特許第5955179号(P5955179)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5955179フレームと軸部材の取付構造及びシート構造
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5955179
(24)【登録日】2016年6月24日
(45)【発行日】2016年7月20日
(54)【発明の名称】フレームと軸部材の取付構造及びシート構造
(51)【国際特許分類】
   B60N 2/68 20060101AFI20160707BHJP
【FI】
   B60N2/68
【請求項の数】11
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2012-208450(P2012-208450)
(22)【出願日】2012年9月21日
(65)【公開番号】特開2014-61807(P2014-61807A)
(43)【公開日】2014年4月10日
【審査請求日】2015年7月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】000220066
【氏名又は名称】テイ・エス テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090033
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 博司
(74)【代理人】
【識別番号】100093045
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 良男
(72)【発明者】
【氏名】古田 将也
【審査官】 望月 寛
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−163453(JP,A)
【文献】 特開2008−018098(JP,A)
【文献】 実開昭63−196838(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60N 2/68
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
貫通孔を有する樹脂製のフレームと、
前記フレームの貫通孔に嵌合するピン部材と、
前記ピン部材に対して同軸上に取り付けられる軸部材と、
前記フレームに沿うように前記軸部材によって軸支される可動部材とを備え、
前記ピン部材には軸方向に沿って突出する凸部が設けられ、
前記軸部材には前記凸部が挿入される凹部が軸方向に沿って窪んでいて、
前記ピン部材の前記凸部と、前記軸部材の前記凹部との境界には、レーザー溶接による溶接痕が前記凸部の周囲に沿って形成されていることを特徴とするフレームと軸部材の取付構造。
【請求項2】
請求項1記載のフレームと軸部材の取付構造において、
前記ピン部材における前記凸部が設けられている側とは反対側には、前記溶接痕を囲む凹部が形成されていることを特徴とするフレームと軸部材の取付構造。
【請求項3】
請求項1又は2記載のフレームと軸部材の取付構造において、
前記軸部材の前記凹部は前記可動部材を通過する位置まで延在していて、当該凹部に嵌合した前記ピン部材の前記凸部は前記可動部材に対向する位置まで延在していて、
前記溶接痕は、前記可動部材に対向する位置まで形成されていることを特徴とするフレームと軸部材の取付構造。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載のフレームと軸部材の取付構造において、
前記ピン部材には、前記軸部材とともに前記フレームを挟持するため、当該フレームを収容する段差部が形成されていることを特徴とするフレームと軸部材の取付構造。
【請求項5】
請求項4記載のフレームと軸部材の取付構造において、
前記段差部と前記フレームと前記溶接痕とが同一の平面上に存在していることを特徴とするフレームと軸部材の取付構造。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項に記載のフレームと軸部材の取付構造において、
前記溶接痕は、前記境界に沿ってジグザグに形成されていることを特徴とするフレームと軸部材の取付構造。
【請求項7】
貫通孔を有する樹脂製の左右のクッションフレームと、前記貫通孔を介して前記左右のクッションフレームに組み付けられるパイプ状の連結部材とを有するシート構造であって、
貫通孔に嵌合するピン部材と、
前記ピン部材に対して同軸上に取り付けられ、前記連結部材に嵌合する軸部材と、
前記クッションフレームに沿うように前記軸部材によって軸支される可動部材とを備え、
