(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
エンジンの排気ガス中の窒素酸化物質を低減する排気ガス浄化ケースを備え、尿素水が噴射された前記エンジンの排気ガスを、前記排気ガス浄化ケース内部に排気ガス入口から導入させるエンジン装置において、
前記排気ガス浄化ケースの外周のうち前記排気ガス入口の外側に排気ガス入口管を連結する構造であって、前記排気ガス入口と排気ガス入口管の接続部に配置させる筒状の整流ガイド体を備え、前記排気ガス入口管の円筒段部に前記整流ガイド体の排気ガス入口側の排気ガス通路端を溶接固定するとともに、前記排気ガス入口の開口縁に前記整流ガイド体の排気ガス出口側の排気ガス通路端を溶接固定しており、
前記整流ガイド体の排気ガス入口側の排気ガス通路端の開口面積よりも、前記整流ガイド体の排気ガス出口側の排気ガス通路端の開口面積を大きく形成するとともに、前記整流ガイド体の排気ガス出口側の開口形状を、前記排気ガス浄化ケース内の排気ガス移動方向を短径とし、これと交差する方向を長径とする長円又は多角形状に形成したことを特徴とするエンジン装置。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、本発明を具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。
図1はディーゼルエンジンの吸気マニホールドが設置された右側面図、
図2はディーゼルエンジンの排気マニホールドが設置された左側面図、
図3は同平面図、
図4はディーゼルエンジンの冷却ファンが設置された正面図、
図5はディーゼルエンジンのフライホイールが設置された背面図、
図6及び
図7はディーゼルエンジンの斜視図である。
図1〜
図7を参照しながら、ディーゼルエンジン1の全体構造について説明する。
【0015】
図1〜
図7に示す如く、ディーゼルエンジン1のシリンダヘッド2の一側面には吸気マニホールド3が配置されている。シリンダヘッド2は、エンジン出力軸4(クランク軸)とピストン(図示省略)が内蔵されたシリンダブロック5に上載されている。シリンダヘッド2の他側面に排気マニホールド6が配置されている。シリンダブロック5の前面と後面からエンジン出力軸4の前端と後端を突出させている。
【0016】
また、シリンダブロック5の後面にフライホイールハウジング8を固着している。フライホイールハウジング8内にフライホイール9を設ける。エンジン出力軸4の後端側にフライホイール9を軸支させている。フライホイール9を介してディーゼルエンジン1の動力を取り出すように構成している。さらに、シリンダブロック5の下面にはオイルパン11が配置されている。
【0017】
図1、
図3に示すように、吸気マニホールド3には、再循環用の排気ガスを取込む排気ガス再循環装置(EGR)15を配置する。吸気マニホールド3にエアクリーナ16を連結する。エアクリーナ16にて除塵・浄化された外部空気は、吸気マニホールド3に送られ、ディーゼルエンジン1の各気筒に供給されるように構成している。
【0018】
上記の構成により、ディーゼルエンジン1から排気マニホールド6に排出された排気ガスの一部が、排気ガス再循環装置15を介して、吸気マニホールド3からディーゼルエンジン1の各気筒に還流されることによって、ディーゼルエンジン1の燃焼温度が下がり、ディーゼルエンジン1からの窒素酸化物(NOx)の排出量が低減され、かつディーゼルエンジン1の燃費が向上される。
【0019】
なお、シリンダブロック5内とラジエータ90に冷却水を循環させる冷却水ポンプ21を、ディーゼルエンジン1の冷却ファン24設置側に配置する。エンジン出力軸4にVベルトなどを介して冷却水ポンプ21及び冷却ファン24を連結し、冷却水ポンプ21及び冷却ファン24を駆動する。冷却水ポンプ21からシリンダブロック5内に冷却水を送込む一方、冷却ファン24風にてディーゼルエンジン1を冷却するように構成している。
【0020】
図1〜
