特許第5955318号(P5955318)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5955318
(24)【登録日】2016年6月24日
(45)【発行日】2016年7月20日
(54)【発明の名称】発光ダイオード
(51)【国際特許分類】
   H01L 33/64 20100101AFI20160707BHJP
【FI】
   H01L33/64
【請求項の数】13
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-517126(P2013-517126)
(86)(22)【出願日】2011年5月24日
(65)【公表番号】特表2013-530541(P2013-530541A)
(43)【公表日】2013年7月25日
(86)【国際出願番号】EP2011058494
(87)【国際公開番号】WO2012004049
(87)【国際公開日】20120112
【審査請求日】2014年5月19日
(31)【優先権主張番号】102010026344.3
(32)【優先日】2010年7月7日
(33)【優先権主張国】DE
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】599133716
【氏名又は名称】オスラム オプト セミコンダクターズ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Osram Opto Semiconductors GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ヨアヒム ライル
(72)【発明者】
【氏名】ゲオルク ボーグナー
(72)【発明者】
【氏名】シュテファン グレッチュ
【審査官】 金高 敏康
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−055066(JP,A)
【文献】 特開2008−199000(JP,A)
【文献】 特開2008−016797(JP,A)
【文献】 特開2005−322923(JP,A)
【文献】 特開2007−165507(JP,A)
【文献】 特開2000−150969(JP,A)
【文献】 国際公開第2009/069671(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 33/00 − 33/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光ダイオードにおいて、
取り付け面(11)を備えた支持体(1)と、少なくとも2つの発光ダイオードチップ(2)とが設けられており、
該発光ダイオードチップ(2)は、前記支持体(1)の取り付け面(11)に少なくとも間接的に取り付けられており、
前記支持体(1)は金属製ベースボディ(12)を含み、
該金属製ベースボディ(12)の外面(121)は前記取り付け面(11)を含み、
前記少なくとも2つの発光ダイオードチップ(2)は互いに並列に接続されており、
前記少なくとも2つの発光ダイオードチップ(2)は反射性エンベロープ(151)に埋め込まれており、該反射性エンベロープ(151)は、前記少なくとも2つの発光ダイオードチップ(2)の取り付け面(11)と側面を覆っており、
前記少なくとも2つの発光ダイオードチップ(2)は、前記支持体(1)とは反対側の放射出射面において、前記反射性エンベロープ(151)から突出しており、または該反射性エンベロープ(151)は前記放射出射面と同一平面上で終端しており、
前記金属製ベースボディ(12)は、前記支持体(1)の主要構成部分を成し、熱拡散のための部材として用いられ、前記少なくとも2つの発光ダイオードチップ(2)は、前記金属製ベースボディ(12)と導電接続されており、前記金属製ベースボディ(12)を介して互いに並列に接続されており、前記発光ダイオードチップ(2)は前記支持体(1)の取り付け面に、以下のようにじかに取り付けられており、すなわち、前記発光ダイオードチップ(2)は、前記支持体(1)の金属製ベースボディ(12)上にじかに配置され、接合手段を除いて、該金属製ベースボディ(12)とじかに接触しており、
前記取り付け面(11)とは反対側の前記支持体(1)の下面(1b)において、高い熱伝導率を有する電気的絶縁層(5)が前記支持体(1)に取り付けられていることを特徴とする、
発光ダイオード。
【請求項2】
前記取り付け面(11)は、前記支持体(1)の上面(1a)に位置しており、
