(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1に示される電池モジュールでは、複数の電池セルを直列に配設してなるセルユニットにて、該セルユニットの電池セル間に挟まれるように温度センサが配置される構成であるので、該温度センサでの検出温度が平均化されてしまい、過熱状態判定温度をセル使用温度の上限に設定している場合には、いずれかの電池セルが過熱状態となったことを正確に検出できないという問題がある。
【0006】
また、上記電池モジュールでは、温度センサが電池セル2個毎に配置されているので、計測点が多くなり、その結果、配線が複雑となり、コスト高になるという問題がある。
また、上記電池モジュールでは、電池セルの配列方向に沿うように冷却空気が流れているが、該冷却空気を考慮した温度測定がなされておらず、この点においても改良の余地が残されていた。
【0007】
この発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであって、最小の温度センサにより、効率良くかつ低コストで電池セルの過熱状況を監視することができて、さらに冷却空気を考慮した正確な温度測定と過熱状態の検出を可能とした電池モジュールを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、この発明は以下の手段を提案している。
本発明は、複数の電池セルを互いに密着させて重ねて配置したセルユニットと、前記電池セルの配列方向に沿う一方の側面において、前記電池セルのいずれかの温度を測定する第1の温度センサを設け、かつ前記一方の側面と対向する他方の側面において、前記電池セル以外のいずれかの電池セルの温度を測定する第2の温度センサを設け、前記電池セルは隣接する電池セルの間の熱伝導を促進する熱伝導層を介して重ねられたことを特徴とする。
なお、密着とは、セルユニット内において隣接する電地セルが互いに直接的に接触せず、隣接する電池セル間に、電気絶縁性のシートや、防水性のシート、分離用のシート、これとは逆に接着用のシート等が介在した接触を意味する。特に、本発明では、これらを目的とするシートとして、熱伝導性が良好で、電池セル間の熱伝導性を損なわない性質のシート、あるいは、あえて熱伝導性の低い性質のシートが使用される。
【0009】
そして、上記のように構成された発明では、例えば、冷却風の影響を考慮して、第1の温度センサをセルユニット内の最高温度となる電池セルの一方側面に配置するとともに、第2の温度センサを、セルユニットの中心部に対して第1の温度センサと対称となる電池セルの他方側面に配置し、これら第1及び第2の温度センサでの検出値を監視すれば、セルユニット内における電池セルの温度状況を正確に知ることができる。
また、セルユニットの一方の側面と、他方の側面にそれぞれ第1、第2の温度センサを設ける構成であるので、最小の温度センサにより、効率良くかつ低コストで電池セルの最高温度を監視することができるとともに、冷却空気を考慮した正確な温度測定が可能となる。
さらに、電池セルは隣接する電池セルの間の熱伝導を促進する熱伝導層を介して重ねられた構成であるので、該熱伝導層により、セルユニット内のいずれかの電池セルで異常発熱が起こった場合に、電池セル間の熱伝導層を介して温度センサまで異常発熱が伝わることになる。これによりセルユニット内の広範囲の電池セルで発熱異常を速やかに検知することが可能となる。
【0010】
また、本発明では、前記一方の温度センサにより温度が測定される一の電池セルに連なる電池セル群と、前記他方の温度センサにより温度が測定される他の電池セルに連なる電池セル群との間に前記熱伝導層より熱伝導性の低い低熱伝導層を設けたことを特徴とする。
【0011】
そして、上記のように構成された発明では、一方の温度センサにより温度が測定される一の電池セルに連なる電池セル群と、前記他方の温度センサにより温度が測定される他の電池セルに連なる電池セル群との間に前記熱伝導層より熱伝導性の低い低熱伝導層を設けた構成であるので、低熱伝導層が間に介在することにより一方側の電池セル群と他方側の電池セル群との間の熱伝達が阻害される。これにより例えば、一方側の電池セル群で発生した異常発熱が、他方側の電池セル群に伝達され難く、一方側の電池セル群に設置される温度センサの検出値と、他方側の電池セル群に設置される温度センサの検出値や、他のセルユニットの温度センサの検出値との温度差が大きくなり、この温度差に基づき、ユニットセルにおける電池セルの異常を容易に検出することが可能となる。
【0012】
