(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
容器(4)が、少なくとも2つの保持セクション(4A、4B)を含んでなり、第1の状態において、第1の保持セクション(4A)が第1の製品(13A)を保持し、第2の保持セクション(4B)が第2の製品(13B)を保持し、第1の保持セクション(4A)および第2の保持セクション(4B)が、第1の状態において、第1の保持セクション(4A)と第2の保持セクション(4B)の間の流体連通を阻止するように構成、配置された分離部材(5B)によって互いから分離されており、
デバイス(1)を第1の状態から第2の状態へ切替えるとき、分離部材(5B)は容器(4)に対して可動である、
請求項1に記載の薬剤送達デバイス(1)。
測定ユニット(16、17、18)が、容器(4)に沿った異なる位置に配列された複数のセンサ(16B、17B、18B)を含んでなり、センサ(16B、17B、18B)が光学センサを含んでなる、
請求項2〜6のいずれか1項に記載の薬剤送達デバイス(1)。
デバイス(1)が、デバイス(1)が投薬準備完了モードにあるか、または、ホールド・モードにあるかどうかをユーザに示すように構成、配置されたユーザ・インタフェース(19)を含んでなり、
ユーザ・インタフェース(19)が、制御ユニット(39)により制御される、
請求項7または請求項8に記載の薬剤送達デバイス(1)。
デバイス(1)が第2の状態にあるとき、測定ユニット(16、17、18)が、デバイス(1)がプライミングを行なう必要があるかどうかを決定するように構成されており、
デバイス(1)がプライミングを行なう必要があるとき、第2の保持セクション(4B)の容積が薬剤混合物(13A、13B)の体積よりも大きい、
請求項2〜10のいずれか1項に記載の薬剤送達デバイス(1)。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【
図1】薬剤送達デバイスの例示実施形態の概略側面図を概略的に示す。
【
図2】
図1の薬剤送達デバイスの部分を概略的に示す。
【
図3】第1の製品および第2の製品を混ぜ合わせているときの、
図2の薬剤送達デバイスの部分を概略的に示す。
【
図4】時間の関数としての、薬剤混合物のパラメータの値についてのグラフを示す。
【
図5】時間の関数としての、薬剤混合物のさらに別のパラメータの値についてのグラフを示す。
【
図6】薬剤混合物を投薬しているときの、
図1の薬剤送達デバイスの部分を概略的に示す。
【0049】
類似のエレメント、同じ種類のエレメントおよび同じに作用するエレメントは図において同じ参照数字を備え得る。
【0050】
図1において、ここには薬剤送達デバイス1の例示実施形態が示されている。薬剤送達デバイスはハウジング2を含んでなる。薬剤送達デバイス1およびハウジング2は、遠位端および近位端を有する。「遠位端」という用語は、薬剤送達デバイス1のその端または薬剤送達デバイス1の投薬端に最も近くにあるか、もしくは、薬剤送達デバイス1の投薬端の最も近くに配置されることになっているその構成要素を意味する。デバイス1の遠位端は矢印11によって示されている。「近位端」という用語は、デバイス1のその端またはデバイス1の投薬端から最も遠くにあるか、もしくは、この投薬端から最も遠くに離れて配置されることになっているその構成要素を意味する。デバイス1の近位端は矢印12によって示されている。遠位端および近位端は、軸の方向において互いから離れて隔たっている。軸は、デバイス1の主縦軸28であってもよい(
図3参照)。
【0051】
薬剤送達デバイス1は、カートリッジ・ホルダ3を含んでなるものであってもよい。カートリッジ・ホルダ3は、ハウジング2に、好ましくは解放自在に、固着される。デバイス1は容器4を含んでなる。容器4はカートリッジでもよい。容器4は、カートリッジ・ホルダ3内に保持される。カートリッジ・ホルダ3は、機械的に容器4を安定させる。あるいは、容器4は、ハウジング2に直結されてもよい(たとえば、
図2参照)。この場合、カートリッジ・ホルダ3は余分であるかも知れない。
【0052】
容器4は、2つの保持セクション4A、4Bを含んでなる。それぞれの保持セクション4A、4Bは容器4のチャンバを形成し得る。この実施形態によれば、容器4は、第1のチャンバまたは保持セクション4Aを含んでなる。容器4は、第2のチャンバまたは保持セクション4Bを含んでなる。もちろん、容器4は、3つ以上の保持セクション(図示せず)からなるものであってもよい。
【0053】
第1の保持セクション4Aは、第1の製品13Aを保持するように構成される。第1の製品13Aは、薬剤混合物のための第1の化合物を含んでなるものであってもよい。第1の製品13Aは液体でもよい。液体は非圧縮性であるとよい。第2の保持セクション4Bは、第2の製品13Bを保持するように構成される。第2の製品13Bは、薬剤混合物13A、13Bのための第2の化合物を含んでなるものでもよい。第2の製品13Bは、液体または固体の製品を含んでなるものでもよい。好ましくは、第2の製品13Bは固体の製品である。第2の製品13Bは粉状製品でもよい。保持セクションの数は、たとえば、デバイス1の組み立て後または容器4をデバイス1に挿入した後のデバイス1の初期状態において、容器4内に保持される製品の数に対応し得る。
【0054】
第1の状態、たとえば、初期状態において、第1の製品13Aおよび第2の製品13Bは分離されていてもよい、特に混ぜ合わされていなくてもよい。第1の製品13Aおよび第2の製品13Bは、デバイス1から投薬されることになっている薬剤混合物13A、13Bを形成するために混合されるように構成される。第1の製品13Aおよび第2の製品13Bが混合されるとき、デバイス1は第2の状態にあってもよい。
【0055】
製品13A、13Bの混合は、第2の保持セクション4B内で行われ得る(これは後により詳しく説明する)。第2の保持セクション4Bは、容器4の混合チャンバであってもよい。あるいは、別体の混合チャンバが提供されてもよい(図示せず)。
【0056】
本明細書で用いられる「第1の製品」、「第2の製品」および/または「薬剤混合物」という用語は、好ましくは、少なくとも1つの薬学的に活性がある化合物を含有している医薬製剤を意味する。ここで、一実施形態においては、薬学的に活性がある化合物は、1500Daまでの分子量を有するか、および/または、ペプチド、プロテイン、ポリサッカリド、ワクチン、DNA、RNA、抗体、酵素、抗体、ホルモンもしくはオリゴヌクレオチドまたは上述の薬学的に活性がある化合物の混合物である。
【0057】