前記少なくとも2つの発光ダイオードチップ(2)は、該取り付け面(11)のところで前記支持体(1)にじかに取り付けられており、
前記電気的絶縁層(5)は、少なくとも2W/(mK)の熱伝導率を有する、
請求項1記載の発光ダイオード。
【請求項3】
前記支持体(1)に少なくとも1つの開口部(3)が設けられており、該開口部(3)は、前記支持体(1)の上面(1a)から該上面(1a)とは反対側の前記支持体(1)の下面(1b)まで延在しており、
前記少なくとも1つの開口部(3)は、前記支持体(1)を完全に貫通しており、
前記少なくとも1つの開口部(3)の内面(31)は、電気的絶縁材料(4)によって覆われており、
前記少なくとも1つの開口部(3)は、発光ダイオードを取り付けるための固定手段(8)を収容するために設けられている、
請求項1または2記載の発光ダイオード。
【請求項4】
前記少なくとも1つの開口部(3)は、前記金属製ベースボディ(12)を完全に貫通している、
請求項3記載の発光ダイオード。
【請求項5】
前記少なくとも1つの開口部(3)が前記電気的絶縁層(5)を完全に貫通しており、
該電気的絶縁層(5)の側面(51)は前記少なくとも1つの開口部(3)内において電気的絶縁材料(4)により覆われている、
請求項4記載の発光ダイオード。
【請求項6】
前記支持体(1)は別の電気的絶縁層(13)を有しており、該別の電気的絶縁層(13)は、前記金属製ベースボーディ(12)において前記少なくとも2つの発光ダイオードチップ(2)に向いた側に取り付けられており、
前記支持体(1)は導電層(14)を有しており、該導電層(14)は、前記別の電気的絶縁層(13)において前記金属製ベースボーディ(12)とは反対側に取り付けられており、
前記少なくとも2つの発光ダイオードチップ(2)は、前記導電層(14)と導電接続されている、
請求項1から5のいずれか1項記載の発光ダイオード。
【請求項7】
前記少なくとも1つの開口部(3)は、前記別の電気的絶縁層(13)と前記導電層(14)を完全に貫通しており、
前記別の電気的絶縁層(13)の側面(131)は、前記少なくとも1つの開口部(3)内において電気的絶縁材料(4)により覆われており、前記導電層(14)の側面(141)は、前記少なくとも1つの開口部(3)内において電気的絶縁材料(4)により覆われている、
請求項6記載の発光ダイオード。
【請求項8】
前記電気的絶縁層(5)はセラミック層である、
請求項1から7のいずれか1項記載の発光ダイオード。
【請求項9】
前記電気的絶縁層(5)はセラミック材料から成る、請求項8記載の発光ダイオード。
【請求項10】
前記電気的絶縁層(5)は窒化ホウ素を含む、または窒化ホウ素から成る、請求項1から7のいずれか1項記載の発光ダイオード。
【請求項11】
前記電気的絶縁層(5)の厚さは少なくとも30μmであり、最大で100μmである、請求項1から10のいずれか1項記載の発光ダイオード。
【請求項12】
前記金属製ベースボディ(12)は、前記支持体(1)の体積の少なくとも90%を占め、かつ前記支持体の重量の少なくとも90%を占めている、請求項1から11のいずれか1項記載の発光ダイオード。
【請求項13】
前記反射性エンベロープ(151)は昼光の下で白色に見える、請求項1から12のいずれか1項記載の発光ダイオード。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は発光ダイオードに関する。
【0002】
WO2006/012842には発光モジュールについて記載されている。
【0003】
発光ダイオードを自動車前照灯に使用する場合、動作中に発光ダイオードから発生する熱が問題になることが多い。
【0004】
本発明の課題は、例えば自動車前照灯の使用にきわめて良好に適した発光ダイオードを提供することにある。
【0005】
本発明による発光ダイオードの少なくとも1つの実施形態によれば、発光ダイオードは支持体を有している。支持体は例えばプレートの形式に従い構成されている。つまり支持体の長手方向の広がりは厚さよりも大きい。支持体は、発光ダイオードのコンポーネントを収容するために設けられた取り付け面を有している。
【0006】
本発明による発光ダイオードの少なくとも1つの実施形態によれば、発光ダイオードは少なくとも2つの発光ダイオードチップを有している。発光ダイオードは有利には複数の発光ダイオードチップを有しており、例えば4つまたはそれよりも多くの発光ダイオードチップを有している。発光ダイオードの発光ダイオードチップは、動作中に赤外線放射から紫外線放射までの周波数範囲の電磁放射を発生するように構成されている。この場合、発光ダイオードチップは発光ダイオードの光源を成している。有利には発光ダイオード自体が白色光を放射する。