また、本発明では、前記セルユニット内における電池セルの配列方向は、冷却風の流れる方向に向けられたことを特徴とする。
【0013】
また、本発明では、前記一方の温度センサは、前記電池セルの配列方向一端からN番目の電池セルに、他方の温度センサは、配列方向他端からN番目の電池セルに設けられたことを特徴とする。
【0014】
また、本発明では、前記第1の温度センサは、前記セルユニット内の最高温度となる電池セルの一方側面に配置され、前記第2の温度センサは、前記セルユニットの中心部に対して前記第1の温度センサと対称となる電池セルの他方側面に配置されていることを特徴とする。
【0015】
また、本発明では、前記第1の温度センサは、前記冷却風に沿って流れる方向に配置された前記複数の電池セルの中で、中央部より後方の電池セルの一方側側面に配置されていることを特徴とする。
【0016】
そして、上記のように構成された発明では、セルユニットの配列方向に対する一方側面に第1の温度センサを配置するとともに、該第1の温度センサを、冷却風の流れる方向に沿って配置したセルユニット内における電池セルの配列方向一端からN番目に位置させ,かつ他方の温度センサである第2の温度センサを、配列方向他端からN番目の電池セルの他方側面に位置させるようにする。これにより、N番目の電池セルをセルユニット内の最高温度となるセルに設定した上で、該N番目の電池セルに第1の温度センサを配置し、かつ配列方向他端からN番目の電池セルに第2の温度センサを配置することで、第1の温度センサと第2の温度センサとはセルユニットの中心部に対して第1の温度センサと対称となる位置に設置することができる。この状態で、これら第1及び第2の温度センサでの検出値を監視すれば、セルユニット内における電池セルの温度状況を正確に知ることができる。
また、第1の温度センサを、電池セルの配列方向一端からN番目の電池セルに設置し、かつ第2の温度センサを、配列方向他端からN番目の電池セルに設置することで、電池セルの配列方向に沿ういずれの側から冷却風が流れてきたとしても、同じ条件でセルユニット内における電池セルの温度状況を知ることができ、これによっても最小の温度センサにより、効率良くかつ低コストで電池セルの過熱状況を監視することが可能となる。
【0017】
また、本発明では、前記セルユニットは複数あり、これら複数のセルユニットが直列接続されることを特徴とする。
【0018】
また、本発明では、前記セルユニットは複数あり、これら複数のセルユニットが並列接続されることを特徴とする。
【0019】
また、本発明では、前記複数のセルユニットが収容された電池パックケースの端部には冷却風を流通させるための冷却ファンが設置されていることを特徴とする。
【0020】
そして、上記のように構成された発明では、セルユニットが複数あり、該複数のセルユニットが直列接続又は並列接続される構成であるので、これら直列接続又は並列接続されたセルユニットのそれぞれにおいて、電池セルの温度状況を正確に知ることができる。これにより複数あるセルユニットにて検出された温度を比較し、それら温度にばらつきがあれば、ばらつきが生じたユニットセルを異常と判定することができ、正確な温度異常検知を行うことができる。
また、前記複数のセルユニットが収容された電池パックケースの端部に冷却ファンを設けることで、該電池パックケース内で冷却風を強制的に流通させることができ、高い冷却効果を得ることができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、冷却風の影響を考慮して、第1の温度センサをセルユニット内の最高温度となる電池セルの一方側面に配置するとともに、第2の温度センサを、セルユニットの中心部に対して第1の温度センサと対称となる電池セルの他方側面に配置し、これら第1及び第2の温度センサでの検出値を監視すれば、セルユニット内における電池セルの温度状況を正確に知ることができる。
【0022】
また、セルユニットの一方の側面と、他方の側面にそれぞれ第1、第2の温度センサを設ける構成であるので、最小の温度センサにより、効率良くかつ低コストで電池セルの過熱状況を監視することができるとともに、冷却空気を考慮した正確な温度測定が可能となる。
【0023】
さらに、電池セルは隣接する電池セルの間の熱伝導を促進する熱伝導層を介して重ねられた構成であるので、該熱伝導層により、セル間の温度差を小さくすることができる。その結果、セルユニット内のいずれかの電池セルで異常発熱が起こった場合に、電池セル間の熱伝導層を介して温度センサまで異常発熱が伝わることになる。これによりセルユニット内の広範囲の電池セルで発熱異常を速やかに検知することが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0025】
