(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記分離部材の第2の導電層は、積層体に設けられて配線を形成し、第1の導電層は、第2の導電層と分離されることを特徴とする請求項1に記載のプリント回路基板の製造方法。
前記第1の導電層及び第2の導電層の厚さは、それぞれ8μm〜70μmの範囲であり、第1の導電層の厚さが、第2の導電層に比べて大きいことを特徴とする請求項1に記載のプリント回路基板の製造方法。
前記ステップ(e)において形成された積層体の最上下面のそれぞれに位置するパターン形成用の導電層は、単層または2層以上の多層構造であることを特徴とする請求項1に記載のプリント回路基板の製造方法。
前記多層構造のパターン形成用導電層が互いに分離可能な第2の導電層と第1の導電層であれば、前記ステップ(f)に進むことを特徴とする請求項4に記載のプリント回路基板の製造方法。
前記ステップ(f)において、分離部材を中心に上部及び下部においてそれぞれ分離された積層体の構造は、互いに同一であることを特徴とする請求項1に記載のプリント回路基板の製造方法。
前記ステップ(f)において分離された積層体は、上下部の面にそれぞれ第2の導電層が位置し、前記積層体の内部には、所定の形状を有する導電性回路パターンと絶縁層とがn層以上交互に積層されていることを特徴とする請求項6に記載のプリント回路基板の製造方法。
前記分離された各積層体の垂直方向に貫通するスルーホールを少なくとも1つ以上形成するステップをさらに含むことを特徴とする請求項7に記載のプリント回路基板の製造方法。
前記分離された各積層体の上下面のそれぞれに設けられる第2の導電層をメッキし、回路パターンを形成するステップをさらに含むことを特徴とする請求項8に記載のプリント回路基板の製造方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って、本発明の目的は、多層、両面、非対称な構造などのような種々の設計を適用することができると共に、製造工程の簡略化及び経済性を図ることができる新規な構造のプリント回路基板及びその製造方法を提供することにある。
【0007】
なお、本発明が達成しようとする他の技術的な課題は、上述の技術的課題に制限されるのではなく、言及していない他の技術的な課題は、後述の記載内容から本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者が明確に理解できる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述の技術的な課題を達成するための本発明の新規な構造を有するプリント回路基板は、(a)分離用絶縁部材の上下面のそれぞれに互いに分離可能な第1の導電層及び第2の導電層が順次設けられた分離部材を準備するステップ;(b)前記分離部材の上下面のそれぞれに、第1の絶縁部材とパターン形成用の第1の導電層とを順次積層するステップ;(c)積層された第1の導電層の一領域に第1の導電性回路パターンを形成するステップ;(d)形成された第1の導電性回路パターンの上に、それぞれ第2の絶縁部材とパターン形成用の第2の導電層とを順次積層して圧着するステップ;(e)前記ステップ(c)〜(d)を繰り返して導電性回路パターンがn層以上積層された積層体を形成するステップ(但し、nは1〜10の自然数である);及び(f)前記分離部材から分離用絶縁部材と第1の導電層とを取り外して第2の導電層が設けられた積層体をそれぞれ分離するステップ;を含む方法で製造することができる。
【0009】
前記分離部材の第2の導電層は、積層体に設けられて配線を形成し、第1の導電層は、第2の導電層と分離されるものであることができる。
【0010】
前記ステップ(e)において形成された積層体の最上下面のそれぞれに位置するパターン形成用の導電層は、単層または2層以上の多層構造であることができる。
【0011】
この時、前記多層構造のパターン形成用導電層が、互いに分離可能な第2の導電層と第1の導電層であれば、前記ステップ(f)に進むことができる。
【0012】
前記ステップ(f)において、分離部材を中心に上部及び下部においてそれぞれ分離された積層体の構造は、互いに同一であることができる。
【0013】
前記分離された各積層体の垂直方向に貫通するスルーホールを少なくとも1つ以上形成するステップをさらに含むことができる。
