特許第5955342号(P5955342)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5955342ポリアミドの混合物を含むポリマー層を湿気吸収層として備える湿度センサ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5955342
(24)【登録日】2016年6月24日
(45)【発行日】2016年7月20日
(54)【発明の名称】ポリアミドの混合物を含むポリマー層を湿気吸収層として備える湿度センサ
(51)【国際特許分類】
   G01N 27/22 20060101AFI20160707BHJP
【FI】
   G01N27/22 A
【請求項の数】8
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2013-555892(P2013-555892)
(86)(22)【出願日】2012年3月2日
(65)【公表番号】特表2014-507003(P2014-507003A)
(43)【公表日】2014年3月20日
(86)【国際出願番号】EP2012053670
(87)【国際公開番号】WO2012117104
(87)【国際公開日】20120907
【審査請求日】2015年2月24日
(31)【優先権主張番号】1151735
(32)【優先日】2011年3月3日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】502124444
【氏名又は名称】コミッサリア ア レネルジー アトミーク エ オ ゼネルジ ザルタナテイヴ
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】特許業務法人 信栄特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】グランジュ ユベール
【審査官】 佐々木 龍
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭60−066143(JP,A)
【文献】 特開昭55−147343(JP,A)
【文献】 特開昭55−145301(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 27/00−27/24
JSTPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
湿度センサであって、湿気吸収層として、第一のポリアミドおよび第二のポリアミドを含む混合物を含んでいるポリマー層を備え、該第二のポリアミドが、その反復単位において、第一のポリアミドの反復単位よりも多数の炭素原子を含み、前記第一のポリアミドが、ポリアミド6、ポリアミド6−6およびポリアミド11の中から選択され、前記第二のポリアミドが、ポリアミド6−6、ポリアミド6−10およびポリアミド12の中から選択される、湿度センサ。
【請求項2】
前記ポリマー層が、ポリアミドのみからなる、請求項1に記載の湿度センサ。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の湿度センサであって、前記ポリマー層が、以下の混合物:
−ポリアミド6およびポリアミド6−6の混合物;
−ポリアミド6およびポリアミド6−10の混合物;
−ポリアミド6−6およびポリアミド6−10の混合物;
−ポリアミド11およびポリアミド12の混合物;
の中から選択される混合物を含む、湿度センサ。
【請求項4】
前記ポリマー層が、ポリアミド6およびポリアミド6−6の混合物を含む、請求項1〜のいずれか1項に記載の湿度センサ。
【請求項5】
前記混合物中で、前記第一のポリアミドが、前記第二のポリアミドに対して、95/5と5/95との間の質量割合で存在する、請求項1〜のいずれか1項に記載の湿度センサ。
【請求項6】
請求項1〜のいずれか1項に規定されたポリマー層を少なくとも1つ備え、前記層が、第一電極と第二電極との間に位置する、請求項1〜のいずれか1項に記載の湿度センサ。
【請求項7】
前記第一電極および前記第二電極が、同じ基板と接触している、請求項に記載の湿度センサ。
【請求項8】
