(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記運用管理装置は、前記受信部により受信した前記操作情報および前記動作情報を、予め定められた分析条件に従って分析して分析結果を示す分析情報を生成するための分析部をさらに含み、
前記蓄積部は、前記分析部により生成された前記分析情報をさらに蓄積する、請求項1に記載の舞台機構または遊戯機構の運用管理システム。
前記運用管理装置は、前記分析情報に基づいて、前記舞台機構の異常発生および異常の前兆を前記端末装置へ通報するための通報部をさらに含む、請求項2に記載の舞台機構または遊戯機構の運用管理システム。
装置外部の端末装置から送信される検索条件に基づいて前記蓄積部に蓄積される前記操作情報、前記動作情報および前記分析情報を検索し、検索結果を前記端末装置に送信するための検索部をさらに備える、請求項6に記載の運用管理装置。
前記分析情報に基づいて、前記舞台機構または前記遊戯機構の異常発生および異常の前兆を、前記端末装置へ通報するための通報部をさらに備える、請求項7に記載の運用管理装置。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。なお、以下では、図中の同一または相当部分には同一符号を付して、その説明は原則的に繰り返さないものとする。
【0013】
[舞台運用管理システムの構成]
図1は、本発明の実施の形態による運用管理システムの代表例として示される、舞台機構の運用管理システム(以下、「舞台運用管理システム」と称する)の全体構成図である。
【0014】
図1を参照して、この発明の実施の形態による舞台運用管理システムは、舞台機構1の稼動状況を監視する。舞台運用管理システムは、運用管理装置2と、運用管理装置2と通信可能な端末装置3とから構成される。なお、
図1には、端末装置3を1台だけ備える舞台運用管理システムを例示するが、端末装置3の数は1台には限定されない。複数の遠隔地から舞台機構1を監視できるように、各遠隔地に対応させて同数の端末装置3を備える構成を採用してもよい。
【0015】
舞台機構1は、舞台動作部10と、舞台操作部12とを備える。舞台動作部10は、可動式の吊物機構および床機構を含む複数の動作機構と、複数の動作機構をそれぞれ駆動制御するための駆動装置とを含む。この駆動装置には、吊物機構および床機構をそれぞれ駆動する複数台のモータと、各モータを駆動制御するための制御部とが設けられている。制御部は、各動作機構が公演の演出場面に応じて目標とする位置へ移動するように、各モータを駆動制御する。
【0016】
具体的には、各動作機構には、動作機構の現在位置を検出するための位置検出器が設けられている。位置検出器は、動作機構の現在位置を検出し、位置検出結果を制御部へ出力する。制御部は、各位置検出器の出力に基づいて各動作機構の現在位置を検出する。そして、制御部は、舞台操作部12から指定される各動作機構の目標位置および移動時間と、各動作機構の現在位置とに基づいて、各動作機構の移動量および移動速度を設定する。制御部は、設定した移動量および移動速度で動作機構が移動するように、対応するモータを駆動制御する。このようにして、制御部は、演出場面に応じて要求される任意の目標位置まで指定時間で動作機構の移動を完了させる。
【0017】
舞台操作部12は、舞台機構1のオペレータ等による各種の入力操作を受付けるためのものであり、例えばボタンなどの複数の入力装置によって実現される。舞台操作部12は、一例として、複数の動作機構の各々についての目標位置および移動時間を示す情報の入力を受付ける。
【0018】
[運用管理装置の構成]
運用管理装置2は、通信線を介して舞台機構1に接続されており、舞台機構1から舞台動作部10および舞台操作部12の稼動状況を示す様々な情報をリアルタイムで取得し、蓄積する。また、運用管理装置2は、取得した情報に基づいて舞台機構1が正常に稼働しているかどうかを分析し、分析結果を示す分析情報を蓄積する。運用管理装置2はさらに、舞台機構1の異常を検知したときには、端末装置3に対して異常発生を通報する。
【0019】
