(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5955313
(24)【登録日】2016年6月24日
(45)【発行日】2016年7月20日
(54)【発明の名称】新しい無針アクセスコネクタおよび使用方法
(51)【国際特許分類】
A61M 39/10 20060101AFI20160707BHJP
A61M 39/26 20060101ALI20160707BHJP
【FI】
A61M39/10 110
A61M39/26
【請求項の数】16
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2013-501294(P2013-501294)
(86)(22)【出願日】2011年3月10日
(65)【公表番号】特表2013-521983(P2013-521983A)
(43)【公表日】2013年6月13日
(86)【国際出願番号】US2011027994
(87)【国際公開番号】WO2011119347
(87)【国際公開日】20110929
【審査請求日】2014年3月4日
(31)【優先権主張番号】12/730,961
(32)【優先日】2010年3月24日
(33)【優先権主張国】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】505403186
【氏名又は名称】ケアフュージョン 303、インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100088616
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邉 一平
(74)【代理人】
【識別番号】100154829
【弁理士】
【氏名又は名称】小池 成
(72)【発明者】
【氏名】マンスール,ジョージ エム.
【審査官】
金丸 治之
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許出願公開第2006/0163515(US,A1)
【文献】
特表2008−508016(JP,A)
【文献】
特表2007−500537(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 39/10
A61M 39/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
容積式無針アクセスコネクタであって、
メス型ルアー継手を伴う筐体と、
オス型ルアー継手を伴う基部と、
前記筐体内に密閉を生成する、近位端、隔壁、および前記隔壁を通気させるように、前記基部に継合する、遠位端を伴う、弁要素と、
を備え、前記基部および前記弁要素は、相互に連結し、前記筐体の内径より小さい最大外径を有するアセンブリを生成するものであり、
前記基部は、(i)前記隔壁から前記基部の遠位端へと「Y」形状通気路を備えたものであって、該「Y」形状通気路は、基部の外側表面に基部の中心軸から延びる三角形形状分岐、および(ii)分岐に対して垂直に延在する流体流路を含むものである、容積式無針アクセスコネクタ。
【請求項2】
前記弁要素の遠位端は、スナップ式機構を使用して、前記基部に継合する、請求項1に記載の容積式無針アクセスコネクタ。
【請求項3】
前記筐体は、「V」形状継手を使用して、前記基部に連結される、請求項1又は2に記載の容積式無針アクセスコネクタ。
【請求項4】
前記筐体は、キーおよびスロット継手を使用して、前記基部に連結される、請求項1又は2に記載の容積式無針アクセスコネクタ。
【請求項5】
容積式無針アクセスコネクタであって、
その近位端に、第1のルアー継手を有する、筐体と、
その遠位端に、第2のルアー継手を有する、基部と、
弁要素であって、前記第1のルアー継手に密閉を生成する、近位端、隔壁、および前記弁要素の表面が、実質的に、前記基部の表面と同一平面にあるように、前記基部に継合する、遠位端を伴う弁要素と、を備え、
前記弁要素および前記基部は、(i)前記隔壁を大気と接続する「Y」形状の空気路を画定し、
前記空気路は、中心軸から前記基部の外側表面に広がる三角形形状分岐、および(ii)分岐に対して垂直に延在する流体流路を有する、容積式無針アクセスコネクタ。
【請求項6】
前記筐体および前記基部は、対応する嵌合表面を有する、請求項5に記載の容積式無針アクセスコネクタ。
【請求項7】
前記対応する嵌合表面は、V形状カム表面を備える、請求項6に記載の容積式無針アクセスコネクタ。
