(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5955336
(24)【登録日】2016年6月24日
(45)【発行日】2016年7月20日
(54)【発明の名称】放射性物質が入っている封じ込めケースを収容することを目的とした長期貯蔵装置、長期貯蔵装置を有する放射性物質用の長期貯蔵サイト、および、放射性物質が入っている封じ込めケースを移送用パッケージから長期貯蔵装置へ移す方法
(51)【国際特許分類】
G21F 9/36 20060101AFI20160707BHJP
G21C 19/32 20060101ALI20160707BHJP
【FI】
G21F9/36 501J
G21F9/36 541A
G21F9/36 501A
G21F9/36 501H
G21F9/36 501C
G21F9/36 501F
G21C19/32 W
G21C19/32 T
【請求項の数】9
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2013-545288(P2013-545288)
(86)(22)【出願日】2011年12月20日
(65)【公表番号】特表2014-506322(P2014-506322A)
(43)【公表日】2014年3月13日
(86)【国際出願番号】EP2011073331
(87)【国際公開番号】WO2012084891
(87)【国際公開日】20120628
【審査請求日】2014年10月28日
(31)【優先権主張番号】1060952
(32)【優先日】2010年12月21日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】507008552
【氏名又は名称】テーエヌ・アンテルナシオナル
【氏名又は名称原語表記】TN International
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】特許業務法人 信栄特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ガルシア ジュスト
(72)【発明者】
【氏名】プリュドム パスカル
(72)【発明者】
【氏名】横江 大
【審査官】
藤原 伸二
(56)【参考文献】
【文献】
特開2000−162378(JP,A)
【文献】
特開2002−257991(JP,A)
【文献】
特開2008−101994(JP,A)
【文献】
特開2000−275396(JP,A)
【文献】
特開2001−141891(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2010/0090134(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G21F 9/36
G21C 19/06−19/07
G21C 19/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
放射性物質が入っている封じ込めケース(3)を収容することを目的とした長期貯蔵装置(1)であって、ハウジング(7)を画成する内面(5)を持つ主要本体(2)を有する長期貯蔵装置(1)であって、
前記放射性物質が入っている封じ込めケース(3)が前記長期貯蔵装置にはない無装入の形態において、前記長期貯蔵装置は、前記主要本体のハウジング(7)に収容され、かつ前記封じ込めケース(3)を収容するキャビティ(4)を画成する貯蔵ケース(9)を有し、前記長期貯蔵装置が、前記主要本体(2)の内面(5)と前記貯蔵ケース(9)との間に画成された空間(30)と、前記長期貯蔵装置の外部との間で空気を循環させる通風手段(17、18、117、118)と、
前記貯蔵ケースを前記ハウジングに挿入し、および/または前記ハウジングから取り出す方向について、前記貯蔵ケース(9)が前記主要本体(2)に対してスライドしないようにする手段(22)を有し、
前記手段(22)は、空気が通過できる自由空間(24)を形成しており、外部からの空気を前記通風手段によって前記自由空間を介して空間(30)へ通過させる、ことを特徴とする長期貯蔵装置。
【請求項2】
スライドさせることで前記貯蔵ケース(9)を、前記ハウジング(7)に挿入できるように、および/または、前記ハウジング(7)から取り出せるように設計されていることを特徴とする請求項1に記載の長期貯蔵装置。
【請求項3】
前記貯蔵ケース(9)が金属でできていることを特徴とする請求項1または2に記載の長期貯蔵装置。
