(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記連続的に離間した印刷済みシートがプロセス速度で前記反転経路に入り、前記連続的に離間した印刷済みシートが前記第1および第2のニップのどちらかに入る前に前記ローラが前記プロセス速度で回転する、請求項1に記載の反転器。
前記第1および第2の反転経路のそれぞれが、前記連続的に離間した印刷済みシートがその中に導かれる前記それぞれの第1および第2のニップの後ろの領域内に配置された逆転部分と、その中を通って前記連続的に離間した印刷済みシートを前記反転経路のうちの1つに導く前記それぞれの第1および第2のニップの前の領域内に配置された搬出部分と、を含む、請求項1に記載の反転器。
前記第1および第2の反転経路のそれぞれの前記逆転部分に近接しており、かつそれらの逆転部分と協同して働く迂回経路をさらに含み、前記迂回経路は前記連続的に離間した印刷済みシートが前記第1および第2の反転経路を迂回できるようにする、請求項5に記載の反転器。
前記ローラを前記第1の方向に回転させて、前記第2のシートを前記第2のニップから前記第2の反転経路に導き、同時に、前記連続的に離間した印刷済みシートの第3のシートを前記第1のニップに導く、
ことをさらに含む、請求項7に記載の方法。
前記ローラの前記第1の方向と前記第2の方向との間の前記回転が繰り返され、新規の連続的に離間した印刷済みシートが前記第1のニップおよび前記第2のニップの一方に導かれ、以前の連続的に離間した印刷済みシートが前記第1の反転経路および前記第2の反転経路の一方に導かれる、請求項8に記載の方法。
前記連続的に離間した印刷済みシートがプロセス速度で前記出力経路に沿って移動し、前記連続的に離間した印刷済みシートが前記第1および第2のニップのどちらかに入る前に前記ローラが前記プロセス速度で回転する、請求項9に記載の方法。
前記コントローラがさらに、アクチュエータを作動させて、前記ローラを前記第1の方向に回転させて、前記第2のシートを前記第2のニップから第2の反転経路に導き、同時に、前記連続的に離間した印刷済みシートの第3のシートを前記第1のニップに導くよう構成された、請求項16に記載の印刷装置。
前記コントローラがさらに、前記アクチュエータを作動させて前記ローラを前記第1の方向および前記第2の方向に交互に回転させる動作を繰り返し、新規の連続的に離間した印刷済みシートを前記第1のニップおよび前記第2のニップの一方に導き、前記第1のニップおよび前記第2のニップの他方からの、以前の連続的に離間した印刷済みシートを前記第1の反転経路および前記第2の反転経路の一方に導く、ように構成された、請求項17に記載の印刷装置。
【発明を実施するための形態】
【0007】
ここで
図7を参照すると、相変化インクプリンタ10を示している。図示のように、プリンタ10はフレーム11を含み、このフレーム11に対して、プリンタ10のすべての動作するサブシステムおよび構成要素が直接または間接に取り付けてある。プリンタ10はドラムの形で示されている画像部材12をさらに含むが、この画像部材12は支持されたエンドレスベルトの形である可能性も同様にある。画像ドラム12は16の方向に動く画像表面14を有しており、この画像表面14の上に相変化インク画像が形成される。
【0008】
プリンタ10は、1色の固形の相変化インクの少なくとも1つの供給源22を有する相変化インクシステム20をさらに含んでいる。図示のように、プリンタ10は多色画像製造機械であり、相変化インクシステム20は相変化インクの4色の異なる色、例えばCYMK(シアン、イエロー、マゼンタ、ブラック)などを表す例えば4個の供給源22、24、26、28を含んでいる。
【0009】
固体インクを溶かした後に、相変化インク溶融制御機器が、少なくとも1つの印字ヘッドまたは印字ヘッドアセンブリ32を含む印字ヘッドシステムの方へ溶融した液体形態のインクを制御して供給する。4色の多色プリンタでは、印字ヘッドアセンブリは、図に示すように、4個の個別の印字ヘッド、すなわち、各色に対して1つの印字ヘッドを含むことが適切である。
【0010】
さらに
図7を参照すると、プリンタ10は、基板供給ハンドリングシステム40をさらに含んでいる。基板供給ハンドリングシステム40は、基板供給源42、44、46、48を含み、これらの基板供給源のうちの例えば供給源48は、カットシートの形の受像基板を保存および供給するように構成された大容量の紙供給または給紙機である。基板供給ハンドリングシステム40は、基板予熱器52、基板画像ヒータ54、および定着機器60を有する基板ハンドリング処理システムをさらに含んでいる。また、プリンタ10は、図示のように、文書保持トレイ72と、文書シート供給回収機器74と、文書露光走査システム76と、を有する原始文書供給機70を含むことができる。また、図示の実施形態では、基板供給ハンドリングシステム40は、単一経路反転器61と、単一経路反転器61から出る両面印刷ループ62と、を含んでおり、これら両者については