(第1実施形態)
本発明に係る第1実施形態について、
図1〜
図5を参照して説明する。
図1は本発明に係る電池モジュール40が複数組み込まれた電源管理装置10を示す図であり、
図2は電池モジュール40が一体化された組電池100を示す斜視図であって、電池管理装置10は、複数組の電池ユニット20−1〜20−mを備えている。
【0026】
各電池ユニット20は、上位管理部となる1つのBMU(Battery Management Unit)30と、複数個の電池モジュール40(本例では、40−1〜40−6の6組からなる)を備える。BMU30と、電池モジュール40の各々は、通信バス31Aを経由して相互通信が可能に接続される。また、BMU30は、通信バス31Bを経由して各電源ユニット20内の電池モジュール40を管理する。
【0027】
また、各電池モジュール40は、
図2に示されるように、8つの電池セルC1〜C8とともに、電池セルC1〜C8毎に1つのCMU(Cell Monitoring Unit)32を備えている。
電池セルC1〜C8は、それぞれ単体の二次電池であり、例えばリチウムイオン電池が採用されるが、二次電池としての種別は特に限定されない。また、CMU32は、電池セルC1〜C8で検出した温度(温度センサ60、61により検出)に基づき、電池セルC1〜C8における各々の充放電動作などを制御する。また、CMU32は、通信バス31A、31Bと接続されることで、BMU30と相互通信可能に接続される。
【0028】
次に、
図2を参照して、電池ユニット20内にあって、複数個の電池モジュール40が収容されて一体化された組電池100について説明する。
この組電池100は、全体として矩形をなす電池パックケース50内に、複数個の電池モジュール40(本例では、電池モジュール40−1〜40−6の6組からなる)が並列に収容されたものである。
各電池モジュール40は、8つの電池セルC1〜C8が熱伝導層70(後述する)を介して互いに密着されたセルユニット41を備えており、それぞれの電池セルC1〜C8は電池容器42の上面に電極端子43、44が設けられた構成となっている。また、電池セルC1〜C8は全体として直方体に形成されており、長辺42A及び短辺42Bの向きを一致させ、かつ電池容器42同士が互いに面接触するように整列配置されている。なお、これら各電池モジュール40のセルユニット41は、密着させた8つの電池セルC1〜C8の両端に固定プレート45を設置した状態で、結束バンド46で一体化された構成とされている。
なお、以下の説明において、結束バンド46及び固定プレート45により8つの電池セルC1〜C8が互いに密着かつ一体化されたものを「セルユニット41」と定義し、該セルユニット41に、第1の温度センサ60(後述する)及び第2の温度センサ61(後述する)が設置されたものを「電池モジュール40」と定義する。
【0029】
また、組電池100において、電池モジュール40と他の電池モジュール40との間、及び電池モジュール40と電池パックケース50の壁面との間は、該電池モジュール40を冷やす冷却風が流れている。
この冷却風は、符号Fで示すように電池モジュール40における電池セルC1〜C8の配列方向(矢印(イ)‐(ロ)で示す方向)に沿うように流れており、これによってセルユニット41の一方の側面(符号41Aで示す)及び他方側面(符号41Bで示す)からなる両側面を冷却する。
【0030】
図3を参照して、電池モジュール40内のセルユニット41についてさらに詳細に説明する。
セルユニット41は、
図3に示されるように、隣接する電池セルC1〜C8間に、該電池セルC1〜C8の熱伝導を促進する熱伝導層70が介在して重ねられている。
【0031】
熱伝導層70は、隣接する電池セルC1〜C8の間の熱伝導を促進することにより、電池セルC1〜C8間に極端な温度差が生じることを防止する。その一方で、熱伝導層70は、セルユニット41内のいずれかの電池セルC1〜C8で異常発熱(符号Hで示す)が起こった場合、その異常発熱Hを、隣接する電池セルC1〜C8を経由して、温度センサ60・61まで熱伝達させる。これによりこれら温度センサ60・61では、セルユニット41内の広範囲の電池セルC1〜C8で発熱異常を検知することが可能となる。
【0032】
なお、熱伝導層70としては、電気絶縁性で熱伝導が良好な材料、例えば放熱性シリコンシート等の熱抵抗の低い素材が使用される。
