特許第5955282号(P5955282)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5955282
(24)【登録日】2016年6月24日
(45)【発行日】2016年7月20日
(54)【発明の名称】立体構造布帛
(51)【国際特許分類】
   D04B 1/00 20060101AFI20160707BHJP
   D04B 1/18 20060101ALI20160707BHJP
   A47C 27/12 20060101ALI20160707BHJP
   A41D 13/06 20060101ALI20160707BHJP
【FI】
   D04B1/00 B
   D04B1/18
   A47C27/12 M
   A47C27/12 L
   A47C27/12 F
   A41D13/06
【請求項の数】6
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-162245(P2013-162245)
(22)【出願日】2013年8月5日
(65)【公開番号】特開2015-30944(P2015-30944A)
(43)【公開日】2015年2月16日
【審査請求日】2015年3月16日
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 ▲1▼公開日:平成25年2月14日 公開場所:株式会社ニトリ 赤羽店 公開方法:販売 ▲2▼公開日:平成25年4月18日 公開場所:マルトヨ株式会社 公開方法:販売
(73)【特許権者】
【識別番号】511049196
【氏名又は名称】南京優尼可国際貿易有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100086689
【弁理士】
【氏名又は名称】松井 茂
(72)【発明者】
【氏名】王皓雪
【審査官】 長谷川 大輔
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭61−075841(JP,A)
【文献】 特開昭54−093167(JP,A)
【文献】 特開2002−371449(JP,A)
【文献】 特開昭62−199855(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A41D13/00−13/12
20/00
A47C27/00−27/22
31/00−31/12
D04B1/00−1/28
21/00−21/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
編地である表地と、編地である裏地と、前記表地と前記裏地の間に挟持された充填糸とを備え、
前記裏地の糸を連結糸として、前記表地と前記裏地とがキルト状に連結されており、
前記充填糸は嵩高加工が施されていて、前記裏地の糸の少なくとも一部は弾性糸で構成されており、
前記連結糸による前記表地と前記裏地の連結ライン以外の部分が、前記充填糸の膨張作用と前記弾性糸による裏地の収縮作用によって、前記表地側に膨出していることを特徴とする立体構造布帛。
【請求項2】
前記表地は、100〜300デニールの糸からなり、前記裏地は、100〜300デニールの糸からなり、前記充填糸は、150〜600デニールの糸からなっていて、180〜760g/mの目付けを有する請求項1記載の立体構造布帛。
【請求項3】
前記表地の糸は、ポリエチレン繊維、ポリアミド繊維、ポリエステル繊維、アクリル繊維、ポリプロピレン繊維、ポリビニルアルコール繊維、ポリウレタン繊維、セルロース系化学繊維、綿繊維、麻繊維から選ばれた少なくとも1種を含むものからなり、前記裏地の糸は、ポリエステル繊維、アクリル繊維、ポリプロピレン繊維、ポリビニルアルコール繊維、ポリウレタン繊維、セルロース系化学繊維、綿繊維、麻繊維から選ばれた少なくとも1種と、ポリウレタン繊維からなる弾性糸とからなり、前記充填糸は、ポリエステル繊維、アクリル繊維、ポリプロピレン繊維、ポリビニルアルコール繊維、ポリウレタン繊維、セルロース系化学繊維、綿繊維、麻繊維から選ばれた少なくとも1種を含むものからなる請求項1又は2記載の立体構造布帛。
【請求項4】
前記連結糸による前記表地と前記裏地の連結ラインによって、多数の菱形に膨出した部分が形成されている請求項1〜3のいずれか1つに記載の立体構造布帛。
