特許第5955259号(P5955259)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5955259ナノサイズのセルロース粒子を含むバイオナノ混成物定着器トップコート
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5955259
(24)【登録日】2016年6月24日
(45)【発行日】2016年7月20日
(54)【発明の名称】ナノサイズのセルロース粒子を含むバイオナノ混成物定着器トップコート
(51)【国際特許分類】
   G03G 15/20 20060101AFI20160707BHJP
【FI】
   G03G15/20 515
【請求項の数】20
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2013-74893(P2013-74893)
(22)【出願日】2013年3月29日
(65)【公開番号】特開2013-222197(P2013-222197A)
(43)【公開日】2013年10月28日
【審査請求日】2016年3月28日
(31)【優先権主張番号】13/446,267
(32)【優先日】2012年4月13日
(33)【優先権主張国】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】596170170
【氏名又は名称】ゼロックス コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】XEROX CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】特許業務法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】キャロライン・ムーアラグ
(72)【発明者】
【氏名】ユー・チ
(72)【発明者】
【氏名】ブリン・ドゥーリー
(72)【発明者】
【氏名】チー・ツァン
【審査官】 中澤 俊彦
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−095753(JP,A)
【文献】 特開2012−088701(JP,A)
【文献】 特開2005−155660(JP,A)
【文献】 特開2004−302423(JP,A)
【文献】 特開2007−219087(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 15/20
F16C 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材と、
前記基材上の最外層であって、前記最外層は、フルオロポリマーマトリックス中に配置された複数のナノサイズのセルロース粒子を含み、前記複数のナノサイズのセルロース粒子のそれぞれが、ミクロフィブリル化セルロース(MFC)粒子、ナノ結晶セルロース粒子、MFCクラスター、およびこれらの組み合わせのうちの1つ以上を含む、最外層と、を含み、
前記最外層は、約0μm〜約20μmの範囲の平均表面粗度Sq値を有する、
定着器部材。
【請求項2】
前記最外層は、約1μm〜約10μmの範囲の平均表面粗度Sq値を有する、請求項1に記載の部材。
【請求項3】
前記最外層は、約3μm〜約5μmの範囲の平均表面粗度Sq値を有する、請求項2に記載の部材。
【請求項4】
前記MFC粒子は、約1nm〜約100nmの範囲の平均直径、約1ミクロン〜約100ミクロンの範囲の平均長、および約0.002平方ミクロン〜約30平方ミクロンの範囲の平均表面積を有する、請求項1に記載の部材。
【請求項5】
前記MFC粒子が、結晶部分および非結晶部分を含み、前記結晶部分は、前記MFC粒子に対して約60%〜約65%である、請求項1に記載の部材。
【請求項6】
前記MFCクラスターは、複数のMFC粒子によって形成され、そして約10ミクロン〜約20ミクロンの範囲の平均クラスターサイズを有する、請求項1に記載の部材。
【請求項7】
前記複数のナノサイズのセルロースのそれぞれがさらに、ナノ結晶セルロース(NCC)粒子、NCCクラスター、MFC−NCCクラスターおよびこれらの組み合わせのうちの1つ以上を含み、MFC対NCCの重量比が約0.6〜約0.3の範囲にある、請求項1に記載の部材。
【請求項8】
前記複数のナノサイズのセルロース粒子は、前記最外層全体の、約1重量%〜約30重量%の範囲の量で存在する、請求項1に記載の部材。
【請求項9】
前記フルオロポリマーマトリックスは、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレンとヘキサフルオロプロピレンとのコポリマー、テトラフルオロエチレンとパーフルオロ(プロピルビニルエーテル)とのコポリマー、テトラフルオロエチレンとパーフルオロ(エチルビニルエーテル)とのコポリマー、テトラフルオロエチレンとパーフルオロ(メチルビニルエーテル)とのコポリマー、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される、フルオロプラスチックを含む、請求項1に記載の部材。