さらに別の実施形態においては、薬学的に活性がある化合物は、糖尿病性網膜症のような糖尿病と関連した糖尿病または併発症、深静脈血栓塞栓症または肺血栓塞栓症のような血栓塞栓症疾患、急性冠動脈症候群(ACS)、狭心症、心筋梗塞、癌、黄斑変性、炎症、花粉症、アテローム性動脈硬化症および/または慢性関節リウマチの治療および/または予防のために有用である。
【0058】
さらに別の実施形態においては、薬学的に活性がある化合物は、真性糖尿病または糖尿病性網膜症のような真性糖尿病と関連した併発症の治療および/または予防のための少なくとも1つのペプチドを含んでなる。
【0059】
さらなる実施形態においては、薬学的に活性がある化合物は、少なくとも1つのヒト・インスリンまたはヒト・インスリン類似化合物またはヒト・インスリン派生物、グルカゴン様ペプチド(GLP−1)またはその類似化合物または派生物またはエキセンジン−3またはエキセンジン−4またはエキセンジン−3もしくはエキセンジン−4の類似化合物もしくは派生物含んでなる。
【0060】
インスリン類似化合物は、たとえば、Gly(A21)、Arg(B31)、Arg(B32)ヒト・インスリン、Lys(B3)、Glu(B29)ヒト・インスリン、Lys(B28)、Pro(B29)ヒト・インスリン、Asp(B28)ヒト・インスリン、位置B28のプロリンがAsp、Lys、Leu、ValまたはAlaと置き換えられ、位置B29において、LysがProと置き換えられている可能性のあるヒト・インスリン、Ala(B26)ヒト・インスリン、Des(B28−B30)ヒト・インスリン、Des(B27)ヒト・インスリンおよびDes(B30)ヒト・インスリンである。
【0061】
インスリン派生物は、たとえば、B29−N−ミリストイル−des(B30)ヒト・インスリン、B29−N−パルミトイル−des(B30)ヒト・インスリン、B29−N−ミリストイル・ヒト・インスリン、B29−N−パルミトイル・ヒト・インスリン、B28−N−ミリストイルLysB28ProB29ヒト・インスリン、B28−N−パルミトイル−LysB28ProB29ヒト・インスリン、B30−N−ミリストイル−ThrB29LysB30ヒト・インスリン、B30−N−パルミトイル−ThrB29LysB30ヒト・インスリン、B29−N−(N−パルミトイル−γ−グルタミル)−des(B30)ヒト・インスリン、B29−N−(N−リトコリル−γ−グルタミル)−des(B30)ヒト・インスリン、B29−N−(ω−カルボキシヘプタデカノイル)−des(B30)ヒト・インスリンおよびB29−N−(ω−カルボキシヘプタデカノイル)ヒト・インスリンである。
【0062】
エキセンジン−4は、たとえば、エキセンジン−4(1−39),すなわち、シーケンス H−His−GlyGlu−Gly−Thr−Phe−Thr−Ser−Asp−Leu−Ser−Lys−Gln−Met−Glu−Glu−Glu−Ala−Val−Arg−Leu−Phelle−Glu−Trp−Leu−Lys−Asn−Gly−Gly−Pro−Ser−Ser−Gly−Ala−Pro−Pro−Pro−Ser−NH2のペプチドを意味する。
【0063】
エキセンジン−4派生物は、たとえば、以下の化合物リストから選ばれる。すなわち、
H−(Lys)4−des Pro36, des Pro37 エキセンジン−4(1−39)−NH2,
H−(Lys)5−des Pro36, des Pro37 エキセンジン−4(1−39)−NH2,
des Pro36 [Asp28] エキセンジン−4(1−39),
des Pro36 [IsoAsp28] エキセンジン−4(1−39),
des Pro36 [Met(O)14, Asp28] エキセンジン−4(1−39),
des Pro36 [Met(O)14, lsoAsp28] エキセンジン−4(1−39),
des Pro36 [Trp(O2)25, Asp28] エキセンジン−4(1−39),
des Pro36 [Trp(O2)25, IsoAsp28] エキセンジン−4(1−39),
des Pro36 [Met(O)14 Trp(02)25, Asp28] エキセンジン−4(1−39),
des Pro36 [Met(0)14 Trp(02)25, IsoAsp28] エキセンジン−4(1−39);
または
des Pro36 [Asp28] エキセンジン−4(1−39),
des Pro36 [IsoAsp28] エキセンジン−4(1−39),
des Pro36 [Met(O)14, Asp28] エキセンジン−4(1−39),
des Pro36 [Met(O)14, IsoAsp28] エキセンジン−4(1−39),
des Pro36 [Trp(O2)25, Asp28] エキセンジン−4(1−39),
des Pro36 [Trp(O2)25, lsoAsp28] エキセンジン−4(1−39),
des Pro36 [Met(O)14 Trp(O2)25, Asp28] エキセンジン−4(1−39),
des Pro36 [Met(0)14 Trp(O2)25, IsoAsp28] エキセンジン−4(1−39)
(ここで、基−Lys6−NH2は、エキセンジン−4派生物のC末端に結びつけられてもよい)、
【0064】
または、
シーケンス
H−(Lys)6−des Pro36 [Asp28] エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH2,
des Asp28 Pro36, Pro37, Pro38エキセンジン−4(1−39)−NH2,
H−(Lys)6−des Pro36, Pro38 [Asp28] エキセンジン−4(1−39)−NH2,
H−Asn−(Glu)5des Pro36, Pro37, Pro38 [Asp28] エキセンジン−4(1−39)−NH2,
des Pro36, Pro37, Pro38 [Asp28] エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2,
H−(Lys)6−des Pro36, Pro37, Pro38 [Asp28] エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2,
H−Asn−(Glu)5−des Pro36, Pro37, Pro38 [Asp28] エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2,
H−(Lys)6−des Pro36 [Trp(02)25, Asp28] エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH2,
