(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記曝気装置を前記目標位置上方の水面まで移動させる際に、前記曝気装置の下部に仮設フロートを取り付けて前記曝気装置を水平に寝かせた状態で水面に浮かせ、前記目標位置付近の水面まで前記曝気装置を移動させる工程を有することを特徴とする請求項1または2記載の曝気装置の設置方法。
【背景技術】
【0002】
図14および
図15に従来の曝気装置の一例を示す。この曝気装置100は、下面が開口した外筒101と、外筒101の内側に上部側が挿入された内筒102と、内筒102の下部にチェーン103を介して接続された鍔104と、内筒102の下部に取り付けられた散気装置(図示せず)を主要部とする。外筒101の上端面には、排気管105の一端部とリターン管106の一端部が挿着されている。また、排気管105の他端部とリターン管106の他端部は、水面上に浮かせた浮上排気体107に接続されている。
【0003】
曝気装置100は、次の方法で貯水池等の底の所定位置に設置されている。まず、排気管105の排気弁108を閉じた状態、つまり、外筒101と内筒102との間(特に
図15に符号Dで示す曝気装置100の上方部分)に空気が入った状態で水面上に浮かせて、曝気装置100を取り付ける底の上方まで直立状態で移動させる。次に、排気管105の排気弁108を開放して、外筒101と内筒102との間に溜った空気を、排気管105を介して浮上排気体107から排出させることにより、曝気装置100の浮力を低下させて矢印Cで示すように水面から底側まで沈ませ、曝気位置を貯水池等の底の所定位置に設置する。なお、リターン管106は、浮上排気体107に深層水が流入しても、曝気装置100の本体へ戻して深層水が液体の上層域に放出されるのを阻止するために設けられている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に示される曝気装置の設置方法では、排気管105から排出させる空気量の調整を排気弁108により行っているが、空気量の調整を誤れば、曝気装置100が急激に沈んで貯水池の底に衝突し、曝気装置100を損傷させるおそれがある。また、曝気装置100が急激に沈む場合、作業員に曝気装置100が衝突するおそれがあり、安全性の問題が生じる。また、曝気装置100は、貯水池等の底のどの位置に設置するかを予め決定して、その決定された複数のポイント(以下、目標位置という)にそれぞれの曝気装置100を正確に設置する必要がある。しかしながら、上記方法では貯水池内の水の流れや波などの影響により、曝気装置100が沈む過程で、目標位置からずれてしまうおそれがあり、曝気装置100を貯水池の底の目標位置に設置するのが困難である。また、目標位置に曝気装置100を設置できない場合、曝気装置100内に再度空気をいれて水面まで浮上させ、再び曝気装置100内の空気を抜いて沈め直さなければならない。そのため、曝気装置100を設置する際の作業効率の問題も生じる。
【0006】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、貯水池等の底の目標位置への曝気装置の設置を安全かつ確実に行うことができる曝気装置の設置方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の曝気装置の設置方法は、牽引部材を牽引する牽引装置を用いて、水中に空気を供給して曝気するための曝気装置を水底の目標位置に設置するための曝気装置の設置方法であって、方向転換部材を有する取付台を水底に設置する工程と、前記牽引装置から水底側に伸びる前記牽引部材を前記取付台の前記方向転換部材に掛け回す工程と、前記方向転換部材に掛け回された前記牽引部材の一端を、水面に浮上した前記曝気装置に連結する工程と、前記牽引装置により前記牽引部材を巻き取って前記曝気装置を沈める工程と、を有することを特徴とする。
【0008】
