(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5955312
(24)【登録日】2016年6月24日
(45)【発行日】2016年7月20日
(54)【発明の名称】ガラス容器上の硬化コーティング
(51)【国際特許分類】
B05D 7/00 20060101AFI20160707BHJP
C03C 17/32 20060101ALI20160707BHJP
B05D 3/02 20060101ALI20160707BHJP
【FI】
B05D7/00 E
C03C17/32 A
C03C17/32 Z
B05D3/02 F
【請求項の数】16
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-500234(P2013-500234)
(86)(22)【出願日】2011年3月18日
(65)【公表番号】特表2013-522026(P2013-522026A)
(43)【公表日】2013年6月13日
(86)【国際出願番号】US2011029026
(87)【国際公開番号】WO2011116302
(87)【国際公開日】20110922
【審査請求日】2014年3月17日
(31)【優先権主張番号】12/727,511
(32)【優先日】2010年3月19日
(33)【優先権主張国】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】508153833
【氏名又は名称】オウェンス ブロックウェイ グラス コンテナー インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100084663
【弁理士】
【氏名又は名称】箱田 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100093300
【弁理士】
【氏名又は名称】浅井 賢治
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100183379
【弁理士】
【氏名又は名称】藤代 昌彦
(72)【発明者】
【氏名】レミントン マイケル ピー ジュニア
(72)【発明者】
【氏名】ハウス テレンス ケイ ジー
【審査官】
横島 隆裕
(56)【参考文献】
【文献】
特開2007−027487(JP,A)
【文献】
特開2009−181946(JP,A)
【文献】
特開昭63−192293(JP,A)
【文献】
特開2004−342319(JP,A)
【文献】
特開2006−269984(JP,A)
【文献】
特開2004−221239(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B05D 1/00−7/26
C03C 17/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)ガラス容器(12)の外面(16)を、導電性ナノ粒子(20)を含有する未硬化の熱硬化性コーティング材料(18)でコーティングするステップと、
(b)ステップ(a)の後に、コーティングされた容器を高周波放射線(24)に、前記ナノ粒子による前記高周波放射線の吸収によってガラス容器の外面上の前記熱硬化性コーティング材料を内部的に加熱および硬化してガラス容器上に硬化されたコーティングがもたらされるように、曝露するステップと
を含む、ガラス容器にコーティングを施す方法であって、全体的な施されたコーティングに対する前記ナノ粒子の質量での百分率が、0.5〜10である、方法。
【請求項2】