【請求項8】
前記対応する嵌合表面は、スロットおよびキー継手を備える、請求項6に記載の容積式無針アクセスコネクタ。
【請求項9】
前記筐体、弁要素、および基部は、前記第1のルアー継手から前記第2のルアー継手へと流体流路を画定する、請求項5〜8のうちのいずれかに記載の容積式無針アクセスコネクタ。
【請求項10】
前記空気路は、前記流体流路から密閉される、請求項9に記載の容積式無針アクセスコネクタ。
【請求項11】
容積式無針アクセスコネクタであって、
その近位端に、第1のルアー継手を有する、筐体と、
その遠位端に、第2のルアー継手を有する、基部と、
前記第1のルアー継手に密閉を生成する、近位端、隔壁、および連動スナップ継手を使用して、前記基部の近位端に継合する、遠位端を伴う弁要素と、を備え、
(i)前記弁要素の前記隔壁からの空気路は、前記スナップ継手の一部を形成する、前記基部の一部内に軸方向に配置される、単一経路を備え、
前記空気路はさらに、前記単一経路から大気への三角形形状分岐、および(ii)分岐に対して垂直な流体流路を備える、容積式無針コネクタ。
【請求項12】
無針アクセスコネクタを組み立てる方法であって、前記無針アクセスコネクタは、その近位端に、第1のルアー継手を有する、筐体と、その遠位端に、第2のルアー継手を有する、基部と、隔壁および前記第1のルアー継手に第1の密閉を生成する、近位端を伴う、弁要素と、を含み、前記基部は、(i)隔壁を大気と接続する空気路を有し、前記空気路は、中心軸から前記基部の外側表面に広がる三角形形状分岐、および(ii)分岐に対して垂直に延在する流体流路を有し、
前記弁要素の遠位端を前記基部の近位端に継合し、前記弁要素と前記基部との間に第2の密閉を生成し、前記隔壁を前記第1と第2のルアー継手との間の流体流路から分離するステップであって、前記弁要素および前記基部の外側表面は、前記外側表面が整合する場所と同一平面である、ステップと、
前記弁要素および前記基部を前記筐体内に配置するステップと、
を備える、方法。
【請求項13】
前記弁要素の遠位端を前記基部の近位端に継合するステップは、
連動スナップ継手をともに付勢するステップを備える、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記基部を前記筐体に恒久的に添着するステップをさらに備える、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
容積式無針アクセスコネクタであって、
第1のルアー継手を伴う筐体と、
前記第1のルアー継手に対して相補的な第2のルアー継手と流体流路を伴う基部と、
前記筐体内に密閉を生成する、近位端、隔壁、および前記隔壁を通気させるように、前記基部に継合する、遠位端を伴う、弁要素と、
を備え、前記基部および前記弁要素は、相互に連結し、前記筐体の内径より小さい最大外径を有するアセンブリを生成するものであり、隔壁を大気と接続する空気路を画定するために、前記空気路は、中心軸から前記基部の外側表面に広がる三角形形状分岐を有し、前記流体流路は、分岐に対して垂直に延在する、容積式無針コネクタ。
【請求項16】
無針アクセスコネクタを組み立てる方法であって、該無針アクセスコネクタは、メス型ルアー継手を有する筐体と、オス型ルアー継手を有する基部と、前記筐体内に密閉を生成する、近位端、隔壁、および前記隔壁を通気させるように、前記基部に継合する、遠位端を伴う、弁要素と、を含むものであり、前記基部は、(i)中心軸から前記基部の外側表面に広がる三角形形状分岐を有する「Y」形状空気路、および(ii)分岐に対して垂直に延在する流体流路を有し、
前記基部および前記弁要素を相互に連結し、前記筐体の内径より小さい最大外径を有するアセンブリを生成するステップ、を備える方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、無針アクセスコネクタに関し、より具体的には、容積式無針アクセスコネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
