(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このように、従来、蒸気発生器を解体するには、特許文献1に示すように、大型揚重機を用いて蒸気発生器を吊り上げて搬出している。また、搬出された蒸気発生器は、特許文献2に示すように、放射線の漏洩を防ぐグリーンハウスが備えられた処理設備において解体される。すなわち、蒸気発生器を解体するにあたり、大がかりな設備を要するため、作業に手間がかかり、かつ解体コストが嵩むことになる。
【0007】
本発明は、上述した課題を解決するものであり、蒸気発生器を低コストで容易に解体することのできる蒸気発生器解体方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述の目的を達成するために、第1の発明の蒸気発生器解体方法は、筒状の胴部の下側に管板が設けられ当該管板の下側に水室鏡が設けられており、前記胴部の下部胴内において逆U字形状に形成された多数の伝熱管が、管群外筒で囲まれた状態で上下複数の管支持板に挿通支持され、かつ各端部が前記管板に挿通固定されて前記水室鏡内で分けられた各水室にそれぞれ連通して設けられ、さらに、前記胴部の上部胴内において気水分離器および湿分分離器が設けられている蒸気発生器の解体方法において、前記蒸気発生器を立てた状態で、前記気水分離器および湿分分離器を伴って前記上部胴を前記下部胴から切り離す工程と、次に、前記伝熱管および前記下部胴を前記管板から切り離す工程と、を含むことを特徴とする。
【0009】
この蒸気発生器解体方法によれば、蒸気発生器を使用されていた立てた状態で上側から順次解体する。このため、例えば、原子力発電設備の廃炉に際し、蒸気発生器を原子炉格納容器内に設置された状態で解体することができる。この結果、蒸気発生器を含めた設備全体で系統除染を行うことができ、また蒸気発生器を原子炉格納容器から取り出すための大型揚重機を用いず原子炉格納容器内に既設のポーラクレーンを用いることができ、さらに蒸気発生器を一時的に保管する保管庫を不要にできるので、廃炉工事に係るコストを低減することができる。
【0010】
また、第2の発明の蒸気発生器解体方法は、第1の発明において、前記伝熱管および前記下部胴を前記管板から切り離す工程では、前記伝熱管のU字形状の円弧部を切断して取り除くとともに、前記下部胴の前記管板側の端部を周方向に断続して窓部を開放することであらわれた前記伝熱管を前記管板から切断する工程と、次に、前記伝熱管を上方に引き抜く工程と、次に、前記管群外筒および前記管支持板と前記下部胴とを前記管板から切り離す工程と、を含むことを特徴とする。
【0011】
この蒸気発生器解体方法によれば、伝熱管および下部胴を管板から切り離す場合に、伝熱管のU字形状の円弧部を切断して取り除くとともに、下部胴の管板側の端部を周方向に断続して窓部を開放することであらわれた伝熱管を管板から切断することで、伝熱管を上方に引き抜けるようにでき、伝熱管を先に取り除くことができる。しかも、伝熱管を先に取り除くことで、伝熱管が妨げになることなく下部胴、管群外筒、および管支持板を容易に取り除くことができる。
【0012】
また、第3の発明の蒸気発生器解体方法は、第1の発明において、前記伝熱管および前記下部胴を前記管板から切り離す工程では、前記伝熱管のU字形状の円弧部を切断して取り除く工程と、次に、前記下部胴の上側の一部および前記管群外筒の上側の一部を前記管支持板の配置間隔に基づいて切断して取り除くとともに前記管支持板を取り除く工程と、次に、前記下部胴の上側の一部、前記管群外筒の上側の一部、および前記管支持板を取り除くことであらわれた前記伝熱管の上側の一部を前記管支持板の配置間隔に基づいて切断して取り除く工程と、を含み、全ての前記伝熱管、前記下部胴、前記管群外筒、および前記管支持板を取り除くまで前記工程を下側に向かって繰り返すことを特徴とする。
【0013】
この蒸気発生器解体方法によれば、下部胴の内部の構造を管支持板の配置間隔に基づいて切断して取り除くことで、解体作業を管支持板の配置間隔ごとの領域に集約して行うことができ、作業の効率化を図ることができる。
