特許第5955320号(P5955320)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5955320
(24)【登録日】2016年6月24日
(45)【発行日】2016年7月20日
(54)【発明の名称】LED照明装置
(51)【国際特許分類】
   H05B 37/02 20060101AFI20160707BHJP
【FI】
   H05B37/02 J
【請求項の数】6
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2013-524696(P2013-524696)
(86)(22)【出願日】2012年7月12日
(86)【国際出願番号】JP2012067857
(87)【国際公開番号】WO2013011924
(87)【国際公開日】20130124
【審査請求日】2015年6月9日
(31)【優先権主張番号】特願2011-156303(P2011-156303)
(32)【優先日】2011年7月15日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000001960
【氏名又は名称】シチズンホールディングス株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000131430
【氏名又は名称】シチズン電子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100165191
【弁理士】
【氏名又は名称】河合 章
(74)【代理人】
【識別番号】100151459
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 健一
(72)【発明者】
【氏名】堺 圭亮
(72)【発明者】
【氏名】高橋 鈴太郎
(72)【発明者】
【氏名】秋山 貴
【審査官】 安食 泰秀
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−65922(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3167927(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 37/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
整流回路と、
前記整流回路と接続され、前記整流回路の出力電圧が閾値電圧を越えると電流が流れ始める単数又は複数のLEDを含む第1の発光回路と、
前記第1の発光回路を経由せずに前記整流回路へ電流を流すためのバイパス経路と前記第1の発光回路を流れる電流を検出する検出部とを有する第1のバイパス回路と、
前記第1の発光回路に接続された第2のバイパス回路と、
前記第2のバイパス回路に接続され、前記整流回路の出力電圧が閾値電圧を越えると電流が流れ始める単数又は複数のLEDを含む第2の発光回路と、
前記第2の発光回路に流れる電流を制限する電流制限回路と、を有し、
前記第1のバイパス回路は、前記検出部が検出する電流が所定値を越えた場合に、前記バイパス経路を流れる電流を遮断する、
ことを特徴とするLED照明装置。
【請求項2】
前記第1のバイパス回路は、前記バイパス経路を流れる電流と前記第1の発光回路を流れる電流の和が一定の値となるように制御する、請求項1に記載のLED照明装置。
【請求項3】
前記第1のバイパス回路は、前記バイパス経路中に配置されたディプレッション型FETと、電流検出抵抗とを含み、前記ディプレッション型FETは、前記第1の発光回路を流れる電流を前記電流検出抵抗により検出して、前記バイパス経路の開閉制御を行う、請求項1又は2に記載のLED照明装置。
【請求項4】
前記第1のバイパス回路は、前記バイパス経路中に配置されたエンハンスメント型FET及び電流検出抵抗と、前記エンハンスメント型FETの制御用のバイポーラトランジスタと、プルアップ抵抗とを含み、前記バイポーラトランジスタは、前記第1の発光回路を流れる電流を前記電流検出抵抗により検出して、前記エンハンスメント型FETを用いて前記バイパス経路の開閉制御を行う、請求項1又は2に記載のLED照明装置。
【請求項6】
前記第1のバイパス回路と並列に前記整流回路に接続され、抵抗及びコンデンサを直列接続したフィルタ回路を更に有する、請求項1〜4の何れか一項に記載のLED照明装置。
【請求項7】
前記フィルタ回路は、前記第1のバイパス回路より、前記第1の発光回路側に配置されている、請求項6に記載のLED照明装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、調光器の出力によりLEDを点灯させるLED照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