具体的には、運用管理装置2は、受信部20と、選択部22と、分析部26と、記憶部24,28と、情報蓄積部30と、通報部32と、検索表示部34とを備える。運用管理装置2は、一例として、CPU(Central Processing Unitと)と、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)などのメモリとを含むマイクロコンピュータを主体として構成される。
【0020】
受信部20は、舞台動作部10から送信される動作情報と、舞台操作部12から送信される操作情報とを受信する。動作情報とは、舞台動作部10における各動作機構の動作状態を示す情報である。動作情報には、制御部によって時系列に検出される各動作機構の状態値(現在位置を示す位置データや移動速度など)が含まれる。操作情報とは、舞台操作部12における入力装置などの操作状態を示す情報である。操作情報には、演出場面に応じて時系列に舞台操作部12に入力される操作の内容を示す操作データが含まれる。受信部20は、予め定められたタイミングごとに動作情報および操作情報を受信すると、受信した動作情報および操作情報を選択部22および分析部26へ出力する。
【0021】
選択部22は、予め定められている所定の選択条件に従って、情報蓄積部30に蓄積すべき動作情報および操作情報を取捨選択する。この所定の選択条件は、舞台運用管理システムの運用管理者等によって予め定められ、選択条件情報として記憶部24に格納されている。記憶部24は、例えば、不揮発性記憶装置であるROMなどによって実現される。
【0022】
図2は、
図1における記憶部24に格納される選択条件情報の一例を示す図である。
図2を参照して、選択条件情報は、選択対象となる項目を示す情報と、項目ごとの属性を示す情報と、項目ごとの付加情報とから構成される。選択対象となる項目には、舞台動作部10に含まれる複数の動作機構の動作状態を示す状態値、および舞台操作部12に含まれる各種の入力装置の操作状態を示す状態値が含まれている。なお、
図2に示される「ID001」,「ID002」,「ID003」・・・は、複数の動作機構および入力装置の各々の状態値を表わしている。
【0023】
項目ごとの属性には、選択対象となる項目の各々について設定された選択/非選択を示す情報が含まれる。すなわち、
図2に示される「ATR001」,「ATR002」,「ATR003」・・・は、対応する動作機構または入力装置の状態値を、蓄積すべき対象に選択するか、非選択とするかを示す情報である。
【0024】
付加情報は、対応する項目(状態値)を特定するための情報であり、動作機構または入力装置の名称(または機種名)および状態値の単位を示す情報などが含まれる。
図2に示される「INF001」,「INF002」,「INF003」・・・は、「ID001」,「ID002」,「ID003」・・・で特定される状態値にそれぞれについて、動作機構または入力装置の名称、状態値の単位、および状態値の正常範囲または異常範囲といった補足情報などを表わしている。
【0025】
このように、選択条件は、舞台動作部10および舞台操作部12に含まれる各種の動作機構および入力装置の各々について、その動作情報または操作情報を情報蓄積部30に蓄積すべきか否かを指定するための条件である。これにより、蓄積対象に指定された動作機構の動作情報および入力装置の操作情報のみが選択部22により選択される。なお、この選択条件は、運用管理者等が任意に設定・変更することができる。例えば、舞台動作部10に含まれる各種の動作機構の稼働予定や舞台操作部12に含まれる各種の入力装置の操作予定に基づいて、選択条件を設定してもよい。または、舞台機構1で発生した異常の原因の解析や保守・復旧作業を行なうために必要となる情報を選択するように、選択条件を設定してもよい。さらに、公演の内容に応じて選択条件を設定変更するようにしてもよい。
【0026】
選択部22はさらに、上記の選択条件に従って選択した動作情報および操作情報の各々について、今回取得した状態値が、前回取得した状態値から変化したか否かを判定する。今回取得した状態値が前回取得した状態値から変化した場合、選択部22は、その状態値を、情報蓄積部30に蓄積すべき対象に選択する。これに対して、今回取得した状態値が前回取得した状態値と変化していない場合、選択部22は、その状態値を非選択とする。