図8に示しており、すぐ後で詳細に検討する。
【0011】
ここで
図8を参照すると、単一経路反転器61と両面印刷ループ62の両方を含む、
図7の基板供給ハンドリングシステム40の簡略化した正面図を示している。紙、トランスペアレンシー、板、ラベルなどの、その上に画像を印刷する予定の任意の媒体を含むシート(基板)を、供給機構(図示せず)により基板供給源48から取り出す。シート送り機構64により矢印(P)で示すように一次ループ63に沿ってプロセス方向に「マーキングステーション」と一般に呼ぶことができるものの方へシートを動かす。シート送り機構64は、シートまたは基板を動かすように構成された任意の形態の機器を含むことができる。例えば、シート送り機構64は、シートを摩擦で動かすように構成されたニップローラまたはベルトを含むことができるとともに、シート移動を引き起こすための空気圧機器または空気吸引機器を含むことができる。シート送り機構64は、シートを挟む対向する車輪の対(これらの対の一方または両方を駆動できる)をさらに含むことができる。
【0012】
図示の実施形態では、マーキングステーションは画像部材12の画像表面14である。しかしながら、他の実施形態では、マーキングステーションが静電写真感光体またはインクジェット印字ヘッドである可能性がある。詳細に後述するように、1つ以上のコントローラ(図示せず)がシート送り機構64およびマーキングステーションを制御できる。動作について見ると、マーキングステーション14は、マーキングステーション14を通るシートの上向きの面上に所定の画像を付着させる。
【0013】
両面印刷が求められるときには、マーキングステーション14を通るシートの上向きの面(以前には下向きであった面)上にマーキングステーション14が所定の画像を付着させることができるように、シートを反転させてマーキングステーション14に再供給する。このような反転および再供給を行うために、反転器61および両面印刷ループ62を使用する。マーキングステーション14を通過した後に、両面印刷を必要とするシートは、一次ループ63から中間の反転経路66に、その後、反転経路67に導かれる。反転経路67は、
図9にさらに詳細に示されている反転器61につながっている。反転器61は両面印刷逆転ローラ65などの逆転送り機構を含み、この逆転送り機構の中にシートが入り、その後、逆方向の動きで両面印刷ループ62の方へ出ていく。
【0014】
両面印刷ループ62は矢印(D)で示すような方向にシートをもとのマーキングステーション14まで運ぶ。反転器61と両面印刷ループ62との働きにより、シートを効果的にひっくり返して、最初の画像を受け取っていないシートの面を上に向けて置いて、マーキングステーション14で第2の面の画像を受け取る。両面印刷の後に、搬出領域(図示せず)に直接つながる第1の搬出経路56にシートを導くか、または同様に搬出領域につながる第2の搬出経路57に運ぶ前に次の反転を行うために再び反転器61にシートを導く。片面上にだけ画像を有するシートを意味する「片面印刷」シートを印刷する場合には、両面印刷ループ62を通過することなく、一次ループ63から搬出領域にシートを導くことができる(例えば、排紙トレイ、またはステープラなどの他の仕上げ機器にシートを導いてもよい)。搬出領域に運ぶ前に次の反転を行うために一次ループ63から反転器61に片面印刷シートを同様に導くことができるが、ただし、両面印刷ループ62を通過せずに導くことができる。
【0015】
再び
図7を参照すると、コントローラ80の助けを借りて、プリンタ10のさまざまなサブシステム、構成要素、および機能の操作および制御を行っている。コントローラ80は、例えば、電子記憶装置84と、表示部またはユーザインタフェース(UI)86とを備えた中央処理装置(CPU)82を有する内蔵型の専用小型コンピュータである。コントローラ80は、センサ入力制御回路88および画素配置制御回路89を含んでいる。さらに、CPU82は、走査システム76、またはオンラインもしくはワークステーション接続90、および印字ヘッドアセンブリ32などの画像入力源の間の画像データフローを読み取り、取得し、下処理し、および管理する。したがって、コントローラ80は、他のプリンタサブシステムおよび機能のすべてを操作および制御するための主要なマルチ・タスク・プロセッサである。
【0016】