【0014】
また、第4の発明の蒸気発生器解体方法は、第1〜第3の何れか1つの発明において、前記伝熱管および前記下部胴を前記管板から切り離す工程の後、前記管板および前記水室鏡を切り離す工程をさらに含むことを特徴とする。
【0015】
この蒸気発生器解体方法によれば、最後に残された管板および水室鏡を切り離すことで蒸気発生器の全てを解体することになる。
【0016】
また、第5の発明の蒸気発生器解体方法は、第1〜第4の何れか1つの発明において、原子炉格納容器に設置された既設の蒸気発生器を解体することを特徴とする。
【0017】
蒸気発生器は、伝熱管の内部を原子炉からの一次冷却水が通過するため、伝熱管は放射線に曝されており放射能を含む。この蒸気発生器解体方法によれば、蒸気発生器を使用されていた既設の状態のまま解体することで、放射性物質の放散に対する障壁を形成する原子炉格納容器内で解体作業を行えるため、一般的な蒸気発生器の解体において用いられるグリーンハウスなどの設置を不要とすることが可能になり、解体作業に掛かるコストを低減することができる。
【0018】
また、第6の発明の蒸気発生器解体方法は、第5の発明において、切り離した各部を原子炉格納容器内で細かく解体することを特徴とする。
【0019】
一般的な蒸気発生器の解体においては、切り離した各部をグリーンハウスから搬出して別途設置された解体作業場で細かく解体する。この蒸気発生器解体方法によれば、放射性物質の放散に対する障壁を形成する原子炉格納容器内でさらに細かく解体する作業も行えるため、解体作業場を設置するような解体作業に掛かるコストを低減することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、蒸気発生器を低コストで容易に解体することができる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下に、本発明に係る実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。
【0023】
本実施形態で解体される蒸気発生器は、原子力発電設備において適用される。
図1は、原子力発電設備を示す概略構成図であり、
図2は、蒸気発生器の概略側断面図である。
【0024】
本実施形態において、原子力発電プラントは、例えば、
図1に示すように、加圧水型原子炉(PWR:Pressurized Water Reactor)112が適用される。加圧水型原子炉112は、軽水を原子炉冷却材および中性子減速材として使用し、一次系全体にわたって沸騰しない高温高圧水とし、この高温高圧水を蒸気発生器に送って熱交換により蒸気を発生させ、この蒸気をタービン発電機へ送って発電する。
【0025】
この加圧水型原子炉112を有する原子力発電設備において、原子炉格納容器111の内部に、加圧水型原子炉112および蒸気発生器1が格納されている。加圧水型原子炉112と蒸気発生器1とは、冷却水配管114,115を介して連結されている。冷却水配管114は、加圧器116が設けられ、冷却水配管115は、冷却水ポンプ117が設けられている。この場合、減速材および一次冷却水として軽水を用い、炉心部における一次冷却水の沸騰を抑制するために、一次冷却系統は加圧器116により160気圧程度の高圧状態を維持するように制御している。従って、加圧水型原子炉112にて、燃料としての低濃縮ウランまたはMOXにより一次冷却水としての軽水が加熱され、高温の一次冷却水が加圧器116により所定の高圧に維持された状態で冷却水配管114を通して蒸気発生器1に送られる。蒸気発生器1では、高圧高温の一次冷却水と二次冷却水との間で熱交換が行われ、冷やされた一次冷却水は冷却水配管115を通して加圧水型原子炉112に戻される。
【0026】