図7に示す如く、前記ディーゼルエンジン1の各気筒から排出された排気ガスを浄化するための排気ガス浄化装置27として、ディーゼルエンジン1の排気ガス中の粒子状物質を除去するディーゼルパティキュレートフィルタ(DPFケース)としての第1ケース28と、ディーゼルエンジン1の排気ガス中の窒素酸化物質を除去する尿素選択触媒還元システム(SCRケース)としての第2ケース29を備える。
図3のように、第1ケース28には、酸化触媒30、スートフィルタ31が内設される。第2ケース29には、尿素選択触媒還元用のSCR触媒32、酸化触媒33が内設される。
【0021】
ディーゼルエンジン1の各気筒から排気マニホールド6に排出された排気ガスは、排気ガス浄化装置27等を経由して、外部に放出される。排気ガス浄化装置27によって、ディーゼルエンジン1の排気ガス中の一酸化炭素(CO)や、炭化水素(HC)や、粒子状物質(PM)や、窒素酸化物質(NOx)を低減するように構成している。
【0022】
第1ケース28と第2ケース29は、平面視でディーゼルエンジン1の出力軸(クランク軸)4と直交する水平方向に長く延びた略円筒形状に構成している。第1ケース28の両側(排気ガス移動方向一端側と同他端側)には、排気ガスを取入れるDPF入口管34と、排気ガスを排出するDPF出口管35を設けている。同様に、第2ケース29の両側(排気ガス移動方向一端側と同他端側)には、排気ガスを取入れるSCR入口管36と、排気ガスを排出するSCR出口管37を設けている。
【0023】
また、排気マニホールド6の排気ガス出口に、ディーゼルエンジン1に空気を強制的に送り込む過給機38を配置している。排気マニホールド6に過給機38を介してDPF入口管34を連通させ、ディーゼルエンジン1の排気ガスを第1ケース28内に導入する一方、DPF出口管35に連結パイプ39を介してSCR入口管36を接続させ、第1ケース28の排気ガスを第2ケース29内に導入するように構成している。なお、第2ケース29外周面にパイプ支持ブラケット40の基端側を固着し、SCR入口管36が接合された連結パイプ39端部にパイプ支持ブラケット40の先端側を連結し、第2ケース29にパイプ支持ブラケット40を介して連結パイプ39を着脱可能に支持している。
【0024】
図1に示す如く、ディーゼルエンジン1の多気筒分の各インジェクタ(図示省略)に、燃料タンク(図示省略)を接続する燃料ポンプ42とコモンレール43を備える。シリンダヘッド2の吸気マニホールド3設置側にコモンレール43と燃料フィルタ44を配置し、吸気マニホールド3下方のシリンダブロック5に燃料ポンプ42を配置している。なお、前記各インジェクタは、電磁開閉制御型の燃料噴射バルブ(図示省略)を有する。
【0025】
図示しない前記燃料タンク内の燃料が燃料フィルタ44を介して燃料ポンプ42に吸込まれる一方、燃料ポンプ42の吐出側にコモンレール43が接続され、円筒状のコモンレール43がディーゼルエンジン1の各インジェクタにそれぞれ接続されている。
【0026】
上記の構成により、前記燃料タンクの燃料が燃料ポンプ42によってコモンレール43に圧送され、高圧の燃料がコモンレール43に蓄えられると共に、前記各インジェクタの燃料噴射バルブがそれぞれ開閉制御されることによって、コモンレール43内の高圧の燃料がディーゼルエンジン1の各気筒に噴射される。即ち、前記各インジェクタの燃料噴射バルブを電子制御することによって、燃料の噴射圧力、噴射時期、噴射期間(噴射量)を高精度にコントロールできる。したがって、ディーゼルエンジン1から排出される窒素酸化物(NOx)を低減できる。
【0027】
次に、
図8、
図9を参照して、前記ディーゼルエンジン1を搭載したスキッドステアローダ51について説明する。
図8、
図9に示す作業車両としてのスキッドステアローダ51は、後述するローダ装置52を装着し、ローダ作業を行うように構成されている。このスキッドステアローダ51には、左右の走行クローラ部54が装着されている。また、スキッドステアローダ51の走行クローラ部54の上方には、開閉可能なボンネット55が配置されている。
【0028】