【請求項10】
ビニリデンフルオリド、ヘキサフルオロプロピレン、テトラフルオロエチレン、パーフルオロ(メチルビニルエーテル)、パーフルオロ(プロピルビニルエーテル)、パーフルオロ(エチルビニルエーテル)およびこれらの組み合わせからなる群より選択される硬化部位モノマーおよびモノマーリピート単位を含む、フルオロエラストマーを含む、請求項1に記載の部材。
【請求項11】
基材と、
前記基材上の最外層であって、前記最外層は、フルオロポリマーマトリックス中に配置された複数のナノサイズのセルロース粒子を含み、これにより、前記最外層は、約500psi〜約5000psiの範囲の引張り強度を備え、前記複数のナノサイズのセルロース粒子のそれぞれが、ナノ結晶セルロース(NCC)粒子、NCCクラスターおよびこれらの組み合わせのうちの1つ以上を含む、最外層と、を含み、
前記最外層は、約0μm〜約20μmの範囲の平均表面粗度Sq値を有する、
定着器部材。
【請求項12】
前記最外層は、約1200psi〜約2200psiの範囲の引張り強度を備える、請求項11に記載の部材。
【請求項13】
前記最外層は、約1400psi〜約1800psiの範囲の引張り強度を備える、請求項12に記載の部材。
【請求項14】
前記NCC粒子は、約1nm〜約70nmの平均直径、約20nm〜約3ミクロンの平均長、および約5〜約350の平均縦横比を有する、請求項11に記載の部材。
【請求項15】
前記NCCクラスターは、複数のNCC粒子によって形成され、約10ミクロン〜約20ミクロンの平均クラスターサイズを有する、請求項11に記載の部材。
【請求項16】
前記複数のナノサイズのセルロースがさらに、ミクロフィブリル化セルロース(MFC)粒子、MFCクラスター、MFC−NCCクラスターおよびこれらの組み合わせのうちの1つ以上を含み、MFC対NCCの重量比が約5〜約0.1の範囲にある、請求項11に記載の部材。
【請求項17】
前記基材が、円筒、ロール、ドラム、ベルト、プレート、フィルム、シート、またはドレルトの形態を有し、前記基材が、金属、プラスチック、セラミックおよびこれらの組み合わせからなる群から選択される材料から形成される、請求項11に記載の部材。
【請求項18】
印刷における光沢レベルの改善のための定着方法であって、
最外層を含む定着器部材を提供することであって、前記最外層が、フルオロポリマーマトリックス中に配置された複数のナノサイズのセルロース粒子を含み、これにより、前記最外層が約0μm〜約20μmの範囲の平均表面祖度Sq値を有し、前記複数のナノサイズのセルロース粒子のそれぞれは、ミクロフィブリル化セルロース(MFC)粒子、MFCクラスター、ナノ結晶セルロース(NCC)粒子、NCCクラスター、MFC−NCCクラスターおよびこれらの組み合わせのうちの1つ以上を含む、ことと、
前記定着器部材の前記最外層と加圧部材との間に、接触弧を形成することと、
トナー画像を含む印刷媒体を前記接触弧に通らせ、前記トナー画像を前記印刷媒体上に定着させることであって、前記最外層が前記平均表面祖度Sq値を有することにより、前記印刷媒体上に定着された前記トナー画像が、約30ggu〜約70gguの範囲の光沢レベルを有する、ことと、
を含む、定着方法。
【請求項19】
前記印刷媒体上に定着された前記トナー画像が、約40ggu〜約65gguの範囲の光沢レベルを有する、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記印刷媒体上に定着された前記トナー画像が、約50ggu〜約60gguの範囲の光沢レベルを有する、請求項19に記載の方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真複写装置において有用なバイオナノ混成物定着器トップコートを有する定着器部材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の電子写真画像化プロセスは、通常、可視のトナー画像を支持表面(例えば、一枚の紙)上に形成することを含む。可視のトナー画像は、多くの場合、静電性の潜伏画像を含む光受容体から移動させられ、通常、定着器を用いて支持表面上に固定されているかまたは定着されていて、永久的な画像を形成する。従来的な定着装置は、定着器部材および加圧部材を備え、ロール部材と圧着するロール部材またはロール部材と圧着するベルト部材を備えるように構成され得る。定着プロセスにおいて、定着器部材の一方または両方および加圧部材を加熱することによって、熱を加えることができる。
【0003】
従来型定着器部材の1つの主要な欠陥様式は、定着器トップコート材料が機械的なロバスト性がないために、定着器表面で紙の端の摩耗および引っ掻き傷の損傷を含む。したがって、定着器の操作寿命は、限られている。