前記導電性ナノ粒子(20)が非磁性であり、遷移元素、ポスト遷移元素、または導電酸化物の少なくとも1つを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記導電性ナノ粒子(20)が、酸化亜鉛(フッ素、アルミニウム、ガリウムおよび/またはインジウムをドープしていない、またはドープした)、スズ酸亜鉛(ZnSnO3またはZn2SnO4)、二酸化スズ(フッ素、アンチモン、リンおよび/またはホウ素をドープしていない、またはドープした)、酸化インジウムスズ、銅、金、銀、白金ならびにアルミニウムからなる群から選択される1つまたは複数の材料を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記熱硬化性コーティング材料(18)が、シランおよびシロキサンからなる群から選択されるメンバーの少なくとも1つを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記導電性ナノ粒子(20)が、前記ステップ(b)の間にサセプターとして機能し、高周波放射線を吸収し、前記熱硬化性コーティング材料に熱を内部的に伝達する、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記導電性ナノ粒子(20)が、これらのサセプター特性のために、およびこれらの相対的無色性のために、アルミニウムまたは銀ナノ粒子の少なくとも1つを含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記導電性ナノ粒子(20)が、銅または金ナノ粒子の少なくとも1つを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記導電性ナノ粒子(20)が、銀または酸化亜鉛ナノ粒子の少なくとも1つを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記高周波放射線(24)が、30キロヘルツ〜30メガヘルツの範囲であり、前記導電性ナノ粒子(20)が、これらの最大寸法に沿って1〜100ナノメートルである、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
請求項1から9のいずれかに記載の方法を含む、ガラス容器の製造方法。
【請求項11】
(a)ガラス容器(12)の外面(16)を、シラン、シロキサン、シリコーン、ウレタン、アクリレート、およびエポキシからなる群から選択される少なくとも1種の材料を含む未硬化の熱硬化性コーティング材料(18)で、ならびに最大寸法に沿って1〜100ナノメートルであり、かつ酸化亜鉛(フッ素、アルミニウム、ガリウムおよび/またはインジウムをドープしていない、またはドープした)、スズ酸亜鉛(ZnSnO3またはZn2SnO4)、二酸化スズ(フッ素、アンチモン、リンおよび/またはホウ素をドープしていない、またはドープした)、酸化インジウムスズ、銅、金、銀、白金ならびにアルミニウムからなる群から選択される少なくとも1種の材料を含む非磁性導電性ナノ粒子(20)でコーティングするステップと、
(b)ステップ(a)の後に、コーティングされた容器を1ギガヘルツ未満の高周波放射線(24)に、前記ナノ粒子による前記高周波放射線の吸収によってガラス容器の外面上の前記熱硬化性コーティング材料を内部的に加熱および硬化してガラス容器上に硬化されたコーティングがもたらされるように、曝露するステップと
を含む、ガラス容器にコーティングを施す方法であって、全体的な施されたコーティングに対する前記ナノ粒子の質量での百分率が、0.5〜10である、方法。
【請求項12】
請求項11に記載の方法を含む、ガラス容器の製造方法。
【請求項13】
前記百分率が、0.5〜5である、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記百分率が、0.5〜1である、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記百分率が、0.5〜5である、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記百分率が、0.5〜1である、請求項15に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、コーティングされたガラス容器、ガラス容器をコーティングするための方法および材料を含めたコーティング工程、ならびにガラス容器コーティングを硬化することを対象とする。
【背景技術】
【0002】