【0027】
また、選択部22は、所定の周期ごとに、上記の選択条件に従って選択した動作情報および操作情報をすべて選択し、情報蓄積部30に蓄積する。
【0028】
図3は、選択部22における動作情報および操作情報の選択処理を説明する図である。
図3に例示する舞台機構1の稼動情報(動作情報および操作情報)を用いて、選択部22における選択方法について説明する。
【0029】
図3を参照して、運用管理装置2は、予め定められたタイミングごとに、舞台機構1から送信される動作情報および操作情報を取得する。
図3では、一例として、合計100個の動作機構の動作情報および入力装置の操作情報(ID001〜ID100)について、各タイミングで取得される状態値を時系列で表わしている。時系列で状態値に変化のない情報については空欄で示すものとする。一方、時系列で状態値が変化する情報についてはその状態値を示すものとする。
【0030】
選択部22は、記憶部24に格納される選択条件情報(
図2参照)に従って、情報蓄積部30に蓄積すべき動作情報および操作情報を選択する。
図3では、舞台動作部10の稼動予定および舞台操作部12の操作予定を基に設定された選択条件に従って、「ID003」で特定される動作機構の動作情報、「ID005」で特定される動作機構の動作情報、および「ID099」で特定される入力装置の操作情報が蓄積対象に選択されているものとする。
【0031】
選択部22は、蓄積対象に選択された動作機構の動作情報および入力装置の操作情報を監視する。そして、選択部22は、今回取得した状態値が、前回取得した状態値から変化したものを選択して情報蓄積部30に蓄積する。例えば、「ID003」で特定される動作機構の動作情報において、取得タイミングt2での状態値が、前回の取得タイミングt1での状態値から変化した場合(h1→h2)、選択部22は、取得タイミングt2での状態値(h2)を情報蓄積部30に蓄積する。このとき、選択部22は、状態値(h2)に、対応する動作機構を特定する情報「INF003」を関連付けて情報蓄積部30に蓄積する。これに対して、取得タイミングt3での状態値が、前回の取得タイミングt2での状態値から変化していない場合(h2→h2)、選択部22は取得タイミングt3での状態値(h2)を非選択とする。
【0032】
同様にして、「ID099」で特定される動作機構の動作情報において、取得タイミングt2での状態値が、前回の取得タイミングt1での状態値から変化した場合(p1→p2)、選択部22は取得タイミングt2での状態値(p2)を選択する。選択部22は、状態値(p2)に、対応する入力装置を特定する情報「INF099」を関連付けて情報蓄積部30に蓄積する。
【0033】
選択部22の選択条件の変化は、値が誤差等で微小変動することを考慮して、項目属性内に閾値を設定して、閾値範囲内・範囲外で判定してもよい。このようにして、選択部22は、選択条件に従って選択された動作機構の動作情報および入力装置の操作情報のうち、取得タイミング間で状態値が変化したものを選択して情報蓄積部30に蓄積する。これにより、情報蓄積部30には、オペレータによってどの入力装置に対してどのような入力操作が行なわれたかについての操作履歴と、上記の入力操作に応答してどの動作機構がどのような動作を行なったかについての動作履歴とが蓄積される。
【0034】
さらに、選択部22は、所定周期Tで、選択条件に従って選択された動作機構および入力装置の情報(動作情報および操作情報)をすべて選択し、情報蓄積部30に蓄積する。
図3では、取得タイミングt4と、取得タイミングt4から所定周期Tが経過した取得タイミングt51とにおいて、すべての動作情報および操作情報が選択される。このように、所定周期ですべての動作情報および操作情報を選択するのは、舞台機構1全体の稼働状況を定期的に把握するためである。
【0035】
以上のようにして、選択部22は、所定周期Tで動作情報および操作情報をすべて選択して蓄積するとともに、所定周期Tの間に、取得タイミング間で状態値が変化した動作情報および操作情報を選択して蓄積する。
