特許第5955276号(P5955276)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 因幡電機産業株式会社の特許一覧

特許5955276長尺体用化粧ダクトの連結構造及び長尺体用化粧ダクト
<>
  • 特許5955276-長尺体用化粧ダクトの連結構造及び長尺体用化粧ダクト 図000002
  • 特許5955276-長尺体用化粧ダクトの連結構造及び長尺体用化粧ダクト 図000003
  • 特許5955276-長尺体用化粧ダクトの連結構造及び長尺体用化粧ダクト 図000004
  • 特許5955276-長尺体用化粧ダクトの連結構造及び長尺体用化粧ダクト 図000005
  • 特許5955276-長尺体用化粧ダクトの連結構造及び長尺体用化粧ダクト 図000006
  • 特許5955276-長尺体用化粧ダクトの連結構造及び長尺体用化粧ダクト 図000007
  • 特許5955276-長尺体用化粧ダクトの連結構造及び長尺体用化粧ダクト 図000008
  • 特許5955276-長尺体用化粧ダクトの連結構造及び長尺体用化粧ダクト 図000009
  • 特許5955276-長尺体用化粧ダクトの連結構造及び長尺体用化粧ダクト 図000010
  • 特許5955276-長尺体用化粧ダクトの連結構造及び長尺体用化粧ダクト 図000011
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5955276
(24)【登録日】2016年6月24日
(45)【発行日】2016年7月20日
(54)【発明の名称】長尺体用化粧ダクトの連結構造及び長尺体用化粧ダクト
(51)【国際特許分類】
   H02G 3/04 20060101AFI20160707BHJP
   F24F 13/02 20060101ALI20160707BHJP
   F16B 5/02 20060101ALI20160707BHJP
   F16B 7/18 20060101ALI20160707BHJP
【FI】
   H02G3/04 056
   F24F13/02 A
   F16B5/02 E
   F16B7/18 F
【請求項の数】7
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2013-127633(P2013-127633)
(22)【出願日】2013年6月18日
(62)【分割の表示】特願2012-155760(P2012-155760)の分割
【原出願日】2012年7月11日
(65)【公開番号】特開2014-18058(P2014-18058A)
(43)【公開日】2014年1月30日
【審査請求日】2015年6月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】000119830
【氏名又は名称】因幡電機産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107308
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 修一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100126930
【弁理士】
【氏名又は名称】太田 隆司
(74)【代理人】
【識別番号】100154726
【弁理士】
【氏名又は名称】宮地 正浩
(72)【発明者】
【氏名】中島 裕生
【審査官】 月野 洋一郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−210625(JP,A)
【文献】 特開昭62−025809(JP,A)
【文献】 特開2006−050796(JP,A)
【文献】 特開2008−032080(JP,A)
【文献】 実開昭53−093699(JP,U)
【文献】 特開2002−112425(JP,A)
【文献】 特開2009−142114(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02G 3/04
F16B 5/02
F16B 7/18
F24F 13/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対のダクト側板を備えたダクト本体の複数個がダクト配設経路に沿って連結配置されている長尺体用化粧ダクトの連結構造であって、