コントローラ80は、データおよびプログラムされた命令のための記憶装置をさらに含んでいる。コントローラ80は、プログラムされた命令を実行する一般的なまたは特殊なプログラム可能プロセッサを用いて実現できる。プログラムされた機能を実行するのに必要な命令およびデータは、プロセッサまたはコントローラに関連するメモリ内に保存してもよい。プロセッサ、それらのメモリ、およびインタフェース回路は、プリンタ10の機能を実行するためのコントローラを構成する。
【0017】
動作中、処理および印字ヘッドアセンブリ32への出力のために、作られる予定の画像の画像データを、走査システム76から、またはオンラインもしくはワークステーション接続90を介してコントローラ80に送る。さらに、コントローラ80は、例えば、ユーザインタフェース86を介したオペレータ入力から、関連するサブシステムおよび構成要素制御を決定し、および/または受け入れて、それらに応じて、このような制御を実行する。結果として、適切な色の固形の相変化インクを溶かして、印字ヘッドアセンブリ32に送出する。画像表面14に対して画素配置制御を働かせて、このような画像データごとに望ましい画像を形成し、供給源42、44、46、48のうちのいずれか1つが受像基板を供給して、表面14上の画像形成との見当が合うようにタイミングを合わせて基板ハンドリング処理システム50が受像基板を取り扱う。最後に、表面14から転写ニップ92の中の受像基板上に画像を転写して、その後、基板に画像を定着させるために画像を定着機器60に送出する。
【0018】
ここで
図9を参照すると、
図8の反転器61を示している。
図9に示す反転器61は、シートの方向を逆転させることができ、そのシートを、その後の両面印刷のために両面印刷ループ62に送出できる簡単な反転器の実施形態である。反転器61は、シートを両面印刷逆転ローラ65に導くように構成された反転経路67を含んでいる。反転経路67は、図示のように、まっすぐな経路であるが、反転経路67の形は、両面印刷逆転ローラ65にシートを導く、曲がった経路などの、任意の適当な形状である可能性がある。シート送り機構64は、反転経路67に沿ってシートを両面印刷逆転ローラ65の方へ推進させる。
【0019】
両面印刷逆転ローラ65は反転経路67に沿ってシートを受け取るように設置され、シートを引き込んでシートの移動方向を逆転させるように構成されている。図示の実施形態では、両面印刷逆転ローラ65は、反転経路67と隣接する逆転シュート68にシートを引き込む。他の実施形態では、両面印刷逆転ローラ65が各シートの少なくとも一部分に接触したままでありさえすれば、反転経路67の反対側にある空きスペースに両面印刷逆転ローラ65がシートを引き込むことができる。反転器61に入るシートの引き込み、停止、および逆転は両面印刷逆転ローラ65を用いて行われ、この両面印刷逆転ローラ65は、その中のシートを摩擦で動かすように構成された2つのニップローラ(または同様の機構)である可能性がある。
【0020】
反転器61は、両面印刷逆転ローラ65を出ていくシートを両面印刷ループ62の方へ導いたり、または必要に応じて、シートをもともと送り出した反転経路67の方へ導いたりする第1のゲート93を含むことができる。反転器61が両面印刷ループ62だけの方へシートを導くように構成されているときには、少なくとも1つの両面印刷ゲート93は受動的な一方向ゲートである可能性がある。一方行ゲートは、紙がゲートを通過できて、その後、紙の通常の形にはね戻ることができる、導電性の軽量のバネ鋼またはプラスチック材料などの非作動式のゲートである可能性がある。反転器61がシートを両面印刷ループ62の方へ、および反転経路67の方へ導くように構成されているときには、第1のゲート93は判断ゲートとして機能することができる。作動時には、判断ゲートは反転経路67と両面印刷ループ62のうちの一方の中に延びて、選択されたシートの前縁部と係合して、そのシートの向きを変えて、それぞれ両面印刷ループ62または反転経路67に向かわせる。
図7の関連するプリンタ10内のコントローラ80は、コントローラに動作可能なように接続されたアクチュエータを作動させて、第1のゲート93が判断ゲートとして機能しているときには第1のゲート93を操作する。
【0021】
両面印刷ループ62の方へ導かれたシートが一次ループ63と再び合流するまで、シート送り機構64が両面印刷ループ62に沿ってシートを移動させる。図示の実施形態では、反転経路67の方へ方向を向け直されたシートを、双方向のシート送り機構69が第2の搬出経路57に沿って搬出領域まで移動させる。双方向のシート送り機構69は、選択されたシートを両面印刷逆転ローラ65に導いて反転させるように構成されているとともに、選択されたシートを両面印刷逆転ローラ65から受け取ってプリンタ10から搬出するように構成されている。一実施形態では、すでに片面印刷された、または両面印刷されたシートを搬出領域に運ぶ前に反転させるために、双方向のシート送り機構69を必要に応じて使用できる。