また、本発明の曝気装置の設置方法は、前記曝気装置を沈める工程の後に、前記曝気装置と前記取付台とを曝気装置連結具で連結する工程を有するのが好ましい。
【0009】
また、本発明の曝気装置の設置方法は、前記曝気装置連結具で連結する工程の後に、前記牽引部材を前記曝気装置から取り外す工程を備えるのが好ましい。
【0010】
また、本発明の曝気装置の設置方法は、前記曝気装置と前記取付台とを前記曝気装置連結具で連結後、前記曝気装置の液中での水深位置を計測するのが好ましい。
【0011】
また、本発明の曝気装置の設置方法は、前記方向転換部材が前記取付台に対して首振り自在であるのが好ましい。
【0012】
また、本発明の曝気装置の設置方法は、前記牽引装置は水面上に浮かぶ船体に取り付けられているのが好ましい。
【0013】
また、本発明の曝気装置の設置方法は、前記曝気装置を前記目標位置上方の水面まで移動させる際に、前記曝気装置の下部に仮設フロートを取り付けて前記曝気装置を水平に寝かせた状態で水面に浮かせ、前記目標位置付近の水面まで前記曝気装置を移動させる工程を有するのが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
以上のように、本発明の曝気装置の設置方法によれば、貯水池等の底の目標位置に容易かつ確実に曝気装置を設置することができる。
【0015】
また、曝気装置が勢いよく沈んで貯水池等の底に激突し、破損してしまうという事態が生じることがない。また、曝気装置を沈める際に作業員に曝気装置が衝突するという事態も生じにくくなるため、曝気装置の設置作業時の安全性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明に用いる曝気装置を示す正面図である。
【
図3】(a)は
図2に示す方向転換部材の拡大図であり、(b)は(a)のA方向正面図である。
【
図4】(a)は本発明に用いる牽引装置を備えた船体を示す正面図であり、(b)は、(a)のB方向正面図である。
【
図5】本発明の設置方法の一工程を示すもので、貯水池等の底の目標位置に重りを沈めて曝気装置の設定位置を設標する工程を説明する概略図である。
【
図6】本発明の設置方法の一工程を示すもので、貯水池等の底の目標位置に取付台を設置する工程を説明する概略図である。
【
図7】本発明の設置方法の一工程を示すもので、曝気装置を取り付ける貯水池等の底の目標位置の水面付近まで曝気装置を水面上で移動させる工程を説明する概略図である。
【
図8】本発明の設置方法の一工程を示すもので、曝気装置と、取付台の方向転換部材と、牽引装置とを牽引部材で連結させる工程を説明する概略図である。
【
図9】本発明の設置方法の一工程を示すもので、曝気装置内から空気を除くための浅層散気装置を取り付ける工程を説明する概略図である。
【
図10】本発明の設置方法の一工程を示すもので、曝気装置を所定の位置まで沈めた状態を説明する概略図である。
【
図11】本発明の設置方法の一工程を示すもので、(a)は、曝気装置と取付台の曝気装置取付部とを連結する工程を説明する概略図であり、(b)は、(a)の取付け部分の拡大図である。
【
図12】本発明の設置方法の一工程を示すもので、(a)は、曝気装置に自沈エアホースおよび回り止め用連結具を取り付ける工程を説明する概略図であり、(b)は、(a)の回り止めチェーンの取付け部分の拡大図である。
【
図13】本発明の設置方法の一工程を示すもので、取付台の方向転換部材から牽引部材を外し、取付台への曝気装置の取り付けが完了した状態を説明する概略図である。
【
図14】従来の曝気装置の設置方法を説明する概略図である。
【
図15】
図14に示す曝気装置の内部の部分拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に本発明の実施の形態について、
図1〜
図13を参照して説明する。
【0018】
本発明の曝気装置の設置方法は、たとえば
図1に示す曝気装置1と、曝気装置1を貯水池等の底(以下、単に水底という)に設置するための
図2に示す取付台2と、