【請求項4】
蓋(9b)を含み、前記蓋を取り外すとケース開口(9c)が形成され、前記ケース開口(9c)を通って前記封じ込めケース(3)を挿入する、および/または、取り出すことができることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の長期貯蔵装置。
【請求項5】
前記主要本体(2)に取り付けられ、かつ前記ハウジング(7)を閉じる蓋(8)を有することを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の長期貯蔵装置。
【請求項6】
前記放射性物質が入っている封じ込めケース(3)が前記貯蔵ケース(9)の前記キャビティ(4)に密封して収められている装入形態では、不活性ガスが、前記キャビティ内で前記封じ込めケースの周りに存在することを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の長期貯蔵装置。
【請求項7】
前記主要本体(2)が貯蔵パッケージまたはコンクリート製モジュールの一部である請求項1から6のいずれか一項に記載の長期貯蔵装置。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか一項に記載の複数の長期貯蔵装置(1)を有する放射性物質用の長期貯蔵サイト(100)。
【請求項9】
放射性物質が入っている封じ込めケース(3)を、移送用パッケージから、請求項1から7のいずれか一項に記載の長期貯蔵装置(1)へ移す方法であって、前記放射性物質が入っている封じ込めケース(3)を、前記主要本体(2)の前記ハウジング(7)自体に収められている前記貯蔵ケース(9)の前記キャビティ(4)に挿入するステップと、それに続いて、前記貯蔵ケース(9)を密封して閉じることからなるステップとを有することを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、放射能を浴びた核燃料アセンブリ(集合体)、核廃棄物などのような放射性物質が入っている封じ込めケースを収容することを目的とした長期貯蔵装置に関する。
【0002】
本発明はまた、複数の長期貯蔵装置を有する放射性物質用の長期間貯蔵サイトにも関する。
【0003】
さらに、本発明は、放射性物質が入っている封じ込めケースを、移送用パッケージから長期貯蔵装置へ移す方法にも関する。
【背景技術】
【0004】
核燃料アセンブリが、原子力発電所内での利用後に放射能を浴び続けている場合には、この核燃料アセンブリは、例えば長期貯蔵所とも呼ばれる貯蔵サイト内で、20年〜60年もの期間にわたって貯蔵される前に、封じ込めケースと呼ばれる密封した容器に入れられることもある。
【0005】
上記封じ込めケースを貯蔵サイトに運ぶために、上記封じ込めケースは、まず最初に、運搬用パッケージまたは移送用パッケージと呼ばれるパッケージに入れられて、運搬荷物と呼ばれるアセンブリを形成する。
【0006】
次に、上記運搬荷物は貯蔵サイトに運ばれる。この貯蔵サイトでは、この運搬荷物を、パッケージング・ケースから長期貯蔵装置内の通風収容キャビティへ移す方法が利用される。この長期貯蔵装置は、長期貯蔵用パッケージ、あるいはまた、特許文献1で知られているようなコンクリート製モジュールの形式を取ることもある。後者の場合は、封じ込めケースを移す方法を容易にする水平収容ハウジングを提供するという点で、興味深い。というのも、通常は、封じ込めケースを有する移送用パッケージを、上記コンクリート製モジュールの収容ハウジングに揃えて、双方とも水平方向に配置し、次に、この封じ込めケースを引っ張るか、または押して、この封じ込めケースをそのパッケージのハウジングから、対応する収容キャビティに移すことになっているからである。このような移送手法も、特許文献1で知られている
【0007】
長期貯蔵用パッケージに移す他の場合には、収容キャビティへの封じ込めケースの装入は、特許文献2に記載されるように、すなわち、長期貯蔵用パッケージをその長期貯蔵用の垂直姿勢に転換させる前に水平方向でも行うことがある。
【0008】
封じ込めケースは、垂直方向でも移されることがあり、このような手法は、例えば、特許文献3で知られている。
【0009】
どのようなソリューションが選択されようと、放射性物質が入っている封じ込めケースは、そのキャビティ内での長期貯蔵中、応力腐食割れを免れない。封じ込めケースが海からの塩を含有する大気にさらされるときには当然、このような危険性が増すものであって、特に、この封じ込めケースのうち溶接部のすぐ近くにある部分に関わっている。これは、これらの部分が、封じ込めケースに強い内部応力を発生させるからである。