【0004】
これらの問題を解決するための従来のアプローチは、定着器の最外材料にフィラーを添加することを含む。フィラーとしては、カーボンブラック、金属酸化物およびカーボンナノチューブ(CNT)が挙げられる。しかし、機械的ロバスト性および摩耗耐性は、従来型定着器の短い操作寿命を延長するために、なお改善の必要がある。さらに、靭性を増大し摩耗および引っ掻き傷を減らす目的で、より機械的に可撓性のフィラー添加剤を組み込むことに利点がある。さらに、プリンター部材の再生可能資源に基づく、持続可能であるかまたは生分解性の構成要素を組み込むことが、望ましい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、先行技術のこれらおよび他の問題を克服し、定着器部材のために好適なフィラー粒子を有する混成材料を提供する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
種々の実施形態により、定着器部材が提供される。この定着器部材は、基材およびこの基材上に堆積する最外層を備えることができる。この最外層は、フルオロポリマーマトリックス中に堆積する複数のナノサイズのセルロース粒子を含むことができ、この複数のナノサイズのセルロース粒子のそれぞれは、1つ以上のミクロフィブリル化セルロース(MFC)粒子、ナノ結晶セルロース粒子、MFCクラスターおよびこれらの組み合わせを含む。
【0007】
さらなる実施形態により、定着器部材は、基材およびこの基材上に堆積する最外層を備える。この最外層は、フルオロポリマーマトリックス中に堆積する複数のナノサイズのセルロース粒子を含み、最外層に約500psi〜約5000psiの範囲の引張り強度を提供することができ、この複数のナノサイズのセルロース粒子のそれぞれは、1つ以上のナノ結晶セルロース(NCC)粒子、NCCクラスターおよびこれらの組み合わせを含む。
【0008】
さらなる実施形態において、印刷における光沢レベルの改善のための定着方法が、提供される。この方法は、最外層を含む定着器部材を提供することであって、この最外層は、フルオロポリマーマトリックス中に堆積する複数のナノサイズのセルロース粒子を含むことにより、この最外層に約0μm〜約20μmの範囲の平均表面粗度Sq値を与える。複数のナノサイズのセルロース粒子のそれぞれは、1つ以上のミクロフィブリル化セルロース(MFC)粒子、MFCクラスター、ナノ結晶セルロース(NCC)粒子、NCCクラスター、MFC−NCCクラスターおよびこれらの組み合わせを含むことができる。定着器部材の最外層と加圧部材との間に、接触弧が形成され得る。その上にトナー画像を含む印刷媒体が、この接触弧を通ってこのトナー画像を印刷媒体に定着させ得る。ここで、平均表面粗度Sq値を有する最外層は、印刷媒体上のトナー画像を、約30ggu〜約70gguの範囲の光沢レベルで提供する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
本明細書中に組み込まれ、その一部を構成する添付の図面は、本教示の幾つかの実施形態を説明し、説明と共に、本教示の原理を説明するために寄与する。
図1A図1Aは、本教示の種々の実施形態による種々の例示的なナノサイズセルロース粒子強化フルオロポリマー材料を図示する。
図1B図1Bは、本教示の種々の実施形態による種々の例示的なナノサイズセルロース粒子強化フルオロポリマー材料を図示する。
図1C図1Cは、本教示の種々の実施形態による種々の例示的なナノサイズセルロース粒子強化フルオロポリマー材料を図示する。
図2A図2Aは、本教示の種々の実施形態による図1A〜1Cの混成材料を含む例示的な定着器部材を図示する。
図2B図2Bは、本教示の種々の実施形態による図1A〜1Cの混成材料を含む例示的な定着器部材を図示する。
図3図3は、本教示の種々の実施形態による図2A〜2Cの定着器部材を用いる例示的な定着方法を図示する。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図面の詳細の幾つかは単純化されており、構造的な正確性、詳細および縮尺を厳密に維持するためよりも、実施形態の理解を容易にするために描写されていることに留意されたい。
【0011】
例示的な実施形態は、電子写真印刷デバイスにおける定着器部材のために使用されるナノサイズのセルロース粒子強化フルオロポリマー混成材料のための材料および方法を提供する。ナノサイズセルロース粒子強化フルオロポリマー混成材料は、フルオロポリマーマトリックス中に分散されているかおよび/またはこれに結合しているナノサイズのセルロース粒子を含むことができる。ナノサイズのセルロース粒子強化フルオロポリマー混成材料は、定着器部材の最外層として使用されてもよく、定着プロセスに好適な特性を提供する。
【0012】