ボンネット55内にはディーゼルエンジン1が収容されている。このディーゼルエンジン1は、スキッドステアローダ51が備える走行機体56に防振部材等を介して支持されている。ボンネット55の前方には、運転者が搭乗するキャビン57が配置されており、このキャビン57の内部には操縦ハンドル58及び運転座席59等が備えられている。また、ディーゼルエンジン1によって駆動されるローダ作業油圧ポンプ装置60と、左右の走行クローラ部54を駆動する走行ミッション装置61が備えられている。ディーゼルエンジン1からの動力が、走行ミッション装置61を介して左右の走行クローラ部54に伝達される。運転座席59に座乗したオペレータは、操縦ハンドル58等の操作部を介して、スキッドステアローダ51の走行操作等を行うことができる。
【0029】
また、ローダ装置52は、走行機体56の左右両側に配置されたローダポスト62と、各ローダポスト62の上端に上下揺動可能に連結された左右一対のリフトアーム63と、左右リフトアーム63の先端部に上下揺動可能に連結されたバケット64とを有している。
【0030】
各ローダポスト62とこれに対応したリフトアーム63との間には、リフトアーム63を上下揺動させるためのリフトシリンダ66がそれぞれ設けられている。左右リフトアーム63とバケット64との間には、バケット64を上下揺動させるためのバケットシリンダ68が設けられている。この場合、操縦座席59のオペレータがローダレバー(図示省略)を操作することによって、ローダ作業油圧ポンプ装置60の油圧力が制御されて、リフトシリンダ66やバケットシリンダ68が伸縮作動し、リフトアーム63やバケット64を上下揺動させ、ローダ作業を実行するように構成している。
【0031】
図1、
図3、
図8、
図11などを参照して、ディーゼルエンジン1の排気ガスの排出構造を説明する。
図1、
図3、
図11に示す如く、過給機38の排気ガス出口管70に可とう性耐熱ゴム製のガス排出管71の一端側を連結し、DPF入口管34にガス排出管71の他端側を連結し、過給機38にガス排出管71を介して第1ケース28を連通させ、過給機38から第1ケース28に排気マニホールド6の排気ガスを移動させるように構成している。
【0032】
また、DPF出口管35に金属製の排気管72の一端側を連結し、排気管72の他端側に尿素混合管73を一体的に配置し、連結パイプ39の一端側に尿素混合管73の排気ガス出口側を連結させると共に、連結パイプ39の他端側にSCR入口管36を連結している。即ち、排気管72と、尿素混合管73と、連結パイプ39を介して、DPF出口管35にSCR入口管36を接続させ、第1ケース28に第2ケース29を連通させ、第1ケース28から第2ケース29に排気ガスを移動させるように構成している。
【0033】
図1、
図8、
図9に示す如く、尿素水を貯蔵する尿素水タンク75と、尿素供給用の尿素水噴射ノズル76と、尿素水噴射ノズル76に尿素水タンク75の尿素水を圧送する尿素水噴射ポンプ77を備える。尿素水タンク75は、ボンネット55に内設される。尿素水噴射ポンプ77は、走行ミッション装置61に配置され、ディーゼルエンジン1の出力にて駆動される。尿素水噴射ノズル76は、尿素混合管73のノズル支持部74に配置される。
【0034】
上記の構成により、尿素水タンク75内の尿素水が尿素水噴射ポンプ77から尿素水噴射ノズル76に圧送され、尿素水噴射ノズル7から尿素水が尿素混合管73内に噴射され、尿素混合管73または連結パイプ39の内部で、ディーゼルエンジン1からの排気ガスに、尿素水噴射ノズル7からの尿素水が混合される。尿素水が混合された排気ガスは第2ケース29(SCR触媒32、酸化触媒33)を通過して、排気ガス中の窒素酸化物質(NOx)が低減され、SCR出口管37から外部に放出される。なお、排気ガス中に尿素水を噴霧することにより、排気ガス中にアンモニアガスが生成され、そのアンモニアガスと排気ガスが混合されてSCR入口管36から第2ケース29内部に導入され、第2ケース29内の触媒32,33にて排気ガス中の窒素酸化物質(NOx)が除去される。
【0035】
次に、
図1〜
図3、
図10〜
図16を参照して、排気ガス浄化装置27の取付け構造を説明する。第1ケース28のDPF入口管34側を支持する第1支持脚体81と、第1ケース28のDPF出口管35側を支持する第2支持脚体82を備える。シリンダヘッド2の側面のうち、排気マニホールド6配置側の側面に、第1支持脚体81の下端側をボルト83締結し、シリンダヘッド2の一側面に第1支持脚体81を立設させる。第1支持脚体81の上端側に第1ケース28のDPF入口管34側を締結バンド86にて着脱可能に固着する。