蒸気発生器1は、原子炉格納容器111の外部に設けられたタービン118および復水器119と冷却水配管120,121を介して連結されており、冷却水配管121に給水ポンプ122が設けられている。また、タービン118は、発電機123が接続され、復水器119は、冷却水(例えば、海水)を給排する取水管124および排水管125が連結されている。従って、蒸気発生器1にて、高圧高温の一次冷却水と熱交換を行って生成された蒸気は、冷却水配管120を通してタービン118に送られ、この蒸気によりタービン118を駆動して発電機123により発電を行う。タービン118を駆動した蒸気は、復水器119で冷却された後、冷却水配管121を通して蒸気発生器1に戻される。
【0027】
蒸気発生器1は、
図2に示すように、上下方向に長尺に延在され、かつ密閉された中空円筒形状をなす胴部2を有している。胴部2は、上半部に対して下半部が若干小径とされ、下半部をなす下部胴2a、上半部をなす上部胴2b、下部胴2aと上部胴2bとの間を繋ぐほぼ円錐台形状の円錐胴2c、および上部胴2bの上端に設けられた上部鏡2dで構成されている。
【0028】
蒸気発生器1は、下部胴2aの内部に、内壁面と所定間隔をもって配置された円筒形状を成す管群外筒3が設けられている。この管群外筒3は、その下端部が、下部胴2aの下端部に配置された管板4の近傍まで延設されている。管群外筒3内には、伝熱管群5Aが設けられている。伝熱管群5Aは、逆U字形状で上下方向に長尺とされた複数の伝熱管5からなる。各伝熱管5は、U字形状の円弧部を上方に向けて配置され、各端部が管板4の管穴4aに挿通固定されているとともに、中間部における長手方向の複数箇所が各管支持板6を介して管群外筒3に支持されている。管支持板6は、多数の伝熱管挿通穴6aが形成されており、この伝熱管挿通穴6aに各伝熱管5が挿通されることで各伝熱管5を支持する。また、伝熱管群5Aは、伝熱管5のU字形状の円弧部において、一次冷却水が伝熱管5内を通過する際に発生し得る流体励起振動を抑制するため、振止部材14が設けられている。振止部材14は、伝熱管5の円弧部が側方に重なる間に挿入されている。
【0029】
また、蒸気発生器1は、管板4の下に水室鏡7が設けられ、この水室鏡7の内部が隔壁8により入口側水室7Aと出口側水室7Bとに区画されている。入口側水室7Aは、各伝熱管5の一端部が連通され、出口側水室7Bは、各伝熱管5の他端部が連通されている。また、入口側水室7Aは、胴部2の外部に通じる入口ノズル7Aaが形成され、出口側水室7Bは、胴部2の外部に通じる出口ノズル7Baが形成されている。そして、入口ノズル7Aaは、加圧水型原子炉112から一次冷却水が送られる冷却水配管114(
図1参照)が連結され、出口ノズル7Baは、熱交換された後の一次冷却水を加圧水型原子炉112に送る冷却水配管115(
図1参照)が連結される。
【0030】
また、蒸気発生器1は、上部胴2bの内部に、給水を蒸気と熱水とに分離する気水分離器9、および分離された蒸気の湿分を除去して乾き蒸気に近い状態とする湿分分離器10が設けられている。また、上部胴2bの下部であって、気水分離器9と伝熱管群5Aとの間には、外部から下部胴2a内に二次冷却水の給水を行う給水管11が挿入されている。給水管11は、冷却水配管121(
図1参照)が連結される。また、蒸気発生器1は、下部胴2aの内部に、給水管11から下部胴2a内に給水された二次冷却水を、下部胴2aと管群外筒3との間を流下させて管板4にて折り返させ、伝熱管群5Aに沿って上昇させる給水路12が形成されている。さらに、蒸気発生器1は、上部鏡2dに、蒸気排出口13が形成されている。蒸気排出口13は、冷却水配管120(
図1参照)が連結される。
【0031】
この蒸気発生器1では、加圧水型原子炉112で加熱された一次冷却水は、入口側水室7Aに送られ、多数の伝熱管5内を通って循環して出口側水室7Bに至る。一方、復水器119で冷却された二次冷却水は、給水管11に送られ、胴部2内の給水路12を通って伝熱管群5Aに沿って上昇する。このとき、胴部2内で、高圧高温の一次冷却水と二次冷却水との間で熱交換が行われる。そして、冷やされた一次冷却水は出口側水室7Bから加圧水型原子炉112に戻される。一方、高圧高温の一次冷却水と熱交換を行った二次冷却水は、胴部2内を上昇し、気水分離器9で蒸気と熱水とに分離される。そして、分離された蒸気は、湿分分離器10で湿分が除去されてから蒸気排出口13からタービン118に送られる。