また、電池セルC1〜C8間に熱伝導層70を介在させることにより、電池セルC1〜C8の温度差を小さくして温度分布をなだらかにすることができるが、これによって温度センサ60・61での計測結果は電池セルC1〜C8の使用限界を超えない恐れがあり、このため、他の正常なモジュール電池よりも異常判定のしきい値を下げること、又は他のモジュール電池との温度差が大きくなることを検知することで対応する。
【0033】
次に、
図4を参照して、電池モジュール40を構成する8つの電池セルC1〜C8の温度分布について説明する。
図2に示すように、電池セルC1から電池セルC8に向けて、矢印(イ)−(ロ)方向に冷却風Fが流れると、電池セルC1〜C8は両側面41A・41Bからそれぞれ冷却されるが、このとき上流側の電池セルC1〜C8を通過する毎に、冷却風Fが徐々に温められることから、各電池セルC1〜C8の温度にばらつきが生じる。
【0034】
これをまとめたのが
図4である。この図を参照して分かるように、冷却風Fが流れる方向に設置された電池セルC1〜C8の中で、6番目(=N番目)が最も温度が高いことが分かった(最も温度が高い電池セルをNで示す)。これは電池セルCの数が異なったとしても同じ傾向が表れ、冷却風Fに沿って流れる方向に配置された複数の電池セルの中で、中央部より後方の電池セル(本例ではN=6番目)の温度が最も高くなる。
このため、本実施形態では、
図5に示すように、電池セルC1〜C8の中で、最も温度が高い6番目(=N番目)の温度セルC6の一方の側面41Aに、第1の温度センサ60を設置している。これとともに、電池モジュール40の一方の側面41Aと対向する他方側面41Bで、かつ電池セルC6以外のいずれかの位置の電池セルには第2の温度センサ61が設置されている。
【0035】
第2の温度センサ61は、セルユニット41の中心部Xに対して第1の温度センサ60と対称となる電池セル(本例では、右端からN番目となる電池セルC3)の他方側面41Bに配置されている。
そして、このような温度センサ60・61の設置により、電池セルC1〜C8の配列方向(矢印(イ)‐(ロ))に沿ういずれの側(上流側又は下流側)から冷却風Fが流れてきたとしても、同じ条件でセルユニット41内における電池セルC1〜C8の温度状況を正確に知ることができる。その結果、最小の温度センサ60・61(本例では2個)により、効率良くかつ低コストで電電池セルC1〜C8の最高セル温度を監視できる。
【0036】
以上詳細に説明したように本実施形態に示される電池モジュール40では、第1の温度センサ60を、冷却風Fの流れる方向に沿って配置したセルユニット41内における電池セルC1〜C8の配列方向(矢印(イ)−(ロ)方向)一端からN番目(=電池セルC6)に位置させ、かつ第2の温度センサ61を、配列方向他端からN番目(=電池セルC3)の電池セルの他方側面41Bに位置させた。
ここで、第1の温度センサ60が配置されるN番目(=電池セルC6)は、セルユニット41内の最高温度となる電池セルC6であり、また。第2の温度センサ61は、第1の温度センサ60と対称位置にある電池セルC3である。
これにより、電池セルC1〜C8の配列方向(矢印(イ)−(ロ)方向)に沿ういずれの側(上流側又は下流側)から冷却風Fが流れてきたとしても、同じ条件でセルユニット41内における電池セルC1〜C8の温度状況を正確に知ることができ、これによっても最小の温度センサにより、効率良くかつ低コストで電池セルC1〜C8の最高セル温度を監視することが可能となる。
【0037】
すなわち、本実施形態に示される電池モジュール40では、従来と比較して温度計測点数が削減できて、モジュール電池の配置が前後入れ替わり、冷却風Fが電池セルC1側、又は電池セルC8側のどちらから流れても、設置位置の変更なしに電池セル最高温度を計測することができ、全ての電池セルに温度センサが設置される従来の電池モジュールと比較して省配線、コストダウンが可能となる。
【0038】
また、本実施形態に示される電池モジュール40は、電池セルC1〜C8は隣接する電池セルC1〜C8の間の熱伝導を促進する熱伝導層70を介して重ねられた構成であるので、該熱伝導層70により、電池セルC1〜C8間に極端な温度差が生じることを防止できる。また、セルユニット41内のいずれかの電池セルC1〜C8で異常発熱Hが起こった場合に、電池セルC1〜C8間の熱伝導層70を介して温度センサまで異常発熱Hが伝わることになる。これにより、温度センサの検出値が異常判定の閾値を超えること、又は他のモジュール電池の温度センサの検出値との差が大きくなることで、セルユニット41内の広範囲の電池セルC1〜C8で発熱異常を速やかに検知することが可能となる。