【0036】
また、シリンダヘッド2の側面のうち、吸気マニホールド3配置側の側面と、冷却水ポンプ21配置側の側面に、第2支持脚体82の下端側をボルト84,85締結し、シリンダヘッド2の他側面に第2支持脚体82を立設させる。第2支持脚体82の上端側に第1ケース28のDPF出口管35側を締結ボルト87にて着脱可能に固着する。即ち、シリンダヘッド2の対向する側面に、第1支持脚体81と第2支持脚体82を立設させ、シリンダヘッド2を跨ぐ姿勢に第1ケース28を支持する。エンジン出力軸4と交叉する水平横方向に円筒状の第1ケース28の長手方向(排気ガス移動方向)を向けるように構成している。
【0037】
一方、
図1、
図2、
図8、
図9に示す如く、冷却ファン24に対向させて配置するラジエータ90を備える。走行機体56上面側に機体フレーム91を立設させる。機体フレーム91に、ラジエータ90と、風洞板体92を支持させる。風洞板体92にて冷却ファン24を覆い、ラジエータ90を介して冷却ファン24が外気を吸込み、冷却ファン24からディーゼルエンジン1各部に冷却風を供給すると共に、ディーゼルエンジン1の各部とラジエータ90に冷却水ポンプ21にて冷却水を循環させ、ディーゼルエンジン1を冷却するように構成している。
【0038】
また、
図1、
図2に示す如く、第2ケース29から下面側に向けてSCR支持脚体93を突出させ、前記機体フレーム91にSCR支持脚体93の下端側を着脱可能にボルト94締結している。冷却ファン24の略直上に第2ケース29が配置される。冷却ファン24の上面側と第2ケース29の下面側の間にシュラウドとしての風洞板体92を介在させる。風洞板体92の最上端部よりも、第1支持脚体81及び第2支持脚体82の上端部を高位置に設け、風洞板体92の最上端部よりも第1ケース28を高位置に支持させると共に、機体フレーム91及びSCR支持脚体93を介して、第1ケース28よりも第2ケース29をさらに高位置に支持させるように構成している。
【0039】
ディーゼルエンジン1の上面側のうち、冷却ファン24設置部の上面側に第1ケース28と第2ケース29が平行に配置され、第1ケース28と第2ケース29の対向側面の上方側に排気連結パイプ39を斜行させ、第1ケース28と第2ケース29の排気ガス移動側の幅寸法よりも排気連結パイプ39を長尺に形成し、尿素水の混合に必要な排気連結パイプ39内の排気ガス移動距離を充分に確保している。また、風洞板体92にて形成されるディーゼルエンジン1の冷却ファン24風路よりも、第1ケース28と第2ケース29を高位置に配置し、第1ケース28よりもさらに高位置に第2ケース29を配置している。即ち、ディーゼルエンジン1の風洞板体92(冷却ファン用シュラウド)上面よりも高位置に第1ケース28と第2ケース29が配置され、冷却ファン24の直上に第2ケース29が配置される。
【0040】
したがって、ケースブラケットとしての第1支持脚体81及び第2支持脚体82のエンジン冷却風ガイド作用にて、ディーゼルエンジン1の上面側に冷却ファン24からの冷却風が移動案内される。なお、
図1のように、第1ケース28と風洞板体92の間に冷却風ガイド体95を設け、風洞板体92側からディーゼルエンジン1の上面側に向けて、冷却風ガイド体95の案内にて、冷却ファン24からの冷却風が移動するように構成できる。
【0041】
次に、
図1〜
図3、
図10〜
図16を参照して、排気ガス浄化ケースとしての第2ケース29の構造を説明する。第2ケース29には、尿素選択触媒還元用のSCR触媒32(Selective Catalytic Reduction)と、酸化触媒33(Diesel Oxidation Catalyst)が内蔵されている。また、第2ケース29は、耐熱金属材料製の入口ケース111と、耐熱金属材料製のSCRケース112と、耐熱金属材料製のDOCケース113と、耐熱金属材料製の出口ケース114とを備える。
【0042】
図17、