【0010】
このような腐食割れが広がることで、放射性物質の封じ込めが働かなくなる可能性がある以上、封じ込めケースでのどんな腐食の広がりも制限/防止する処置を講じることが必要である。
【0011】
公知のソリューションは、放射性物質が入っている封じ込めケースを密封して収める貯蔵ケースを提供することにある。このソリューションにより、この貯蔵ケースは、封じ込めケースの腐食に備えて防御物となることができる。応力腐食割れが広がれば、腐食割れがまず最初に、このような保護ケースに関わることになるからである。
【0012】
このような貯蔵ケースは、したがって、代替的に、または同時に、上記封じ込めケースと組み合わせて、放射性物質の二重封じ込めを実現するように計画されることもある。このソリューションは、例えば、特許文献4で知られている。
【0013】
作業時に貯蔵ケースの機能がどうであろうと、この貯蔵ケースへの封じ込めケースの装入は、この封じ込めケースへの放射性物質の装入とともに、原子炉のサイトで試みられ、次に、2つのケース蓋が、それらの対応するケース本体上に、1つずつ付けられる。
【0014】
次に、この二重ケースのアセンブリは、上述のものと同一のステップを受ける。すなわち、このアセンブリを運んだ後で、このアセンブリを長期通風貯蔵装置に移す。
【0015】
しかしながら、このソリューションでは、上記運搬が高くつく。これは、追加のケースがあるために、運ばれるアセンブリの総質量が増えるか、あるいは、放射性物質の運搬可能な積載荷重が減るからである。さらに、応力腐食割れが貯蔵ケースにあるか、あるいは、介入を要するような他の損傷がある場合には、二重ケースのアセンブリ全体を原子炉のサイトに戻して、そこで所要の介入を受けさせなければならない。これが完了すると、二重ケースのアセンブリをもう一度、その長期貯蔵サイトに運んで、そこで、その対応する装置内に設置する。このような運搬作業の費用が高くつくとともに、運搬作業の回数が多くなることで、この方法は、とりわけ費用がかさむことになる。
【0016】
さらに、運搬/移送用パッケージは、運搬/移送用パッケージが通常、収めている単なる封じ込めケースとは異なるようなアセンブリを受け入れるために、大幅な変更をしなければならないことがある。
【0017】
最後に、貯蔵ケースの存在は、運搬作業中、放射物質により発散された熱の排出障害となる。これにより、封じ込めケース内の温度が許容できないくらい上昇する恐れが生じる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0018】
【特許文献1】米国特許第4,780,269号明細書
【特許文献2】仏国特許第2,918,649号明細書
【特許文献3】欧州特許第1,359,594号明細書
【特許文献4】国際公開第00/04558号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
したがって、本発明の主目的は、従来技術の実施形態と比較して、設計により上記の欠点を少なくとも一部、改善できるような長期貯蔵装置を提供することである。
【0020】
この目的を達成するために、本発明は、放射性物質が入っている封じ込めケースを収容することを目的とした長期貯蔵装置であって、ハウジングを画成する内面を持つ主要本体を有する長期貯蔵装置を対象としている。本発明により、上記放射性物質が入っている封じ込めケースが長期貯蔵装置にはない無装入の形態において、長期貯蔵装置は、上記主要本体のハウジングに収容され、かつ封じ込めケースを収容するためのキャビティを画成する貯蔵ケースを有し、上記長期貯蔵装置は、上記主要本体の内面と貯蔵ケースとの間に画成された空間と、長期貯蔵装置の外部との間で空気を循環させる通風手段も有する。
【0021】
そこで、本発明は、貯蔵ケースが、長期貯蔵装置の一構成部分を形成しているという事実により、従来技術とは際立った違いがある。したがって、放射性物質の運搬中、放射性物質が入っている封じ込めケースとはもはや結合しない。このことは、大きな利用益をもたらす。つまり、この貯蔵ケースが、原子炉のサイトと、長期貯蔵サイトとの間で運ばれることがないからである。同様に、応力腐食割れが長期貯蔵装置内のこの通風ケースにあるか、あるいは、介入を要するような他の劣化がある場合には、封じ込めケースは、そのキャビティから取り出されて、次に、近くにある貯蔵装置内で、新たな貯蔵ケースに収め直されることもある。このような欠陥のある貯蔵ケースについては、取り出された後で、修理されるか、または取り替えられる。このことは、原子炉のサイトに、封じ込めケースも、さらに貯蔵ケースもまったく運ばないことを意味している。