【0014】
また、前記分離された各積層体の上下面のそれぞれに設けられる第2の導電層をメッキし、回路パターンを形成するステップをさらに含むことができる。
【0015】
本発明は、上述のような製造方法により製造されたプリント回路基板を提供する。
【0016】
前記プリント回路基板は、絶縁基材部;前記基材部の上面に設けられ、所定の導電性回路パターンを備える単位層が少なくとも1つ以上積層された上部導電性回路パターン部;前記基材部の下面に設けられ、所定の導電性回路パターンを備える単位層が少なくとも1つ以上積層された下部導電性回路パターン部;及び前記絶縁基材部、上部導電性回路パターン部及び下部導電性回路パターン部が全体として貫通するように設けられ、これらを電気的に連結するための少なくとも1つ以上のスルーホールを含み、前記上部導電性回路パターン部及び下部導電性回路パターン部は、絶縁基材部を中心にしてそれぞれ上下方向に非対称な構造であることができる。
【0017】
ここで、前記上部導電性回路パターン部と下部導電性回路パターン部とは、それぞれ独立して、単層又は2層以上の多層構造であることができる。
【0018】
また、前記各単位層に含まれた導電性回路パターンは、その厚さ、形状、 構造又はこれら全てが互いに非対称な構造を取ることができる。
【0019】
この時、前記絶縁基材部及び各単位層に含まれた絶縁層は、それぞれ独立して、構成樹脂の含有量、構成樹脂の材質、絶縁層の熱膨張係数、絶縁層の厚さ又はこれら全てが異なるように構成されることができる。
【0020】
なお、本発明は、新規な構造を有するプリント回路基板を製造するための中間体として、分離用絶縁部材の上下面のそれぞれに互いに分離可能な第1の導電層と第2の導電層とが順次設けられた分離部材;前記分離部材の上下面のそれぞれに順次積層される積層用絶縁部材;前記絶縁部材の上下面のそれぞれに順次積層される導電層を含むプリント回路基板形成用の積層体を提供する。
【0021】
この時、前記第1の導電層と第2の導電層とは、これらの界面上に粘着層が設けられており、0.02kgf/cm
(即ち、0.196133N/cm)以上の力が加えられると、互いに分離されるようにすることができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明に係るプリント回路基板の新規な製造方法は、片面印刷回路基板の他に、両面や非対称、多層構造のプリント回路基板の構造に適用することができるため、プリント回路基板の設計自由度が高い。
【0023】
また、分離部材を使用しているため、複数個のプリント回路基板を同時に製作するこができ、製造工程の生産性を向上することができる。
【0024】
さらに、銅張積層板(CCL)を適用しないコアレス(coreless)構造を適用することができるため、プリント回路基板の厚さを格段に減少させることができる。
【0025】
さらには、プリント回路基板の非対称な構造からもたらされる、製造工程中における撓みや最終物における構造的な撓みを最小に抑えることで、製造の容易さを確保することができる。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、添付の図面を参照して本発明の一実施例に係るプリント回路基板の詳細を説明する。
【0028】
図2は、本発明の一実施例に係るプリント回路基板の構成を示す断面図である。
【0029】
本発明のプリント回路基板200は、絶縁基材部201と、前記基材部の上面に位置する上部導電性回路パターン部210と、前記基材部の下面に位置する下部導電性回路パターン部220と、前記絶縁基材部210、上部導電性回路パターン部210及び下部導電性回路パターン部220が全体的に貫通するように設けられ、これらを電気的に連結するための少なくとも1つ以上のスルーホール260とを含む。
【0030】
なお、前記上部導電性回路パターン部210は、前記絶縁基材部201の上面に形成され、所定形状の導電性回路パターン232、242、251を備える単位層230、240、250が少なくとも1つ以上積層される形態であることができる。同様に、前記下部導電性回路パターン部220は、前記絶縁基材部201の下面に設けられ、所定形状の導電性回路パターン252を備える単位層220が少なくとも1つ以上積層される形態であることができる。
【0031】