商用交流電源に接続し、LED(発光ダイオードともいう)を点灯させる照明装置が知られている(以下LED照明装置と呼ぶ)。LED照明装置は、商用交流電源を整流して使うことが多い。特に、容量の大きなコンデサーを省いて、脈流又は脈流に近い電圧を、多数のLEDを直列接続したLED列に印加することがある。
【0003】
LED列に直接脈流を印加すると、発光期間が短くなるため、LED列に流れる電流を検出して直列段数を調節する回路が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
図7は、特許文献1の図26に記載のLED照明装置を示す図である。便宜上、図7には、必要な箇所に番号や電流等を記入している。
【0005】
図7に示すLED照明装置は、商用交流電源712、4個のダイオードからなるブリッジ整流回路705、並列に配置されたLED第1グループ及びLED第2グループ、LED第1及び第2グループと直列に接続されたLED第3グループ、抵抗R1、R2及びR3、n型MOSトランジスタ(FET)Q1、及びNPNトランジスタQ2を有している。
【0006】
抵抗R2及びR3と、トランジスタQ1及びQ2とは、バイパス回路717を構成している。ブリッジ整流回路705の電流出力端子Aは並列に配置されたLED第1及び第2グループに接続している。並列に配置されたLED第1及び第2グループのカソード側は、LED第3グループのアノード側とバイパス回路717に接続している。バイパス回路717に含まれる電流検出用の抵抗R3及びトランジスタQ2のベースにはバイパス回路717を通る電流I3とLED第3グループを通る電流I4が流れ込んでいる。
【0007】
図8は、図7に示すLED照明装置における電圧と電流の関係を示す図である。図8(a)はブリッジ整流回路705の端子Bを基準とした場合の端子Aにおける脈流の一周期分の電圧波形例を示し、図8(b)はブリッジ整流回路705に流れる脈流電圧一周期分の電流波形例を示している。図8(b)に示す電流波形は、概ね電流I3と電流I4の和に等しい。
【0008】
端子Aの電圧が並列に配置されたLED第1及び第2グループの閾値電圧より低い期間t1では電流I3及びI4は0Aである。続いて、端子Aの電圧が並列に配置されたLED第1及び第2グループの閾値電圧を超えると短い期間t2で電流が増加する。続いて、端子Aの電圧が更に上昇すると電流I3及び電流I4の和が一定になる期間t3が現れる。期間t3の前半はバイパス回路717にのみ電流I3が流れ、期間t3の後半はバイパス回路717とともにLED第3グループにも電流I4が流れる。このとき、トランジスタQ2のベース・エミッタ間電圧が0.6Vを保つように電流I3と電流I4が調整される。
【0009】
続いて、端子Aの電圧が上昇し、電圧波形のピークを含む期間t4では、トランジスタQ2が飽和してバイパス回路717がカットオフし、電流I3が流れなくなる。期間t4では、電流I4が電流制限用の抵抗R3で規制されるだけになるため、全体の電流は端子Aの電圧と相似する。端子Aの電圧が下降する期間は、電圧が上昇する期間の逆の経路をたどる。
【0010】
図7に示すLED照明装置では、全てのLEDが消灯する期間t1が短いためフリッカーが目立たないうえ、力率や歪み率が良好で高調波ノイズが少ないという特徴がある。
【0011】
また、商用交流電源とブリッジ整流回路との間に調光回路を設けたLED照明装置も知られている(例えば、特許文献2参照)。特許文献2に記載されたLED照明装置では、ブリッジ整流回路から出力される脈流を大容量のコンデンサを用いて平滑化した平滑化電圧を用いてLEDを点灯させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】WO2011/020007号公報 (図26
【特許文献2】特開2011−3467号公報(図1
【発明の概要】
【0013】
図9は、図7に示すLED照明装置において、商用交流電源とブリッジ整流回路705との間に調光器901を挿入した例を示す図である。
【0014】
図9に示す調光器901は、リーディングエッジ型の調光器であり、商用交流電源712からの電圧波形の位相を制御して調光するものである。例えば、調光器901は、図8(a)で示した脈流電圧のうち前半部を切り取り、後半部にのみ電圧があるように動作し、電圧のある期間の幅を調整することで調光する。
【0015】
図10は、図9に示すLED照明装置における電圧と電流の関係を示す図である。図10(a)は理想的な負荷についてブリッジ整流回路705の端子Bを基準とした場合の端子Aにおける脈流の一周期分の電圧波形例を示し、図10(b)は図9の回路についてブリッジ整流回路705が出力する脈流電圧一周期分の電圧波形例を示している。
【0016】
図10(a)では、調光器901の作用により、図8(a)で示した脈流電圧のうち前半部を切り取られた電圧波形となっている。図10(b)に示すように、ブリッジ整流回路705には、前半は本来電圧のない期間であるにも係わらず徐々に増加するような電圧が現れる。図10(b)に示すように、ブリッジ整流回路705には、後半は端子Aの電圧に複数の鋭いピークが現れる。なお、並列に配置されたLED第1及び第2グループに流す電流をある程度増加させると、図10(b)に現れるピークは消せるが、前半部の異常な電圧は消えない。
