(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
糖化ヘモグロビンの酵素測定法において、今まで知られている糖化ヘモグロビンの変性剤については、糖化ヘモグロビンの変性が充分でないために、タンパク質分解酵素反応が満足に進行せず、糖化ヘモグロビンの正確な測定が行えないという問題があった。また、糖化ヘモグロビンの測定方法において用いられるロイコ型色原体については、従来知られている保存方法は厳しい条件下での保存を要する等、必ずしも満足できる方法とは言えない。
【0011】
本発明の目的は、ヘモグロビン含有試料中の糖化ヘモグロビンを正確に測定する方法、試薬及びキット、並びに、ヘモグロビン含有試料中の糖化ヘモグロビンの正確な測定を可能にする、ロイコ型色原体含有水溶液の保存方法、及び、ロイコ型色原体の安定化方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者らは本課題を鋭意検討したところ、ヘモグロビン含有試料中の糖化ヘモグロビンと、タンパク質分解酵素とを、ピリジニウム塩、ホスホニウム塩、イミダゾリウム塩、又は、イソキノリニウム塩存在下に反応させることにより、ヘモグロビン及び糖化ヘモグロビンを充分に変性させることができ、ヘモグロビン含有試料中の糖化ヘモグロビンを正確に測定できる、という知見を見出した。さらに、ピリジニウム塩、ホスホニウム塩、イミダゾリウム塩、又は、イソキノリニウム塩がロイコ型色原体を安定化する、という知見を見出し、本発明を完成させた。すなわち、本発明は、以下の[1]〜[18]に関する。
【0013】
[1] ヘモグロビン含有試料中の糖化ヘモグロビンと、タンパク質分解酵素とを、以下の一般式(I)で表わされるピリジニウム塩、以下の一般式(II)で表わされるホスホニウム塩、以下の一般式(III)で表わされるイミダゾリウム塩、及び、以下の一般式(IV)で表わされるイソキノリニウム塩からなる群より選ばれる少なくとも1種の存在下に反応させ、得られる反応生成物にフルクトシルペプチド酸化酵素を作用させ、生成する過酸化水素を測定することを特徴とする、ヘモグロビン含有試料中の糖化ヘモグロビンの測定方法。
【0014】
【化1】
【0015】
(式中、R
1は、置換若しくは非置換のアルキル、又は、置換若しくは非置換のアルケニルを表し、R
aは、水素原子、置換若しくは非置換のアルキル、又は、置換若しくは非置換のアルケニルを表し、nは、1〜5の整数を表し、X
−は、1価のアニオンを表す。)
【0016】
【化2】
【0017】
(式中、R
2〜R
5は、同一又は異なって、置換若しくは非置換のアルキルを表し、Y
−は、1価のアニオンを表す。)
【0018】
【化3】
【0019】
(式中、R
6とR
8は同一又は異なって、置換若しくは非置換のアルキル、置換若しくは非置換のアルケニルを表し、R
7、R
9、R
10は、水素原子、置換若しくは非置換アルキル、置換若しくは非置換アルケニルを表し、Z
−は、1価のアニオンを表す。)
【0020】
【化4】
【0021】
(式中、R
11は、置換若しくは非置換のアルキル、置換若しくは非置換のアルケニルを表し、W
−は、1価のアニオンを表す。)
[2] 過酸化水素の測定が、過酸化水素測定試薬により行われる、[1]記載の測定方法。
[3] 過酸化水素測定試薬が、ペルオキシダーゼとロイコ型色原体とを含む試薬である[2]記載の測定方法。
[4] ロイコ型色原体が、フェノチアジン系色原体である[3]記載の測定方法。
[5] フェノチアジン系色原体が、10−(カルボキシメチルアミノカルボニル)−3,7−ビス(ジメチルアミノ)フェノチアジンである[4]記載の測定方法。
【0022】
[6] ヘモグロビン含有試料中の糖化ヘモグロビンを測定するための試薬であって、タンパク質分解酵素、フルクトシルペプチド酸化酵素、及び、以下の一般式(I)で表わされるピリジニウム塩、以下の一般式(II)で表わされるホスホニウム塩、以下の一般式(III)で表わされるイミダゾリウム塩、及び、以下の一般式(IV)で表わされるイソキノリニウム塩からなる群より選ばれる少なくとも1種を含むことを特徴とする糖化ヘモグロビン測定試薬。
【0023】
【化5】
【0024】
(式中、R
1は、置換若しくは非置換のアルキル、又は、置換若しくは非置換のアルケニルを表し、R
aは、水素原子、置換若しくは非置換のアルキル、又は、置換若しくは非置換のアルケニルを表し、nは、1〜5の整数を表し、X
−は、1価のアニオンを表す。)
【0025】
【化6】
【0026】
式中、R
2〜R
5は、同一又は異なって、置換若しくは非置換のアルキルを表し、Y
−は、1価のアニオンを表す。)
【0027】
【化7】
【0028】
(式中、R
6とR
8は同一又は異なって、置換若しくは非置換のアルキル、置換若しくは非置換のアルケニルを表し、R
7、R
9、R
10は、水素原子、置換若しくは非置換アルキル、置換若しくは非置換アルケニルを表し、Z
−は、1価のアニオンを表す。)
【0029】
【化8】
【0030】
(式中、R
11は、置換若しくは非置換のアルキル、置換若しくは非置換のアルケニルを表し、W
−は、1価のアニオンを表す。)
【0031】
[7] さらに、過酸化水素測定試薬を含む、[6]記載の測定試薬。
[8] 過酸化水素測定試薬が、ペルオキシダーゼとロイコ型色原体とを含む試薬である[7]記載の測定試薬。
[9] ロイコ型色原体が、フェノチアジン系色原体である[8]記載の測定試薬。
[10] フェノチアジン系色原体が、10−(カルボキシメチルアミノカルボニル)−3,7−ビス(ジメチルアミノ)フェノチアジンである[9]記載の測定試薬。
【0032】
[11] ヘモグロビン含有試料中の糖化ヘモグロビンを測定するためのキットであって、タンパク質分解酵素、及び、以下の一般式(I)で表わされるピリジニウム塩、以下の一般式(II)で表わされるホスホニウム塩、以下の一般式(III)で表わされるイミダゾリウム塩、及び、以下の一般式(IV)で表わされるイソキノリニウム塩からなる群より選ばれる少なくとも1種を含む第1試薬と、フルクトシルペプチド酸化酵素を含む第2試薬とを含むことを特徴とする糖化ヘモグロビン測定キット。
【0033】
【化9】
【0034】
(式中、R
1は、置換若しくは非置換のアルキル、又は、置換若しくは非置換のアルケニルを表し、R
aは、水素原子、置換若しくは非置換のアルキル、又は、置換若しくは非置換のアルケニルを表し、nは、1〜5の整数を表し、X
−は、1価のアニオンを表す。)
【0035】
【化10】
【0036】
(式中、R
2〜R
5は、同一又は異なって、置換若しくは非置換のアルキルを表し、Y
−は、1価のアニオンを表す。)
【0037】
【化11】
【0038】
(式中、R
6とR
8は同一又は異なって、置換若しくは非置換のアルキル、置換若しくは非置換のアルケニルを表し、R
7、R
9、R
10は、水素原子、置換若しくは非置換アルキル、置換若しくは非置換アルケニルを表し、Z
−は、1価のアニオンを表す。)
【0039】
【化12】
【0040】
(式中、R
11は、置換若しくは非置換のアルキル、置換若しくは非置換のアルケニルを表し、W
−は、1価のアニオンを表す。)
【0041】
[12] さらに、ペルオキシダーゼ及びロイコ型色原体を、それぞれ第1試薬と第2試薬、又は、第2試薬と第1試薬に含む、[11]記載の測定キット。
[13] ロイコ型色原体が、フェノチアジン系色原体である[12]記載の測定キット。
[14] フェノチアジン系色原体が、10−(カルボキシメチルアミノカルボニル)−3,7−ビス(ジメチルアミノ)フェノチアジンである[13]記載の測定キット。
【0042】
[15] ロイコ型色原体含有水溶液に、以下の一般式(I)で表わされるピリジニウム塩、以下の一般式(II)で表わされるホスホニウム塩、以下の一般式(III)で表わされるイミダゾリウム塩、及び、以下の一般式(IV)で表わされるイソキノリニウム塩からなる群より選ばれる少なくとも1種を添加することを特徴とする、ロイコ型色原体含有水溶液の保存方法。
【0043】
【化13】
【0044】
(式中、R
1は、置換若しくは非置換のアルキル、又は、置換若しくは非置換のアルケニルを表し、R
aは、水素原子、置換若しくは非置換のアルキル、又は、置換若しくは非置換のアルケニルを表し、nは、1〜5の整数を表し、X
−は、1価のアニオンを表す。)
【0045】
【化14】
【0046】
(式中、R
2〜R
5は、同一又は異なって、置換若しくは非置換のアルキルを表し、Y
−は、1価のアニオンを表す。)
【0047】
【化15】
【0048】
(式中、R
6とR
8は同一又は異なって、置換若しくは非置換のアルキル、置換若しくは非置換のアルケニルを表し、R
7、R
9、R
10は、水素原子、置換若しくは非置換アルキル、置換若しくは非置換アルケニルを表し、Z
−は、1価のアニオンを表す。)
【0049】
【化16】
【0050】
(式中、R
11は、置換若しくは非置換のアルキル、置換若しくは非置換のアルケニルを表し、W
−は、1価のアニオンを表す。)
【0051】