この時、前記上部導電性回路パターン部210及び下部導電性回路パターン部220は、絶縁基材部210を中心にして上下方向に互いに非対称な(unbalanced)構造を有することができる。一例として、各単位層220、230、240、250の厚さや層数を異ならせ、又は、導電性回路パターン232、242、252の形状や厚さ或いは仕組みをそれぞれ異ならせることで非対称な構造とすることができる。
【0032】
絶縁基材部201は、互いに連結された各層を電気的に絶縁させながら、プリント回路基板の外観を形成し、耐久力を提供する機能を果たす。
【0033】
前記絶縁基材部201としては、粘着特性を有する熱硬化性樹脂を制限なく使用することができ、ポリイミド(PI)などの軟性素材、ガラス繊維、BT、エポキシ、フェノール樹脂などの混合材料を用いる剛性素材などが挙げられる。使用可能な絶縁部材としては、例えば、ガラス繊維入りの含まれたエポキシ樹脂、フェノール樹脂、カーボンにエポキシを積層して形成されたプレプレグ(prepreg)又はこれらの混合形態を取るものが挙げられるが、これらに制限されない。
【0034】
前記絶縁基材部201の上下部の面には、それぞれ上部導電性回路パターン部210と下部導電性回路パターン部220とが設けられているが、この時、上部及び下部導電性回路パターン部210、220は、それぞれ独立して、単層(mono−layer)又は前記単位層が2層以上積層された多層(multi−layer)構造とすることができる。
【0035】
本発明において、単位層220、230、240、250は、所定の形状を有する導電性回路パターンが積層された単層(monolayer)を指す。なお、各単位層は、絶縁層を含む形態のもの230、240であるか、又は、含まない形態のもの220、250であることができる。また、各単位層220、230、240、250の厚さは、それぞれ独立して、互いに同一又は異なることができ、また、各単位層に含まれた導電性回路パターン232、242、251、252の厚さは互いに同一又は異なることができる。一例として、各単位層に含まれた導電性回路パターンの厚さは、8μm〜70μmの範囲で、各単位層に含まれる絶縁層の厚さは、15μm〜150μmの範囲であることができる。また、必要によって上下部の単位層の総厚さを適正に調整することができる。
【0036】
前記上部導電性回路パターン部210が多層構造である場合、単位層の一部230、240は、その一面に前記導電性回路パターン232、242を有する絶縁層231、241を含み、最上部の単位層250は、絶縁基材部の上面に導電性回路パターン251が露出される形態とすることができる。
【0037】
この時、導電性回路パターン部に含まれる絶縁層231、241としては、互いに連結された各層を電気的に絶縁させ得る高分子物質であれば、特に限定されない。例えば、エポキシ樹脂やフェノール樹脂などの材質で形成されることができ、前記絶縁基材部201の成分と同一であることができる。前記絶縁層に無機充填剤やガラス繊維などを全体として均一に分布させることで熱膨張係数を調節することができ、高分子物質とガラス繊維の熱膨張係数をそれぞれ調節して使用することもできる。
【0038】
また、導電性回路パターン232、242、251、252は、導電性物質から形成される金属薄膜形態を有し、銅製であることもできる。また、下部導電性回路パターン部220は、上述の上部導電性回路パターン部と同じ構造及び/又は構成を有することができる。
【0039】
本発明において、上部導電性回路パターン部210と下部導電性回路パターン部220とを構成する各単位層220、230、240、250の合計は、偶数又は奇数であることができる。特に、従来は、撓み問題を最小に抑制するため、銅張積層板(CCL)を適用して対称構造を有するプリント回路基板のみを制限的に製作していた。これに対し、本発明では、銅箔及び絶縁層の厚さをそれぞれ異ならせて構成し、又は、層数に制約のない多層構造のプリント回路基板を自由に設計し、撓み問題を生じることなく製作することができるという利点がある。
【0040】
さらに、
図2は、複数個の単位層230、240、250を含む多層構造の上部導電性回路パターン部210を例示しているが、これらに限定されない。その他、下部導電性回路パターン部220が多層構造であるか、又は、上部導電性回路パターン210及び下部導電性回路パターン部220のいずれも多層構造であるものも本発明の範疇に属する。