【0022】
ここで
図8および
図9を参照すると、いったんシートが反転経路67に運ばれると、そのシートは中間の反転経路66には再び入らないことを、受動的な一方向ゲート94として示す第2のゲートが確保する。図中で判断ゲート95として機能する第3のゲートが、ゲートに近づくシートの印刷要件または方向要件に応じて、シートを一次ループ63から中間の反転経路66または第1の搬出経路56のうちの一方へと導く。
【0023】
ここで
図10を参照すると、2つの隣接する並列式の反転器333Aおよび333Bで構成された先行技術の二重反転器システム300を示している。図示の反転器333A、333Bは、
図7のプリンタ10などの高速両面印刷プリンタで使用できる従来型の「3ロール」または「3重ロール」反転器である。これらの反転器333Aと333Bの両方は、隣接するが、しかし離間している位置で、
図7のプリンタ10の一次ループ63などの共通の用紙搬送路334につながる入り口経路332A、332Bを有している。用紙搬送路334と、反転器333A、333Bとの間の連結を制御するための判断ゲートとして各ゲート335A、335Bが機能する。作動時には、これらのゲート335A、335Bは用紙搬送路334の中に延びて、用紙搬送路334内の選択されたシートの前縁部と係合して、そのシートの向きを変えて、反転器333A、333Bの各反転器入り口経路332A、332Bに向かわせる。判断ゲート335A、335Bを動かすアクチュエータの操作および他の操作が、
図7のプリンタ10内のコントローラ80などのコントローラに操作可能なように接続されるメモリ内に保存された適切な命令で構成された従来のコントローラ80により実行できる。あるいは、ゲート335A、335B、および他の操作は二重反転器システム300の離れたモジュールコントローラにより制御でき、この二重反転器システム300は、プリンタ用のモジュールユニット、および/または仕上げ装置モジュールの一部分であってもよい。
【0024】
印刷ジョブがシートの反転を必要とするとき、コントローラ80は、用紙搬送路334内を移動する交互の連続シートを交互の反転器333A、333Bに導くために、シート経路334内のそれぞれの連続シートの間で判断ゲート335A、335Bを交互に作動させることができる。3重ロール反転器333A、333Bのそれぞれの構造および操作が、両方とも同じで従来型である可能性がある。特に、反転器333A、333Bのそれぞれは、反転器333A、333Bのそれぞれ曲がった反転シュート338A、338B内に、各従来型の3重ロール336A、336Bと、反転器シュート逆転ロール337A、337Bとを有している。垂直方向の作動領域の理由から反転器333A、333Bの両方は用紙搬送路334の同じ側に設置されることが好ましい。
【0025】
二重反転器システム300の動作を、よりよく理解するために、反転器333Aなどの単一の3重ロール反転器の連続動作について、ここで説明する。第1のシートを3重ロール336Aの入り口ニップ340Aに向かって反転器入り口経路332Aの中に導く。第1のシートの後端部が入り口ニップ340Aを出ると、反転器シュート逆転ロール337Aにより形成された逆転ニップ341Aが第1のシートを減速させて停止させて、第1のシートの方向を逆向きにして、もとの3重ロール速度まで第1のシートを加速する。逆転ニップ341Aは、第1のシートを反転器出力経路343Aに向かって3重ロール336Aの出口ニップ342Aに送出する。いったん第1のシートの後端部が逆転ニップ341Aを出ると、逆転ロール337Aは減速して停止し、方向を逆向きにして、その後、第2のシートを受け入れるために、もとの3重ロール速度まで加速する。プリンタが毎分250ページ(ppm)の反転率を実現するには、反転サイクル時間はたった240msecだけである。これらの反転器動作のそれぞれが連続的に行われるため、この種類の単一の反転器を両面印刷に使用するのに必要なシート速度および加速度は非常に大きく、シートの損傷および紙詰まりに対する懸念を引き起こす。
【0026】