図3では、情報蓄積部30に蓄積される動作情報および操作情報を斜線で示している。
【0036】
舞台機構1の大規模化および複雑化に伴ない、運用管理装置2が取得する動作情報および操作情報が大量となる。その一方で、舞台機構1に特有の稼働状況として、各種の動作機構および入力装置のうち限られたものが稼働し、かつ、その稼働時間は短いことがある。そのため、舞台機構1の稼働状況を把握するのに必要となる情報は、膨大な動作情報および操作情報のうちの一部に限定されることになる。したがって、運用管理装置2においてリアルタイムに取得される動作情報および操作情報を一括して蓄積する構成とした場合、舞台機構1の稼働状況を把握する際に、必要な情報の検索や抽出に多大な手間を要してしまう。
【0037】
本実施の形態においては、膨大な動作情報および操作情報から、舞台機構1の運用管理に必要となる動作情報および操作情報を状態値の変化点に着目して抽出することにより、情報の蓄積量を大幅に削減しつつ、運用管理に必要な情報を欠落させずに効率良く収集することができる。一例として、ある商業劇場での稼働情報を用いて試算すると、情報蓄積部30に蓄積される情報は、稼働情報を一括して蓄積したときの1/1500の情報量に削減される。なお、蓄積対象から外れた1499/1500の情報量は、実質的に当該劇場の運用管理に不要な情報であり、リアルタイムに取得しなくても後に再生できる情報も含まれている。この例では、稼働情報の収集時間が10分間しか蓄積できなかった稼働情報を、24時間連続で10日間以上(=15,000分間)蓄積できるようになる。これにより、運用管理者が連休明けに稼働情報を検索したとしても、稼働情報が失われておらず、必要な情報を取得できる。
【0038】
また、運用管理装置2から端末装置3に対して、蓄積した稼働情報をネットワークを経由して送信することを想定した場合、上記の例では、同じ情報を送信するのに要する時間を1/1500に短縮することができる。これは、選択方式で1分間で送信できる情報を、一括方式では25時間(1500分間)かかって送信することを示している。さらに、後述する検索表示部34により情報蓄積部30に蓄積された稼働情報を検索する場面において、検索効率が1500倍に向上するため、運用管理の効率が飛躍的に改善する。
【0039】
以上に述べた選択部22における選択処理は、次のような処理フローにまとめることができる。
【0040】
図4は、選択部22における動作情報および操作情報の選択処理に係るフローチャートである。なお、
図4に示すフローチャートは、運用管理装置2内部のCPUにおいて予め格納したプログラムを実行することで実現できる。
【0041】
図4を参照して、まず、選択処理を実行するために、選択部22は、ステップS01により、記憶部24に格納される選択条件情報を読み込む。この選択条件情報は、
図2に示したように、複数の動作情報および操作情報の各々について、情報蓄積部30に蓄積すべき対象に選択するか、非選択とするかを示す情報と、各状態値を特定するための付加情報とから構成されている。選択部22は、ステップS02により、選択条件情報に含まれる付加情報を読み込む。
【0042】
次に、選択部22は、ステップS03により、受信部20から舞台機構1の動作情報および操作情報を取得する。選択部22は、ステップS04により、情報蓄積部30に蓄積すべき動作情報および操作情報を取捨選択する。
【0043】
具体的には、選択部22は、まず、読み込んだ選択条件情報に基づいて、取得した動作情報および操作情報のうち、蓄積対象に指定された動作情報および操作情報のみを選択する。次に、選択部22は、選択した動作情報および操作情報のうち、今回取得した状態値が、前回取得した状態値から変化したか否かを判定する。今回取得した状態値が前回取得した状態値から変化した場合、選択部22は、その状態値を、情報蓄積部30に蓄積すべき対象に選択する(ステップS04のYES判定時)。選択部22は、選択した動作情報および操作情報の各々に、ステップS02で読み込んだ付加情報を関連付けて情報蓄積部30に蓄積する。
【0044】
