(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
画像形成装置の装置本体に固定され、定着ユニットの一方端の第1被支持部に嵌合して上下方向に位置決めするとともに前記定着ユニットの定着位置へ向かう挿入方向へ移動可能に支持する第1支持部と、
前記装置本体に上下方向へ移動可能に設けられ、前記定着ユニットの他方端の第2被支持部に嵌合して上下方向に位置決めするとともに前記挿入方向へ移動可能に支持する第2支持部と、
前記第2支持部を上下方向へ移動させて前記定着ユニットの高さ位置を調整する高さ調整部と、を備え、
前記第1支持部は、
前記第1被支持部に対向する上下方向へ延びる垂直面を有し、前記垂直面における前記挿入方向の挿入手前側の端部に前記垂直面から遠ざかる第1方向へ突出する突起部を備え、
前記第1被支持部は、
前記定着ユニットが前記定着位置に装着されたときに、前記垂直面に対向される前記第1被支持部の側面から前記第1方向へ前記突起部を退避させる退避部を備える画像形成装置。
前記第1被支持部は、前記定着ユニットに回転駆動力が入力される被駆動側の端部に設けられており、前記第2被支持部は、前記被駆動側の端部とは反対側の端部に設けられている請求項1又は2に記載の画像形成装置。
前記定着ユニットが前記定着位置に装着されるときに前記定着ユニットを前記第1支持部の前記垂直面側へ移動させて前記定着位置に位置決めする第1位置決め部を更に備える請求項1から3のいずれかに記載の画像形成装置。
前記第1支持部は、前記定着ユニットが前記定着位置に装着された状態で、前記定着ユニットの前記第1被支持部を上下方向に位置決めするとともに前記第1被支持部の前記挿入方向の奥側の位置を位置決めする第2位置決め部を更に備える請求項1から4のいずれかに記載の画像形成装置。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態に係る画像形成装置10について説明する。なお、説明の便宜上、画像形成装置10が平坦面に設置された状態(
図1に示される状態)の鉛直方向を上下方向6と定義する。また、操作表示パネル17が設けられた側の面を正面(前面)として前後方向7を定義する。また、画像形成装置10の正面を基準に左右方向8を定義する。なお、以下に説明される実施形態は本発明を具体化した一例にすぎず、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0013】
まず、
図1及び
図2を参照して画像形成装置10の概略構成について説明する。画像形成装置10は、いわゆる胴内排紙型と称される複合機であり、プリンター、複写機、FAX装置、及びスキャナーなどの各機能を備える。なお、画像形成装置10は複合機に限られず、プリンターや複写機、FAX装置などの専用機であっても、本発明は適用可能である。
【0014】
図1及び
図2に示されるように、画像形成装置10は、画像読取部12と、画像形成部14とを備える。画像読取部12は、原稿の画像を読み取る処理を行うものであり、画像形成装置10の上部に設けられている。画像形成部14は、電子写真方式に基づいて画像を形成する処理を行うものであり、画像読取部12の下側に設けられている。また、画像形成部14は、上下二段に配置された2つの給紙装置27,28を備える。上側の給紙装置27は、画像形成部14の最下部に筐体29(本発明の装置本体の一例)と一体に設けられている。下側の給紙装置28は、画像形成部14の筐体29の底面にオプションデバイスとして連結された増設タイプのものである。給紙装置28は、筐体29の底面に着脱可能に構成されている。なお、
図1及び
図2では、画像読取部12の原稿カバーの図示が省略されている。
【0015】
画像形成部14は、画像読取部12で読み取られた画像データや外部から入力された画像データに基づいて印刷用紙に画像を形成するものであり、主として、印刷用紙を保持可能な給紙装置27,28と、給紙装置27,28から給送された印刷用紙にトナー像を転写する転写装置(不図示)と、印刷用紙に転写されたトナー像を印刷用紙に定着させる定着ユニット20(
図2、
図3参照)と、操作表示パネル17と、駆動伝達部45(