H−des Asp28 Pro36, Pro37, Pro38 [Trp(O2)25] エキセンジン−4(1−39)−NH2,
H−(Lys)6−des Pro36, Pro37, Pro38 [Trp(O2)25, Asp28] エキセンジン−4(1−39)−NH2,
H−Asn−(Glu)5−des Pro36, Pro37, Pro38 [Trp(02)25, Asp28] エキセンジン−4(1−39)−NH2,
des Pro36, Pro37, Pro38 [Trp(O2)25, Asp28] エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2,
H−(Lys)6−des Pro36, Pro37, Pro38 [Trp(O2)25, Asp28] エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2,
H−Asn−(Glu)5−des Pro36, Pro37, Pro38 [Trp(O2)25, Asp28] エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2,
H−(Lys)6−des Pro36 [Met(O)14, Asp28] エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH2,
des Met(O)14 Asp28 Pro36, Pro37, Pro38 エキセンジン−4(1−39)−NH2,
H−(Lys)6−desPro36, Pro37, Pro38 [Met(O)14, Asp28] エキセンジン−4(1−39)−NH2,
H−Asn−(Glu)5−des Pro36, Pro37, Pro38 [Met(O)14, Asp28] エキセンジン−4(1−39)−NH2,
des Pro36, Pro37, Pro38 [Met(O)14, Asp28] エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2,
H−(Lys)6−des Pro36, Pro37, Pro38 [Met(O)14, Asp28] エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2,
H−Asn−(Glu)5 des Pro36, Pro37, Pro38 [Met(O)14, Asp28] エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2,
H−Lys6−des Pro36 [Met(O)14, Trp(O2)25, Asp28] エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH2,
H−des Asp28 Pro36, Pro37, Pro38 [Met(O)14, Trp(O2)25] エキセンジン−4(1−39)−NH2,
H−(Lys)6−des Pro36, Pro37, Pro38 [Met(O)14, Asp28] エキセンジン−4(1−39)−NH2,
H−Asn−(Glu)5−des Pro36, Pro37, Pro38 [Met(O)14, Trp(O2)25, Asp28] エキセンジン−4(1−39)−NH2,
des Pro36, Pro37, Pro38 [Met(O)14, Trp(O2)25, Asp28] エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2,
H−(Lys)6−des Pro36, Pro37, Pro38 [Met(O)14, Trp(O2)25, Asp28] エキセンジン−4(S1−39)−(Lys)6−NH2,
H−Asn−(Glu)5−des Pro36, Pro37, Pro38 [Met(O)14, Trp(02)25, Asp28] エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2
のエキセディン−4派生物;
または、
前述のエキセンジン−4派生物のうちの任意一つの薬理学的に許容される塩または溶媒和化合物。
【0065】
ホルモン類は、たとえば、下垂体ホルモン類または視床下部ホルモン類または調節性活性ペプチドおよびゴナドトロピン(フォリトロピン、ルトロピン、コリオンゴナドトロピン、メノトロピン)、ソマトロピン(ソマトロピン)、デスモプレッシン、テルリプレシン、ゴナドレリン、トリプトレリン、ロイプロレリン、ブセレリン、ナファレリン、ゴセレリンのような、Rote Liste、編集2008、第50章に挙げられるそれらの拮抗剤である。
【0066】
ポリサッカリドは、たとえば、グルコサミノグルカン、ヒアルロン酸、ヘパリン、低分子量ヘパリンもしくは超低分子量ヘパリンまたはその派生物、または、硫酸処理形態、たとえば、ポリ硫酸処理形態の上述ポリサッカリドおよび/またはその薬理学的に許容される塩である。ポリ硫酸化低分子量ヘパリンの薬理学的に許容される塩の例としてはエノキサパリンナトリウムがある。
【0067】
薬理学的に許容される塩類は、たとえば、酸添加塩類および塩基性塩である。酸添加塩類は、たとえば、HClまたはHBr塩類である。塩基性塩は、たとえば、アルカリまたはアルカリ性から選定される陽イオン、たとえば、Na+またはK+またはCa2+を有する塩類、またはアンモニウム・イオンN+(R1)(R2)(R3)(R4)(ここで、R1〜R4は、互いに独立して、以下を意味する:すなわち、水素、随意に置換されたC1〜C6−アルキル基、随意に置換されたC2〜C6−アルケニル基、随意に置換されたC6〜C10−アリール基または随意に置換されたC6〜C10ヘテロアリール基を意味する)である。薬理学的に許容される塩類のさらなる例は、「Remingtonの薬学」17版、Alfonso R. Gennaro(編集)、Mark出版社、Easton、Pa.、U.S.A.、1985年および医薬技術の百科事典に記載されている。
【0068】
薬理学的に許容される溶媒和化合物は、たとえば、水和物である。
【0069】
第1の製品13Aおよび第2の製品13Bを保持している2つの保持セクション4A、4Bは、デバイス1が第1の状態にあるとき、分離部材5Bによって、互いから液密に切り離される。特に、分離部材5Bは、デバイス1が第1の状態にあるときに第2の保持セクション4Bを近位方向でシールしてもよい。分離部材5Bによって、第1の製品13Aおよび第2の製品13Bの意図しない混ざり合いが防止される。
【0070】
分離部材5Bは、たとえば、デバイス1が第1の状態から第2の状態(後により詳しく説明する)へ切替えられるときに、容器4に対して軸方向へ、特に遠位方向へ可動である。