【0017】
図10(b)に示すように、誤動作が発生するのは、調光器901を正常動作させるためにはある程度の電流を流す必要があるからであると考えられる。しかしながら、図10(a)に示す電圧波形がほぼゼロとなる期間では、調光器901へは、正常動作のために必要な最低限の電流が流れていない。
【0018】
図10(b)に現れるような誤動作は、図7に示すLED照明装置に調光器901に接続する場合だけでなく、白熱電球又はハロゲンランプ等に較べ軽負荷となるLED照明装置を他の調光器に接続しても発生する可能性がある。なお、軽負荷となるLED装置と並列に電流経路を形成し重負荷となるようにすれば、前述した誤動作を解消することができる可能がある。しかしながら、そのような重負荷化を行うのでは、低消費電力であるというLED照明装置の特徴を失うことになる。
【0019】
これに対して、特許文献2に示すLED照明装置では、調光回路2が正常動作するための最小保持電流を維持する負荷回路7を備えている。しかしながら、特許文献2に示すLED照明装置では、更にコンデンサを含む平滑回路4を有しており、整流回路3から出力される電圧を平滑回路4で平滑化してからLED等の負荷6を点灯させるための点灯回路5へ供給している。
【0020】
したがって、特許文献2に示すLED照明装置では、LED等の負荷6はDC駆動されている。DC駆動で調光を行うためには、点灯回路5は、調光回路2が電力を供給する位相を検出して、調光回路2が電力を供給する位相に応じてLED等の負荷6へ供給するDC電圧を制御することとなる。このような点灯制御では、複雑な制御回路を必要とする上に、安定したDC電圧が必要となる。そこで、平滑回路4には大容量のコンデンサが必要となるはずであり、大容量のコンデンサは、回路のコンパクト化を阻害する。さらに、大容量のコンデンサとして、例えば電界コンデンサを利用した場合には、LEDから生じる熱の影響により、短寿命となり、LED照明装置自体の寿命を短くしたり、メンテナンスを必要としたりという不具合がある。
【0021】
そこで、本発明は、LEDを光源とするLED照明装置において、調光器の出力で動作させても正常に動作し、さらに消費電力を低くできるLED照明装置を提供することを目的とする。
【0022】
さらに、本発明は、平滑回路を利用せず、簡単な回路構成で、調光器を誤動作させることがない、LED照明装置を提供することを目的とする。
【0023】
LED照明装置は、整流回路と、整流回路と接続され且つ整流回路の出力電圧が閾値電圧を越えると電流が流れ始める単数又は複数のLEDを含む発光回路と、発光回路を経由せずに整流回路へ電流を流すためのバイパス経路と発光回路を流れる電流を検出する検出部とを有するバイパス回路を有し、バイパス回路は検出部が検出する電流が所定値を越えた場合にバイパス経路を流れる電流を遮断することを特徴とする。
【0024】
さらに、LED照明装置では、前記バイパス回路は、前記バイパス経路を流れる電流と前記発光回路を流れる電流の和が一定の値となるように制御することが好ましい。
【0025】
さらに、LED照明装置では、バイパス回路は、バイパス経路中に配置されたディプレッション型FETと電流検出抵抗とを含み、ディプレッション型FETは、発光回路を流れる電流を前記電流検出抵抗により検出して、バイパス経路の開閉制御を行うことが好ましい。
【0026】
さらに、LED照明装置では、バイパス回路は、バイパス経路中に配置されたエンハンスメント型FET及び電流検出抵抗と、エンハンスメント型FETの制御用のバイポーラトランジスタと、プルアップ抵抗とを含み、バイポーラトランジスタは、発光回路を流れる電流を電流検出抵抗により検出して、エンハンスメント型FETを用いてバイパス経路の開閉制御を行うことが好ましい。
【0027】
さらに、LED照明装置では、発光回路に接続された第2のバイパス回路と、第2のバイパス回路に接続され、整流回路の出力電圧が閾値電圧を越えると電流が流れ始める単数又は複数のLEDを含む第2の発光回路と、第2の発光回路に流れる電流を制限する電流制限回路を更に有することが好ましい。
【0028】
さらに、LED照明装置では、バイパス回路と並列に整流回路に接続され、抵抗及びコンデンサを直列接続したフィルタ回路を更に有することが好ましい。
【0029】
さらに、LED照明装置では、フィルタ回路は、バイパス回路より、発光回路側に配置されていることが好ましい。
【0030】