図3参照)とを備えている。これらの構成要素は、画像形成部14の装置本体を構成する筐体29に取り付けられている。
【0016】
画像形成部14の上面と画像読取部12との間には、前方が開放された排紙スペース21が区画されている。その排紙スペース21に排紙トレイ47が設けられている。給紙装置27,28から給送された印刷用紙は、筐体29の内部に形成された搬送路(不図示)を上方へ移動され、その移動過程において印刷用紙にトナー像が転写される。印刷用紙に転写されたトナー像は、定着ユニット20を通過する際に加熱溶融されることによって印刷用紙に定着される。定着ユニット20を通過した印刷用紙は、排紙スペース21に排出されて、排紙トレイ47に保持される。
【0017】
画像形成部14の正面に正面カバー48が設けられている。正面カバー48は、画像形成部14の筐体29に開閉可能に支持されている。正面カバー48が開けられると、画像形成部14の正面が開放されて、内部が露出される。また、
図2に示されるように、画像形成部14の右側面に側面カバー49が設けられている。側面カバー49は、筐体29に開閉可能に支持されている。側面カバー49が開けられると、画像形成部14の右側面が開放されて、内部が露出される。本実施形態では、側面カバー49が開けられることにより、定着ユニット20や、その支持プレート55,56などが露出される。これにより、作業者は、定着ユニット20の取り外しや、筐体29に対する定着ユニットの装着が可能となる。また、正面カバー48が開けられることにより、定着ユニット20の高さ位置を調整するための後述の高さ調整機構80が露出される。これにより、作業者は、高さ調整機構80を操作して定着ユニット20の高さ位置を調整することが可能となる。
【0018】
図2に示されるように、定着ユニット20は、筐体29の上部の右側に設けられている。定着ユニット20は、筐体29に対して挿抜可能なように水平な状態で左右方向8へスライド可能に支持されている。詳細には、定着ユニット20は、筐体29の右側面から左側へ所定距離だけ隔てられた装着位置と、筐体29の右側面へ引き出された脱抜位置との間でスライド可能に支持されている。定着ユニット20が前記装着位置に配置されて装着されたときに画像形成部14内の駆動伝達部45(
図3参照)から定着ユニット20に回転駆動力が伝達可能となる。また、定着ユニット20が前記装着位置から右側へ引き出されて非装着状態にされると、駆動伝達部45からの回転駆動力の伝達が遮断される。
【0019】
以下、
図3乃至
図9を参照して、定着ユニット20及びその支持機構の構成について詳細に説明する。ここで、
図3は、定着ユニット20が装着された状態を示す図であり、画像形成部14を右側面から見たときの図である。なお、各図では、各部材が筐体29に装着されているときの装着姿勢が示されており、説明の便宜上、各部材の装着姿勢を基準として上下方向6、前後方向7、及び左右方向8が示されている。
【0020】
図3乃至
図5に示されるように、定着ユニット20は、前後方向7に長い形状を有しており、前後方向7に延びるベースフレーム51と、ベースフレーム51の長手方向の両端のサイドフレーム52,53とを備える。各フレーム51〜53によって囲まれた内部スペースに加熱ローラー及び加圧ローラー(不図示)が回転可能に支持されている。詳細には、サイドフレーム52,53に形成された軸受け(不図示)に加熱ローラー及び加圧ローラーの回転軸が回転可能に支持されている。前方側のサイドフレーム52によって定着ユニット20の前方側の前端部20Aが構成されている。また、後方側のサイドフレーム53によって定着ユニット20の後方側の後端部20Bが構成されている。各フレーム51〜53は、溶融した合成樹脂を金型に流し込み、射出成形(インジェクション成形)することによって形成される合成樹脂製品である。
【0021】
なお、定着ユニット20には、前記加熱ローラーを加熱するヒーターなどの加熱装置が設けられており、この加熱装置によって前記加熱ローラーの表面温度が高温に加熱される。そのため、定着ユニット20の各フレーム51〜53の材料として、熱可塑性の合成樹脂の中でも耐熱性及び強度に優れたPET樹脂(ポリエチレンテレフタラート)又はPET樹脂を主成分とする合成樹脂が用いられている。もちろん、定着ユニット20の高温環境に耐えうるのであればPET樹脂以外の合成樹脂で各フレーム51〜53が形成されてもよい。