装飾、接着、および損傷防止のためのガラス強化を含めた異なる目的のためにガラス容器にコーティングを施すために様々な工程が開発されてきた。例えば、米国特許第4,009,301号は、ガラス容器を粉体コーティングするための方法および器具を開示している。コーティングされていないガラス容器を、オーブン中で約150〜425F(約65.6〜218.3C)に予熱し、スプレートンネルにおいて粉体コーティングをスプレーし、次いで、対流式オーブン中で約400〜425F(約204.4〜218.3C)に加熱し、ガラス容器上のコーティングを硬化させる。熱コーティングのこのような通常の硬化は、完了するのに数十分を必要とし、したがって、現在の容器製造ラインのスピードではオンラインの態様で行うことができない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本開示の一般の目的は、本開示の一態様によると、オフラインまたは下流の操作において別々の硬化オーブンを使用する必要性を排除すること、対流式オーブンによる熱硬化より急速であるが、オーブン硬化されたコーティングと通常関連する耐久性を有するコーティング硬化技術を提供すること、およびコーティング特性を増強する硬化材料を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本開示は、互いに別に、または互いに組み合わせて実行することができるいくつかの態様を具体化する。
本開示の一態様によるガラス容器にコーティングを施す方法には、ガラス容器の外面を、導電性ナノ粒子を含有する熱硬化性コーティング材料でコーティングするステップと、コーティングされた容器を高周波放射線(radio frequency radiation)に、ナノ粒子による高周波放射線の吸収によってガラス容器の外面上の熱硬化性コーティング材料を内部的に加熱および硬化してガラス容器上に硬化されたコーティングがもたらされるように、曝露するステップとが含まれる。
開示の別の態様によると、ガラス容器にコーティングを施す方法を提供する。この方法には、ガラス容器の外面を、シラン、シロキサン、シリコーン、ウレタン、アクリレート、およびエポキシからなる群から選択されるメンバーの少なくとも1つを含む熱硬化性コーティング材料で、ならびに最大寸法に沿って1〜100ナノメートルであり、かつ銅、金、銀、白金、アルミニウム、酸化亜鉛(フッ素、アルミニウム、ガリウムおよび/またはインジウムをドープしていない、および/またはドープした)、スズ酸亜鉛(ZnSnO
3またはZn
2SnO
4)、二酸化スズ(フッ素、アンチモン、リンおよび/またはホウ素をドープしていない、および/またはドープした)、ならびに酸化インジウムスズからなる群から選択されるメンバーの少なくとも1つを含む導電性ナノ粒子でコーティングすることが含まれる。この方法にはまた、ナノ粒子による高周波放射線の吸収によって、ガラス容器の外面上の熱硬化性コーティング材料を内部的に加熱および硬化し、ガラス容器上に硬化されたコーティングがもたらされるように、コーティングされた容器を1ギガヘルツ未満の高周波放射線に曝露することが含まれる。
開示のさらなる態様によると、ガラス容器にコーティングを施す方法を提供する。この方法には、ガラス容器の外面を熱硬化性コーティング材料でコーティングし、強度、色、または紫外線保護特性の少なくとも1つを含めた1つまたは複数の望ましい特性をガラス容器に与えることが含まれる。この方法にはまた、サセプターとして使用して高周波放射線を吸収し、熱硬化性コーティング材料に熱を内部的に伝達するための、ならびにまた1つまたは複数の望ましい特性をガラス容器に与えることにおいて熱硬化性コーティング材料を補完すること、あるいは熱硬化性コーティング材料を補足し、強度、色、紫外線保護、または抗菌特性の少なくとも1つを含めた1つまたは複数のさらなる望ましい特性をガラス容器に与えることの少なくとも1つにおいて使用するための、導電性ナノ粒子で、ガラス容器の外面をコーティングすることが含まれる。この方法には、ナノ粒子による高周波放射線の吸収によって、ガラス容器の外面上の熱硬化性コーティング材料を内部的に加熱および硬化し、ガラス容器上に硬化されたコーティングがもたらされるように、コーティングされた容器を高周波放射線に曝露することがさらに含まれる。