[16] ロイコ型色原体を、以下の一般式(I)で表わされるピリジニウム塩、以下の一般式(II)で表わされるホスホニウム塩、以下の一般式(III)で表わされるイミダゾリウム塩、及び、以下の一般式(IV)で表わされるイソキノリニウム塩からなる群より選ばれる少なくとも1種を含む水溶液中で共存させることを特徴とする、ロイコ型色原体の安定化方法。
【0052】
【化17】
【0053】
(式中、R
1は、置換若しくは非置換のアルキル、又は、置換若しくは非置換のアルケニルを表し、R
aは、水素原子、置換若しくは非置換のアルキル、又は、置換若しくは非置換のアルケニルを表し、nは、1〜5の整数を表し、X
−は、1価のアニオンを表す。)
【0054】
【化18】
【0055】
(式中、R
2〜R
5は、同一又は異なって、置換若しくは非置換のアルキルを表し、Y
−は、1価のアニオンを表す。)
【0056】
【化19】
【0057】
(式中、R
6とR
8は同一又は異なって、置換若しくは非置換のアルキル、置換若しくは非置換のアルケニルを表し、R
7、R
9、R
10は、水素原子、置換若しくは非置換アルキル、置換若しくは非置換アルケニルを表し、Z
−は、1価のアニオンを表す。)
【0058】
【化20】
【0059】
(式中、R
11は、置換若しくは非置換のアルキル、置換若しくは非置換のアルケニルを表し、W
−は、1価のアニオンを表す。)
【0060】
[17] ロイコ型色原体が、フェノチアジン系色原体である[15]または[16]記載の方法。
[18] フェノチアジン系色原体が、10−(カルボキシメチルアミノカルボニル)−3,7−ビス(ジメチルアミノ)フェノチアジンである[17]記載の方法。
【発明の効果】
【0061】
本発明により、ヘモグロビン含有試料中の糖化ヘモグロビンを正確に測定する方法、試薬及びキット、並びに、ヘモグロビン含有試料中の糖化ヘモグロビンの正確な測定を可能にする、ロイコ型色原体含有水溶液の保存方法、及び、ロイコ型色原体の安定化方法が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0063】
(1)ヘモグロビン含有試料中の糖化ヘモグロビンの測定方法
本発明の、ヘモグロビン含有試料中の糖化ヘモグロビンの測定方法は、ヘモグロビン含有試料中の糖化ヘモグロビンと、タンパク質分解酵素とを、後述の一般式(I)で表わされるピリジニウム塩、後述の一般式(II)で表わされるホスホニウム塩、後述の一般式(III)で表わされるイミダゾリウム塩、及び、後述の一般式(IV)で表わされるイソキノリニウム塩からなる群より選ばれる少なくとも1種の存在下に反応させ、得られる反応生成物にフルクトシルペプチド酸化酵素を作用させ、生成する過酸化水素を測定することを特徴とする方法である。
具体的には、以下の工程を含む測定方法である。
【0064】
(1)ヘモグロビン含有試料中の糖化ヘモグロビンと、タンパク質分解酵素とを、後述の一般式(I)で表わされるピリジニウム塩、後述の一般式(II)で表わされるホスホニウム塩、後述の一般式(III)で表わされるイミダゾリウム塩、及び、後述の一般式(IV)で表わされるイソキノリニウム塩からなる群より選ばれる少なくとも1種を含む水性媒体中で反応させる工程;
(2)工程(1)で得られる反応生成物にフルクトシルペプチド酸化酵素を作用させ、過酸化水素を生成させる工程;
(3)工程(2)で生成した過酸化水素を測定する工程;及び、
(4)既知濃度の糖化ヘモグロビンを用いて予め作成した、過酸化水素量と糖化ヘモグロビン濃度との関係を表す検量線に、工程(3)で測定した過酸化水素量を照らし合わせて、ヘモグロビン含有試料中の糖化ヘモグロビン濃度を決定する工程。
【0065】
また、本発明のヘモグロビン含有試料中の糖化ヘモグロビンの測定方法は、ヘモグロビン含有試料中の糖化ヘモグロビン量の総ヘモグロビン(すなわち、ヘモグロビンと糖化ヘモグロビンを合わせた総ヘモグロビン)量に対する割合を算出する方法をも包含する。この場合、本発明のヘモグロビン含有試料中の糖化ヘモグロビンの測定方法は、具体的には、以下の工程を含む測定方法である。
(1)ヘモグロビン含有試料中の総ヘモグロビン(すなわち、ヘモグロビンと糖化ヘモグロビンを合わせた総ヘモグロビン)量を測定する工程;
(2)ヘモグロビン含有試料中の糖化ヘモグロビンと、タンパク質分解酵素とを、後述の一般式(I)で表わされるピリジニウム塩、後述の一般式(II)で表わされるホスホニウム塩、後述の一般式(III)で表わされるイミダゾリウム塩、及び、後述の一般式(IV)で表わされるイソキノリニウム塩からなる群より選ばれる少なくとも1種を含む水性媒体中で反応させる工程;
(3)工程(2)で得られる反応生成物にフルクトシルペプチド酸化酵素を作用させ、過酸化水素を生成させる工程;
(4)工程(3)で生成した過酸化水素を測定する工程;
(5)既知量の糖化ヘモグロビンを用いて予め作成した、過酸化水素量と糖化ヘモグロビン量との関係を表す検量線に、工程(4)で測定した過酸化水素量を照らし合わせて、ヘモグロビン含有試料中の糖化ヘモグロビン量を測定する工程;及び、
(6)工程(1)で測定した総ヘモグロビン量と、工程(5)で測定した糖化ヘモグロビン量から、ヘモグロビン含有試料中の糖化ヘモグロビン量の総ヘモグロビン量に対する割合を算出する工程。
【0066】
尚、上記工程(1)の総ヘモグロビン量の測定は、ヘモグロビン含有試料に、後述の一般式(I)で表わされるピリジニウム塩、後述の一般式(II)で表わされるホスホニウム塩、後述の一般式(III)で表わされるイミダゾリウム塩、及び、後述の一般式(IV)で表わされるイソキノリニウム塩からなる群より選ばれる少なくとも1種を添加して、ヘモグロビン含有試料中のヘモグロビン及び糖化ヘモグロビンを変性させた後に行うこともできる。
【0067】
また、ヘモグロビン含有試料中の総ヘモグロビン量の測定は、ヘモグロビン含有試料に、タンパク質分解酵素と、後述の一般式(I)で表わされるピリジニウム塩、後述の一般式(II)で表わされるホスホニウム塩、後述の一般式(III)で表わされるイミダゾリウム塩、及び、後述の一般式(IV)で表わされるイソキノリニウム塩からなる群より選ばれる少なくとも1種とを添加して、変性させたヘモグロビン及び糖化ヘモグロビンをタンパク質分解酵素で分解させた後に行うこともできる。
【0068】
本発明の測定方法におけるヘモグロビン含有試料は、ヘモグロビンを含有し、本発明の糖化ヘモグロビンの測定方法が適用可能な試料であれば特に制限はなく、例えば全血、血球、血球に血漿が混在した試料、これらの試料を溶血処理した試料等が挙げられる。溶血処理としては、全血、血球、血球に血漿が混在した試料を溶血させる処理であれば特に制限はなく、例えば物理的方法、化学的方法、生物学的方法等が挙げられる。物理的方法としては、例えば蒸留水等の低張液を用いる方法、超音波を用いる方法等が挙げられる。化学的方法としては、例えばメタノール、エタノール、アセトン等の有機溶媒を用いる方法、ポリオキシエチレン系界面活性剤を用いる方法等が挙げられる。生物学的方法としては、例えば抗体や補体を用いる方法等が挙げられる。
【0069】
本発明における糖化ヘモグロビンは、ヘモグロビンにグルコース等の糖が結合して生成したものであり、ヘモグロビンA1a、ヘモグロビンA1b、ヘモグロビンA1c等が挙げられ、ヘモグロビンA1cが好ましい。
【0070】
本発明において、ピリジニウム塩としては、以下の一般式(I)で表わされるピリジニウム塩[以下、化合物(I)という]が使用される。
【0072】
式中、R
1は、置換若しくは非置換のアルキル、又は、置換若しくは非置換のアルケニルを表し、R
aは、水素原子、置換若しくは非置換のアルキル、又は、置換若しくは非置換のアルケニルを表し、nは、1〜5の整数を表し、X
−は、1価のアニオンを表す。
【0073】
R
1において、置換若しくは非置換のアルキルにおけるアルキルとしては、例えば炭素数1〜20の直鎖アルキル、炭素数3〜20の分岐アルキル等が挙げられ、炭素数8〜20の直鎖アルキル、炭素数8〜20の分岐アルキルが好ましい。炭素数1〜20の直鎖アルキルとしては、例えばメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル(ラウリル)、トリデシル、テトラデシル(ミリスチル)、ペンタデシル、ヘキサデシル(セチル)、ヘプタデシル、オクタデシル(ステアリル)、ノナデシル、イコシル等が挙げられる。炭素数3〜20の分岐アルキルとしては、例えばイソプロピル、イソブチル、イソペンチル、イソヘキシル、イソヘプチル、イソオクチル、イソノニル、イソデシル、イソウンデシル、イソドデシル、イソトリデシル、イソテトラデシル、イソペンタデシル、イソヘキサデシル、イソヘプタデシル、イソオクタデシル、イソノナデシル、イソイコシル、オクチルドデシル等が挙げられる。炭素数8〜20の直鎖アルキルとしては、例えばオクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル(ラウリル)、トリデシル、テトラデシル(ミリスチル)、ペンタデシル、ヘキサデシル(セチル)、ヘプタデシル、オクタデシル(ステアリル)、ノナデシル、イコシル等が挙げられる。炭素数8〜20の分岐アルキルとしては、例えばイソオクチル、イソノニル、イソデシル、イソウンデシル、イソドデシル、イソトリデシル、イソテトラデシル、イソペンタデシル、イソヘキサデシル、イソヘプタデシル、イソオクタデシル、イソノナデシル、イソイコシル、オクチルドデシル等が挙げられる。
