特許第5955250号(P5955250)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5955250
(24)【登録日】2016年6月24日
(45)【発行日】2016年7月20日
(54)【発明の名称】充填装置、および充填方法
(51)【国際特許分類】
   B65B 3/26 20060101AFI20160707BHJP
   B65B 37/20 20060101ALI20160707BHJP
【FI】
   B65B3/26
   B65B37/20
【請求項の数】10
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2013-49730(P2013-49730)
(22)【出願日】2013年3月12日
(65)【公開番号】特開2014-172655(P2014-172655A)
(43)【公開日】2014年9月22日
【審査請求日】2015年5月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006127
【氏名又は名称】森永乳業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100100549
【弁理士】
【氏名又は名称】川口 嘉之
(74)【代理人】
【識別番号】100126505
【弁理士】
【氏名又は名称】佐貫 伸一
(74)【代理人】
【識別番号】100131392
【弁理士】
【氏名又は名称】丹羽 武司
(72)【発明者】
【氏名】阿部 真吾
【審査官】 西堀 宏之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−015629(JP,A)
【文献】 特開平11−310297(JP,A)
【文献】 特開2001−240004(JP,A)
【文献】 特開平06−135493(JP,A)
【文献】 特開平05−097188(JP,A)
【文献】 特公平01−046392(JP,B2)
【文献】 特開昭60−110601(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65B 1/00− 3/36
B65B 37/00−39/14
B67C 3/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮性流体である所定の含気泡性流体を目標量ずつ容器に充填する充填装置であって、
圧送装置が設けられ、該圧送装置により圧送される前記所定の含気泡性流体が流れる第一の流路と、
前記第一の流路から分岐し複数の枝管を有する第二の流路であって、各枝管は前記所定の含気泡性流体を容器へ充填する充填口を有する第二の流路と、
前記複数の枝管のそれぞれに設けられた調節弁であって、各枝管から各容器へ充填される前記所定の含気泡性流体の充填量が均等となるように、各枝管における該所定の含気泡性流体の流量を調節する調節弁と、
前記複数の枝管のそれぞれから各容器に充填された、該容器内の前記所定の含気泡性流体の充填量を計測する計測部と、
前記計測部によって計測された前記複数の枝管のそれぞれから各容器に充填された該所定の含気泡性流体の充填量の平均値に基づいて前記調節弁の開度を調節し、該複数の枝管のそれぞれからの該所定の含気泡性流体の充填量を制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、
前記所定の含気泡性流体の充填量の平均値を算出する平均値算出部と、
前記複数の枝管のそれぞれに対応する各容器での前記所定の含気泡性流体の充填量と、前記平均値算出部によって算出された前記平均値との差分である充填差分量を、該複数の枝管に対応して算出する差分量算出部と、
前記差分量算出部によって算出された、前記複数の枝管に対応する前記充填差分量に基づいて各枝管での前記調節弁の開度を調節し、前記所定の含気泡性流体の充填量を制御する充填量制御部と、
を有する、充填装置。
【請求項2】
前記平均値算出部は、前記複数の枝管のそれぞれから各容器に同一のタイミングで充填された前記所定の含気泡性流体の充填量の平均値を算出する、
請求項1に記載の充填装置。
【請求項3】
前記目標量は、所定の下限値および所定の上限値により画定された所定の充填量範囲に属する値であって、該所定の充填量範囲には、前記所定の含気泡性流体の充填量の基準と
して基準目標量が設定され、
前記所定の含気泡性流体の充填量の平均値が、前記所定の充填量範囲に含まれる値であって且つ前記基準目標量より乖離している場合には、該所定の含気泡性流体の平均値と該基準目標量との乖離量に基づいて、前記第一の流路に設けられた前記圧送装置による該所定の含気泡性流体の圧送量に関連する所定のパラメータを調整する圧送調整部を、更に備える、請求項1又は請求項2に記載の充填装置。
【請求項4】
前記複数の枝管の全てにおいて前記調節弁の開度が所定の開度以下となった場合、該複数の枝管の全てにおいて該調節弁を所定量だけ開く調節弁開制御部を、更に備える、
請求項1から請求項3の何れか1項に記載の充填装置。
【請求項5】
前記所定の含気泡性流体は、含気泡性の冷菓である、
請求項1から請求項4の何れか1項に記載の充填装置。
【請求項6】
圧縮性流体である所定の含気泡性流体を第一の流路へ流し、更に、該第一の流路から分岐し複数の枝管を有する第二の流路であって各枝管は該所定の含気泡性流体を容器へ充填する充填口を有する第二の流路を経て、該所定の含気泡性流体を目標量ずつ容器に充填する充填方法であって、
前記複数の枝管のそれぞれには、各枝管から各容器へ充填される前記所定の含気泡性流体の充填量が均等となるように、各枝管における該所定の含気泡性流体の流量を調節する調節弁が設けられ、
前記充填方法は、
前記複数の枝管のそれぞれから、各枝管に対応する各容器に前記所定の含気泡性流体を充填する充填ステップと、
前記充填ステップで各容器に充填された、該容器内の前記所定の含気泡性流体の充填量を計測する計測ステップと、
前記計測ステップで計測された前記複数の枝管のそれぞれから各容器に充填された該所定の含気泡性流体の充填量の平均値に基づいて、各枝管に設けられている前記調節弁の開度を調節する調節ステップと、
を含み、
前記充填ステップ、前記計測ステップ、前記調節ステップを繰り返し実行し、
前記充填方法は、更に、
前記所定の含気泡性流体の充填量の平均値を算出する平均値算出ステップと、
前記複数の枝管のそれぞれに対応する各容器での前記所定の含気泡性流体の充填量と、前記平均値算出ステップで算出された前記平均値との差分である充填差分量を、該複数の枝管に対応して算出する差分量算出ステップと、
を含み、
前記調節ステップでは、前記差分量算出ステップで算出された、前記複数の枝管に対応する前記充填差分量に基づいて、各枝管での前記調節弁の開度を調節する、
充填方法。
【請求項7】