これに対して、今回取得した状態値が前回取得した状態値と変化していない場合、選択部22は、その状態値を非選択とする(ステップS04のNO判定時)。
【0045】
選択部22は、ステップS05により、選択条件に従って選択した動作情報および操作情報をすべて選択するタイミング(以下、定期蓄積タイミングとも称する)であるか否かを判定する。定期蓄積タイミングである場合(ステップS05のYES判定時)、選択部22は、すべての動作情報および操作情報を選択するとともに、ステップS06により、選択したすべての情報に付加情報を関連付けて情報蓄積部30に蓄積する。一方、定期蓄積タイミングでない場合(ステップS05のNO判定時)、選択部22は、ステップS06の動作をスキップしてステップS03の動作に戻る。このようにして、リアルタイムで取得される動作情報および操作情報のうち、選択部22によって選択された情報のみが情報蓄積部30に蓄積される。
【0046】
再び
図1に戻って、情報蓄積部30は、ハードディスク等の記憶媒体で構成されており、選択部22から与えられる動作情報および操作情報を蓄積する。このような記憶媒体としては、フラッシュメモリ、マスクROM、EPROM(Electronically Programmable Read-Only Memory)、EEPROM(Electronically Erasable Programmable Read-Only Memory)、IC(Integrated Circuit)カードなどの半導体記憶媒体、CD−ROM(Compact Disc-Read Only Memory)やDVD−ROM(Digital Versatile Disk-Read Only Memory)などの光学ディスク記憶媒体、MO(Magnetic Optical Disc)やMD(Mini Disc)などの光磁気ディスク記憶媒体、FD(Flexible Disk)、磁気テープ、カセットテープなどの磁気記憶媒体を用いることができる。
【0047】
分析部26は、予め定められている所定の分析条件に従って、操作情報および動作情報を分析する。これにより、分析部26は、舞台機構1の稼動状況を分析し、舞台機構1の異常の有無およびその前兆の有無を判定する。分析部26によって得られる分析結果は、分析情報として情報蓄積部30に蓄積される。
【0048】
分析部26における所定の分析条件は、運用管理者等によって予め定められ、分析条件情報として記憶部28に格納されている。記憶部28は、記憶部24と同様に、例えばROMなどによって実現される。
【0049】
図5は、
図1における記憶部28に格納される分析条件情報の一例を示す図である。
図5を参照して、分析条件情報は、分析対象となる項目を示す情報と、項目ごとの属性を示す情報と、項目ごとの判定閾値を示す判定情報と、項目ごとの付加情報とから構成される。分析対象となる項目には、舞台動作部10に含まれる複数の動作機構の動作状態を示す状態値、および舞台操作部12に含まれる各種の入力装置の操作状態を示す状態値が含まれている。
図5に示される「ID001」,「ID002」,「ID003」・・・は、複数の動作機構および入力装置の各々の状態値を表わしている。
【0050】
項目ごとの属性には、分析対象となる項目の各々について、異常の有無を判定するための判定基準を示す情報が含まれる。すなわち、
図5に示される「ATR001」,「ATR002」,「ATR003」・・・は、対応する動作機構または入力装置の判定基準を示す情報である。例えば、舞台操作部12に設けられたボタンなどの入力装置については、異常の判定基準として、オペレータによる入力操作に応答して入力装置から発せられる電気信号の波形などが設定されている。
【0051】
判定情報には、上記の判定基準における判定閾値を示す情報が含まれる。例えば、上述した入力装置については、オペレータによる入力操作のタイミングと電気信号の立上りのタイミングとの間の時間差や電気信号の信号レベルなどに関する判定閾値が設定されている。
図5に示される「THRS001」,「THRS002」,「THRS003」・・・は、対応する項目(分析対象)についての判定基準における判定閾値を表している。