【0022】
本発明はまた、原子炉のサイトと長期貯蔵サイトとの間で封じ込めケースを運ぶために、従来の運搬/移送用パッケージを使用できるようにするという意味でも有利である。
【0023】
また、放射性物質が入っている封じ込めケースは、貯蔵ケースと一緒に運ばれないため、放射性物質により発散された熱は、より良く消散され、また、封じ込めケース内の温度が許容できないくらい上昇する恐れが大幅に減らされる。
【0024】
例として、封じ込めケースに入っている放射性物質により発散された熱の一部をためて、消散させることを目的とする通風手段が、当業者に知られている任意のやり方で製作できることに留意する。
【0025】
パッケージの装入形態では、貯蔵ケースは、好ましくは、封じ込めケースの腐食、および/または、放射性物質の第2の封じ込めに備えて保護ケースを形成することに当てられる。さらに一般的に言えば、パッケージの装入形態では、封じ込めケースは、貯蔵ケースの収容キャビティに密封して収められるように意図されている。
【0026】
好ましくは、上記貯蔵装置は、貯蔵ケースを上記ハウジングに挿入し、かつ/または上記ハウジングから取り出す方向に、上記主要本体に対して貯蔵ケースがスライドしないようにする手段を有する。
【0027】
好ましくは、これらの手段は、この貯蔵ケースの取り出し方向に上記主要本体に対して貯蔵ケースが少なくともスライドしないようにしている。
【0028】
好ましくは、これらの手段は、貯蔵ケースが外部に開いているとき、すなわち、貯蔵ケースの蓋が取り外されているときに、上述の方向の一方および/または他方にスライドするのを阻止できるようにしている。言い換えれば、この貯蔵装置の他の蓋も取り外されるときには、このような阻止手段により、封じ込めケースの取出しおよび/または挿入中、貯蔵ケースを動けなくすることができる。
【0029】
封じ込めケースを上記キャビティに挿入し、かつ/または上記キャビティから取り出すときには、この手段により、貯蔵ケースの望まれない動きはまったく発生しない。しかしながら、スライドしないようにする上記手段は、例えば、これらの手段がボルトを有するときにはボルトを外すことで、機能しなくなり、特に、貯蔵ケースを修理するか、または取り替えなければならないときに貯蔵ケースを取り外す目的で、機能しなくなることもある。さらに、上記貯蔵装置の設計により、これらの手段はまた、長期貯蔵中にも機能しなくなり、そのため、ただ、無装入の形態において、また、封じ込めケースを挿入し、かつ取り出す作業の間だけ、保持されることもある。
【0030】
好ましくは、この貯蔵装置は、スライドすることで貯蔵ケースを、ハウジングに挿入できるように/ハウジングから取り出せるように設計されている。このような設計によって、取付け作業とハンドリング作業を簡単になる。
【0031】
好ましくは、この貯蔵ケースは、金属でできている。
【0032】
好ましくは、この貯蔵ケースは蓋を含み、その蓋を取り外すと、上記封じ込めケースを挿入する/取り出すときに通るケース開口が形成される。
【0033】
好ましくは、この貯蔵装置は、上記主要本体に取り付けられ、かつ上記ハウジングを閉じる蓋を有する。
【0034】
好ましくは、上記放射性物質が入っている封じ込めケースが貯蔵ケースのキャビティに収められている装入形態では、好ましくは加圧された不活性ガスは、このキャビティ内で封じ込めケースの周りに存在する。これにより、封じ込めケースの防食機能を向上させることができる。このガスは、好ましくはヘリウムである。別の方法として、この不活性ガスを、清浄空気に代えてもよい。
【0035】
上述のように、上記主要本体は、貯蔵パッケージまたはコンクリート製モジュールの一部である。第1の場合には、封じ込めケースは一般に、垂直の長期貯蔵姿勢を採用しているが、第2の場合には、これに対して、その姿勢は常に水平である。
【0036】
どちらの場合を想定しようと、好ましくは、貯蔵ケースの収容ハウジングの周りに、少なくとも200mmの厚さの主要本体がある。長期貯蔵パッケージの第1の場合には、この長期貯蔵パッケージは、運搬/移送用パッケージとは違って、公道での核物質輸送に関する法定安全要件、とりわけ、変形しない標的での自由落下テストとして知られているテスト(特に大きな拘束力を持つもの)を満たすことを必要としない。それに反して、貯蔵パッケージの設計は、現行の国家法規により、火災を伴う飛行機胴体着陸の後、あるいはまた、地震の場合に、封じ込めケースの健全性(無傷の状態)を貯蔵パッケージが通常、維持できるようにしなければならない。