【0022】
図3に示されるように、定着ユニット20の前方側、つまり、サイドフレーム52の更に前方には、高さ調整機構80が設けられている。高さ調整機構80は、定着ユニット20の前端部20Aを上下方向6に移動可能に支持するものである。高さ調整機構80によって前端部20Aが上下方向6へ移動されることにより、定着ユニット20の高さ位置が上下方向6に調整される。筐体29には、支持プレート55が設けられている。支持プレート55は、前端部20Aと高さ調整機構80との間に配置されている。つまり、支持プレート55の前方側に高さ調整機構80が配置されている。なお、支持プレート55及び高さ調整機構80の詳細については後述する。
【0023】
図3に示されるように、定着ユニット20の後方側、つまり、サイドフレーム53の更に後方には、駆動伝達部45が設けられている。駆動伝達部45は、モーターやギヤなどで構成されており、定着ユニット20の加熱ローラー及び加圧ローラーそれぞれの回転軸に回転駆動力を伝達する。筐体29には、定着ユニット20の後端部20Bを支持するための支持プレート56が設けられている。支持プレート56は、後端部20Bと駆動伝達部45との間に配置されている。支持プレート56の後方側の側面にモーターやギヤなどの伝達部材(不図示)が装着される。なお、支持プレート56及びこの支持プレート56による後端部20Bの支持機構の詳細については後述する。
【0024】
図5及び
図6に示されるように、定着ユニット20のサイドフレーム52の側面52Aに一対のスライドガイド61,62(本発明の第2被支持部の一例)が設けられている。つまり、スライドガイド61,62は、定着ユニット20の前端部20Aに設けられている。前端部20Aは、駆動伝達部45(
図3参照)から回転駆動力が伝達される後端部20Bとは反対側の端部である。スライドガイド61,62は、側面52Aにおいて左右方向8へ水平に延びる長いリブ状の部材である。スライドガイド61とスライドガイド62とは、互いに上下方向6に隔てられた位置に配置されている。これにより、スライドガイド61,62の間に左右方向8に延びるガイド溝63が形成される。このガイド溝63に、後述する高さ調整機構80が備える支持部材82の突出リブ88が挿入される。
【0025】
図7に示されるように、高さ調整機構80は、支持部材82(本発明の第2支持部の一例)、高さ調整部材84(本発明の高さ調整部の一例)、スプリング86を備える。
【0026】
支持部材82は、上下方向6に長い板形状に形成されており、支持プレート55の前方側の側面に設けられている。支持部材82は、筐体29の一部を構成する支持プレート55に対して上下方向6へ移動可能に設けられている。支持部材82における支持プレート55側の対向面に2つの突出リブ88が一体に形成されている。各突出リブ88は、同じ高さ位置で左右方向8(水平方向)に並んで設けられている。突出リブ88は、支持プレート55に形成された貫通孔89(
図6参照)に挿入されて、定着ユニット20の前端部20A側に露出されている。定着ユニット20の前記装着位置への挿入過程、及び前記装着位置における装着状態において、突出リブ88の先端側がガイド溝63に挿入される(
図6参照)。ガイド溝63は、挿入された突出部88が嵌合するように、所定の嵌め合い公差となるように形成されている。つまり、突出リブ88はガイド溝63に嵌合可能に構成されている。この突出リブ88がガイド溝63に嵌合することにより、定着ユニット20の前端部20Aが支持部材82によって上下方向6に位置決めされ、かつ、定着ユニット20の前端部20Aが定着ユニット20の挿入方向へ移動可能に支持される。
【0027】
高さ調整部材84は、支持部材82を上下方向6へ移動させて定着ユニット20の高さ位置を調整する。この高さ調整部材84は、支持部材82の下面に形成された2つの凸部82Aを介して支持部材82を支持する。高さ調整部材84の支持面には、支持部材82に突設された2つの凸部82Aに対応して2つのテーパー面84Aが形成されている。つまり、各テーパー面84Aは、高さ調整部材84の支持面において各凸部82Aに対応する位置に形成されている。各テーパー面84Aには複数の凹部84Bが形成されている。このように高さ調整部材84の各テーパー面84Aに複数の凹部84Bが形成されているため、各凹部84Bの高さは段階的に変化している。