【0071】
デバイス1はバイパス15を含んでなる。バイパス15は、容器4の内面のくぼみを含んでなるものであってもよい。バイパス15は、デバイス1を第1の状態から第2の状態へ切替えるために第1の製品13Aおよび第2の製品13Bの混合を可能にするように構成される。特に、開放されたとき、バイパス15は、第1の保持セクション4Aと第2の保持セクション4Bの間の流体連通を提供するように構成、配置される。開放されたとき、バイパス15は、第1の保持セクション4Aから第2の保持セクション4Bへの第1の薬剤13Aの流れを可能にし得る。
【0072】
デバイス1の第1の状態において、バイパス15は、たとえば、第1の製品13Aがバイパス15に入るのを阻止する分離部材5Bにより閉塞され得る。分離部材5Bは、このためにバイパス15に関して近位方向に配置されてもよい。デバイス1の第2の状態においては、バイパス15は同様に閉塞され得る。したがって、第1の状態および第2の状態において、それぞれのチャンバ4A、4Bからのそれぞれの製品13A,13Bの意図しない動きが阻止され得る。バイパス15は、第1の状態から第2の状態(後により詳しく説明する)へデバイス1を切り換えるために、たとえば、容器4に対して動く分離部材5Bによって一時的に開放されてもよい。
【0073】
容器4は出口8を含んでなる。薬剤混合物13A、13B(
図3参照)は、出口8を通して容器4から投薬され得る。出口8はメンブレン9によって覆われる。メンブレン9は、容器4の保管中、外部の影響を受けないように薬剤混合物13A、13Bを保護し得る。メンブレン9は、出口8を液密にシールするとよい。
【0074】
薬剤送達デバイス1は、ニードル14Aを含んでなるニードル・アセンブリ14を含んでなる。ニードル・アセンブリ14は、カートリッジ・ホルダ3に、たとえばねじ山によって解放自在に取り付けられてもよい。ニードル14Aは、容器4の内部と流体連通していてもよい。
【0075】
薬剤送達デバイス1は栓5Aを含んでなる。栓5Aは、容器4内に可動状態で保持される。栓5Aは、デバイス1が第1の状態(
図1)にあるときに第1の保持セクション4Aの近位端部分に配置される。特に、栓5Aは、デバイス1が第1の状態にあるとき、容器4、特に第1の保持セクション4Aを近位方向でシールする。
【0076】
デバイス1は、圧力形成エレメント6、たとえばピストンロッドを含んでなる。デバイス1は駆動機構21を含んでなる。この駆動機構は、薬剤送達デバイス1のハウジング2内に少なくとも部分的に配置される。駆動機構は、投与量を設定および/または注入するために作動可能である投与ボタン10を含んでなる。駆動機構21は、圧力形成エレメント6を容器4に対して遠位方向へ駆動するように構成される。遠位方向における圧力形成エレメント6の動きは、薬剤混合物13A、13Bの1回の投与量分を 容器4から投薬させ得る(
図6参照)。
【0077】
薬剤送達デバイス1は注射デバイスであってもよい。薬剤送達デバイス1は、ペンタイプ・デバイス、特にペンタイプ・インジェクタであってもよい。デバイス1は使い捨てまたは再使用可能なデバイスでもよい。デバイス1は、薬剤混合物13A、13Bの複数回の一定の投与量分、特にユーザが変えることができない投与量分、または、薬剤混合物13A、13Bの可変の、好ましくはユーザが設定可能な投与量分を投薬するように構成され得る。
【0078】
薬剤送達デバイス1は手動駆動デバイスでもよい。あるいは、薬剤送達デバイス1は、
図1に示すように、電気駆動式デバイス1でもよい。デバイス1は、複数回投与デバイス、特に薬剤混合物13A、13Bの複数回の投与量分を投薬するように構成されたデバイス1でもよい。
【0079】
デバイス1は、デバイス1をオン、オフするスイッチ22を含んでなるものであってもよい。この実施形態によれば、製品の13A、13Bの混合ならびに薬剤混合物13A、13Bの1回の投与量を設定および/または送達することは、デバイス1がスイッチ22によって、オンに入れられた場合のみ作動可能であってもよい。
【0080】
図2は、
図1の薬剤送達デバイスの部分を概略的に示す。
【0081】
図3は、第1の製品および第2の製品を混合しているときの、
図2の薬剤送達デバイスの部分を概略的に示す。
【0082】
図4は、時間の関数としての、薬剤混合物のパラメータの値についてのグラフを示す。
【0083】
図5は、時間の関数としての、薬剤混合物のさらに別のパラメータの値についてのグラフを示す。
【0084】
薬剤混合物13A、13Bを得るためには、すなわち、デバイス1を第1の状態から第2の状態へ切替えるためには、ユーザはデバイス1のスイッチをオンにするとよい。混合作用は、デバイス1のボタンの作動により開始されてもよい。たとえば、このために投与ボタン10が使用され得る。圧力形成エレメント6は、駆動機構21によって容器4に関して遠位方向へ駆動されてもよい。それによって、栓5Aが遠位方向へ動かされ、したがって、第1の、好ましくは液体の製品13Aに力を加える。加えられた力によって分離部材5Bは、容器4に対して遠位方向へ動かされる(
図2参照)。言い換えれば、遠位方向における栓5Aの動きが分離部材5Bへ伝達される。
【0085】
分離部材5Bが遠位方向へ動かされるときに、分離部材5Bはバイパス15(たとえば、くぼみ)の軸方向位置を通過し、したがって、バイパス15を開く(
図2参照)。したがって、第1の保持セクション4Aと第2の保持セクション4Bの間の流体連通が確立される。栓5Aがさらに遠位方向へ動かされると、第1の製品13Aが、第1の保持セクション4Aからバイパス15を経由して第2の保持セクション4B内へ送られる。バイパス15が開放されると、栓5Aは、分離部材5Bに対して動かされる。すなわち、栓5Aと分離部材5Bの間の距離が縮められる。したがって、第1の保持セクション4Aの容積が減らされる。
【0086】
栓5Aは、第1の保持セクション4Aが空になるまで、すなわち第1の製品13Aの全量が第1の保持セクション4Aから送り出されるまで、圧力形成エレメント6により駆動され、遠位方向へ動かされる。第1の保持セクション4Aが空になったとき、栓5Aの遠位端面は分離部材5Bの近位端面に当接してもよい(
図2参照)。栓5Aの遠位端面が分離部材5Bの近位端面に当接すると、分離部材5Bはバイパス15の軸方向位置を通過してもよい。したがって、バイパス15が閉塞される。特に、分離部材5Bはバイパス15よりも遠位方向に配置されてもよい。したがって、第1の保持セクション4Aと第2の保持セクション4Aの間の流体連通はもはやあり得ない。したがって、デバイス1が第2の状態にあるときの、第2の保持セクション4Bからの第1の製品13Aおよび/または第2の製品13Bまたは薬剤混合物13A、13Bの意図しない流れが阻止され得る。
