特許第5955236号(P5955236)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許5955236-血中クレゾール低下剤 図000005
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5955236
(24)【登録日】2016年6月24日
(45)【発行日】2016年7月20日
(54)【発明の名称】血中クレゾール低下剤
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/718 20060101AFI20160707BHJP
   A61P 9/00 20060101ALI20160707BHJP
   A61P 7/00 20060101ALI20160707BHJP
   A61P 13/12 20060101ALI20160707BHJP
   A23L 33/00 20160101ALI20160707BHJP
【FI】
   A61K31/718
   A61P9/00
   A61P7/00
   A61P13/12
   A23L33/00
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-16429(P2013-16429)
(22)【出願日】2013年1月31日
(65)【公開番号】特開2014-148467(P2014-148467A)
(43)【公開日】2014年8月21日
【審査請求日】2015年3月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006127
【氏名又は名称】森永乳業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100137338
【弁理士】
【氏名又は名称】辻田 朋子
(72)【発明者】
【氏名】守田 俊介
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 彩子
(72)【発明者】
【氏名】小久保 英利
(72)【発明者】
【氏名】園木 浩文
【審査官】 前田 亜希
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2006/082643(WO,A1)
【文献】 臨床栄養,2011年,118(3),p.307-311
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/718
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
難消化性デキストリンを有効成分とする、腎不全(但し、糖尿病性腎症から生じる腎不全を除く)の透析患者用の血管障害治療のための血中クレゾール低下剤。
【請求項2】
栄養組成物の形態で用いられる、請求項に記載の血中クレゾール低下剤。
【請求項3】
難消化性デキストリンを、1日あたり3g以上投与して用いるための、請求項1又は2に記載の血中クレゾール低下剤。
【請求項4】
難消化性デキストリンを有効成分とする、腎不全(但し、糖尿病性腎症から生じる腎不全を除く)の透析患者用の血管障害治療のための血中クレゾール低下用食品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、腎不全患者におけるクレゾールの血中濃度を低下するための血中クレゾール低下剤に関する。
また、本発明は、腎不全患者における食事制限のもとで、クオリティー・オブ・ライフ(QOL)改善に繋がる栄養組成物形態の血中クレゾール低下剤に関する。
【背景技術】
【0002】
p−クレゾール(以下、単に「クレゾール」ともいう。)は、腸内細菌によって蛋白質由来のチロシン及びフェニルアラニンから産生される物質であり、腸内腐敗産物として知られている。クレゾールは、尿毒症物質の一つとされ、血中におけるクレゾール濃度の増加は、人体に対して悪影響を及ぼすとされている。
血液中のクレゾールは、主に硫酸抱合体(p−クレシル硫酸)で存在し、アルブミンと結合した状態で循環していると考えられている。
正常な腎機能のもとでは、血中のクレゾールは尿により排泄され、その血中濃度は低く保たれている。しかしながら、腎機能が低下した腎不全患者(透析患者含む)では、血中のクレゾールの尿による排泄が正常に行われず、その血中濃度が高くなっている。
【0003】
近年、腎不全患者の血中のクレゾールが、生命予後、及び血管障害、免疫低下などの様々な病態、症状と関連していることが指摘されている(非特許文献1〜15など)。
【0004】
上述した通り、クレゾールの産生には腸内細菌叢が関与していることから、生体におけるクレゾールの存在については、従来、他の腸内腐敗産物(アンモニア、フェノール、インドールなど)とともに、プレバイオティクス、プロバイオティクスの研究で取り上げられることが多い(特許文献1)。特許文献1には、乳酸菌製剤を有効成分とする慢性腎不全改善剤および透析患者のクオリティー・オブ・ライフ改善剤が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平9−110707号公報