隣接する前記両ダクト本体のダクト側板の端部側には、当該両ダクト本体が設定連結状態にあるときに重合する重合連結部が設けられ、この両ダクト本体の前記重合連結部には、当該両ダクト本体がダクト長手方向から設定連結状態に接続操作されたときに係合して両ダクト本体の相対離脱移動を阻止する係合手段が設けられているとともに、前記係合状態にある両ダクト本体の前記重合連結部同士を締付け固定する締結手段が設けられており、
連結対象の2つ一組の前記ダクト本体のそれぞれが、前記重合連結部に、前記ダクト側板の端面側から前記ダクト長手方向に沿って順に設けられた係合部と係合凹部とを有し、
前記係合手段が、連結対象の一方の前記ダクト本体である第1ダクト本体側の前記係合部が連結対象の他方の前記ダクト本体である第2ダクト本体側の前記係合凹部に外方側又は内方側から係合し、且つ、前記第1ダクト本体側の前記係合凹部に前記第2ダクト本体側の前記係合部が内方側又は外方側から係合する状態に構成されている長尺体用化粧ダクトの連結構造。
【請求項2】
前記係合手段が、さらに、前記第1ダクト側板の前記係合部と前記第2ダクト側板の前記係合部とが前記ダクト長手方向に係合可能に構成されている請求項1に記載の長尺体用化粧ダクトの連結構造。
【請求項3】
前記係合部及び前記係合凹部が、前記ダクト長手方向に直交する方向に延びるようにそれぞれ形成され、
前記係合凹部における前記ダクト長手方向に沿う奥側端縁が、前記重合連結部の外面から少なくとも前記ダクト側板の板厚分だけ内方側に偏倚した位置に設定されている請求項1又は2に記載の長尺体用化粧ダクトの連結構造。
【請求項4】
前記重合連結部が、前記ダクト本体の両ダクト側板における前記ダクト長手方向両側の各端部をもって構成され、且つ、連結対象の他の前記ダクト本体の両ダクト側板における前記ダクト長手方向の一端部に対して、前記ダクト側板の弾性変形により前記ダクト長手方向から重合状態で嵌合接続可能に構成されている請求項1から3のいずれか一項に記載の長尺体用化粧ダクトの連結構造。
【請求項5】
前記ダクト側板の弾性変形が、外方側に位置する前記ダクト側板又は内方側に位置する前記ダクト側板若しくは内外両方の前記ダクト側板の弾性変形である請求項に記載の長尺体用化粧ダクトの連結構造。
【請求項6】
前記係合手段が、前記ダクト側板の上端部に形成された上側フランジに設けられている請求項1からのいずれか一項に記載の長尺体用化粧ダクトの連結構造。
【請求項7】
一対のダクト側板を備えたダクト本体に、それの上部開口を覆う天蓋が脱着自在に装着されている長尺体用化粧ダクトであって、
前記ダクト本体の両ダクト側板の端部側に、設定連結状態にある他の前記ダクト本体の両ダクト側板の端部側と重合する重合連結部が設けられ、この重合連結部には、他の前記ダクト本体がダクト長手方向から設定連結状態に接続操作されたときに係合して両ダクト本体の相対離脱移動を阻止する係合手段と、前記係合状態にある両ダクト本体の前記重合連結部同士を締付け固定する締結手段に対する取付け部とが設けられており、
前記ダクト本体が、前記重合連結部に、前記ダクト側板の端面側から前記ダクト長手方向に沿って順に設けられた係合部と係合凹部とを有し、
前記係合手段を構成する前記係合部が連結対象の他の前記ダクト側板の前記係合凹部に外方側又は内方側から係合し、且つ、前記係合手段を構成する前記係合凹部に連結対象の他の前記ダクト側板の前記係合部が内方側又は外方側から係合するように構成されている長尺体用化粧ダクト。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の空調用配管や電気ケーブル等の長尺体を集合状態で配設する場合に用いられる化粧ダクトで、特に、一対のダクト側板を備えたダクト本体の複数個がダクト配設経路に沿って連結配置されている長尺体用化粧ダクトの連結構造及びそれに用いられる長尺体用化粧ダクトに関する。
【背景技術】
【0002】
長尺体用化粧ダクトの連結構造として、従来では、
(1)連結配置される両ダクト本体のダクト側板の端面同士をダクト長手方向で突き合わせ、この突き合わせ状態にある両ダクト側板の端部の外面にわたってジョイント板を当て付け、このジョイント板と両ダクト側板の端部とをボルト・ナットで固定連結する(例えば、特許文献1,2参照)。
(2)連結配置される両ダクト本体のダクト側板の端面同士をダクト長手方向で突き合わせ、この突き合わせ状態にある両ダクト側板の端部の外面及び内面の各々にわたってジョイント板を当て付け、この内外の両ジョイント板と両ダクト側板の端部とをボルト・ナットで固定連結する(例えば、特許文献3参照)