【請求項5】
前記表地と前記裏地の交織点は、1万〜70万/mである請求項1〜4のいずれか1つに記載の立体構造布帛。
【請求項6】
敷パッド、ベッドパッド、肌掛け、クッションカバー、ラグから選ばれた1種に用いられる請求項1〜5のいずれか1つに記載の立体構造布帛。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、敷きパッド、ベッドパッド、肌掛け、クッションカバー、ラグ等に好適な立体構造布帛に関する。
【背景技術】
【0002】
敷き布団やベッド、クッション等の上には、敷きパッドや、ベッドパッド等が掛けられることが多い。
【0003】
従来のこの種のパッド類としては、表地と裏地との間に、綿や羽毛等のクッション材を挟み込み、それらを重ねた状態で縫合糸で刺し縫い(キルティング)したものが知られている。しかし、このようなキルティング製品の場合、縫合糸がほつれることがあり、綿や羽毛等が表地と裏地との間から飛び出たり、表地と裏地との間で移動して偏ってしまったりすることがあった。また、表地と裏地とをクッション材を挟んで縫合する必要があるため、製造作業に手間がかかり製造コストが高くなる傾向があった。
【0004】
一方、クッション性を有する布帛(編物)として、地と裏地とを連結糸でつないだ立体構造布帛(編物)が知られている。
【0005】
例えば、下記特許文献1には、互いに離間して配置された表編地と裏編地とを連結糸でつないだ三次元立体編物で形成され、使用部位によって硬度を変えた、敷布団用クッション材が記載されている。なお、前記連結糸は、表編地に結合すると共に、裏編地に結合して、表編地と裏編地との間を往復するように配置されている。
【0006】
また、下記特許文献2には、互いに離間して配置された一対のグランド編地同士を連結糸で結合することにより形成され、圧縮変形に対して主たる復元力を発揮する主弾性部を、部分的に形成した三次元立体編物が記載されている。前記連結糸は、一方のグランド編地に結合すると共に、他方のグランド編地に結合して、対向配置された一対のグランド編地の間を往復するように配設されていることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2003−339480号公報
【特許文献2】特開2002−339206号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記特許文献1の敷布団用クッション材や、上記特許文献2の三次元立体編物は、表編地と裏編地や、一対のグランド編地の間に、クッション材や立体編物の厚さ方向に沿って、往復配置された連結糸によって、クッション性が確保されるようになっている。
【0009】
しかしながら、このような三次元立体編物は、比較的剛性の高い糸で形成されており、編地が粗くなる傾向があるため、敷きパッド、ベッドパッド、肌掛けなどの、肌に直接接触して使用される布製品としては適していなかった。
【0010】
したがって、本発明の目的は、生産効率がよく、糸のほつれなどの問題も生じない、肌に直接接触して使用される布製品の用途に適した立体構造布帛を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するため、本発明の立体構造布帛は、編地である表地と、編地である裏地と、前記表地と前記裏地の間に挟持された充填糸とを備え、前記裏地の糸を連結糸として、前記表地と前記裏地とがキルト状に連結されており、前記充填糸は嵩高加工が施されていて、前記裏地の糸の少なくとも一部は弾性糸で構成されており、前記連結糸による前記表地と前記裏地の連結ライン以外の部分が、前記充填糸の膨張作用と前記弾性糸による裏地の収縮作用によって、前記表地側に膨出していることを特徴とする。
【0012】
上記発明によれば、表地と裏地との間に、嵩高加工が施された充填糸が挿入され、充填糸の膨張作用と前記弾性糸による裏地の収縮作用によって、表地と裏地との連結ライン以外の部分が表地側に膨出して凹凸形状をなしているので、適度なクッション性と、デザイン性と、肌が接触したときの通気性が得られる。
【0013】
また、剛性の高い連結糸でクッション性を付与するのではなく、表地と裏地との間に挟持された嵩高加工された充填糸によってクッション性を付与しているので、表地や裏地として肌触りのよい布地を採用でき、敷きパッド、ベッドパッド、肌掛けなどの用途に適した立体構造布帛を提供できる。