【0039】
なお、上記実施形態では、
図1に、電池ユニット20内に6個の電池モジュール40(40−1〜40−6の6組からなる)を備えた例を示したが、これは1例であってその個数は適宜設定可能である。
また、電池モジュール40のセルユニット41を8個の電池セルC1〜C8で構成したが、これは1例であってその個数は適宜設定可能である。また、8個ある電池セルC1〜C8の中で、最も温度が高い6番目(=N番目)の温度セルC6の一方の側面41Aに、第1の温度センサ60を設置したが、これは、冷却風Fに沿って流れる方向に配置された複数の電池セルの中で、中央部より後方の電池セル(本例ではN=6番目)の温度が最も高くなるからであり、セルユニット41の電池セル数が8個でない場合、例えばセルユニット41の電池セル数が10個である場合には「N=7番目」等が選択される。
【0040】
(第2実施形態)
本発明に係る第2実施形態について、
図6を参照して説明する。
第2実施形態の電池モジュール40が、第1実施形態の電池モジュール40と異なるのは、電池モジュール40内のセルユニット41の構造である。
【0041】
図6に示される電池モジュール40内のセルユニット41では、隣接する電池セルC1〜C8間に、該電池セルC1〜C8の熱伝導を促進する熱伝導層70が介在されるとともに、電池セルC1〜C8の中間部は、熱伝導層70に代えて、該熱伝導層70より熱伝導性の低い低熱伝導層71が設けられている。
すなわち、
図6のセルユニット41は、隣接する電池セルC1〜C8間に熱伝導を促進する熱伝導層70が介在されるとともに、一方の温度センサ60により温度が測定される一の電池セルC5〜C8群と、他方の温度センサ61により温度が測定される他の電池セルC1〜C4群との間については熱伝導層70に代えて、この熱伝導層70よりも相対的に熱伝導性の低い低熱伝導層71を設けている。
【0042】
低熱伝導層71には、一般にゴムシートが使用されるが、本実施形態のように相対的に熱伝導性を低くすることが必要な(高い断熱性が要求される)場合は、例えばシートを厚くすれば良い。
そして、電池モジュール40内のセルユニット41において、電池セルC5〜C8群と電池セルC1〜C4群との間に熱伝導性の低い低熱伝導層71を設けることにより、これらセル群間での熱伝達が阻害される。
【0043】
その結果、例えば、一方側の電池セルC5〜C8群で発生した異常発熱Hが、他方側の電池セルC1〜C4群に伝達され難く、一方側の電池セルC5〜C8群に設置される温度センサ60の検出値と、他方側の電池セルC1〜C4群に設置される温度センサ61の検出値との温度差が大きくなり、この温度差に基づき、ユニット41セルにおける電池セルC1〜C8の異常を容易に検出することができる。
【0044】
なお、電池モジュール40間の温度差は各々の電池モジュール40の設置場所等で差が出るため、温度差の異常検出値はマージンを取る必要があるが、
図6で示す方式の場合は、1つの電池モジュール40内で熱的に分離された電池セルC1〜C4群と電池セルC5〜C8群との温度計測比較による異常検出を行うようにしているので、より鋭敏に温度異常を検知することができる。
【0045】
以上詳細に説明したように、本実施形態に示される電池モジュール40では、温度センサ60により温度が測定される一の電池セルC1〜C8に連なる電池セルC1〜C8群と、他方の温度センサ61により温度が測定される他の電池セルC1〜C8に連なる電池セルC1〜C8群との間に熱伝導層70より熱伝導性の低い低熱伝導層71をさらに設けた構成であるので、低熱伝導層71が間に介在することにより一方側の電池セルC1〜C4群と他方側の電池セルC6〜C8群との間の熱伝達が阻害される。
これにより、例えば、一方側の電池セルC6〜C8群で発生した異常発熱Hが、他方側の電池セルC1〜C4群に伝達され難く、一方側の電池セルC6〜C8群に設置される温度センサ60の検出値と、他方側の電池セルC1〜C4群に設置される温度センサ61の検出値との温度差が大きくなり、この温度差に基づき、ユニット41セルにおける電池セルC1〜C8の異常を容易に検出することが可能となる。
【0046】
なお、本実施形態では、一の電池セルC5〜C8群と、他の電池セルC1〜C4群との間に低熱伝導層71を設けているが、その設置箇所は、電池セルC4とC5との間に限定されず、適宜、変更可能である。
【0047】
(第3実施形態)
本発明に係る第3実施形態について、