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】S.Liabeuf et al.,Nephrol Dial Transplant(ネフロール ディアル トランスプラント),2010,Vol.25,pp.1183−1191
【非特許文献2】B.Bammens et al.,Kidney International(キドニー インターナショナル),2006,Vol.69,pp.1081−1087
【非特許文献3】B.K.Meijers et al.,Crinical Journal of the American Society Nephrology(クリニカル ジャーナル オブ ザ アメリカン ソサイエティ オブ ネフロロジー),2010,Vol.5,pp.1182−1189
【非特許文献4】C.P.Wang et al.,Atherosclerosis(アテロスクローシス),2010,Vol.211,No.2,pp.579−583
【非特許文献5】C.J.Lin et al.,Nephrol Dial Transplant,2010,Vol.25,pp.3693−3700
【非特許文献6】B.K.Meijers et al.,American Journal of Kidney Diseases(アメリカン ジャーナル オブ キドニー ディジーズィズ),2009,Vol.54,No.5,pp.891−901
【非特許文献7】C.Cerini et al.,Thromb.Haemost.(トロンボーシス アンド ヘモスタシス),2004,Vol.92,No.1,pp.140−150
【非特許文献8】L.Dou et al.,Kidney International,2004,Vol.65,pp.442−451
【非特許文献9】L.Dou et al.,Kidney International,2002,Vol.62,pp.1999−2009
【非特許文献10】M.C.Chang et al.,Atherosclerosis,2011,Vol.219,No.2,pp.559−565
【非特許文献11】E.Schepers et al.,Nephrol Dial Transplant,2007,Vol.22,pp.592−596
【非特許文献12】C.Y.Sun et al.,Kidney International,2012,Vol.81,pp.640−650
【非特許文献13】V.Faure et al.,International Immunology(インターナショナル イミュノロジー),2006,Vol.18,No.10,pp.1453−1459
【非特許文献14】I.W.Wu et al.,Nephrol Dial Transplant,2011,Vol.26,pp.938−947
【非特許文献15】C.Y.Sun et al.,PLoS ONE(プロス ワン),2012,Vol.7,Issue 3,e34026
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述したように、腎不全患者においては、クレゾールの血中濃度を低下させることが要求される。
しかしながら、クレゾールは透析によって除去しにくいという問題がある(特許文献1参照)。
特許文献1には、乳酸菌製剤の投与により、糞便中のp−クレゾール濃度が低下したことについて記載されているが、血漿中のp−クレゾール濃度については、有意差が認められなかったことが記載されている。
そこで、本発明は、腎不全患者において、クレゾールの血中濃度を低下させる手段を提供することを課題とする。
また、腎不全患者においては、水分、電解質、栄養素等の摂取量などの許容範囲が狭く、厳密な食事制限が必要とされている。そのため、腎不全患者においては、その熱量や成分をコントロールした栄養組成物の摂取が必須である場合が多い。
そこで、本発明は、腎不全患者における栄養補給に用いられる組成物、すなわち栄養組成物であって、クレゾールの血中濃度を低下させるための栄養組成物を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決する本発明は、難消化性デキストリンを有効成分とする、腎不全(但し、糖尿病性腎症から生じる腎不全を除く)の透析患者用の血管障害治療のための血中クレゾール低下剤である。
本発明の血中クレゾール低下剤は、腎不全(但し、糖尿病性腎症から生じる腎不全を除く)の透析患者におけるクレゾールの血中濃度を有意に低下させるものである。また、本発明の血中クレゾール低下剤の有効成分である難消化性デキストリンは、食品原料としても知られるものであり、安全性が高い。
【0009】
発明にいう「治療」は、症状を改善させること、症状の悪化を防ぐことを含む。
【0010】
本発明の好ましい形態では、前記血中クレゾール低下剤は、難消化性デキストリンを、1日あたり3g以上投与して用いるためのものである。
すなわち、腎不全(但し、糖尿病性腎症から生じる腎不全を除く)の透析患者において、難消化性デキストリンを投与する場合において、1日あたりの難消化性デキストリンの投与量を所定量以上とすることにより、クレゾールの血中濃度を低下させることが可能となる。
【0011】
本発明の好ましい形態では、前記血中クレゾール低下剤は、難消化デキストリンが、1日あたりの有効量として3g以上、好ましくは3〜8g、特に好ましくは6〜8gとなるように経口栄養組成物に含有されて提供されることがよい。