【0087】
2つの製品13A、13Bは、今や、共に、第2の保持セクション4B内に保持される。第2の保持セクション4B、すなわちこの実施形態では混合チャンバは、栓5Aが分離部材5Bに当接しているときにまだ残っている容器4の唯一の液密内側セクションでもよい。しかしながら、2つの製品13A、13Bは、まだ薬剤混合物13A、13Bを形成するのに充分に混ぜ合わされ得ない。
【0088】
2つの製品13A、13Bを混合するために、デバイス1は、混合部材20を含んでなる。混合部材20は、2つの製品13A、13Bを混合するように構成、配置される。混合部材20は、容器4へ力を加え、それによって、前記製品13A、13Bを混ぜ合わせるために製品13A、13Bを攪拌するように構成される。この力は、たとえば、振動力でもよい。力は、長手方向に(
図3の矢印31を参照)、半径方向に(
図3の矢印30を参照)および/または主縦軸28に対して傾斜して(
図3の矢印29を参照)向けられてもよい。力は、主縦軸28に対して偏心していてもよいし、および/または、容器4の主縦軸に対して偏心していてもよい。
【0089】
さらにまた、混合部材20は、薬剤混合物13A、13B、13Bの混合特性(後により詳しく説明する)に影響を与えるように構成されてもよい。混合部材20は、たとえば、揺動機構を含んでなるものであってもよい。混合部材20は、モーターを含んでなるものであってもよい。混合部材20は、振動アキュムレータ、たとえば、移動電話において、しばしば使われる振動アキュムレータを含んでなるものであってもよい。混合部材20は、モーターまたは振動アキュムレータによって、発生した力を容器4に伝達してもよい。
【0090】
デバイス1は、測定ユニット16、17、18を含んでなる。測定ユニット16、17、18は、分離部材5Bおよび/または栓5Aの位置、したがって、ハウジング2に対する容器4の位置をモニタするように構成される。こうして、測定ユニット16、17、18は、容器4がデバイス1内に適切に導入されたかどうかを決定できる。それに加えて、または、それの代わりに、測定ユニット16、17、18は、第1の製品13Aの完全な量が第1の保持セクション4Aから押し出されたかどうか、すなわち、栓5Aが分離部材5Bに当接したかどうかを決定してもよい。
【0091】
それに加えて、または、それの代わりに、測定ユニット16、17、18は、2つの製品13A、13Bの混合状態をモニタするように構成されてもよい。たとえば、製品13A、13Bがすでに混ぜ合わされているかどうか、すなわち、デバイス1が第2の状態に切替えられたかどうかをモニタするように構成されてもよい。それに加えて、デバイス1の第2の状態において、測定ユニット16、17、18は、薬剤混合物13A、13Bの混合特性を示すパラメータの値24、36(
図4、5参照)をモニタするように構成、配置される。こうすれば、測定ユニット16、17、18は、薬剤混合物13A、13Bがデバイス1から投薬される準備が整っているかどうか(後により詳しく説明する)を決定できる。特に、測定ユニット16、17、18は、薬剤混合物13A、13Bに品質管理を提供できる。
【0092】
それに加えて、または、それの代わりに、測定ユニット16、17、18は、薬剤混合物13A、13Bの1回分の投与量または複数回分の投与量がデバイス1から投薬された後(後により詳しく説明する)、薬剤混合物13A、13Bがまだあるかどうか、特に第2の保持セクション4B内に少なくとも1回分の投与量の薬剤混合物13A、13Bが残っているかどうかを決定するように構成され得る。これは、圧力形成エレメント6が一回分の投与量を投薬するために遠位方向へ動かされようとしたときに負荷電流の測定することにより達成され得る。
【0093】
この実施形態によれば、測定ユニット16、17、18は、3つの光源16A、17A、18Aを含んでなる。それぞれの光源16A、17A、18Aは、たとえば、LEDでもよい。あるいは、測定ユニット16、17、18は、複数の光源からなる光源アレイを含んでなるものであってもよい。光源16A、17A、18Aは、容器4に沿って異なった位置に配置される。
【0094】
この実施形態によれば、測定ユニット16、17、18は、3つのセンサ16B、17B、18Bを含んでなる。あるいは、測定ユニット16、17、18は、複数のセンサを含んでなるセンサ・アレイからなるものであってもよい。光源およびセンサのそれぞれのアレイを使用することは、特に連続測定を実施するのに適用し得る。たとえば、容器4に対する分離部材5Bおよび/または栓5Aの連続的な動きを測定するのに適用し得る。
【0095】
センサ16B、17B、18Bは、光学センサ、特に光電子センサであってもよい。センサ16B、17B、18Bは、たとえば、フォトダイオードでもよい。センサ16B、17B、18Bは、容器4に沿って異なった位置に配置される。それぞれのセンサ16B、17B、18Bは、それぞれの光源l6A、17A、18Aによって、あらかじめ放射された光線を受けるように構成されてもよい。このために、それぞれのセンサ16B、17B、18Bおよびそれぞれの光源16A、17A、18Bは、主縦軸28に対して同じ軸方向位置であるが互いに反対側に配置されてもよい。
【0096】
センサ16B、17B、18Bは、透過測定を実施するように構成、配置されてもよい。特に、センサ16B、17B、18Bは、光源16A、17A、18Aによって放出された放射線を受け、その後、デバイス1の構成要素、たとえば、薬剤混合物13A、13Bを透過し、前記放射線を電気信号(たとえば、伝送信号)に変換するように構成されてもよい。このために、センサ16B、17B、18Bおよび光源16A、17B、18Aは、たとえば、
図2に示すように、容器の異なった側面4に配置されてもよい。こうすると、放射線は、それぞれのセンサ16B、17B、18Bによって受けられ得る前に容器4全体を通過しなければならない。センサ16B、17B、18Bおよび関連した光源16A、17B、18Aは、主縦軸28に対して鏡面対称にて配置されてもよい。
【0097】
あるいは、センサ16B、17B、18Bは、反射測定を実施するように構成、配置されてもよい。特に、センサ16B、17B、18Bは、光源16A、17A、18Aによって、あらかじめ放出され、デバイス1の構成要素、たとえば、容器4、薬剤混合物13A、13B、栓5Aおよび/または分離部材5Bにより反射された放射線を受け、この放射線を電気信号(たとえば、反射信号に変換させるように構成されてもよい。このために、センサ16B、17B、18Bおよび光源16A、17A、18Aは、容器4の同じ側に互いに並んで配置されてもよい(はっきりとは図示していない)。