上記(1)(2)の連結構造が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−112425号公報
【特許文献2】特開2009−142114号公報
【特許文献3】特開平11−304081号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の長尺体用化粧ダクトの連結構造では、外側に位置するジョイント板又は内外両側に位置するジョイント板を使用して、突き合わせ状態にある両ダクト側板の端部同士を多数のボルト、ナットで固定連結するため、連結部品点数及び組付け工数が多くなり、構造の複雑化と製造コストの高騰化を招来する不都合がある。
【0005】
しかも、例えば、架台等に載置されている先付けのダクト本体に対して後付けのダクト本体の配設姿勢を修正する場合、後付け側のダクト本体を、それのダクト側板の端面を先付け側のダクト本体のダクト側板の端面に突き合わせた状態で動かすことになるため、後付け側のダクト本体の付き合わせ位置がずれ易く、そのずれ量が大きい場合には架台等から脱落することもあり、ダクト本体の配設姿勢の修正に手間取る不都合がある。
【0006】
本発明は、上述の実状に鑑みて為されたものであって、その主たる課題は、連結部品点数及び組付け工数の低減によってダクト連結構造の簡素化と製造コストの低廉化を図りながらも、両ダクト本体の重合連結部同士を強固に連結することができ、しかも、先付け側のダクト本体に対する後付け側のダクト本体の配設姿勢の調整操作及び固定連結操作も能率良く容易に行うことのできる長尺体用化粧ダクトの連結構造及びそれに用いられる長尺体用化粧ダクトを提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明による第1の特徴構成は、一対のダクト側板を備えたダクト本体の複数個がダクト配設経路に沿って連結配置されている長尺体用化粧ダクトの連結構造であって、
隣接する前記両ダクト本体のダクト側板の端部側には、当該両ダクト本体が設定連結状態にあるときに重合する重合連結部が設けられ、この両ダクト本体の重合連結部には、当該両ダクト本体がダクト長手方向から設定連結状態に接続操作されたときに係合して両ダクト本体の相対離脱移動を阻止する係合手段が設けられているとともに、前記係合状態にある両ダクト本体の重合連結部同士を締付け固定する締結手段が設けられている点にある。
【0008】
上記構成によれば、両ダクト本体をダクト長手方向から設定連結状態に接続操作したとき、両ダクト本体のダクト側板の端部側に設けた重合連結部が重合するとともに、この重合連結部に設けられた係合手段が係合して、両ダクト本体の相対離脱移動が阻止された仮止め状態となる。
【0009】
そのため、例えば、架台等に載置されている先付けのダクト本体に対して後付けのダクト本体の配設姿勢を修正する際に、後付け側のダクト本体を動かしても、この後付け側のダクト本体が先付け側のダクト本体から抜け出して架台等から脱落することもない。
【0010】
しかも、両ダクト本体の重合連結部同士を締結手段で締付け固定する場合、この重合連結部に設けられた係合手段の係合によって設定連結状態に略維持されているため、締結手段による締付け固定操作を容易に行うことができるとともに、係合手段の係合力と締結手段による締付け力とによって、両ダクト本体の重合連結部同士を強固に連結することができる。
【0011】
したがって、ジョイント板を用いる従来の連結構造に比して連結部品点数及び組付け工数を低減することができるので、ダクト連結構造の簡素化と製造コストの低廉化とを図ることができる。しかも、先付け側のダクト本体に対する後付け側のダクト本体の配設姿勢の調整操作及び固定連結操作も能率良く容易に行うことができるとともに、両ダクト本体の重合連結部同士を強固に連結することができる。
【0012】
本発明による第2の特徴構成は、前記重合連結部が、前記ダクト本体の両ダクト側板におけるダクト長手方向両側の各端部をもって構成され、且つ、連結対象の他のダクト本体の両ダクト側板におけるダクト長手方向の一端部に対して、ダクト側板の弾性変形によりダクト長手方向から重合状態で嵌合接続可能に構成されている点にある。
【0013】
本発明による第3の特徴構成は、前記ダクト側板の弾性変形が、外方側に位置するダクト側板又は内方側に位置するダクト側板若しくは内外両方のダクト側板の弾性変形である点にある。
【0014】
また、前記両ダクト本体の重合連結部が、当該重合連結部の弾性変形で重合状態に接続可能に構成されているとともに、前記係合手段には、接続時に弾性変形した重合連結部の弾性復元変形を係合深さが深くなる方向で許容する弾性復元許容手段が設けられていてもよい。
