特許第5955270号(P5955270)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5955270
(24)【登録日】2016年6月24日
(45)【発行日】2016年7月20日
(54)【発明の名称】調整用鉤部材
(51)【国際特許分類】
   A44B 13/02 20060101AFI20160707BHJP
【FI】
   A44B13/02
【請求項の数】5
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-113829(P2013-113829)
(22)【出願日】2013年5月30日
(65)【公開番号】特開2014-230689(P2014-230689A)
(43)【公開日】2014年12月11日
【審査請求日】2015年2月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】592024022
【氏名又は名称】八商商事株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103654
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 邦彦
(74)【代理人】
【識別番号】100165755
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 典彦
(72)【発明者】
【氏名】小川 高弘
【審査官】 北村 龍平
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−033526(JP,A)
【文献】 実公昭15−010773(JP,Y1)
【文献】 特開2000−125615(JP,A)
【文献】 特開平11−179755(JP,A)
【文献】 特開平10−252896(JP,A)
【文献】 特開昭54−156063(JP,A)
【文献】 特開2012−010901(JP,A)
【文献】 特開平08−038218(JP,A)
【文献】 特開2001−046119(JP,A)
【文献】 特開平11−075913(JP,A)
【文献】 実開昭51−110701(JP,U)
【文献】 米国特許第06182338(US,B1)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0199005(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A44B 13/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
衣類の打合わせ部分に取り付けられているフック部材とアイ部材とからなる係止具に取り付け得るものであって、シリコーン樹脂片の長方向の一端部に、雌部材における前記シリコーン樹脂片の長手方向に平行な部分が接続し、長手方向に平行な部分よりも外側の部分が屈曲して前記シリコーン樹脂片の厚さ方向に平行な部分を有することで平面的に見てL字状となる雌部材を、前記シリコーン樹脂片のもう一方の端部に、雄部材における前記シリコーン樹脂片の長手方向に平行な部分が接続し、長手方向に平行な部分よりも外側の部分が断面横U字状に屈曲して前記シリコーン樹脂片の長手方向に平行な部分を有する雄部材を備え、前記雌部材には、雌部材における前記シリコーン樹脂片の長手方向に平行な部分から雌部材における前記シリコーン樹脂片の厚さ方向に平行な部分にまたがる位置に、前記フック部材を係入させ得る孔を有し、また、前記雄部材における前記断面横U字状部分を前記アイ部材に掛合させ得るものとしたことを特徴とする調整用鉤部材。
【請求項2】
平面的に見て雌部材におけるシリコーン樹脂片の厚さ方向に突出するとともに、シリコーン樹脂片の雌部材が備えられている側の端面が連続する位置に、突片を形成したことを特徴とする請求項1記載の調整用鉤部材。
【請求項3】
雄部材の先端側の幅が雄部材におけるシリコーン樹脂片の長手方向に平行な部分が接続するところよりも狭くなっていることを特徴とする請求項1記載の調整用鉤部材。
【請求項4】