【0041】
本発明に係るプリント回路基板の製造方法は、後述のステップを含むことができる。
【0042】
前記製造方法の好適な一実施例としては、(a)分離用絶縁部材の上下面のそれぞれに互いに分離可能な第1の導電層及び第2の導電層が順次設けられた分離部材を準備するステップ;(b)前記分離部材の上下面のそれぞれに、第1の絶縁部材とパターン形成用の第1の導電層とを順次積層するステップ;(c)積層された第1の導電層の一領域に第1の導電性回路パターンを形成するステップ;(d)形成された第1の導電性回路パターンの上に、それぞれ第2の絶縁部材とパターン形成用の第2の導電層とを順次積層して圧着するステップ;(e)前記ステップ(c)〜(d)を繰り返して導電性回路パターンがn層以上積層された積層体を形成するステップ(但し、nは1〜10の自然数である);及び(f)前記分離部材から分離用絶縁部材と第1の導電層とを取り外して第2の導電層が設けられた積層体をそれぞれ分離するステップを含むことができる 。
【0043】
なお、上述の製造方法は、分離部材を中心にして、分離部材の上部及び下部の双方にそれぞれステップ(b)〜(e)を同様に行うことが好ましい。
【0044】
以下、添付の
図3乃至
図10を参照して本発明の一実施例に係るプリント回路基板の製造工程の詳細を説明する。
【0045】
1)分離部材310を準備する。
図3に示されるように、分離部材310は、分離用絶縁部材320の上下面のそれぞれに互いに分離可能な第1の導電層331及び第2の導電層332が順次設けられている。なお、分離部材用の第1の導電層331は、第2の導電層を保護し、分離ステップにおいて第2の導電層から分離される機能を果たす。第2の導電層332は、積層体を構成する上部絶縁部材341及び下部絶縁部材342にそれぞれ設けられ、シード層(seed)として作用し、配線を形成する機能を果たす。
【0046】
前記分離部材用の第1の導電層331と第2の導電層332とは、それぞれ導電性物質から構成される金属薄膜の形態であって、銅製であることができる。
【0047】
この時、前記第1の導電層331と第2の導電層332とは、これらの層間に粘着層を含んでいるため、耐熱性及び防錆性を有する。また、前記粘着
層に含まれた粘着成分により、普通の状態では、他の基材と安定的に付着されるが、0.02kgf/cm
(即ち、0.196133N/cm)以上、好ましくは、0.02〜0.045kgf/cm
(即ち、0.196133〜0.44129925N/cm)の範囲の力が加えられる場合は、物理的な損傷を受けることなく、第1の導電層と第2の導電層とが互いに分離される。
【0048】
前記分離部材用の第1の導電層331と第2の導電層332の厚さは、それぞれ8μm〜70μmの範囲であることができ、第2の導電層を保護するため、第1の導電層331の厚さは、第2の導電層に比べて大きいことが好ましい。
【0049】
分離用絶縁部材320は、第1の導電層及び第2の導電層332の支持体としての役割を果たす。また、分離ステップにおいて、第1の導電層と共に除去される。
【0050】
2)前記分離部材の上下面のそれぞれに第1の絶縁部材とパターン形成用の第1の導電層とを順次積層して第1の積層体を形成する(
図3参照)。
【0051】
第1の積層体300は、上述の分離部材の上下面のそれぞれに順次積層される積層用の第1の絶縁部材341、342、及び前記積層用の第1の絶縁部材の上下面のそれぞれに順次積層される第1の導電層351、352を含む。
【0052】
なお、第1の絶縁部材とパターン形成用の第1の導電層とは、分離部材を中心にして上部及び下部にそれぞれ独立に配置されるため、前記第1の絶縁部材は、第1の上部絶縁部材341と第1の下部絶縁部材342とにそれぞれ区分される。同様に、パターン形成用の第1の導電層は、パターン形成用の第1の上部導電層351と第1の下部導電層352とにそれぞれ区分される。以下、分離部材を中心にして上部及び下部における本発明の他の構成においても、同じく区分することができる。
【0053】
図3を参照して詳述すると、パターン形成用の第1の上部導電層351、第1の上部絶縁部材341、分離部材310、第1の下部絶縁部材342及びパターン形成用の第1の下部導電層352をそれぞれ順次積層する。
【0054】