【0037】
本発明はまた、上述のものなどの複数の長期貯蔵装置を有する、放射性物質用の長期貯蔵サイトにも関する。
【0038】
最後に、本発明は、放射性物質が入っている封じ込めケースを、上記主要本体のハウジングにそれ自体、収められている上記貯蔵ケースのキャビティに挿入することを目的とするステップと、それに続き、上記貯蔵ケースを密封して閉じることにあるステップとを含め、放射性物質が入っている上記封じ込めケースを、移送用パッケージから上述のものなどの長期貯蔵装置に移す方法を対象としている。
【0039】
本発明の他の利点および特徴は、以下の限定しない詳細な開示内容において明らかになろう。
【0040】
この説明は、以下の添付図面を参照して行われる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【
図1】本発明の好ましい実施形態による放射性物質用の長期貯蔵サイトの側面図を表わす。
【
図2】
図1に示される長期貯蔵サイトの上面図を表わす。
【
図3】本発明の第1の好ましい実施形態による長期貯蔵装置であって、放射性物質封じ込めケースが装入された長期貯蔵パッケージの形式を取る長期貯蔵装置を示す斜視図を表わす。
【
図4】
図3に示されるパッケージの分解斜視図を表わす。
【
図5】
図3と
図4に示される装入されたパッケージの下部の部分断面図を表わす。
【
図6a】2つの異なる設計の一方により、
図3〜
図5に示されるパッケージに合わされる貯蔵ケースを表わす。
【
図6b】2つの異なる設計の他方により、
図3〜
図5に示されるパッケージに合わされる貯蔵ケースを表わす。
【
図7】
図3〜
図6bに示される装入されたパッケージの下部の別の斜視図を表わす。
【
図8a】本発明の好ましい実施形態により、放射性物質が入っている封じ込めケースを移す方法の異なる連続するステップを略示した図の1つを表わす。
【
図8b】本発明の好ましい実施形態により、放射性物質が入っている封じ込めケースを移す方法の異なる連続するステップを略示した図の1つを表わす。
【
図8c】本発明の好ましい実施形態により、放射性物質が入っている封じ込めケースを移す方法の異なる連続するステップを略示した図の1つを表わす。
【
図9】本発明の第2の好ましい実施形態による2つの長期貯蔵装置であって、それぞれがコンクリート製モジュールを有する長期貯蔵装置を示す斜視図を表わす。
【
図10】
図9に示される2つの長期貯蔵装置の一方の前部の断面図を表わす。
【発明を実施するための形態】
【0042】
まず最初に、
図1と
図2に、本発明の好ましい実施形態に係る放射性物質用の長期貯蔵サイト100を示す。長期貯蔵サイト100は、天井102により、上側が閉ざされる。これにより、長期貯蔵サイト100は、約20年〜60年という長期間、放射性物質の貯蔵が予定される「倉庫」の形式を取ることになる。
【0043】
倉庫100には、本発明の目的でもあり、かつ以下で詳しく説明される複数の長期貯蔵パッケージ1が垂直に載せられている床104がある。装入形態では、それぞれの長期貯蔵パッケージ1は一般に、放射能を浴びた核燃料アセンブリなどの放射性物質が入っている封じ込めケースを収めており、そこでは、長期貯蔵パッケージ1と封じ込めケースが垂直姿勢で貯蔵される。
【0044】
このように垂直に長期貯蔵パッケージ1を貯蔵する方法により、床104と天井との間にある貯蔵空間106の空間的要求を大幅に最適化でき、それゆえ、貯蔵空間106内に同時に貯蔵できる長期貯蔵パッケージ1の数を最大にすることができる。好ましくは、また、例示として、長期貯蔵パッケージ1が平行に並べて貯蔵される。
【0045】
さらに、倉庫100には、長期貯蔵パッケージ1を回転させるためのフレーム108が設けられており、以下で詳しく説明されるように、関連するケースを移す作業の間、長期貯蔵パッケージ1のそれぞれを水平姿勢から垂直姿勢に枢動させることができる。
【0046】
さらに、倉庫100は、長期貯蔵パッケージ1の昇降/ハンドリングを行う橋形クレーン(110を参照する)を含み、これにより、特に、長期貯蔵パッケージ1を垂直姿勢に保ちながら、貯蔵空間106内で長期貯蔵パッケージ1を移すことができる。
【0047】
図3〜
図7を参照して、放射性物質(図示されてない)が入っている封じ込めケース3が装入された長期貯蔵パッケージ1の1つを説明する。
【0048】
まず最初に、
図3と