【0007】
本発明による発光ダイオードの少なくとも1つの実施形態によれば、発光ダイオードにおける少なくとも2つの発光ダイオードチップが、有利にはすべての発光ダイオードチップが、支持体の取り付け面に少なくとも間接的に固定されている。ここで「少なくとも間接的に」とは、各発光ダイオードチップと取り付け面との間に、例えば中間支持体あるいは接合手段例えば接着剤またははんだなどのような別の材料を存在させることができる、ということである。
【0008】
本発明による発光ダイオードの少なくとも1つの実施形態によれば、支持体は金属製ベースボディを有している。この場合、有利には金属製ベースボディは支持体の主要構成部を成している。例えば金属製ベースボディは、支持体の体積の少なくとも90%を占め、支持体の重量の少なくとも90%を占めている。金属製ベースボディは例えば、電流及び熱を良好に伝導する金属例えば銅によって形成されている。
【0009】
金属製ベースボディは、支持体の取り付け面を含む外面を有している。つまり、支持体の金属製ベースボディにおける外面の少なくとも一部分が取り付け面を成しており、この取り付け面のところで少なくとも2つの発光ダイオードチップが支持体に少なくとも間接的に取り付けられている。
【0010】
本発明による発光ダイオードの少なくとも1つの実施形態によれば、発光ダイオードにおける少なくとも2つの発光ダイオードチップは、有利にはすべての発光ダイオードチップは、電気的に互いに並列に接続されている。
【0011】
本発明による発光ダイオードの少なくとも1つの実施形態によれば、発光ダイオードは、取り付け面を備えた1つの支持体と、取り付け面のところで支持体に少なくとも間接的に取り付けられた少なくとも2つの発光ダイオードチップを有している。この場合、支持体は金属製ベースボディを有しており、これは支持体の取り付け面を含む外面を有している。さらにこの場合、発光ダイオードにおける少なくとも2つの発光ダイオードチップは、互いに並列に接続されている。
【0012】
ここで説明する発光ダイオードの基礎を成す着想とは殊に、発光ダイオードの発光ダイオードチップが金属製ベースボディのできるかぎり近くに配置されることによって、発光ダイオードの動作中に発光ダイオードチップから発せられる熱を著しく効率的に熱拡散させることができる、という点にある。つまり発光ダイオードチップから発せられる熱は、それが発生してからできるかぎりただちに、支持体の主要部を成す金属製ベースボディの体積全体を介して分散される。
【0013】
本発明による発光ダイオードの少なくとも1つの実施形態によれば、発光ダイオードはその支持体に少なくとも1つの開口部を有している。その際、この開口部は、支持体上面からこの上面とは反対側の支持体下面まで延在している。例えばこの開口部は、支持体のカバー面から支持体の底面まで延在している。その際に有利であるのは、この開口部が支持体を完全に貫通していることである。例えばこの開口部を、ドリルにより支持体に作られた穿孔として形成することができるし、あるいはこの開口部は支持体製造時にすでに設けられる。さらにこの開口部は、支持体材料と開口部との境界を成す内面を有している。その際、この内面は電気的に絶縁性の材料によって覆われている。例えば開口部の内面全体が電気的絶縁材料によってコーティングされており、それによって開口部内部ではいかなる個所においても支持体材料が露出しないようになる。
【0014】
例えばこの開口部は、発光ダイオードを取り付けるための固定手段を収容するために用いられる。例えばこの固定手段を、ねじまたはプレス嵌めのための嵌合ピンとすることができる。
【0015】
開口部内面を覆っている電気的絶縁材料は例えば、電気的に絶縁性のプラスチックであり、あるいは酸化ケイ素または窒化ケイ素のような電気的絶縁材料により形成された層である。さらに電気的絶縁材料をセラミックとすることができる。例えば電気的絶縁材料が、窒化ホウ素を含むか窒化ホウ素から成るようにすることができる。さらにこの場合、電気的絶縁材料が、側面または開口部側面を層として完全に覆うようにすることができる。電気的絶縁材料を例えば、少なくとも30μmから最大で100μmの厚さで設けることができる。
【0016】
発光ダイオードが支持体に複数の開口部を有することができ、例えば2つまたはそれ以上の開口部を有することができる。この場合、開口部の各々は上述のように構成されており、設定された組み込み個所に発光ダイオードを取り付けるための固定手段を収容するために用いられる。