前記第1の上部絶縁部材341及び第1の下部絶縁部材342は、各層間の絶縁機能を果たすものであって、上述の分離用絶縁部材320と同様な構成を有することができる。これらのいずれも320、341、342が半硬化状態のプレプレグであることができる。
【0055】
前記パターン形成用の第1の上部導電層351と第1の下部導電層352とは、内層における電気的な導通機能だけでなく、熱通路(ヒートパス)機能をさらに有する。前記導電層の厚さ範囲は、8μm〜36μmの範囲であることができ、1オンス(oz)以上で形成されることもできる。
【0056】
本発明においては、パターン形成用の第1の上部導電層351、第1の上部絶縁部材341、分離部材310、第1の下部絶縁部材342及びパターン形成用の第1の下部導電層352が順次積層されるものを例示して説明しているが、必要によっては、これらの積層順を一部変更したり、選択的に混用することができ、これらも本発明の範疇に属する。
【0057】
3)積層された第1の導電層の一領域に所定の形状を有する第1の導電性回路パターンを形成する(
図4参照)。
【0058】
分離部材を中心にして上部及び下部にそれぞれ対称的に形成される第1の導電性回路パターンは、第1の上部導電性回路パターン351と第1の下部導電性回路パターン352とに区分される。
【0059】
なお、回路パターンの形成方法としては、特に制限されず、当業界における常法で形成することができる。
【0060】
4)第1の積層体の最上部及び下部に位置する第1の導電性回路パターン上にそれぞれ第2の絶縁部材とパターン形成用の第2の導電層とを順次積層して圧着することで、第2の積層体を形成する(
図4〜5参照)。
【0061】
図4〜5を参照して上述の製造工程の具体例を挙げると、前記第1の上部絶縁部材341の上面に形成された第1の上部導電性回路パターン351上に、第2の上部絶縁部材343とパターン形成用の第2の上部導電層361とを順次積層する。同様に、第1の下部導電性回路パターン352上に第2の下部絶縁部材344とパターン形成用の第2の下部導電層362とを順次積層する。次に、これらに圧着を施すことで第2の上部積層体391と第2の下部積層体392とを形成する。
【0062】
なお、前記パターン形成用の第2の上部導電層361と第2の下部導電層362とは、単層又は2層以上の多層構造であることができる。
【0063】
形成された第2の上部積層体391は、第1の上部絶縁部材341上に第1の上部導電性回路パターン351、第2の上部絶縁部材343及びパターン形成用の第2の上部導電層361が順次積層された形態であり、前記第2の下部積層体392は、第1の下部絶縁部材342上に第1の下部導電性回路パターン352、第2の下部絶縁部材344及びパターン形成用の第2の下部導電層362が順次積層された形態であることができる。
【0064】
5)前記第2の積層体の最上部及び最下部の面に積層された第2の上部導電層361及び第2の下部導電層362が単層(single layer)であれば、前記ステップ3)〜4)を順次n回繰り返して行うことで、導電性回路パターンがn層以上積層された第nの積層体を形成する。なお、nは、1〜10の自然数である。
【0065】
例えば、第1の積層体から1回繰り返して行う場合、第2の上部積層体391と第2の下部積層体392とは、それぞれ少なくとも1層以上、好ましくは、2つの上部及び下部の導電性回路パターン351、352、361、362、並びに2つの上下部絶縁層343、344、341、342を含むことができる。
【0066】
前記パターン形成用の第2の導電層361、362として、分離部材310を基準に互いに分離不可能な多層の導電層が適用される場合でも、前記ステップ3)〜4)を繰り返して行うことができる。この時、第2の積層体391、392上に形成される導電性回路パターンと絶縁部材の積層回数は、特に限定されず、必要によって適正に調節することができる。
【0067】
また、
図6〜7は、前記第2の積層体上に積層される導電層として、多層構造のパターン形成用導電層が導入され、前記ステップ3)〜4)を1回繰り返して行う過程を示すものである。
【0068】
前記製造工程の一例としては、第2の上部導電性回路パターン361上に第3の上部絶縁部材345とパターン形成用の第3の上部導電層370とを、第2の下部導電性回路パターン362上に第3の絶縁部材346とパターン形成用の第3の下部導電層380とを、それぞれ積層した後、圧着して、第3の上部積層体393と第3の下部積層体394とを形成する。