図22に示す如く、入口ケース111は、略円筒型の入口内側ケース115と略円筒型の入口外側ケース116を有する二重筒構造に構成する。SCRケース112は、略円筒型のSCR内側ケース117と略円筒型の前部SCR外側ケース118及び後部SCR外側ケース119を有する二重筒構造に構成する。DOCケース113は、略円筒型のDOC内側ケース120と略円筒型のDOC外側ケース121を有する二重筒構造に構成する。出口ケース114は、略円筒型の出口内側ケース122と略円筒型の出口外側ケース123を有する二重筒構造に構成する。
【0043】
また、SCR触媒32は、セラミックファイバー製でマット状のSCR断熱材124が外側に巻装されて、SCR内側ケース117に圧入状態で内挿されている。SCR断熱材124にてSCR触媒32が保護されている。酸化触媒33は、セラミックファイバー製でマット状のDOC断熱材125が外側に巻装されて、DOC内側ケース120に圧入状態で内挿されている。DOC断熱材125にて酸化触媒33が保護されている。
【0044】
前記各外側ケース116,118,119,121,123は、略同一径の円筒状に形成している。入口内側ケース115と入口外側ケース116における各排気ガス上流側端部が、円板形状の上流側内蓋体126と上流側外蓋体127にて閉塞されている。入口外側ケース116の排気ガス下流側端部から入口内側ケース115の排気ガス下流側端部を突出させている。入口外側ケース116の排気ガス下流側端部と、入口内側ケース115の排気ガス下流側外周面に、薄板状リング形(端面がL形状)の入口側接合フランジ128の内径側を溶接固定している。
【0045】
入口内側ケース115の内径よりもSCR内側ケース117の外径を小さく形成している。前部SCR外側ケース118の排気ガス上流側端部からSCR内側ケース117の排気ガス上流側端部を突出させる。前部SCR外側ケース118の排気ガス上流側端部と、SCR内側ケース117の排気ガス上流側外周面に、薄板状リング形(端面がL形状)のSCR入口接合フランジ129の内径側を溶接固定している。
【0046】
周方向に複数(実施形態では2つ)に分割された半円弧体にて構成された二組の厚板状の入口側挟持フランジ130,131にて、外径側を当接させた入口側接合フランジ128とSCR入口接合フランジ129を挟持させる。各フランジ128,129,130,131にボルト132を貫通させる。ボルト132とナット133にて各フランジ128,129,130,131を着脱可能に締結する。即ち、入口ケース111の排気ガス下流側に、SCRケース112の排気ガス上流側が着脱可能に連結される。入口内側ケース115の排気ガス下流側端部に、SCR内側ケース117の排気ガス上流側端部が遊嵌状に内挿される。
【0047】
SCR内側ケース117の排気ガス下流側外周面に、ドーナツ形状の薄板製支持体134の内径側を溶接固定する。前部SCR外側ケース118の排気ガス上流側端部と、後部SCR外側ケース119の排気ガス下流側端部を突き合わせる。薄板製支持体134の外径側に、前部SCR外側ケース118の排気ガス上流側端部と、後部SCR外側ケース119の排気ガス下流側端部を溶接固定する。SCR内側ケース117の排気ガス下流側端部に対して、後部SCR外側ケース119の排気ガス下流側端部を、排気ガス下流側に向けて突出している。後部SCR外側ケース119の排気ガス下流側端部に、薄板状リング形(端面がL形状)のSCR出口接合フランジ135の内径側を溶接固定している。
【0048】
DOC外側ケース121の排気ガス上流側端部からDOC内側ケース120の排気ガス上流側端部を突出させる。DOC外側ケース121の排気ガス上流側端部と、DOC内側ケース120の排気ガス上流側外周面に、薄板状リング形(端面がL形状)のDOC入口接合フランジ136の内径側を溶接固定している。
【0049】
周方向に複数(実施形態では2つ)に分割された半円弧体にて構成された二組の厚板状の触媒側挟持フランジ137,138にて、外径側を当接させたSCR出口接合フランジ135とDOC入口接合フランジ136を挟持させる。各フランジ135,136,137,138にボルト139を貫通させる。ボルト139とナット140にて各フランジ135,136,137,138を着脱可能に締結する。