LED照明装置は、整流回路と単数又は複数のLEDを含む発光回路を備え、この発光回路が第1の電源端子と第2の電源端子を有し、第3の電源端子、第4の電源端子及び電流検出端子を有するバイパス回路を備え、第1の電源端子と前記第3の電源端子と整流回路の一端が接続し、第2の電源端子と前記電流検出端子とが接続し、第4の電源端子が前記整流回路の他端と接続し、整流回路の一端と他端との間の電圧が低いときに前記第3の電源端子を通じて電流が流れ、電流検出端子を通る電流が所定の値を超えたときに前記第3の電源端子を通じて流れる電流がなくなり、整流回路の一端の電圧が、単数のLEDからなるか、又は複数のLEDが直列接続したLED列の閾値電圧を超えると、単数のLED又はLED列に電流が流れ、電流が電流検出端子に流れ込む、ことを特徴とする。
【0031】
調光器は商用交流電源から得られる電圧波形を変形し、特定の期間だけ電圧があるようにし、残りの期間は電圧がないようにしている。しかしながら、電圧のない期間といっても完全に0Vになるわけではなく僅かに電圧が存在する。そこで、LED照明装置では、この電圧のない期間においてバイパス回路を通じて電流を流しておくことにより調光器の動作を安定させる。なお、この電圧のない期間は、LEDに閾値があるため発光回路に電流は流れない。調光器の出力が電圧のある期間に移った直後、発光回路に電流が流れ始めても、調光器の安定した動作状態が維持される。調光器の出力が電圧のある期間に移り、発光回路に流れる電流が所定値を超えるとバイパス回路はカットオフし、回路電流は発光回路を流れるものだけになる。よって、上記のLED照明装置では、調光器の出力で動作させても正常に動作し、さらに消費電力を低くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】LED照明装置100の概略ブロック図である。
図2図1に示すLED照明装置100の回路図である。
図3(a)】図1に示すLED照明装置100において、端子Bを基準とした場合の端子Aの電圧を示す図である。
図3(b)】図3(a)に対応して端子Aを流れる電流Iの波形を示す図である。
図4】他のLED照明装置400の回路図である。
図5(a)】図4に示すLED照明装置400において端子Bを基準とした場合の端子Aの電圧を示す図である。
図5(b)】図5(a)に対応して端子Aを流れる電流Iの波形を示す図である。
図6】更に他のLED照明装置500の回路図である。
図7】特許文献1の図26に記載のLED照明装置を示す図である。
図8(a)】図7に示すLED照明装置において、ブリッジ整流回路705の端子Bを基準とした場合の端子Aにおける脈流の一周期分の電圧波形例を示す図である。
図8(b)】図7に示すLED照明装置において、ブリッジ整流回路705に流れる脈流電圧一周期分の電流波形例を示す図である。
図9図7に示すLED照明装置において、商用交流電源とブリッジ整流回路705との間に調光器901を挿入した例を示す図である。
図10(a)】負荷が適正な場合に、図9に示すLED照明装置において、ブリッジ整流回路705の端子Bを基準とした場合の端子Aにおける脈流の一周期分の電圧波形例を示す図である。
図10(b)】図9に示すLED照明装置において、ブリッジ整流回路705が出力する脈流電圧一周期分の電圧波形例を示している。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下図面を参照して、LED照明装置について説明する。但し、本発明の技術的範囲はそれらの実施の形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された発明とその均等物に及ぶ点に留意されたい。なお図面の説明において、同一または相当要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。また説明のため部材の縮尺は適宜変更している。
【0034】
図1は、LED照明装置100の概略ブロック図である。
【0035】
LED照明装置100は、調光器109の電源出力端に接続され、調光器109の電源入力端は商用交流電源108と接続している。LED照明装置100は、整流回路105、バイパス回路106、発光回路107等を備えている。
【0036】
整流回路105は、4個のダイオード101〜104からなるダイオードブリッジであり、ダイオードブリッジの上端と下端が調光器109の電源出力端に接続されている。端子Aは整流回路105の電流流出側の端子であり、端子Bは電流流入側の端子である。なお、整流回路105として、4つのダイオードからなるダイオードブリッジを用いた例を示したが、整流回路105はこれに限定されず他の構成を用いても良い。例えば、整流回路105を、1つのダイオードから構成しても良い。
【0037】
バイパス回路106は、プラス側電源端子111(第3の電源端子)、マイナス側電源端子112(第4の電源端子)、電流検出端子113、電流制限部116及び電流検出部117を備えている。プラス側電源端子111は端子A及び電流制限部116の上端と接続し、マイナス側電源端子112は端子B及び電流検出部の下端と接続している。電流検出部117へは電流制限部116から電流が流れ込むとともに、電流検出端子113を通じて発光回路107からも電流が流れ込むように構成されている。