前記平均値算出ステップでは、前記複数の枝管のそれぞれから各容器に同一のタイミングで充填された前記所定の含気泡性流体の充填量の平均値を算出する、
請求項6に記載の充填方法。
【請求項8】
前記目標量は、所定の下限値および所定の上限値により画定された所定の充填量範囲に属する値であって、該所定の充填量範囲には、前記所定の含気泡性流体の充填量の基準として基準目標量が設定され、
前記第一の流路には、前記所定の含気泡性流体を圧送する圧送装置が設けられ、
前記充填方法は、更に、
前記所定の含気泡性流体の充填量の平均値が、前記所定の充填量範囲に含まれる値であって且つ前記基準目標量より乖離している場合には、該所定の含気泡性流体の平均値と該基準目標量との乖離量に基づいて、前記第一の流路に設けられた前記圧送装置による該所定の含気泡性流体の圧送量に関連する所定のパラメータを調整する圧送調整ステップを含む、
請求項6又は請求項7に記載の充填方法。
【請求項9】
前記充填方法は、更に、
前記複数の枝管の全てにおいて前記調節弁の開度が所定の開度以下となった場合、該複数の枝管の全てにおいて該調節弁を所定量だけ開く調節弁開制御ステップを含む、
請求項6から請求項8の何れか1項に記載の充填方法。
【請求項10】
前記所定の含気泡性流体は、含気泡性の冷菓である、
請求項6から請求項9の何れか1項に記載の充填方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧縮性流体としての物性を有する流動性物質を容器に充填するための充填装置、および充填方法に関する。
【背景技術】
【0002】
容器に流動性物質を充填するに際し、充填すべき充填量があらかじめ定められた所定の範囲に収まるように制御する必要がある場合、正確に充填するためのさまざまな充填技術が提案されてきた。例えば、充填する際の流動性物質の流量を測定し、測定した流量の値に基づいて充填量を計算して制御する技術として、下記の特許文献1−3が挙げられる。例えば、特許文献1には、流動性物質を流す管路にニードルバルブを設け、充填すべき容器が流れるラインの速度を検知し、このラインの速度に基づいて前記ニードルバルブの開度を調節する充填方法の発明が開示されている。また、容器に流動性物質を充填する際に、その充填レベルを検知しながら充填量を制御する技術として、下記の特許文献4が挙げられる。
【0003】
なお、上述までの先行技術は、一つの容器に流動性物質を充填する一つの充填ラインに適用することを想定した技術である。一方で、容器への充填を大量に行う必要がある場合には、一つの充填ラインに限らず複数の充填ラインを設けて、流動性物質を一度に充填するのが好ましい。この場合、流動性物質を貯留したタンクから第1の充填ラインをひいて、その第1の充填ラインを複数の第2の充填ラインに分岐させて、これらの複数の第2の充填ラインの一つ一つに容器を対応させて複数の容器に同時に流動性物質を充填するという振り分け充填の技術が採用される場合がある。
【0004】
例えば、特許文献5には、ダブルベローズポンプにモーターを配置し、このモーターによってダブルベローズポンプのストロークを調節しつつ充填量を変更する充填装置の発明が開示されている。また、特許文献6には、流動性物質を流す第1の充填ライン(主管)から分岐する複数の第2の充填ライン(枝管)を備え、第2の充填ラインのひとつひとつに流量計と充填バルブとを設け、充填バルブを開放して各枝管から流動性物質を吐出させるとともに流量計により流動性物質の流量を測定しながら容器に充填する流動性物質の定量充填方法において、第2の充填ラインのうち、着目する第2の充填ラインについて他のラインに設置されている充填バルブの開放又は閉鎖動作に伴うヘッドの乱れを考慮し、当該着目する第2の充填ラインの充填バルブの閉鎖動作命令後に流出する流体量を予め予測し、容器に対する充填量が目標値に達する前に、予測した流体量に基づいて当該着目する第2の充填ラインの充填バルブの閉鎖タイミングを設定することを特徴とする流動性物質の定量充填方法が開示されている。
【0005】
更に特許文献7、8には、所定の圧力で加圧された容器に貯留された流動性物質を充填する方法であって、容器から続く1本の第1の充填ラインからそれぞれ複数の第2の充填ラインに振り分けた後、複数の第2の充填ラインのそれぞれに充填弁を設け、第2の充填ラインの末端から容器に流動性物質を充填すると同時に流動性物質の圧力を測定し、圧力の値を制御装置に送信し、該制御装置によって、流動性物質の圧力と、充填しようとする目標充填量とから、充填弁の開度を制御する方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開昭62−180198号公報
【特許文献2】特開2002−181608号公報
【特許文献3】特開平2−191193号公報
【特許文献4】特開昭62−39403号公報
【特許文献5】特開昭64−37316号公報
【特許文献6】特開平11−349097号公報
【特許文献7】特公平1−46392号公報
【特許文献8】特表平11−500693号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
容器への流動性物質の充填効率を向上させるためには、上記の通り、充填のためのラインを複数に振り分けて、それぞれのラインから容器への充填を行う振り分け充填の技術が有用である。一方で、充填ラインを振り分けることで、各ラインでの充填量にバラツキが生じやすくなるため、各ラインでの充填量をより適切に制御する必要が生じる。
【0008】
ここで、特に流動性物質の中でも、アイスクリーム等のようにその内部にガス(空気等)を比較的多く含有することで、圧縮性流体としての物性を有する流動性物質を振り分け充填の技術を用いて容器に充填しようとする場合、その流動性が逐次変化しやすく流動性物質の動圧が安定しないこと等の理由により、非圧縮性流体(例えば、水)の場合と比べて定量的に圧送することが困難となり、以て、均等な振り分け充填が難しくなる。また、圧縮性流体としての流動性物質は、その動圧が安定しないことで、充填ライン等での流量を従来の流量計(例えば、容積式、電磁式、振動式等の流量計)では正確に測定することは極めて難しく、その観点からも正確な充填制御を行うのが難しい物質であると言える。
【0009】
本発明は、上記した問題点に鑑みてなされたものであり、振り分け充填の技術を使用する充填装置又は充填方法において、圧縮性流体としての物性を有する流動性物質の充填量を可及的に均等に振り分け充填することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決する本発明の要旨は以下の通りである。
(1)圧縮性流体である所定の含気泡性流体を目標量ずつ容器に充填する充填装置であって、
圧送装置が設けられ、該圧送装置により圧送される前記所定の含気泡性流体が流れる第一の流路と、
前記第一の流路から分岐し複数の枝管を有する第二の流路であって、各枝管は前記所定の含気泡性流体を容器へ充填する充填口を有する第二の流路と、