【0015】
上記構成によれば、前記両ダクト本体の重合連結部を、一方又は両方の重合連結部の弾性変形を利用して重合状態に接続することができるから、その重合接続によって後付け側のダクト本体の配設姿勢を略設定配設姿勢又はそれに近い姿勢に修正することができるとともに、両ダクト本体が設定連結状態に接続操作されたときには、係合手段に設けた弾性復元許容手段により、接続時に弾性変形した重合連結部の弾性復元力を利用して係合手段による係合深さを深くすることができる。
【0016】
本発明による第4の特徴構成は、前記係合手段が、ダクト側板の上端部に形成された上側フランジのうち、前記重合連結部に対応する部位に、連結対象の他のダクト側板の上側フランジに形成された係合凹部に上方から係合可能な係合部と、連結対象の他のダクト側板の上側フランジに形成された係合部が上方から係合可能な係合凹部とを形成して構成されている点にある。
【0017】
上記構成によれば、係合手段を構成するにあたっても、ダクト側板の上側フランジにおける重合連結部に対応する部位に係合部と係合凹部とを形成するだけで済むから、ダクト連結構造の簡素化と製造コストの低廉化とを促進することができる。
【0018】
しかも、外方側のダクト本体におけるダクト側板の上側フランジに形成されている係合部を、内方側のダクト本体におけるダクト側板の上側フランジに形成されている係合凹部に対して上方から係合させることにより、外方側のダクト本体の荷重を内方側のダクト本体のダクト側板に受止め支持させることができるから、外方側のダクト本体のダクト側板が下方に滑り落ちることを防止することができる。
【0019】
特に、第2の特徴構成を備えている場合では、接続時に弾性変形した重合連結部の弾性復元力を利用して、外方側のダクト本体の係合部を内方側のダクト本体の係合凹部に対して係合深さが深くなる状態で係合させることができるので、接続された両ダクト本体に離脱方向の外力が作用しても、一方のダクト本体の係合部と他方のダクト本体の係合凹部とがダクト長手方向から確実に係合することになり、嵌合接続された両ダクト本体の離脱阻止機能を向上することができる。
【0020】
また、前記係合部が、前記上側フランジの幅よりも小なる突出寸法に構成されていてもよい。
【0021】
上記構成によれば、前記係合部が、前記上側フランジの幅と同一又はそれに近い突出寸法に構成されている場合に比して、係合部の折曲がり変形を抑制することができるから、この係合部の折れ曲がり変形に起因する引っ掛かりが少なくなり、両ダクト本体のダクト長手方向からの接続操作を容易に行うことができる。
尚、前記係合部が、前記上側フランジの幅と同一又はそれに近い突出寸法に構成されている場合には、その突出寸法の長い分だけダクト側板が側方に移動しても脱落し難くなるメリットがある。
【0022】
また、前記係合凹部のダクト長手方向での寸法が、前記係合部のダクト長手方向での寸法よりも大に構成され、この係合凹部と係合部との寸法差をもって、前記係合手段で係合された両ダクト本体のダクト長手方向での相対移動を一定範囲内で許容する融通が構成されていてもよい。
【0023】
上記構成によれば、ダクト配設長さを微調整する必要が発生した場合でも、係合凹部と係合部との寸法差をもって構成される融通の範囲内で両ダクト本体をダクト長手方向で伸縮操作することにより対応することができる。
【0024】
しかも、係合凹部のダクト長手方向での寸法を、係合部のダクト長手方向での寸法よりも大に構成するだけであるから、ダクト連結構造の簡素化と製造コストの低廉化とを促進することができる。
【0025】
本発明による第5の特徴構成は、一対のダクト側板を備えたダクト本体に、それの上部開口を覆う天蓋が脱着自在に装着されている長尺体用化粧ダクトであって、
前記ダクト本体の両ダクト側板の端部側に、設定連結状態にある他のダクト本体の両ダクト側板の端部側と重合する重合連結部が設けられ、この重合連結部には、他のダクト本体がダクト長手方向から設定連結状態に接続操作されたときに係合して両ダクト本体の相対離脱移動を阻止する係合手段と、前記係合状態にある両ダクト本体の重合連結部同士を締付け固定する締結手段に対する取付け部とが設けられている点にある。
【0026】
上記構成によれば、例えば、先付け側のダクト本体に対して後付け側のダクト本体をダクト長手方向から設定連結状態に接続操作したとき、両ダクト本体のダクト側板の端部側に設けた重合連結部が重合するとともに、この重合連結部に設けられた係合手段が係合して、両ダクト本体の相対離脱移動が阻止された仮止め状態となる。