【0038】
整流回路105の端子Aと端子Bとの間の電圧が低いとき(以下端子Bを基準に端子Aの電圧を示す)、プラス側電源端子111から、電流制限部116、電流検出部117及びマイナス側電源端子112を介して、端子Bへ電流が流れる。端子Aの電圧が上昇し発光回路107にも電流が流れるようになると、電流検出部117に流れる電流が略一定となる様にフィードバックが掛かる。更に端子Aの電圧が上昇し電流検出端子113を通る電流が所定の値を超えるようになったら、バイパス回路106へプラス側電源端子111を通じて流れ込む電流を減少させるようにフィードバックが掛かる。
【0039】
発光回路107は内部に単数又は複数の発光ダイオード(以下LEDと呼ぶ)を含み、プラス側電源端子114(第1の電源端子)及びマイナス側電源端子115(第2の電源端子)を備えている。プラス側電源端子114は、端子A及びバイパス回路106のプラス側電源端子111と接続されている。マイナス側電源端子115は、バイパス回路106の電流検出端子113と接続されている。
【0040】
図2は、図1に示すLED照明装置100の回路図である。図2では、図1に示すLED照明装置100におけるバイパス回路106と発光回路107を素子レベルで記載した。
【0041】
バイパス回路106は、抵抗121、124、エンハンスメント型のn型MOSトラントランジスタ122(以下FETと呼ぶ)、NPN型バイポーラトランジスタ123(以下トランジスタと呼ぶ)を含んで構成されている。発光回路107は、LED126、127を含む多数のLEDが直列接続したLED列125、及び抵抗128を含んで構成されている。
【0042】
バイパス回路106のプラス側電源端子111は抵抗121の上端とFET122のドレインに接続され、マイナス側電源端子112はトランジスタ123のエミッタと抵抗124の下端に接続されている。電流検出端子113はFET122のソース、トランジスタ123のベース及び抵抗124の上端の接続部に接続されている。FET122を通る電流I1及び発光回路107から流れ込む電流I2は、抵抗124とトランジスタ123を経由して整流回路105の端子Bに向かう。
【0043】
図1では、電流制限部116及び電流検出部117を機能をブロック化して描いているが、概ね電流制限部116に対応するのがFET122であり、電流検出部に対応するのが抵抗124である。また、抵抗121とトランジスタ123は、抵抗124に流れる電流を一定するためのフィードバック機能を担っている。
【0044】
発光回路107において、LED126、127などLED列125に含まれる各LEDの順方向電圧が約3Vであるとき、LED列125のLED直列段数は商用交流電源108の実効値で決まる。LED直列段数は、商用交流電源108の実効値が100〜120Vの場合、例えば30〜40となり、商用交流電源108の実効値が200〜240Vの場合、例えば60〜80となる。抵抗128は、LED列125に流れる電流を制限する。発光回路107のプラス側電源端子114はLED列125のアノードに接続されており、マイナス側電源端子115は抵抗128の下端に接続されている。
【0045】
以下、バイパス回路106の動作について説明する。なお、便宜上、端子Aの電圧は0Vから時間とともに上昇するものとする。
【0046】
整流回路105の端子Aの電圧が0Vであるとき電流I1は流れない。続いて、端子Aの電圧が上昇するとプラス側電源端子111を通じて電流I1が流れ始め、その後トランジスタ123のベース・エミッタ間電圧を約0.6Vに保つように一定の電流I1が流れる。
【0047】
さらに、端子Aの電圧が上昇して、発光回路107にも電流I2が流れるようになると、電流I1と電流I2の和と、抵抗124との積が約0.6Vになるよう電流I1が調整される。即ち、プラス側電源端子111を通じて流れる電流I1と、電流検出端子113を通じて流れ込む電流I2の和が一定になる電圧域がある。この電圧域においてはバイパス回路106に含まれるトランジスタ123は非飽和状態にあり、ベース・エミッタ間電圧を基準にして電流I1と電流I2の和を一定にしている。
【0048】
さらに、電圧が上昇し電流検出端子113を通る電流が所定の値を超えると、トランジスタ123が飽和しFET122がカットオフする。この結果、プラス側電源端子111を通じて流れる電流がなくなり、電流検出端子113を通じて整流回路105の端子Bに戻る電流は、発光回路107を流れる電流I2だけになる。なお、抵抗121に流れる電流の大きさは小さいものとして無視した。電流I2は、抵抗128で制限されるが、端子Aの電圧の上昇にともなって増加する。
【0049】
図3は、調光器109の出力で図2に示す回路を動作させた場合の波形図である。図3(a)は図1に示すLED照明装置100において端子Bを基準とした場合の端子Aの電圧を示す図であり、図3(b)は図3(a)に対応して端子Aを流れる電流Iの波形を示す図である。