【0052】
付加情報は、対応する項目(分析対象)および分析結果を特定するための情報であり、動作機構または入力装置の名称(または機種名)と、異常内容を示す情報が含まれる。
図5に示される「INF001」,「INF002」,「INF003」・・・は、「ID001」,「ID002」,「ID003」・・・で特定される分析対象のそれぞれについて、対応する動作機構または入力装置の名称および異常内容や異常対処手順などを示している。
【0053】
図6は、分析部26における動作情報および操作情報の分析処理に係るフローチャートである。なお、
図6に示すフローチャートは、運用管理装置2内部のCPUにおいて予め格納したプログラムを実行することで実現できる。
【0054】
図6を参照して、まず、分析処理を実行するために、分析部26は、ステップS11により、記憶部28に格納される分析条件情報を読み込む。この分析条件情報は、
図5に示したように、複数の動作情報および操作情報の各々について、異常の有無を判定するための判定基準および判定閾値を示す情報と、分析対象および分析結果を特定するための付加情報とから構成されている。分析部26は、ステップS12により、分析条件情報に含まれる付加情報を読み込む。
【0055】
次に、分析部26は、ステップS13により、受信部20から舞台機構1の動作情報および操作情報を取得する。分析部26は、読み込んだ分析条件情報に従って動作情報および操作情報を分析する。
【0056】
具体的には、分析部26は、ステップS14により、読み込んだ分析条件情報に基づいて、取得した動作情報および操作情報の各々について、分析すべき対象に指定されているか否かを判定する。そして、分析対象に指定されている動作情報および操作情報に対して、分析条件情報に含まれる判定基準および判定閾値を用いた分析を行なう。
【0057】
分析部26は、ステップS15では、分析結果を示す分析情報に付加情報を関連付けて情報蓄積部30に蓄積する。分析部26はさらに、ステップS16により、分析情報を通報部32へ送信する。
【0058】
このように、動作情報および操作情報をリアルタイムで分析することにより、舞台機構1の運用に支障を来す故障が発生する前に、この故障の原因となる動作機構および入力装置の異常を検知することができる。これにより、分析結果に基づいて動作機構および入力装置を修復調整できるため、舞台機構1が運用不能となる故障の発生を未然に防ぐことが可能となる。
【0059】
再び
図1を参照して、分析部26によって得られる分析結果は、情報蓄積部30に蓄積されるとともに、通報部32へ送信される。通報部32は、分析結果を参照して舞台機構1の異常の有無およびその前兆の有無を判断する。そして、舞台機構1の異常または異常の前兆があると判断した場合、通報部32は、端末装置3に対して舞台機構1の異常発生を通報する。
【0060】
[端末装置の構成]
端末装置3は、運用管理装置2からの通報を受けると、運用管理装置2に対して情報要求を送信することにより、情報蓄積部30に蓄積されている情報を収集する。端末装置3は、収集した情報を表示する。なお、情報の収集に際しては、端末装置3は、検索条件を設定して、情報要求とともに運用管理装置2へ送信する。
【0061】
具体的には、端末装置3は、通報表示部40と、検索入力部42と、検索結果表示部44とを備える。通報表示部40は、運用管理装置2からの異常発生の通報を表示する。なお、通報表示部40による表示に代えて、もしくはこれに加えて、図示しない音声手段により異常を知らせる報知音を吹聴する構成や、報知灯を点灯させる構成を採用してもよい。すなわち、舞台機構1の異常が発生していること、この状態で舞台機構1の稼働を行なうと舞台機構1が運用不能となる虞があること、および、舞台機構1の修復作業を行なう必要があることを運用管理者に対して視覚的および/または聴覚的に報知し得るものであれば、どのような報知態様であってもよい。
【0062】