開示のさらなる態様によると、外面と、ガラス容器の外面上で硬化されたコーティングとを含めたガラス容器を含めた製品を提供する。硬化されたコーティングには、高周波放射線の放射を受けた導電性ナノ粒子と、放射を受けた導電性ナノ粒子によって生じた熱によって硬化された熱硬化性コーティング材料とが含まれる。
【0005】
本開示は、そのさらなる目的、特徴、利点および態様と一緒となって、以下の説明、添付の特許請求の範囲および添付図面から最も理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】本開示の例示的な実施形態による、ガラス容器のためのコーティングを施す工程の概略図である。
【
図2】
図1の工程の下流であり、および本開示の別の例示的な実施形態によるコーティング硬化工程の概略図である。
【
図3】本開示の例示的な実施形態によるガラス容器についての、熱硬化性コーティング材料の特性およびナノ粒子の特性の様々な組合せの表である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
図1は、ガラス容器にコーティングを施す工程10の例示的な実施形態を例示する。工程10には、例えば、材料取扱い器具14によって、ガラス容器12を受け入れることが含まれてもよい。ガラス容器12には、示したようなボトル、ジャー、または任意の他の適切なタイプの容器が含まれ、外面16が含まれる。材料取扱い器具14には、ガラス容器12を固定化、回転、反転、上昇、降下、または別の方法で移動させる任意の適切な装置(複数可)が含まれる。
また、工程10には、コーティング材料18および導電性ナノ粒子20を受け入れることが含まれる。熱硬化性コーティング材料18を使用して、典型的には毎分約25〜600個の容器の範囲である、現存する容器製造ラインスピードにおいて1つまたは複数の望ましい特徴または特性をガラス容器12に与える。例えば、熱硬化性コーティング材料18は、下記の特性の1つまたは複数:強度、色、および/または紫外線(UV)保護を容器12に与え得る。導電性ナノ粒子20を硬化材料として主として使用して、熱硬化性コーティング材料18を硬化する。好ましくは、ナノ粒子20をサセプターとして使用して、電磁エネルギーを吸収させ、かつそれを熱エネルギーに変換させ、熱エネルギーをナノ粒子20から熱硬化性コーティング材料18中の分子への熱伝達のために使用して、ガラス容器12上の熱硬化性コーティング材料18を加熱し、それによって硬化させる。ナノ粒子20はまた、下記に記載するように1つまたは複数の二次的目的を有し得る。
さらに、工程10には、例えば、任意の適切なタイプのアプリケーター22を使用して、熱硬化性コーティング材料18およびナノ粒子20をガラス容器12に施すことが含まれる。例えば、アプリケーター22には、熱硬化性コーティング材料18およびナノ粒子20をガラス容器12に施すために使用し得る噴霧器、槽、または任意の他の適切な装置(複数可)が含まれてもよい。一実施形態において、アプリケーター22によって、熱硬化性コーティング材料18およびナノ粒子20を一緒にブレンドまたは混合し、それらをブレンドされ施されたコーティング19として組み合わせて施してもよい。別の実施形態において、熱硬化性コーティング材料18およびナノ粒子20は、1つまたは複数のアプリケーターによって容器12に別々に施してもよい。また、ナノ粒子表面を任意の適切な有機部分で修飾または官能化し、ナノ粒子の溶解性または分散性を改善することが可能である(しかし必要ではない)。
さらに、工程10には、例えば、任意の適切なタイプのEMエミッター26を使用して、電磁(EM)放射線24をガラス容器12に施されたナノ粒子20に施すことが含まれる。一般に、EM放射線には、2つの直交成分である磁性成分および電気成分が含まれ、EM放射線を吸収する対象とする材料について、材料は、電気成分または磁性成分のいずれかとカップリングする。例えば、磁性粒子は典型的には、直径が10〜1,000μmであり、強磁性酸化物、ならびに金属(鉄、コバルト、およびニッケルなど)が含まれる。しかし、このような粒子は、可視光の波長よりサイズが大きく、したがって、ガラス容器12に施されたときに所望のレベルの透明性をもたらさないという点で不利であり得る。別の例では、電気的極性粒子には、イオン化合物または極性化合物、例えば、リチウム塩(過塩素酸リチウムおよび酢酸リチウムなど)、または他の無機塩(塩化スズもしくは塩化亜鉛など)ならびにこれらの水和物およびアイオノマーが含まれる。本開示のコーティング材料におけるこのような粒子の分散は特に困難であり、生成されたコーティングおよびガラス物品の透明性にマイナスの影響を有すると考えられる。