雄部材におけるシリコーン樹脂片の長手方向に平行な部分が接続する側のシリコーン樹脂片の端面を、雄部材の先側の幅の狭いところまで延び出させたことを特徴とする請求項3記載の調整用鉤部材。
【請求項5】
シリコーン樹脂片の長方向の中央付近に、1個ないし複数個の厚さ方向に貫通する孔ないし窪みを形成したことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の調整用鉤部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ズボンやスカートなどの衣類において、主として腰周りの打合わせ部分に取り付けられている係止具に取り付け得るものであって、特に伸縮性を有し、ウエストのサイズを調整するために用いる鉤部材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ズボンやスカートのウエストサイズ調整のための部材として、例えば、特許文献1や特許文献2に見られるような技術があった。
これらの調整用鉤部材でもウエストサイズを調整できるが、摺動レールを備えており、さらに、スプリングやガイドなどの多くの部材から形成されている。
【0003】
しかし、これらの調整用鉤部材はできるだけ簡単な構造となっていることが好ましく、また、絶えず打合わせ部分に取り付けられるものであるため、できるだけ簡単な構造で、生産コストも安くできるものであることが好ましい。一方、取り付け時に衣類の打合わせ部分が大きく膨らむものであっては、体裁が悪いので、好ましくない。
【0004】
このような要望に応えることができるようにするために、本出願人は特許文献3に示す調整用鉤部材を提案している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−87010号公報
【0006】
【特許文献2】特開2002−17409号公報
【0007】
【特許文献3】特開2012−10901号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本出願人が提案した調整用鉤部材は、その本体としてシリコーン樹脂片を使用することにより、従来の場合には不可能であった縫い付けが不要で、ズボンやスカートなどどのような衣類にも即時に使用可能であり、本調整用鉤部材の受片に衣類の打ち合わせ部分に取り付けられているフック部材を係入させたとき、両者の係合状態が外れにくいという利点を有するものである。
【0009】
本発明は、上記係合状態がより一層外れにくい調整用鉤部材を提供することを目的とする
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の調整用鉤部材を得るために、本発明では、衣類の打合わせ部分に取り付けられているフック部材とアイ部材とからなる係止具に取り付け得るものであって、シリコーン樹脂片の長方向の一端部に、雌部材における前記シリコーン樹脂片の長手方向に平行な部分が接続し、長手方向に平行な部分よりも外側の部分が屈曲して前記シリコーン樹脂片の厚さ方向に平行な部分を有することで平面的に見てL字状となる雌部材を、前記シリコーン樹脂片のもう一方の端部に、雄部材における前記シリコーン樹脂片の長手方向に平行な部分が接続し、長手方向に平行な部分よりも外側の部分が断面横U字状に屈曲して前記シリコーン樹脂片の長手方向に平行な部分を有する雄部材を備え、前記雌部材には、雌部材における前記シリコーン樹脂片の長手方向に平行な部分から雌部材における前記シリコーン樹脂片の厚さ方向に平行な部分にまたがる位置に、前記フック部材を係入させ得る孔を有し、また、前記雄部材における前記断面横U字状部分を前記アイ部材に掛合させ得るものとしたものである。
【0011】
本調整用鉤部材は、前記シリコーン樹脂片の長方向の一端部に備えられていて雌部材における前記シリコーン樹脂片の長手方向に平行な部分が接続し、長手方向に平行な部分よりも外側の部分が屈曲して前記シリコーン樹脂片の厚さ方向に平行な部分を有することで平面的に見てL字状となっている雌部材に形成されており、雌部材における前記シリコーン樹脂片の長手方向に平行な部分から雌部材における前記シリコーン樹脂片の厚さ方向に平行な部分にまたがる位置にある孔に前記フック部材を係入し、前記シリコーン樹脂片のもう一方の端部に備えられていて雄部材における前記シリコーン樹脂片の長手方向に平行な部分が接続し、長手方向に平行な部分よりも外側の部分が断面横U字状に屈曲して前記シリコーン樹脂片の長手方向に平行な部分を有する雄部材を前記アイ部材に掛合させることによって、ズボンやスカートの打合わせ部分にある係止具に取り付けることができる。