2枚の連続シートに対する二重反転器システム300の連続動作について、ここで説明する。2枚の連続シートが用紙搬送路334に沿って反転器333A、333Bに向かって移動するとき、第1のシートをゲートでコントロールして第1の反転器333Aに導き、他方、第2のシートを第1の反転器333Aを過ぎるように導く。第2のシートが第1の反転器333Aを過ぎて、まだ依然として移動している間に、3重ロール336Aの入り口ニップ340Aを通して第1のシートを反転シュート338Aの中に引き込む。いったん反転シュート338A内に入ると、反転器シュート逆転ロール337Aは第1のシートをすぐに減速させて停止させ、その後、第1のシートの方向を逆向きにして3重ロール336Aの出口ニップ342Aの方へ向ける。その後、3重ロール336Aの出口ニップ342Aを通して第1のシートを用紙搬送路334の方へ引き込んでいるときに、第2のシートをゲートでコントロールして第2の反転器333Bに導く。第2のシートが第2の反転器333Bに入ると、第1のシートは用紙搬送路334と再び合流して、第1のシートは用紙搬送路334に沿って第2の反転器333Bの方へ動かされる。第1のシートが第2の反転器333Bを通過するのにぴったりと合わせて、第2のシートを第2の反転器333B内で反転させて、第2のシートを用紙搬送路334に向かって移動させる。2枚の連続シートのすべての組み合わせが、この同一のシーケンスに従うことができるため、最後のシート順序およびシート間ギャップが、用紙搬送路内の最初のシート間ギャップおよびシート順序と同じである可能性がある。
【0027】
ここで
図1を参照すると、本明細書で開示する二重経路の単一逆転ロール反転器の実施形態を示している。この実施形態のほかに、二重経路の単一逆転ロール反転器100の他の実施形態もまた、
図7のプリンタ10などの高速両面印刷プリンタと一体化できる。本明細書で開示する単一逆転ロール反転器100は、1060mm/secの用紙搬送速度および2.16G未満の加速度で作動しながら、約250ppmの反転率で高速反転できる。これらの搬送速度および加速度は、250ppmでシートを反転させる同様の単一逆転ロール反転器の用紙搬送速度および加速度に比べて大幅に小さい。例えば、1060mm/sec(高速プリンタの典型的なトランスフィックスロール速度)に等しい3重ロール速度を有する単一3重ロール反転器の逆転ロールでは、250ppmの割合を維持するために、5.96Gの割合でシートを加減速しなければならない。この反転器の3重ロール速度が増加すれば、連続的に離間したシート間の文書間ギャップが同様に増加するため、シートを加減速するのに、より多くの時間を使用できる。しかしながら、3重ロール速度として存在する利益の縮小が拡大する。例えば、1600mm/sec以上の3重ロール速度が加速度を約3.1Gよりも低下させることはないことが計算で示されている。
【0028】
二重経路の単一逆転ロール反転器100は、プリンタ10(
図7)の一次ループ63などの出力経路104から、連続的に離間した印刷済みシートを受け取るように構成された、分離した反転経路102を含んでいる。
図1に示す実施形態では、これらの分離した反転経路102が、両面印刷ループを形成する少なくとも第1の反転経路106と、第2の反転経路108と、を含んでいる。第1および第2の反転経路106、108は、一次ループに戻って印字ヘッドを通過する前に、単一の経路に合流することが好ましい。他の実施形態では、第1および第2の反転経路106、108が、一次ループ63と連結する別々の両面印刷ループを形成できる。
【0029】
シート送り機構64は、連続的に離間した印刷済みシートを出力経路104に沿って反転器100を通って移動させる。シート送り機構64は、シートまたは基板を動かすように構成された任意の形態の機器を含むことができる。例えば、シート送り機構64は、シートを摩擦で動かすように構成されたニップローラまたはベルトを含むことができるとともに、シート移動を引き起こすための空気圧機器または空気吸引機器を含むことができる。シート送り機構64は、シートを挟む対向する車輪の対(これらの対の一方または両方を駆動できる)をさらに含むことができる。
【0030】
二重経路の単一逆転ロール反転器100は、出力経路104から、連続的に離間した印刷済みシートを受け入れる反転器入り口110をさらに含んでいる。反転器入り口110は、第1および第2の反転経路106、108の両方につながっている。反転器入り口100の近くにゲート112があり、連続的に離間した印刷済みシートを第1および第2の反転経路106、108の方へ選択的に導くように構成されている。ゲート112については、さらに詳細に後述する。
【0031】