図4(a)、(b)に示す船体Siの牽引装置3とを利用して行なうことができる。なお、図に示した曝気装置はあくまで一例であり、後述する効果を得ることができるものであれば、その構成は図示した態様に限定されるものではない。まず、各部材や装置について
図1〜
図4(b)を参照して説明する。
【0019】
図1に示す曝気装置1は、円筒状の本体11と、本体11の内部に伸び、かつ本体11よりも小径の円筒部12と、本体11内の水を外部に排出する排出部13と、円筒部12から漸次拡径して伸びて開口した内部が空洞の下端部14とを有している。下端部14は環状のフランジ15を有し、フランジ15の径方向外側の4箇所に設けられたリング状の連結部材取付部19(
図11(b)参照)からは、それぞれチェーンとして示されている曝気装置1と取付台2(
図2参照)とを連結するための連結部材Ch2が延びている。この連結部材Ch2は、
図1では、曝気装置1を水底に設置する際に利用する接続リング16に接続されている。本体11の外周には、球状のフロート17が軸方向(
図1の上下方向)に沿って複数(本実施形態では5個)配置されたフロート群18が、本体11の周方向に等間隔に配置されている。曝気装置1は、下端部14の開口から液体を取り込んで曝気を行う。なお、本発明に利用可能な曝気装置1は、
図1に示すものに限られず、曝気を行うことができるのであれば、種類や構造等は特に限定されるものではない。また、連結部材Ch2は、曝気装置1と取付台2とを連結することができる連結部を有していればよく、
図1や
図11(b)に示される形状に限定されない。また、連結部材Ch2は、
図11(b)では、チェーンとして示されているが、ワイヤやロープであってもよく、水中で曝気装置1を取付台2に安定して連結することができる他の構造であってもよい。
【0020】
図2に示す取付台2は、板状をなし、中央部に設けられた曝気装置取付部21と、その両側(
図2の左右方向の両側)に設けられた2つの補助取付部22と、一端に設けられた滑車として示されている方向転換部材23とを有する。曝気装置取付部21と補助取付部22には、フックや鎖等を取り付けるための貫通孔21a、22aがそれぞれ形成されている。曝気装置取付部21には、
図11(b)に示す曝気装置連結具Ch1が取り付けられる。曝気装置連結具Ch1は、曝気装置1の連結部材Ch2と取付台2とを連結するための部材であり、
図11(b)では、チェーンとして示されている。取付台2は、貯水池等の底に安定して据え付けることができる形状であれば、特に限定されるものではなく、曝気装置取付部21と、補助取付部22の数は、それぞれ1つであっても2つ以上であってもよく(補助取付部22は設けなくてもよい)、その場所も適宜変更することができる。また、同様に、方向転換部材23の数や場所も適宜変更することができる。また、方向転換部材23は、後述する牽引部材Rを後述する牽引装置3で牽引したときに、その牽引力を、曝気装置1が沈む方向に方向転換できるものであればよく、滑車に限定されるものではない。
【0021】
方向転換部材23は、
図3(a)に示す態様では滑車を用いており、滑車本体231と、滑車本体231を回転可能に収納するケース232と、ケース232を開閉し、ケース232内に牽引部材Rを導入するための滑車蓋体236と、ケース232から伸び、取付台2に取り付けるための滑車フック234とを有している。ケース232は、滑車本体231の両端面側から滑車本体231を回転可能に支持する2枚の板状体として示されており、そのうちの1枚の板状体に対して滑車蓋体236が回転可能に取り付けられている。
図3(b)では、滑車蓋体236を開けた場合を二点鎖線で示し、閉じた場合を実線で示している。また、滑車蓋体236は、滑車蓋体236が閉じている状態でロックするためのロックレバー233が設けられている。滑車蓋体236が閉じた状態において、滑車本体231はケース232の2枚の板状体に挟み込まれているため、ケース232内に導入された牽引部材Rがケース232から外れることを防止している。また、滑車フック234は、ケース232に対して回転可能に取り付けられており、方向転換部材23自体が取付台2に対して首振り自在となっている。したがって、方向転換部材23が取付台2に取り付けられたときに、垂直線周りに滑車本体231を含むケース232が回転できるため、牽引部材R(