現代の医療治療は、多くの場合、医療専門家に、流体を患者に導入する、または流体を患者から採取することを要求する。例えば、患者は、医療専門家に、それぞれ、尿道または静脈から、尿または血液を採取することを要求する、治療を必要とし得る。反対に、医療専門家は、患者の静脈内に(すなわち、静脈を介して)、薬物または栄養を導入することを必要とし得る。患者内へまたは患者からの流体の流動のための経路を生成するために、ある方法は、医療施術者が、カテーテルを使用することを要求し、その場合、カテーテルの一端は、患者内に挿入される。カテーテルの他端は、IVラインを通して、静脈内バッグ(IVバッグ)に接続する。無針アクセスコネクタは、医療施術者が、針を使用することなく、カテーテルからデバイス(例えば、IVバッグ)を除去する、またはカテーテルにデバイスを追加することを可能にする、弁を採用する。無針アクセスコネクタの実施例は、
図1Aおよび1Bに示される。
【0003】
図1Aは、現在の無針アクセスコネクタ100の部分切断図である。無針アクセスコネクタ100は、近位端にメス型ルアー継手101を有する、筐体120と、遠位端に、オス型ルアー継手102を有する、基部130と、筐体120の内側かつ基部130の上部に着座する、弁要素103と、を含む。筐体120および基部130は、剛性プラスチック、通常、ポリカーボネートから作製され、弁要素103は、液体シリコーンから作製され、したがって、弾性であって、圧壊する。使用時、オス型ルアー継手102は、例えば、カテーテルまたはメス型ルアーに接続され、メス型ルアー継手101は、流体リザーバ、例えば、IVバッグまたはオス型ルアーに接続される。メス型ルアー継手101は、中空部材(
図1Bに示されるように)を有し、メス型ルアー継手101の上部を通して挿入される、第2のオス型ルアー継手106を介して、流体リザーバに接続される。オス型ルアー106の挿入は、弁要素103を容積104内へと下方に圧壊し、密閉を破砕し、流体流路を生成する。
図IBは、オス型ルアー106のメス型ルアー101内への挿入後の圧壊された位置における、圧壊式弁要素103を示す。オス型ルアー106は、例えば、IVバッグから、オス型ルアー継手102内のチャネル内へおよびカテーテルまたはメス型ルアー内へと、弁要素103の周囲を流動する、流体を送達する。
【0004】
弁要素103内側には、空気で充填される、間隙(または、隔壁(図示せず))がある。無針アクセスコネクタ100は、新しい接続が、メス型ルアー継手101で行われると、デバイス100が、弁のオス型側(すなわち、オス型ルアー継手102に近接する側)から、流体を引き込むような、容積式デバイスである。メス型ルアー継手101で分断が行われると、デバイス100は、メス型側(すなわち、メス型ルアー継手101の上部に近接する側)から、流体を押しやる。容積式の利点は、分断が行われると、デバイス100が、オス型ルアー継手102から流体を排出し、効果的に、カテーテルから出水することである。対照的に、今日における市場のいくつかのデバイスは、オス型ルアー(例えば、オス型ルアー106)が、分断されると、そのようなデバイスが、オス型ルアー102側から少量の液体を引き込むような、負の変位を有する。液体が、患者の静脈に取着される、カテーテルのオス型ルアー102側から引き込まれると、血液は、カテーテル内腔内に引き込まれ、本血液が、カテーテル内腔内に残留される場合、凝固し、患者に健康上の問題を引き起こし得る。容積式コネクタは、オス型ルアー(例えば、オス型ルアー106)が、無針アクセスコネクタから分断され、その圧壊式弁が、その圧壊状態からその非圧壊状態に移行すると、流体を押し出すことによって、本問題を回避する。容積式コネクタからの流体のパージは、血液がカテーテルの先端に流入するのを防止するのに有用であって、それによって、血液凝固/汚染、ひいては、血流感染を防止する。
【0005】
動作時、無針アクセスコネクタ100のメス型端が、オス型ルアーによってアクセスされると(
図1B)、弁要素103は、流動を妨害しないように屈曲し、次いで、メス型端で分断が行われた後、その原初の形状に復元することができるように、十分に弾性である。したがって、無針アクセスコネクタ100は、自己再密閉し、アルコール綿棒を使用して、上面110を消毒することができる、平坦表面を形成する。
【0006】
無針アクセスコネクタ100を使用して、デバイスを、例えば、カテーテルに接続する前、無針アクセスコネクタ100は、ある程度の空気を含有するであろう。本空気は、そうでなければ、患者内に圧送され、患者に外を及ぼし得るため、無針アクセスコネクタ100をカテーテルと併用する前に除去される。通常、本空気を除去するために、医療施術者は、無針アクセスコネクタを反転させ、生理食塩水を含有する注射器を無針アクセスコネクタに取着する。次いで、生理食塩水は、無針アクセスコネクタを通して押動され、それによって、コネクタから空気を排出する(本プロセスは、呼水として知られており、無針アクセスコネクタから全空気を除去するために要求される、最小容積の液体は、呼水容積として知られている)。ある医療施術者は、薬剤送達の遅延を低減させるために、より少ない呼水容積を伴う、無針アクセスコネクタを好む。