【0008】
施されたEM放射線24は、マイクロ波放射線を除いた高周波(RF)放射線である。特に、放射線24は、30〜300キロヘルツ(KHz)の範囲の低周波放射線、300KHz〜3メガヘルツ(MHZ)の範囲の中周波放射線、および/または3〜30MHZの範囲の高周波放射線であり得る。それにも関わらず、放射線24には、マイクロ波放射線未満の超高周波および非常に高周波のRF帯域が含まれてもよい。本明細書において使用する場合、マイクロ波放射線という用語には一般に、約0.3〜30センチメートルの波長を有し、および1ギガヘルツ(GHz)〜100GHzの周波数に相当する電磁波が含まれる。また、放射線24には、非常に低周波から極めて低周波のRF帯域が含まれてもよい。
いずれにしても、放射線24は、ナノ粒子20による激しい局在的な加熱を実現する。好ましくは、ナノ粒子20は、高周波放射線を吸収し、または高周波放射線の電気成分とカップリングし、次いでガラス容器の外面12上の熱硬化性コーティング材料18を加熱および硬化する。すなわち、熱伝導または熱伝達によって、加熱されたナノ粒子20は、熱硬化性コーティング材料18の分子を含めてナノ粒子20に隣接した領域に熱を与える。また、熱硬化性コーティング材料18のナノ粒子により加熱された分子は、熱硬化性コーティング材料18の他の分子に熱を与え得る。したがって、施されたコーティングは硬化し、ガラス容器12上に硬化されたコーティング119がもたらされ、それによって硬化コーティングされた容器112がもたらされる。
【0009】
熱硬化性コーティング材料18は、液または粉末形態でよく、好ましくは有機材料である。例えば、熱硬化性コーティング材料18には、シラン、シロキサン、シリコーン、ウレタン、アクリレート、またはエポキシ材料の1つもしくは複数、または任意の他の適切な高分子材料が含まれてもよく、これらは、結合剤、充填剤、または同様のものを伴い、または伴わずに提供し得ると考えられる。いずれの場合でも、熱硬化性コーティング材料18は、相対的に透明な材料であり得る。例えば、熱硬化性コーティング材料18は好ましくは、容器12の透明性を約15%超減少させ(または不透明性を増加させ)ない。
【0010】
ナノ粒子20は、例えば、これらの最大寸法に沿って約1〜500ナノメートルでよい。好ましい範囲は、約1〜250ナノメートルであり、より好ましくは、約1〜100ナノメートルである。ナノメートルのサイズによって、硬化されたコーティング材料18が実質的に透明のままであることが可能となる。例えば、粒子を含有するコーティングは好ましくは、容器の透明性を約15%超減少させ(または不透明性を増加させ)ない。ナノ粒子の割合の範囲の例は、全体的な施されたコーティングに対して質量で約0.5〜10パーセントである。好ましい範囲は、約0.5〜5質量パーセントであり、より好ましい範囲は、約0.5〜1質量パーセントである。
ナノ粒子20は、任意の適切な形態でよい。例えば、ナノ粒子20は、ナノチューブ、ナノ球体、ナノロッド、ナノファイバー、ナノカップの形態、または任意の他の適切な形態でよい。
【0011】
ナノ粒子20は、任意の適切な非磁性導電性材料(複数可)からなっていてもよい。好ましくは、ナノ粒子20は、任意の適切な非鉄導電性材料(複数可)からなってもよい。例えば、ナノ粒子20には、これらに限定されないが、銅、金、銀、白金、および/またはアルミニウムを含めた、遷移元素および/またはポスト遷移元素(post-transition element)が含まれてもよい。他の例では、ナノ粒子20には、1種または複数の導電酸化物が含まれてもよい。導電酸化物は、非磁性または非鉄の金属酸化物でよく、特定の例には、酸化亜鉛(フッ素、アルミニウム、ガリウムおよび/またはインジウムをドープしていない、および/またはドープした)、スズ酸亜鉛(ZnSnO