図7及び
図8を参照して説明する。
第3実施形態の組電池101が、第1及び第2実施形態の組電池100と異なるのは、電池モジュール40を直列又は並列に配置し、かつかつ電池パックケース50の端部に冷却風Fを強制的に流通させる冷却ファン51を設けた点である。
【0048】
図7に示される電池パックケース50では、複数の電池モジュール40が直列配置されるとともに、途中で折り返して2列となるように配置されている。
また、
図8に示される電池パックケース50では、複数の電池モジュール40が3個ずつ2列に並列接続されるように配置されている。
【0049】
また、
図7及び
図8に示されるように、電池パックケース50の後方側の端部には冷却ファン51が設置され、該電池パックケース50の前方側の端部には冷却風Fの吸気口52が設けられている。
そして、この冷却ファン51が駆動されることにより、吸気口52から吸い込まれた冷却風Fが、電池セルC1〜C8の配列方向に沿う矢印(ロ)方向に流通し、その結果、電池モジュール40が冷却される。
【0050】
また、電池パックケース50内の各電池モジュール40には、第1及び第2実施形態で示した第1の温度センサ60、第2の温度センサ61がそれぞれ設置されている。
第1の温度センサ60は、電池セルC1〜C8の中で、最も温度が高い温度セルC6又はC3の側面41A、41Bに設置されている。また、第2の温度センサ61は、セルユニット41の中心部Xに対して第1の温度センサ60と対称となる電池セルC3又はC6の側面41A、41Bに設置されている。
そして、このような温度センサ60・61の設置により、電池セルC1〜C8の配列方向(矢印(イ)‐(ロ))に沿ういずれの側(上流側又は下流側)から冷却風Fが流れてきたとしても、同じ条件でセルユニット41内における電池セルC1〜C8の温度状況を正確に知ることができる。
【0051】
また、電池モジュール40が直列接続又は並列接続されたセルユニット41のそれぞれにおいて、電池セルC1〜C8の温度状況を検知することができることから、複数あるセルユニット41にて検出された温度を比較し、それら温度にばらつきがあれば、ばらつきが生じたユニットセル41又はその冷却機構を異常と判定することができ、正確な温度異常検知を行うことができる。
【0052】
具体的な異常判定方法として以下のような処理を行う。
(1)上流の電池モジュール40との温度差が設計値(例えば2℃)を越えたか否かを、「0」(設計値範囲内で正常)又は「1」(設計値を越えて異常)のデジタル情報で表し、電池モジュール40の各列毎にデジタル値のORを取り、「1」になるとその列は異常であると判定する。
(2)電池モジュール40の列間の同じ位置の温度センサ60・61の計測値を比較し、電池セル発熱と冷却流路のバラつきによる判定値を設定する(例えば判定値を5℃と設定する)。そして、温度センサ60・61の計測値のばらつきが、この判定値以上になった場合に電池モジュール40に異常が生じていると判定する。
(3)電池モジュール40の列間の温度勾配を計算して、他の列と比較して違いがあればその列は異常であると判定する。以上のような処理で電池モジュール40の異常判定を行う。
【0053】
以上詳細に説明したように第3実施形態では、電池パックケース50内に収容される複数の電池モジュール40のそれぞれにおいて、電池セルC1〜C8の中で、最も温度が高い温度セルC6又はC3の側面41A、41Bに第1の温度センサ60を設置し、また、第2の温度センサ61は、セルユニット41の中心部Xに対して第1の温度センサ60と対称となる電池セルC3又はC6の側面41A、41Bに第2の温度センサ61を設置した。
これにより、電池セルC1〜C8の配列方向(矢印(イ)−(ロ)方向)に沿ういずれの側(上流側又は下流側)から冷却風Fが流れてきたとしても、同じ条件でセルユニット41内における電池セルC1〜C8の温度状況を正確に知ることができ、これによっても最小の温度センサにより、効率良くかつ低コストで電池セルC1〜C8の過熱状況を監視することが可能となる。
また、電池モジュール40が直列接続又は並列接続されたセルユニット41のそれぞれにおいて、電池セルC1〜C8の温度状況を検知することができることから、複数あるセルユニット41にて検出された温度を比較し、それら温度にばらつきがあれば、ばらつきが生じたユニットセル41又はその冷却機構を異常と判定することができ、正確な温度異常検知を行うことができる。
【0054】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。