【0074】
R
1において、置換若しくは非置換のアルケニルにおけるアルケニルとしては、例えば炭素数2〜20のアルケニル等が挙げられ、炭素数8〜20のアルケニルが好ましい。炭素数2〜20のアルケニルとしては、例えばビニル、プロピル、アリル、ブテニル、ペンテニル、ヘキセニル、ヘプテニル、オクテニル、ノネニル、デセニル、ウンデセニル、ドデセニル、テトラデセニル、ペンタデセニル、ヘキサデセニル、ヘプタデセニル、オクタデセニル、オレイル、ノナデセニル、イコセニル等が挙げられる。炭素数8〜20のアルケニルとしては、例えばオクテニル、ノネニル、デセニル、ウンデセニル、ドデセニル、テトラデセニル、ペンタデセニル、ヘキサデセニル、ヘプタデセニル、オクタデセニル、オレイル、ノナデセニル、イコセニル等が挙げられる。
【0075】
R
1において、置換アルキル及び置換アルケニルにおける置換基としては、例えばフェニル基、水酸基、スルホ基、シアノ基、ハロゲン原子等が挙げられる。ハロゲン原子としては、例えば塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。
【0076】
R
aにおいて、置換もしくは非置換のアルキルにおけるアルキルとしては、例えば炭素数1〜20の直鎖アルキル、炭素数3〜20の分岐アルキル等が挙げられる。炭素数1〜20の直鎖アルキルとしては、例えば前述の炭素数1〜20の直鎖アルキル等が挙げられる。炭素数3〜20の分岐アルキルとしては、例えば前述の炭素数3〜20の分岐アルキル等が挙げられる。
【0077】
R
aにおいて、置換もしくは非置換のアルケニルにおけるアルケニルにとしては、例えば炭素数2〜20のアルケニル等が挙げられる。炭素数2〜20のアルケニルとしては、例えば前述の炭素数2〜20のアルケニル等が挙げられる。
【0078】
R
aにおいて、置換アルキル及び置換アルケニルにおける置換基としては、例えばフェニル基、水酸基、スルホ基、シアノ基、ハロゲン原子等が挙げられる。フェニル基置換アルキルとしては、例えばベンジル、1−フェニルエチル等が挙げられる。ハロゲン原子としては、例えば塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。
【0079】
ピリジン環上に2つ以上の置換基がある場合、置換基は同じであっても異なっていてもよい。化合物(I)におけるX
−は、1価のアニオンを表す。1価のアニオンとしては、例えばハロゲンイオン、OH
-、PF
6-、BF
4-、CH
3CH
2OSO
3-、(CF
3SO
2)
2N
-等のアニオンが挙げられる。ハロゲンイオンとしては、例えばCl
-、Br
-、I
-等が挙げられる。
【0080】
化合物(I)の具体例(製品)としては、例えば1−ドデシルピリジニウムクロライド(以下、C12pyと記す;東京化成社製)、1−セチルピリジニウムクロライド(以下、C16pyと記す;東京化成社製)、1−セチル−4−メチルピリジニウムクロライド(東京化成社製)、N−オクタデシル−4−スチルバゾールブロミド(東京化成社製)等が挙げられる。
【0081】
本発明の糖化ヘモグロビンの測定方法における化合物(I)の反応液中の濃度は、通常0.0001〜10%である。
【0082】
本発明において、ホスホニウム塩としては、以下の一般式(II)で表わされるホスホニウム塩[以下、化合物(II)という]が使用される。
【0084】
式中、R
2〜R
5は、同一又は異なって、置換若しくは非置換のアルキルを表し、Y
−は、1価のアニオンを表す。
【0085】
R
2において、置換若しくは非置換のアルキルにおけるアルキルとしては、例えば炭素数8〜20の直鎖アルキル、炭素数8〜20の分岐アルキル等が挙げられる。炭素数8〜20の直鎖アルキルとしては、例えば前述の炭素数8〜20の直鎖アルキル等が挙げられる。炭素数8〜20の分岐アルキルとしては、例えば前述の炭素数8〜20の分岐アルキル等が挙げられる。置換アルキルにおける置換基としては、例えばフェニル基、水酸基、スルホ基、シアノ基、ハロゲン原子等が挙げられる。フェニル基置換アルキルとしては、例えばベンジル、1−フェニルエチル等が挙げられる。ハロゲン原子としては、例えば塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。
【0086】
R
3〜R
5において、置換若しくは非置換のアルキルにおけるアルキルとしては、例えば炭素数1〜20の直鎖アルキル、炭素数3〜20の分岐アルキル等が挙げられる。炭素数1〜20の直鎖アルキルとしては、例えば前述の炭素数1〜20の直鎖アルキル等が挙げられる。炭素数3〜20の分岐アルキルとしては、例えば前述の炭素数3〜20の分岐アルキル等が挙げられる。置換アルキルにおける置換基としては、例えばフェニル基、水酸基、スルホ基、シアノ基、ハロゲン原子等が挙げられる。フェニル基置換アルキルとしては、例えばベンジル、1−フェニルエチル等が挙げられる。ハロゲン原子としては、例えば塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。
【0087】
Y
−は、1価のアニオンを表す。1価のアニオンとしては、例えばハロゲンイオン、OH
-、PF
6-、BF
4-、CH
3CH
2OSO
3-、(CF
3SO
2)
2N
-、B(C
6H
5)
4-、ベンゾトリアゾレート等のアニオンが挙げられる。ハロゲンイオンとしては、例えばCl
-、Br
-、I
-等が挙げられる。
【0088】
化合物(II)の具体例(製品)としては、例えばテトラオクチルホスホニウムブロマイド(東京化成社製)、トリブチルオクチルホスホニウムブロマイド(東京化成社製)、トリブチルドデシルホスホニウムブロマイド(以下、C12TBPと記す;東京化成社製)、トリブチルヘキサデシルホスホニウムブロマイド(以下、C16TBPと記す;東京化成社製)等が挙げられる。
【0089】
本発明の糖化ヘモグロビンの測定方法における化合物(II)の反応液中の濃度は、通常0.0001〜10%である。
【0090】
本発明において、イミダゾリウム塩としては、以下の一般式(III)で表わされるイミダゾリウム塩[以下、化合物(III)という]が使用される。
【0092】
式中、R
6とR
8は同一又は異なって、置換若しくは非置換のアルキル、置換若しくは非置換のアルケニルを表し、R
7、R
9、R
10は、水素原子、置換若しくは非置換アルキル、置換若しくは非置換アルケニルを表し、Z
−は、1価のアニオンを表す。
【0093】
R
6において、置換若しくは非置換のアルキルにおけるアルキルとしては、例えば炭素数8〜20の直鎖アルキル、炭素数8〜20の分岐アルキル等が挙げられる。炭素数8〜20の直鎖アルキルとしては、例えば前述の炭素数8〜20の直鎖アルキル等が挙げられる。炭素数8〜20の分岐アルキルとしては、例えば前述の炭素数8〜20の分岐アルキル等が挙げられる。
【0094】
R
6において、置換若しくは非置換のアルケニルにおけるアルケニルとしては、例えば炭素数8〜20のアルケニル等が挙げられる。炭素数8〜20のアルケニルとしては、例えば前述の炭素数8〜20のアルケニル等が挙げられる。
【0095】
R
6において、置換アルキル及び置換アルケニルにおける置換基としては、例えばフェニル基、水酸基、スルホ基、シアノ基、ハロゲン原子等が挙げられる。フェニル基置換アルキルとしては、例えばベンジル、1−フェニルエチル等が挙げられる。ハロゲン原子としては、例えば塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。
【0096】
R
7、R
8、R
9及びR
10において、置換若しくは非置換のアルキルにおけるアルキルとしては、例えば炭素数1〜20の直鎖アルキル、炭素数3〜20の分岐アルキル等が挙げられる。炭素数1〜20の直鎖アルキルとしては、前述の炭素数1〜20の直鎖アルキル等が挙げられる。炭素数3〜20の分岐アルキルとしては、例えば前述の炭素数3〜20の分岐アルキル等が挙げられる。
【0097】
R
7、R
8、R
9及びR
10において、置換若しくは非置換のアルケニルにおけるアルケニルとしては、例えば炭素数2〜20のアルケニル等が挙げられる。炭素数2〜20のアルケニルとしては、例えば前述の炭素数2〜20のアルケニル等が挙げられる。
【0098】
R
7、R
8、R
9及びR
10において、置換アルキル及び置換アルケニルにおける置換基としては、例えばフェニル基、水酸基、スルホ基、シアノ基、ハロゲン原子等が挙げられる。フェニル基置換アルキルとしては、例えばベンジル、1−フェニルエチル等が挙げられる。ハロゲン原子としては、例えば塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。
【0099】
Z
−は、1価のアニオンを表す。1価のアニオンとしては、例えばハロゲンイオン、OH
-、PF
6-、BF
4-、CH
3CH
2OSO
3-、(CF
3SO
2)