この場合、ナノバイオ混成物とは、少なくとも寸法の1つが100nm未満であるセルロースフィラーを含むポリマーをいう。実施形態において、ナノサイズのセルロース粒子は、ミクロフィブリル化セルロース(すなわちMFC)粒子および/またはそのクラスター、ナノ結晶セルロース(すなわちNCC)粒子および/またはそのクラスター、MFC−NCCクラスター、および/またはそれらの組み合わせを含み得る。実施形態において、ナノサイズのセルロース粒子は、約100ナノメートル以下の、少なくとも1つの寸法(例えば幅または径)を有することができる。ナノサイズのセルロース粒子は、フレーク、鎖、ひげ、ロッド、針、シャフト、ピラーおよび/またはワイヤが挙げられるが、これらに限定されない形状であり得る。
【0013】
本明細書中で使用される場合、用語「ミクロフィブリル化セルロース」すなわち「MFC」は、元のセルロースの糸状構造を保存するプロセスにおいて供給源から回収された、単離されそして精製されたセルロース繊維を指す。また、この用語には、単離および精製の後、繊維の内部構造および/または配列を変える化学的処理を受けているセルロース繊維をも含むことができる。結果として、用語ミクロフィブリル化セルロースすなわちMFCは、細菌セルロースのような微生物から得られる精製され単離されたセルロースを含むことができる。
【0014】
実施形態において、開示されたナノサイズのセルロース粒子は、リグニンおよび繊維の束由来のヘミセルロースの除去により、従来のセルロース繊維と異なっていてもよいが、セルロース鎖は残っている。MFC粒子は、セルロース鎖からフィブリルを抽出することによって得られ得る。さらなる機械的分解および脱フィブリル化により、非結晶部分によって互いに結合している結晶部分を含む、長く、可撓性の繊維のさらなる鎖が、得られ得る。実施形態において、MFC粒子の結晶部分は、MFC粒子と比較して、約40〜約75、または約50〜約70、または約60〜約65であり得る。実施形態において、MFC粒子自体は、セルロース分子に類似の密集ネットワーク構造を有することができる。MFC粒子はまた、混成処方物中に、より密度の低いネットワーク構造も形成し、周囲のマトリックスを肥厚化するか、ゲル化するか、または周囲のマトリックスを強化することができる。
【0015】
実施形態において、MFC粒子は、約1nm〜約100nm、もしくは約2nm〜約50nm、もしくは約5nm〜約20nmの範囲の平均直径または相当直径、および約1ミクロン〜約100ミクロン、もしくは約2ミクロン〜約40ミクロン、もしくは約5ミクロン〜約20ミクロンの範囲の平均長を有することができる。実施形態において、MFC粒子は、約0.002平方ミクロン〜約30平方ミクロン、もしくは約0.01平方ミクロン〜約6平方ミクロン、もしくは約0.1平方ミクロン〜約1平方ミクロンの範囲の平均表面積を有することができ、MFCの寸法は、限定されない。
【0016】
実施形態において、ナノ結晶セルロース(NCC)を、セルロース繊維の可撓性成分を昇華しそして除去することによって形成することができるが、結晶部分は除去されない。実施形態において、NCC粒子は、約1nm〜約70nm、もしくは約2nm〜約50nm、もしくは約5nm〜約20nmの範囲の平均直径または相当直径、約20nm〜約3ミクロン、もしくは約35nm〜約1000nm、もしくは約50nm〜約700nmの範囲の平均長を、有し得る。別の実施形態において、NCC粒子は、約2〜約1000、もしくは約3〜約500、もしくは約5〜約350の縦横比(長さ:幅)を有し得る。実施形態において、NCC粒子は、結晶であり、欠陥のないものは僅かである。
【0017】
実施形態において、MFCおよび/またはNCCのナノサイズのセルロース粒子は、セルロース誘導体を含み得、これは、セルロースエステル、セルロースエーテル、セルロース酸、セルロースアミン、および/またはセルロースアミドを含むが、これらに限定されない。セルロース粒子の水酸基(−OH)が、種々の試薬と容易に反応して、所望の誘導体を提供し得る。例えば、ナノサイズのセルロース粒子は、種々の界面活性材料と容易に反応して、強化混成材料を形成する際に材料を処理するために有用な所望の特性に合わせることができる。例示的な開き面活性材料としては、リン酸、ケトン、エーテル、エステル、水酸化物、アミン、アジドが挙げられ得るが、これらに限定されない。実施形態において、界面活性材料は、ナノサイズのセルロース粒子に物理的に付着することができる。
【0018】
実施形態において、MFCおよび/またはNCCのナノサイズのセルロース粒子は、フルオロポリマーマトリックス中に物理的に分散されていてもよく、および/またはこれに化学的に結合していてもよい。
【0019】