前記複数の枝管のそれぞれに設けられた調節弁であって、各枝管から各容器へ充填される前記所定の含気泡性流体の充填量が均等となるように、各枝管における該所定の含気泡性流体の流量を調節する調節弁と、
前記複数の枝管のそれぞれから各容器に充填された、該容器内の前記所定の含気泡性流体の充填量を計測する計測部と、
前記計測部によって計測された前記複数の枝管のそれぞれから各容器に充填された該所定の含気泡性流体の充填量の平均値に基づいて前記調節弁の開度を調節し、該複数の枝管のそれぞれからの該所定の含気泡性流体の充填量を制御する制御部と、
を備える、充填装置。
(2) 前記制御部は、
前記所定の含気泡性流体の充填量の平均値を算出する平均値算出部と、
前記複数の枝管のそれぞれに対応する各容器での前記所定の含気泡性流体の充填量と、前記平均値算出部によって算出された前記平均値との差分である充填差分量を、該複数の枝管に対応して算出する差分量算出部と、
前記差分量算出部によって算出された、前記複数の枝管に対応する前記充填差分量に基
づいて各枝管での前記調節弁の開度を調節し、前記所定の含気泡性流体の充填量を制御する充填量制御部と、
を有する、(1)に記載の充填装置。
(3) 前記平均値算出部は、前記複数の枝管のそれぞれから各容器に同一のタイミングで充填された前記所定の含気泡性流体の充填量の平均値を算出する、
(2)に記載の充填装置。
(4) 前記目標量は、所定の下限値および所定の上限値により画定された所定の充填量範囲に属する値であって、該所定の充填量範囲には、前記所定の含気泡性流体の充填量の基準として基準目標量が設定され、
前記所定の含気泡性流体の充填量の平均値が、前記所定の充填量範囲に含まれる値であって且つ前記基準目標量より乖離している場合には、該所定の含気泡性流体の平均値と該基準目標量との乖離量に基づいて、前記第一の流路に設けられた前記圧送装置による該所定の含気泡性流体の圧送量に関連する所定のパラメータを調整する圧送調整部を、更に備える、(1)から(3)の何れか1項に記載の充填装置。
(5) 前記複数の枝管の全てにおいて前記調節弁の開度が所定の開度以下となった場合、該複数の枝管の全てにおいて該調節弁を所定量だけ開く調節弁開制御部を、更に備える、
(1)から(4)の何れか1項に記載の充填装置。
(6) 前記所定の含気泡性流体は、含気泡性の冷菓である、
(1)から(5)の何れか1項に記載の充填装置。
(7) 圧縮性流体である所定の含気泡性流体を第一の流路へ流し、更に、該第一の流路から分岐し複数の枝管を有する第二の流路であって各枝管は該所定の含気泡性流体を容器へ充填する充填口を有する第二の流路を経て、該所定の含気泡性流体を目標量ずつ容器に充填する充填方法であって、
前記複数の枝管のそれぞれには、各枝管から各容器へ充填される前記所定の含気泡性流体の充填量が均等となるように、各枝管における該所定の含気泡性流体の流量を調節する調節弁が設けられ、
前記充填方法は、
前記複数の枝管のそれぞれから、各枝管に対応する各容器に前記所定の含気泡性流体を充填する充填ステップと、
前記充填ステップで各容器に充填された、該容器内の前記所定の含気泡性流体の充填量を計測する計測ステップと、
前記計測ステップで計測された前記複数の枝管のそれぞれから各容器に充填された該所定の含気泡性流体の充填量の平均値に基づいて、各枝管に設けられている前記調節弁の開度を調節する調節ステップと、
を含み、
前記充填ステップ、前記計測ステップ、前記調節ステップを繰り返し実行する、
充填方法。
(8) 前記充填方法は、更に、
前記所定の含気泡性流体の充填量の平均値を算出する平均値算出ステップと、
前記複数の枝管のそれぞれに対応する各容器での前記所定の含気泡性流体の充填量と、前記平均値算出ステップで算出された前記平均値との差分である充填差分量を、該複数の枝管に対応して算出する差分量算出ステップと、
を含み、
前記調節ステップでは、前記差分量算出ステップで算出された、前記複数の枝管に対応する前記充填差分量に基づいて、各枝管での前記調節弁の開度を調節する、
(7)に記載の充填方法。
(9) 前記平均値算出ステップでは、前記複数の枝管のそれぞれから各容器に同一のタイミングで充填された前記所定の含気泡性流体の充填量の平均値を算出する、
(8)に記載の充填方法。
(10) 前記目標量は、所定の下限値および所定の上限値により画定された所定の充填量範囲に属する値であって、該所定の充填量範囲には、前記所定の含気泡性流体の充填量の基準として基準目標量が設定され、
前記第一の流路には、前記所定の含気泡性流体を圧送する圧送装置が設けられ、
前記充填方法は、更に、
前記所定の含気泡性流体の充填量の平均値が、前記所定の充填量範囲に含まれる値であって且つ前記基準目標量より乖離している場合には、該所定の含気泡性流体の平均値と該基準目標量との乖離量に基づいて、前記第一の流路に設けられた前記圧送装置による該所定の含気泡性流体の圧送量に関連する所定のパラメータを調整する圧送調整ステップを含む、
(7)から(9)の何れか1項に記載の充填方法。
(11) 前記充填方法は、更に、
前記複数の枝管の全てにおいて前記調節弁の開度が所定の開度以下となった場合、該複数の枝管の全てにおいて該調節弁を所定量だけ開く調節弁開制御ステップを含む、
(7)から(10)の何れか1項に記載の充填方法。
(12) 前記所定の含気泡性流体は、含気泡性の冷菓である、
(7)から(11)の何れか1項に記載の充填方法。
【0011】
上記の本発明において、上記課題を解決するために、本願発明者は、振り分け充填の技術により、充填の対象となる圧縮性流体である所定の含気泡性流体を複数の容器に充填する場合、その充填された複数の容器での充填量の平均値を利用して、その後の充填量を調節するための調節弁の開度を調節する構成を採用することとした。すなわち、充填量の平均値を利用して振り分け充填における各充填流路の調節弁の開度を調節することで、所定の含気泡性流体の充填量に関し充填流路間のばらつきを可及的に抑制することができることを、本願発明者は見出した。
【0012】
(1)の発明に係る充填装置は、圧縮性流体である所定の含気泡性流体を容器に充填するためのものであり、当該装置は、第一の流路、第二の流路を経て、所定の含気泡性流体を容器へと圧送し、充填する。すなわち、当該充填装置は、所定の含気泡性流体が圧送される第一の流路と、その第一の流路から、複数の枝管に分岐するように形成される第二流路を有し、所定の含気泡性流体が、第一の流路から第二の流路の枝管に圧送されることで、該枝管の充填口から容器へと充填されることになる。そして、この第二の流路が有する複数の枝管に対応するように配置された容器に、圧送されてきた所定の含気泡性流体が流れ込んでいくことで、いわゆる振り分け充填を用いた所定の含気泡性流体の充填が行われることになる。
【0013】