【0028】
図7に示されるように、支持部材82に突設された各凸部82Aそれぞれは、各テーパー面84Aに形成された複数の凹部84Bのいずれか1つに選択的に係合している。支持部材82は、コイルバネなどの弾性部材であるスプリング38によって下方に付勢されている。これにより、支持部材82は、高さ調整部材86を下方へ押圧している。高さ調整部材86には調整レバー90が設けられている。調整レバー90は、高さ調整部材86の下面から前方へ向けて延びている。調整レバー90は、画像形成部14の正面カバー48(
図1参照)へ向けて突出しており、その突出端に操作部90Aが設けられている。操作部90Aは、正面カバー48の裏面付近に配置されている。定着ユニット20の高さ調整が行われない場合には、調整レバー90の操作部90Aは正面カバー48によって覆われている。そして、正面カバー48が開けられると、操作部90Aが露出されて、作業者は操作部90Aを操作して定着ユニット20の高さ位置を調整可能になる。
【0029】
このように構成された高さ調整機構80による定着ユニット20の高さ調整は以下の要領で行われる。即ち、画像形成部14の内部に装着された定着ユニット20の高さ調整を行う場合には、作業者は、正面カバー48(
図1参照)を開いて操作部90Aを露出させる。そして、調整レバー90の操作部90Aを操作して、該調整レバー90を矢印方向92へスライドさせる。これにより、高さ調整部材86が同方向にスライドする。高さ調整部材86のスライドに応じて、支持部材82に突設された凸部82Aが高さ調整部材86の凹部84Bから外れて他の凹部84Bに係合する。上述したように、複数の凹部84Bそれぞれは高さが異なる。そのため、凸部82Aと凹部82Bとの係合位置が変えられると、支持部材82及びこれに支持された突出リブ88が上下方向6へ移動し、突出リブ88の高さが変位する。つまり、突出リブ88とガイド溝63とによって支持された定着ユニット20の前端部20Aの高さが操作レバー90の操作に応じた位置に調整される。これにより、定着ユニット20の加熱ローラーや加圧ローラーを画像形成部14が備える他の搬送ローラーなどと同じ平行度に高精度に調整することが可能になる。
【0030】
図8及び
図9に示されるように、支持プレート56には、後端部20B側へ突出する支持台66が設けられている。この支持台66の上面66Aは、左右方向8へ延びる平坦面である。この上面66Aに後端部20Bの後述するスライド部材75が摺動可能に接する。本実施形態では、後端部20Bのスライド部材75が上面66Aで支持される。このため、支持台66の上面66Aの高さ位置は、後端部20Bを前端部20Aと同じ高さレベルとなるように支持可能な位置に定められている。
【0031】
上面66Aには、後端部20Bを前後方向7へ規制する垂直壁68が形成されている。垂直壁68は、上面66Aから上下方向に延びる上面66Aに垂直な垂直面69を有する。垂直面69は、定着ユニット20が装着されるときに後端部20Bの側面と対向される面である。つまり、垂直壁68の前方側の側面が垂直面69である。垂直面69において、定着ユニット20の挿入方向の挿入手前側の端部に突起部70が形成されている。突起部70は、垂直面69から遠ざかる方向(本発明の第1方向に相当)に突出している。つまり、突起部70は、垂直面69から前方側へ突出している。
【0032】
図9に示されるように、垂直面69において、前記挿入方向の奥側に、ガイド溝65が形成されている。ガイド溝65は、定着ユニット20の後端部20Bのスライド部材75と嵌合して、前記挿入方向へスライド可能に案内するものであり、支持プレート56に一体に形成されている。また、ガイド溝65は、スライド部材75と嵌合して後端部20Bを上下方向6に位置決めするものでもある。
【0033】