【0007】
無針アクセスコネクタに呼水が差された後、医療施術者は、通常、オス型端102をカテーテル(図示せず)に接続する。医療施術者は、オス型ルアーをIVバッグ(図示せず)から無針アクセスコネクタへと接続する。例えば、医療施術者は、
図1Bに示されるように、注射器106の端部をメス型ルアー継手101に接続するであろう。
【0008】
無針アクセスコネクタ100において着目すべきは、筐体120、基部130、および弁要素103の形状である。弁要素103は、弁要素103の本体より大きい外径を伴う部分である、フランジ105を有する。筐体120は、フランジ105に適合する、肩部107を有する。組み立てられると、フランジ105は、基部130と肩部107との間に固定して保持され、それによって、フランジ105と基部130との間に密閉を生成する。密閉の理由は、空気が、オス型ルアー106からオス型ルアー102への流体流路内に侵入することなく、隔壁内の空気が通気されることができるようにするためである。本明細書には図示されないが、y-軸方向に、基部130の螺着部分から、流体と混合することなく、弁要素103が、圧縮および展開されるのに伴って、隔壁からおよび隔壁内へ空気を流出入させる、弁要素103の隔壁へと延在する、2つの通気孔が存在する。組み立てられると、筐体120および基部130は、界面115において溶接される。
【0009】
フランジ105は、弁要素103の全体的幅を増加させ、コネクタ100は、流体をフランジ105の周囲に流動させ、それによって、コネクタ100自体を拡開させる。その結果、コネクタ100は、カテーテル(図示せず)と比較して、特に、コネクタ100が、新生児の皮膚に対して留置される時、大きく見え得る。コネクタ100の典型的使用は、カテーテルが、コネクタ100に連結する点の近傍の患者の皮膚に、カテーテルを留着するものである。しかしながら、コネクタ100の幅広形状は、コネクタ100を皮膚に対して不快に適合させ得る。加えて、コネクタ100の幅は、より大きな呼水容積をもたらし得る。
【発明の概要】
【0010】
種々の実施形態は、基部に継合する、弁要素を伴う、コネクタを含む。例えば、一実施形態では、例示的弁要素は、2つの構成要素が嵌合する、基部と同一平面にある。別の実施例では、基部および弁要素は、相互に連結し、筐体の内径より小さい最大外径を有するアセンブリを生成する。
【0011】
種々の実施形態は、弁要素の幅プロファイルおよびコネクタが全体として、
図1Aおよび1Bに示される以前の解決策と比較して、低減されることができるように、フランジを最小限にし、または排除する。フランジを排除し、弁要素を基部に継合するための例示的技法として、弁要素を基部に嵌合する、スナップ継手の使用が挙げられるが、他の実施形態は、他の技法を使用することができる。付加的実施形態として、コネクタを製造する方法を含む。
【0012】
前述は、以下の発明を実施するための形態がより理解され得るために、本発明の特徴および技術的利点をかなり広範に概略した。本発明の請求項の主題を形成する、本発明の付加的特徴および利点は、以下に説明されるであろう。開示される概念および具体的実施形態は、本発明の同一目的を実行するための他の構造を修正または設計するための基礎として、容易に利用されてもよいことは、当業者によって理解されるはずである。また、そのような同等構造は、添付の請求項に記載される発明の精神および範囲から逸脱するものではないことが、当業者によって認識されるはずである。本発明の特色と考えられる、新規特徴は、その編成および動作方法の両方に関して、さらなる目的および利点とともに、付随の図と併せて検討されることによって、以下の説明からより理解されるであろう。しかしながら、図はそれぞれ、例証および説明の目的のためだけに提供され、本発明の限定の定義として意図されるものではないことを明示的に理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0013】
次に、本発明のより完全な理解のために、付随の図面と関連して検討される、以下の説明を参照する。
【0014】
【
図1A】
図1Aは、現在の無針アクセスコネクタの部分切断図である。
【
図1B】
図1Bは、オス型ルアーのメス型ルアー内への挿入後の圧壊された位置における、圧壊式弁要素を示す。