図4を参照してさらに具体的に言えば、長手方向の軸線12を有する長期貯蔵パッケージ1は、ハウジング7を画成する側方内面5を持つ円筒形の中空側方主要本体2を含み、また、ハウジング7も形状が概ね円筒形である。ハウジング7は、封じ込めケース3の腐食を防止する貯蔵ケース9を収容し、さらに、貯蔵ケース9は、貯蔵ケース9が内側に画成しているキャビティ4に、封じ込めケース3を密封して収容する。貯蔵ケース9はまた、封じ込めケース3と組み合わせて、放射性物質の二重封じ込めも実現する。
【0049】
長期貯蔵パッケージ1はまた、側方主要本体2の一方の上端2aでハウジング7を閉じる着脱自在の頭部蓋6、並びに、下端2bと呼ばれる側方主要本体2の他端でハウジング7を閉じる着脱自在のパッケージ底部8も有する。したがって、パッケージ底部8は、着脱自在の底部蓋の形式を取り、この底部蓋は、
図5に略示されるように、例えばボルト止め、もしくはそれと同等の方法で、側方主要本体2に可逆的に取り付けられる。以下で詳しく説明されるように、このことから、封じ込めケース移送方法の過程で、パッケージ本体2の下端2bを通ってパッケージ底部8を挿入することができる。
【0050】
図6aと
図6bに示されるように、貯蔵ケース9は、円形断面の円筒形側方本体9aを用いて作られるものであり、溶接により確実に固定されるように側方本体9aに取り付けられた底部(見られない)を有し、その反対側の端で着脱自在のケース蓋9bにより密封される開口9cが形成されている。ケース蓋9bは、キャビティ4を密封するように、例えばボルト17によるか、または溶接21により、ケース本体9a上に、確実に、かつ可逆的に取り付けられる。装入形態では、特に、このような密封を利用して、加圧した不活性ガスを、キャビティ4内で、封じ込めケース3の周りに入れる。これにより、防食機能を向上させることができる。このようにもたらされた密封はまた、封じ込めケース3にすでに入っている放射性物質の第2の封じ込めをもたらすのにも役立つ。
【0051】
この不活性ガスは、好ましくは、1.1バール〜2バールの圧力で加圧されたヘリウムである。長期貯蔵中、このガス圧は、例えば応力による1つまたは複数の腐食割れにより生じる貯蔵ケースの起り得るシール漏れを検出するように制御できる。このようにしてシール漏れが検出された後、後述するように、この貯蔵ケースに介入が行われる。例示として、キャビティ4内の圧力をモニタリングする目的は、貯蔵ケース9のシール漏れを検出することだけでなく、キャビティ4内で概ね低圧にある封じ込めケース3のシール漏れを検出することでもある点に留意する。
【0052】
貯蔵ケース9と封じ込めケース3は両方とも、金属、例えばスレンレス鋼でできている。
【0053】
さらに、パッケージ1は、中性子遮蔽、ガンマ線防御、機械抵抗という通常の機能を実現する。これを達成するためには、中空側方本体2の厚さは、少なくとも200mmとなるように、とりわけ設計されることもあり、また、中空側方本体2が鋼で作られることもある。コンクリートを使用して、中空側方本体2を製作することも想定できる。
【0054】
パッケージ1はまた、昇降台110のフック112から吊り下げられた吊上げビーム(図示されてない)と協働して、パッケージ1を移動できるようにすることを目的とした複数のハンドリング装置14(昇降トラニオンとも呼ばれる)も有する。好ましくは、このようなハンドリング装置は4つ以上あって、それらは、中空側方本体2の上端および下端の近くに配置されて、それらの上端および下端から半径方向に外に向かって突出している。
【0055】
さらに、パッケージ1は、貯蔵装置の外部と、ハウジング7の環状空間30との間で、空気を自然対流または強制対流により循環させる通風手段を有する。
図5に示す環状空間30は、中空側方本体2の内面5と貯蔵ケース9との間に画成されて、防食を保証する。
【0056】
これらの特定の手段は、封じ込めケース3に入っている放射性物質により発散された熱の一部をためて、放散できるようにする空気流を提供するものであって、当業者に知られているどんな手段によっても作ることができる。
【0057】
例示として、さらに具体的に
図5〜
図7を参照すると、ボルトにより中空側方本体2の下端2bに取り付けられた、パッケージ1の下蓋8は、パッケージ1の外部をハウジング7と連通できるようにする貫通路17を持っていることがわかる。また、ハウジング7を上記外部と連通させる目的で、上蓋6の下で、中空側方本体2の上端2aの所にも、対応する貫通路18がある。
【0058】