2N
-、(CH
3O)
2P(=O)O
-、B(C
6H
5)
4-、FeCl
4-、CF
3BF
3-、CF
3SO
3-、(NC)
2N
-、CH
3(OCH
2CH
2)
2OSO
3-、CH
3CH
2OSO
3-、HSO
4-、4-CH
3C
6H
4SO
3-等のアニオンが挙げられる。ハロゲンイオンとしては、例えばCl
-、Br
-、I
-等が挙げられる。
【0100】
化合物(III)の具体例(製品)としては、例えば1−メチル−3−オクチルイミダゾリウムブロマイド(東京化成社製)、1−メチル−3−オクチルイミダゾリウムクロライド(東京化成社製)、1−ドデシル−2−メチル−3−ベンジルイミダゾリウムクロライド(以下、C12MBIと記す;和光純薬工業社製)等が挙げられる。
【0101】
本発明の測定方法における化合物(III)の反応液中の濃度は、通常0.0001〜10%である。
【0102】
本発明において、イソキノリニウム塩としては、以下の一般式(IV)で表わされるイソキノリニウム塩[以下、化合物(IV)という]が使用される。
【0104】
式中、R
11は、置換若しくは非置換のアルキル、置換若しくは非置換のアルケニルを表し、W
−は、1価のアニオンを表す。
【0105】
R
11において、置換若しくは非置換のアルキルにおけるアルキルとしては、例えば炭素数8〜20の直鎖アルキル、炭素数8〜20の分岐アルキル等が挙げられる。炭素数8〜20の直鎖アルキルとしては、例えば前述の炭素数8〜20の直鎖アルキル等が挙げられる。炭素数8〜20の分岐アルキルとしては、例えば前述の炭素数8〜20の分岐アルキル等が挙げられる。
【0106】
R
11において、置換若しくは非置換のアルケニルにおけるアルケニルとしては、例えば炭素数8〜20のアルケニル等が挙げられる。炭素数8〜20のアルケニルとしては、例えば前述の炭素数8〜20のアルケニル等が挙げられる。
【0107】
R
11において、置換アルキル及び置換アルケニルにおける置換基としては、例えばフェニル基、水酸基、スルホ基、シアノ基、ハロゲン原子等が挙げられる。フェニル基置換アルキルとしては、例えばベンジル、1−フェニルエチル等が挙げられる。ハロゲン原子としては、例えば塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。
【0108】
W
−は、1価のアニオンを表す。1価のアニオンとしては、例えばハロゲンイオン等のアニオンが挙げられる。ハロゲンイオンとしては、例えばCl
-、Br
-、I
-等が挙げられる。
【0109】
化合物(IV)の具体例(製品)としては、例えばN−ラウリルイソキノリニウムクロライド(日油社製)、N−ラルリルイソキノリニウムブロマイド(日油社製)等が挙げられる。
【0110】
本発明の測定方法における化合物(IV)の反応液中の濃度は、通常0.0001〜10%である。
【0111】
総ヘモグロビン量は、公知の方法、例えばシアンメトヘモグロビン法、オキシヘモグロビン法、SLS−ヘモグロビン法等によって決定することができる。総ヘモグロビン量は、ヘモグロビン含有試料そのもののみならず、ヘモグロビン含有試料に、化合物(I)、化合物(II)、化合物(III)及び化合物(IV)からなる群より選ばれる少なくとも1種を添加して得られる試料や、ヘモグロビン含有試料に、化合物(I)、化合物(II)、化合物(III)及び化合物(IV)からなる群より選ばれる少なくとも1種とタンパク質分解酵素とを添加して得られる試料に対して、シアンメトヘモグロビン法、オキシヘモグロビン法、SLS−ヘモグロビン法等を適用することによっても決定することができる。
【0112】
化合物(I)、化合物(II)、化合物(III)及び化合物(IV)からなる群より選ばれる少なくとも1種を含む水性媒体中での、ヘモグロビン含有試料中の糖化ヘモグロビンと、タンパク質分解酵素との反応は、タンパク質分解酵素が糖化ヘモグロビンに作用し得る条件であれば、いかなる条件下でも行うことができる。ヘモグロビン含有試料中の糖化ヘモグロビンと、タンパク質分解酵素との反応は、水性媒体中で行うことが好ましい。水性媒体としては後述の水性媒体等が挙げられる。ヘモグロビン含有試料中の糖化ヘモグロビンと、タンパク質分解酵素との反応における反応温度は、通常10〜50℃であり、20〜40℃が好ましく、反応時間は、通常1分間〜3時間であり、2.5分間〜1時間が好ましい。タンパク質分解酵素の濃度としては、ヘモグロビン含有試料中の糖化ヘモグロビンと、タンパク質分解酵素との反応が進行する濃度であれば特に制限はなく、通常50〜25000kU/Lであり、好ましくは250〜10000kU/Lである。
【0113】
タンパク質分解酵素としては、ヘモグロビン含有試料中の糖化ヘモグロビンに作用し、糖化ヘモグロビンから糖化ペプチドを生成させる酵素であれば特に制限はなく、例えばセリンプロテアーゼ(キモトリプシン、スブチリシン等)、システインプロテアーゼ(パパイン、カスパーゼ等)、アスパラギン酸プロテアーゼ(ペプシン、カテプシンD等)、メタロプロテアーゼ(サーモリシン等)、N−末端スレオニンプロテアーゼ、グルタミン酸プロテアーゼ等が挙げられる。本発明においては、市販のタンパク質分解酵素も使用することができ、市販品としては例えばプロテアーゼP「アマノ」3G、プロテアーゼK「アマノ」(以上、天野エンザイム社製)、アクチナーゼAS、アクチナーゼE(以上、科研ファルマ社製)、サーモリシン(大和化成社製)、スミチームMP(新日本化学工業社製)等が挙げられる。
【0114】
ヘモグロビン含有試料中の糖化ヘモグロビンと、タンパク質分解酵素との反応により、糖化ペプチドを含む反応生成物が生成する。次いで、この反応生成物中の糖化ペプチドはフルクトシルペプチド酸化酵素と反応し、過酸化水素を生成する。糖化ペプチドとフルクトシルペプチド酸化酵素との反応は、水性媒体中で行うことが好ましい。水性媒体としては後述の水性媒体等が挙げられる。糖化ペプチドとフルクトシルペプチド酸化酵素との反応における反応温度は、通常10〜50℃であり、20〜40℃が好ましく、反応時間は、通常1分間〜3時間であり、2.5分間〜1時間が好ましい。フルクトシルペプチド酸化酵素の濃度としては、糖化ヘモグロビンとフルクトシルペプチド酸化酵素との反応が進行する濃度であれば特に制限はなく、通常0.1〜30kU/Lであり、好ましくは0.2〜15kU/Lである。
【0115】
本発明に用いられるフルクトシルペプチド酸化酵素としては、糖化ペプチドに作用して過酸化水素を生成させる酵素であれば特に制限はなく、例えば糸状菌由来、酵母由来、放線菌由来、バクテリア由来、古細菌由来のフルクトシルペプチド酸化酵素等が挙げられる。本発明においては、市販のフルクトシルペプチド酸化酵素も使用することができ、市販品としては例えばFPOX−CE(キッコーマン社製)、FPOX−EE(キッコーマン社製)、FPOX−CET(キッコーマン社製)等が挙げられる。
【0116】
生成した過酸化水素の測定方法としては、過酸化水素を測定し得る方法であれば特に制限はなく、例えば電極を用いる方法、過酸化水素測定用試薬を用いる方法等が挙げられ、過酸化水素測定用試薬を用いる方法が好ましい。過酸化水素測定用試薬は、過酸化水素を検出可能な物質に変換するための試薬である。検出可能な物質としては、例えば色素、光(発光)、蛍光等が挙げられ、色素が好ましい。
【0117】
検出可能な物質が色素の場合、過酸化水素測定用試薬は、ペルオキシダーゼ等の過酸化活性物質と酸化発色型色原体を含む試薬等が挙げられる。酸化発色型色原体としては、酸化カップリング型色原体、ロイコ型色原体等が挙げられ、ロイコ型色原体が好ましい。ロイコ型色原体としては、例えばフェノチアジン系色原体、トリフェニルメタン系色原体、ジフェニルアミン系色原体、o−フェニレンジアミン、ヒドロキシプロピオン酸、ジアミノベンジジン、テトラメチルベンジジン等が挙げられ、フェノチアジン系色原体が好ましい。フェノチアジン系色原体としては、例えば10−N−カルボキシメチルカルバモイル−3,7−ビス(ジメチルアミノ)−10H−フェノチアジン(CCAP)、10−N−メチルカルバモイル−3,7−ビス(ジメチルアミノ)−10H−フェノチアジン(MCDP)、10−N−(カルボキシメチルアミノカルボニル)−3,7−ビス(ジメチルアミノ)−10H−フェノチアジン ナトリウム塩(DA−67)等が挙げられる。フェノチアジン系色原体の中でも、10−N−(カルボキシメチルアミノカルボニル)−3,7−ビス(ジメチルアミノ)−10H−フェノチアジン ナトリウム塩(DA−67)が特に好ましい。トリフェニルメタン系色原体としては、例えばN,N,N’,N’,N’’,N’’−ヘキサ(3−スルホプロピル)−4,4’,4’’−トリアミノトリフェニルメタン(TPM−PS)等が挙げられる。ジフェニルアミン系色原体としては、例えばN−(カルボキシメチルアミノカルボニル)−4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ジフェニルアミン ナトリウム塩(DA−64)、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ジフェニルアミン、ビス〔3−ビス(4−クロロフェニル)メチル−4−ジメチルアミノフェニル〕アミン(BCMA)等が挙げられる。