この場合において、雌部材における前記シリコーン樹脂片の長手方向に平行な部分が接続し、長手方向に平行な部分よりも外側の部分が屈曲して前記シリコーン樹脂片の厚さ方向に平行な部分を有することで平面的に見てL字状となっており、雌部材における前記シリコーン樹脂片の長手方向に平行な部分から雌部材における前記シリコーン樹脂片の厚さ方向に平行な部分にまたがる位置にある雌部材の孔に前記フック部材を係入することで、フック部材から本調整用鉤部材がより外れにくい。特に、雌部材における前記シリコーン樹脂片の長手方向に平行な部分が接続し、長手方向に平行な部分よりも外側の部分が屈曲して前記シリコーン樹脂片の厚さ方向に平行な部分を有することで平面的に見てL字状となっており、雌部材における前記シリコーン樹脂片の長手方向に平行な部分から雌部材における前記シリコーン樹脂片の厚さ方向に平行な部分にまたがる位置にある雌部材の孔の上縁がフック部材の片面を押える場合には、フック部材から本調整用鉤部材がより一層外れにくい。
また、本調整用鉤部材は扁平で薄くすることができるから、衣類の打合わせ部分に取り付けても、その部分がむやみに膨らむことはない。そして、シリコーン樹脂片の弾性により伸縮自在であるから、ズボンやスカートのウエストサイズを極めて簡単な構造の部材により、容易に調整することができる。
【0012】
図1図3に示すように、平面的に見て雌部材におけるシリコーン樹脂片の厚さ方向に突出するとともに、シリコーン樹脂片の雌部材が備えられている側の端面が連続する位置に、突片を形成することが好ましい。このようにした場合には、雌部材における前記シリコーン樹脂片の長手方向に平行な部分が接続し、長手方向に平行な部分よりも外側の部分が屈曲して前記シリコーン樹脂片の厚さ方向に平行な部分を有することで平面的に見てL字状となっており、雌部材における前記シリコーン樹脂片の長手方向に平行な部分から雌部材における前記シリコーン樹脂片の厚さ方向に平行な部分にまたがる位置にある雌部材の孔に係入させるフック部材の側面形状が様々であったり、厚さがまちまちであっても、このようなフック部材に全て対応させることができるのみならず、雌部材の前記孔からフック部材が抜け出るのを防止することができる。
【0013】
図1及び図6に示すように、雄部材の先端側の幅が雄部材におけるシリコーン樹脂片の長手方向に平行な部分が接続するところよりも狭くなっていることが好ましい。このようにした場合には、前記アイ部材が大きい場合には雄部材におけるシリコーン樹脂片の長手方向に平行な部分が接続するところである幅の大きい部分を、前記アイ部材がそれよりも小さい場合には雄部材の幅の狭い先端部分を掛合させることができる。
【0014】
図1及び図6(a)、(b)に示すように、雄部材におけるシリコーン樹脂片の長手方向に平行な部分が接続する側のシリコーン樹脂片の端面を、雄部材の先側の幅の狭いところまで延び出させるのが良い。シリコーン樹脂片の端面をこのように雄部材の先側の幅の狭いところまで延び出させてあると、前記雄部材を前記係止具のアイ部材に掛合させたとき、雄部材がアイ部材からより外れにくくなる。
【0015】
シリコーン樹脂片の長方向の中央付近に、1個ないし複数個の厚さ方向に貫通する孔ないし窪みを形成したものとするのが良い。このようにした場合には、シリコーン樹脂片の長さ方向により一層の伸縮性を持たせることができるので、ウエストのサイズ調整機能を大幅に拡張することができる。
【発明の効果】
【0016】