さらに、ケース本体9aは、その開口9cの所に、中空側方本体2の段面20に当てて支えられる輪縁19を持っている。ボルト22により、輪縁19を段面20に押し付けることができる。このように、要素22、要素19、要素20はすべて、封じ込めケース3を、キャビティ4に挿入する方向/キャビティ4から取り出す方向(これらの方向は、長手方向の軸線12に等しい)に、貯蔵ケース9が中空側方本体2に対してスライドしないようにする手段となっている。
【0059】
このようなアセンブリ(集合体)に空気を通すことができるように、輪縁19と段面20には突起物が付けられ、また、
図7にもっともよく見られるように、輪縁19と段面20を角的に互いにずらせて、突起物と突起物の間に空気を通すための自由空間24を作り出すようにしている。
【0060】
したがって、外気は、貫通路17を介して下蓋8を通過し、次に、輪縁19と段面20により画成された自由空間24を通り抜ける。次に、その外気は、貯蔵ケース9と、ハウジング7の内面5との間の自由環状空間30に入り込む。
【0061】
この時点からずっと、このパッケージが垂直姿勢にあるときには、空気は、封じ込めケース3に入っている放射性物質により発散された熱をためて、空気が温まることで上昇する。したがって、ぴったりと貯蔵ケース9に沿った空気は、それが上方へ向かう間中、放射性物質により発散された熱をため、次に、その空気は、上端2aの貫通路18を通って、環状空間30から出てゆくときに、その熱を除去する。次に、貫通路18から出た空気は、このパッケージの外部環境に合流し、また、今説明した現象が連続して行われることにも留意されたい。
【0062】
最後に、見てわかるように、キャビティ4を画成する内面には、貯蔵ケース9を挿入するとき、また、貯蔵ケース9を取り出すときにも、封じ込めケース3が貯蔵ケース9に対してスライドするのに役立てるようにする手段が付けられることもある。また、これらの手段は、例えば、貯蔵ケース9内で封じ込めケース3がスライドする方向でもある長手方向の軸線12の方向に延びている平行な傾斜路/レールの形式を取っている。ハウジング7を画成する内面5には、貯蔵ケース9を挿入するとき、また、貯蔵ケース9を取り出すときにも側方本体2内で貯蔵ケース9がスライドするのに役立つように、同様な手段が設けられていてもよい。
【0063】
この点では、本発明はまた、放射性物質が入っている上記封じ込めケース3を、固定底部を有する移送用パッケージから、説明したばかりの長期貯蔵パッケージ1のキャビティ4に移す方法にも関する。例示として、この移送用パッケージは、単一の原子力関係のサイト内で、例えば、原子炉と長期貯蔵サイトとの間で封じ込めケース3を移すようにもっぱら設計されたパッケージであってもよい。その場合、このパッケージは、公道で積み込むようには設計されてないか、あるいは、さらに優先的には、当業者に知られているように、公道で積み込まれるように特別に設計された放射性物質を移すためのパッケージであってもよい。
【0064】
図8a〜
図8cは、本発明の好ましい実施形態による移送方法の連続する異なるステップを表わしている。
【0065】
この方法は、装入していない形態でのパッケージ1、すなわち封じ込めケース3なしのパッケージ1で始まる。したがって、この方法は、前の図に示されるものと同一の設計のものであるが、放射性物質が入っている封じ込めケース3を含めない。特に、ボルト22、輪縁19、段面20から形成されるアセンブリは、封じ込めケース3および貯蔵ケース9を取り出す/挿入する方向と同一である長手方向の軸線12の方向に、貯蔵ケース9が側方本体2に対してスライドしないようにしている。
【0066】
パッケージ1は、
図1と
図2に示した倉庫100内にあるそのトラニオン14とフレーム108を用いて、まず最初に水平姿勢に置かれる。
【0067】
パッケージ底部を形成する下蓋8を取り外し、次に、ケース蓋9bを取り出して、
図8aに見られるようにケース開口9cが見えるようにする。
【0068】
移される封じ込めケース3が入っている移送用パッケージ(図示されてない)は、この移送用パッケージが水平に置かれている運搬手段を用いて、ケース開口9cの正面にくるように位置されて、そのケース頭部がケース開口9cの方向に揃えられる。これら2つのパッケージは、それぞれの長手方向の軸線がほぼ1つになるように、互いに向かい合って、かつ互いに離して配置される。
【0069】
以下のステップにより、移送用パッケージの着脱自在の頭部蓋を取り外した後で、この移送用パッケージが貯蔵パッケージ1とドッキングするように、上記運搬手段を動かす。
【0070】
接触が行われると、固定は、例えば、双方のパッケージの昇降トラニオンが収められる凹み(入込み)を持つビームを用いて、それらの昇降トラニオンを機械式に連結することで、達成してもよい。
【0071】