【0032】
図3〜
図12は、蒸気発生器の解体手順を示す工程図である。蒸気発生器1は、原子炉格納容器111内において、
図3に示すように、立てた状態で設置されている。そして、蒸気発生器1は、その周りコンクリートと鋼材とを含むコンクリート構造体の蒸気発生器室壁111aにより囲まれ、かつ蒸気発生器室壁111aに対して鋼材などで位置決め固定されている。このように、蒸気発生器1は、原子炉格納容器111内で、蒸気発生器室壁111aで囲まれつつ位置決め固定されることで、耐震性が図られている。また、図には明示しないが、原子炉格納容器111内の上部には、原子炉格納容器111内の構造物、例えば、加圧水型原子炉112における容器蓋部や、加圧水型原子炉112内の炉心構造物の吊り上げ作業を行うことを目的としたポーラクレーンが設けられている。
【0033】
蒸気発生器1の解体において、まず、
図3に示すように、蒸気発生器1が原子炉格納容器111内で立てられた状態のままで行う。この際、入口ノズル7Aaは、冷却水配管114(
図1参照)から切り離された状態とし、出口ノズル7Baは、冷却水配管115(
図1参照)から切り離された状態とする。これら入口ノズル7Aaや出口ノズル7Baは、冷却水配管114や冷却水配管115に連結されたままの状態であってもよい。
【0034】
続いて、
図4に示すように、上部胴2bおよび上部鏡2dを内部部材(気水分離器9や湿分分離器10)とともに円錐胴2cから切り離す。そして、切り離した上部胴2bおよび内部部材を、ポーラクレーンにより吊り上げて蒸気発生器室壁111aの外側であって原子炉格納容器111内に搬送して取り除く。上部胴2b、上部鏡2dおよび内部部材は、原子炉格納容器111内で細かく解体する。
【0035】
続いて、
図5に示すように、円錐胴2cおよび円錐胴2c内側の管群外筒3の一部を下部胴2aから切り離す。そして、切り離した円錐胴2cおよび円錐胴2c内側の管群外筒3の一部を、ポーラクレーンにより吊り上げて蒸気発生器室壁111aの外側であって原子炉格納容器111内に搬送して取り除く。円錐胴2cおよび円錐胴2c内側の管群外筒3の一部は、原子炉格納容器111内で細かく解体する。これにより、伝熱管5の円弧部があらわれる。
【0036】
続いて、伝熱管5および下部胴2aを管板4から切り離す。この工程は、いくつかの方法があり、その一つを
図6〜
図9に示す。最初に、
図6に示すように、伝熱管5の円弧部を切断するとともに、下部胴2aの管板4側の端部を周方向に断続して開放する窓部2aaを形成することであらわれた伝熱管5の下端を管板4から切断する。そして、切断した伝熱管5の円弧部をポーラクレーンにより吊り上げて蒸気発生器室壁111aの外側であって原子炉格納容器111内に搬送して取り除く。伝熱管5の円弧部は、原子炉格納容器111内で細かく解体、または小さく圧縮、あるいは小さく折り曲げる。また、伝熱管5の円弧部は、上述したように振止部材14が設けられており、この振止部材14もポーラクレーンにより吊り上げて蒸気発生器室壁111aの外側であって原子炉格納容器111内に搬送して取り除き、原子炉格納容器111内で細かく解体する。このように、伝熱管5の円弧部を切断するとともに、伝熱管5の下端を管板4から切断することで、残された伝熱管5は、直線状の中間部のみとなり、この部分が各管支持板6に対して上下に真っ直ぐ挿通支持されていることから、上下方向に沿って移動可能な状態となる。
【0037】
次に、
図7に示すように、伝熱管5を上方に引き抜く。すなわち、伝熱管5をポーラクレーンにより吊り上げて蒸気発生器室壁111aの外側であって原子炉格納容器111内に搬送して取り除く。伝熱管5は、原子炉格納容器111内で細かく解体、または小さく圧縮、あるいは小さく折り曲げる。伝熱管5の引き抜きは、1つずつでも複数でもよい。全ての伝熱管5を引き抜くと、
図8に示すように、管群外筒3および管支持板6が下部胴2aの内部に残った状態となる。
【0038】
最後に、