請求項1記載の発明によれば、雌部材における前記シリコーン樹脂片の長手方向に平行な部分が接続し、長手方向に平行な部分よりも外側の部分が屈曲して前記シリコーン樹脂片の厚さ方向に平行な部分を有することで平面的に見てL字状となっており、雌部材における前記シリコーン樹脂片の長手方向に平行な部分から雌部材における前記シリコーン樹脂片の厚さ方向に平行な部分にまたがる位置にある雌部材の孔に前記フック部材を係入することで、フック部材から本調整用鉤部材がより外れにくい。特に、雌部材における前記シリコーン樹脂片の長手方向に平行な部分が接続し、長手方向に平行な部分よりも外側の部分が屈曲して前記シリコーン樹脂片の厚さ方向に平行な部分を有することで平面的に見てL字状となっており、雌部材における前記シリコーン樹脂片の長手方向に平行な部分から雌部材における前記シリコーン樹脂片の厚さ方向に平行な部分にまたがる位置にある雌部材の孔の上縁がフック部材の片面を押える場合には、フック部材から本調整用鉤部材がより一層外れにくい。
また、本調整用鉤部材は扁平で薄くすることができるから、衣類の打合わせ部分に取り付けても、その部分がむやみに膨らむことはなく、この鉤部材を使用したために体裁が悪くなるようなこともない。そして、シリコーン樹脂片の弾性により伸縮自在であるから、ズボンやスカートのウエストサイズを極めて簡単な構造の部材により、容易に調整することができる。
【0017】
請求項2記載の発明によれば、雌部材における前記シリコーン樹脂片の長手方向に平行な部分が接続し、長手方向に平行な部分よりも外側の部分が屈曲して前記シリコーン樹脂片の厚さ方向に平行な部分を有することで平面的に見てL字状となっており、雌部材における前記シリコーン樹脂片の長手方向に平行な部分から雌部材における前記シリコーン樹脂片の厚さ方向に平行な部分にまたがる位置にある孔に係入させるフック部材の側面形状が様々であったり、厚さがまちまちであっても、このようなフック部材に全て対応させることができるのみならず、雌部材の前記孔からフック部材が抜け出るのを防止することができる。
【0018】
請求項3記載の発明によれば、アイ部材が大きい場合には雄部材におけるシリコーン樹脂片の長手方向に平行な部分が接続するところである幅の大きい部分を、アイ部材がそれよりも小さい場合には雄部材の幅の狭い先端部分を掛合させることができるので、アイ部材の大きさが異なる場合にも利用でき、極めて便利である。
【0019】
請求項4記載の発明によれば、雄部材を係止具のアイ部材に掛合させたとき、雄部材がアイ部材からより外れにくくなる。
【0020】
請求項5記載の発明によれば、シリコーン樹脂片の長方向により一層の伸縮性を持たせることができるので、ウエストのサイズ調整機能を大幅に拡張することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明による調整用鉤部材の一例を示す斜視図である。
図2図1に示す調整用鉤部材の横断面図である。
図3】衣類の一つであるズボンの打合わせ部分に、フック部材とアイ部材とからなる係止具を取り付けた状態を示す斜視図である。
図4図3に示す係止具に本発明による調整用鉤部材を取り付けた状態を示す正面図である。
図5雌部材におけるシリコーン樹脂片の長手方向に平行な部分が接続し、長手方向に平行な部分よりも外側の部分が屈曲してシリコーン樹脂片の厚さ方向に平行な部分を有することで平面的に見てL字状となっており、雌部材におけるシリコーン樹脂片の長手方向に平行な部分から雌部材におけるシリコーン樹脂片の厚さ方向に平行な部分にまたがる位置にある雌部材の孔にフック部材を係入した状態を示す横断面図である。
図6】アイ部材に雄部材を掛合させた状態を正面方向から見た図で、(a)はアイ部材が大きい場合に雄部材におけるシリコーン樹脂片の長手方向に平行な部分が接続するところである幅の大きい部分を掛合させた状態を、(b)はアイ部材がそれよりも小さい場合に雄部材の幅の狭い先端部分を掛合させた状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明による調整用鉤部材の一例を、図面に基いて詳細に説明する。本発明による調整用鉤部材は、図3に示すズボンBやスカートのような衣類の打合わせ部分に取り付けられているフック部材Cとアイ部材Dとからなる係止具に取り付け得るものであり、前記フック部材Cを係入させ得る孔2aを有していて雌部材におけるシリコーン樹脂片の長手方向に平行な部分が接続し、長手方向に平行な部分よりも外側の部分が屈曲してシリコーン樹脂片の厚さ方向に平行な部分を有することで平面的に見てL字状となる雌部材2と前記アイ部材Dに掛合させ得るものであって、雄部材におけるシリコーン樹脂片の長手方向に平行な部分が接続し、長手方向に平行な部分よりも外側の部分が断面横U字状に屈曲してシリコーン樹脂片の長手方向に平行な部分を有する雄部材3を備えている。