3、Zn
2SnO
4)、二酸化スズ(フッ素、アンチモン、リンおよび/またはホウ素をドープしていない、および/またはドープした)、あるいは酸化インジウムスズ(ITO)の1つまたは複数が含まれてもよい。
【0012】
高周波放射線を吸収し、熱硬化性コーティング材料18に熱を内部的に伝達し、かつ熱硬化性コーティング材料18を硬化するサセプターとしての役割を果たすことに加えて、ナノ粒子20はまた、1つまたは複数の二次的目的、例えば、望ましい特性(複数可)をガラス容器12に与えることにおいて熱硬化性コーティング材料18を補完し、かつ/またはいくつかのさらなる望ましい特性(複数可)をガラス容器12に与えることによって熱硬化性コーティング材料18を補足するために使用し得る。より特定すると、ナノ粒子20は、下記の特性の1つまたは複数:強度、色、紫外線保護、および/または抗菌特性を容器12に与え得る。
熱硬化性コーティング材料18およびナノ粒子20の特性の任意の適切な組合せを使用し得る。例えば、
図3は、容器12のための熱硬化性コーティング材料の特性およびナノ粒子の特性の様々な組合せを例示する。下記で、これらの例の組合せのいくつかを、さらに詳細に考察する。
【0013】
例示的な一実施形態において、容器12には、容器12を強化するための熱硬化性コーティング材料が含まれてもよく、ナノ粒子20を使用して、熱硬化性コーティング材料18を1つまたは複数の方法で補完および/または補足し得る。この実施形態の第1の例において、ナノ粒子20を使用して、熱硬化性コーティング材料18の強化特性を補完し、容器12をさらに強化し得る。第2の例において、ナノ粒子20は、容器12に色特性を与える。例えば、遷移元素は、これらのサセプター特性のために、および容器12に粒径に依存する色(吸収)を与えるために使用し得る。コーティングの色は、ナノ粒子の粒径および粒径分布を制御し、かつ硬化されたコーティング中にナノ粒子を濃縮することによって調整することができると考えられる。ナノ粒径の範囲の例は、これに関しては約1〜250ナノメートルである。銅および/または金ナノ粒子は、色を与えるために使用し選る遷移元素の具体例である。第2の例の別の例において、アルミニウムおよび/または銀ナノ粒子は、これらのサセプター特性のために、およびガラス容器12上に相対的に無色のコーティングをもたらすこれらの相対的無色性のために使用し得る。本明細書において使用する場合、色特性という用語には、例えば、無彩色(白色、灰色、および黒色など)、無色、または色(赤色および青色など)が含まれてもよい。第3に例において、ナノ粒子20は、容器12に紫外線保護を与える。例えば、酸化亜鉛ナノ粒子(ドープした、またはドープしていない)を使用して、容器12に紫外線光保護を与え得る。紫外線保護特性には、紫外線の所望の割合のUV遮断またはUVフィルタリングが含まれてもよいことを当業者であれば認識するであろう。第4の例において、ナノ粒子20は、容器12に抗菌特性を与える。例えば、銀ナノ粒子を使用して、容器12に抗菌特性を与え得る。
【0014】
別の例示的な実施形態において、容器12には、容器12を発色させるための熱硬化性コーティング材料18、および熱硬化性コーティング材料18を補完または補足するナノ粒子20が含まれてもよい。この実施形態の第1の例では、ナノ粒子20は、容器12を強化する。第2の例では、ナノ粒子20は、容器12に色をさらに与えることによって、熱硬化性コーティング材料18を補完する。第3の例では、ナノ粒子20は、容器12に紫外線保護を与える。第4の例では、ナノ粒子20は、容器12に抗菌特性を与える。
さらなる例示的な実施形態において、容器12には、容器12にUV保護を与えるための熱硬化性コーティング材料18、および熱硬化性コーティング材料18を補完または補足するナノ粒子20が含まれてもよい。この実施形態の第1の例において、ナノ粒子20は、容器12を強化する。第2の例において、ナノ粒子20は、容器12に色を与える。第3の例において、ナノ粒子20は、熱硬化性コーティング材料18のUV保護特性を補完し、容器12に紫外線保護をさらに与える。第4の例において、ナノ粒子20は、容器12に抗菌特性を与える。