【0069】
ここで、前記パターン形成用の第3の上部導電層370と第3の下部導電層380が2層以上の多層構造(multi−layer)であると共に、前記分離部材310と同様に互いに分離可能な第2の導電層381、382と第1の導電層371、372から構成される場合、次工程の分離ステップに進むことができる。なお、前記第3の導電層370、380として、薄膜状の単一の導電層が設けられる場合でも、必要によっては、分離ステップに進むことができる。
【0070】
上述のように形成された第3の上部積層体393の上面と第3の下部積層体394の下面とは、それぞれ分離部材310の第1の導電層と類似した機能を果たす第1の導電層371、372が配置されるようになる。
【0071】
6)前記分離部材から分離用絶縁部材と第1の導電層とを取り外して第2の導電層が設けられた積層体をそれぞれ分離する(
図8参照)。
【0072】
本発明の第3の上部積層体393、第3の下部積層体394及び分離部材310は、いずれも互いに分離可能な第1の導電層331、371、372と、第2の導電層332、381、382とをそれぞれ含む。
【0073】
図8を参照すると、例えば、前記分離部材310から第1の導電層331と分離用絶縁部材320を取り外すと共に、第3の上部積層体393の上面と第3の下部積層体394の下面にそれぞれ位置する第1の導電層371、372のみを選択的に取り外すことにより、第2の導電層381、382,332が上下面の上に設けられた第4の上部積層体395、第4の下部積層体396をそれぞれ分離することができる。
【0074】
本発明においては、分離部材310の上部及び下部においてそれぞれ同様な製造工程を行っているため、分離部材を中心にして分離された各積層体395、396の構造は、互いに同一である。例えば、分離された第4の上部積層体395と第4の下部積層体396との上下面には、それぞれ薄膜状の第2の導電層332、381、382が設けられ、前記第4の積層体の内部には、所定の形状を有する導電性回路パターン351、352、361、362と絶縁層343、344、345、346とが、少なくともn層以上交互に積層される構造であることができる。
【0075】
この時、分離された第4の上部積層体395及び第4の下部積層体396のそれぞれに含まれる導電性回路パターン332、351、352、361、362、381、382が上下方向に非対称な構造を有する場合でも、上述の製造工程中において、それぞれ上部積層体と下部積層体との間の上下対称構造が維持されているため、製造工程中に発生する撓み特性を最小に抑えることができる。また、種々の構造を有するプリント回路基板を同時に製作することができる。
【0076】
7)次に、分離された各積層体の垂直方向に貫通するスルーホールを少なくとも1つ以上形成する(
図9参照)。
【0077】
スルーホール390は、後にメッキ工程を通じて層間導通のために形成される。なお、スルーホールの位置や形状、個数は、特に制限されず、必要によって自由に調整することができる。
【0078】
前記スルーホール390は、当業界における常法で形成することができ、例えば、機械的なドリル又はレーザーなどを用いることができる。レーザーを用いる場合は、図示していないが、ビアホールが形成されるべき部位にレーザーを照射してビアホールを形成する方法を用いることもできる。このようにスルーホール又はビアホールを形成した後、前記ホールを加工する過程において内壁に形成される不純物を除去する後処理工程をさらに含むことができる。これにより、後工程であるメッキ工程の効率が向上し、その結果、製品の信頼性を向上することができる。
【0079】
8)スルーホールが形成された積層体の上下面のそれぞれに設けられた第2の導電層にメッキを施した後、回路パターンを形成する(
図9参照)。
【0080】
図9に示されるように、第4の上部積層体395の上下面のそれぞれに位置する第2の導電層332、381は、薄膜状であるため、シード(seed)332、381として使用することで、希望の厚さを有するメッキ層383、384をさらに形成することができる。一例として、前記第2の導電層は、微細回路(50ピッチ)の配線形成が可能である。なお、スルーホール390においてもメッキが施されるので、電気的に導通される。