【0050】
図3(a)に示すように、調光器109の出力電圧は脈流の一部が切り取られたものとなり、その出力電圧を整流回路105で全波整流すると、切り取った部分が0Vとなった波形になる。なお、図3(a)における点線は、調光しない場合の脈流を示している。
【0051】
図3(b)に示すように、先ず電流Iは0Aから立ち上がり一定値になる。図3(a)において端子Aの電圧が0Vとして示した部分でも、現実には僅かな電圧(数V)が存在するため、バイパス回路106を通じて電流I1を流し、僅かな電圧(数V)しか存在しない期間であっても、調光器109の動作を安定させている。
【0052】
次に、端子Aの電圧が急激に上昇すると発光回路107に電流I2が流れ、電流波形も急激に立ち上がる(t10参照)。このとき、バイパス回路106が電流I1と電流I2の和を一定にできる限度を越えてしまうため、トランジスタ123が飽和して、FET122がカットオフする。この結果、電流I1が0Aとなり、電流Iは電流I2に等しくなる。そして電流Iの波形は、端子Aの電圧波形(図3(a)参照)と相似する。
【0053】
その後、端子Aの電圧が下がり、電流Iが一定になる期間(t11参照)が現れる。期間t11ではトランジスタ123のベース電圧が下がり、再び電流I1と電流I2の和が一定となるようフィードバックが働くようになる。期間t11の前半では電流I2が存在するが、後半では電流I1だけになる。期間t11の後には、最終的に電流I1が0Aとなり電流Iがなくなる。なお、図3(b)における点線は調光しない場合における電流Iの波形である。
【0054】
調光器109は、脈流の前半を切り取るように動作するリーディングエッジ型であり、例えば、トライアック200、ダイアック201、ボリューム202、抵抗203及びコンデンサ204等を含んで構成される。しかしながら、調光器109は、脈流の後半を切り取るように動作するトレーリングエッジ型であってもよい。また、調光器109は、脈流の前半と後半を交互に切り取るように動作しても良い。他の種類の調光器であっても、電圧波形が切り取られた期間において、バイパス回路によりバイパス電流を流すことで調光器の動作を安定化させることが可能となる。
【0055】
図4は、他のLED照明装置400の回路図である。
【0056】
図1及び2に示したLED照明装置100に含まれる発光回路107は、一個のLED列125だけを含む単純なものであった。この場合、脈流の一周期に対し発光期間が短くなりフリッカーやモーションブレークが目立つことがある。発光期間を長くする手法としては、LED列の直列段数を、電圧或いは電流に応じて切り換えてやることが有効である。LED照明装置400では、電流に応じてLED列の直列段数を切り換えながら、調光器の出力を用いても誤動作しない構成とした。
【0057】
図4において、商用交流電源108、調光器109、整流回路105、バイパス回路106は、図2に示した構成と同様である。図4に示すLED照明装置400と図2に示すLED照明装置100との差違は、LED照明装置400の発光回路407が複数段化している点、及びバイパス回路106と並列にフィルタ回路403が挿入されている点である。
【0058】
なお、図4図1と対応付けた場合、図1の発光回路107に図4の発光回路407が対応し、図1の発光回路107のプラス側電源端子114に図4の発光回路407のプラス側電源端子414が対応し、図1の発光回路107のマイナス側電源端子115に図4の発光回路407のマイナス側電源端子415が対応することとなる。
【0059】
発光回路407は、LED436、437を含むLED列435と、LED446、447を含むLED列445とを備えている。LED列435及びLED列445の間には第2バイパス回路408が接続され、LED列445のカソード側には電流制限回路409が接続されている。LED列435及びLED列445の直列段数は、商用交流電源108の実効値が100〜120Vであるとき、例えば、LED列435を25及びLED列445を15とし、商用交流電源108の実効値が200〜240Vであるとき、例えば、LED列435を50及びLED列445を30とすることができる。
【0060】
第2バイパス回路408は、抵抗431、FET432、トランジスタ433、抵抗434を備え、バイパス回路106と同じ回路構成となるが、抵抗434の値が図2に示したLED照明装置100の抵抗124の値と異なる。電流制限回路409も、抵抗441、FET442、トランジスタ443、抵抗444を備え、バイパス回路106と同じ回路構成となるが、抵抗444の値が図2に示したLED照明装置100の抵抗124の値と異なる。この場合、抵抗の値は、抵抗444、抵抗434、抵抗124の順に大きく設定されている。
【0061】
以下、発光回路407の動作について説明する。なお、便宜上、端子Aの電圧は0Vから時間とともに上昇するものとする。
【0062】