【0017】
本発明の少なくとも1つの実施形態によれば、開口部は金属製ベースボディを完全に貫通している。つまり支持体において金属製ベースボディの領域に、少なくとも1つの開口部が形成されている。少なくとも金属製ベースボディの領域では、開口部内面が有利には電気的絶縁材料によって完全に覆われている。すなわち金属製ベースボディは、開口部のいかなる個所においても露出しておらず、したがって発光ダイオード動作中に容易に任意の電位におくことができる。
【0018】
発光ダイオードの少なくとも1つの実施形態によれば、支持体の取り付け面が支持体上面に配置されており、この取り付け面のところで発光ダイオードチップが支持体にじかに取り付けられている。この実施形態の場合には例えば、発光ダイオードチップは取り付け面のところで支持体にはんだ付けされている。換言すれば、発光ダイオードチップは支持体の金属製ベースボディ上にじかに取り付けられており、例えばはんだのような接合手段を除けば、この金属製ベースボディとじかに接続されている。支持体の下面では、つまり支持体において取り付け面とは反対側では、電気的絶縁層が支持体に取り付けられている。電気的絶縁層は、有利には金属製ベースボディとじかに接触している。電気的絶縁層は、支持体の下面を開口部を除いて有利には完全に覆っている。つまり金属製ベースボディも、取り付け面とは反対側において電気的絶縁層により完全に覆われている。この場合、電気的絶縁層は、少なくとも2W/(mK)の熱伝導率を有している。
【0019】
換言すればこの実施例の場合、発光ダイオードチップは金属製ベースボディの上にじかに取り付けられており、このことによって支持体における発光ダイオードチップの最適な熱結合が実現される。支持体の金属製ベースボディ全体は、熱拡散のための部材として用いられる。この事例において、発光ダイオードチップを金属製ベースボディと導電接続することができ、さらに金属製ベースボディを介して互いに並列に接続することができる。金属製ベースボディの電気的な絶縁は、熱伝導率が格段に高い点で優れている電気的絶縁層を用いることで、取り付け面とは反対側において実現される。発光ダイオードのこのような構造によって、熱源すなわち発光ダイオードチップのすぐ近くで熱を早期に拡散させることができるようになり、これにより発光ダイオード全体の熱抵抗を著しく下げることができる。
【0020】
発光ダイオードの少なくとも1つの実施形態によれば、電気的絶縁層はセラミック層である。つまり、電気的絶縁層はセラミック特性を有している。この場合、電気的絶縁層がセラミック材料を含むか、またはセラミック材料から成るようにすることができる。その際、電気的絶縁層は、少なくとも2W/(mK)の熱伝導率を有している。
【0021】
本発明による発光ダイオードの少なくとも1つの実施形態によれば、電気的絶縁層の厚さは少なくとも30μmであり、最大で100μmである。例えば電気的絶縁層の厚さは、少なくとも50μmであり、最大で70μmである。
【0022】
発光ダイオードの少なくとも1つの実施形態によれば、電気的絶縁層は窒化ホウ素を含み、または窒化ホウ素から成る。この場合、電気的絶縁層の厚さは少なくとも30μmであり、最大で100μmであり、例えば少なくとも50μmから最大で70μmの間にある。この場合、電気的絶縁層は、少なくとも2W/(mK)の熱伝導率を有している。
【0023】
本発明による発光ダイオードの少なくとも1つの実施形態によれば、発光ダイオードチップは金属製ベースボディと導電接続されており、金属製ベースボディを介して互いに並列に接続されている。つまりこの場合、発光ダイオードチップは、金属製ベースボディに向いた側では金属製ベースボディと同じ電位にある。
【0024】
本発明による発光ダイオードの少なくとも1つの実施形態によれば、開口部は支持体下面の電気的絶縁層を完全に貫通している。つまり電気的絶縁層も開口部により打ち抜かれている。この場合、金属製ベースボディに電気的絶縁層を取り付ける前または取り付けた後に、開口部を形成することができる。開口部内の電気的絶縁層の側面は、有利には電気的絶縁材料により覆われており、この電気的絶縁材料によって、金属製ベースボディの領域でも内面が覆われている。このため例えば開口部の内面は、電気的絶縁層が支持体下面に取り付けられた後ではじめて、電気的絶縁材料により覆われる。この場合、支持体下面の電気的絶縁層を同じ材料すなわち電気的絶縁材料により形成することもできる。
【0025】