請求項1〜のいずれか1項に記載のポリマー層によって、完全にまたは部分的にカバーされるビームまたは膜を備える、請求項1〜のいずれか1項に記載の湿度センサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、湿度センサであって、高い水吸収率、0〜100%の相対湿度の間での十分な感度、および、この感度の十分な経時的安定性を有する湿度センサに関する。
【0002】
本発明の湿度センサは、湿度の制御が必須である多くの分野で適用を見出すことができ、とりわけ以下の分野を挙げることができる:
−所定の程度の湿度(特に温室内)が、作物の生育に重要でありうる農業分野;
−過剰の湿度が、在庫品を腐らせる速度や、カビ(moulds)の増殖を増大しうる食品製造の分野;
−粉末型の薬品の水分含量が特に厳密に管理されなければならない製薬分野;
−クリーンルームにおいて湿度を制御できること、また封入された電子部品における漏出の存在を検出できることが必須であるエレクトロニクス(電子工学)分野;
−焼成前に乾燥部分との関係で湿度が管理されなければならないセラミック製造産業、または製紙産業、もしくは化学合成のためにガスの使用を伴う産業(ここでは、これらのガス中の過剰に高い水分含量が、その製品の化学組成の変化をもたらしうる)などの化学産業の分野;
−自動車、航空、家電製品(特に、回転式乾燥機)などの輸送の分野および大量消費財の分野;
−例えば、呼気の湿度管理において、または血液処理の流体システムでの漏出の検出における医療分野;
−美術品が保管される施設(例えば、美術館の部屋)の湿度を管理して、それらが劣化するのを防ぐことが重要である美術品保存の分野。
【背景技術】
【0003】
多くの上記分野での湿度の利用、検出および/または測定(「湿度測定法」という科学用語で公知)が、多くの研究および分析の対象となり、これらは、湿度測定デバイス(湿度計または湿度センサという用語でも公知)、およびさらに具体的には、相対湿度[所定の温度における、所定の媒体に含まれる水蒸気の量と、それに含むことができる最大量(飽和点に等しい)との間の比を示し、この比は、0〜100%で変動しうるRH値で表される]を測定するデバイスの製造をもたらした。
【0004】
有効で、信頼できるものとするために、湿度計は理想的には、以下の仕様の一覧を満たさなければならない:
−極めて短い反応時間(例えば、2分未満);
−0〜100%の相対湿度(RH)の関数としての線形応答;
−低いヒステリシス;
−低い温度係数;
−広い動作温度範囲、好ましくは−20℃〜80℃;
−測定の経時的安定性(特に、湿度計が、低湿度または高湿度の周囲雰囲気、および/または侵攻性の媒体中で保管されたあと)
【0005】
湿度計は、水蒸気がなんらかの役割を果たす物理現象の多様性を念頭に置いた、広範な種類のパラメーターを用いてもよく、また各々のパラメーターは、特定の湿度測定手段をもたらす。
【0006】
最も一般的に用いられる湿度計の中でも、湿度の直接測定の原理に基づく湿度計(凝結(condensation)湿度計の場合)は、湿度に関する物体の特性の測定の原理に基づく湿度計(可変インピーダンス(variable−impedance)湿度計の場合)とは区別されうる。
【0007】
凝結湿度計は、実際は、空気の露点(すなわち、湿度の高い空気が飽和する温度か、または言い換えれば、水蒸気が、液体型の凝結を含む温度)を測定することからなる。これを実現するためには、相対湿度を決定することが所望される空気のサンプルを採取しなければならず、これを、例えば、冷却した鏡と接触させて、その温度を測定しなければならない。この温度が露点に達したとき、空気中に存在する湿気は凝縮し、鏡にあたる光のビームは、もはや反射できないか、あるいは変化した反射角度で反射する。ビームが中断されるかまたは変化する時点の温度を測定することによって、露点温度と、さらに空気の相対湿度を得ることができる。
【0008】
原理的に、この種の湿度計は、長い反応時間を有する。なぜなら、湿度計に存在する温度センサは一般に、鏡(その温度を測定しなければならない)と直接接触せず、このことは、鏡の温度の限界値を得る前に数分間待つ必要が時にはあるということを意味するからである。
【0009】
可変インピーダンス湿度計に関しては、それらは、吸湿性物質を含む感受性要素の使用に基づいており、その電気的特性の変動が環境湿度によって測定される。
【0010】
その変動が測定される電気的特性が、電気抵抗であるかまたは電気容量であるかによって、抵抗(resistive)湿度計は、容量(capacitive)湿度計とそれぞれ区別される。