【0081】
その後、
図10に示されるように、所定の形状を有する回路パターン385、386を形成し、分離された各積層体の上に、当業界における通常のプリント回路基板の製造工程、例えば、ソルダーレジスト形成工程、エッチング及び配線工程、電磁素子実装工程などをさらに行うことで、プリント回路基板の製作が完了する。
【0082】
一方、上述のプリント回路基板の製造方法としては、上述の各ステップを順次行って製造する方法の他に、設計仕様に応じて各工程のステップを変更又は選択的に混用して行うことができる。
【0083】
なお、プリント回路基板の撓み現象は、プリント回路基板の実装時において、工程性及び生産性に大きな影響を与え、しかも、パッケージ組み立て工程中における移送誤差又はプリント回路基板の電気的な導通不良をもたらすことがあり得るので、非常に重要なファクターであるといえる。プリント回路基板は、種々の材料が積層されてなる構造物であって、撓み現象の主な原因は、各積層材料の熱膨張係数(CTE)の差であり、その他、影響を及ぼす原因として、各材料の弾性係数(ヤング率)、工程中における温度の変化、吸湿、機械的な荷重などが知られている。
【0084】
前述のようにプリント回路基板の撓み特性は、主に積層材料間の熱膨張及び収縮の差と荷重により発生されているため、本発明は、その差を減らすため、多層に積層される積層材料の組成と厚さ(dielectric thickness control)、熱膨張係数(CTE)などの物性を変化させて撓み特性を最小に抑えることに他の特徴がある。
【0085】
このため、本発明においては、上述の製造工程における2)〜5)の積層ステップにおいて使用される少なくとも2つの絶縁部材として、前記絶縁部材を構成する樹脂の含有量(Resin contents)、構成樹脂の材質や組成、絶縁部材を構成する成分の熱膨張係数(CTE)、絶縁部材の厚さ、又はこれらの全部を異ならせて構成されるものを使用することができる。
【0086】
前記プリント回路基板の撓み度合いを制御するための本発明の一実施例は、下記の通りである。
【0087】
まず、各製造工程におけるプリント回路基板形成用の積層体又は最後に得られるプリント回路基板の撓み度合いを予測又は実測する。
【0088】
この後、予測または実測された撓み値が(+)の値であれば、以後の積層工程では、絶縁部材として、(+)値を補正できる構成を有する絶縁部材を使用する。例えば、i)樹脂の含有量がより少なく、ii)厚さがより小さく、又は、iii)熱膨張係数(CTE)がより低くなるように調節された絶縁部材を使用することができる。
【0089】
逆に、予測又は実測された撓み値が(−)の値であれば、以後の積層工程では、i)樹脂の含有量がより高く、ii)熱膨張係数がより高く、及び/又は、iii)厚さがより厚くなるように調節された絶縁部材を使用することで、撓み度合いを補正することができる。
【0090】
本発明においては、多層に積層される2つ以上の絶縁部材のCTEのマッチング、又は、樹脂の含有量、樹脂の厚さなどのような誘電体厚さの調節(dielectric thickness control)を通じての撓み制御を例示しているが、その他、CCL(Copper Clad Laminate)コアを使用しないコアレス形態のプリント回路基板において多層に積層される導電層及び/又は導電性回路パターンの厚さを互いに異ならせて構成することで、撓み度合いを改善することも本発明の範疇に属する。
【0091】
従って、本発明によれば、上述の製造工程中における撓み現象を最小に抑えると共に、分離工程で得られたプリント回路基板形成用の中間体又は最後に得られたプリント回路基板のいずれにおいても、撓み特性が画期的に改善されることがわかる。
【0092】
以上、実施例を中心に説明してきたが、これらは本発明の例示に過ぎないもので、本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者であれば、本実施例の本質的な特性から逸脱しない範囲内で、例示していない種々の変更又は応用を行うことができる。例えば、実施例において具体的に示された各構成要素は、変更して実施することができる。なお、このような変更及び応用による差異は、添付の特許請求の範囲で規定する本発明の範囲に含まれるものと解釈されるべきである。