本発明による発光ダイオードの少なくとも1つの実施形態によれば、発光ダイオードチップと取り付け面との間に中間支持体が配置されており、この中間支持体に発光ダイオードチップが取り付けられている。中間支持体がセラミック材料を含むようにすることができるし、あるいはセラミック材料から成るようにすることができる。つまりこの場合、中間支持体は、支持体に対する発光ダイオードチップの電気的絶縁を成すものであり、したがってここでは殊に金属製ベースボディに対する発光ダイオードチップの電気的絶縁を成すものである。この事例の場合には、支持体下面の電気的絶縁層を省くこともできる。
【0026】
本発明による発光ダイオードの少なくとも1つの実施形態によれば、支持体は別の電気的絶縁層を有しており、この別の電気的絶縁層は、金属製ベースボディにおいて発光ダイオードチップの側に取り付けられている。さらにこの別の電気的絶縁層の、金属製ベースボディとは反対側には、導電層が設けられており、この導電層に発光ダイオードチップが導電接続されている。その際にこの導電層を導体路としてパターニングすることができ、この導体路は発光ダイオードの発光ダイオードチップと接触している。
【0027】
本発明による発光ダイオードの少なくとも1つの実施形態によれば、開口部は別の電気的絶縁層と導電層を完全に貫通している。この場合、開口部内において別の電気的絶縁層と導電層の側面は、電気的絶縁材料によって覆われている。つまりこの実施例によれば、有利には開口部の内面全体が電気的絶縁材料によって覆われている。金属製ベースボディを除いて、電気的絶縁層も導電層も電気的絶縁材料によって覆われており、したがって開口部内の固定手段に対し電気的に絶縁されている。
【0028】
本発明による発光ダイオードの少なくとも1つの実施形態によれば、発光ダイオードの少なくとも2つの発光ダイオードチップは、反射性のエンベロープに埋め込まれている。有利には発光ダイオードにおけるすべての発光ダイオードチップが、反射性のエンベロープに埋め込まれている。
【0029】
ここで「埋め込まれている」とは、反射性エンベロープが発光ダイオードチップを少なくとも部分的に覆っており、覆われた個所において発光ダイオードチップとじかに接触している状態を意味する。その際に例えば、反射性エンベロープが発光ダイオードチップにおいて支持体とは反対側の放射出射面と同一平面上で終端するように構成することができる。この場合には、取り付け面と交差して延在する発光ダイオードチップ側面が、反射性エンベロープによって例えば完全に覆われた状態にすることができる。
【0030】
さらに反射性エンベロープが、取り付け面とは反対側に位置する発光ダイオードチップ放射出射面を覆うようにすることもできる。反射性エンベロープはその個所では、動作中に発光ダイオードにおいて発せられる光が反射性エンベロープを通して外部へ出射可能なように僅かな厚さを有している。反射性エンベロープは、発光ダイオードチップの放射出射面において散乱層として作用し、これによって通過光が散乱させられる。
【0031】
反射性エンベロープは有利には発光ダイオードチップのほか、取り付け面の少なくとも一部分も覆っている。例えば取り付け面は露出個所において、殊に発光ダイオードチップが配置されていない個所において、反射性エンベロープの材料により完全に覆われている。さらに例えば、支持体全体が発光ダイオードチップと向き合った表面で、反射性エンベロープにより覆われているようにすることもできる。つまりこの表面において支持体の露出領域全体が、反射性エンベロープにより覆われている。
【0032】
その際に殊に可能であるのは、反射性エンベロープが例えば昼光に照らされたときに、観察者には白く見えるようにすることである。すなわちこの場合、反射性エンベロープによって適切に覆うならば、つまり例えば、発光ダイオードチップに向いた側の表面において支持体の露出面全体を反射性エンベロープによって覆うならば、発光ダイオードチップ自体を白色に見せることができる。
【0033】
この場合、反射性エンベロープは、例えば拡散して反射を行うように形成されている。反射性エンベロープを例えばマトリックス材料により形成することができる。そしてこのマトリックス材料が例えばシリコーンを含むようにすることができ、あるいはシリコーンから成るようにすることができる。さらにこのマトリックス材料をシリコーンとエポキシドとの混合物とすることができ、すなわちいわゆるシリコーン−エポキシド・ハイブリッド材料とすることができる。反射性エンベロープのマトリックス材料に、反射性粒子を取り込むことができる。ここで反射性粒子は例えば以下の材料のうち1つの材料によって形成されており、つまり反射性粒子を、TiO2,BaSO4,ZnO,Alxy,ZrO2のうち1つの材料により構成することができる。殊に、ZrO2により形成されている放射反射性の粒子が、青色光または紫外線光の反射にきわめて良好に適している。