具体的に、垂直面69の奥側に、上面66Aに対向する上壁72が形成されている。上壁72は上面66Aの上方に形成されている。上壁72の下面72Aは、上面66Aに平行な平坦面であり、垂直面69に垂直である。ガイド溝65は、上壁72の下面72A、支持台66の上面66A、垂直壁68の垂直面69に囲まれることによって形成されている。つまり、支持台66の上面66A、垂直壁68の垂直面69、上壁72の下面72Aに囲まれた空間がガイド溝65である。このガイド溝65にスライド部材75が挿入されることにより、スライド部材75が支持台66の上面66A、垂直壁68の垂直面69、上壁72の下面72Aによって嵌合された状態で支持されるとともに、上下方向6に位置決めされる。このようにスライド部材75を支持する支持台66、垂直壁68、及び上壁72によって本発明の第1支持部が実現されている。
【0034】
サイドフレーム53には、ガイド溝65に挿入されて嵌合可能なスライド部材75(本発明の第1被支持部の一例)が設けられている。つまり、定着ユニット20の後端部20Bにスライド部材75が設けられている。後端部20Bは、駆動伝達部45(
図3参照)から回転駆動力が入力される被駆動側の端部である。スライド部材75の前記挿入方向の先端に係合部76が形成されている。係合部76は、後述の円弧部65Aに外周が接触可能なように円筒形状に形成されている。係合部76は、定着ユニット20が挿入される際に、支持台66の上面66Aに摺接しつつガイド溝65の奥側へ案内される。係合部76は、ガイド溝65との間で所定の嵌め合い公差となるように形成されている。つまり、係合部76はガイド溝65に嵌合可能に構成されている。係合部76がガイド溝63に嵌合することにより、定着ユニット20の後端部20Bがガイド溝65によって上下方向6に位置決めされ、かつ、定着ユニット20の後端部20Bが定着ユニット20の挿入方向へ移動可能に支持される。
【0035】
ガイド溝65における前記挿入方向の奥側に円弧部65A(本発明の第2位置決め部の一例)が形成されている。つまり、ガイド溝65は、円弧部65Aを備えている。円弧部65Aは、ガイド溝65における前記挿入方向の奥側の端部を閉塞しており、その断面形状は円弧状に形成されている。定着ユニット20が前記挿入方向へ挿入されて、スライド部材75の係合部76がガイド溝65に挿入されると、定着ユニット20の後端部20Bが上下方向6に位置決めされる。そして、更にスライド部材75の係合部76が円弧部65Aまで挿入されると、係合部76がそれ以上奥側へ移動できなくなる。これにより、係合部76の挿入方向における奥側の位置が位置決めされる。
【0036】
また、
図8に示されるように、サイドフレーム53には、突起部70を前方側へ退避させるための退避部77が設けられている。退避部77は、定着ユニット20が前記定着位置に装着された時に、垂直面69に対向されるサイドフレーム53の側面53Aから前方側へ突起部70を退避させるものである。具体的には、側面53Aは、スライド部材75の後方側の側面と同一面に位置しており、退避部77は、側面53Aに形成された開口である。退避部77は、サイドフレーム53の側面53Aを前方へ貫通しており、その開口サイズは、突起部70を挿通可能なサイズに形成されている。退避部77は、定着ユニット20が前記装着位置に装着されたときに突起部70と対向する位置に形成されている。そのため、定着ユニット20が前記装着位置からずれた位置にあるときは、突起部70は退避部77と対向しない。従って、この場合は、突起部70は側面53Aから前方へ退避しない。
【0037】
図9に示されるように、筐体29には、前記定着位置において定着ユニット20を左右方向8へ位置決めするための位置決め機構73(本発明の第1位置決め部の一例)が設けられている。位置決め機構73は、支持プレート56に設けられた係合ボス73Aと、サイドフレーム53に設けられた係合孔73Bと、により構成されている。係合ボス73Aは、支持プレート56の右側面から右側へ突出する突起状に形成されている。係合ボス73Aの先端は先細り形状に形成されており、その周面には、十字形状のフックが形成されている。係合孔73Bは、定着ユニット20のベースフレーム51の右側面の後端に一体に形成されている。係合孔73Bは、左右方向8に貫通する貫通孔であり、係合ボス73Aが嵌入可能なサイズに形成されている。係合孔73Bに係合ボス73Aが嵌入されることにより、前記フックが係合孔73Bの縁部と係合して、係合ボス73Aの抜けが規制される。このように、係合ボス73Aと係合孔73Bとが係合することにより、定着ユニット20の位置が左右方向8に固定される。