【0015】
一般通念に反して、小さな粒径のナノ粒子20は、熱硬化性コーティング材料18の急速および十分な加熱のために特に有利であり、良好なコーティングをもたらし得ると考えられる。通常、マイクロ波パワーおよび周波数の設定におけるコーティングの硬化と併せて使用するために、150マイクロメートル程度の粒径が最適であったと考えられた。ナノ粒子は特に高い表面積対体積率を有するため、ナノ粒子の使用によって、相対的により低い硬化温度で、および/または今までに可能となったより短い硬化時間で、マイクロ波パワーおよび周波数未満を使用して、コーティングの硬化が可能となることが現在考えられている。例えば、本開示の方法は、硬化時間を秒または秒の端数へと減少させることをもたらすことができ、それによって現存する容器製造ラインスピードでのオンラインの態様で容器をコーティングすることを可能にすると現在考えられている。
【0016】
したがって、上記の目的および目標の全てを完全に満足させるガラス容器上のコーティングを硬化する方法が開示されてきた。本開示はいくつかの例示的な実施形態と併せて示されてきており、さらなる改変および変形が考察されてきた。上記の考察に照らして、他の改変および変形は容易に自ずと当業者に示唆される。
本発明の好ましい態様は、下記の通りである。
〔1〕(a)ガラス容器(12)の外面(16)を、導電性ナノ粒子(20)を含有する熱硬化性コーティング材料(18)でコーティングするステップと、
(b)コーティングされた容器を高周波放射線(24)に、前記ナノ粒子による前記高周波放射線の吸収によってガラス容器の外面上の前記熱硬化性コーティング材料を内部的に加熱および硬化してガラス容器上に硬化されたコーティングがもたらされるように、曝露するステップと
を含む、ガラス容器にコーティングを施す方法。
〔2〕前記導電性ナノ粒子(20)が非磁性であり、遷移元素、ポスト遷移元素、または導電酸化物の少なくとも1つを含む、前記〔1〕に記載の方法。
〔3〕前記導電性ナノ粒子(20)が、銅、金、銀、白金、アルミニウム、酸化亜鉛(フッ素、アルミニウム、ガリウムおよび/またはインジウムをドープしていない、および/またはドープした)、スズ酸亜鉛(ZnSnO3またはZn2SnO4)、二酸化スズ(フッ素、アンチモン、リンおよび/またはホウ素をドープしていない、および/またはドープした)、ならびに酸化インジウムスズからなる群から選択される1つまたは複数の材料を含む、前記〔2〕に記載の方法。
〔4〕前記熱硬化性コーティング材料(18)が、シラン、シロキサン、シリコーン、ウレタン、アクリレート、およびエポキシからなる群から選択されるメンバーの少なくとも1つを含む、前記〔1〕に記載の方法。
〔5〕前記熱硬化性コーティング材料(18)が、強度、色、または紫外線保護特性の少なくとも1つを含めた1つまたは複数の望ましい特性を、ガラス容器に与える、前記〔1〕に記載の方法。
〔6〕前記導電性ナノ粒子(20)が、前記ステップ(b)の間にサセプターとして機能し、高周波放射線を吸収し、前記熱硬化性コーティング材料に熱を内部的に伝達する、前記〔1〕に記載の方法。
〔7〕前記導電性ナノ粒子(20)が、これらのサセプター特性のために、およびこれらの相対的無色性のために、アルミニウムまたは銀ナノ粒子の少なくとも1つを含む、前記〔6〕に記載の方法。
〔8〕前記導電性ナノ粒子(20)が、1つまたは複数の望ましい特性をガラス容器に与えることにおいて前記熱硬化性コーティング材料を補完し、かつ/または前記熱硬化性コーティング材料を補足し、1つまたは複数のさらなる望ましい特性をガラス容器に与える、前記〔1〕に記載の方法。
〔9〕前記導電性ナノ粒子(20)が、銅または金ナノ粒子の少なくとも1つを含む、前記〔8〕に記載の方法。
〔10〕前記熱硬化性コーティング材料(18)が、前記ガラス容器に強化特性を与え、前記導電性ナノ粒子(20)が、前記熱硬化性コーティング材料を補完または補足し、強度、色、紫外線保護、または抗菌特性の少なくとも1つをガラス容器に与える、前記〔1〕に記載の方法。