【0034】
さらに例えば、反射性エンベロープがマトリックス材料において、上述の材料のうちそれぞれ異なる材料によって形成されたそれぞれ異なる反射性粒子の混合物を含むようにすることも可能である。このようにすることで反射性エンベロープの反射スペクトルを、発光ダイオードの要求にきわめて良好に整合させることができる。
【0035】
次に、実施例ならびに添付の図面に基づき本発明による発光ダイオードについて説明する。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1】本発明による発光ダイオードの実施例を示す概略断面図
図2】本発明による発光ダイオードの実施例を示す概略断面図
図3】本発明による発光ダイオードの実施例を示す概略断面図
図4】本発明による発光ダイオードの実施例を示す概略断面図
【0037】
図1、2、3、4には、本発明による発光ダイオードの実施例が概略断面図として描かれている。
【0038】
図中、同じ部材、同種の部材あるいは同等の機能を果たす部材には同じ参照符号が付されている。図面及び図面に描かれている部材相互間のサイズの比率は縮尺どおりにみなされるものではない。つまり個々の部材は、見やすくするため及び/又は理解しやすくするため、誇張したサイズで描かれている場合もある。
【0039】
図1には、本発明による発光ダイオードの第1の実施例の断面図が示されている。発光ダイオードには支持体1が含まれている。さらに支持体1には金属製のベースボディ12が含まれており、このベースボディ12は支持体の主要構成部分を成している。この場合、金属製ベースボディ12は、支持体の体積及び重量の少なくとも95%を占めている。金属製ベースボディは例えば銅によって形成されており、つまり金属製ベースボディは銅を含むか、または銅から成る。
【0040】
支持体1は電気的に絶縁性のさらに別の層13を有しており、この絶縁層13は部分的に、支持体の上面1aにおいて金属製ベースボディ12の外面121に取り付けられている。その際、この絶縁層13を、金属製ベースボディ12とじかに接触させることができる。絶縁層13において金属製ベースボディ12とは反対側の面に導電性14が設けられており、この導電層14は例えば導体路としてパターニングされている。
【0041】
支持体1は開口部3を有しており、この開口部は支持体1を貫通しており、つまり金属製ベースボディ12と絶縁層13と導電層14を、支持体1の上面1aから支持体1の下面1bまで完全に貫通している。
【0042】
各開口部3の内面31は、ここでは電気的に絶縁性の材料4によって完全に覆われている。つまりこの絶縁材料4は、金属製ベースボディ12の端面と絶縁層の端面131と導電層の端面141を覆っている。
【0043】
各開口部は固定手段8例えばねじを収容するために用いられる。この場合、固定手段8は、発光ダイオードを取り付けるために設けられている(図3の固定手段8)。
【0044】
図1の実施例によれば、発光ダイオードチップ2は支持体1の取り付け面11のところで金属製ベースボディ12にじかに取り付けられており、例えばはんだ付けされている。その際、発光ダイオードチップ2は互いに並列に接続されており、金属製ベースボディ12に向いた側で金属製ベースボディ12と同じ電位におかれている。
【0045】
発光ダイオードチップ2はボンディングワイヤ21を介して、導体路となるようパターニングされた導電層14と接続されている。この場合、ボンディングワイヤ21のうちの1つは金属製ベースボディ12とじかに導電接続されている。例えば発光ダイオードは4つの発光ダイオードチップを含み、これらの発光ダイオードチップは、動作中に青色光及び/又は紫外線放射を発生させるために設けられている。発光ダイオードチップ2各々の後段に、あるいはすべての発光ダイオードチップ2に共通にそれらの後段に、ルミネセンス変換材料が配置されており、この変換材料は、発光ダイオードチップ2から動作中に発せられた電磁放射の少なくとも一部分を、発光ダイオードから全体として白色光が放射されるよう変換を行う。
【0046】
図1の実施例によれば、すべての発光ダイオードチップ2の上にカバー7が設けられており、このカバーは支持体1と機械的に固定されて接続されている。カバー7を、例えばガラスから成るカバーとすることができる。さらに、セラミックのルミネセンス変換材料の粒子がカバー7に含まれるようにしてもよいし、カバー7がルミネセンス変換材料から成るようにしてもよい。