【0027】
そのため、架台等に載置されている先付けのダクト本体に対して後付けのダクト本体の配設姿勢を修正する際に、後付け側のダクト本体を動かしても、この後付け側のダクト本体が先付け側のダクト本体から抜け出して架台等から脱落することもない。
【0028】
しかも、両ダクト本体の重合連結部同士を締結手段で締付け固定する場合、この重合連結部に設けられた係合手段の係合によって設定連結状態に略維持されているため、締結手段による締付け固定操作を容易に行うことができるとともに、係合手段の係合力と締結手段による締付け力とによって、両ダクト本体の重合連結部同士を強固に連結することができる。
【0029】
したがって、ジョイント板を用いる従来の連結構造に比して連結部品点数及び組付け工数を低減することができるので、ダクト連結構造の簡素化と製造コストの低廉化とを図ることができる。しかも、先付け側のダクト本体に対する後付け側のダクト本体の配設姿勢の調整操作及び固定連結操作も能率良く容易に行うことができるとともに、両ダクト本体の重合連結部同士を強固に連結することができる。
【0030】
また、前記係合手段に、当該係合手段で係合された両ダクト本体のダクト長手方向での相対移動を一定範囲内で許容する融通が設けられていてもよい。
【0031】
上記構成によれば、ダクト配設長さを微調整する必要が発生した場合でも、係合手段に設けた融通の範囲内で両ダクト本体をダクト長手方向で伸縮操作することにより対応することができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】本発明の第1実施形態を示す分離状態の斜視図
図2】ダクト側板の嵌合接続前(a)と嵌合接続後(b)の内方側からの斜視図
図3】ダクト側板の嵌合接続前(a)と嵌合接続後(b)の外方側からの斜視図
図4】ダクト側板の側面図
図5図4におけるV−V線視での平面図
図6】両ダクト本体の嵌合接続部分の拡大平面図
図7図6におけるVII−VII線視での側面図
図8図6におけるVIII−VIII線視での断面図
図9】本発明の第2実施形態を示すダクト側板の嵌合接続前の要部の拡大平面図
図10】ダクト側板の嵌合接続時の要部の拡大断面図
【発明を実施するための形態】
【0033】
〔第1実施形態〕
図1図8は、複数の空調用配管や電気ケーブル等の長尺体Pを集合状態で配設する場合に用いられる長尺体用化粧ダクト及びそれの連結構造を示す。
【0034】
この長尺体用化粧ダクトは、図1図8に示すように、ダクト幅方向で相対向する左右一対の板金製のダクト側板(親桁)1と、ダクト長手方向で所定間隔ごとに配置して両ダクト側板1の下側部同士を連結する複数本(当該実施形態では三本)の金属製の連結部材(子桁)2とを備えたダクト本体Dに、それの上部開口を覆う板金製の天蓋3が脱着自在に装着されているとともに、両ダクト側板1の上側部におけるダクト長手方向に間隔を隔てた複数の部位(当該実施形態では二箇所)にわたって、ダクト本体Dの上部開口を横断する状態で天蓋3の下面を受止め支持する金属製の上側補強部材4が架設されている。
【0035】
各ダクト側板1の下端部には、斜め下向きの略45度の角度でダクト内方側に延びる下側傾斜辺部1Aと、当該下側傾斜辺部1Aの先端から水平姿勢でダクト内方側に延出される下側フランジ1Bとが折り曲げ形成されている。
【0036】
この下側フランジ1Bには、下側の連結部材2及び金属製の底板(図示せず)等を第2締結手段9の一例であるボルト9A・ナット9Bで締付け固定するための複数の第1取付け孔5が貫通形成されている。
【0037】
また、各ダクト側板1の上端部には、斜め上向きの略45度の角度でダクト内方側に延びる上側傾斜辺部1Cと、当該上側傾斜辺部1Cの先端から水平姿勢でダクト内方側に延出される上側フランジ1Dとが折り曲げ形成されている。
【0038】
この上側フランジ1Dには、天蓋3を第3締結手段の一例であるビス6等で締付け固定するための複数の第2取付け孔7と、上側補強部材4の両端部に形成された係合爪部4aが脱着可能な状態で係合する係合孔8とが形成されている。
【0039】
天蓋3の左右両側縁部には、両ダクト側板1の上側フランジ1Dに沿って載置支持される水平辺部3aと、両ダクト側板1の上側傾斜辺部1Cに沿って当て付けられる傾斜折曲げ縁部3bとが連続形成され、両ダクト側板1の上端部に対して嵌合状態で安定的に載置装着できるように構成されている。
【0040】
次に、長尺体用化粧ダクトの連結構造について説明する。