なお、複数の枝管から各容器へ充填される所定の含気泡性流体の充填量が目標量となるように、枝管のそれぞれに設けられた調節弁の開度が制御される。そのため、調節弁は第二の流路が有する複数の枝管のそれぞれに設けられるとともに、各調節弁の開度は、それぞれ独立して調節されることが可能となっている。なお、当該目標量は、一定の目標値として設定されてもよく、又は所定の幅を有する範囲として設定されてもよい。
【0014】
ここで、所定の含気泡性流体は、いわゆる圧縮性流体としての物性を有する流体である。例えば、上記(6)の発明に示すように、内部に比較的多くの空気を含んで生成されるアイスクリーム類の冷菓が、所定の含気泡性流体として挙げられる。このアイスクリーム類の冷菓は、乳脂肪及び無脂乳固形分の含量により、更にアイスクリーム、アイスミルク、及びラクトアイスに分類される。そして、例えば、乳脂肪、植物性油脂、又はこれらを混合した油脂3〜20%、無脂乳固形分3〜12%、糖類8〜20%、その他必要に応じ少量の安定剤、乳化剤、色素、香料等を含む殺菌した冷菓原料に、オーバーランを10〜150%に調整しながら連続式フリーザーで空気を吹き込み、凍結し、容器に充填し、硬
化して製造される。そのため、製造されたアイスクリーム類の冷菓は、容器に充填される前は、流動性物質ではあるものの、微視的に見れば油脂の粒、気泡、氷晶等が混在し相互に影響を及ぼし合う系を有しており、固体、液体、気体の三相が複雑に絡み合った挙動を示す。特に、アイスクリーム類の冷菓は気泡を比較的多く含んでいることで、圧縮性流体としての物性を示す流体であり、本願発明に係る所定の含気泡性流体に相当する。
【0015】
このように所定の含気泡性流体としてのアイスクリーム類の冷菓は、容器までの充填過程において、外部から受ける様々な影響(圧送時の圧力や温度変化等)によって内部の気泡とその他の固体や液体の物質との相関が変化しやすく、そのため充填過程での流動性が時々刻々と変化しやすい。また、一般には、流動性物質を容器に充填する場合には、充填流路での当該物質の流量を測定し、その測定結果に基づいて充填量の調整が行われる。しかし、従来の流量計(例えば、容積式、電磁式、振動式の流量計)では、流体の動圧が一定になった定常状態で測定する必要があり、また測定精度を高めるために圧力補正が行われる場合があるが、所定の含気泡性流体の場合、内部に比較的多くの気泡を有し、その動圧が変動しやすいため、従来の流量計ではその流量を正確に測定することが極めて困難である。したがって、所定の含気泡性流体としてのアイスクリーム類の冷菓は、振り分け充填を行う充填装置においては、枝管間での充填量のばらつきを生じやすい。
【0016】
また、所定の含気泡性流体は、その内部に比較的多くの気泡を有することから、圧縮、膨張をしやすい。そのため、第一の流路および第二の流路を圧送される際に、一定の流量を維持して流れることが難しく、この点からも枝管間での充填量のばらつきを引き起こしやすい。
【0017】
そこで、(1)の発明に係る充填装置では、計測部によって、複数の枝管のそれぞれから各容器に充填された、所定の含気泡性流体の充填量が計測され、そして、制御部によって、その計測結果を踏まえ算出された充填量の平均値に基づいて、複数の枝管に設けられている調節弁の開度が調節される。当該充填量の平均値は、振り分け充填を行う複数の枝管から各容器へ充填された所定の含気泡性流体の充填量の平均値である。したがって、当該充填量の平均値は、各枝管において生じている充填量のばらつきを内包するパラメータであり、そのため、例えば一の枝管における充填量と当該充填量の平均値を比較することで、ばらつきを解消し各枝管での充填量を均等にするための調節弁の開度の調節に利用し得る好ましいパラメータである。更に、当該充填量の平均値は、所定の含気泡性流体が充填された後、すなわち、充填過程に置かれている所定の含気泡性流体ではなく、充填が完了した後の所定の含気泡性流体に関する平均値であるため、上記のように変化しやすく安定しない流動性に影響されにくいパラメータでもある。
【0018】
なお、上記計測部によって計測される充填量は、容器に充填された所定の含気泡性流体の量を客観的に表すものであれば、公知の様々なパラメータを採用することができる。換言すれば、変動しやすい流動性の影響を排除した、いわば静的状態に置かれた所定の含気泡性流体の量を表すパラメータであれば、本願発明に係る充填量として採用することが可能である。例えば、当該充填量は、容器に充填された含気泡性流体の質量でもよく、また、容器に充填された状態での所定の含気泡性流体の上面の位置(レベル)でもよい。
【0019】
したがって、これらの点を踏まえると理解できるように、(1)の発明に係る充填装置では、計測部および制御部による処理により、容器に充填される物質が圧縮性流体の物性を示す所定の含気泡性流体であっても、その物性に依存する複数の枝管での充填量のばらつきを可及的に抑制することが可能となる。従来技術では、このように圧縮性流体の物性を示す所定の含気泡性流体の振り分け充填における課題を解決する構成は開示されておらず、そのため本願発明に係る充填装置は、充填量のばらつき抑制の観点から極めて有用な効果を奏するものと言える。
【0020】
また、上記においては、所定の含気泡性流体としてアイスクリーム類の冷菓を例示したが、その他にホイップクリームやムース等も所定の含気泡性流体に相当する。また、これらの食品以外の流体であって、その内部に比較的多くの気泡(ガス)を含み、圧縮性流体としての物性を示す流体であれば、上記所定の含気泡性流体に相当するものであり、故に、(1)の発明に係る充填装置によって、振り分け充填時に生じる充填量のばらつきを可及的に抑制することが可能となる。
【0021】
ここで、制御部による充填量の平均値の利用の一形態として、当該平均値と複数の枝管のそれぞれでの充填量との差である充填差分量は、その各枝管での充填量のばらつきを表すパラメータである。そこで、(2)の発明に係る充填装置では、各枝管に対応して算出された充填差分量に基づいて、その枝管に設けられた調節弁の開度を調節することで、より適切に、すなわち充填量のばらつきが抑制されるように所定の含気泡性流体の充填が行われることになる。
【0022】
次に、上述したように、所定の含気泡性流体の流動性は時々刻々と変化し得るものである。そこで、(3)の発明に係る充填装置では、平均値算出部による充填量の平均値の算出の対象となる所定の含気泡性流体を、複数の枝管のそれぞれから各容器に同一のタイミングで充填された所定の含気泡性流体とすることで、各枝管同士の充填量のばらつきを的確に把握でき、以て、調節弁の開度を好適に調節することが可能となる。
【0023】