【0118】
検出可能な物質が光(発光)の場合、過酸化水素測定用試薬は、ペルオキシダーゼ等の過酸化活性物質と化学発光物質を含む試薬等が挙げられる。化学発光物質としては、例えばルミノール、イソルミノール、ルシゲニン、アクリジニウムエステル等が挙げられる。
【0119】
検出可能な物質が蛍光の場合、過酸化水素測定用試薬は、ペルオキシダーゼ等の過酸化活性物質と蛍光物質を含む試薬等が挙げられる。蛍光物質としては、例えば4−ヒドロキシフェニル酢酸、3−(4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸、クマリン等が挙げられる。
【0120】
(2)ヘモグロビン含有試料中の糖化ヘモグロビン測定試薬
本発明の、ヘモグロビン含有試料中の糖化ヘモグロビン測定試薬は、タンパク質分解酵素、フルクトシルペプチド酸化酵素、及び、化合物(I)、化合物(II)、化合物(III)及び化合物(IV)からなる群より選ばれる少なくとも1種を含む試薬であり、本発明のヘモグロビン含有試料中の糖化ヘモグロビン測定方法に用いられる。本発明の測定試薬は、さらに、過酸化水素測定試薬を含んでいてもよい。
【0121】
本発明の測定試薬におけるタンパク質分解酵素、フルクトシルペプチド酸化酵素、化合物(I)、化合物(II)、化合物(III)、化合物(IV)及び過酸化水素測定試薬としては、例えば、それぞれ、前述のタンパク質分解酵素、フルクトシルペプチド酸化酵素、化合物(I)、化合物(II)、化合物(III)、化合物(IV)及び過酸化水素測定試薬等が挙げられる。
【0122】
本発明の測定試薬におけるタンパク質分解酵素の濃度は、通常50〜25000kU/Lであり、好ましくは250〜10000kU/Lである。本発明の測定試薬におけるフルクトシルペプチド酸化酵素の濃度は、通常0.1〜30kU/Lであり、好ましくは0.2〜15kU/Lである。
【0123】
本発明の測定試薬における化合物(I)の濃度は、通常0.0001〜10%である。本発明の測定試薬における化合物(II)の濃度は、通常0.0001〜10%である。本発明の測定試薬における化合物(III)の濃度は、通常0.0001〜10%である。本発明の測定試薬における化合物(IV)の濃度は、通常0.0001〜10%である。
【0124】
本発明の測定試薬には、必要に応じて、水性媒体、安定化剤、防腐剤、塩類、干渉物質消去剤、有機溶媒等が含有されてもよい。
水性媒体としては、例えば脱イオン水、蒸留水、緩衝液等が挙げられ、緩衝液が好ましい。
【0125】
水性媒体のpHは、本発明の糖化ヘモグロビンの測定試薬を用いる糖化ヘモグロビンの測定方法を可能とするpHであれば特に制限はなく、例えばpH4〜10である。水性媒体として緩衝液を用いる場合には、設定するpHに応じた緩衝剤を用いることが望ましい。緩衝液に用いる緩衝剤としては、例えばトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン緩衝剤、リン酸緩衝剤、ホウ酸緩衝剤、グッドの緩衝剤等が挙げられる。
【0126】
グッドの緩衝剤としては、例えば2−モルホリノエタンスルホン酸(MES)、ビス(2−ヒドロキシエチル)イミノトリス(ヒドロキシメチル)メタン(Bis−Tris)、N−(2−アセトアミド)イミノ二酢酸(ADA)、ピペラジン−N,N’−ビス(2−エタンスルホン酸)(PIPES)、N−(2−アセトアミド)−2−アミノエタンスルホン酸(ACES)、3−モルホリノ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸(MOPSO)、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−2−アミノエタンスルホン酸(BES)、3−モルホリノプロパンスルホン酸(MOPS)、N−〔トリス(ヒドロキシメチル)メチル〕−2−アミノエタンスルホン酸(TES)、2−〔4−(2−ヒドロキシエチル)−1−ピペラジニル〕エタンスルホン酸(HEPES)、3−〔N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)アミノ〕−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸(DIPSO)、N−〔トリス(ヒドロキシメチル)メチル〕−2−ヒドロキシ−3−アミノプロパンスルホン酸(TAPSO)、ピペラジン−N,N’−ビス(2−ヒドロキシプロパンスルホン酸)(POPSO)、3−〔4−(2−ヒドロキシエチル)−1−ピペラジニル〕−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸(HEPPSO)、3−〔4−(2−ヒドロキシエチル)−1−ピペラジニル〕プロパンスルホン酸〔(H)EPPS〕、N−〔トリス(ヒドロキシメチル)メチル〕グリシン(Tricine)、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)グリシン(Bicine)、N−トリス(ヒドロキシメチル)メチル−3−アミノプロパンスルホン酸(TAPS)、N−シクロヘキシル−2−アミノエタンスルホン酸(CHES)、N−シクロヘキシル−3−アミノ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸(CAPSO)、N−シクロヘキシル−3−アミノプロパンスルホン酸(CAPS)等が挙げられる。
【0127】
緩衝液の濃度は、通常0.001〜2.0mol/Lであり、0.005〜1.0mol/Lが好ましい。
【0128】
安定化剤としては、例えばエチレンジアミン四酢酸(EDTA)、シュークロース、塩化カルシウム、酢酸カルシウム、硝酸カルシウム、フェロシアン化カリウム、牛血清アルブミン(BSA)、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル等のポリオキシエチレン系界面活性剤等が挙げられる。防腐剤としては、例えばアジ化ナトリウム、抗生物質等があげられる。塩類としては、例えば塩化ナトリウム、硝酸ナトリウム、硫酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、ギ酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、塩化カリウム、硝酸カリウム、硫酸カリウム、炭酸カリウム、ギ酸カリウム、酢酸カリウム等が挙げられる。干渉物質消去剤としては、例えばアスコルビン酸の影響を消去するためのアスコルビン酸オキシダーゼ等が挙げられる。有機溶媒としては、例えばロイコ型色原体の水性媒体への溶解補助剤としてのジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキサイド(DMSO)、ジオキサン、アセトン、メタノール、エタノール等が挙げられる。
【0129】
(3)ヘモグロビン含有試料中の糖化ヘモグロビン測定キット
本発明のヘモグロビン含有試料中の糖化ヘモグロビン測定試薬は、キットの形態で保存、流通及び使用されてよい。本発明のヘモグロビン含有試料中の糖化ヘモグロビン測定キットは、本発明のヘモグロビン含有試料中の糖化ヘモグロビンの測定方法に用いられる。本発明の測定キットとしては、例えば2試薬系のキット、3試薬系のキット等が挙げられ、2試薬系キットが好ましい。
【0130】
本発明のヘモグロビン含有試料中の糖化ヘモグロビン測定キットは、本発明のヘモグロビン含有試料中の糖化ヘモグロビン測定方法を可能とするキットであれば、特に制限はなく、2試薬系キットの場合は、例えばタンパク質分解酵素、及び、化合物(I)、化合物(II)、化合物(III)及び化合物(IV)からなる群より選ばれる少なくとも1種を含む第1試薬と、フルクトシルペプチド酸化酵素を含む第2試薬とを含むキットや、タンパク質分解酵素、及び、化合物(I)、化合物(II)、化合物(III)及び化合物(IV)からなる群より選ばれる少なくとも1種を含む第1試薬と、フルクトシルペプチド酸化酵素を含む第2試薬とを含み、過酸化水素測定試薬を、第1試薬、第2試薬のいずれか又は両方に含むキット等が挙げられる。過酸化水素測定試薬として、ペルオキシダーゼとロイコ型色原体とを含む試薬を用いる場合は、ペルオキシダーゼとロイコ型色原体とは別々の試薬に含まれることが好ましい。すなわち、ペルオキシダーゼとロイコ型色原体とが、それぞれ第1試薬と第2試薬に、又は、第2試薬と第1試薬に含まれることが好ましい。
【0131】
本発明の測定キットにおけるタンパク質分解酵素の濃度は、通常100〜30000kU/Lであり、好ましくは500〜10000kU/Lである。本発明の測定キットにおけるフルクトシルペプチド酸化酵素の濃度は、通常0.5〜100kU/Lであり、好ましくは1〜50kU/Lである。
【0132】
本発明の測定キットを構成する試薬における化合物(I)の濃度は、通常0.0001〜10%である。本発明の測定キットにおける化合物(II)の濃度は、通常0.0001〜10%である。本発明の測定キットにおける化合物(III)の濃度は、通常0.0001〜10%である。本発明の測定キットにおける化合物(IV)の濃度は、通常0.0001〜10%である。