図2図3図6図8に示すように、ダクト本体Dの両ダクト側板1におけるダクト長手方向両側の各端部は、連結対象の他の同一形状のダクト本体Dの両ダクト側板におけるダクト長手方向の一端部に対して、外方側に位置するダクト側板1又は内方側に位置するダクト側板1若しくは内外両方のダクト側板の弾性変形(撓み変形)によりダクト長手方向又はダクト側方から嵌合接続可能に構成されている。
【0041】
このダクト本体Dの両ダクト側板1の各端部側の嵌合接続部分1Eをもって、ダクト配設経路に沿って連結配置される両ダクト本体Dが設定連結状態にあるときに重合する重合連結部10が構成されている。
【0042】
また、図8に示すように、両ダクト本体Dがダクト長手方向から嵌合接続されたとき、外方側(外嵌側)のダクト本体Dの下側フランジ1Bの上面に、内方側(内嵌側)のダクト本体Dの下側フランジ1Bの下面が載置された嵌合接続状態となるため、内方側のダクト本体Dの上側フランジ1Dが外方側のダクト本体Dの上側フランジ1Dよりも板厚分だけ上方に突出位置することになる。
【0043】
そして、ダクト本体Dの重合連結部10を構成するダクト側板1の端部側の嵌合接続部分1Eには、両ダクト本体Dがダクト長手方向又はダクト側方から設定連結状態に嵌合接続操作されたときに係合して両ダクト本体Dの相対離脱移動を阻止する係合手段11が設けられ、この係合手段11には、ダクト長手方向からの嵌合接続時に弾性変形した嵌合接続部分1Eの弾性復元力による弾性復元変形を係合深さが深くなる方向で許容する弾性復元許容手段14が設けられているとともに、嵌合接続して係合状態にある両ダクト本体の嵌合接続部分1E同士を締付け固定する締結手段12の一例であるボルト12A・ナット12Bが設けられている。
【0044】
係合手段11は、図2図7に示すように、ダクト側板1の上側フランジ1Dのうち、嵌合接続部分1Eに対応する部位に、連結対象の他のダクト本体Dにおけるダクト側板1の上側フランジ1Dに切欠き形成された係合凹部11Bに上方から係合可能な板片状の係合部11Aと、連結対象の他のダクト本体Dにおけるダクト側板1の上側フランジ1Dに形成された板片状の係合部11Aが上方から係合可能な切欠き状の係合凹部11Bとを、前記係合部11Aが上側フランジ1Dの端面側に位置する状態で形成して構成されている。
そして、同一形状のダクト本体Dを用いながらも、ダクト配設方向に沿って複数個のダクト本体Dを接続配置する際には、外方側に位置するダクト側板1又は内方側に位置するダクト側板1若しくは内外両方のダクト側板の弾性変形(撓み変形)を利用してダクト長手方向又はダクト側方から簡単・容易に嵌合接続することができる。
しかも、その嵌合接続状態では、外方側のダクト本体Dの係合部11Aと内方側のダクト本体Dの係合凹部11Bとの係合によって、両ダクト本体Dのダクト長手方向での相対離脱移動を強力に阻止することができる。
【0045】
また、図5に示すように、係合凹部11Bのダクト長手方向での寸法(切欠き長さ)W1は、係合部11Aのダクト長手方向での寸法(板片幅)W2よりも大に構成され、この係合凹部11Bと係合部11Aとの寸法差をもって、係合手段11で係合された両ダクト本体Dのダクト長手方向での相対移動を一定範囲内で許容する融通Sが構成されている。
【0046】
この融通Sは、図6図7に示すように、係合時にダクト長手方向で相対向する一方のダクト本体D側の係合部11Aの両側辺と他方のダクト本体D側の係合凹部11Bの両切欠き側縁との間に空隙として現れる。
【0047】
係合凹部11Bにおけるダクト長手方向に沿う奥側端縁11aは、上側フランジ1Dの上面から少なくともダクト側板1の板厚分だけ下方に偏倚した位置に設定され、この切込み設定位置にある奥側端縁11aから上側フランジ1Dの上面までの切欠き深さが、連結対象のダクト本体Dの係合部11Aに対する係合凹部11Bの係合深さhに構成されている。
【0048】
当該実施形態では、ダクト側板1の上側フランジ1Dと上側傾斜辺部1Cとの境界である折り曲げ個所の内面が弧状曲面に構成されているため、図8に示すように、上側フランジ1Dの上面から係合凹部11Bの奥側端縁11aまでの係合深さ寸法が、ダクト側板1の板厚分よりも少し大きな寸法に設定され、外方側のダクト本体Dの係合部11Aが内方側のダクト本体Dの係合凹部11Bに係合したとき、係合部11Aが係合凹部11Bの奥側端縁11aと干渉(接触)しないように構成されている。
【0049】
そのため、両ダクト本体Dをダクト長手方向から嵌合接続する際、外方側のダクト本体Dの係合部11Aが、外方に拡形した状態で内方側のダクト本体Dの係合部11Aの上面に沿って乗り越え移動し、その通過直後に、外方側のダクト本体Dの係合部11Aが、それの弾性復元力で内方側のダクト本体Dの係合凹部11Bの奥側端縁11a側に向って係合する。