前記ピン部材には軸方向に沿って突出する凸部が設けられ、
前記軸部材には前記凸部が挿入される凹部が軸方向に沿って窪んでいて、
前記ピン部材の前記凸部と、前記軸部材の前記凹部との境界には、レーザー溶接による溶接痕が前記凸部の周囲に沿って形成されていることを特徴とするシート構造。
【請求項8】
請求項7記載のシート構造において、
前記連結部材と、前記軸部材と、前記ピン部材とは同軸上に配置されていることを特徴とするシート構造。
【請求項9】
請求項7又は8に記載のシート構造において、
前記軸部材における前記可動部材を軸支する軸部の外径は、前記連結部材の外径よりも小さく形成されていることを特徴とするシート構造。
【請求項10】
請求項7〜9のいずれか一項に記載のシート構造において、
前記軸部材の凹部は、前記連結部材の端部よりも内側まで設けられていることを特徴とするシート構造。
【請求項11】
請求項7〜10のいずれか一項に記載のシート構造において、
前記ピン部材の凸部は、前記連結部材の端部よりも内側まで設けられていることを特徴とするシート構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フレームと軸部材の取付構造及びシート構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両等のシート構造においては、金属製のフレームに対して、リクライニング機構や座面位置調整機構などのリンク部材が回転自在に取り付けられている(例えば特許文献1参照)。リンク部材を回転自在に支持する軸部材とフレームとは、互いにカシメることで一体化されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2012/049725号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、樹脂製のフレームを適用したシート構造の開発が進んでいる。樹脂製のフレームに対して金属製のフレームと同様にカシメによって軸部材を取り付けてしまうと、樹脂製のフレームが変形してしまうおそれがある。樹脂製のフレームは金属製のフレームよりも剛性が低いために変形してしまうと強度の低下が著しい。
そこで、本発明の課題は、樹脂の変形を抑制しつつも、樹脂製のフレームに対する軸部材の取り付けを可能とすることである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
以上の課題を解決するため、請求項1記載の発明に係るフレームと軸部材の取付構造は、
貫通孔を有する樹脂製のフレームと、
前記フレームの貫通孔に嵌合するピン部材と、
前記ピン部材に対して同軸上に取り付けられる軸部材と、
前記フレームに沿うように前記軸部材によって軸支される可動部材とを備え、
前記ピン部材には軸方向に沿って突出する凸部が設けられ、
前記軸部材には前記凸部が挿入される凹部が軸方向に沿って窪んでいて、
前記ピン部材の前記凸部と、前記軸部材の前記凹部との境界には、レーザー溶接による溶接痕が前記凸部の周囲に沿って形成されていることを特徴としている。
【0006】
請求項2記載の発明は、請求項1記載のフレームと軸部材の取付構造において、
前記ピン部材における前記凸部が設けられている側とは反対側には、前記溶接痕を囲む凹部が形成されていることを特徴としている。
【0007】
請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載のフレームと軸部材の取付構造において、
前記軸部材の前記凹部は前記可動部材を通過する位置まで延在していて、当該凹部に嵌合した前記ピン部材の前記凸部は前記可動部材に対向する位置まで延在していて、
前記溶接痕は、前記可動部材に対向する位置まで形成されていることを特徴としている。
【0008】
請求項4記載の発明は、請求項1〜3のいずれか一項に記載のフレームと軸部材の取付構造において、
前記ピン部材には、前記軸部材とともに前記フレームを挟持するため、当該フレームを収容する段差部が形成されていることを特徴としている。
【0009】
請求項5記載の発明は、請求項4記載のフレームと軸部材の取付構造において、
前記段差部と前記フレームと前記溶接痕とが同一の平面上に存在していることを特徴としている。
【0010】
請求項6記載の発明は、請求項1〜5のいずれか一項に記載のフレームと軸部材の取付構造において、
前記溶接痕は、前記境界に沿ってジグザグに形成されていることを特徴としている。
【0011】
請求項7記載の発明は、
貫通孔を有する樹脂製の左右のクッションフレームと、前記貫通孔を介して前記左右のクッションフレームに組み付けられるパイプ状の連結部材とを有するシート構造であって、