【0014】
また、この立体構造布帛は、例えばジャガード編み機等により、表地と裏地との間に嵩高加工を施した充填糸を挟み込み、裏地の糸を連結糸として1枚の布帛として編み込むことができるので、生産効率がよく、製造コスト低減を図ることができる。
【0015】
更に、この立体構造布帛では、裏地の糸を連結糸として表地と裏地とをキルト状に連結して編まれており、複数の生地をキルティングして形成したものではないので、縫合糸がほつれることがなく、取扱いやすく使い勝手がよい。
【0016】
また、表地及び裏地の間に挟み込まれる、嵩高加工を施した充填糸の充填量を、適宜変更することによって、クッション力を調整することができる。
【0017】
本発明の立体構造布帛においては、前記表地は、100〜300デニールの糸からなり、前記裏地は、100〜300デニールの糸からなり、前記充填糸は、150〜600デニールの糸からなっていて、180〜760g/mの目付けを有することが好ましい。
【0018】
これによれば、表地及び裏地が100〜300デニールの糸で編まれているので、肌触りがよく、実用上十分な強度を得ることができる。また、100〜300デニールの裏地の糸により、表地と裏地とをしっかりと連結することができる。更に、充填糸が150〜600デニールで、180〜760g/mの目付けで充填されることによって、十分なクッション性を得ることができる。
【0019】
本発明の立体構造布帛においては、前記表地の糸は、ポリエチレン繊維、ポリアミド繊維、ポリエステル繊維、アクリル繊維、ポリプロピレン繊維、ポリビニルアルコール繊維、ポリウレタン繊維、セルロース系化学繊維、綿繊維、麻繊維から選ばれた少なくとも1種を含むものからなり、前記裏地の糸は、ポリエステル繊維、アクリル繊維、ポリプロピレン繊維、ポリビニルアルコール繊維、ポリウレタン繊維、セルロース系化学繊維、綿繊維、麻繊維から選ばれた少なくとも1種と、ポリウレタン繊維からなる弾性糸とからなり、前記充填糸は、ポリエステル繊維、アクリル繊維、ポリプロピレン繊維、ポリビニルアルコール繊維、ポリウレタン繊維、セルロース系化学繊維、綿繊維、麻繊維から選ばれた少なくとも1種を含むものからなることが好ましい。
【0020】
これによれば、表地の糸、裏地の糸、充填糸について、上記材質のものを用いたので、表地と裏地との間に充填糸を挟持して、表地と裏地とを連結糸でキルト状に連結するときに、表地や裏地を変形させやすくすることができ、表地側の膨出形状をより立体的にすることができ、クッション性を更に高めることができる。
【0021】
本発明の立体構造布帛においては、前記連結糸による前記表地と前記裏地の連結ラインによって、多数の菱形に膨出した部分が形成されていることが好ましい。
【0022】
これによれば、連結糸による前記表地と前記裏地の連結ラインによって、多数の菱形に膨出した部分が形成されているので、表地側に複数の膨出形状をスペースに無駄がないように設けることができ(円形や楕円等では無駄なスペースが多くなる)、布帛全体として十分なクッション性を得ることができる。
【0023】
本発明の立体構造布帛においては、前記表地と前記裏地の交織点(ジャカード)は、1万〜70万/mであることが好ましい。これによれば、表地と裏地とをしっかりと連結して、離れにくくすることができ、耐久性のよい立体構造布帛を提供することができる。
【0024】
なお、本発明において、交織点(ジャカード)とは、1mあたりの、表地20と裏地30とが交差するループ数を意味する。
【0025】
本発明の立体構造布帛は、敷パッド、ベッドパッド、肌掛け、クッションカバー、ラグから選ばれた1種に好適に用いられる。
【発明の効果】
【0026】
本発明の立体構造布帛によれば、適度なクッション性と、デザイン性と、肌が接触したときの通気性が得られる。また、表地や裏地として肌触りのよい布地を採用できるので、敷きパッド、ベッドパッド、肌掛けなどの用途に適した立体構造布帛を提供できる。また、この立体構造布帛は、例えばジャガード編み機等により、1枚の布帛として編み込むことができるので、生産効率がよく、製造コスト低減を図ることができる。更に、複数の生地をキルティングして形成したものではないので、縫合糸がほつれることがなく、取扱いやすく使い勝手がよい。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本発明に係る立体構造布帛の一実施形態を示す、平面側から見た写真である。