【0015】
【
図2A】
図2Aは、本発明の一実施形態に従って適応された、例示的容積式無針アクセスコネクタの分解図を提供する。
【
図2B】
図2Bは、本発明の一実施形態に従って適応された、例示的容積式無針アクセスコネクタの分解図を提供する。
【0016】
【
図3A】
図3Aは、本発明の一実施形態に従って適応された、例示的容積式無針アクセスコネクタの分解図を提供する。
【
図3B】
図3Bは、本発明の一実施形態に従って適応された、例示的容積式無針アクセスコネクタの分解図を提供する。
【0017】
【
図4】
図4は、一実施形態に従う、使用時の例示的コネクタの透視図である。
【0018】
【
図5】
図5は、
図2A、B、および3A、Bの断面から90度回転された、一実施形態に従って適応された、例示的コネクタの断面図である。
【0019】
【
図6】
図6は、一実施形態に従う、組み立てられ、使用の準備ができた状態の例示的コネクタの図である。
【0020】
【
図7】
図7は、一実施形態に従って適応された、例示的コネクタの図である。
【0021】
【
図8】
図8は、一実施形態に従う、容積式無針コネクタを製造するための例示的方法の図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図2Aおよび2Bは、本発明の一実施形態に従って適応された、例示的容積式無針アクセスコネクタ200の分解図を提供する。
図2Aは、部分切断図である一方、
図2Bは、コネクタ200の外部を示す。
【0023】
コネクタ200は、3つの基本部品、すなわち、基部210、弁要素220、および筐体230を有する。筐体230は、例えば、IVバッグ等の流体リザーバに接続する、近位端にメス型ルアー継手231を有する。基部210およびネジ山232は、コネクタ200の遠位端に、オス型ルアー継手を形成し、オス型ルアー継手は、例えば、患者と連通する、カテーテルに接続する。弁要素220は、以下により詳細に説明されるように、圧縮および展開されるのに伴って、空気で充填され、大気に通気する、隔壁221を含む。
【0024】
図3Aおよび3Bは、本発明の一実施形態に従って適応された、例示的容積式無針アクセスコネクタ200の分解図を提供する。
図3Aは、部分切断図である一方、
図3Bは、コネクタ200の外部を示し、
図3Aおよび3Bは両方とも、弁要素220に継合される、基部210を示す。
【0025】
基部210および弁要素220は、本実施形態では、本明細書では、便宜上、スナップ継手と称される、連動オス型/メス型継手250を使用して、ともに連結される。スナップ継手250のメス型部分である、弁要素220の上部は、スナップ継手250のオス型部分を形成する、基部210の対応する部分に緊密な密閉圧搾を有するように、十分に小さく作製される。多くの実施形態では、スナップ継手250における密閉は、空気をコネクタ200内の流体から分離して維持するために、少なくとも通常動作温度および圧力において、気密である。製造の際、基部210および弁要素220は、手または機械のいずれかによって、それらをともに付勢することによって、ともに継合することができる。いくつかの実施形態では、約1ポンドの力が、接続を行うために十分となり、約2ポンドでは、接続を破砕するために十分となるが、種々の実施形態は、異なってもよい。
【0026】
図3AおよびBは、スナップ継手250を示すが、実施形態の範囲は、そのように限定されない。例えば、他の実施形態は、螺着アセンブリまたは他の継手等、異なる種類の継合継手を採用してもよい。
【0027】
図3Aおよび3Bの例示的実施形態では、基部210および弁要素220の外側表面は、スナップ継手250において同一平面となる。実際のデバイスの場合、弁要素220および基部210の外側表面は、正確に同一平面となることは稀であるが、いくつかの実施形態では、ある程度の公差(例えば、約2%)が許容可能であることを理解されたい。したがって、コネクタ200は、従来の容積式デバイスのフランジ(例えば、
図1Aのフランジ105)をスナップ継手250と置換し、
図3Aおよび3Bに示される外側表面と同一表面となる。したがって、弁要素220の形状は、より狭いプロファイルを有し、より狭いプロファイルのコネクタ内で使用することができる。
【0028】