【0050】
即ち、SCRケース112の排気ガス下流側に、DOCケース113の排気ガス上流側が着脱可能に連結される。後部SCR外側ケース119の排気ガス下流側端部に、DOC内側ケース120の排気ガス上流側端部が遊嵌状に内挿される。なお、SCR内側ケース117の排気ガス下流側端部と、DOC内側ケース120の排気ガス上流側端部との間に、図示しない差圧センサまたは温度センサなどが配置されるセンサ設置間隔を形成する。
【0051】
次いで、DOC外側ケース121の排気ガス下流側端部からDOC内側ケース120の排気ガス下流側端部を突出させる。DOC外側ケース121の排気ガス下流側端部と、DOC内側ケース120の排気ガス下流側外周面に、薄板状リング形(端面がL形状)のDOC出口接合フランジ141の内径側を溶接固定している。
【0052】
また、出口内側ケース122と出口外側ケース123における各排気ガス下流側端部が、円板形状の下流側蓋体142にて閉塞されている。出口外側ケース123の排気ガス上流側端部から出口内側ケース122の排気ガス上流側端部を突出させている。出口外側ケース123の排気ガス上流側端部と、出口内側ケース122の排気ガス上流側外周面に、薄板状リング形(端面がL形状)の出口側接合フランジ143の内径側を溶接固定している。下流側蓋体142にSCR出口管37が締結される。
【0053】
周方向に複数(実施形態では2つ)に分割された半円弧体にて構成された二組の厚板状の出口側挟持フランジ144,145にて、外径側を当接させたDOC出口接合フランジ141と出口側接合フランジ143を挟持させる。各フランジ141,143,144,145にボルト146を貫通させる。ボルト146とナット147にて各フランジ141,143,144,145を着脱可能に締結する。
【0054】
出口内側ケース122の内径よりもDOC内側ケース120の外径を小さく形成している。即ち、DOCケース113の排気ガス下流側が、出口ケース114の排気ガス上流側に着脱可能に連結される。DOC内側ケース120の排気ガス下流側端部が、出口内側ケース122の排気ガス上流側端部に遊嵌状に内挿される。
【0055】
図17〜
図22に示す如く、排気ガス入口151が形成された入口外側ケース5の外側面に排気ガス入口管としてのSCR入口管36が配置されている。排気ガス入口151のうち、入口内側ケース115の開口縁と入口外側ケース116の開口縁間の隙間に閉塞リング体152を設け、入口内側ケース115と入口外側ケース116の間に排気ガスが流入するのを閉塞リング体152にて防止している。即ち、排気ガス浄化ケースとしての第2ケース29の排気ガス入口151外側にSCR入口管36を配置し、SCR触媒32の排気ガス流入面と上流側内蓋体126との間に排気ガス流入空間153を形成する。触媒内側ケース4及び触媒外側ケース5には、排気ガス流入空間153に排気ガス入口151を臨ませている。
【0056】
SCR入口管36の排気ガス入口側の開口端面の面積よりも、SCR入口管36の排気ガス出口側の開口端面の面積を大きく形成し、入口ケース111の排気ガス移動方向で、入口外側ケース116及び入口内側ケース115の排気ガス入口151の開口寸法よりも、SCR入口管36の排気ガス出口側の開口寸法を大きく形成している。SCR入口管36の排気ガス出口側のうち排気ガス移動下流側の端部よりも、SCR触媒32の排気ガス移動上流側の端面が、入口ケース111の排気ガス移動上流側に配置されるように構成している。
【0057】
入口外側ケース116の排気ガス入口151の開口縁のうち、排気ガス移動上流側の排気ガス入口151の開口縁に、SCR入口管36の排気ガス出口側の端部を連結させるように構成している。入口外側ケース116及び入口内側ケース115の排気ガス入口151の開口形状が、排気ガス移動方向を短径L1とし、これと交差する方向を長径L2とする長円又は多角形状に形成している。SCR入口管36の円筒内径L3と、排気ガス入口151の短径L1を略等しい寸法に形成している。
【0058】
次いで、
図17〜