ここで、所定の充填量範囲に属する目標量となるように、充填装置によって振り分け充填が行われる場合、上記充填量の平均値がその所定の充填量範囲に属してれば、基本的には適切な充填が行われていると考えてもよい。しかし、所定の充填量範囲であっても、例えば、充填量の平均値がその所定の下限値や上限値に近い値となり、基準目標量と乖離している場合には、各枝管での充填量のばらつきは小さいものの、何らかの要因で容器への充填量が変動し充填量そのものが所定の充填量範囲から外れることもあり得る。このような場合は、適切な充填が行われなかったこととなる。そこで、(4)の発明に係る充填装置では、不意の充填量の変動に対しても可及的に適切な充填量の維持を図るために、所定の充填量範囲において特に充填量として適切な基準値である基準目標量が設定される。一例としては、所定の充填量範囲の所定の上限値および下限値から最も遠い、その中央値又は該中央値の近傍の値を基準目標量とするのが好ましい。そして、含気泡性流体の充填量の平均値が所定の充填量範囲に含まれる値であって且つ基準目標量より乖離している場合には、上記の通り圧送調整部により、その乖離量に基づいて複数の枝管に圧送される所定の含気泡性流体の圧送量に関連する所定のパラメータを調整することで、乖離量を減少させ、安定した充填を維持することが可能となる。所定のパラメータとしては、圧送装置の圧送能力に関するパラメータ、例えば、装置内のポンプの駆動速度等が挙げられる。
【0024】
次に、(5)の発明に係る充填装置では、このように調節弁開制御部による処理を行うことで、複数の枝管の全てにおいてそれぞれの調節弁が所定の開度以下となることで圧力損失が過度に高くなり、設備の故障や設備稼働に要するエネルギー量の上昇を回避することが可能となる。なお、上記所定の開度は、圧力損失の過度な上昇の観点から適宜設定すればよく、また、所定量についても過度に上昇した圧力損失を軽減するために適切な値を採用すればよい。
【0025】
次に(7)の発明に係る充填方法によれば、充填ステップと計測ステップと調節ステップとを繰り返し実行することで、上記充填装置と同じように、各枝管において生じている充填量のばらつきを内包するパラメータであり、変動しやすい所定の含気泡性流体の流動性に影響されにくいパラメータである充填量の平均値を利用して、複数の枝管のそれぞれに設けられた調節弁の開度を調節することで、容器に充填される物質が圧縮性流体の物性
を示す所定の含気泡性流体であっても、複数の枝管での充填量のばらつきを可及的に抑制することが可能となる。
【0026】
そして、上記(1)〜(6)の発明に係る充填装置に関して開示した上記の技術的思想は、技術的な齟齬が生じない限りにおいて、上記充填方法にも適用することができる。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、振り分け充填の技術を使用する充填装置又は充填方法において、圧縮性流体としての物性を有する流動性物質の充填量を可及的に均等に振り分け充填することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本発明の実施例に係る充填装置の概略構成を示す図である。
図2図1に示す充填装置で採用された調節弁の弁体の構成を示す図である。
図3図1に示す充填装置で行われる、アイスクリームを振り分け充填するための制御に関する第一のフローチャートである。
図4図3に示す振り分け充填制御に関する、調節弁の開度制御量の設定に関する入力画面の図である。
図5図3に示す振り分け充填制御が行われたときの、各充填枝管における充填差分量の推移を示す図である。
図6図3に示す振り分け充填制御が行われたときの、各充填枝管における調節弁の開度の推移を示す図である。
図7図1に示す充填装置で行われる、アイスクリームを振り分け充填するための制御に関する第二のフローチャートである。
図8図7に示す振り分け充填制御が行われたときの、各充填枝管における調節弁の開度の推移を示す図である。
図9】本発明のその他の実施例に係る充填装置の概略構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の具体的な実施形態について図面に基づいて説明する。本実施例に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置等は、特に記載がない限りは発明の技術的範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【実施例1】
【0030】
本発明に係る充填装置の実施例について、本願明細書に添付された図面に基づいて説明する。図1は、本実施例に係る充填装置1の概略構成を示す図である。充填装置1は、圧縮性流体としての物性を有するアイスクリーム類の冷菓(以下、単に「アイスクリーム」と称する)を、当該装置による容器への充填対象物とする。アイスクリームは、乳脂肪及び無脂乳固形分の含量により、更にアイスクリーム、アイスミルク、及びラクトアイスに分類され、個別的には様々な方法によって製造されるが、一般には、乳脂肪、植物性油脂、又はこれらを混合した油脂3〜20%、無脂乳固形分3〜12%、糖類8〜20%、その他必要に応じ少量の安定剤、乳化剤、色素、香料等を含む殺菌した冷菓原料に、オーバーランを10〜150%に調整しながら連続式フリーザーで空気を吹き込み、凍結し、容器に充填し、硬化して製造される。そのため、製造されたアイスクリームは、容器に充填される前は、流動性物質ではあるものの、微視的に見れば油脂の粒、気泡、氷晶等が混在している含気泡性の流動性物質である。このように流動性物質でありながら、その内部に比較的多くの気泡を有する含気泡性の流動性物質は、その気泡が外部からの圧力や外部の温度等によって膨張、圧縮しやすいため、圧縮性流体としての物性を示す流体である。
【0031】
図1に示す充填装置1は、このような圧縮性流体であるアイスクリームを、容器に振り
分け充填するための装置であり、振り分け充填の対象となるアイスクリームがタンク2に貯留されている。なお、タンク2は、図示しないフリーザーを介して製造されたアイスクリームを一時的に貯留するものであってもよく、また、フリーザーに供給するための原材料を貯留するものであってもよい。なお、後者の場合、貯留されている原材料が図示しないフリーザーに供給されて、その後、後述する定量ポンプ3によって圧送され、振り分け充填されることになる。
【0032】
充填装置1においては、タンク2から、アイスクリームが充填される容器までの充填ラインは、第一充填流路4と、第二充填流路5で構成されている。第一充填流路4は、タンク2の放出口に位置する始点41から終点42まで延出する一本の流路であり、その途中にアイスクリームを圧送するための定量ポンプ3が配置されている。定量ポンプ3は、ポンプの駆動速度に応じて、流動性物質を一定流量で圧送可能な圧送装置である。第一充填流路4の終点42においては、第二充填流路5が接続されている。第二充填流路5は、複数の枝管5a、5b、5cを有しており、各枝管が、第一充填流路4と第二充填流路5の連結点(すなわち、第一充填流路4の終点42)から下流側に向かって分岐して形成される。本実施例においては、第二充填流路5における枝管は3本に設定され、各枝管および該枝管に対応するように設置又は配置されている構造物については、その参照番号にa、b、cを付している。