また、両ダクト本体Dをダクト側方から嵌合接続する場合には、外方側の両ダクト側板1を外方側に拡形弾性変形させた状態で内方側のダクト側板1に嵌合操作すると、ダクト側板1の弾性復元力による弾性復元変形により、外方側のダクト本体Dの係合部11Aが、内方側のダクト本体Dの係合凹部11Bの奥側端縁11a側に向って横外方側から係合する。
【0050】
上述の係合部11Aの係合凹部11Bの奥側端縁11a側に向う係合移動方向が、嵌合接続時に弾性変形した嵌合接続部分1Eの弾性復元力による弾性復元変形を許容する方向となり、前記弾性復元許容手段14が係合凹部11Bの係合深さhをもって構成されている。
【0051】
尚、上側フランジ1Dの上面から係合凹部11Bの奥側端縁11aまでの係合深さ寸法を、係合部11Aと係合凹部11Bとの係合が維持できる範囲内でダクト側板1の板厚寸法よりも小に構成してもよい。
【0052】
また、図5に示すように、係合部11Aのダクト長手方向に対して直交する方向の突出寸法L1が、上側フランジ1Dの前記直交方向の幅L2よりも小なる寸法に構成されている。
【0053】
そのため、前記係合部11Aが、前記上側フランジ1Dの幅L2と同一の突出寸法に構成されている場合に比して、係合部11Aの折曲がり変形を抑制することができるから、この係合部11Aの折れ曲がり変形に起因する引っ掛かりが少なくなり、両ダクト本体Dのダクト長手方向からの接続操作を容易に行うことができる。
【0054】
また、ダクト側板1の上下中間板部1Fの嵌合接続部分1Eに対応する部位には、締結手段12のボルト12Aに対する取付け部である複数のボルト挿通孔13が形成されているとともに、各ボルト挿通孔13は、係合手段11で係合された両ダクト本体Dのダクト長手方向での相対移動を一定範囲内で許容する融通のある長孔に形成され、各ボルト挿通孔13の調節代と係合手段11の融通Sによる調節代とが同一又は略同一に設定されている。
【0055】
〔第2実施形態〕
図9図10は、長尺体用化粧ダクトの別の連結構造を示す。
この第2実施形態においても、ダクト本体Dの両ダクト側板1におけるダクト長手方向両側の各端部は、連結対象の他の同一形状のダクト本体Dの両ダクト側板におけるダクト長手方向の一端部に対して、外方側に位置するダクト側板1又は内方側に位置するダクト側板1若しくは内外両方のダクト側板の弾性変形(撓み変形)によりダクト長手方向から嵌合接続可能に構成されている。
【0056】
このダクト本体Dの両ダクト側板1の各端部側の嵌合接続部分1Eをもって、ダクト配設経路に沿って連結配置される両ダクト本体Dが設定連結状態にあるときに重合する重合連結部10が構成されている。
【0057】
そして、ダクト本体Dの重合連結部10を構成するダクト側板1の端部側の嵌合接続部分1Eには、両ダクト本体Dがダクト長手方向から設定連結状態に接続操作されたときに係合して両ダクト本体Dの相対離脱移動を阻止する係合手段11が設けられている。
【0058】
この係合手段11を構成するに、両ダクト側板1の上側フランジ1Dの嵌合接続部分1Eに対応する部位に、上側傾斜辺部1Cとの境界に沿ってダクト長手方向のスリット16を形成し、このスリット16の外方側に、上下方向に撓み変形可能な外側区画フランジ部1dを形成する。
【0059】
さらに、両ダクト側板1の一端側の外側区画フランジ部1dには、連結対象の他のダクト本体Dにおける両ダクト側板1の他端側の外側区画フランジ部1dに窪み形成された半円弧凹状の係合凹部11Dに対して上方から係合可能な半円弧凸状の係合部11Cを形成するとともに、両ダクト側板1の他端側の外側区画フランジ部1dには、連結対象の他のダクト本体Dにおける両ダクト側板1の一端側の外側区画フランジ部1dに形成された半円弧凸状の係合部11Cが上方から係合可能な半円弧凹状の係合凹部11Dを形成する。
【0060】
この第2実施形態では、両ダクト本体Dをダクト長手方向から嵌合接続する際、外方側のダクト本体Dの外側区画フランジ部1dの係合部11Cが、外方に拡形した状態で内方側のダクト本体Dの外側区画フランジ部1dの上面に沿って移動し、設定連結位置において、外方側の外側区画フランジ部1dの係合部11Cが、それの弾性復元力で内方側の外側区画フランジ部1dの係合凹部11Dに係合する。
【0061】
この係合状態では、外方側のダクト本体Dの外側区画フランジ部1dがダクト側板1の板厚分だけ上方に撓み変形する。
【0062】