このような形態の血中クレゾール低下剤は、腎不全(但し、糖尿病性腎症から生じる腎不全を除く)の透析患者において必要となる食事制限の下でも、必要なエネルギーを摂取しながら、しかもクレゾールの血中濃度を低下させることを可能とするものである。
このような形態の血中クレゾール低下剤は、クレゾールの血中濃度を低下させることを実現しながら、効率よいエネルギー補給を可能とするものであり、腎不全(但し、糖尿病性腎症から生じる腎不全を除く)の透析患者のクオリティー・オブ・ライフ(QOL)の向上に有用である。
【0012】
本発明の好ましい形態では、前記血中クレゾール低下剤は、液状又はゲル状の栄養組成物の形態で用いられるものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、腎不全患者におけるクレゾールの血中濃度を低下させることができる。これにより、血中クレゾール濃度の増加により引き起こされる様々な病態、疾患、症状の発生、悪化のリスクを低減させることが可能となる。その結果として、腎不全患者の死亡リスクを低減させることが可能となる。
また、本発明の血中クレゾール低下剤は、有効成分として、従来、食品原料などに用いられている難消化性デキストリンを含有させることができるため、安全性に優れるものである。
特に、本発明の栄養組成物の形態の血中クレゾール低下剤は、腎不全患者における食事制限のもとで、血中クレゾール濃度の増加により引き起こされる様々な病態、疾患、症状の発生、悪化のリスクを低減させることを可能とするものであり、腎不全患者のクオリティー・オブ・ライフ(QOL)改善に大きく寄与するものである。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】難消化性デキストリンによる血清p−クレゾールの低下作用を示す図である。“非腎不全”、“コントロール”、“難デキ”は、それぞれ、非腎不全群、腎不全群(コントロール群)、腎不全群(難消化性デキストリン投与群)を示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を実施するための形態について説明する。
本発明の血中クレゾール低下剤は、腎不全患者において、血中のクレゾール濃度を低下させるためのものである。すなわち、腎機能の不全により血液中のクレゾール濃度が増加している状態に対して、そのクレゾール濃度を低下させるためのもの、又は腎機能の不全により血液中のクレゾール濃度が増加し得る状態において、血中のクレゾール濃度を増加させないためのものである。
【0016】
腎不全患者としては、例えば、慢性糸球体腎炎、糖尿病性腎症、腎硬化症、多発性嚢胞腎等の慢性腎臓病(CKD)、急性腎臓病、ネフローゼ症候群等の患者が挙げられる。
また、上記腎疾患の病期(ステージ)も特に制限されない。ステージ1〜5、透析患者(ステージ5D)の何れの患者にも使用することが可能である。また、本発明の血中クレゾール低下剤は、透析患者にも好適に用いることができる。これは、クレゾールは、透析によって除去しにくい物質であるためである(特許文献1参照)。
【0017】
本発明の血中クレゾール低下剤の有効成分である難消化性デキストリンは、特に限定されないが商品名「パインファイバー」、「ファイバーソル2」(松谷化学工業(株)製)、「オクノス食物繊維」(ホリカフーズ(株)製)、「ニュートリオース FB06」(ロケットジャパン(株)製)などの、澱粉及び小麦粉を加熱、酵素処理して得られる難消化性の食物繊維を用いることができる。
具体的には例えば、澱粉を酸性下で加熱処理して得られる焙焼デキストリンを、α−アミラーゼで加水分解処理し、さらに必要に応じて、グルコアミラーゼ処理、イオン交換樹脂クロマトグラフィー処理などの精製処理などを施して得ることができる。その分子量は、特に限定されないが、好ましくは500〜10,000の範囲のものを用いることができる。分子量が500未満のものは呈味性の面で、また分子量10,000以上のものは呈味性、食感の面で劣るものもあるので、本発明においては、分子量は500〜10,000であることが良い。
【0018】
本発明の血中クレゾール低下剤は、医薬の形態とすることが可能である。また、食品の形態として腎不全患者用の栄養組成物とすることも可能であり、経口、経管等のあらゆる摂取形態に可能な組成物とすることができる。
本発明の血中クレゾール低下剤の剤形は特に制限されない。たとえば、顆粒、粉末、カプセル、ペースト、ゲル剤、液剤などが好ましく挙げられる。製剤化においては、通常の賦形剤を用いることができ、乳糖等が好ましく用いられる。本発明の血中クレゾール低下剤は、上述した難消化性デキストリンを、必要に応じて賦形剤などを用い、常法により製剤化することで製造することができる。
【0019】
上述した形態において、本発明の血中クレゾール低下剤における難消化性デキストリンの含有量は、たとえば、20〜100質量%、好ましくは40〜100質量%、さらに好ましくは60〜100質量%とすることが可能である。すなわち、剤形が維持できる範囲であれば賦形剤は少ない方が好ましいので、有効量は100%であっても良い。
【0020】
また、本発明の血中クレゾール低下剤は、腎不全患者用の栄養組成物の形態で提供することが特に好ましい。すなわち、腎不全患者は、厳格な食事制限を必要とするため、その摂取成分をコントロールした栄養組成物を用いて、必要なエネルギーを摂取することが重要とされている。