【0033】
具体的には、第二充填流路5に含まれる3本の枝管5a、5b、5cのそれぞれには、そこを流れるアイスクリームの流量を、内部に有するバタフライバルブの開度を変更することで調節可能な調節弁6a、6b、6cが設けられている。これらの調節弁のバタフライバルブ61は、図2に示すようにそのバルブ径D1が、従来技術に係るバタフライバルブ62のバルブ径D2より小さく形成されている。そのため、従来技術においては、バタフライバルブ62が全閉状態となると枝管における開度がほぼ0%となるが、本願発明に係る充填装置1の枝管においては、仮にバタフライバルブ61が全閉状態となっても従来のバタフライバルブ62より小さいことから、枝管は完全に閉塞した状態にはならない。これにより、調節弁の制御性が向上される。
【0034】
更に、各枝管において、調節弁6a、6b、6cの下流側に開閉弁ユニット7が配置されている。開閉弁ユニット7は、各枝管のアイスクリームの流れを遮断、もしくは流通させるための開閉弁を、それぞれの枝管に対応して有しており、且つ、それら全ての開閉弁が完全に同期して開閉するように構成されている。そして、開閉弁ユニット7の下流側の各枝管の端部には、圧送されてきたアイスクリームが、各枝管に対応して配列された容器8a、8b、8cに充填するための充填口が形成されている。
【0035】
ここで、充填装置1においては、定量ポンプ3による圧送とともに各枝管から開閉弁ユニット7での弁開閉により、アイスクリームが容器8a、8b、8cに同時に充填される。そして、アイスクリームが充填された後の容器8a’、8b’、8c’は、充填位置(すなわち、各枝管の充填口の直下の位置)から、図示しない搬送手段であるベルトコンベアで所定量移送された位置であって、いずれの充填位置にも干渉しない計測位置において、各容器内に充填されたアイスクリームの充填量が計測される。本実施例においては、計測位置に配置された、質量計測手段であるロードセル9a、9b、9cによって、アイスクリームの充填量(充填されたアイスクリームを含む容器の質量から既知の容器の質量を減算した値)が計測される。なお、ロードセル9a、9b、9cによって充填量が計測されたアイスクリームは、ベルトコンベヤによって更に下流側に移送され、所定の冷蔵処理等が施される。
【0036】
そして、充填装置1には、制御装置10が併設されており、該制御装置10は、定量ポンプ3、調節弁6a、6b、6c、開閉弁ユニット7、ロードセル9a、9b、9cと電
気的に接続されている。これにより、各ロードセルによって計測されたアイスクリームの充填量が制御装置10に引き渡され、その内部のメモリに格納される。また、定量ポンプ3の駆動速度や、調節弁6a、6b、6cにおけるバタフライバルブの開度が、制御装置10からの指示に従って制御され、また、開閉弁ユニット7の開弁および閉弁の状態も制御装置10からの指示に従って制御される。
【0037】
このように構成される充填装置1では、タンク2に貯留されているアイスクリームが、先ずは第一充填流路4を経て、その後、第二充填流路5が有する3つの枝管5a、5b、5cによって振り分けられたのち、各枝管の充填口から各容器へ充填されることで、いわゆる振り分け充填が行われる。なお、充填装置1においては、容器に充填されるアイスクリームの充填量が、所定の下限値および所定の上限値で画定される所定の充填量範囲に属するように、各枝管から容器への充填が行われる。
【0038】
ここで、この振り分け充填の対象となるアイスクリームは、その内部に比較的多くの気泡を有し、圧縮性流体の物性を有する含気泡性流体である。そのため、定量ポンプ3による加圧でアイスクリーム内の気泡が圧縮されたり、又は充填装置1の外部の温度変化(例えば、充填装置1が設置される空間内の空調による温度変化)によりアイスクリーム内の気泡が圧縮、膨張されたりすることで、流路内でのアイスクリームの挙動は変動しやすい。その結果、仮に定量ポンプ3の圧送能力が一定であり、また各枝管の構造(例えば、流路内の面積や流路長さ等)を全て統一したとしても、アイスクリームが含気泡性流体であることに起因して、必ずしも各枝管におけるアイスクリームの流れの挙動は同じにはならず、また常に変動し得るものでもある。
【0039】
一方で、充填装置1では、3つの枝管5a、5b、5cからの振り分け充填を行うことで、アイスクリームの容器への充填効率の向上が図られており、このとき、各容器へのアイスクリームの充填量が、所定の充填範囲(下限値をLg、上限値をUgとする範囲)に属するように充填される。しかしながら、上記の通り、アイスクリームが含気泡性流体であることに起因して各枝管からの充填量においてばらつきが生じやすく、振り分け充填を効率的に行うことが容易ではない。そこで、充填装置1においては、アイスクリームを振り分け充填するにあたり、図3に示す振り分け充填制御を行い、効率的なアイスクリームの振り分け充填の実現を図る。なお、当該制御は、制御装置10に格納された制御プログラムが実行されることで、行われる。
【0040】
先ず、S101では、各枝管における容器へのアイスクリームの充填量Mnが、各枝管に対応したロードセルによって計測され、その計測値が制御装置10へ引き渡される。具体的には、枝管5aから容器8aに充填されたアイスクリームの充填量はロードセル9aによって計測され、枝管5bから容器8bに充填されたアイスクリームの充填量はロードセル9bによって計測され、枝管5cから容器8cに充填されたアイスクリームの充填量はロードセル9cによって計測される。そして、計測された各枝管に対応する充填量Mnは、充填されたタイミング(図1に示す充填装置では、開閉弁ユニット7により、3つの枝管からの充填タイミングは同じである点に留意する)の情報とともに、対応する枝管に関する情報と併せて、制御装置10内のメモリに記憶される。S101の処理が終了すると、S102へ進む。
【0041】
S102では、S101で計測された充填量Mnの平均値Maveが算出される。詳細には、当該平均値Maveは、直近のタイミングにおいて3つの枝管5a、5b、5cから充填されたアイスクリームの充填量の単純平均である。また、これに代えて、直近のタイミングを含む、複数のタイミングでの3つの枝管5a、5b、5cからの充填量の単純平均を採用してもよい。また、このように複数のタイミングにわたる充填量の平均値を算出する場合には、単純平均に代えて、タイミング間の重みを異ならせて加重平均を採って
もよい。このように加重平均を採る場合には、直近のタイミングにおける充填量の重みを最も大きく設定するのが好ましい。S102の処理が終了すると、S103へ進む。
【0042】
S103では、S101において直近のタイミングで計測された充填量MnとS102で算出された平均値Maveに基づき下記の式1に従って、各枝管に対応する充填差分量ΔMが算出される。
ΔM = Mn−Mave ・・・(式1)