反転器100は、第1のアイドラローラ114と、第2のアイドラローラ116と、第1および第2のアイドラローラ114、116の間に設置されたローラ118と、をさらに含んでいる。ローラ118は、第1および第2のアイドラローラ114、116と円周で接触している。この構造が、ローラ118と第1のアイドラローラ114の間の第1のニップ120と、ローラ118と第2のアイドラローラ116の間の第2のニップ122と、を形成する。第1および第2のアイドラローラ114、116は、ローラ118のまわりに直径的に向かい合う形で設置され、第1および第2のニップ120、122を、それぞれ第1および第2の反転経路と一直線に位置合わせすることが好ましい。
【0032】
第1および第2の反転経路106、108は、それぞれ、逆転部分124
xと搬出部分126
xとを含んでいる。逆転部分124
xは、それぞれの第1および第2のニップ120、122の後ろの領域であり、シートの方向を逆向きにする前に、この領域の中に連続シートを引き込む。搬出部分126
xは、それぞれの第1および第2のニップ120、122の前の領域であり、シートの方向を逆向きにした後に、この領域の中に連続シートを搬出する。搬出部分126
xは、反転器入り口110と、第1および第2の反転経路106、108との両方に近接しており、かつそれらと協同して働く。
【0033】
迂回経路128が、第1および第2の反転経路106、108のそれぞれの逆転部分124
xに近接しており、かつそれらの逆転部分124
xと協同して働くように配置されている。両面印刷が求められるとき、または連続シートの両面印刷がすでに完了しているときに、迂回経路128は連続的に離間した印刷済みシートが第1および第2の反転経路106、108を迂回できるようにする。
【0034】
反転器入り口110は、連続シートが反転器100に入ったとき、シートが付勢機構127
xなどの付勢機構を通過した後に、シートがそれぞれの第1および第2の反転経路106、108の方へ付勢されるように構成されている。第1および第2の反転経路106、108のそれぞれの付勢機構127
xは、ローラ118により逆向きにされたシートを、もとの反転器入り口110には搬出せずに、第1および第2の反転経路106、108に適切に搬出することを確保する。
【0035】
反転器100は、ローラ118に動作可能なように連結されたアクチュエータ130をさらに含んでいる。アクチュエータ130は、ローラ118を回転させて、第1および第2のニップ120、122のそれぞれに、およびそれぞれから、連続的に離間した印刷済みシートを導くように構成されている。プリンタ10のコントローラ80などのコントローラが、アクチュエータ130に動作可能なように接続されており、アクチュエータ130を作動させてローラ118を第1の方向(矢印134で示すように)および第1の方向134とは逆の第2の方向(矢印136で示すように)に回転させるように構成されている。
【0036】
反転器100は、ゲート112に動作可能なように連結されたゲートアクチュエータ132を必要に応じて含んでいる。装備されている場合、コントローラ80はゲートアクチュエータ132に動作可能なように接続されている。一実施形態では、コントローラ80がゲートアクチュエータ132を作動させて第1の位置と第2の位置の間でゲート112を動かして、連続的に離間した印刷済みシートのうちの選択されたシートを、出力経路104から第1および第2のニップ120、122のうちの一方の中に選択可能に導くように構成されている。他の実施形態では、コントローラ80がゲート112を動かして、第1および第2の位置のうちの一方でゲート112の位置を保つように構成されている。この実施形態は、第1および第2のニップ120、122のうちの一方および/または関連する第1および第2の反転経路106、108が適切に機能していない場合には、第1および第2のニップ120、122のうちのもう一方だけに連続シートを導いて、それぞれ第1および第2の反転経路に沿って反転させることができるようにする。さらに他の実施形態では、コントローラ80がゲート112を動かして、第1および第2の位置のうちの一方でゲート112の位置を保つように同様に構成されている。しかしながら、この実施形態は、シートの反転が求められていないときには、第1および第2のニップ120、122のうちの一方だけを通って連続シートを迂回経路に導くことができるようにする。
【0037】
図2〜
図5は、反転器100に送出された3枚の連続シートを反転させるための4つの連続動作位置における
図1の二重経路の単一逆転ロール反転器100を示している。
図2〜
図5に示す実施形態では、連続シートの寸法は8.5x11インチである。また、この実施形態では、プロセス速度が1060mm/secなどの高速であり、連続シートの間のシート間ギャップが38.4mmの状態でシートが移動している。ここで
図2および