貫通孔に嵌合するピン部材と、
前記ピン部材に対して同軸上に取り付けられ、前記連結部材に嵌合する軸部材と、
前記クッションフレームに沿うように前記軸部材によって軸支される可動部材とを備え、
前記ピン部材には軸方向に沿って突出する凸部が設けられ、
前記軸部材には前記凸部が挿入される凹部が軸方向に沿って窪んでいて、
前記ピン部材の前記凸部と、前記軸部材の前記凹部との境界には、レーザー溶接による溶接痕が前記凸部の周囲に沿って形成されていることを特徴としている。
【0012】
請求項8記載の発明は、請求項7記載のシート構造において、
前記連結部材と、前記軸部材と、前記ピン部材とは同軸上に配置されていることを特徴としている。
【0013】
請求項9記載の発明は、請求項7又は8に記載のシート構造において、
前記軸部材における前記可動部材を軸支する軸部の外径は、前記連結部材の外径よりも小さく形成されていることを特徴としている。
【0014】
請求項10記載の発明は、請求項7〜9のいずれか一項に記載のシート構造において、
前記軸部材の凹部は、前記連結部材の端部よりも内側まで設けられていることを特徴としている。
【0015】
請求項11記載の発明は、請求項7〜10のいずれか一項に記載のシート構造において、
前記ピン部材の凸部は、前記連結部材の端部よりも内側まで設けられていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0016】
請求項1記載の発明によれば、フレームに嵌合するピン部材と、可動部材を軸支する軸部材とが、それぞれの凸部と凹部との境界にレーザー溶接によって形成された溶接痕で一体化されているので、カシメを施さなくともフレームに軸部材を取り付けることができる。したがって、フレームが樹脂製であったとしても軸部材を取り付ける際の変形を抑制することができる。
【0017】
ここで、ピン部材における凸部が設けられている側とは反対側からレーザー光を照射してレーザー溶接を施すことにより、ピン部材の凸部と、軸部材の凹部との境界の周囲に沿って溶接痕を形成している。つまり、請求項2記載の発明のように、ピン部材における凸部が設けられている側とは反対側に、溶接痕を囲む凹部が形成されていると、レーザー光の進入深さを深くすることができ、溶接痕をより奥側に形成しやすくすることができる。
【0018】
請求項3記載の発明によれば、軸部材の凹部に嵌合したピン部材の凸部が可動部材に対向する位置まで延在し、なおかつ溶接痕が可動部材に対向する位置まで形成されているので、可動部材を支持する部分が軸部材、ピン部材及び溶接痕で埋まることになる。したがって、安定して可動部材を支持することができる。
【0019】
請求項4記載の発明によれば、フレームを収容する段差部がピン部材に形成されているので、当該段差部にフレームを収めて軸部材とピン部材とで挟持すれば、フレームを位置決めすることが可能となる。
【0020】
請求項5記載の発明によれば、段差部とフレームと溶接痕とが同一の平面上に存在しているので、ピン部材に作用する軸部材や可動部材、連結部材の自重をフレームが垂直に受けることになり、フレームに対するピン部材の取付剛性を高めることができる。
【0021】
請求項6記載の発明によれば、前記境界に沿って溶接痕がジグザグに形成されているので、溶接痕の全長を長くすることができ、より強固に軸部材とピン部材とを一体化することができる。
【0022】
請求項7記載の発明によれば、クッションフレームに嵌合するピン部材と、可動部材を軸支する軸部材とが、それぞれの凸部と凹部との境界にレーザー溶接によって形成された溶接痕で一体化されているので、カシメを施さなくともクッションフレームに軸部材を取り付けることができる。したがって、クッションフレームが樹脂製であったとしても軸部材を取り付ける際の変形を抑制することができる。
変形を抑制することができれば、クッションフレーム自体の剛性を確保することができる。
【0023】
請求項8記載の発明によれば、連結部材と、軸部材と、ピン部材とが同軸上に配置されているので、それぞれが異なる軸上に配置される場合と比べてコンパクトに組み付けることが可能となる。
【0024】
請求項9記載の発明によれば、軸部材における可動部材を軸支する軸部の外径が連結部材の外径よりも小さく形成されているので、軸部材の大型化を抑制することができる。
【0025】
請求項10記載の発明によれば、軸部材の凹部が連結部材の端部よりも内側まで設けられているので、軸部材の強度をある程度維持したまま軽量化を図ることができる。
【0026】
