不用意な上昇及び下降並びに回転を防止することができる。
【0055】
また、
図3(B)に示されるように、本実施形態では、リードスクリュ46をシート上方側に付勢するヘルパースプリング60が設けられている。そのため、受動側リフトギヤ48が回転することによってリードスクリュ46をシート上方側に移動させようとする操作力がヘルパースプリング60によってアシストされる。その結果、昇降機構の負荷が低減され、該昇降機構が大型化することが抑制される。すなわち、本実施形態では、昇降機構の小型化及び低コスト化を図ることができる。
【0056】
(変形例)
次に、
図11(A)及び(B)を用いて変形例に係る昇降機構並びに回転機構
について説明する。なお、上記実施形態に係る車両用シート10と同一の部材については同一の符号を付してその説明を省略する。
【0057】
図11(A)及び(B)に示されるように、本変形例に係る昇降機構並びに回転機構は、昇降機構が減速機付モータ132によって作動されると共に、回転機構が減速機付モータ134によって作動されることに特徴がある。
【0058】
昇降機構は、回転部16のシート下方側に配置されたパンタグラフ型の昇降装置110を用いて構成されている。具体的には、昇降装置110は、一端がベース部112に回動可能に支持された一対の下側アーム部114,116を備えている。また、昇降装置110は、一端が回転部16への連結部118に回動可能に支持された一対の上側アーム部120,122を備えている。さらに、下側アーム114の他端と上側アーム120の他端とが回動可能に連結されていると共に、下側アーム116の他端と上側アーム122の他端とが回動可能に連結されている。また、下側アーム114の他端と上側アーム120の他端との連結部124と、下側アーム116の他端と上側アーム122の他端との連結部126とは螺子棒128によって連結されている。この螺子棒128が、減速機付モータ132によってその軸線回りに回転されることによって、連結部124と連結部126との間の距離が縮まって、回転部16がシート上方側に上昇することが可能となっている。
【0059】
また、回転機構は、減速機付モータ134の出力軸に取付けられた図示しないピニオンギヤと、回転部16の下方側に配置された図示しない受動側回転ギヤと、を含んで構成されている。すなわち、ピニオンギヤが受動側回転ギヤを回転させることによって、回転部16が受動側回転ギヤと共に回転する構成である。
【0060】
以上説明した本変形例に係る昇降機構並びに回転機構では、減速機付モータ132及び減速機付モータ134をそれぞれ独立に制御することによって(図示しないECU等を用いることによって)、回転部16が乗員の臀部及び大腿部を持ち上げた後に回転部16を回転させることができる。
【0061】
なお、上記実施形態及び変形例においては、減速機付モータ130,132,134を用いて昇降機構並びに回転機構を作動させた例について説明してきたが本発明はこれに限定されるものではない。例えば、油圧や空気圧を用いるアクチュエータによって、昇降機構並びに回転機構を作動させてもよい。
【0062】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、上記に限定されるものでなく、その主旨を逸脱しない範囲内において上記以外にも種々変形して実施することが可能であることは勿論である。