本明細書中で使用される場合、ポリマーマトリックスに「結合」しているナノサイズのセルロース粒子は、イオン結合または共有結合のような化学結合を指し、水素結合または分子の物理的な捕捉(2つの化学種が互いに近密に存在する場合に起こり得る)のようなより弱いメカニズムではない。例えば、ナノサイズのセルロース粒子は、単純に、フルオロポリマーマトリックス中に混合されてもまたは分散されてもよいが、フルオロポリマー材料に化学的に結合しない。別の実施形態において、ナノサイズのセルロース粒子は、フルオロポリマー材料に化学的に結合している(例えば、ポリマー材料と共有結合を介して架橋している)。なお別の実施形態において、ナノサイズのセルロース粒子は、フルオロポリマーマトリックス中に混合されてもまたは分散されてもよいが、一方で、他の粒子が、フルオロポリマー材料と化学的に結合している。
【0020】
MFCおよび/またはNCCのナノサイズのセルロース粒子は、その表面上の−OH基に起因して、強い水素結合力を示し得る。MFC粒子は、互いに相互作用して、MFCクラスターを形成し得る。NCC粒子は、互いに相互作用して、NCCクラスターを形成し得る。MFC粒子はまた、NCC粒子と相互作用して、MFC−NCCクラスターを形成し得る。
【0021】
図1A〜1Cは、本教示の種々の実施形態にしたがう種々の例示的ナノサイズセルロース粒子強化フルオロポリマー混成材料を示す。
【0022】
図1Aにおいて、混成材料100Aは、複数のMFC粒子102を含み得、ランダム且つ均一に、フルオロポリマーマトリックス150中に分散している。MFC粒子102は、凝集されなくてもよく、および/またはフルオロポリマーマトリックス中にMFCクラスターを形成してもよい。実施形態において、MFCクラスターは、約1ミクロン〜約100ミクロン、もしくは約5ミクロン〜約50ミクロン、もしくは約10ミクロン〜約20ミクロンの範囲の平均クラスターサイズを有し得る。例示的な実施形態において、MFC粒子は、フルオロポリマーマトリックス150に「ウェブ様」強化を提供する。例えば、混成材料100Aの機械的強度を改善し、一方で、可撓性を維持する。
【0023】
図1Bにおいて、混成材料100Bは、フルオロポリマーマトリックス150中に分散した複数のNCC粒子104を、ランダムにまたは均一に含み得る。NCC粒子104は、凝集されない粒子であってもよく、および/またはフルオロポリマーマトリックス150中でNCCクラスターを形成してもよい。実施形態において、NCCクラスターは、約1ミクロン〜約100ミクロン、もしくは約5ミクロン〜約50ミクロン、もしくは約10ミクロン〜約20ミクロンの範囲の平均クラスターサイズを有することができる。NCC粒子104は、フルオロポリマーマトリックス150に機械的強化を提供する。
【0024】
図1Cにおいて、混成材料100Cは、MFC粒子102とNCC粒子104との両方を含み、フルオロポリマーマトリックス150中に、ランダムまたは均一に分散され得る。MFC粒子102および/またはNCC粒子104は、凝集されない粒子であってもよく、あるいは/またはフルオロポリマーマトリックス150中にMFCクラスター、NCCクラスター、および/もしくはMFC−NCCクラスターを形成してもよい。実施形態において、MFC粒子とNCC粒子とによって形成されるMFC−NCCクラスターは、約1ミクロン〜約100ミクロン、もしくは約5ミクロン〜約50ミクロン、もしくは約10ミクロン〜約20ミクロンの範囲の平均クラスターサイズを有し得る。この実施形態において、MFC粒子とNCC粒子との両方が強化混成材料中に存在し、MFC対NCCの重量比は、約5対0.1、約1対0.2,または約0.6対0.3の範囲であることができる。
【0025】
実施形態において、MFCおよび/またはNCCのナノサイズのセルロース粒子は、混成材料100A〜Cの総含量(重量)に対し、約1〜約30、もしくは約3〜約10、もしくは約5〜約8の範囲の量で存在し得る。ここで、本開示で企図される、凝集しなかったもの対クラスターの組み合わせの数および/またはMFC粒子とNCC粒子との組み合わせの数は、限定されない。
【0026】
混成材料100A〜Cを形成するためのフルオロポリマーマトリックス150として、種々のフルオロポリマーを使用することができる。フルオロポリマーとしては、フルオロエラストマー、フルオロプラスチック、および/またはフルオロ樹脂が挙げられ得るが、これらに限定されない。実施形態において、他の可能なポリマーとしては、例えば、シリコンエラストマー、サーモエラストマー、および/または樹脂が挙げられ、ポリマーマトリックスのために、組み込まれてまたは独立して使用することができる。
【0027】
例示的なフルオロエラストマーは、テトラフルオロエチレン(TFE)、パーフルオロ(メチルビニルエーテル),パーフルオロ(プロピルビニルエーテル)、パーフルオロ(エチルビニルエーテル)、ビニリデンフルオリド、ヘキサフルオロプロピレン、およびこれらの混合物からなる群より選択されるモノマーリピート単位を含み得る。フルオロエラストマーはまた、硬化部位モノマーをも含むことができる。
【0028】