【0011】
抵抗湿度計の場合、ある量の吸湿性物質が、抵抗器(resistor)を構成するパターンで基板上に沈着される。2つの電極がこのパターンに接続され、従ってこの電極の間の抵抗は、水含量および温度に依存し、これによって、水の量が増えるほど電気抵抗が小さくなるということを考慮して、これらの湿度計が置かれる媒体の水分含量を得ることができる。
【0012】
最後に、容量湿度計の場合、周囲の湿度を吸収できる誘電体の層が2つの電極の間に位置しており、これによって、コンデンサを形成する。湿度が変化するとき、この層によって吸収される水の量も変化し、これによってこの層の比誘電率が変わり、コンデンサの容量の変化が生じ、これを測定して、測定された容量の値によって、容量湿度計が位置している環境の水分含量を得ることが可能になる。
【0013】
用いられる誘電体は、多孔性の無機材料、例えば、多孔性ケイ素、アルミナAl、シリカSiOであってもよいが、このような材料の使用は、毛管凝縮の現象のために、かなりのヒステリシスの現象をもたらし、通常、2〜50nmの孔径を有する無機材料の場合には55〜97%RHの相対湿度を生じる。従って、それらは、低湿度の測定にのみ用いられることが有利であろう(例えば、20%RH未満の相対湿度)。
【0014】
用いられる誘電材料はまた、有機材料、特に、ポリマー材料であってもよく、通常、これらは無機材料の場合よりも応答の直線性およびヒステリシス現象に関して、さらに有利である。
【0015】
これらのポリマー材料は、通常、低吸収率の誘電材料を構成する能力のために選択され、その結果、水蒸気は、高い相対湿度環境から低い相対湿度環境へ通過するとき、脱着がより容易になる;これらの基準を満たし、かつ慣用的な材料は、酢酸酪酸セルロース類(cellulose acetate butyrates)、ポリイミド類、ポリスルホン類またはポリエーテルスルホン類のファミリーに属する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
しかしながら、これらの材料には、特定の不利な点があり、その中でも以下を挙げることができる:
−誘電性材料として、酢酸酪酸セルロース類(cellulose acetatobutyrates)、ポリイミド類、ポリスルホン類またはポリエーテルスルホン類を有する容量湿度計の場合、低い湿度値に対する感受性の低さ(例えば、0〜5%RH);
−酢酸酪酸セルロース類(cellulose acetobutyrates)およびポリイミド類の場合、極めて長い安定化時間;
−用いられる誘電体が酢酸酪酸セルロース類またはポリイミド類を含むときの8%を超える相対湿度の場合、増大方向または減少方向における各々の湿度測定の30分間の待ち時間後の実質的なヒステリシス現象。
【0017】
従って、上述の不利な点を克服できる、具体的には以下の利点を有しうる、ポリマー吸収材料を有する湿度センサ(または湿度計)が必要とされる:
−経時的な感度の安定性;
−ポリイミド類、酢酸酪酸セルロース類およびポリエーテルスルホン類などのポリマーの使用を伴うセンサの感度よりも大きい高感度[これによって、極めて低い率の湿度(例えば、0〜5%の相対湿度)の測定、および0〜100%の相対湿度範囲にわたる正確性のより高い測定が可能になる];
−極めて短い反応時間;
−低ヒステリシス。
【課題を解決するための手段】
【0018】
従って、本発明は、湿度センサであって、第一のポリアミドおよび第二のポリアミドを含むポリマー混合物を含んでいるポリマー層を湿気吸収層として備え、ここで、この第二のポリアミドが、その反復単位において、第一のポリアミドの反復単位よりも多数の炭素原子を含んでいる、湿度センサに関する。
【0019】
発明の説明でより詳細に説明する前に、本発明者らは、以下の定義を規定する。
【0020】
反復単位とは、その重縮合後のある成分由来の二価の基を意味することが理解される。
【0021】
ポリアミドとは、その主鎖に、これらの官能基を構成する化合物のアミン官能基とカルボン酸との間の重縮合の工程から通常生じるアミド基−C(=O)−NH−を含む重縮合物を意味することが理解される。
【0022】