図4(a)、(b)参照)を牽引する牽引装置3(
図4(a)、(b)参照)が牽引中に何らかの原因で水面上を移動したとしても、確実に牽引力を曝気装置1に伝達することができる。また、
図3(a)に示すように、滑車フック234は、取付対象物に引っ掛けた後に外れを防止するためのフックレバー237を有する。なお、
図3(a)において、ロックレバー233は、閉じた状態を実線で示すと共に、開けた場合を二点鎖線で示し、フックレバー237は、使用時を実線で示すと共に、未使用時を二点鎖線で示している。
【0022】
図4(a)、
図4(b)に示す、船体Siに配置された牽引装置3は、回転ドラムを有し、回転ドラムに牽引部材Rが巻き付けられたウィンチ31と、ウィンチ31を駆動する発電機等の駆動源32と、ウィンチ31から水中に伸びる牽引部材Rを案内するウィンチガイド33とを有している。なお、本明細書において、「船体」というときは、牽引装置3が積まれた一般的な船だけでなく、牽引装置3を積んだ水面に浮上する浮上体を含んでいる。たとえば、
図4(a)のB方向正面図である
図4(b)に示すように、船体Siは、水面に浮上する浮上体を複数連結したものとすることもできる。
図4(b)では、上面視で長方形の2つの同じ種類の船体部材SM1、SM4(浮上体)の間に2つの船体部材SM2、SM3(いずれも、船体部材SM1、SM4と同じ種類の浮上体)を隣接して配置することにより船体Siを構成している。船体部材SM1、SM2、SM3、SM4は、それぞれの側面に係止部および被係止部(図示せず)を有し、それらを互いに係止させることにより連結されている。
図4(b)では、船体部材SM2の一端側(
図4(b)の右側)にはウィンチ31が配置され、他端側にウィンチガイド33が配置されている。船体部材SM3の一端側には、ウィンチ31と対向するように駆動源32が配置されている。また船体部材SM4には、曝気装置1を水底の目標位置に設置する作業を行う作業員が曝気装置1(
図1参照)の設置作業時に使用する潜水機材34(
図4(b)以外では図示を省略している)が配置されている。上記構成の船体Siは、一方側(本実施形態では、ウィンチ31が配置された
図4(b)の右側)からボート等で牽引することにより、ウィンチガイド33側(
図4(b)の左側)に位置する曝気装置1を目標位置の上方(曝気装置1を設置する水底付近の水面上)に移動させる。なお、船体Siは、牽引装置3を搭載することができるものであれば、図示した形態に限定されるものではない。また、牽引装置3の構成は、牽引部材Rを駆動して方向転換部材23(
図2参照)により方向転換された牽引部材Rが曝気装置1を沈める方向に牽引することができればよい。また、牽引装置3により牽引される牽引部材Rは、曝気装置1を沈めることができる程度の強度を有しているものであれば特に限定されず、ワイヤやロープ、チェーンなどを用いることができる。
【0023】
次に、
図5〜
図13を参照して、本発明の曝気装置1の設置方法を説明する。
【0024】
まず、
図5に示すように、マーカーブイ(浮き)Buをつけた重りWを、曝気装置1を設置する水底Gに設置して、マーカーブイBuにより、曝気装置1の水底Gにおける目標位置が水面S上で目視できるようにしておく。重りWの設置は、予め作成した曝気装置1を設置すべき目標位置を示した設置マップに基づいて、GPSを使用して正確に行う。ここで、重りWは、後述する取付台2の設置が可能な平坦な水底Gを選んで設置するのが好ましい。
【0025】
次に、
図6に示すように、重りW(
図5参照)で設標しておいた曝気装置1の水底Gにおける目標位置に、