【0133】
(4)ロイコ型色原体含有水溶液の保存方法とロイコ型色原体の安定化方法
本発明は、ロイコ型色原体含有水溶液の保存方法に関する。本発明のロイコ型色原体含有水溶液の保存方法により、水溶液中でロイコ型色原体が安定に保存される。本発明において、ロイコ型色原体が水溶液中で安定に保存されるとは、水溶液中でロイコ型色原体が熱に対して安定であるか、又は、光に対して安定であることを意味するが、好ましくは、熱及び光に対して安定であることを意味する。本発明のロイコ型色原体含有水溶液の保存方法においては、化合物(I)、化合物(II)、化合物(III)及び化合物(IV)からなる群より選ばれる少なくとも1種が、ロイコ型色原体含有水溶液に添加される。化合物(I)、化合物(II)、化合物(III)及び化合物(IV)としては、前述の化合物(I)、化合物(II)、化合物(III)及び化合物(IV)が挙げられる。
【0134】
本発明のロイコ型色原体含有水溶液の保存方法における化合物(I)、化合物(II)、化合物(III)及び化合物(IV)の濃度としては、通常0.0001〜10%であり、0.0005〜5%が好ましい。
【0135】
本発明のロイコ型色原体の保存方法において、ロイコ型色原体の保存安定性は、ロイコ型色原体含有水溶液の着色により評価することができ、着色が大きい程、すなわち、ロイコ型色原体含有水溶液の吸光度が大きい程、安定性が悪いと評価することができる。一方、ロイコ型色原体含有水溶液の着色が小さい程、すなわち、ロイコ型色原体含有水溶液の吸光度が小さい程、安定性が良いと評価することができる。
【0136】
本発明におけるロイコ型色原体含有水溶液とは、ロイコ型色原体が水性媒体中に溶解された水溶液であり、ロイコ型色原体を水性媒体に添加して溶解させることにより調製することができる。ロイコ型色原体が溶解される水性媒体は、ロイコ型色原体が溶解されれば特に制限はなく、例えば脱イオン水、蒸留水、緩衝液等が挙げられ、緩衝液が好ましい。また、ロイコ型色原体含有水溶液の調製に際して、ロイコ型色原体の水性媒体への溶解補助剤として、有機溶媒を用いることもできる。有機溶媒に溶解させたロイコ型色原体を水性媒体に添加し、ロイコ型色原体を水性媒体に溶解させ、ロイコ型色原体含有水溶液を調製することもできる。有機溶媒としては、ロイコ型色原体を溶解させるものであれば特に制限はなく、例えばジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ジオキサン、アセトン、メタノール、エタノール等が挙げられる。
【0137】
水性媒体のpHは、ロイコ型色原体が溶解されるpHであれば特に制限はなく、例えばpH4〜10である。水性媒体として緩衝液を用いる場合には、設定するpHに応じた緩衝剤を用いることが望ましい。緩衝液に用いる緩衝剤としては、例えば前述の緩衝剤等が挙げられる。
【0138】
緩衝液の濃度は、ロイコ型色原体が溶解される濃度であれば特に制限はなく、通常0.001〜2.0mol/Lであり、0.005〜1.0mol/Lが好ましい。
【0139】
本発明におけるロイコ型色原体としては、例えば前述のロイコ型色原体等が挙げられる。
【0140】
さらに、本発明は、ロイコ型色原体の安定化方法に関する。本発明におけるロイコ型色原体の安定化とは、ロイコ型色原体含有水溶液中のロイコ型色原体が、熱に対して安定化されるか、又は、光に対して安定化されることを意味するが、好ましくは、熱及び光に対して安定化されることを意味する。ここで、ロイコ型色原体の安定化は、ロイコ型色原体含有水溶液の着色により評価することができ、着色が大きい程、すなわち、ロイコ型色原体含有水溶液の吸光度が大きい程、安定性が悪いと評価する。一方、ロイコ型色原体含有水溶液の着色が小さい程、すなわち、ロイコ型色原体含有水溶液の吸光度が小さい程、安定性が良いと評価する。
【0141】
本発明のロイコ型色原体の安定化方法においては、ロイコ型色原体を化合物(I)、化合物(II)、化合物(III)及び化合物(IV)からなる群より選ばれる少なくとも1種を含む水溶液中で共存させる。本発明のロイコ型色原体の安定化方法に用いられる化合物(I)、化合物(II)、化合物(III)及び化合物(IV)としては、前述の化合物(I)、化合物(II)、化合物(III)及び化合物(IV)が挙げられる。
【0142】
本発明の安定化方法において用いられるロイコ型色原体及びロイコ型色原体含有水溶液としては、前述のロイコ型色原体の保存方法におけるロイコ型色原体及びロイコ型色原体含有水溶液が挙げられる。本発明においてロイコ型色原体含有水溶液中のロイコ型色原体の濃度は、ロイコ型色原体が水性媒体に溶解される濃度であれば特に制限はされないが、通常0.0001〜2.0mmol/Lであり、0.0005〜1.0mmol/Lが好ましい。
【0143】
本発明において水溶液中にロイコ型色原体と共存させる化合物(I)、化合物(II)、化合物(III)及び化合物(IV)の濃度としては、通常0.0001〜10%であり、0.0005〜5%が好ましい。
【0144】
本発明におけるロイコ型色原体の熱に対する安定性を測定する方法は、熱に対するロイコ型色原体の安定性を測定することができれば特に制限はなく、例えば、ロイコ型色原体を含有する水溶液を、5℃または30℃で保存した後の水溶液の着色を吸光度計により測定する方法等が挙げられる。
【0145】
また、本発明におけるロイコ型色原体の光による安定性を測定する方法は、光に対するロイコ型色原体の安定性を測定することができれば特に制限はなく、例えば、ロイコ型色原体を含有する水溶液に15時間光を照射し、照射後の水溶液の着色を吸光度計により測定する方法等が挙げられる。
【0146】
以下、実施例により本発明をより詳細に説明するが、これらは本発明の範囲を何ら限定するものではない。
尚、本実施例、比較例及び試験例においては、下記メーカーの試薬及び酵素を使用した。
【0147】
Bis−Tris(同仁化学研究所社製)、ADA(同仁化学研究所社製)、MES(同仁化学研究所社製)、酢酸カルシウム1水和物(関東化学社製)、塩化カルシウム2水和物(和光純薬工業社製)、DA−67(和光純薬工業社製)、1−ドデシルピリジニウムクロライド(C12py)(ピリジニウム塩;東京化成社製)、1−セチルピリジニウムクロライド(C16py)(ピリジニウム塩;東京化成社製)、ドデシルトリブチルホスホニウムクロライド(C12TBP)(ホスホニウム塩;東京化成社製)、ヘキサデシルトリブチルホスホニウムクロライド(C16TBP)(ホスホニウム塩;東京化成社製)、1−ドデシル−2−メチル−3−ベンジルイミダゾリウムクロライド(C12MBI)(イミダゾリウム塩;和光純薬工業社製)、N−ラウリルイソキノリニウムクロライド(フィレットQ)(イソキノリニウム塩;日油社製)、サーモリシン(タンパク質分解酵素;大和化成社製)、アクチナーゼAS(タンパク質分解酵素;科研ファルマ社製)、FPOX−CE(フルクトシルペプチド酸化酵素;キッコーマン社製)、ペルオキシダーゼ(東洋紡績社製)。
【実施例1】
【0148】
以下の第一試薬及び第二試薬からなるHbA1c測定用キットを調製した。
第一試薬
Bis−Tris(pH6.0) 10mmol/L
C12py 2.0g/L
酢酸カルシウム1水和物 10mmol/L
サーモリシン 1200kU/L
DA−67 20μmol/L
第二試薬
ADA(pH7.0) 50mmol/L
FPOX−CE 12kU/L
ペルオキシダーゼ 120kU/L
【実施例2】
【0149】
以下の第一試薬及び第二試薬からなるHbA1c測定用キットを調製した。
第一試薬
Bis−Tris(pH6.0) 10mmol/L
C16py 0.35g/L
酢酸カルシウム1水和物 10mmol/L
サーモリシン 1200kU/L
DA−67 20μmol/L
第二試薬
ADA(pH7.0) 50mmol/L
FPOX−CE 12kU/L
ペルオキシダーゼ 120kU/L
【実施例3】
【0150】
以下の第一試薬及び第二試薬からなるHbA1c測定用キットを調製した。
第一試薬
Bis−Tris(pH6.0) 10mmol/L
C12TBP 0.8g/L
酢酸カルシウム1水和物 10mmol/L
サーモリシン 1200kU/L
DA−67 20μmol/L
第二試薬
ADA(pH7.0) 50mmol/L
FPOX−CE 12kU/L
ペルオキシダーゼ 120kU/L
【実施例4】
【0151】
以下の第一試薬及び第二試薬からなるHbA1c測定用キットを調製した。
第一試薬
Bis−Tris(pH6.0) 10mmol/L
C16TBP 0.2g/L
酢酸カルシウム1水和物 10mmol/L
サーモリシン 1200kU/L
DA−67 20μmol/L
第二試薬
ADA(pH7.0) 50mmol/L
FPOX−CE 12kU/L
ペルオキシダーゼ 120kU/L
【実施例5】
【0152】
以下の第一試薬及び第二試薬からなるHbA1c測定用キットを調製した。
第一試薬
Bis−Tris(pH6.0) 10mmol/L
C12MBI 0.5g/L
酢酸カルシウム1水和物 10mmol/L