【0098】
センサ16B、17B、18Bによって集められた情報は、分離部材5Bの軸方向位置を決定したり、パラメータの測定された値(
図4参照)を処理したりするために、たとえば、制御ユニットまたは処理ユニット39にフィードバックされるとよい。制御ユニット39は、たとえば、制御チップでもよい。制御ユニット39の機能は、後により詳しく説明する。
【0099】
第1の製品13Aの完全な量が第1の保持セクション4Aから押し出されたとき、制御ユニット39は、測定ユニット16、17、18から、栓5Aが分離部材5Bに当接したことを示す信号を受けてもよい。こうして、制御ユニット39は、容器4に力を加えることを混合部材20に知らせることができる(
図3参照)。混合部材20によって、加えられた力により、容器4、したがって、第1の製品13Aおよび第2の製品13Bは、ハウジング2に対して動かされ、第1の製品13Aおよび第2の製品13Bを混ぜ合わせる。特に、製品13A、13Bは揺すられてもよい。容器4および/またはデバイス1は、たとえば、混合部材20によって加えられる力により振動してもよい。
【0100】
第2の保持セクション4Bの容積は、第1の製品13Aおよび第2の製品13Bの合計体積、特に、薬剤混合物13A、13Bの体積より大きいと好ましい。特に、第2の保持セクション4Bは、空気を保持してもよい。第2の保持セクション4Bにおいて、そこのより多くのスペースが利用できればできるほど、より多くの混合製品13A、13Bが動かされ得る。したがって、空気が存在するならば、普通、より多くの動きが混合を向上または加速するので、製品13A、13Bの混合が向上され得る。もちろん、前記空気は、薬剤混合物13A、13Bの最初の投与量がデバイス1から投薬される前に容器4から除去されなければならない。すなわち、デバイス1の起動が準備されなければならない(これは後により詳しく説明する)。
【0101】
さらにまた、混合は、容器4の形状および/または容器4の内面の構造によって影響され得る。容器4は、円形断面を含んでなるものであってもよい(
図7A参照)。あるいは、内面は、回転非対称であってもよい。この文脈においては、「回転非対称」という用語は、好ましくは、主縦軸28に対する任意の角度について容器4がその回転の際にそれ自体に投影し得ないということを意味する。
【0102】
容器4の内面は、主縦軸28に対して崩れた回転対称を有する輪郭を含んでなるものであってもよい。崩れた回転対称により、混合操作が最適化され得る。たとえば、混合時間が最小化され得る。たとえば、容器4は、矩形横断面(
図7D参照)または六角形の横断面(
図7C参照)を含んでなるものであってもよい。あるいは、容器4は、正方形横断面、たとえば、丸めた縁を備えた横断面(
図7B参照)を含んでなるものであってもよい。それに加えて、または、それの代わりに、容器4、特に容器4の内面は、内壁面から半径方向内方へ内向きに突出する特徴38を含んでなるものであってもよい(
図7E参照)。これらの場合において、圧力形成エレメント6の横断面は、容器4の横断面に対して調整されなければならなかった。内面の回転非対称は、容器4が動かされて第1の製品13Aおよび第2の製品13Bを混ぜ合わせるとき、液体製品、たとえば、第1の製品13Aに乱流を生じさせ得る。これは、製品13、13Bの混合を促進する助けとなり得る。
【0103】
第2の製品13Bが固体の場合、薬剤混合物13A、13Bは、懸濁液または溶液を含んでなるものとなり得る。第2の製品13Bが液体を含んでなる場合、薬剤混合物13A、13Bは、溶液またはエマルションを含んでなるものとなり得る。薬剤混合物13A、13Bは、製品の反応生成物でもよい。あるいは、薬剤混合物13A、13Bは、反応生成物を含んでなるものであってはならない。
【0104】
所定時間後、すなわち、実験的に測定され得、たとえば、制御ユニット39に保存し得る混合時間後に、制御ユニット39は混合部材20をオフにしてもよい。ここで、デバイス1は第2の状態にあり得る。
【0105】
混合が種々の量、たとえば、混合時間、第1の製品13Aおよび第2の製品13Bの比率、それぞれの製品13A、13Bの溶解性に依存ので、2つの製品13A、13B、それ故、薬剤混合物13A、13Bの特性は、変動を受ける可能性がある。または、劣化する可能性すらある。前記量は、実験測定から少なくとも部分的に決定され得る。たとえば、薬剤混合物13A、13Bの特性は、製品13A、13Bが混ぜ合わされるので、経過時間が増えるにつれて変化する可能性がある。したがって、第1の製品13Aおよび第2の製品13Bの混合後、薬剤混合物13A、13Bの投薬の準備が確実に整っていなければならない。混合特性に影響する量、たとえば、混合時間および/または2回の混合操作間の時間は、実験室でテストされてもよいし、薬剤混合物13A、13Bの品質管理を可能にするために安全係数と共にソフトウェア的に、たとえば制御ユニット39内に保存されてもよい。
【0106】
デバイス1が第2の状態にあるとき、品質管理が測定ユニット16、17、18、特にセンサ16B、17B、18Bは、薬剤混合物13A、13Bの混合特性を示す少なくとも1つのパラメータの値24、36を決定するために情報を採集してもよい。たとえば、測定ユニット16、17、18によって、品質管理が行われる。薬剤混合物13A、13Bの特性を示すパラメータは、薬剤混合物13A、13Bの曇りおよび/または透明度の変化、特に薬剤混合物13A、13Bが懸濁液である場合における未混合製品13A、13Bの青い薬剤混合物13A、13Bへの変化であり得る。
【0107】
パラメータの値24、36は、たとえば、それはそれぞれの光源16A、17A、18Aにより放出され、その後薬剤混合物13A、13Bを通過した光の伝送信号であってもよい。前記伝送は、薬剤混合物13A、13Bの曇りについてのヒントを与え、たとえば、懸濁液の混合品質についてのヒントを与え得る。採集された情報、たとえば、伝送信号および/または反射信号(
図4、5参照)は、制御ユニット39に送られてもよい。
【0108】
制御ユニット39は、薬剤混合物13A、13Bの特性を示すパラメータの値の所定範囲33、37を保存するように構成されてもよい。さらにまた、制御ユニット39は、測定ユニット16、17、18により測定されたパラメータの値24、36を保存された値の所定範囲33、37と比較するように構成される。こうすれば、制御ユニット39は、測定された値24、36の所定範囲33、37との比較結果に依存してデバイス1の状態を制御できる(これは後により詳しく説明する)。
【0109】
制御ユニット39は、値24、36が所定範囲33、37(
図4、5)内にあるかどう