平均値Maveは、上記の通り3つの枝管5a、5b、5cからの充填量の平均値であるとともに、当該平均値の基礎となる充填量は、流路等を流れている状態のアイスクリームに関する量ではなく、容器に充填された後のアイスクリームの充填量である。そのため、充填量Mnと平均値Maveの差分として定義される充填差分量ΔMは、アイスクリームが含気泡性流体であることに起因する挙動の不安定さの影響を可及的に排除したうえで算出された、枝管間の充填量のばらつきを意味することになる。そして、充填差分量ΔMを利用して下記のS104以降の処理を行うことで、好適な振り分け充填を実現することが可能となる。
【0043】
なお、以下に説明するS104〜S109の処理は、枝管5a、5b、5cのそれぞれに対して行う処理であるが、説明を簡便にするために、一つの枝管(例えば、枝管5a)について例示的に言及することとする。
【0044】
S104では、S103で算出された枝管5aに対応する充填差分量ΔMが、第一閾値MH(MH>0)より大きいか否かが判定される。この第一閾値MHは、枝管間の充填量のばらつきを意味する充填差分量ΔMが、上記平均値Maveより大きくなり過ぎることで、そのばらつきが顕著な状態となっていることを判断するための基準値である。したがって、S104で肯定判定されると、枝管5aからの充填量が過多となることでばらつきが顕著となることを意味し、以て後述するS105に示す調節弁6aの開度調節が行われる。
【0045】
一方で、S104で否定判定されると、次にS106へ進み、そこで、上記充填差分量ΔMが、第二閾値ML(ML<0)より小さいか否かが判定される。この第二閾値MLは、充填差分量ΔMが上記平均値Maveより小さくなり過ぎることで、そのばらつきが顕著な状態となっていることを判断するための基準値である。したがって、S106で肯定判定されると、枝管5aからの充填量が過少となることでばらつきが顕著となることを意味し、以て後述するS107に示す調節弁6aの開度調節が行われる。なお、S106で否定判定されると、S108へと処理は進み、そこでは、枝管5aに設けられた調節弁6aの開度は現状のまま維持される。
【0046】
ここで、S105およびS107での調節弁6aの開度調節について、図4に基づいて説明する。図4は、充填差分量ΔMに基づいた調節弁の開度の調節量を設定するための、制御装置10に設けられた入力画面を表している。図4に示す上側が、充填差分量ΔMが正の値である場合の調節量、すなわち、S105の処理に利用される調節量の設定画面であり、図4に示す下側が、充填差分量ΔMが負の値である場合の調節量、すなわち、S107の処理に利用される調節量の設定画面である。このように、本実施例に係るS105およびS107の処理では、充填差分量ΔMの値に応じて、調節弁6aの開度の調節量が調節される。例えば、充填差分量ΔMの値が+3.0である場合は、S105の処理において調節弁6aの開度は、2%閉側に開度調節され、充填差分量ΔMの値が−12.0である場合は、S107の処理において調節弁6aの開度は、5%開側に開度調節される。なお本実施例における調節弁6a、6b、6cの開度は、全開を100%開度とし、全閉を0%開度とする。
【0047】
図4からも理解できるように、調節弁6aの開度調節は、充填差分量ΔMが+1.0より大きい場合に行われ、又は充填差分量ΔMが−1.0より小さい場合に行われることになる。したがって、図3に示す振り分け充填制御における第一閾値MHは、+1.0であり、第二閾値MLは、−1.0である。換言すれば、充填差分量ΔMが−1.0〜+1.0の間は、枝管間の充填量のばらつきは正常とされ、この場合にはS108の処理が行われる。そして、図4に示す入力画面を介して、充填差分量ΔMと開度の調節量との相関を適宜設定することで、図3に示す振り分け充填制御を調整(チューニング)することができる。
【0048】
また、繰り返しにはなるが、図3に示す振り分け充填制御のS104以降の処理は、枝管5a、5b、5cのそれぞれに対応して、図4に示す充填差分量ΔMと開度の調節量との相関に従って、調節弁6a、6b、6cの開度調節を行うものである。そして、S105、S107、S108の処理が終了すると、再びS101の処理が繰り返される。
【0049】
このような図3に示す振り分け充填制御によれば、第二充填流路5を形成する3つの枝管5a、5b、5cにそれぞれ設けられた調節弁6a、6b、6cの開度は、各枝管から容器に充填されたアイスクリームの充填量から算出される、各枝管に対応する充填差分量ΔMに応じて調節される。上記の通り、充填差分量ΔMは、アイスクリームが含気泡性流体であることに起因する不安定さの影響を可及的に排除した、枝管間のばらつきを示すパラメータであるから、上記振り分け充填制御によれば、含気泡性流体のアイスクリームを安定して振り分け充填することが可能となる。
【0050】
ここで、本実施例に係る充填装置1を試作し、図3に示す振り分け充填制御の試験を実行した。試作における充填装置1の代表的な仕様、および試験条件は以下の通りである。
[充填装置1の仕様]
試作に係る充填装置1において、第一充填流路4の直径はφ47.8mm、第二充填流路5の各枝管の直径はφ35.7mmである。また、3つの枝管のうち、枝管5aと枝管5cは、枝管5bと比べて15%、流路が長い。
また、調節弁6a、6b、6c内のバタフライバルブは、全て同じ形状であって、図2に示した通り、市販(従来技術)のバタフライバルブの直径を約20%切除し、φ28.0mmとなっている。したがって、バタフライバルブが全閉状態となった場合でも、枝管の断面において、約27%の面積が非遮断状態となる。
[試験条件]
貯留タンクにアイスクリームを貯留し、3つの枝管5a、5b、5cに流し、開閉弁ユニット7の開閉動作に従い充填を行った。なお、充填される容器は、150mlの紙製容器であり、アイスクリームを容器3個に同時に充填した。
【0051】
[試験結果]
図5および図6に、上記試験の結果を示す。図5は、上記試作機において図3に示す振り分け充填制御が実行されたときの、充填差分量ΔMの推移を示す図であり、図中の線L1aは枝管5aにおける充填差分量ΔMの推移を表し、線L1bは枝管5bにおける充填差分量ΔMの推移を表し、線L1cは枝管5cにおける充填差分量ΔMの推移を表している。また、図6は、その際の各調節弁の開度の推移を示す図であり、線L2aは調節弁6aの開度の推移を表し、線L2bは調節弁6bの開度の推移を表し、線L2cは調節弁6cの開度の推移を表している。なお、図5および図6の横軸の時間のスケールは、同じである。
【0052】
これらから理解できるように、充填当初においては、各調節弁の開度は同じように70%程度であるにもかかわらず、各枝管での充填差分量ΔMには、大きなばらつきが存在する。このように、調節弁の開度が同じであっても各枝管でのアイスクリームの挙動が大き