サーモリシン 1200kU/L
DA−67 20μmol/L
第二試薬
ADA(pH7.0) 50mmol/L
FPOX−CE 12kU/L
ペルオキシダーゼ 120kU/L
【実施例6】
【0153】
以下の第一試薬及び第二試薬からなるHbA1c測定用キットを調製した。
第一試薬
Bis−Tris(pH6.0) 10mmol/L
フィレットQ 0.5g/L
酢酸カルシウム1水和物 10mmol/L
サーモリシン 1200kU/L
DA−67 20μmol/L
第二試薬
ADA(pH7.0) 50mmol/L
FPOX−CE 12kU/L
ペルオキシダーゼ 120kU/L
【0154】
比較例1
以下の第一試薬及び第二試薬からなるHbA1c測定用キットを調製した。
第一試薬
Bis−Tris(pH6.0) 10mmol/L
酢酸カルシウム1水和物 10mmol/L
サーモリシン 1200kU/L
DA−67 20μmol/L
第二試薬
ADA(pH7.0) 50mmol/L
FPOX−CE 12kU/L
ペルオキシダーゼ 120kU/L
【実施例7】
【0155】
HbA1c測定用キットとして、実施例1のキットを、試料として、ヒトの血液を遠心分離して得られる血球を脱イオン水で希釈して溶血させて調製され、HbA1c測定の基準法であるKO500法と、ヘモグロビン測定法の1つであるSLS−ヘモグロビン法とからHbA1c濃度が2.7μmol/L、3.4μmol/L、4.0μmol/L、5.0μmol/L、6.8μmol/Lと値付されている溶血試料を用いて、以下の手順により、各試料に対する反応吸光度を測定した。
【0156】
反応セルへ、各試料9.6μLと、実施例1のキットの第一試薬120μLとを添加し、37℃で5分間加温し(第一反応)、反応液の吸光度(E1)を主波長660nm、副波長800nmで測定し、次いでこの反応液に第二試薬40μLを添加しさらに37℃で5分間加温し(第二反応)、反応液の吸光度(E2)を主波長660nm、副波長800nmで測定し、E2からE1を差し引き、吸光度差△Eを算出した。各試料におけるHbA1c濃度と△Eとの関係を第1図に示す。
【0157】
比較例2
実施例7における実施例1のキットの代わりに、比較例1のキットを用いる以外は実施例7と同様の方法により、各試料に対する反応吸光度を算出した。
第1図に示す通り、C12pyを含まない比較例1のキットにおいては、HbA1c濃度と反応吸光度との間に定量関係が見出されないのに対して、C12pyを含む実施例1のキットにおいては、HbA1c濃度と反応吸光度との間に定量関係が見出された。従って、実施例1のキットを用いることにより、試料中のHbA1cを測定できることが明らかとなった。
【実施例8】
【0158】
実施例7における実施例1のキットの代わりに、実施例2のキットを用いる以外は実施例7と同様の方法により、各試料に対する反応吸光度を算出した。各試料におけるHbA1c濃度と△Eとの関係を第2図に示す。
第2図に示す通り、C16pyを含まない比較例1のキットにおいては、HbA1c濃度と反応吸光度との間に定量関係が見出されないのに対して、C16pyを含む実施例2のキットにおいては、HbA1c濃度と反応吸光度との間に定量関係が見出された。従って、実施例2のキットを用いることにより、試料中のHbA1cを測定できることが明らかとなった。
【実施例9】
【0159】
実施例7における実施例1のキットの代わりに、実施例3のキットを用いる以外は実施例7と同様の方法により、各試料に対する反応吸光度を算出した。各試料におけるHbA1c濃度と△Eとの関係を第3図に示す。
第3図に示す通り、C12TBPを含まない比較例1のキットにおいては、HbA1c濃度と反応吸光度との間に定量関係が見出されないのに対して、C12TBPを含む実施例3のキットにおいては、HbA1c濃度と反応吸光度との間に定量関係が見出された。従って、実施例3のキットを用いることにより、試料中のHbA1cを測定できることが明らかとなった。
【実施例10】
【0160】
実施例7における実施例1のキットの代わりに、実施例4のキットを用いる以外は実施例7と同様の方法により、各試料に対する反応吸光度を算出した。各試料におけるHbA1c濃度と△Eとの関係を第4図に示す。
第4図に示す通り、C16TBPを含まない比較例1のキットにおいては、HbA1c濃度と反応吸光度との間に定量関係が見出されないのに対して、C16TBPを含む実施例4のキットにおいては、HbA1c濃度と反応吸光度との間に定量関係が見出された。従って、実施例4のキットを用いることにより、試料中のHbA1cを測定できることが明らかとなった。
【実施例11】
【0161】
実施例7における実施例1のキットの代わりに、実施例5のキットを用いる以外は実施例7と同様の方法により、各試料に対する反応吸光度を算出した。各試料におけるHbA1c濃度と△Eとの関係を第5図に示す。
第5図が示す通り、C12MBIを含まない比較例1のキットにおいては、HbA1c濃度と反応吸光度との間に定量関係が見出されないのに対して、C12MBIを含む実施例5のキットにおいては、HbA1c濃度と反応吸光度との間に定量関係が見出された。従って、実施例5のキットを用いることにより、試料中のHbA1cを測定できることが明らかとなった。
【実施例12】
【0162】
実施例7における実施例1のキットの代わりに、実施例6のキットを用いる以外は実施例7と同様の方法により、各試料に対する反応吸光度を算出した。各試料におけるHbA1c濃度と△Eとの関係を第6図に示す。
第6図が示す通り、フィレットQを含まない比較例1のキットにおいては、HbA1c濃度と反応吸光度との間に定量関係が見出されないのに対して、フィレットQを含む実施例6のキットにおいては、HbA1c濃度と反応吸光度との間に定量関係が見出された。従って、実施例6のキットを用いることにより、試料中のHbA1cを測定できることが明らかとなった。
【実施例13】
【0163】
以下の第一試薬及び第二試薬からなるHbA1c測定用キットを調製した。
第一試薬
MES(pH6.0) 10mmol/L
C16py 0.35g/L
酢酸カルシウム1水和物 10mmol/L
アクチナーゼAS 450kU/L
DA−67 20μmol/L
第二試薬
ADA(pH7.0) 50mmol/L
FPOX−CE 12kU/L
ペルオキシダーゼ 120kU/L
【0164】
比較例3
以下の第一試薬及び第二試薬からなるHbA1c測定用キットを調製した。
第一試薬
MES(pH6.0) 10mmol/L
酢酸カルシウム1水和物 10mmol/L
アクチナーゼAS 450kU/L
DA−67 20μmol/L
第二試薬
ADA(pH7.0) 50mmol/L
FPOX−CE 12kU/L
ペルオキシダーゼ 120kU/L
【実施例14】
【0165】
HbA1c測定用キットとして、実施例13のキットを、試料として、ヒトの血液を遠心分離して得られる血球を脱イオン水で希釈して溶血させて調製され、「デタミナーL HbA1c」(協和メデックス社製)を用いる免疫測定法と、ヘモグロビン測定法の1つであるSLS−ヘモグロビン法とからHbA1c濃度が2.5μmol/L、3.7μmol/L、4.0μmol/L、4.7μmol/L、6.3μmol/Lと値付されている溶血試料を用いて、以下の手順により、各試料に対する反応吸光度を測定した。
反応セルへ、各試料9.6μLと、実施例1のキットの第一試薬120μLとを添加し、37℃で5分間加温し(第一反応)、反応液の吸光度(E1)を主波長660nm、副波長800nmで測定し、次いでこの反応液に第二試薬40μLを添加しさらに37℃で5分間加温し(第二反応)、反応液の吸光度(E2)を主波長660nm、副波長800nmで測定し、E2からE1を差し引き、吸光度差△Eを算出した。各試料におけるHbA1c濃度と△Eとの関係を第7図に示す。
【0166】
比較例4
実施例14における実施例13のキットの代わりに、比較例3のキットを用いる以外は実施例14と同様の方法により、各試料に対する反応吸光度を算出した。
第7図に示す通り、C16pyを含まない比較例3のキットにおいては、HbA1c濃度と反応吸光度との間に定量関係が見出されないのに対して、C16pyを含む実施例13のキットにおいては、HbA1c濃度と反応吸光度との間に定量関係が見出された。従って、実施例13のキットを用いることにより、試料中のHbA1cを測定できることが明らかとなった。
【実施例15】
【0167】
以下の第一試薬及び第二試薬からなるHbA1c測定用キットを調製した。
第一試薬
Bis−Tris(pH7.0) 10mmol/L
C12py 1.6g/L
塩化カルシウム2水和物 10mmol/L
サーモリシン 1200kU/L
DA−67 20μmol/L
第二試薬
ADA(pH7.0) 50mmol/L
FPOX−CE 12kU/L
ペルオキシダーゼ 120kU/L
【実施例16】
【0168】
以下の第一試薬及び第二試薬からなるHbA1c測定用キットを調製した。
第一試薬
Bis−Tris(pH7.0) 10mmol/L
C12TBP 0.8g/L
塩化カルシウム2水和物 10mmol/L
サーモリシン 1200kU/L