特定の実施形態において、例示的なフルオロエラストマーは、(1)2種のビニリデンフルオリド(VDFまたはVF2)、ヘキサフルオロプロピレン(HFP)、およびテトラフルオロエチレン(TFE)のコポリマー、(2)ビニリデンフルオリド、ヘキサフルオロプロピレンおよびテトラフルオロエチレンのターポリマー、ならびに(3)ビニリデンフルオリド、ヘキサフルオロプロピレン、テトラフルオロエチレンおよび硬化部位モノマーのテトラポリマーのクラス由来であり得る。これらのフルオロエラストマーは、公知であり、種々の名称で市販されている(例えば、VITON A(登録商標)、VITON B(登録商標)、VITON E(登録商標)、VITON E 60C(登録商標)、VITON E430(登録商標)、VITON 910(登録商標)、VITON GH(登録商標)、VITON GF(登録商標、およびVITON ETP(登録商標))。VITON(登録商標)の名称は、E.I.DuPont de Nemours,Inc.の商標である。硬化部位モノマーは、4−ブロモパーフルオロブテン−1,1,1−ジヒドロ−4−ブロモパーフルオロブテン−1,3−ブロモパーフルオロプロペン−1,1,1−ジヒドロ−3−ブロモパーフルオロプロペン−1、または任意の他の好適な、公知の硬化部位モノマーであってもよく、例えば、DuPontから市販されるものであってもよい。他の市販のフルオロポリマーは、FLUOREL 2170(登録商標)、FLUOREL 2174(登録商標)、FLUOREL 2176(登録商標)、FLUOREL 2177(登録商標)およびFLUOREL LVS 76(登録商標)、FLUOREL(登録商標)を含み得、これらは、3M Companyの登録商標である。さらなる市販の材料としては、AFLAS(商標)(ポリ(プロピレン−テトラフルオロエチレン))、および FLUOREL II(登録商標)(LII900)(ポリ(プロピレン−テトラフルオロエチレンビニリデンフルオリド))が挙げられ、両方とも、やはり3M Companyから購入可能であり、ならびに、FOR−60KIR(登録商標)、FOR−LHF(登録商標)、NM(登録商標)FOR−THF(登録商標)、FOR−TFS(登録商標)、TH(登録商標)、NH(登録商標)、P757(登録商標)、TNS(登録商標)、T439(登録商標)、PL958(登録商標)、BR9151(登録商標)およびTN505(登録商標)として同定されるTecnoflonsが挙げられる(Ausimontから購入可能である)。
【0029】
3つの公知のエラストマーの例は、(1)2種のビニリデンフルオリド、ヘキサフルオロプロピレンおよびテトラフルオロエチレンのコポリマーのクラス、例えばVITON A(登録商標)として市場で知られるもの、(2)ビニリデンフルオリド、ヘキサフルオロプロピレン、およびテトラフルオロエチレンのターポリマーのクラス、例えばVITON B(登録商標)として市場で知られるもの、ならびに(3)ビニリデンフルオリド、ヘキサフルオロプロピレン、テトラフルオロエチレンおよび硬化部位モノマーのテトラポリマーのクラス、例えばVITON GH(登録商標)またはVITON GF(登録商標)として市場で知られるものである。
【0030】
フルオロエラストマーVITON GH(登録商標)およびVITON GF(登録商標)は、比較的低量のビニリデンフルオリドを有する。VITON GH(登録商標)およびVITON GF(登録商標)は、約35重量%のビニリデンフルオリド、約34重量%のヘキサフルオロプロピレン、および約29重量%のテトラフルオロエチレン、ならびに約2重量%の硬化部位モノマーを有する。
【0031】
例示的なフルオロプラスチックは、ポリフルオロアルコキシポリテトラフルオロエチレン(PFA)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、および/またはフッ化エチレンプロピレンコポリマー(FEP)を含み得るが、これらに限定されない。これらのフルオロプラスチックは、種々の名称で市販され得、例えば、TEFLON(登録商標)PFA、TEFLON(登録商標)PTFE、またはTEFLON(登録商標)FEPであり、E.I.DuPont de Nemours,Inc.(Wilmington,DE)から入手可能である。
【0032】
実施形態において、MFC粒子102および/またはNCC粒子104を含むナノサイズのセルロース粒子は、フルオロポリマーマトリックス150内に分配され得、物理的特性、例えば、生じたポリマー混成物の機械的、化学的および表面特性、ならびに定着性能および印刷性能を、実質的に制御するかまたは増強することができる。
【0033】
ナノサイズのセルロース粒子強化フルオロポリマー混成材料(図1A〜1Cを参照されたい)は、約500psi〜約5000psi、もしくは約1200psi〜約2200psi、もしくは約1400psi〜約1800psiの範囲の引張り強度、約500in.−lbs./in.〜約5000in.−lbs./in.、もしくは約1500in.−lbs./in.〜約4000in.−lbs./in.、もしくは約2400in.−lbs./in.〜約3000in.−lbs./in.の範囲の靭性、および約400psi〜約3000psi、もしくは約500psi〜約2000psi、もしくは約600psi〜約1000psiの範囲の初期モジュラスを有し得る。実施形態において、上述の機械的特性は、当該分野で公知のASTM D412法を用いて約180℃で測定され得る。