【0047】
支持体1において発光ダイオードチップ2とは反対側の下面に、有利には金属製ベースボディ12の上にじかに、電気的に絶縁性の層5が取り付けられており、この層によって支持体1が電気的に絶縁される。電気的絶縁層5を完全に貫通する開口部3の領域において、電気的絶縁層5の側面51が電気的に絶縁性の材料4によって覆われるようにすることができる。この場合、電気的絶縁材料4と電気的絶縁層5を同じ材料によって形成することができる。
【0048】
次に、図2に示した断面図を参照しながら、本発明による発光ダイオードの第2の実施例について詳しく説明する。図1の実施例とは異なりこの実施例の場合、発光ダイオードチップ2の接触接続は、導体路としてパターニングされた電気的に導電性の層14を介して行われる。この目的で導電層14は、発光ダイオードチップ2の図示されていない接続個所とじかに接触している。このため図2の実施例によれば、さらに別の電気的絶縁層13が、発光ダイオードのいくつかの発光ダイオードチップの少なくとも側面を部分的に覆っている。導電層14は、それらの発光ダイオードチップ2の側面において電気的絶縁層13に沿って、発光ダイオードチップ2の電気的接続個所まで案内されている。
【0049】
次に、図3に示した断面図を参照しながら、本発明による発光ダイオードの第3の実施例について詳しく説明する。図1とは異なりこの実施例によれば、電気的絶縁層5が省かれている。この場合、発光ダイオードチップ2は、金属製ベースボディ12と発光ダイオードチップ2との間に配置された電気的に絶縁性の中間支持体6を介して、支持体1の金属製ベースボディ2から電気的に絶縁されている。中間支持体6は、例えばセラミック材料から成る。中間支持体6において金属製ベースボディ12とは反対側に、金属製の導体路をパターニングすることができ、この金属製導体路を介して、発光ダイオードチップ2が中間支持体6上で並列に接続される。図3による発光ダイオードは、電気的絶縁層5の取り付けを省略できることから、図1及び図2による実施例よりも製造が簡略化されている点で優れている。他方、不都合な点があるとすれば、図1及び図2を参照しながら説明した実施例とは異なり、発光ダイオードチップ2から金属製ベースボディ12へのダイレクトな熱の拡散は行われず、熱伝導性が中間支持体6によって低減されることである。
【0050】
すべての実施例において、カバー7を設けてもよいし、省略してもよい。カバー7は発光ダイオードチップ2を機械的に保護することができるし、しかも放射変換及び/又は放射拡散といった光学特性を決定する役割を担うことができる。
【0051】
次に、図4に示した断面図を参照しながら、本発明による発光ダイオードのさらに別の実施例について説明する。既述の実施例とは異なり、発光ダイオードはここでは反射性のエンベロープ151を有しており、このエンベロープ151に発光ダイオードチップ2が埋め込まれている。この場合、反射性エンベロープ151は、支持体1の取り付け面11を完全に覆っている。図4の実施例の場合、発光ダイオードチップ2は、支持体1とは反対側であり発光ダイオードチップ2の放射出射面を成す表面で、反射性エンベロープ151から突出している。例えば反射性エンベロープ151は、この表面と同一平面上で終端している。その際、反射性エンベロープは、例えばシリコーンのようなマトリックス材料によって形成されており、この材料中に、放射を反射する粒子例えば二酸化チタンから成る粒子が埋め込まれている。
【0052】
本発明による発光ダイオードのすべての実施例において、反射性エンベロープ151を用いることができる。例えば図3の実施例であれば、反射性エンベロープ151は中間支持体6の露出した外面も完全に覆うことになる。
【0053】
これまで実施例に基づき本発明を説明してきたが、本発明はそれらの実施例に限定されるものではない。むしろ本発明は、個々の新たな特徴ならびにそれらの特徴のあらゆる組み合わせを含むものであり、そのような組み合わせには殊に、特許請求の範囲に記載された特徴のあらゆる組み合わせが含まれ、このことは、それらの特徴またはそれらの組み合わせ自体が特許請求の範囲あるいは実施例に明示的には挙げられていないにせよ、あてはまるものである。
【0054】
本出願は、ドイツ連邦共和国特許出願102010026344.3の優先権を主張するものであり、この主張に基づきその開示内容が含まれるものとする。
図1
図2
図3
図4