図2に示した取付台2を予め設置する。ここで、取付台2の水底Gへの設置の際に、取付台2を水底Gに固定具などを用いて固定するかどうかは、水底Gの条件などにより適宜選択が可能であるが、取付台2を水底Gに固定しない場合(固定具を用いずに水底Gに設置する場合)、取付台2は、曝気装置1から受ける浮力や、牽引装置3(
図4(a)、(b)参照)による巻取り作業(詳細は後述する)の際にかかる負荷により、水底Gから浮き上がらないような重量とする必要がある。なお、以下に説明する方法とは異なり、曝気装置1の下部に予め取付台2を取り付けてから、船体Si等により取付台2が取り付けられた状態の曝気装置1を水底Gにおける目標位置の上方まで移動させた後に、曝気装置1を沈めて取付台2を水底Gの目標位置に固定する方法もあるが、この方法は本発明を簡略化させたもので、設置場所の精度を必要としない場合に用いられる時がある。
【0026】
次に、
図7に示すように、水面S上で、曝気装置1を、水底Gにおける目標位置(取付台2の設置位置)の水面付近まで矢印Eで示すように船体Siとともに移動させる(船体Siが曝気装置を曳航するための曳航手段の図示は省略している)。本実施形態では、曝気装置1は、フロート17により垂直に起立させた状態で水面Sを移動させているが、水深が浅い場合、例えば、曝気装置を垂直に立てて水面Sに浮かせた際に曝気装置の下部が水底Gに接触するほど水深が浅い場合などは、曝気装置1は、目標位置上方の水面Sまで移動させる際に、曝気装置1の下部である円筒部12に仮設フロート(図示省略)を取り付けて曝気装置1を水平に寝かせた状態で水面Sに浮かせ、水底Gの目標位置付近の水面Sまで曝気装置1を移動させるようにするのが望ましい。この場合、曝気装置1の下端が液底Gに接触して曝気装置が損傷するのを防止できる。なお、図示はしていないが、仮設フロートを曝気装置1の下部に取り付ける方法としては、例えば、曝気装置1の下部に等間隔に仮設フロートを取り付ける方法があるが、曝気装置1を水面Sで水平に寝かせた状態で浮かせることができるのであれば、仮設フロートの取り付け態様は特に限定されるものではない。また、曝気装置1は、水平に寝かせた状態で目標位置上方の水面Sまで移動させてもよいし、水平に寝かせた状態で水深が浅い水面Sを移動させた後、垂直に立てて、目標位置上方の水面Sまで移動させるようにしてもよい。
【0027】
次に、
図8に示すように、ウィンチ31に巻き付けられた牽引部材Rを、方向転換部材23を介して曝気装置1に接続する。本実施の形態では、滑車として示されている方向転換部材23に掛け回し、方向転換したうえで、曝気装置1の接続リング16に牽引部材Rの端部を接続している。
【0028】
次に、
図9に示すように、ウィンチ31でウィンチガイド33を介して牽引部材Rを少し巻き取って、曝気装置1の上端側を水面際まで沈めた後、曝気装置1の本体11の上部に排気ホース41と緊急排気ホース42の一端部を取り付ける。また、排気ホース41と緊急排気ホース42のそれぞれの他端は、水面S上に浮かせた浅層散気装置43に接続されている。
【0029】
次に、
図10に示すように、ウィンチ31で牽引部材Rを更に巻き取って、曝気装置1を所定の水深位置まで沈める。この際、曝気装置1は、本実施形態のように、排気ホース41と緊急排気ホース42が弁を有する場合、曝気装置1内に空気がたまらないように弁は常に開放した状態にし、曝気装置1が沈むにつれて曝気装置1内の空気は自然と排気される。
【0030】
次に、
図11(a)に示すように、曝気装置1と取付台2とを、連結部材Ch2および曝気装置連結具Ch1を介して接続する。本実施の形態では、連結部材Ch2に設けられた接続リング16と取付台2の曝気装置取付部21とをチェーンとして示されている曝気装置連結具Ch1により連結している。
図11(b)を参照して詳説すると、チェーン(曝気装置連結具Ch1)の一端を接続リング16に引っ掛け、チェーン(曝気装置連結具Ch1)の他端を取付台2の曝気装置取付部21に形成された貫通孔21aに引っ掛けることにより行う。
【0031】
次に、
図12(a)に示すように、曝気装置1の下端部14と取付台2の2つの補助取付部22(