整流回路105の端子Aの電圧が0Vであるとき、電流Iは流れない。続いて、端子Aの電圧が上昇しLED列435の閾値を超えると、発光回路407に電流Iが流れ始め、トランジスタ433のベース・エミッタ間電圧を約0.6Vに保つように一定の電流が流れる電圧域が現れる。この電圧域の前半では、バイパス回路408に含まれるFET432だけに電流が流れ、後半ではLED列445を通る電流も流れる。この電圧域では、バイパス回路408に含まれるFET432を流れる電流とLED列445に流れる電流との和が一定になる。
【0063】
さらに端子Aの電圧が上昇すると、LED列445及び電流制限回路409を経由する電流が増加しトランジスタ433が飽和するため、バイパス回路408がカットオフし、FET432を流れる電流がなくなる。バイパス回路408がカットオフしたとき、LED列445を流れる電流は、端子Aの電圧がさらに上昇しても電流制限回路409によって上限値が制限される。つまり電流制限回路409は、発光回路407に流れる電流の上限値を制限できるので、商用交流電源108又は調光器109の出力電圧が不安定であっても発光回路407を安定して動作させることができる。
【0064】
バイパス回路106と、抵抗401及びコンデンサ402が直列接続したフィルタ回路403とをLED照明装置400から取り除くと、図4の端子Aの電圧波形は、図10(b)のようになる。即ち、本来0Vとなる期間に異常な電圧が現れるとともに、脈流の一部が現れるべき期間に鋭いピークが現れる。また、バイパス回路106のみをLED照明装置400から取り除くと、図4の端子Aの電圧波形は、図10(b)の後半に見られるピークは消滅するが、前半の異常な電圧は消滅しない。仮に、調光器109にバイパス回路106と発光回路407だけからなるLED照明装置を接続した場合、そのLED照明装置ではLEDが点灯する期間であっても負荷のバランスが崩れ端子Aの電圧が振動することがある(図10参照)。これに対し、LED照明装置400では、フィルタ回路403を挿入しているので、振動を抑圧し動作が安定化する。特に、LED列に流す電流が小さい場合、フィルタ回路403の効果は大きい。
【0065】
更に、バイパス回路106に流す電流を減らそうとした場合、LED照明装置400は調光に対する安定性が悪くなるが、フィルタ回路403を挿入することでこの安定性を回復することできるようになる。即ち、抵抗401とコンデンサ402が直列接続したフィルタ回路403は、LED照明装置400の動作を安定化させることが理解できる。フィルタ回路403としては、例えば抵抗401を1kΩ、コンデンサ402を0.047μFとすることができる。
【0066】
図5は、調光器109の出力で図4に示す回路を動作させた場合の波形図である。図5(a)は図4に示すLED照明装置400において端子Bを基準とした場合の端子Aの電圧を示す図であり、図5(b)は図5(a)に対応して端子Aを流れる電流Iの波形を示す図である。
【0067】
調光器109の出力は、脈流の一部が切り取られ、切り取られた部分が0Vとなった波形になるので、整流回路105で全波整流すると図5(a)の実線で示したように、前半に電圧がなく、後半に脈流の一部が現れた波形となる。図5(a)において、点線は調光しない場合の脈流を示している。バイパス回路106の動作は、原則として、LED照明装置100で説明した通りであるが、図4に示すLED照明装置400に対応して、以下にその動作を説明する。
【0068】
図5(b)に示すように、先ず電流Iは0Aから立ち上がり一定値になる。これは図5(a)において端子Aの出力電圧が0Vと示していた部分でも、現実には僅かな電圧(数V)が残っているためバイパス回路106を通じて電流が流れるためである。続いて、端子Aの電圧が上昇すると、LED列435に電流が流れ電流波形は急激に立ち上がる(時刻t20参照)。時刻t20において、バイパス回路106はカットオフし、FET122を流れる電流は0Aとなり、電流IはLED列435を流れる電流に等しい。図5(b)において、点線は調光しない場合の脈流を示している。
【0069】
前述したように、発光回路407には、バイパス回路106及び第2のバイパス回路408がカットオフしLED列445を流れる電流が電流制限回路409で制限される第1の電圧域、端子Aの電圧に応じて第2のバイパス回路408に流れる電流とLED列445を流れる電流の和が一定になる第2の電圧域、及びバイパス回路106に流れる電流とLED列435を流れる電流の和が一定になる第3の電圧域の3つの電圧域が存在する。したがって、電流Iの波形も、図5(b)に示すように、第1の電圧域に対応した第1のレベル(L1)、第2の電圧域に対応した第2のレベル(L2)、及び第3の電圧域に対応した第3のレベル(L3)が存在する。なお、図5では端子Aの電圧が電流制限を受ける電圧域で点灯し始める場合を図示しているが、一般に調光する場合の電流Iの波形は、調光しない波形(点線及び実線の一部)で占めされる波形から一部を切り出したものとなる。
【0070】