従って、別のポリアミド類の混合物(その第二のポリアミドは、その反復単位において、第一のポリアミドの炭素数よりも多い炭素数、具体的には第一のポリアミドよりも多い−CH−基の数を有する)を含んでいる層を湿気吸収層として有するセンサを製造することによって、本発明の発明者らは、得られたセンサが、このような第一のポリアミドまたはこのような第二のポリアミドのみを湿気吸収層に有するセンサよりも大きい感度および経時的な安定性を有し、ならびに特にセンサの感度の不可逆的な劣化を生じうる結晶化現象を減少または排除することを、驚くべき方式で実証することができた。
【0023】
理論によって拘束されることはないが、本発明のセンサの感度の安定性は、単一のポリアミドのみをその吸収層に有するセンサの場合のように、湿度の影響下で結晶化しない非晶質性ゾーンに対する結晶ゾーンの割合の安定性によって説明できる。従って、本発明のセンサの吸収率は、温度および湿度のサイクルの後でさえ、または長期間の高い湿度もしくは低い湿度の後でさえ、安定であることが証明される。さらに、上記のようなポリアミド類の混合物の使用は、経時的に安定なままである可塑性を吸収層に与え、これによって、結晶化して経時的に硬化する傾向にあるポリマーまたはポリマーの混合物が経験する破砕のリスクが減少する。
【0024】
さらに具体的には、ポリマー層は、単にポリアミドのみからなっていてもよい。
【0025】
本発明によれば、第一のポリアミドは、ポリアミド6、ポリアミド6−6およびポリアミド11の中から選択することができ、第二のポリアミドは、ポリアミド6−6、ポリアミド6−10およびポリアミド12の中から選択することができるが、上述の条件によれば、第一のポリアミドが上述のリストから選択されるので、その反復単位では炭素原子の数が第二のポリアミドよりも少ないということに留意する。
【0026】
以下のことが想起される:
−ポリアミド6は、以下の式を有する反復単位の並びを含むポリアミドをもたらす、カプロン酸とヘキサメチレンジアミンの重縮合によって一般的に得られるポリアミドである:
【0027】
【化1】
【0028】
−ポリアミド6−6は、アジピン酸とヘキサメチレンジアミンの重縮合(結果として、以下の式を有する反復単位の並びを含むポリアミドをもたらす)によって一般的に得られるポリアミドである:
【0029】
【化2】
【0030】
−ポリアミド6−10は、セバシン酸とヘキサメチレンジアミンの重縮合(結果として、以下の式を有する反復単位の並びを含むポリアミドをもたらす)によって一般的に得られるポリアミドである:
【0031】
【化3】
【0032】
−ポリアミド11は、アミノウンデカン酸の重縮合(結果として、以下の式を有する反復単位の並びを含むポリアミドをもたらす)によって一般的に得られるポリアミドである:
【0033】
【化4】
【0034】
−ポリアミド12は、アミノドデカン酸の重縮合(結果として、以下の式を有する反復単位の並びを含むポリアミドをもたらす)によって一般的に得られるポリアミドである:
【0035】
【化5】
【0036】
さらに具体的には、ポリマー層は、以下の混合物の中から選択される混合物を含んでいてもよい:
−ポリアミド6およびポリアミド6−6の混合物;
−ポリアミド6およびポリアミド6−10の混合物;
−ポリアミド6−6およびポリアミド6−10の混合物;
−ポリアミド11およびポリアミド12の混合物、
ならびに好ましくは、
−ポリアミド6およびポリアミド6−6の混合物(例えば、50/50の質量割合)。
【0037】
本発明の明細書中で用いられうる混合物は、第二のポリアミドに対する第一のポリアミドの質量割合が、95/5〜5/95の範囲であってもよく、例えば、50/50であってもよい。
【0038】
第一のポリアミドと第二のポリアミドの存在に加えて、このポリマー層は、他のポリアミド、例えば、第三のポリアミド、第四のポリアミドおよび/または第五のポリアミドを含んでいてもよい。
【0039】
本発明のセンサは、容量センサまたは抵抗センサであってもよく、この場合、それは第一電極と第二電極との間に位置する、上記のような少なくとも1つのポリマー層を含んでいてもよく、ここで第一電極および第二電極は、同じ基板と接触していてもよい。
【0040】
このような支持体は、ガラスからできていてもよく、または、漏電を低減するために、場合により、例えば二酸化ケイ素SiOからできている電気絶縁体層で覆われたシリコンなどの半導体材料からできていてもよい。
【0041】
上記可能な支持体上に沈着した第一の電極は、導電性の物質、例えば、タンタルのような金属材料からできていてもよい。
【0042】