図12(b)参照)との間を回り止め用連結具(ロープ)R1で連結し、さらに、曝気装置1の下端部14の内部に設けたエア導入部材(図示省略)に自沈エアホースHoを接続する。回り止め用連結具R1の取り付けについて詳述すると、
図12(b)に示すように、曝気装置1のフランジ15に設けた連結部材取付部19に、回り止め用連結具R1の一端を連結部材Ch2と共に引っ掛け、それぞれの回り止め用連結具R1の他端を、取付台2の補助取付部22の貫通孔22aに引っ掛けることにより行う。回り止め用連結具R1により、自沈エアホースHoを取り付ける際に曝気装置1が回転して、自沈エアホース1の取り付け作業が困難になるのを防止できると共に、曝気装置1が流水時または曝気装置稼動時に水中で回転するのを防止できる。
【0032】
次に、
図13に示すように、牽引部材R(
図10参照)を曝気装置1および方向転換部材23から取り外すことにより、水底Gの目標位置への曝気装置1の設置作業が完了する。
【0033】
上記した本発明の曝気装置の設置方法では、曝気装置1内の空気を抜くという従来利用されていた工程は行わず、予め水底Gの目標位置に設置しておいた取付台2の方向転換部材23を介して船体Si上の牽引装置3で牽引部材Rを巻き取り、これにより曝気装置1を水底G側へ引っ張って曝気装置1を沈めるため、水底Gの目標位置、つまり取付台2を設置した位置まで曝気装置1を確実に誘導することができる。曝気装置内の空気を抜くことにより曝気装置を沈め、曝気装置が沈んで水底に接触した位置が最終的な設置位置となる従来の方法とは異なり、目標位置を基準として曝気装置を移動させるというものである。したがって、従来の方法のように、水中での水の流れや、水面上での波の影響を受けることがなく、設置作業の際に目標位置に曝気装置を設置できないという事態が生じにくく、水底Gの目標位置に容易かつ確実に曝気装置1を設置することができる。
【0034】
また、船体Siの牽引装置3の駆動速度を調整することで、曝気装置1を沈める速度を調整できるため、曝気装置1が勢いよく沈んで水底Gに激突し、破損してしまうという事態が生じることがない。また、曝気装置1を沈める際に作業員に曝気装置1が当たるという事態も生じにくくなるため、曝気装置1の水底Gへの設置時の安全性が向上する。
【0035】
また、曝気装置1を水底Gに設置させるための取付台2を予め水底Gの目標位置に設置するため、曝気装置1を水底Gの目標位置まで移動させた後に、曝気装置1の水深位置を微調整することができる。詳述すると、曝気装置1と取付部2とを曝気装置連結具Ch1で連結するので、曝気装置1と取付部2とを曝気装置連結具Ch1で連結後、曝気装置1の水中での水深位置を計測して、万一所定の水深位置と外れた位置に曝気装置1が位置していたとしても、曝気装置連結具Ch1における曝気装置1および取付部2との連結位置を変えて、曝気装置1と取付部2との間の曝気装置連結具Ch1の長さを調整することにより、新しいチェーン等を使用することなく、曝気装置1の水深位置を微調整して、曝気装置1を所定の水深位置、つまり曝気を効率よく行える水深位置に確実に配置することができる。
【0036】
また、取付部2の方向転換部材23を取付台2に対して首振り自在にしているため、曝気装置1と取付部2と牽引装置3とを牽引部材Rで連結した際に、液中の流れなどが変化しても常に安定して牽引部材Rに張力を付与できるため、牽引部材Rを牽引装置3で巻き取って、曝気装置1を沈める作業を行う際の作業性が向上する。
【0037】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はここで挙げた実施形態に限られることはなく、特許請求の範囲を逸脱しない範囲内で適宜に変更が可能である。
【0038】
例えば、ここで挙げた実施形態では、牽引装置を船体上に設置したが、岸壁上に設置することも可能であり、牽引装置による牽引部材の巻き取りにより、曝気装置を取付台の方向転換部材を介して沈めることができるのであれば、牽引装置の取り付け場所は特に限定されることはない。