く異なるのは、アイスクリームが含気泡性流体であることに依るところが大きい。しかしながら、その後時間の経過とともに、すなわち、図3に示す振り分け充填制御が繰り返し実行されることにより、充填差分量ΔMのばらつきは速やかに収束し、そして、充填差分量ΔMのばらつきが小さい状態が安定的に継続している。なお、このように充填差分量ΔMのばらつきが小さく安定している状態(たとえば、図5図6中のタイミングT1のとき)では、各枝管における調節弁の開度は、同じ、もしくは近似している開度ではなく、互いにかけ離れている。これも、アイスクリームが含気泡性流体であることに依るところが大きく、故に、本願発明に係る充填装置1および充填装置1で行われるアイスクリームの充填方法が有用であることを示すものである。
【0053】
<変形例>
上記実施例では、充填装置1は、容器へのアイスクリームの充填量が、所定の充填量範囲に属するように、そして、枝管間の充填量のばらつきが可及的に少なくなるように、振り分け充填を行うものである。ここで、枝管間の充填量のばらつきが抑制された状態で安定した場合でも、そのときの充填量が、所定の充填量範囲の上限値もしくは下限値に近い場合には、何らかの要因で充填量が一時的に変動すると、所定の充填量範囲から外れた充填が行われるおそれがある。そのため、枝管間の充填量のばらつきが抑制された安定状態においても、充填量が不意に一時的に変動しても所定の充填量範囲から逸脱しにくい充填が行われているのが好ましい。
【0054】
そこで、当該安定状態での充填量が所定の充填量範囲の中央値となるように、当該所定の充填量範囲に対して、その中央値((Lg+Ug)/2)がアイスクリームの充填の基準となる基準目標量Mstdとして設定される。そして、上記実施例での充填差分量ΔMに基づいた調節弁の開度調節に加えて、定量ポンプ3による圧送量に関連するパラメータを調節することで、当該安定状態での充填量が基準目標量Mstdとなるように制御される。
【0055】
具体的には、S105、S107、S108の何れかの処理が終了すると、S102で算出された平均値Maveと基準目標量Mstdとの比較が行われる。そして、平均値Maveが基準目標量Mstdから乖離している場合には、その乖離量に基づいて、定量ポンプ3の圧送量に関するパラメータ(たとえば、単位時間当たりの圧送量等)が調整される。一例としては、平均値Maveが基準目標量Mstdより大きい場合には、第一充填流路4を流れるアイスクリームの流量が、その乖離量に応じて減少するように、制御装置10により定量ポンプ3の調整が行われる。これにより、各枝管での充填量を基準目標量Mstdに近づけることができる。
【実施例2】
【0056】
本発明に係る充填装置1において実行される振り分け充填制御の第二の実施例について、図7に基づいて説明する。なお、図7に示す振り分け充填制御に含まれる処理のうち、図3に示す振り分け充填制御に含まれる処理と同じ処理については、同一の参照番号を付してその詳細な説明を省略する。ここで、図7に示す制御では、S105又はS107の処理が終了すると、S201へ進む。
【0057】
S201では、3つの枝管5a、5b、5cに対応する全ての調節弁6a、6b、6cの開度が、所定の開度Vt以下であるか否かが判定される。充填装置1においては上記振り分け充填制御により、各枝管に対応する充填差分量ΔMに基づいて、その枝管に設けられた調節弁の開度が調整されるが、その結果、全ての枝管5a、5b、5cにおいて調節弁6a、6b、6cの開度が小さくなると、すなわち閉側寄りの開度となると、第一充填流路4および第二充填流路5内の圧力が上昇し、圧力損失が大きくなるおそれがある。そこで、本実施例においては、枝管における圧力損失が過度に大きいと判断される調節弁6
a、6b、6cの開度の閾値を、上記所定の開度Vtと設定する。したがって、S201では、調節弁6a、6b、6cの開度に基づいて、全枝管での圧力損失が過度に大きくなるか否かが判定されることになる。S201で肯定判定されるとS202へ進み、否定判定されると本制御がS101から再び繰り返される。
【0058】
そして、S201で肯定判定された後、S202では、全ての調節弁6a、6b、6cの開度を、強制的に、換言すれば、充填差分量ΔMの値にかかわらず開側に調節する。具体的には、各枝管での圧力損失の過度な上昇を軽減するのに十分な程度に、もしくは、圧力損失の過度な上昇を停止させるのに十分な程度に、全ての調節弁6a、6b、6cの開度を所定量だけ開く。S202の処理が終了すると、本制御がS101から再び繰り返される。
【0059】
ここで、図8に、図7に示す振り分け充填制御が行われた際の各調節弁の開度の推移を示す。なお、当該制御が行われた際の充填装置1の仕様および試験条件については、上記の実施例に示した通りである。なお、図8に示す線L3aは調節弁6aの開度の推移を表し、線L3bは調節弁6bの開度の推移を表し、線L3cは調節弁6cの開度の推移を表している。そして、図8に示す実施例では、所定の開度Vtは、70%の開度に設定されており、そのため、全調節弁の開度が70%の開度以下となったタイミングT2の時点で、S201の肯定判定に基づきS202の処理が実行される。
【0060】
その結果、タイミングT2の直後には、3つの調節弁6a、6b、6cの開度が70%を超え、更に、その後3つのうち調節弁6cの開度は、70%超の状態が継続され、全枝管における圧力損失の過度な上昇が回避されたことが理解できる。
【実施例3】
【0061】
ここで、本発明に係る充填装置1の別の実施例における、その概略構成について、図9に基づいて説明する。なお、図9に示す充填装置1の構成のうち、図1に示す充填装置1の構成と同じ構成については、同一の参照番号を付してその詳細な説明を省略する。図9に示す充填装置1では、第一充填流路4に設けられた定量ポンプ3に代えて、タンク2の出口部分に往復動ポンプ13が配置されている。この往復動ポンプ13は、内部のピストンの往復動(ワンショット)により、その往復動量に応じたアイスクリームがタンク2から第一充填流路4内へと圧送される。そのため、図1に示す充填装置1とは異なり、基本的には往復動ポンプ13でのワンショットが行われているときにアイスクリームに圧力がかけられるため、図1に示す開閉弁ユニット7は、図9に示す充填装置1には設けられていない。
【0062】
このように構成される充填装置1においても、図3および図7に示す振り分け充填制御を適用することが可能である。したがって、アイスクリームが含気泡性流体であることに起因する不安定さの影響を可及的に排除し、枝管間のばらつきを抑制したアイスクリームの振り分け充填を実現することが可能となる。
【符号の説明】
【0063】
1 充填装置
2 タンク
3 定量ポンプ
4 第一充填流路
5 第二充填流路
5a、5b、5c 枝管
6a、6b、6c 調節弁
7 開閉弁ユニット
8a、8b、8c 容器
9a、9b、9c ロードセル
10 制御装置
13 往復動ポンプ
図1
図2
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図9