〔11〕前記導電性ナノ粒子(20)が、銀または酸化亜鉛ナノ粒子の少なくとも1つを含む、前記〔10〕に記載の方法。
〔12〕前記高周波放射線(24)が、30キロヘルツ〜30メガヘルツの範囲であり、前記導電性ナノ粒子(20)が、これらの最大寸法に沿って1〜100ナノメートルである、前記〔1〕に記載の方法。
〔13〕前記〔1〕から〔12〕のいずれかに記載の方法によって生産される、ガラス容器。
〔14〕(a)ガラス容器(12)の外面(16)を、シラン、シロキサン、シリコーン、ウレタン、アクリレート、およびエポキシからなる群から選択される少なくとも1種の材料を含む熱硬化性コーティング材料(18)で、ならびに最大寸法に沿って1〜100ナノメートルであり、かつ銅、金、銀、白金、アルミニウム、酸化亜鉛(フッ素、アルミニウム、ガリウムおよび/またはインジウムをドープしていない、および/またはドープした)、スズ酸亜鉛(ZnSnO3またはZn2SnO4)、二酸化スズ(フッ素、アンチモン、リンおよび/またはホウ素をドープしていない、および/またはドープした)、ならびに酸化インジウムスズからなる群から選択される少なくとも1種の材料を含む非磁性導電性ナノ粒子(20)でコーティングするステップと、
(b)コーティングされた容器を1ギガヘルツ未満の高周波放射線(24)に、前記ナノ粒子による前記高周波放射線の吸収によってガラス容器の外面上の前記熱硬化性コーティング材料を内部的に加熱および硬化してガラス容器上に硬化されたコーティングがもたらされるように、曝露するステップと
を含む、ガラス容器にコーティングを施す方法。
〔15〕前記導電性ナノ粒子(20)が、1つまたは複数の望ましい特性をガラス容器に与えることにおいて前記熱硬化性コーティング材料を補完し、かつ/または前記熱硬化性コーティング材料を補足し、1つまたは複数のさらなる望ましい特性をガラス容器に与える、前記〔14〕に記載の方法。
〔16〕前記〔14〕または〔15〕に記載の方法によって生産される、ガラス容器。
〔17〕外面(16)を含むガラス容器(12)、ならびに
高周波放射線の放射を受けた導電性ナノ粒子(20)と、
前記放射を受けた導電性ナノ粒子によって生じた熱によって硬化される熱硬化性コーティング材料(18)と
を含む、前記ガラス容器の外面上で硬化したコーティング(19または119)
を含む、ガラス容器製品。
〔18〕前記熱硬化性コーティング材料(18)が、強度、色、または紫外線保護特性の少なくとも1つを含めた1つまたは複数の望ましい特性をガラス容器に与え、前記導電性ナノ粒子(20)が、非磁性であり、サセプターとして機能し、高周波放射線を吸収し、前記熱硬化性コーティング材料に熱を内部的に伝達する、前記〔17〕に記載の製品。
〔19〕前記導電性ナノ粒子(20)がまた、1つまたは複数の望ましい特性をガラス容器に与えることにおいて前記熱硬化性コーティング材料(18)を補完し、かつ/または前記熱硬化性コーティング材料を補足し、1つまたは複数のさらなる望ましい特性をガラス容器に与える、前記〔18〕に記載の製品。
〔20〕前記熱硬化性コーティング材料(18)が、強度および色特性を前記ガラス容器に与え、前記導電性ナノ粒子(20)が、色特性を前記ガラス容器に与えることにおいて前記熱硬化性コーティング材料を補完する、前記〔19〕に記載の製品。
〔21〕前記導電性ナノ粒子(20)は、銅または金ナノ粒子の少なくとも1つを含む、前記〔20〕に記載の製品。
〔22〕前記導電性ナノ粒子(20)が、これらのサセプター特性、およびこれらの相対的無色性のために、アルミニウムまたは銀ナノ粒子の少なくとも1つを含む、前記〔19〕に記載の製品。
〔23〕前記熱硬化性コーティング材料(18)が、前記ガラス容器に強化特性を与え、前記導電性ナノ粒子(20)が、前記熱硬化性コーティング材料を補足し、強度、色、紫外線保護、または抗菌特性の少なくとも1つをガラス容器に与える、前記〔19〕に記載の製品。
〔24〕前記導電性ナノ粒子(20)が、銀または酸化亜鉛ナノ粒子の少なくとも1つを含む、前記〔23〕に記載の製品。
〔25〕前記高周波放射線が、30キロヘルツ〜30メガヘルツの範囲であり、前記導電性ナノ粒子が、これらの最大寸法に沿って1〜100ナノメートルである、前記〔17〕に記載の製品。