かを決定してもよい。値の所定範囲33、37は、たとえば、実験測定で決定されてもよい。前記実験測定は、たとえば、懸濁液を通過している光の特徴伝送の決定を含んでなり得る。
【0110】
たとえば、それぞれのセンサ16B、17B、18Bは、透明な液体、たとえば未混合の第1の製品13Aの場合、高伝送信号Sを受信できる。投薬の準備が整っている、第1の製品13Aおよび第2の製品13Bの懸濁液の場合、伝送信号Sは、小さい可能性がある。このことは、混合された製品のぼけが発生したことを示す。たとえば、第1の製品13Aおよび第2の製品13Bが適切に混合されたことを示す(
図4参照)。第2の製品13Bが可溶性である場合、それぞれのセンサ16B、17B、18Bは、混合された製品13A、13Bの色合いに依存して伝送信号を決定するように構成されてもよい。2つの製品13A、13Bは、それらが混合されて溶液を形成する場合に、薬剤混合物13Aの色が2つの製品が分離されているときの液体製品(単数または複数)と比較したときなどに変化しているように構成されてもよい。色合いが大きければ大きいほど、伝送信号Sが小さくなる(
図4参照)。伝送信号Sが小さいとき、2つの製品13A、13Bが適切に混合され得、そして、薬剤混合物13A、13Bのデバイス1からの投薬の準備が整ったと言える。
【0111】
図4に示すように、第1の時間間隔25内では、伝送信号Sの値24は高い。第1の製品13Aおよび第2の製品13Bは、適切に混合され得ない。第1の時間間隔25においては、値24は所定範囲33から外れている可能性がある。値24が所定範囲33から外れている場合、薬剤混合物33は投薬の準備が整っていないと言える。したがって、デバイス1が制御ユニット39によってホールド・モードに切替えられるとよい。
【0112】
図4において、第1の時間間隔25、たとえば5分の混合時間の後、値24は範囲33内にあり得る。値24が所定範囲33内になったとき、たとえば、伝送信号Sが小さいとき、薬剤混合物33の投薬の準備が整い得る。すなわち、薬剤混合物13A、13Bが所定特性を有し得る。その後、実験値から決定され得る所与の第2の時間間隔26内で、薬剤混合物13A、13Bの投薬の準備が整い得る。この場合、デバイス1は、制御ユニット39によって投薬準備完了モードに切替えられてもよい。
【0113】
あるいは、それぞれのセンサ16B、17B、18Bは、固体の製品、たとえば第2の製品13Bに関する情報を採集してもよい。たとえば、
図5に示すように、そのとき第1の製品13Aおよび第2の製品13Bが未混合である場合、第1の時間間隔34において、伝送信号Sの値36は小さい可能性がある。このことは、第2の製品13Bがまだ第1の製品13Aと混ぜ合わされていない、たとえば、まだ第1の製品13A内に溶解していないということを示す。所与の時間間隔後、たとえば第1の時間間隔34後、第1の製品13Aおよび第2の製品13Bは、混ぜ合わされていてもよく、それ故、伝送の値36が高くなり、所定範囲37内になる。したがって、第1の製品13Aおよび第2の製品13Bの懸濁液または溶液が得られている可能性があり、混合薬剤13A、13Bの投薬の準備が整っている可能性がある。デバイス1は、制御ユニット39によって、投薬準備完了モードに切替えられてもよい。
【0114】
あるいは、示される伝送測定値に対して、それぞれのセンサ16B、17B、18Bは、それぞれの光源16A、17A、18A(はっきりとは図示していない)によって放出された放射線の反射に関する情報を集めてもよい。それぞれのセンサ、たとえば、センサ16Bが固体の製品に関する情報を集める場合には、
図5における反射信号の小さな値36は、第1の製品13Aおよび第2の製品13Bの溶液または懸濁液が得られたことを示すことになる。デバイス1は、制御ユニット39によって、投薬準備完了モードに切替えられてもよい。時間間隔34後、値36が高くなる可能性があり、このことは、強い光の反射を示し、それ故、第1の製品13Aおよび第2の製品13Bが混ぜ合わされていないことを示す。すなわち、それぞれのセンサ16B、17B、18Bが、固体、たとえば、第2の製品13Bのみにより反射された光を受けていることを示す。したがって、時間間隔34の後、たとえば、混合操作の1時間後に、値36が所定範囲37(
図5にはっきりと示していない)から外れている可能性があり、デバイス1が制御ユニット39によって、ホールド・モードに切替えられている可能性がある。
【0115】
値24、36が所定範囲33、37から外れているとき、制御ユニット39は、混合部材20に信号を送るように構成されてもよい。特に、混合部材20が制御ユニット39によってオンにされてもよい。こうすると、混合部材20が、容器4に力を加え、したがって、薬剤混合物13A、13Bに力を加えて薬剤混合物13A、13Bを混合できる。薬剤混合物13A、13Bは、値24、36が再び所定範囲33、37内になるまで混合されてもよい。ホールド・モードにおいて、測定ユニット16、17、18によって値24、36を決定することは、たとえば、値24、36が再び所定範囲33、37内になるまで混合部材20が確実にオンになるように連続的に行われてもよい。投薬準備完了モードにおいては、値24、36を決定することは、たとえば、所与の、たとえば、実験で決定された時間間隔が経過した後に繰り返し行われてもよい。
【0116】
あるいは、混合操作は、反復的なプロセスでもよい。特に、制御ユニット39は、実験値なしに、または薬剤混合物13A、13Bの特性を示すパラメータの値範囲33、37なしで作動してもよい。この場合、第1の製品13Aおよび第2の製品13Bは上述したように混合部材20により混合され得る。その後、測定ユニット16、17、18は、制御ユニット39に送られ得るパラメータの値24、36を決定できる。制御ユニット39は、前記値24、36を保存、制御するように構成されてもよい。混合時間および/または2回の連続した混合操作および/または必要な混合操作の数についての所定値は、制御ユニット39内に保存されてもよい。保存された値に依存して、制御ユニット39は、デバイス1からの投薬の準備が整った薬剤混合物13A、13Bを得るために混合部材20を作動させて薬剤混合物13A、13Bを混合できる。
【0117】
上述したように、第1の製品13Aおよび第2の製品13Bの混合、特に、薬剤混合物13A,13Bの特性は、たとえば、それぞれの製品13A、13Bの量、混合時間、2回の連続する混合操作の時間および/またはそれぞれの製品13A、13B、たとえば、固体製品13Bの溶解性に依存する可能性がある。これらの量は、混合操作を最適化するために、それ故、薬剤混合物13A、13Bの特性を最適化するために、たとえば、実験値を集めることにより調整されなければならない。実験値は、デバイス・ソフトウェアによって、たとえば、制御ユニット39によって保存されてもよい。