【0034】
実施形態において、ナノサイズのセルロース粒子強化フルオロポリマー混成材料(図1A〜1Cを参照されたい)は、所望の表面粗度、例えば、約0μm〜約20μm、もしくは約1μm〜約10μm、もしくは約3μm〜約5μmの範囲の粗度を提供し得る。表面粗度は、定着プロセスにおいて使用される場合に、画像の光沢レベルの制御を容易にし得る。
【0035】
ナノサイズのセルロース粒子強化フルオロポリマー混成材料(図1A〜1Cを参照されたい)は、種々の定着サブシステムにおける定着器部材の最外層として使用され得る。定着器部材は、例えば、ロール、ドラム、ベルト、ドレルト、プレートまたはシートの形態であってもよい。例えば、図2A〜2Bは、本教示の種々の実施形態にしたがう例示的な定着器ロールを図示する。
【0036】
図2A〜2Bに示されるように、例示的な定着器ロール200A〜Bは、基材205および205の上に形成された最外層255を備え得る。
【0037】
基材205は、金属、プラスチック、および/またはセラミックを含む材料で製造され得るが、これらに限定されない。例えば、金属は、アルミニウム、陽極酸化アルミニウム、鉄鋼、ニッケル、および/または銅を含み得る。プラスチックは、ポリイミド、ポリエステル、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリ(アリーレンエーテル)、および/またはポリアミドを含み得る。説明されるとおり、基材205は、例えば、円筒管または剛性の筒状シャフトの形態を取り得るが、当業者は、他の基材形態、例えば、ベルト基材またはフィルム基材が使用され得、定着器部材の剛性および構造完全性を維持し得る。
【0038】
最外層255は、例えば、図1A〜Cに示されるナノサイズのセルロース粒子強化フルオロポリマー混成材料100A〜Cを含むことができる。したがって、最外層255は、フルオロポリマーマトリックス150中に分散するかおよび/またはこれに結合する複数のナノサイズのセルロース粒子を含むことができる。実施形態において、最外層255は、5μm〜約100μm、もしくは約10μm〜約50μm、もしくは約20μm〜約40μmの範囲の厚みを有することができる。
【0039】
図2Aに示されるように、最外層255を、基材205上に直接形成することができる。他の実施形態において、最外層255と基材205との間に、基層235を形成することができる。基層235は、1つ以上の機能性層を含み、これらは、エラストマー層、中間層、および/または接着層が挙げられるが、これらに限定されない。
【0040】
例えば、基層235のエラストマー層は、イソプレン、クロロプレン、エピクロロヒドリン、ブチルエラストマー、ポリウレタン、シリコンエラストマー、フッ素エラストマー、スチレン−ブタジエンエラストマー、ブタジエンエラストマー、ニトリルエラストマー、エチレンプロピレンエラストマー、エピクロロヒドリン−エチレンオキシドコポリマー、エピクロロヒドリン−エチレンオキシド−アリルグリシジルエーテルコポリマー、エチレン−プロピレン−ジエン(EPDM)エラストマー、アクリロニトリル−ブタジエンコポリマー(NBR)、天然ゴムなど、またはこれらの組み合わせを含む材料から形成され得る。
【0041】
例示的な定着器部材200A/Bは、従来の定着システムにおいて使用され得、定着性能を改善する。図3は、図2A〜2Bの開示の部材200Aまたは200Bを用いる例示的な定着システム300を図示する。
【0042】
例示的なシステム300は、好適な基材205に被さる最外層255を有する例示的な定着器ロール200Aまたは200Bを含み得る。基材205は、例えば、任意の好適な金属で製造された中空の円筒であってもよい。定着器ロール200A/Bは、基材205の中空部分に配置される好適な加熱エレメント306(円筒と同一の広がりを有する)をさらに有し得る。当業者に公知のバックアップロールすなわち加圧ロール308が、定着器ロール200A/Bと共同して、ニップすなわち接触弧310を形成し、ここを、印刷媒体312(例えば、コピー用紙または他の印刷基材)が通過し、それによって印刷媒体312上のトナー画像314が、定着プロセスの間、最外層255に接触する。定着プロセスは、約60℃(華氏140度)〜約300℃(華氏572度)、もしくは約93℃(華氏200度)〜約232℃(華氏450度)、もしくは約160℃(華氏320度)〜約232℃(華氏450度)の範囲の温度で実施され得る。必要に応じて、バックアップすなわち加圧ロール308によって、定着プロセスの間に圧力がかけられてもよい。定着プロセスの後、印刷媒体312が接触弧310を通過した後に、定着したトナー画像316を、印刷媒体312条に形成することができる。