図22に示す如く、入口内側ケース115の排気ガス入口151とSCR入口管36の接続部に配置させる筒状の整流ガイド体154を備えている。SCR入口管36の円筒段部155に整流ガイド体154の排気ガス入口側の排気ガス通路端156を溶接固定する。入口内側ケース115の排気ガス入口151の開口縁に整流ガイド体154の排気ガス出口側の排気ガス通路端157を溶接固定する。
【0059】
即ち、SCR入口管36の内部のうち、排気ガス出口側の内部に整流ガイド体154が内設される。したがって、入口外側ケース116の排気ガス入口151よりも、SCR入口管36の排気ガス出口側の開口寸法を大きく形成する構造であっても、SCR入口管36の排気ガス入口側から供給される排気ガスが、入口外側ケース116の外周面に接触することがない。その結果、入口外側ケース116の排気ガス入口151の開口縁などに尿素の結晶塊が形成されることがない。
【0060】
また、整流ガイド体154の排気ガス入口側の排気ガス通路端156の開口面積よりも、整流ガイド体154の排気ガス出口側の排気ガス通路端157の開口面積を大きく形成している。整流ガイド体154の排気ガス出口側の排気ガス通路端157の開口形状を、排気ガス移動方向を短径L1とし、これと交差する方向を長径L2とする長円(または多角形状)に形成している。即ち、整流ガイド体154の排気ガス出口側の排気ガス通路端157の排気ガスが、排気ガス流入空間153内部に拡散しながら供給され、SCR触媒32の排気ガス移動上流側の端面に排気ガスが均等に供給されるように構成している。
【0061】
図23を参照して、第2実施形態を示す排気ガス浄化ケースの構造を説明する。
図23に示す如く、上流側外蓋体127に接近する方向に上流側内蓋体126の中央部を円球状に膨出させ、上流側内蓋体126の内面側に凹面部161を形成している。整流ガイド体154の排気ガス出口側(排気ガス通路端157)を、凹面部161の中央に向けて傾斜させて開口させている。
【0062】
即ち、整流ガイド体154の排気ガス通路端157から凹面部161の中央に向けて排気ガスが供給され、凹面部161の排気ガス拡散作用にて、排気ガス流入空間153にて排気ガスが拡散しながら、SCR触媒32の排気ガス移動上流側の端面に排気ガスが均等に供給されるように構成している。
【0063】
図1、
図17〜
図23に示す如く、ディーゼルエンジン1の排気ガス中の窒素酸化物質を低減する排気ガス浄化ケースとしての第2ケース29を備え、尿素水が噴射されたディーゼルエンジン1の排気ガスを、第2ケース29内部に排気ガス入口151から導入させるエンジン装置において、第2ケース29の外周のうち排気ガス入口151の外側に排気ガス入口管としてのSCR入口管36を配置する構造であって、排気ガス入口151とSCR入口管36の接続部に配置させる整流ガイド体154を備え、SCR入口管36に前記整流ガイド体154を内設させている。したがって、排気ガス入口151とSCR入口管36の接合部などにおいて、排気ガスに混合させた尿素水が結晶化して、尿素の結晶塊が形成されるのを容易に低減できる。即ち、第2ケース29の排気ガス入口151側に尿素の結晶塊が堆積するのを防止でき、第2ケース29の内部に排気ガスを適正に導入でき、排気ガス中の窒素酸化物質を、無害な窒素に変換する触媒反応効率を向上できる。
【0064】
図17〜
図23に示す如く、整流ガイド体154の排気ガス入口側の排気ガス通路端156の開口面積よりも、整流ガイド体154の排気ガス出口側の排気ガス通路端157の開口面積を大きく形成している。したがって、第2ケース29へのSCR入口管36の取付け剛性を維持しながら、第2ケース29の排気ガス移動方向の寸法を短縮でき、低コストで、コンパクトに且つ軽量に構成できる。
【0065】
図17〜
図23に示す如く、整流ガイド体154の排気ガス出口側の開口形状を、排気ガス移動方向を短径L1とし、これと交差する方向を長径L2とする長円又は多角形状に形成している。したがって、整流ガイド体154の排気ガス出口側から、第2ケース29内部の尿素選択触媒還元型のSCR触媒32のうち排気ガス移動上流側の端面に対して排気ガスを均等に供給でき、SCR触媒32にて排気ガス中の窒素酸化物質を無害な窒素に変換するガス浄化機能が向上できる。