基部210および弁要素220は、ともに継合し、筐体230内に留置される、アセンブリを形成する。コネクタ200は、ほぼ「V」形状の継手を使用して、基部210を筐体230に嵌合する。相補表面211および233は、基本的に、V形状であるが、若干の湾曲を有し、基部210が筐体230内に挿入されると、基部210を定位置に保持するようにともに適合する。基部210が挿入されるのに伴って、相補表面211、233は、筐体230に対して、基部210の位置合わせを自己補正し、カムのように作用する。したがって、基部210が、ある任意の位置合わせがずれた程度で挿入される場合、相補表面211、233(接触されると)は、基部210を定置に回転させる。その結果、基部210は、精密に着座し、溶接が行われた後、空気通気孔212は、大気へと通気可能となる一方、遠位流動チャネル213は、基部210のオス型ルアー出口に接続される。
【0029】
遠位流動チャネル213および空気通気孔212は、本実施形態では、相互に垂直である。したがって、2つの空気通気孔212のうちの一方は、
図3Bに示される一方、遠位流動チャネル213は、
図3Aの断面に示される。流動および通気は、
図4により詳細に示される。
【0030】
図4は、一実施形態に従う、使用時の例示的コネクタ200の透視図である。
図4では、流体は、メス型ルアー継手231と係合される、オス型ルアーコネクタ410から、筐体230を通って、基部210のオス型ルアー出口を通って、メス型ルアー継手402内へと移送されている。そのような実施例は、IVバッグ(図示せず)から、患者の血流内への流体の移送を含んでもよい。
図4は、患者内への流動を示すが、本発明の種々の実施形態はまた、患者からの流体の流動を促進することを理解されたい。
【0031】
メス型ルアー継手231に接続が存在しない時、弁要素230は、メス型ルアー継手231の近位端ならびに肩部234に密閉を生成する。そのような密閉は、非使用時、コネクタ200を通した流体の流動を防止する。また、継手231の近位端における密閉は、消毒可能である、平面表面を生成する。メス型ルアー継手231の近位端および肩部234における密閉は、
図5に示される。
【0032】
使用の際、オス型ルアー継手401は、弁要素220を圧壊し、肩部234および継手231の近位端における密閉を破砕する。次いで、流体は、筐体230の内側表面内に形成される、近位流動チャネル403を介して、弁要素230の周囲および筐体230を通して、自由に流動する。表面211、233における溶接は、流体が、V形状の周囲および遠位流動チャネル213内へ流動するように、流体を停止し、流体は、基部210のオス型ルアー出口を通して、外方に指向される。隔壁221からの空気は、空気通気孔212を通して、大気に、かつ基部210および筐体230によって形成される、オス型ルアー継手の一部である、螺着チャンバ404内へと、通気される。空気路は、通気孔212および筐体230の内側表面によって画定され、表面211、233における溶接は、空気流を流体流動から分離して維持する、密閉を生成する。螺着チャンバ404は、メス型継手402と係合される時でも、気密ではなく、それによって、弁要素220が、
図4に示されるように、圧縮される、または展開されるのに伴って、隔壁221を周囲大気と連通させる。
【0033】
図5は、
図2A、Bおよび3A、Bの断面から90度回転された、一実施形態に従って適応された、例示的コネクタ200の断面図である。
図5において着目すべきは、隔壁221から大気への空気路である。空気路は、基部210内に形成される、単一通気孔501と、通気孔212と、を含む。単一通気501および通気孔212は、実質的に、「Y」形状の空気路を形成する。これは、直接、大気を隔壁に接続する、y-軸方向に(「軸方向に」)形成される、2つ以上の別個の通気孔を含む、従来の設計とは対照的である。
【0034】
従来の製造技法の際、射出成形技法が使用され、2つ以上の別個の通気孔が、材料が高温である時、鋳型空洞内に挿入された、長く、薄いピンを使用して、生成される。鋳型が開放されると、長く、薄いピンは、除去され、2つ以上の別個の通気孔を形成する。しかしながら、長く、薄いピンは、使用の際、破砕する傾向がある。原則として、ピンが短く、厚いほど、長持ちする。
【0035】
対照的に、基部210は、鋳型内の対応する形状の金属片によって形成することができる、比較的に幅広かつ短い通気孔212を有する。空気路は、中心軸から基部210の外側表面へと、各通気孔212内に三角形の拡開を有する。対応する形状の金属片(図示せず)は、従来の技法の長く、薄いピンより、厚くかつ短く、したがって、破砕を被る可能性が低い。単一チャネル501は、比較的に幅広に作製され、スナップ継手250のオス型部分に対応する、基部210の一部内に留置される。さらに、単一チャネル501は、隔壁221から螺着チャンバ404までの全長を横断する必要はないため、流体流路の妨害を回避する。故に、単一チャネル501は、長く、薄いピンで作製されることもない。