栄養組成物の形態で提供される血中クレゾール低下剤は、水分摂取量を抑える観点から、エネルギー換算で、例えば、1.0〜2.0kcal/mlの高カロリーであることが好ましく、さらに摂取のしやすさの観点から、特に1.1〜1.3kcal/mlとなるように調製することが好ましい。
また、腎不全患者用という観点から、1日投与単位の総熱量は、経口投与の場合で150〜300kcal、経管投与の場合で900〜1200kcalとすることが、通常好ましい。
経口投与の場合、難消化性デキストリンの含有量は、例えば、エネルギー100kcalあたり、好ましくは1g以上、さらに好ましくは1〜5.4g、より好ましくは2〜2.7gとすることができる。
また、このような栄養組成物の形態は、投与、摂取のしやすさから、液状、ゲル状のものなどが好ましい。
このような形態の血中クレゾール低下剤は、上記難消化性デキストリンの他、炭水化物、蛋白質、脂質、ミネラル、ビタミン等を食事摂取基準における必要量、推奨量等に基づいて、適宜含有するものである。
【0021】
本発明の血中クレゾール低下剤の腎不全患者への投与量は、難消化性デキストリンの投与量として、3g/日以上であり、好ましくは3〜8g/日、特に好ましくは6〜8g/日である。
【0022】
本発明の血中クレゾール低下剤は、腎機能の不全が原因で引き起こされる血中クレゾール増加に伴う疾患、症状の治療剤とすることができる。
このような疾患、症状として、血管障害が挙げられる。血管障害としては、血管石灰化、血管内皮細胞の増殖低下、血管内皮細胞の透過性の上昇、血管内皮細胞の応答性の減弱、血小板凝集機能の低下、動脈硬化が挙げられる。また、上記疾患、症状として、免疫力の低下、心疾患、老化等が挙げられる。また、血中クレゾール濃度の増加は、さらなる腎機能の不全を引き起こすことも知られている。従って、本発明の血中クレゾール低下剤は、腎疾患の進行の予防のためにも用いることができる。
本発明の血中クレゾール低下剤は、腎不全患者における血管障害治療剤として用いることが好ましい。
【0023】
<血中p−クレゾールの測定試験>
腎不全モデルラットである5/6腎臓摘出ラットを用いて、難消化性デキストリンによる血清p−クレゾールの低下作用を検討した。
【0024】
具体的な方法は以下のとおりである。
試験には、腎不全群として、5/6腎臓摘出を実施したSDラット(8週齢,Crl:CD)12匹を用いた。これらのラットを2週間馴化した後、表1に示すように6匹ずつをコントロール群と難消化性デキストリン投与群の2群に分け、それぞれの群に、表1に示す配合を有する難消化性デキストリンを含む飼料と難消化性デキストリンを含まない飼料を1週間自由摂取させた。また、非腎不全群として、腎臓摘出を実施しないSDラット(8週齢,Crl:CD)6匹に対し、難消化性デキストリンを含まない飼料を同様に自由摂取させた。
1週間の自由摂取後、各ラットを解剖して採血し、血清p−クレゾール濃度を測定した。
p−クレゾール濃度の測定方法は以下のとおりである。
β−グルクロニダーゼ及び酸性加熱処理により、抱合体及びアルブミン結合を除去後、塩化ナトリウムを添加し、酢酸エチルで抽出し、HPLC測定した。内部標準には、p−イソプロピルフェノールを使用した。
なお、以下の表1において、%(パーセント)は、質量による記載である。
【0025】
【表1】
【0026】
結果を図1及び表2に示す。表2には、各群のラットの平均値と標準偏差を示した。
【0027】
【表2】
【0028】
図1及び表2からわかるように、腎臓を摘出した腎不全群において、難消化性デキストリンを含まない飼料を与えたコントロール群では、血液中のp−クレゾール濃度は高値を示したが、難消化性デキストリンを含む飼料を与えた難消化性デキストリン投与群では、血液中のp−クレゾール濃度は低値を示した。その値は、非腎不全群における値と同等にまで低いものであった。
これより、難消化性デキストリンを腎不全のラットに投与することにより、血液中のp−クレゾール濃度を有意に低下させることができることが分かった。
【実施例】
【0029】
次に実施例を示して本発明を詳記するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
<実施例1>
内容量が125mlの腎疾患患者用経口栄養組成物(腎不全患者向けエネルギー補充用流動食:コーヒー風味)を、表3に記載される組成、成分量(エネルギー100kcalあたりの配合量)に基づいて常法により製造した。
【0030】
このような腎疾患患者用経口栄養組成物は、100kcalあたり、2.5gの難消化性デキストリンを含むものであり、これを一日あたり150〜300kcal相当摂取することで、p−クレゾールの血中濃度を低下させるのに効果的な難消化性デキストリンを摂取できるものである。すなわち、この腎疾患患者用経口栄養組成物は、血中p−クレゾール低下剤として有用である。
【0031】
【表3】
【産業上の利用可能性】
【0032】
本発明の血中クレゾール低下剤は、腎不全患者の血管障害の治療に有用である。また、腎不全患者の生命予後に関与するといわれる血中p−クレゾールを低下するために有用であり、及び食事療法に用いる栄養組成物として、極めて有用である。
図1