請求項11記載の発明によれば、ピン部材の凸部が連結部材の端部よりも内側まで設けられているので、連結部材を支持することによる軸部材及びピン部材の支持剛性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本実施形態に係るシート構造の概略構成を示す側面図である。
図2】本実施形態に係るフレームと軸部材の取付構造の概略構成を示す断面図である。
図3図2のフレームと軸部材の取付構造の概略構成を示す斜視図である。
図4】本実施形態に係る溶接痕の概略構成を示す正面図である。
図5】溶接痕の変形例を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下に、本発明を実施するための形態について図面を用いて説明する。但し、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい種々の限定が付されているが、発明の範囲を以下の実施形態及び図示例に限定するものではない。
【0029】
図1は本実施形態に係るシート構造の概略構成を示す側面図である。本実施形態に係るシート構造は乗り物用シートなどのシート構造である。図1に示すようにシート構造100は、スライドレール102、ボトムシート103、バックレスト104及びリクライニング機構105等を備えている。バックレスト104の下端部がリクライニング機構105によってボトムシート103の後端部に連結され、バックレスト104がボトムシート103の後端部で立てられている。バックレスト104は、リクライニング機構105によってボトムシート103に対して前後方向に傾動可能である。リクライニング機構105は、バックレスト104をボトムシート103にロックすることによってバックレスト104の傾動を止めるとともに、そのロックを解除してバックレスト104を前に傾動する方向にバックレスト4を付勢する。
【0030】
ボトムシート103は左右一対のフレーム2と、左右一対のフレーム2を連結するパイプ状の連結部材6とを有している。フレーム2と連結部材6とは、後述するピン部材3及び軸部材4を介して連結されている。
【0031】
図2は本実施形態に係るフレームと軸部材の取付構造の概略構成を示す断面図であり、図3はフレームと軸部材の取付構造の概略構成を示す斜視図である。図2及び図3に示すように、フレーム2と軸部材4の取付構造1は、フレーム2と、フレーム2に係合するピン部材3と、ピン部材3に対して同軸上に取り付けられる軸部材4と、フレーム2に沿うように軸部材4によって軸支される可動部材としてのリンク部材5とを備えている。
【0032】
フレーム2は、シート構造100のクッションフレームなどであり、樹脂によって成型されている。フレーム2には、ピン部材3が嵌合する貫通孔21が形成されている。
ピン部材3は、ピン頭部31と、ピン頭部31から軸方向に突出した円柱状の凸部32とを備えている。ピン頭部31には、フレーム2の貫通孔21に嵌合する嵌合部33と、フレーム2を収容する段差部34とが設けられている。段差部34の幅Hはフレーム2の厚みと同じ長さに設定されている。また、ピン頭部31における凸部32が設けられている側とは反対側には、凸部32の外径よりも大きな内径を有する凹部35が形成されている。
【0033】
軸部材4は、左右のフレーム2間に架け渡されたパイプ状の連結部材6に取り付けられている。この連結部材6は、貫通孔21を介して左右のフレーム2に組み付けられている。
軸部材4には、連結部材6の端部に嵌合する嵌合部41と、リンク部材5を軸支する軸部42と、ピン部材3の凸部32が挿入される凹部43とを備えている。
嵌合部41は円柱状に形成されていて、その外周の一部に第一突起44が設けられている。この第一突起44は、連結部材6の端部に設けられた切欠61に係合して、軸部材4の周方向の回転を規制するようになっている。嵌合部41の基端部には、周方向に延出したリブ45が設けられている。このリブ45が連結部材6の端部に係合するため、軸部材4が位置決めされる。また、リブ45における連結部材6とは反対側の面には円弧状に突出した第二突起46が設けられている。
軸部42は嵌合部41と同軸上に円柱状に形成されている。軸部42の外径は、連結部材6の外径よりも小さく、かつフレーム2の貫通孔21の内径よりも大きく形成されている。これにより、軸部42の端面がピン部材3の嵌合部33及びフレーム2に当接することになる。
【0034】
凹部43は、嵌合部41及び軸部42の軸方向に沿って、軸部材4の一端面から円筒状に窪んでいる。凹部43はリンク部材5を通過して連結部材6の端部よりも内側まで延在している。凹部43内にピン部材3の凸部32が嵌合すると、当該凸部32はリンク部材5に対向し、なおかつ連結部材6の端部よりも内側まで延在することになる。この凹部43と、ピン部材3の凸部32との境界Lには、レーザー溶接による溶接痕7が形成されている。溶接痕7は、溶接時にフレーム2の外側からレーザー光を照射するために、外側が太く内側に向かっていくほど先細りになるくさび状となっている。そして、溶接痕7はリンク部材5に対向する位置まで形成されている。これにより溶接痕7と段差部34とフレーム2とが同一の垂直面(平面)上に存在することになる。