【0036】
図6は、一実施形態に従う、組み立てられ、使用の準備ができた状態の例示的コネクタ200の図である。筐体230は、ポリカーボネート、ポリスチレン、およびアクリロニトリル・ブタジエン・スチレンを含む、材料から作製されてもよい。筐体230は、いくつかの実施形態では、ISO規格594に準拠する、メス型ルアー継手231を含む。同様に、筐体230の遠位端における、かつ基部210とともに形成される、オス型ルアーの構成は、いくつかの実施形態では、ISO規格594に準拠する。弁要素220は、筐体230内に配置され、変形可能かつ生体適合性であるシリコーンゴム等の弾性材料から作製されてもよい。
【0037】
図7は、一実施形態に従って適応された、例示的コネクタ700の図である。コネクタ700は、コネクタ200(例えば、
図2−6)に類似するが、コネクタ200内に特徴付けられる、V形状継手の代わりに、スロットおよびキー継手を使用して、筐体730を基部710に嵌合する。スロットおよびキー構成では、基部710は、筐体730の内側表面におけるスロット内に適合するように定寸される、突起(キー)を有する(または、その逆も然り)。製造の際、基部710および弁要素220は、筐体730内に挿入され、スロットが、キーと嵌合するまで、転動される。次いで、基部710および筐体730は、溶接される。実施形態の範囲は、基部および筐体を嵌合するための種々の技法のいずれかが、種々の実施形態において使用することができるため、スロットおよびキー継手またはV形状継手に限定されない。
【0038】
図8は、一実施形態に従う、容積式無針コネクタを製造するための例示的方法800の図である。方法800は、例えば、ヒトおよび/または1つ以上の機械によって、行われてもよい。
【0039】
ブロック801では、弁要素の遠位端が、基部の近位端に継合される。継合は、弁要素と基部との間に密閉を生成し、隔壁を第1と第2のルアー継手との間の流体流路から分離する。ブロック801は、ともに嵌合された弁要素および基部を含む、
図3Aに示されるようなアセンブリを生成する。一実施例では、弁要素および基部は、スナップ継手を使用して継合されるが、他の実施形態では、他の継合技法を使用することができる。
【0040】
ブロック802では、弁要素および基部が、筐体内に配置される。例えば、基部および筐体を自己位置合わせする、
図3Aおよび3Bに示されるようなV形状継手を使用することができるが、キーおよびスロット等の他の継手を使用することもできる。弁および基部が、筐体内に配置されると、弁要素の近位端は、筐体の近位端に、1つ以上の密閉を生成する。
【0041】
ブロック803では、基部および筐体は、恒久的に添着される。ブロック803では、超音波溶接、接着剤の塗布等、種々の技法を使用することができる。本実施例では、基部および筐体は、基部および筐体が、恒久的に添着された後、空気通気路を流体流路から分離する、密閉が生成されるように、ともに緊密に適合する。種々の実施形態は、種々の作用が、追加、省略、再配設、または修正されるため、
図8に示されるプロセスに限定されない。
【0042】
いくつかの実施形態は、従来の解決策に勝る1つ以上の利点を享受し得る。一側面では、
図1Aおよび1Bのフランジの排除は、弁要素、ひいては、コネクタ全体としてのサイズを減少させる。より小さい容積を伴うコネクタは、概して、同様に、流体および廃棄物を減少させ得る、より小さい呼水容積を有することが予測され、医療専門家にとって、視覚的により魅力的となり得る。加えて、いくつかの実施形態は、全体的幅が減少され、カテーテルが、コネクタに近接する皮膚に留着される時、概して、患者により快適となる。
【0043】
本発明およびその利点が、詳細に説明されたが、添付の請求項によって定義される、本発明の範囲から逸脱することなく、種々の変更、代用、および代替を行うことができることを理解されたい。さらに、本願の範囲は、本明細書に説明される、プロセス、機械、製造、組成物、手段、方法、およびステップの特定の実施形態に限定されることを意図するものではない。当業者が、本発明の開示から容易に理解するように、本明細書に説明される対応する実施形態と実質的に同一機能を果たす、または実質的に同一結果を達成する、現在存在する、あるいは後に開発される、プロセス、機械、製造、組成物、手段、方法、またはステップが、本発明に従って利用されてもよい。故に、添付の請求項は、その範囲内に、そのようなプロセス、機械、製造、組成物、手段、方法、またはステップを含むことが意図される。