【0118】
デバイス1は、ユーザ・インタフェース19を含んでなるものであってもよい。ユーザ・インタフェース19は、薬剤混合物13A、13Bの投薬の準備が整っているかどうか、すなわち、デバイス1が投薬準備完了モードにあるかホールド・モードにあるかどうかをユーザに知らせるように構成、配置され得る。ユーザ・インタフェース19は、ディスプレイを含んでなるものであってもよい。ユーザ・インタフェースは、電球、光源などの発光エレメントを含んでなるものであってもよい。発光エレメントは、デバイス1の異なった状態をユーザに知らせるための異なった色の光を放出するように構成されてもよい。デバイス1は、さらにまた、制御ユニット39およびユーザ・インタフェース19に電力を供給するための内部電源40、たとえば、バッテリを含んでなるものであってもよい。
【0119】
値24、36が所定範囲33、37内にあるときおよび/または制御ユニット39が混合部材20を作動させて所定時間にわたって薬剤混合物13A、13Bを混合してしまったとき、たとえば、制御ユニット39は、ユーザ・インタフェース19に信号を送って、デバイス1が投薬準備完了モードにあること、すなわち、薬剤混合物13A、13Bの投薬の準備が整っているが、後により詳しく説明するように、デバイス1がまだ起動準備を整えていないことを示す、たとえば、黄色の光を表示させるようにしてもよい。値24、36が所定範囲33、37から外れている場合、および/または、薬剤混合物13A、13Bが所定時間にわたって混ぜ合わされていなかった場合、制御ユニット39はユーザ・インタフェース19に信号を送り、デバイス1がホールド・モードにあることを示すための赤色の光を表示させてもよい。こうすれば、第1の製品13Aおよび第2の製品13Bが適切に混合されたかどうか、したがって、薬剤混合物13A、13Bの投薬準備が整っているかどうかをユーザが直ちに悟ることができる。
【0120】
測定ユニット16、17、18に加えて、または、それらの代わりに、デバイス1は、タイマ23を含んでなるものであってもよい。デバイス1が第2の状態にあるとき、タイマ23は、定時間後および/または所定時間にわたって薬剤混合物13A,13Bを混合するために制御ユニット39に信号を送って混合部材20をして容器4を動かすように構成されてもよい。こうして、タイマ23は、薬剤混合物13A、13Bの反復混合を確実にすることができる。この場合、測定ユニット16、17、18による値24、36の決定は不要であるかもしれない。
【0121】
所定時間、特に2回の連続する混合操作間の時間および/または混合時間は、値24、36が範囲33、37から外れるのを防止されるように選ばれ得る。こうすれば、タイマ23は、いかなる瞬間でも確実に薬剤混合物13A、13Bの投薬の準備を整えることができる。言い換えれば、たとえば、測定ユニット16、17、18による値24の連続的な測定を必要とせずに、値24が常に所定範囲33、37内にあることが自動的に保証される。時間間隔は実験で決定されてもよい。たとえば、2回の連続する混合操作間の時間間隔は、の製品13Aが液体製品であり、第2の製品13Bが粉状製品である場合に懸濁液が未混合になるのに必要な平均時間から採用され得る。これは、実際の溶液の場合、たとえば、第1の製品13Aが液体製品であり、第2の製品13Bが液体製品である場合には不要であるかも知れない。これらの実験値は、値24、36が範囲33、37から外れるのを確実に防止する2回の混合操作間の時間を得るための安全係数を備え得る。
【0122】
ユーザ・インタフェース19が黄色の光を提供するとき、すなわち、デバイス1が投薬準備完了モードにあるとき、薬剤混合物13A、13Bのデバイス1からの投薬の準備が整っている可能性がある。
【0123】
しかしながら、薬剤混合物13A、13Bの1回分の投与量がユーザに投薬される前、第2の保持セクション4Bの残っている空気は、除去しなければならない。すなわち、デバイス1の起動準備を整えなければならない。このために、ユーザは、薬剤混合物13A、13Bを浪費することなく空気がデバイス1から除去されるようにデバイス1の向きを変えてもよい。その後、ユーザは、圧力形成エレメント6がわずかに遠位方向へ動かされるように投与ボタン10を押してもよい。それによって、分離部材5Bおよび栓5Aが遠位方向へ動かされて第2の保持セクション4Bから空気を押し出す。第2の保持セクション4Bからすべての空気が除去されたとき(これは、たとえば、第2の保持セクション4B内の空気の存在を示すパラメータの値を測定することによって、測定ユニット16、17、18により決定され得る)、デバイス1は薬剤混合物13A、13Bの最初の投与量を注入する準備が整ったと言える。ユーザ・インタフェース19は、制御ユニット39によって、たとえば、緑の光を提供することで知らされ得る。
【0124】
図6は、薬剤混合物を投薬しているときの、
図1の薬剤送達デバイスの部分を概略的に示す。
【0125】
薬剤混合物13A、13Bを投薬するために、ユーザは投与ボタン10を作動させるとよい。投与ボタン10の作動は、駆動機構21により駆動される圧力形成エレメント6の遠位方向の動き(矢印32参照)を生じさせ得る。圧力形成エレメント6は栓5Aおよびこの栓5Aに当接する分離部材5Bを容器4に対して遠位方向に押す。栓5Aおよび分離部材5Bが遠位方向へ動かされると、薬剤混合物13A、13Bの1回分の投与量がデバイス1から投薬される。
【0126】
他のインプリメンテーションは、以下の特許請求の範囲内にある。異なったインプリメンテーションのエレメントは、特にここに説明しなかったインプリメンテーションを形成するために組み合わされてもよい。
【0127】
参照数字
1 薬剤送達デバイス
2 ハウジング
3 カートリッジ・ホルダ
4 容器
4A 第1の保持セクション
4B 第2の保持セクション
5A 栓
5B 分離部材
6 圧力形成エレメント
8 開口部
9 メンブレン
10 投与ボタン
11 遠位端
12 近位端
13A 第1の製品
13B 第2の製品
14 ニードル・アセンブリ
14A ニードル
15 バイパス
16A 光源
16B センサ
17A 光源
17B センサ
18A 光源
18B センサ
19 ユーザ・インタフェース
20 混合部材
21 駆動機構
22 スイッチ
23 タイマ
24 混合特性
25 第1の時間間隔
26 第2の時間間隔
28 主縦軸
29 矢印
30 矢印
31 矢印
32 矢印
33 範囲
34 第1の時間間隔
35 第2の時間間隔
36 値
37 範囲
38 特徴
39 制御ユニット
40 電源