以下のステップにより、
図8bに略示されるように、封じ込めケース3をケース開口9cを通って貯蔵ケース9のキャビティ4に挿入する。これを達成するために、当業者に知られている従来の駆動機構を作動させる。次に、このような移動により、封じ込めケース3は、頭部からキャビティ4に徐々に入り込む。さらに、封じ込めケース3の移動が完了し、封じ込めケース3がまだ水平に置かれているとき、このケース頭部は、パッケージ1上の該当位置にその間ずっととどまっている着脱可能の頭部蓋6の正面で、パッケージ本体の上端2aの所にある。例示として、封じ込めケース3の水平移動の間、貯蔵ケース9内で封じ込めケース3がスライドする動きは、封じ込めケース3が載っている上述の傾斜路(
図8b中の32に示す)があることで、容易となる。
【0072】
固定手段とドッキング手段が切り離された後で、貯蔵ケース9は、
図8cに示されるように、ボルトまたは溶接により、ケース蓋9bの可逆的な取付けにより、密封して閉じられる。この段階において、従来の手段により、不活性ガスがキャビティ4に引き入れられることがある。次に、やはりボルトを用いて、今度は下蓋8が、側方本体の一端2bに取り付けられる。
【0073】
最後に、パッケージ1は、フレーム108により垂直に転換され、次に、昇降橋形クレーンは、封じ込めケース3を装入したパッケージ1を、その上部トラニオン14により、つねに吊るしておいて、パッケージ1が確実に垂直姿勢で移動できるようにして、パッケージ1を貯蔵空間内のその貯蔵位置に向けて送る。
【0074】
パッケージ1をその垂直姿勢に転換する前に、ボルト22を取り外して、貯蔵ケース9が側方本体2に対してスライドできるようにしてもよい。これにより、これらのボルト22は、垂直姿勢での長期貯蔵期間中、装入された二重ケースの全重量を受けないようにすることができる。それどころか、この二重ケースは、その場合、単にパッケージ1の着脱自在の底部8に支えられているだけとしてもよい。
【0075】
次に、次の貯蔵パッケージが枢動フレーム108上にその水平姿勢で位置づけられた後で、次の貯蔵パッケージに対して、同一移送方法が繰り返されることもある。
【0076】
長期貯蔵中、不活性ガス圧のチェックにより、その圧力が低下したことが判明したときには、これは、例えば応力による1つまたは複数の応力腐食割れにより生じる貯蔵ケース9の起り得るシール漏れを示す。そのような検出後、下蓋8と蓋9cを取り外して、封じ込めケース3を取り出し、その後で、封じ込めケース3は、上述のものと同一の方法により、近くに位置する別の貯蔵装置1内に収め直してもよい。このように封じ込めケース3をスライドして取り出す作業は、好ましくは、貯蔵ケース9が主要本体2に対してスライドしないようにボルト22を再び取り付けて、水平姿勢で試みられる。貯蔵ケース9がスライドしないようにすることで、貯蔵ケース9内にある封じ込めケース3の取出しが容易となる。
【0077】
欠陥のある貯蔵ケース9については、ボルト22を取り外した後でスライドさせてハウジング7から取り出し、次に、修理するか、または取り替えてもよい。
【0078】
別の方法として、上述した実施形態は、水平方向ではなく垂直方向に封じ込めケース3を装入し、取り出して、移送用パッケージを貯蔵用パッケージの上に垂直に載せることで、同様に実施してもよい。
【0079】
次に
図9と
図10を参照して、第2の好ましい実施形態による貯蔵装置1を説明する。この第2の実施形態は、前の図を参照して説明された第1の好ましい実施形態と多くの類似点を持っている。さらに、これらの図では、同一の参照番号が付いている要素は、同一要素または類似要素である。
【0080】
そこで、第1の実施形態との本質的な違いは、主要本体2がパッケージの一部ではなくて、封じ込めケース3を水平に貯蔵できるようにするコンクリート製モジュールであるということである。
【0081】
さらに、空気を循環できるようにする通風手段は、主要本体2の下部において貯蔵ケース9の下に開口117を持っており、外気をハウジング7と交換させることができる。空気は、上方に環状空間30内で、貯蔵ケース9の周りに周方向に流れた後で、流路網118にたどりつき、空気は上方で長期貯蔵装置1の外に出ることができる。
【0082】
このような設計では、ボルト22は特に長期貯蔵中、貯蔵ケース9の輪縁19上に常時とどまり、その場合、貯蔵ケース9をハウジング7から取り出して、修理するか、または、取り替えなければならないときだけ取り外される。
【0083】
当然のことながら、もっぱら限定しない例として述べられてきた発明に、当業者により様々な変更が加えられることもある。