【0044】
本明細書に説明される、すべての要素、部品、およびステップが、好ましくは、含まれる。これらの要素、部品、およびステップのいずれも、当業者に明白であるように、他の要素、部品、およびステップによって置換される、または全部削除されてもよいことを理解されたい。
【0045】
広義において、本書は、メス型ルアー継手を伴う筐体と、オス型ルアー継手を伴う基部と、筐体内に密閉を生成する、近位端、隔壁、および隔壁を通気させるように、基部に継合する、遠位端を伴う、弁要素と、を含み、基部および弁要素は、相互に連結し、筐体の内径より小さい最大外径を有するアセンブリを生成する、容積式無針アクセスコネクタを開示する。
【0046】
本書は、少なくとも以下の概念を開示する。
概念1.容積式無針アクセスコネクタであって、
メス型ルアー継手を伴う筐体と、
オス型ルアー継手を伴う基部と、
筐体内に密閉を生成する、近位端、隔壁、および隔壁を通気させるように、基部に継合する、遠位端を伴う、弁要素と、基部および弁要素は、相互に連結し、筐体の内径より小さい最大外径を有するアセンブリを生成する、コネクタ。
概念2.弁要素の遠位端は、スナップ式機構を使用して、基部に継合する、概念1の容積式無針アクセスコネクタ。
概念3.筐体は、「V」形状継手を使用して、基部に連結される、概念1の容積式無針アクセスコネクタ。
概念4.筐体は、キーおよびスロット継手を使用して、基部に連結される、概念1の容積式無針アクセスコネクタ。
概念5.隔壁から基部の遠位端へと「Y」形状通気路を備える、概念1の容積式無針アクセスコネクタ。
概念6.「Y」形状通気路は、三角形形状分岐を含む、概念5の容積式無針アクセスコネクタ。
概念7.容積式無針アクセスコネクタであって、
その近位端に、第1のルアー継手を有する、筐体と、
その遠位端に、第2のルアー継手を有する、基部と、
弁要素の表面が、実質的に、基部の表面と同一平面にあるように、第1のルアー継手に密閉を生成し、基部に継合する、近位端を伴う弁要素と、
を備える、コネクタ。
概念8.筐体および基部は、対応する嵌合表面を有する、概念7の容積式無針アクセスコネクタ。
概念9.対応する嵌合表面は、V形状カム表面を備える、概念8の容積式無針アクセスコネクタ。
概念10.対応する嵌合表面は、スロットおよびキー継手を備える、概念8の容積式無針アクセスコネクタ。
概念11.筐体、弁要素、および基部は、第1のルアー継手から第2のルアー継手へと流体流路を画定する、概念7の容積式無針アクセスコネクタ。
概念12.弁要素は、隔壁を含み、弁要素および基部は、隔壁を大気と接続する、空気路を画定する、概念11の容積式無針アクセスコネクタ。
概念13.空気路は、流体流路から密閉される、概念12の容積式無針アクセスコネクタ。
概念14.容積式無針アクセスコネクタであって、
その近位端に、第1のルアー継手を有する、筐体と、
その遠位端に、第2のルアー継手を有する、基部と、
第1のルアー継手に密閉を生成し、連動スナップ継手を使用して、基部の近位端に継合する、近位端を伴う弁要素と、
を備える、コネクタ。
概念15.弁要素の隔壁からの空気路は、スナップ継手の一部を形成する、基部の一部内に軸方向に配置される、単一経路を備える、概念14の容積式無針アクセスコネクタ。
概念16.空気路はさらに、単一経路から大気への分岐を備える、概念5の容積式無針アクセスコネクタ。
概念17.分岐は、三角形に成形される、概念16の容積式無針アクセスコネクタ。
概念18.無針アクセスコネクタを組み立てる方法であって、無針アクセスコネクタは、その近位端に、第1のルアー継手を有する、筐体と、その遠位端に、第2のルアー継手を有する、基部と、隔壁および第1のルアー継手に第1の密閉を生成する、近位端を伴う、弁要素と、を含み、
弁要素の遠位端を基部の近位端に継合し、弁要素と基部との間に第2の密閉を生成し、隔壁を第1と第2のルアー継手との間の流体流路から分離するステップであって、弁要素および基部の外側表面は、外側表面が整合する場所と同一平面である、ステップと、
弁要素および基部を筐体内に配置するステップと、
を備える、方法。
概念19.弁要素の遠位端を基部の近位端に継合するステップは、
連動スナップ継手をともに付勢するステップを備える、概念18の方法。
概念20.基部を筐体に恒久的に添着するステップをさらに備える、概念18の方法。