図2】同立体構造布帛を、背面側から見た写真である。
図3】同立体構造布帛の切断面の写真である。
図4】同立体構造布帛の、図4とは異なる方向から見た切断面の写真である。
図5】同立体構造布帛の概略構造を示す部分拡大平面図である。
図6】同立体構造布帛の概略説明図であって、(a)は図5のA−A矢示線における模式断面図、(b)は図5のB−B矢示線における模式断面図である。
図7】同立体構造布帛の膨出作用を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、図1〜7を参照して、本発明に係る立体構造布帛の一実施形態について説明する。
【0029】
図1〜4及び図6に示すように、この実施形態の立体構造布帛10は、表地20と、この表地20の裏側に配置される裏地30と、これらの表地20及び裏地30の間に挟持された充填糸40とを備えている。
【0030】
図6(a),(b)に示すように、前記裏地30を構成する糸は、その一部が、表地20と裏地30とを連結する連結糸33となっている。
【0031】
この立体構造布帛10は、例えばジャガード編み機等により、表地20と裏地30との間に充填糸40を挟み込みながら、裏地30を形成する糸の一部を連結糸33として、連結ライン35(図1及び図5参照)に沿って、表地20と裏地30とをキルト状に連結させるように編み込むことにより形成されている(図3図4、及び図6参照)。いわゆる段ボールニットと呼ばれている編物の表地と裏地の間に充填糸が挟み込まれた構造をなしている。
【0032】
前記表地20を構成する糸は、例えば、ポリエチレン繊維、ポリアミド繊維、ポリエステル繊維、アクリル繊維、ポリプロピレン繊維、ポリビニルアルコール繊維、ポリウレタン繊維、レーヨン繊維、セルロース系化学繊維や、綿繊維、麻繊維等の天然繊維から選ばれた少なくとも1種を含むものを用いることができる。
【0033】
また、上記の中でも、ポリアミド繊維(ナイロン繊維)、ポリエチレン繊維、レーヨン繊維、麻繊維等は、熱伝導性がよく、適度な冷感が得られるので、好ましい。
【0034】
更に、表地20は、ポリエチレン繊維が30〜40重量%、ポリアミド繊維が70〜60重量%であることがより好ましい。
【0035】
また、表地20は、100〜300デニールの糸からなることが好ましく、それによって肌触りがよくなると共に、膨出部25について実用上十分な強度を得ることができる。表地20を構成する糸の太さが、100デニール未満の場合、実用上の強度が不足し、300デニールを超えると、肌触りが悪くなり、充填糸40が飛び出しやすくなる。
【0036】
一方、前記裏地30を構成する糸(連結糸33を含む)は、例えば、ポリエステル繊維、アクリル繊維、ポリプロピレン繊維、ポリビニルアルコール繊維、ポリウレタン繊維、セルロース系化学繊維や、綿繊維、麻繊維等の天然繊維から選ばれた少なくとも1種を用いることができ、特にポリエステル繊維を用いることが好ましい。
【0037】
また、図6(a),(b)及び図7に示すように、前記裏地30を構成する糸の一部は、伸縮可能な弾性糸37をなしている。
【0038】
この弾性糸37としては、伸縮可能な弾性を有する繊維、例えば、ポリウレタン繊維が好ましく用いられる。
【0039】
また、この弾性糸37は、裏地全体の糸に対して、1〜20%(糸の割合)であることが好ましい。
【0040】
更に、上記裏地30は、100〜300デニールの糸からなることが好ましく、それによって肌触りがよくなり、連結糸33によって表地20と裏地30とをしっかりと連結することができる。裏地30を構成する糸の太さが、100デニール未満の場合、表地20との連結強度が不足し、300デニールを超えると、ほつれやすくなり、充填糸40が飛び出しやすくなる。
【0041】
一方、充填糸40は、嵩高加工糸で形成されている。嵩高加工糸とは、例えば、化学繊維に、加撚(ヨリをかける)−熱固定(熱を加えて固定)−解撚(ヨリを戻す)の加工を施して製造された糸であり、ふわっと柔らかく膨らんで弾力性を有する糸となっている。
【0042】
なお、前記充填糸40は、例えばジャガード編み機等で、段ボールニット編みするときに、表地20と裏地30との間に挿入されて挟み込まれるものであり、それ自体は編みに寄与していない。
【0043】