図3を参照すると、連続シートを出力経路104に沿って反転器100の方へ移動させる。第1の反転経路106の第1のニップ120に第1のシート138を送出して、第2の反転経路108の第2のニップ122に第2のシート139を送出するように、シート間ギャップの中でゲート112を動かす。
【0038】
ここで
図3を参照すると、いったん第1の反転経路106の逆転部分1241に第1のシート138を引き込むと、ローラ118を減速させて停止させて、ローラ118の方向を方向134から方向136に逆転させる。方向134から方向136にローラ118の方向を逆転させることにより、ローラ118の回転方向が、出力経路104から第2のニップ122が第2のシート139を受け取るのに適した方向になる。ここで
図4を参照すると、第2のシート139を第2の反転経路108の逆転部分1242に引き込むとともに、第1のシート138を第1の反転経路106の搬出部分126
1に送り出しつつある。シートを反転させるために第2のシート139がローラ118に達する前にローラ118はプロセス速度まで加速するが、その理由は、連続シートがプロセス速度で反転器100に入ってくるためである。
【0039】
ここで
図5を参照すると、いったん第1のシート138が第1のニップ120を出て第1の反転経路106に入り、第2のシート139を第2の反転経路108の逆転部分1242に引き込むと、ローラ118を減速させて停止させて、ローラ118の方向を方向136から方向134に逆転させる。方向136から方向134にローラ118の方向を逆転させることにより、ローラ118の回転方向が、出力経路104から第2のニップ120が第3のシート140を受け取るのに適した方向になる。第3のシート140を第1の反転経路106の逆転部分1241に引き込むとともに、第2のシート139を第2の反転経路108の搬出部分126
2に送り出しつつある。シートを反転させるために第3のシート140がローラ118に達する前にローラ118はプロセス速度まで加速するが、その理由は、連続シートがプロセス速度で反転器100に入ってくるためである。反転シーケンスは、250ppmを維持するために240msecごとに交互に繰り返す。
【0040】
プリンタ内の連続的に離間した印刷済みシートを反転させるために二重経路の単一逆転ロール反転器を使用するプロセス600のフローチャートを
図6に示している。プロセス600を実行するためにプログラムされた命令を実行するように構成されたコントローラが、連続的に離間した印刷済みシートの第1のシートを出力経路から第1の反転経路の方へ選択可能に導く(ブロック602)。一実施形態では、コントローラがゲートアクチュエータを作動させて、連続的に離間したシートのシート間ギャップの中で第1の位置と第2の位置の間でゲートを動かすことができる。ゲートを第1および第2の位置で位置決めすることにより、連続シートを出力経路から、第1の反転経路および第2の反転経路のうちの一方の方へ導く。この実施形態では、ゲートは奇数番号のシートを第1の反転経路の方へ選択可能に導き、偶数番号のシートを第2の反転経路の方へ選択可能に導く。
【0041】
連続的に離間した印刷済みシートの第1のシートを第1の反転経路の方へ導く間、プロセス600を実行するコントローラがアクチュエータを作動させて、2つの向かい合ったアイドラローラと円周で接触しているローラを第1の方向に回転させる(ブロック604)。ローラが第1の方向に回転することにより、第1のシートを第1の反転経路内の第1のニップに導く。出力経路から第1のニップまでの第1のシートの損傷のない移送を可能にするために、第1のシートが第1のニップに達する前に、一実施形態では、アクチュエータを作動させてローラをプリンタのプロセス速度で第1の方向に回転させる。
【0042】
連続的に離間した印刷済みシートの第1のシートを第1のニップを通じて引き込むとき、プロセス600を実行するコントローラがアクチュエータを作動させて、第1の方向とは逆の第2の方向にローラを回転させる(ブロック606)。ローラが第2の方向に回転することにより、第1のシートを第1のニップから第1の反転経路に導く。第1のニップからシート送り機構までの第1のシートの損傷のない移送を可能にするために、第1のシートが第1の反転経路のシート送り機構に達する前にアクチュエータを作動させてローラをプリンタのプロセス速度で第2の方向に回転させることが好ましい。
【0043】
第1の方向から第2の方向にローラの方向が変化するのにちょうど合わせて(ブロック606)、より多くの連続的に離間した印刷済みシートを反転させる必要があるかどうかをコントローラが判断する(ブロック608)。連続シートをさらに反転させる必要がないとき、第1のシートを第1の反転経路を通って移動させた後にプロセスが終了する(ブロック610)。
【0044】