LED照明装置400では、電流を検出してLED列の直列段数の切り換えを行っているが、電圧を検出してLED列の直列段数を切り換えても良い。ただし、電圧を検出してLED列の直列段数を切り換える方式では、LED列の直列段数の切換え時に電流値が鋭いピークを持つように急激に変動し、高調波ノイズが発生する場合がある。これに対して、LED照明装置400では、電流を検出してLED列の直列段数の切り換えを行っており、電圧の増減に応じて電流を追従させることができるので、高調波ノイズの発生を防止し、力率及び歪み率を良好な状態に維持することができる。
【0071】
LED照明装置400では、2つのLED列の直列段数の切り換えを行っているが、切り換える直列段数の数は2つに限定されない。例えば、5つのLED列を直列に接続する場合には、LED列435及び第2のバイパス回路408とからなるセットと同様のセットを5セット準備する。そして、LED照明装置においてLED列435と第2のバイパス回路408とからなるセットにLED列445と電流制限回路409からなるセットを接続した様に、準備した5セットをカスケード接続すれば良い。なお、FETのソースに接続する抵抗は、それぞれのセットで異なった値を有する。
【0072】
図6は、更に他のLED照明装置500の回路図である。
【0073】
図6において、商用交流電源108、調光器109、及び整流回路105は、図4に示した構成と同様である。図6に示すLED照明装置500と図4に示すLED照明装置400との差違は、バイパス回路506、第2のバイパス回路508及び電流制限回路509の回路構成を変更した点と、フィルタ回路503の位置を変更した点である。
【0074】
図4におけるLED照明装置400では、バイパス回路106、第2のバイパス回路408及び電流制限回路409は、2つの抵抗素子と、エンハンスメント型のn型MOSトラントランジスタ(FET)、及びNPN型バイポーラトランジスタから構成した。しかしながら、図6におけるLED照明装置500では、同様の回路をディプレッション型FETと1つの抵抗によって構成している。
【0075】
バイパス回路506では、FET512のドレインが整流回路105の出力端子Aと接続され、ゲートが整流回路105の入力端子B及び抵抗511の一端と接続され、ソースが抵抗511の他端と接続されている。抵抗511に電流Ixが流れると、電圧降下が発生し、FET512のゲート電圧VGとソース電圧VS間に電位差が生じる。ディプレッション型FETでは、VG−VS間の電位差がオフセット値より低くなると、オフするように動作する。したがって、バイパス回路506では、発光回路507に電流が流れることによって、抵抗511を流れるIxが大きくなると、FET512がオフし、FET512のドレインとソース間を流れる電流が遮断される。
【0076】
第2のバイパス回路508及び電流制限回路509も、上記のバイパス回路506と同様に動作する。図5に示すLED照明装置500における、バイパス回路506、第2のバイパス回路508及び電流制限回路509は、図4に示すLED照明装置400のバイパス回路106、第2のバイパス回路408及び電流制限回路409と同様に機能する。即ち、バイパス回路506、第2のバイパス回路508及び電流制限回路509は、整流回路105の出力電流の経路を切り換え、上限値を制限する。
【0077】
したがって、発光回路507には、図4に示す発光回路407と同様に、バイパス回路506及び第2のバイパス回路508がカットオフしLED列445を流れる電流が電流制限回路509で制限される第1の電圧域、端子Aの電圧に応じて第2のバイパス回路508に流れる電流とLED列445を流れる電流の和が一定になる第2の電圧域、及びバイパス回路506に流れる電流とLED列435を流れる電流の和が一定になる第3の電圧域の3つの電圧域が存在する。
【0078】
図6に示すLED照明装置500では、フィルタ回路503の位置を、バイパス回路506の後段に配置している。バイパス回路506は、バイパス回路106(図4参照)と同様に、調光器109が電圧をほぼ0Vになる期間においても、調光器109に少量の電流を継続して流し、調光器109の誤動作を防止する機能を有している。さらに、LED照明装置500では、調光器109と負荷とのマッチング不良による電圧の振動をフィルタ回路503が抑制している。このとき、フィルタ回路503に流れる電流をバイパス回路506にフィードバックするため、フィルタ回路503をバイパス回路506の後段に配置した。これで、フィルタ回路503に流れる電流が削減される。なお、フィルタ回路503を構成する素子及びその機能は、フィルタ回路403(図4参照)と同様である。
【0079】
なお、前述したLED照明装置100、400及び500は、調光器109を介さずに商用交流電源に接続しても、低消費電力で正常に動作する。
図1
図2
図3(a)】
図3(b)】
図4
図5(a)】
図5(b)】
図6
図7
図8(a)】
図8(b)】
図9
図10(a)】
図10(b)】