検索入力部42は、情報要求時に、運用管理者の入力操作により設定される検索条件を受付ける。検索入力部42は、検索条件を情報要求とともに、運用管理装置2に対して送信する。例えば、異常が発生したと予測される時刻を含む時間範囲の指定条件、異常が発生したと予測される動作機構の動作情報(または入力装置の操作情報)などの装置指定条件、および発生した事象を指定する事象指定条件などがある。検索条件の設定により、異常を解析するのに有益な情報を効率良く収集することができる。
【0063】
運用管理装置2において、検索表示部34は、検索入力部42から送信される情報要求および検索条件を受信する。検索表示部34は、検索条件に従って、情報蓄積部30に蓄積されている動作情報、操作情報および分析情報を検索する。そして、検索条件に一致した情報を情報蓄積部30から読み出して端末装置3に送信する。
【0064】
端末装置3において、検索結果表示部44は、検索表示部34から送信される情報を表示する。例えば、検索結果表示部44は、異常が発生したと予測される時刻を含む所定の時間範囲における、動作情報および操作情報ならびに分析結果を示す情報を表示する。
【0065】
このように、本発明の実施の形態による舞台運用管理システムでは、舞台機構からリアルタイムで送信される複数の動作情報および操作情報のうち、予め定められた選択条件を満たす情報のみを選択して蓄積する。これにより、舞台機構の稼働状況に関する情報の精度を落とすことなく、蓄積する情報量を大幅に削減できる。また、運用管理に不要な情報を省くことができるため、舞台機構の運用管理を効率的に行なうことが可能となる。
【0066】
また、本実施の形態による舞台運用管理システムによれば、動作情報および操作情報をリアルタイムで分析することにより、舞台機構の運用に支障を来す故障が発生する前に、故障の原因となる動作機構および入力装置の異常を検知することができる。これにより、異常箇所の修復調整が可能となるため、舞台機構が運用不能となる故障の発生を未然に防ぐことができる。
【0067】
なお、本実施の形態では、舞台機構1が動作機構として吊物機構および床機構を含む構成について例示したが、動作機構はこれらに限られることはない。例えば、動作機構として照明機構や音響機構などをさらに含む構成についても、本発明を適用可能である。
【0068】
また、本実施の形態では、舞台機構1の外部に運用管理装置2を設ける構成について例示したが、舞台機構1の内部に運用管理装置2を設ける構成としてもよい。例えば、舞台動作部10の動作機構の動作を統括制御する制御部に、運用管理機能を持たせることも可能である。
【0069】
[遊戯機構の運用管理システム]
上述の実施の形態では、運用管理システムの一例として、舞台機構の運用管理システムの構成について説明したが、本発明は、遊戯機構の運用管理システムにも適用することが可能である。
図7に、遊戯機構の運用管理システムの全体構成図を示す。
図7を参照して、遊戯機構の運用管理システムは、
図1に示す舞台運用管理システムと比較して、舞台機構1に代えて、遊戯機構4が設けられる。遊戯機構4は、動作部50と、操作部52とを備える。動作部50は、可動式の複数の動作機構と、複数の動作機構をそれぞれ駆動制御するための駆動装置とを含む。操作部52は、遊戯機構4のオペレータ等による各種の入力操作を受付けるための複数の入力装置を含む。
【0070】
運用管理装置2は、通信線を介して遊戯機構4に接続されており、遊戯機構4から動作部50および操作部52の稼動状況を示す様々な情報をリアルタイムで取得し、蓄積する。また、運用管理装置2は、取得した情報に基づいて遊戯機構4が正常に稼働しているかどうかを分析し、分析結果を示す分析情報を蓄積する。運用管理装置2はさらに、遊戯機構4の異常を検知したときには、端末装置3に対して異常発生を通報する。
【0071】
図7に示す構成において、運用管理装置2が動作情報および操作情報を選択、蓄積および分析する構成、および端末装置3に異常発生を通報する構成については、上述の実施の形態と同様であるので、詳細な説明は繰り返さない。この遊戯機構の運用管理システムにおいても、上述した舞台運用管理システムと同様の作用効果を得ることができる。
【0072】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。