図4は溶接痕7の概略構成を示す正面図である。図4に示すように、溶接痕7は、凹部35内に配置されており、凸部32の周囲、つまり境界Lに沿って円状に形成されている。
【0035】
リンク部材5は、例えばシート構造100のリクライニング機構105や、座面位置調整機構などの一部をなすリンク部材である。リンク部材5は、軸部材4の軸部42に軸支されており、当該軸部42を回転軸にして回転するようになっている。リンク部材5の一面は、軸部材4の第二突起46に当接している。この第二突起46によって、リンク部材5とリブ45との間には隙間が形成される。この隙間内に接着剤を充填することで、リンク部材5と軸部材4とを接着する接着剤の量を確保することができ、リンク部材5と軸部材4との接着強度が高められている。
【0036】
以上のように、本実施形態によれば、フレーム2に嵌合するピン部材3と、リンク部材5を軸支する軸部材4とが、それぞれの凸部32と凹部43との境界Lにレーザー溶接によって形成された溶接痕7で一体化されているので、カシメを施さなくともフレーム2に軸部材4を取り付けることができる。したがって、フレーム2が樹脂製であったとしても軸部材4を取り付ける際の変形を抑制することができる。
また、溶接によってピン部材3と軸部材4とを一体化しているので、両者の取り付け剛性も向上させることができる。
【0037】
また、ピン部材3における凸部32が設けられている側とは反対側に、溶接痕7を囲む凹部35が形成されているので、レーザー光の進入深さを深くすることができ、溶接痕7をより奥側に形成しやすくすることができる。
また、軸部材4の凹部43に嵌合したピン部材3の凸部32がリンク部材5に対向する位置まで延在し、なおかつ溶接痕7がリンク部材5に対向する位置まで形成されているので、リンク部材5を支持する部分が軸部材4、ピン部材3及び溶接痕7で埋まることになる。したがって、安定してリンク部材5を支持することができる。
【0038】
また、フレーム2を収容する段差部34がピン部材3に形成されているので、当該段差部34にフレーム2を収めて軸部材4とピン部材3とで挟持すれば、フレーム2を位置決めすることが可能となる。
また、段差部34とフレーム2と溶接痕7とが同一の垂直面上に存在しているので、ピン部材3に作用する軸部材4やリンク部材5、連結部材6の自重をフレーム2が垂直に受けることになり、フレーム2に対するピン部材3の取付剛性を高めることができる。
【0039】
また、連結部材6と、軸部材4と、ピン部材3とが同軸上に配置されているので、それぞれが異なる軸上に配置される場合と比べてコンパクトに組み付けることが可能となる。
また、軸部材4の軸部42の外径が連結部材6の外径よりも小さく形成されているので、軸部材4の大型化を抑制することができる。
また、軸部材4の凹部43が連結部材6の端部よりも内側まで設けられているので、軸部材4の強度をある程度維持したまま軽量化を図ることができる。
また、ピン部材3の凸部32が連結部材6の端部よりも内側まで設けられているので、連結部材6を支持することによる軸部材4及びピン部材3の支持剛性を高めることができる。
【0040】
なお、本発明を適用可能な実施形態は、上述した実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。以下の説明において、上記実施形態と同一箇所においては同一符号を付してその説明を省略する。
上記実施形態では、溶接痕7が正面視で円形に形成された場合を例示して説明したが、図5に示すように、溶接痕7aが境界Lに沿ってジグザグに形成されていてもよい。このように境界Lに沿って溶接痕7aがジグザグに形成されると、溶接痕7の全長を長くすることができ、より強固に軸部材4とピン部材3とを一体化することができる。
【符号の説明】
【0041】
1 フレームと軸部材の取付構造
2 フレーム(クッションフレーム)
3 ピン部材
4 軸部材
5 リンク部材
6 連結部材
7 溶接痕
21 貫通孔
31 ピン頭部
32 凸部
33 嵌合部
34 段差部
35 凹部
41 嵌合部
42 軸部
43 凹部
44 第一突起
45 リブ
46 第二突起
61 切欠
100 シート構造
102 スライドレール
103 ボトムシート
104 バックレスト
105 リクライニング機構
L 境界
図1
図2
図3
図4
図5