上記充填糸40は、ポリエステル繊維、ポリエチレン繊維、ポリアミド繊維、ポリエステル繊維、アクリル繊維、ポリプロピレン繊維、ポリビニルアルコール繊維、ポリウレタン繊維、レーヨン繊維、セルロース系化学繊維や、綿繊維、麻繊維等の天然繊維から選ばれた少なくとも1種を含むものを用いることができる。
【0044】
また、充填糸40は、150〜600デニールの糸からなっていて、180〜760g/mの目付けを有するものであることが好ましく、それによって十分なクッション性を得ることができる。
【0045】
充填糸40の太さが、150デニール未満の場合、クッション性に乏しくなり、600デニールを超えると、表地20と裏地30との間への充填量が少なくなる。また、充填糸40の目付けが、180g/m未満の場合、表地20と裏地30との間への充填量が少なくなり、膨出部25の出っ張り感が不足してクッション性が乏しくなり、一方、760g/mを超えると、表地20と裏地30との間に充填しにくくなる。
【0046】
こうして充填糸40を表地20と裏地30との間に挟み込んで編み込むと、図7に示すように、充填糸40の膨張作用と、弾性糸37を有する裏地30側が収縮作用とによって、表地20と裏地30との連結ライン35(図5参照)以外の部分が膨出し、表地20側に、コブ状の膨出部25が形成される(図3図4及び図6参照)。
【0047】
また、図1及び図5に示すように、この実施形態では、斜めに格子状に交差した複数の連結ライン35が設けられているので、表地20と裏地30とを連結糸33により連結ライン35を介して連結したときに、菱形に膨出した膨出部25が複数設けられるようになっている。
【0048】
なお、膨出部25の形状は、例えば、円形や、楕円形、角形等であってもよく、特に限定はない。
【0049】
また、前記表地20と裏地30との交織点(1mあたりの、表地20と裏地30とが交差するループ数)は、1万〜70万/mであることが好ましい。これにより、表地20と裏地30とをしっかりと連結して、離れにくくすることができ、耐久性のよい立体構造布帛10を提供することができる。なお、上記交織点が、1万/m未満だと、表地20と裏地30とが離れやすくなり、70万/mを超えると、膨出部25のサイズが小型化し、十分なクッション性を得にくくなる。
【0050】
更に、立体構造布帛10の厚さ(裏地30の裏面から表地20に形成された膨出部25の頂点までの高さ)は、1〜10mmであることが好ましい。上記厚さが1mm未満であると、膨出部25のクッション性が不足し、10mmを超えると、使い勝手が悪くなる。
【0051】
この立体構造布帛10は、表地20と裏地30との間に、嵩高加工が施された充填糸40が挟持されているので、適度なクッション性とソフトな肌触りを有する。このため、肌に直接接触して使用される布製品、例えば、敷パッド、ベッドパッド、肌掛け、クッションカバー、ラグから選ばれた1種に好適に用いることができる。この場合、この立体構造布帛10を1枚用いるだけで、敷パッド、ベッドパッド、肌掛け等を形成することができるので、それらの製品コストを低減できる。
【0052】
また、この立体構造布帛10は、例えばジャガード編み機等により、表地20と裏地30との間に、嵩高加工を施した充填糸40を挟み込んで、それらを一体にして編み込むことにより、複数枚の生地を縫合したりする必要なく、一度に製造できるので、製造作業性がよく、製造コストを低減することができる。
【0053】
更に、この立体構造布帛10では、裏地の糸を連結糸として、表地と裏地を連結糸で編んで一体化されるので、縫合糸がほつれるといった不具合が発生せず、取り扱い性がよく使い勝手のよい、立体構造布帛10を提供することができる。
【0054】
また、表地20及び裏地30の間に挟み込まれる、嵩高加工を施した充填糸40の充填量を、適宜変更することによって、膨出部25によるクッション力を調整することができる。
【0055】
更に、この実施形態においては、連結糸33による表地20と裏地30の連結ライン35によって、菱形に膨出した膨出部25が複数形成されているので、膨出部25をスペースに無駄がないように設けることができ、立体構造布帛10の全体に亘って、十分なクッション性を得ることができる。
【符号の説明】
【0056】
10 立体構造布帛
20 表地
25 膨出部
30 裏地
33 連結糸
35 連結ライン
37 弾性糸
40 充填糸
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7