図9に示すように、下部胴2aを管板4から切り離す。下部胴2aを管板4から切り離す場合、管群外筒3および管支持板6を伴うように下部胴2a全体を管板4から切り離し、ポーラクレーンにより吊り上げて蒸気発生器室壁111aの外側であって原子炉格納容器111内に搬送して取り除く。管群外筒3および管支持板6を伴うように下部胴2aは、原子炉格納容器111内で細かく解体する。
【0039】
なお、下部胴2aを管板4から切り離す場合、下部胴2aを上側から一部切断しながら、管群外筒3を上側から一部を切断し、その部分の管支持板6を切り離し、それぞれをポーラクレーンにより吊り上げて蒸気発生器室壁111aの外側であって原子炉格納容器111内に搬送して取り除き、全ての下部胴2a、管群外筒3、および管支持板6を切り離すまでこれを下側に向かって繰り返してもよい。下部胴2aの一部や管群外筒3の一部や管支持板6は、原子炉格納容器111内で細かく解体する。
【0040】
また、伝熱管5および下部胴2aを管板4から切り離す工程の、他の方法を
図10、
図11、および
図9に示す。最初に、
図10に示すように、伝熱管5の円弧部を切断し、ポーラクレーンにより吊り上げて蒸気発生器室壁111aの外側であって原子炉格納容器111内に搬送して取り除く。伝熱管5の円弧部は、原子炉格納容器111内で細かく解体、または小さく圧縮、あるいは小さく折り曲げる。また、伝熱管5の円弧部は、上述したように振止部材14が設けられており、この振止部材14もポーラクレーンにより吊り上げて蒸気発生器室壁111aの外側であって原子炉格納容器111内に搬送して取り除き、原子炉格納容器111内で細かく解体する。
【0041】
次に、
図11に示すように、下部胴2aの上側の一部および管群外筒3の上側の一部を管支持板6の配置間隔に基づいて切断し、その部分の管支持板6を切り離し、それぞれをポーラクレーンにより吊り上げて蒸気発生器室壁111aの外側であって原子炉格納容器111内に搬送して取り除く。下部胴2aの一部や管群外筒3の一部や管支持板6は、原子炉格納容器111内で細かく解体する。これにより、伝熱管5の上部の一部があらわれる。
【0042】
次に、下部胴2aの上側の一部、管群外筒3の上側の一部、および管支持板6を取り除くことであらわれた伝熱管5の上側の一部を、その直下の管支持板6の配置間隔に基づいて切断し、ポーラクレーンにより吊り上げて蒸気発生器室壁111aの外側であって原子炉格納容器111内に搬送して取り除く。この場合、伝熱管5の上端をポーラクレーンにより吊りながら伝熱管5の下端(直下の管支持板6上での下端)を切断することが好ましく、複数の伝熱管5を同時に吊って行うことがより好ましい。伝熱管5は、原子炉格納容器111内で細かく解体、または小さく圧縮、あるいは小さく折り曲げる。
【0043】
最後に、
図9に示すように、全ての伝熱管5、下部胴2a、管群外筒3、および管支持板6を取り除くまで前記工程を下側に向かって繰り返す。
【0044】
続いて、蒸気発生器1の解体に戻り、管板4および水室鏡7を切り離す。管板4および水室鏡7の切り離しは、
図9に示すように、管板4と水室鏡7とが一体となっている状態で、そのままポーラクレーンにより吊り上げて蒸気発生器室壁111aの外側であって原子炉格納容器111内に搬送して取り除く。管板4および水室鏡7は、原子炉格納容器111内で切り離しそれぞれ細かく解体する。または、管板4および水室鏡7の切り離しは、
図12に示すように、管板4を水室鏡7から切り離し、ポーラクレーンにより吊り上げて蒸気発生器室壁111aの外側であって原子炉格納容器111内に搬送して取り除き、その後、水室鏡7をポーラクレーンにより吊り上げて蒸気発生器室壁111aの外側であって原子炉格納容器111内に搬送して取り除いてもよい。管板4と水室鏡7とは、原子炉格納容器111内でそれぞれ細かく解体する。
【0045】
このように、本実施形態の蒸気発生器解体方法は、蒸気発生器1を立てた状態で、気水分離器9および湿分分離器10を伴って上部胴2bを下部胴2aから切り離す工程と、次に、伝熱管5および下部胴2aを管板4から切り離す工程と、次に、管板4および水室鏡7を切り離す工程と、を含む。