【0023】
すなわち、図1図2に示すように、シリコーン樹脂片1の長方向の一端部に、雌部材における前記シリコーン樹脂片の長手方向に平行な部分が接続し、長手方向に平行な部分よりも外側の部分が屈曲して前記シリコーン樹脂片の厚さ方向に平行な部分を有することで平面的に見てL字状となる雌部材2を、前記シリコーン樹脂片1のもう一方の端部に、前記アイ部材DあるいはD’に掛合させ得るものであって、雄部材における前記シリコーン樹脂片の長手方向に平行な部分が接続し、長手方向に平行な部分よりも外側の部分が断面横U字状に屈曲して前記シリコーン樹脂片の長手方向に平行な部分を有する雄部材3を備えている。そして、前記フック部材Cを係入させ得る孔2aは、雌部材における前記シリコーン樹脂片の長手方向に平行な部分から雌部材における前記シリコーン樹脂片の厚さ方向に平行な部分にまたがる位置に設けられている。
【0024】
前記フック部材Cとアイ部材Dは、図3図4に示すようにズボンBの打合わせ部分や、図示はしないがスカートのような衣類の打合わせ部に取り付けられ、ウエストを固定するためのものである。ズボンBやスカートを着用するときには、腰周りをウエストサイズよりも広く開放する方が着用し易いから、その状態で着用し、着用後、フック部材Cをアイ部材Dに掛合させることにより、腰に固定できる。
ズボンBやスカートなどの衣類に取り付けられているこの係止具に、ここに例示する調整用鉤部材Aを取り付けることにより、ウエストサイズを容易に調整できる。
【0025】
ズボンを例に挙げて説明すると、ズボンBの打合せ部分に取り付けられているフック部材Cをアイ部材Dに掛合させた場合のウエストの長さでは、ズボンBがはけなくなることがある。例えば、着用時今までより肥えていた場合や、食事後でウエストサイズが大きくなる場合があり、このような場合にズボンBの打合せ部分における係止具の掛合位置を調整することができれば、極めて都合が良い。
【0026】
この場合に用いると便利な調整用鉤部材の一例を、図1においてAで示してある。ここに例示されている調整用鉤部材Aの主体はシリコーン樹脂片1である。このシリコーン樹脂片1は反発弾性が極めて良好で、耐候性にも優れている他、電気絶縁性などにも優れており、さらに、薄くても引っ張り強度を備えているという特性を備えている。
【0027】
したがって、図4に示すように、このシリコーン樹脂片1の長さ方向の一端部に備えられている雄部材3をズボンBの打合せ部分のアイ部材Dに掛合させるとともに、シリコーン樹脂片1のもう一方の端部に備えられている雌部材2の孔2aにズボンBの打合せ部分のフック部材Cを係入すると、雄部材3と雌部材2との間でシリコーン樹脂片1が伸縮するから、係止具の掛合位置を異ならしめてウエスト調整した場合と同様の効果がある。また、シリコーン樹脂片1を伸縮させることができるから、必要な分だけの伸縮効果が得られる。
【0028】
この場合において、雌部材における前記シリコーン樹脂片の長手方向に平行な部分が接続し、長手方向に平行な部分よりも外側の部分が屈曲して前記シリコーン樹脂片の厚さ方向に平行な部分を有することで平面的に見てL字状となっており、雌部材におけるシリコーン樹脂片の長手方向に平行な部分から雌部材におけるシリコーン樹脂片の厚さ方向に平行な部分にまたがる位置にある雌部材2の孔2aに前記係止具のフック部材Cを係入することで、フック部材Cから本調整用鉤部材Aがより外れにくい。特に、雌部材における前記シリコーン樹脂片の長手方向に平行な部分が接続し、長手方向に平行な部分よりも外側の部分が屈曲して前記シリコーン樹脂片の厚さ方向に平行な部分を有することで平面的に見てL字状となっており、雌部材における前記シリコーン樹脂片の長手方向に平行な部分から雌部材における前記シリコーン樹脂片の厚さ方向に平行な部分にまたがる位置にある雌部材の孔2aの上縁2bがフック部材Cの片面を押える場合には、フック部材Cから本調整用鉤部材Aがより一層外れにくい。
