【課題を解決するための手段】
【0005】
以上の課題を解決するため、請求項1記載の発明に係るフレームと軸部材の取付構造は、
貫通孔を有する樹脂製のフレームと、
前記フレームの貫通孔に嵌合するピン部材と、
前記ピン部材に対して同軸上に取り付けられる軸部材と、
前記フレームに沿うように前記軸部材によって軸支される可動部材とを備え、
前記ピン部材には軸方向に沿って突出する凸部が設けられ、
前記軸部材には前記凸部が挿入される凹部が軸方向に沿って窪んでいて、
前記ピン部材の前記凸部と、前記軸部材の前記凹部との境界には、レーザー溶接による溶接痕が前記凸部の周囲に沿って形成されていることを特徴としている。
【0006】
請求項2記載の発明は、請求項1記載のフレームと軸部材の取付構造において、
前記ピン部材における前記凸部が設けられている側とは反対側には、前記溶接痕を囲む凹部が形成されていることを特徴としている。
【0007】
請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載のフレームと軸部材の取付構造において、
前記軸部材の前記凹部は前記可動部材を通過する位置まで延在していて、当該凹部に嵌合した前記ピン部材の前記凸部は前記可動部材に対向する位置まで延在していて、
前記溶接痕は、前記可動部材に対向する位置まで形成されていることを特徴としている。
【0008】
請求項4記載の発明は、請求項1〜3のいずれか一項に記載のフレームと軸部材の取付構造において、
前記ピン部材には、前記軸部材とともに前記フレームを挟持するため、当該フレームを収容する段差部が形成されていることを特徴としている。
【0009】
請求項5記載の発明は、請求項4記載のフレームと軸部材の取付構造において、
前記段差部と前記フレームと前記溶接痕とが同一の平面上に存在していることを特徴としている。
【0010】
請求項6記載の発明は、請求項1〜5のいずれか一項に記載のフレームと軸部材の取付構造において、
前記溶接痕は、前記境界に沿ってジグザグに形成されていることを特徴としている。
【0011】
請求項7記載の発明は、
貫通孔を有する樹脂製の左右のクッションフレームと、前記貫通孔を介して前記左右のクッションフレームに組み付けられるパイプ状の連結部材とを有するシート構造であって、
貫通孔に嵌合するピン部材と、
前記ピン部材に対して同軸上に取り付けられ、前記連結部材に嵌合する軸部材と、
前記クッションフレームに沿うように前記軸部材によって軸支される可動部材とを備え、
前記ピン部材には軸方向に沿って突出する凸部が設けられ、
前記軸部材には前記凸部が挿入される凹部が軸方向に沿って窪んでいて、
前記ピン部材の前記凸部と、前記軸部材の前記凹部との境界には、レーザー溶接による溶接痕が前記凸部の周囲に沿って形成されていることを特徴としている。
【0012】
請求項8記載の発明は、請求項7記載のシート構造において、
前記連結部材と、前記軸部材と、前記ピン部材とは同軸上に配置されていることを特徴としている。
【0013】
請求項9記載の発明は、請求項7又は8に記載のシート構造において、
前記軸部材における前記可動部材を軸支する軸部の外径は、前記連結部材の外径よりも小さく形成されていることを特徴としている。
【0014】
請求項10記載の発明は、請求項7〜9のいずれか一項に記載のシート構造において、
前記軸部材の凹部は、前記連結部材の端部よりも内側まで設けられていることを特徴としている。
【0015】
請求項11記載の発明は、請求項7〜10のいずれか一項に記載のシート構造において、
前記ピン部材の凸部は、前記連結部材の端部よりも内側まで設けられていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0016】
請求項1記載の発明によれば、フレームに嵌合するピン部材と、可動部材を軸支する軸部材とが、それぞれの凸部と凹部との境界にレーザー溶接によって形成された溶接痕で一体化されているので、カシメを施さなくともフレームに軸部材を取り付けることができる。したがって、フレームが樹脂製であったとしても軸部材を取り付ける際の変形を抑制することができる。
【0017】
ここで、ピン部材における凸部が設けられている側とは反対側からレーザー光を照射してレーザー溶接を施すことにより、ピン部材の凸部と、軸部材の凹部との境界の周囲に沿って溶接痕を形成している。つまり、請求項2記載の発明のように、ピン部材における凸部が設けられている側とは反対側に、溶接痕を囲む凹部が形成されていると、レーザー光の進入深さを深くすることができ、溶接痕をより奥側に形成しやすくすることができる。
【0018】
請求項3記載の発明によれば、軸部材の凹部に嵌合したピン部材の凸部が可動部材に対向する位置まで延在し、なおかつ溶接痕が可動部材に対向する位置まで形成されているので、可動部材を支持する部分が軸部材、ピン部材及び溶接痕で埋まることになる。したがって、安定して可動部材を支持することができる。
【0019】
請求項4記載の発明によれば、フレームを収容する段差部がピン部材に形成されているので、当該段差部にフレームを収めて軸部材とピン部材とで挟持すれば、フレームを位置決めすることが可能となる。
【0020】
請求項5記載の発明によれば、段差部とフレームと溶接痕とが同一の平面上に存在しているので、ピン部材に作用する軸部材や可動部材、連結部材の自重をフレームが垂直に受けることになり、フレームに対するピン部材の取付剛性を高めることができる。
【0021】
請求項6記載の発明によれば、前記境界に沿って溶接痕がジグザグに形成されているので、溶接痕の全長を長くすることができ、より強固に軸部材とピン部材とを一体化することができる。
【0022】
請求項7記載の発明によれば、クッションフレームに嵌合するピン部材と、可動部材を軸支する軸部材とが、それぞれの凸部と凹部との境界にレーザー溶接によって形成された溶接痕で一体化されているので、カシメを施さなくともクッションフレームに軸部材を取り付けることができる。したがって、クッションフレームが樹脂製であったとしても軸部材を取り付ける際の変形を抑制することができる。
変形を抑制することができれば、クッションフレーム自体の剛性を確保することができる。
【0023】
請求項8記載の発明によれば、連結部材と、軸部材と、ピン部材とが同軸上に配置されているので、それぞれが異なる軸上に配置される場合と比べてコンパクトに組み付けることが可能となる。
【0024】
請求項9記載の発明によれば、軸部材における可動部材を軸支する軸部の外径が連結部材の外径よりも小さく形成されているので、軸部材の大型化を抑制することができる。
【0025】
請求項10記載の発明によれば、軸部材の凹部が連結部材の端部よりも内側まで設けられているので、軸部材の強度をある程度維持したまま軽量化を図ることができる。
【0026】
請求項11記載の発明によれば、ピン部材の凸部が連結部材の端部よりも内側まで設けられているので、連結部材を支持することによる軸部材及びピン部材の支持剛性を高めることができる。