【0046】
この蒸気発生器解体方法によれば、蒸気発生器1を使用されていた立てた状態で上側から順次解体する。このため、例えば、原子力発電設備の廃炉に際し、蒸気発生器1を原子炉格納容器111内に設置された状態で解体することが可能になる。この結果、蒸気発生器1を含めた設備全体で系統除染を行うことができ、また蒸気発生器1を原子炉格納容器111から取り出すための大型揚重機を用いず原子炉格納容器111内に既設のポーラクレーンを用いることができ、さらに蒸気発生器1を一時的に保管する保管庫を不要にできるので、廃炉工事に係るコストを低減することが可能になる。
【0047】
また、本実施形態の蒸気発生器解体方法は、伝熱管5および下部胴2aを管板4から切り離す工程では、伝熱管5のU字形状の円弧部を切断して取り除くとともに、下部胴2aの管板側の端部を周方向に断続して窓部2aaを開放することであらわれた伝熱管5を管板4から切断する工程と、次に、伝熱管5を上方に引き抜く工程と、次に、管群外筒3および管支持板6と下部胴2aとを管板4から切り離す工程と、を含む。
【0048】
この蒸気発生器解体方法によれば、伝熱管5および下部胴2aを管板4から切り離す場合に、伝熱管5のU字形状の円弧部を切断して取り除くとともに、下部胴2aの管板側の端部を周方向に断続して窓部2aaを開放することであらわれた伝熱管5を管板4から切断することで、伝熱管5を上方に引き抜けるようにでき、伝熱管5を先に取り除くことが可能になる。しかも、伝熱管5を先に取り除くことで、伝熱管5が妨げになることなく下部胴2a、管群外筒3、および管支持板6を容易に取り除くことが可能になる。
【0049】
また、本実施形態の蒸気発生器解体方法は、伝熱管5および下部胴2aを管板4から切り離す工程では、伝熱管5のU字形状の円弧部を切断して取り除く工程と、次に、下部胴2aの上側の一部および管群外筒3の上側の一部を管支持板6の配置間隔に基づいて切断して取り除くとともに管支持板6を取り除く工程と、次に、下部胴2aの上側の一部、管群外筒3の上側の一部、および管支持板6を取り除くことであらわれた伝熱管5の上側の一部を管支持板6の配置間隔に基づいて切断して取り除く工程と、を含み、全ての伝熱管5、下部胴2a、管群外筒3、および管支持板6を取り除くまで前記工程を下側に向かって繰り返す。
【0050】
この蒸気発生器解体方法によれば、下部胴2aの内部の構造を管支持板6の配置間隔に基づいて切断して取り除くことで、解体作業を管支持板6の配置間隔ごとの領域に集約して行うことができ、作業の効率化を図ることが可能になる。
【0051】
また、本実施形態の蒸気発生器解体方法は、伝熱管5および下部胴2aを管板4から切り離す工程の後、管板4および水室鏡7を切り離す工程をさらに含む。
【0052】
この蒸気発生器解体方法によれば、最後に残された管板4および水室鏡7を切り離すことで蒸気発生器の全てを解体することになる。
【0053】
また、本実施形態の蒸気発生器解体方法は、原子炉格納容器111に設置された既設の蒸気発生器1を解体する。
【0054】
蒸気発生器1は、伝熱管5の内部を原子炉からの一次冷却水が通過するため、伝熱管5は放射線に曝されており放射能を含む。この蒸気発生器解体方法によれば、蒸気発生器1を使用されていた既設の状態のまま解体することで、放射性物質の放散に対する障壁を形成する原子炉格納容器111内で解体作業を行えるため、一般的な蒸気発生器1の解体において用いられるグリーンハウスなどの設置を不要とすることが可能になり、解体作業に掛かるコストを低減することが可能になる。
【0055】
また、本実施形態の蒸気発生器解体方法は、切り離した各部を原子炉格納容器111内でさらに細かく解体する。
【0056】
一般的な蒸気発生器1の解体においては、切り離した各部をグリーンハウスから搬出して別途設置された解体作業場で細かく解体する。この蒸気発生器解体方法によれば、放射性物質の放散に対する障壁を形成する原子炉格納容器111内でさらに細かく解体する作業も行えるため、解体作業場を設置するような解体作業に掛かるコストを低減することが可能になる。