尚、この第2実施形態の係合手段11には、係合手段11で係合された両ダクト本体Dのダクト長手方向での相対移動を一定範囲内で許容する融通Sが設けられていない。
【0063】
〔その他の実施形態〕
(1)上述の各実施形態では、両ダクト本体Dのダクト側板1の端部同士をダクト長手方向から嵌合接続可能に構成するとともに、ダクト側板1の嵌合接続部分1Eの一部を構成する上側フランジ1Dの端部に、両ダクト本体Dがダクト長手方向から設定連結状態に接続操作されたときに係合して両ダクト本体Dの相対離脱移動を阻止する係合手段11を設けたが、この係合手段11を、ダクト側板1の嵌合接続部分1Eの一部を構成する上側傾斜辺部1C、上下中間板部1F、下側傾斜辺部1A、下側フランジ1Bのいずれかの端部に設けてもよい。
【0064】
(2)上述の各実施形態では、ダクト本体Dの両ダクト側板1の端部側の嵌合接続部分1Eをもって、ダクト配設経路に沿って連結配置される両ダクト本体Dが設定連結状態にあるときに重合する重合連結部10を構成したが、ダクト本体Dの一方のダクト側板1の端部に、連結対象の他のダクト本体Dの一方のダクト側板1の内面に沿って重合する連結板部を突出形成して、この突出形成された連結板部とこれに板厚方向で対面する連結対象の他のダクト側板1の端部とをもって前記重合連結部10を構成してもよい。
【0065】
(3)上述の各実施形態では、上側傾斜辺部1C及び下側傾斜辺部1Aを備えたダクト側板1を例に挙げて説明したが、このような形態のダクト側板1に限定されるものではなく、例えば、上下中間板部1Fの上下両側に上側フランジ1D及び下側フランジ1Bが直角に折り曲げ形成されているダクト側板1を用いて実施してもよい。
【0066】
(4)上述の第1実施形態では、係合部11Aのダクト長手方向に対して直交する方向の突出寸法L1を、上側フランジ1Dの前記直交方向の幅L2よりも小なる寸法に構成したが、この係合部11Aの突出寸法L1を上側フランジ1Dの幅L2と同一又は略同一に構成してもよい。
【0067】
(5)係合手段11の形態は上述の第1実施形態及び第2実施形態で説明した形態(構造)に限定されるものではなく、両ダクト本体Dがダクト長手方向から設定連結状態に接続操作されたときに係合して両ダクト本体Dの相対離脱移動を阻止することのできるものであれば、如何なる形態に構成してもよい。
【0068】
(6)上述の各実施形態では、重合状態にある両ダクト本体Dの重合連結部10同士を締付け固定する締結手段12としてボルト12A・ナット12Bを用いたが、カム等の他の締付け固定方法を採用してもよい。
【0069】
(7)上述の第1実施形態では、左右一対のダクト側板1と、ダクト長手方向で所定間隔ごとに配置される連結部材2とをボルト9A・ナット9Bで直角に固定連結してあるダクト本体Dを用いたが、この連結部材2に対して左右のダクト側板1を起伏操作可能に連結してあるダクト本体Dを用いてもよい。
【0070】
(8)上述の第1実施形態では、直線状の化粧ダクト同士の接続構造について説明したが、接続対象の化粧ダクトとしては、平面視で90度又は45度に屈曲形成された平面コーナー用化粧ダクト、90度又は45度で立ち上がり又は立ち下がり形成された立面コーナー用化粧ダクト、T字分岐用の化粧ダクト、十字分岐用の化粧ダクト等との組み合わせであってもよい。
【0071】
上述の第1実施形態では、両ダクト側板1の下側部同士を複数本の連結部材2で固定連結してあるダクト本体Dについて説明したが、前記連結部材2が底板で構成されていてもよく、さらに、ダクト本体Dがコの字状又は半割筒状(樋状)等に一体形成されていてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0072】
以上説明したように、連結部品点数及び組付け工数の低減によってダクト連結構造の簡素化と製造コストの低廉化を図りながらも、両ダクト本体の重合連結部同士を強固に連結することができ、しかも、先付け側のダクト本体に対する後付け側のダクト本体の配設姿勢の調整操作及び固定連結操作も能率良く容易に行うことのできる長尺体用化粧ダクトの連結構造及びそれに用いられる長尺体用化粧ダクトを提供することができる。
【符号の説明】
【0073】
D ダクト本体
S 融通
1 ダクト側板
1D 上側フランジ
2 連結部材
3 天蓋
10 重合連結部
11 係合手段
11A 係合部
11B 係合凹部
11C 係合部
11D 係合凹部
12 締結手段
13 取付け部(ボルト挿通孔)
14 弾性復元許容手段
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10