また、本調整用鉤部材A、特に、本調整用鉤部材Aの主体であるシリコーン樹脂片1は扁平で薄くすることができるから、衣類の打合わせ部分に取り付けても、その部分がむやみに膨らむことはない。そして、シリコーン樹脂片1の弾性により伸縮自在であるから、ズボンやスカートのウエストサイズを極めて簡単な構造の部材により、容易に調整することができる。
【0029】
側面L字状の雌部材2に形成されている孔2aの上縁2bの位置は、この孔2aに係入されるフック部材Cが孔2aから抜け出にくいように設定するのが良いが、ここには、図2に示すように、シリコーン樹脂片1の片面1aとほぼ同じ位置に来るようにした場合が例示されている。そして、平面的に見て雌部材におけるシリコーン樹脂片の厚さ方向に突出するとともに、前記シリコーン樹脂片の雌部材が備えられている側の端面が連続する位置に、シリコーン樹脂片1の片面1aより突出する突片1bを形成してある。このようにした場合には、図5に示すように、雌部材における前記シリコーン樹脂片の長手方向に平行な部分が接続し、長手方向に平行な部分よりも外側の部分が屈曲して前記シリコーン樹脂片の厚さ方向に平行な部分を有することで平面的に見てL字状となっており、雌部材における前記シリコーン樹脂片の長手方向に平行な部分から雌部材における前記シリコーン樹脂片の厚さ方向に平行な部分にまたがる位置にある孔2aに係入させるフック部材Cの側面形状が様々であったり、厚さがまちまちであっても、このようなフック部材Cに全て対応させることができるのみならず、側面L字状の雌部材2の孔2aからフック部材Cが抜け出るのを防止することができる。
なお、図5において、符号bはズボンBの腰裏で、フック部材Cはこの腰裏bに縫着されるか、あるいは、金具を用いてフック部材Cを挟着することにより腰裏bに固定されている。
【0030】
また、ここには、図1図6(a)、(b)に示すように、雄部材3の先端3a側の幅が雄部材におけるシリコーン樹脂片の長手方向に平行な部分が接続するところよりも狭くなっている場合が例示されている。このようにした場合には、前記アイ部材が図6(a)においてDで示すように大きい場合には、雄部材3におけるシリコーン樹脂片の長手方向に平行な部分が接続するところである幅の大きい部分3bを、前記アイ部材が図6(b)においてD’で示すようにそれよりも小さい場合には、雄部材3の幅の狭い先端部分3cを掛合させることができる。このように、アイ部材の大きさが符号Dや符号D’で示すように異なる場合にも利用でき、極めて便利である。
【0031】
さらに、ここには、図1及び図6(a)、(b)に示すように、雄部材3における前記シリコーン樹脂片の長手方向に平行な部分が接続する側のシリコーン樹脂片1の端面1cを、雄部材3の先側の幅の狭いところまで延び出させた場合が例示されている。シリコーン樹脂片1の端面1cをこのように雄部材3の先側の幅の狭いところまで延び出させてあると、前記雄部材3を前記係止具のアイ部材Dに掛合させたとき、雄部材3がアイ部材Dからより外れにくくなる。
【0032】
上記いずれかの場合において、シリコーン樹脂片1の幅と長さは自由に設定できる。また、シリコーン樹脂片1の長さ方向の中央付近に、1個ないし複数個の厚さ方向に貫通する孔ないし窪みを形成することができる。ただし、ここでは図示を省略するが、このようにした場合には、シリコーン樹脂片1の長さ方向により一層の伸縮性を持たせることができるので、ウエストのサイズ調整機能を大幅に拡張することができる。
【0033】
なお、図1図2及び図5において符号1dで示すように、雄部材3の先端3aに対応させてシリコーン樹脂片1の片面を前記端面1cより内方に向けて切除してある。このようにした場合には、雄部材3を前記係止具のアイ部材Dにより掛合させやすい。
【符号の説明】
【0034】
1…シリコーン樹脂片、1a…片面、1b…突片、1c…端面、1d…切除部分、2…雌部材、2a…孔、2b…孔の上縁、2c…孔、3…雄部材、3a…雄部材の先端、3b…雄部材の幅の大きい部分、3c…雄部材の幅の狭い先端部分、3d…孔、A…調整用鉤部材、B…ズボン、b…腰裏、C…フック部材、D,D’…アイ部材。
図1
図2
図3
図4
図5
図6