【0043】
本明細書中で開示されるとおり、印刷媒体310上の定着トナー画像316の光沢アウトプットを、ナノサイズセルロース粒子強化フルオロポリマー混成材料100A〜Cを定着器部材の最外層として使用することによって、制御することができる。混成物にために選択されたポリマーおよび粒子に依存して、好適なレベルの画像光沢を、必要に応じて得ることができる。デジタル高精密光沢メーター(Murakami Color Research Laboratory Co.,Ltd.製)によって、光沢レベルを入射角75°で測定することができる。したがって、測定した光沢レベルは、当業者に公知のとおり、G75光沢レベルと呼ばれる。例えば、従来の定着器材料は、画像を、iGen配置において、80gguよりも高い光沢レベルで産生する。一方、本例示の定着器材料は、制御可能に画像を生産可能であり、例えば約70gguの、例えば低い光沢レベルから、約30ggu〜約70ggu、もしくは約40ggu〜約65ggu、もしくは約50ggu〜約60gguの範囲の、定着または印刷した画像が産生され得る。
【実施例】
【0044】
実施例1−NCCのフルオロエラストマー中への分散
フルオロエラストマー混成物を、以下のように調製した。約0.5gの約150nmナノ結晶セルロースひげおよび約50gのViton GF(E.I.du Pont de Nemours,Inc.から入手可能)を、約170℃で双スクリュー押し出し成型器を用いて、1分間に約20回転(rpm)の回転速度で約20分間混合し、約1重量%のNCCナノ粒子を含むポリマー混成物を形成した。類似の手順を使用し、2種の他のフルオロエラストマー混成物(それぞれ、3pphおよび10pphのNCCナノ粒子を含む)を調製した。
【0045】
実施例2−トップコート層の調製
実施例1からのNCC混成物を含む3種の被膜組成物を調製した。これらはそれぞれ、メチルイソブチルケトン(MIBK)中に溶解した約17重量%のフルオロエラストマー混成物を含み、5pphのVITON(登録商標)−GFおよびAO700架橋剤(Gelest製のアミノメチルアミノプロピルトリメトキシシラン架橋剤)および24pphのメタノールと合わせられた。被膜組成物を、3枚のアルミニウム基材上にバーコーターで被膜し、そして被膜を、段階的な熱処理により、49℃〜177℃の温度で約24時間に亘って硬化させた。
【0046】
実施例3−NCCのフルオロエラストマー中への代替的な分散およびトップコート層の調製
フルオロエラストマー混成物を、以下のように調製した。約0.06gのおよそ150nmのナノ結晶セルロースひげを、約10gのメチルイソブチルケトン(MIBK)中に、24時間に亘って3mm径の鋼ボールで粉砕することによって分散させた。得られたNCC分散液を、次いで、約2gのViton GF(E.I.du Pont de Nemours,Inc.より入手可能)の別個の約10gのメチルイソブチルケトン(MIBK)中分散液と合わせた。次いで、5pph(VITON(登録商標)−GFの重量に対する百分率)AO700架橋剤(Gelest製のアミノエチルアミノプロピルトリメトキシシラン架橋剤)および24pphのメタノールと合わせた。この混成被膜組成物を、バーコーターでアルミニウム基材上に被膜し、この被膜を段階的な熱処理により、49℃〜177℃の温度で約24時間に亘って硬化させた。
【0047】
実施例4−MFCのフルオロエラストマー中への分散およびトップコート層の調製
フルオロエラストマー混成物を、以下のように調製した。約0.06gのおよそ10ミクロンのミクロフィブリル化セルロース粒子を、約10gのメチルイソブチルケトン(MIBK)中に、24時間に亘って3mm径の鋼ボールで粉砕することによって分散させた。得られたMFC分散液を、次いで、約2gのViton GF(E.I.du Pont de Nemours,Inc.より入手可能)の別個の約10gのメチルイソブチルケトン(MIBK)中分散液と合わせた。次いで、5pph(VITON(登録商標)−GFの重量に対する百分率)AO700架橋剤(Gelest製のアミノエチルアミノプロピルトリメトキシシラン架橋剤)および24pphのメタノールと合わせた。この混成被膜組成物を、バーコーターでアルミニウム基材上に被膜し、この被膜を段階的な熱処理により、49℃〜177℃の温度で約24時間に亘って硬化させた。
【0048】
実施例5−フルオロプラスチック中へのNCCの分散
被膜処方物を、2−プロパノール中にDuPont製のMP320粉末PFA(粒子サイズは15ミクロンを超える)および約150nmナノ結晶セルロースひげを、総固体含量20重量%で分散させることにより、調製する。2−プロパノール中の成分の分散は、音波処理の繰り返しによって補助する。次いで、分散液を、シリコンゴム基材上にPaasheエアブラシを用いてスプレーする。被膜を、350℃で15〜20分間に亘って加熱することにより硬化させ、混成フィルムを形成する。
図1A
図1B
図1C
図2A
図2B
図3