【0038】
本実施形態では、係合ボス73A及び係合孔73Bは、前記定着位置に定着ユニット20が配置されたときに係合ボス73Aの中心軸と係合孔73Bの中心とが一致するような位置関係にある。つまり、前記定着位置に定着ユニット20が配置されていないときは、係合ボス73Aの中心軸と係合孔73Bの中心とは一致せず、前後方向7へずらされる。この位置ずれのずれ量は、垂直面69に形成された突起部70によって定着ユニット20が前方へ押しつけられる量であり、すなわち、突起部70の突出量に設定されている。なお、前記ずれ量だけ係合孔73Bが係合ボス73Aからずらされていても、係合ボス73Aの先端は先細り形状に形成されているため、係合ボス73の先端部は、前記ずれ量だけずらされた係合孔73Bに挿入可能となっている。
【0039】
このように定着ユニット20及びその支持機構が構成されているため、筐体29に対する定着ユニット20の装着作業は以下の要領で行われる。即ち、画像形成部14の内部に定着ユニット20を装着する場合、作業者は、側面カバー49(
図1参照)を開いて支持プレート55,56を露出させる。そして、前端部20Aのガイド溝63に支持部材82の突出リブ88を挿入させ、後端部20Bのスライド部材75を支持台66の上面66Aに載置する(
図10(A)参照)。このとき、垂直壁68の突起部70が後端部20Bを前方へ規制する。そのため、定着ユニット20の挿入開始時は、定着ユニット20は支持プレート55側へ寄せられる。これにより、突出リブ88はガイド溝63の奥側まで挿入される。つまり、突出リブ88とガイド溝63との嵌合幅は、後述の定着位置における嵌合幅に比べて大きい。このため、定着ユニット20を挿入方向へ確実に案内することができ、作業者は円滑に定着ユニット20を前記定着位置へ向けて挿入できる。
【0040】
更に装着位置へ向けて挿入されて、突起部70と退避部77とが対向する位置(
図10(B)参照)まで定着ユニット20が配置されると、係合ボス73Aの先端が係合孔73Bに入り込む。そして、更に定着ユニット20が挿入されると、その挿入過程で、係合ボス73Aの先細り形状の先端部の傾斜面に案内されるように、係合孔73Bの位置が後方へ移動し始める。つまり、定着ユニット20が後方へ移動し始める(
図10(C)参照)。また、突起部70が退避部77に挿入される。そして、スライド部材75の係合部76が円弧部65Aに到達して定着ユニット20が前記定着位置に配置されると、係合ボス73Aの中心軸と係合孔73Bの中心とが一致し、定着ユニット20のスライド部材75の側面が垂直面69に当接する(
図10(D)参照)。この状態で、定着ユニット20は、挿入開始時よりも前記ずれ量だけ後方へ移動する。このとき、突出リブ88とガイド溝63との嵌合幅は、挿入開始時の嵌合幅よりも小さくなり、最小の嵌合幅となる。そのため、高さ調整機構80による高さ位置の調整幅に対する前記嵌合幅による制限が最小になるため、高さ調整機構80による上下方向6の調整幅を十分に確保することができる。
【0041】
なお、上述の実施形態では、本発明の高さ調整部として、高さ調整部材84による構成を例示したが、本発明の高さ調整部は高さ調整部材84以外の構成であってもよい。つまり、定着ユニット20の高さ位置を調整可能な構成であれば、如何なる構成であっても本発明は適用可能である。
【0042】
また、上述の実施形態では、開口として構成された退避部77を例示したが、退避部77は開口に限られず、例えば、サイドフレーム53の側面53Aから前方へ凹まされた凹陥部などのように、前方へ突起部70を退避可能な構成であれば如何なる構成でも適用可能である。
【0043】
本発明の範囲は、請求項の記載に先行する詳細な説明ではなく、添付の請求項の記載により定義されるので、本明細書に記載の実施形態は、例示に過ぎず、かつ非限定的であると理解されたい。従って、特許請求の境界・限界から逸脱しない変更の全て、または境界・限界の均等物は、特許請求の範囲に含まれるものとする。