少なくとも1つのさらなる連続的に離間した印刷済みシートを反転させる必要があるとき、プロセス600を実行するように構成されたコントローラが、連続シートの第2のシートを出力経路から第2の反転経路の方へ選択可能に導く(ブロック612
1)。ローラが第2の方向に回転することにより、第1のシートを第1のニップから第1の反転経路に導くとともに、第2のシートを第2の反転経路内の第2のニップに同時に導く。出力経路から第2のニップまでの第2のシートの損傷のない移送を可能にするために、第2のシートが第2のニップに達する前にアクチュエータを作動させてローラをプリンタのプロセス速度で第2の方向に回転させることが好ましい。同様に、第1のニップからシート送り機構までの第1のシートの損傷のない移送を可能にするために、第1のシートが第1の反転経路のシート送り機構に達する前にアクチュエータを作動させてローラをプリンタのプロセス速度で第2の方向に回転させることが好ましい。
【0045】
第2のシートを第2のニップを通じて引き込むとともに、第1のシートを第1の反転経路に沿って送り出すとき、プロセス600を実行するコントローラがアクチュエータを作動させて、第1の方向にローラを再び回転させる(ブロック614
1)。ローラが第1の方向に回転することにより、第2のシートを第2のニップから第2の反転経路に導く。第2のニップからシート送り機構までの第2のシートの損傷のない移送を可能にするために、第2のシートが第2の反転経路のシート送り機構に達する前にアクチュエータを作動させてローラをプリンタのプロセス速度で第1の方向に回転させることが好ましい。
【0046】
第2の方向から第1の方向にローラの方向が変化するのにちょうど合わせて(614
1)、より多くの連続的に離間した印刷済みシートを反転させる必要があるかどうかをコントローラが判断する(ブロック616
1)。連続シートをさらに反転させる必要がないとき、第2のシートを第2の反転経路を通って移動させた後にプロセスが終了する(ブロック618
1)。
【0047】
少なくとも1つのさらなる連続的に離間した印刷済みシートを反転させる必要があるとき、プロセス600を実行するように構成されたコントローラがブロック612
x〜616
xを繰り返すことにより、少なくとも1つのさらなる連続的に離間した印刷済みシートを反転させる。後続の連続シートを反転させる場合、ブロック612
1〜616
1と関連するシート順序識別子、すなわち、「第1のシート」および「第2のシート」は、後述するように「新しいシート」および「前のシート」に簡略化される。さらに、ブロック612
x〜616
xを繰り返すことにより実行されるそれぞれの連続したシートの反転では、ニップ識別子、すなわち、「第1のニップ」および「第2のニップ」と、反転器識別子、すなわち、「第1の反転経路」および「第2の反転経路」と、ローラ方向、すなわち、「第1の方向」および「第2の方向」と、を交互に行う。
【0048】
例えば、第2のシートの後に、少なくとも1つのさらなる連続的に離間した印刷済みシートを反転させる必要があるとき(ブロック616
1)、プロセス600を実行するように構成されたコントローラが、連続的に離間した印刷済みシートの新しいシートを出力経路から第1の反転経路の方へ選択可能に導く(ブロック612
2)。ローラが第1の方向に回転すること(614
1)により、連続的に離間した印刷済みシートの前のシート、すなわち、この繰り返しにおける第2のシートを、第2のニップから第2の反転経路に導くとともに、新しいシートを第1の反転経路内の第1のニップに同時に導く。本明細書で使用する場合、「新しいシート」は、連続的に離間した印刷済みシートのうちの、順番として次に反転器に入る予定のシートである。「前のシート」は、連続的に離間した印刷済みシートのうちの、新しいシートを反転器に導く直前に反転器に入るシートである。
【0049】
新しいシートを第1のニップを通じて引き込むとともに、前のシートを第2の反転経路に沿って送り出すとき、プロセス600を実行するコントローラがアクチュエータを作動させて、ローラを第2の方向に再び回転させる(ブロック614
2)。ローラが第2の方向に回転することにより、新しいシートを第1のニップから第1の反転経路に導く。第1の方向から第2の方向にローラの方向が変化するのにちょうど合わせて(ブロック614
2)、より多くの連続的に離間した印刷済みシートを反転させる必要があるかどうかをコントローラが判断する(ブロック616
2)。連続シートをさらに反転させる必要がないとき、新しいシートを第1の反転経路を通って移動させた後にプロセスが終了する(ブロック618
2)。上述のようにプロセス600を用いて後続の連続シートを反転させる。