DA−67 20μmol/L
第二試薬
ADA(pH7.0) 50mmol/L
FPOX−CE 12kU/L
ペルオキシダーゼ 120kU/L
【実施例17】
【0169】
以下の第一試薬及び第二試薬からなるHbA1c測定用キットを調製した。
第一試薬
Bis−Tris(pH7.0) 10mmol/L
C12MBI 0.9g/L
塩化カルシウム2水和物 10mmol/L
サーモリシン 1200kU/L
DA−67 20μmol/L
第二試薬
ADA(pH7.0) 50mmol/L
FPOX−CE 12kU/L
ペルオキシダーゼ 120kU/L
【実施例18】
【0170】
HbA1c測定用キットとして、実施例15のキットを、試料として、糖尿病が疑われる10名の被験者由来の全血を用いて、以下の手順により、各試料におけるHbA1c濃度(量)の総ヘモグロビン濃度(量)に対する割合[HbA1c(%)]を決定した。
【0171】
(1)総ヘモグロビン濃度決定のための検量線の作成
測定キットとして、総ヘモグロビン測定用キットであるヘモグロビンB−テストワコー(SLS−ヘモグロビン法)(和光純薬工業社製)を用いて、検体として、ヘモグロビンB−テストワコーに付属の標準品(ヘモグロビン濃度:15.3mg/mL)を用いて測定を行い、ヘモグロビン濃度と吸光度との関係を示す検量線を作成した。
【0172】
(2)HbA1c濃度決定のための検量線の作成
ラテックス免疫凝集法によりHbA1c濃度が2.77μmol/L、6.33μmol/Lと値付けされている2つの血球画分について、実施例15のHbA1c測定用キットを用いて測定し、各血球画分に対する吸光度を測定した。当該血球画分の代わりに生理食塩水を用いて、生理食塩水に対するHbA1c濃度を測定した。当該血球画分に対するそれぞれの吸光度から、生理食塩水に対する吸光度を差し引いて算出した値を、当該血球画分に対するブランク補正吸光度とした。当該血球画分に対するブランク補正吸光度と、生理食塩水に対するブランク補正吸光度(0 Abs)とから、HbA1c濃度(μmol/L)と吸光度との間の関係を示す検量線を作成した。
【0173】
(3)各血球画分におけるヘモグロビン濃度の決定
各試料に対して、25℃、3000rpmで5分間遠心分離を行い、血球画分を得た。各血球画分について、ヘモグロビンB−テストワコーを用いて測定し、得られた測定値と(1)の検量線とから、各血球画分中のヘモグロビン濃度(μmol/L)を決定した。
【0174】
(4)各血球画分におけるHbA1c濃度の決定
各血球画分について、本発明の測定キットを用いて測定し、得られた測定値と(2)の検量線とから、各血球画分中のHbA1c濃度(μmol/L)を決定した。
【0175】
(5)HbA1c(%)(=HbA1c濃度のヘモグロビン濃度に対する割合)の決定
上記(3)で決定した各血球画分におけるヘモグロビン濃度(μmol/L)と、上記(4)で決定した各血球画分におけるHbA1c濃度(μmol/L)とから、以下の式により、日本糖尿病学会(Japan Diabetes Society;JDS)値のHbA1c(%)を算出した。
【0176】
【数1】
【0177】
(6)同一血球画分中のHbA1c(%)の免疫測定法での決定
上記(5)でのHbA1c(%)の決定に使用した血球画分と同一の血球画分を用いて、各血球画分中のHbA1c(%)を、デタミナーL HbA1c(協和メデックス社製)を用いる免疫測定法により、デタミナーL HbA1cの添付文書に記載の方法に従って決定した。
【0178】
(7)本発明の測定方法と免疫測定法との相関
本発明の測定方法を用いて、上記(5)で決定したHbA1c(%)と、免疫測定法を用いて、上記(6)で決定したHbA1c(%)とから、本発明の測定方法と免疫測定法との間の相関関係を検証し、相関係数を決定した。
その結果、両測定法間の相関係数が0.994となり、両測定法間に良好な相関関係が認められた。従って、実施例15のキットを用いる本発明の測定方法により、試料中のHbA1cを正確に測定できることが明らかとなった。
【実施例19】
【0179】
実施例18における実施例15のキットの代わりに、実施例16のキットを用いて同様の手順により、デタミナーL HbA1c(協和メデックス社製)を用いた測定との間の相関係数を決定した結果、相関係数が0.984となり、両測定法間に良好な相関関係が認められた。従って、実施例16のキットを用いる本発明の測定方法により、試料中のHbA1cを正確に測定できることが明らかとなった。
【実施例20】
【0180】
実施例18における実施例15のキットの代わりに、実施例17のキットを用いて同様の手順により、デタミナーL HbA1c(協和メデックス社製)を用いた測定との間の相関係数を決定した結果、相関係数が0.949となり、両測定法間に良好な相関関係が認められた。従って、実施例17のキットを用いる本発明の測定方法により試料中のHbA
1cを正確に測定できることが明らかとなった。
【実施例21】
【0181】
(1)DA−67含有水溶液、及び、DA−67の安定性測定用試料の調製
以下の組成からなるDA−67含有水溶液を調製した。
<DA−67含有水溶液>
Bis−Tris(pH7.0) 10mmol/L
DA−67 20μmol/L
界面活性剤(第1表参照) 0.5%
上記組成のDA−67含有水溶液を5℃で7日間保存したもの、及び、30℃で7日間保存したものをDA−67安定性測定用試料として用いた。
【0182】
(2)DA−67安定性測定用試薬の調製
以下の組成からなるDA−67安定性測定用試薬を調製した。
<DA−67安定性測定用試薬>
Bis−Tris(pH7.0) 10mmol/L
BSA 0.005%
【0183】
(3)DA−67含有水溶液中のDA−67の安定性の評価
調製直後のDA−67含有水溶液30μLに(2)で調製したDA−67安定化測定用試薬120μLを添加し、37℃で5分間加温した後の溶液の吸光度(E
直後)を、主波長660nm、副波長800nmで日立7170S形自動分析装置にて測定した。調製直後のDA−67含有水溶液の代わりに、(2)のDA−67安定化測定用試薬を用いて同様の測定を行い、吸光度(E
ブランク)を測定した。E
直後からE
ブランクを差し引き、調製直後のDA−67含有水溶液に対する吸光度(△E
直後)とした。
【0184】
同様に、5℃で7日間保存したDA−67含有水溶液、及び、30℃で7日間保存したDA−67含有水溶液を試料として用いて測定を行い、5℃で7日間保存したDA−67含有水溶液に対する吸光度(△E
5℃)、及び、30℃で7日間保存したDA−67含有水溶液に対する吸光度(△E
30℃)を測定した。
【0185】
測定した△E
5℃、△E
30℃それぞれから△E
直後を差し引いた値を、それぞれ△E
1、△E
2とし、DA−67の安定性の指標とした。その結果を第1表に示す。値が0に近い程、水溶液中での着色が抑制され、DA−67が水溶液中で安定に保存されること、すなわち、水溶液中でDA−67が安定化されることを示している。
【0186】
【表1】
【0187】
第1表に示される通り、化合物(I)(C12py、C16py)を含む水溶液では、化合物(I)を含有しない場合と比較して、5℃でも30℃においても保存後の着色が顕著に抑制されていた。このことから、化合物(I)を含む水溶液中のDA−67が熱に対して安定であり、DA−67含有水溶液が化合物(I)により安定に保存され、DA−67が化合物(I)により水溶液中で安定化されることが明らかとなった。
【0188】
同様に、化合物(II)(C12TBP、C16TBP)を含む水溶液では、化合物(II)を含有しない場合と比較して、5℃でも30℃においても保存後の着色が顕著に抑制されていた。このことから、化合物(II)を含む水溶液中のDA−67が熱に対して安定であり、DA−67含有水溶液が化合物(II)により安定に保存され、DA−67が化合物(II)により水溶液中で安定化されることが明らかとなった。
【実施例22】
【0189】
実施例21で調製したDA−67含有水溶液に対して、1100ルクスの光を15時間照射し、光によるDA−67の安定性を評価した。光照射後のDA−67含有水溶液を試料として用いて、実施例21と同様の方法を行い、光照射後のDA−67含有水溶液に対する吸光度△E
3を測定した。測定結果を第2表に示す。
【0190】
【表2】
【0191】
第2表に示される通り、化合物(I)(C12py、C16py)を含む水溶液では、化合物(I)を含有しない場合と比較して、光照射による着色が顕著に抑制されていた。このことから、化合物(I)を含む水溶液中のDA−67が光に対して安定であり、DA−67含有水溶液が化合物(I)により安定に保存され、DA−67が化合物(I)により水溶液中で安定化されることが明らかとなった。
【0192】
同様に、化合物(II)(C12TBP、C16TBP)を含む水溶液では、化合物(II)を含有しない場合と比較して、光照射による着色が顕著に抑制されていた。このことから、化合物(II)を含む水溶液中のDA−67が光に対して安定であり、DA−67含有水溶液が化合物(II)により安定に保存され、DA−67が化合物(II)により水溶液中で安定化されることが明らかとなった。