第二の電極も、その一部に関しては、導電性材料、例えば、金属材料であることが有利であり、さらに、周囲の湿気がこのような第二の電極に移動してポリマー層と接触することを可能にするように多孔性を有することが有利である。この導電性材料は、クロム層、ニッケル層および金の層などの金属層の重層の形態をとる場合がある。
【0043】
このようなセンサでは、湿度は、センサの容量または抵抗の変動を測定することによって検出されうる。
【0044】
実際、ポリマー層と接触した湿気は、その比誘電率を変化させ、センサ容量(これに対して、このセンサが位置する環境の湿度と等しい相対湿度値を関連させることが可能)の変動を生じる。
【0045】
本発明のセンサはまた、上記のようなポリマー層によって、完全にまたは部分的に覆われたビームまたは膜を備えるセンサの形態をとってもよい。
【0046】
湿度のこのようなセンサ検出は、以下によって達成されうる:
−前記粉末または膜の共振周波数の変動(このような変動は、湿気の吸収量に依存する)を測定すること(この場合、センサは、cMUT(Capacitive Micromachined Ultrasonic Transducers)型のセンサと考えることができる);
−前記ポリマー層による湿気の吸収によって生じる表面波を測定すること;または
−前記ポリマー層による湿気の吸収(この吸収は、前記層の材料の可塑化を生じ、前記ビームまたは膜の曲線の変化をもたらし、これは、例えば、ピエゾ抵抗、容量または光学的方法によって検出されうる)によって生じる、前記粉末または膜の変形を測定すること。
【0047】
本発明のセンサは、湿気の存在を検出すること、または環境中に存在する湿度の量を知ることが必要とされるすべての分野で適用を見出し、これは農業分野、食品製造分野、製薬分野、エレクトロニクス分野、化学産業分野、輸送および大量消費財の分野、医療分野および美術品保存の分野であてはまる。
【0048】
さらに詳細には、エレクトロニクス分野に関して、本発明のセンサは、加速度計、ジャイロスコープ、または圧力型のセンサのように、真空中または窒素中に封入された構成部品での漏出を検出するという観点で用いられてもよく、ここではこれらのセンサは、樹脂ビーズ、可溶性のガラスビーズ、もしくは共晶合金でできたビーズでシールされたシリコンで通常できているカバー、またはポリシリコンでできた一体型カバーによって一般的に保護されている。この種の構成部品の場合、本発明のセンサは、漏出を1ppmから検出できる。なぜなら、温度湿度調節の構成部品設置空間の周囲雰囲気中に含まれる湿気(一般的には、20〜40%の相対湿度)は、漏出が出現し次第、センサの湿気吸収層中で拡散するからである。
【0049】
本発明は、上記の実施形態に関連して記載され、これは例示としてかつ非限定的に示される。
【図面の簡単な説明】
【0050】
図1】本発明の容量型の湿度センサを示す。
図2】11%から97%RHへの相対湿度の変化(曲線a)に対して供され、かつ97%から11%RHへの相対湿度の変化(曲線b)に対して供される本発明のセンサに関する時間t(秒数)の関数としての偏差Dの変化を示すグラフである。
図3】この図で図示されるような相対湿度に関するサイクリングに供されている本発明のセンサに関する時間t(時間数)の関数としての周波数Fの変化を示すグラフである(ここでは、このサイクリングは、下に説明されるようなサイクルAの適用である)。
図4】下に説明されるような特定のサイクルに供されているポリアミド6またはポリアミド6−6からできているセンサに関する、時間t(月数)の関数としてのヒステリシスの変動の変化(それぞれ曲線H1およびH2)(正の縦軸)ならびに時間t(月数)の関数としての感度Sの変化(%として)(Sという曲線)(負の縦軸)を図示するグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0051】
本発明の湿度センサの実施形態
ポリアミドの混合物は、40cmのギ酸に溶解された1gのポリアミド6および1gのポリアミド6−6から調製された。次いで、この混合物を、3,000回転/分のスピンコーティングによって、添付の図1に示される発明1による湿度センサに属する陽極化タンタル電極上に沈着させる。このセンサはそれぞれ以下を備える:
−以下の寸法(50mm*50mm)を有するガラス基板3と;
−この陽極化タンタル電極5(第一電極と呼ぶ)であって、この基板の片面上の第一ステンシルを通じて沈着された250nm厚の電極と;
−クロム層(20nm厚)、ニッケル層(200nm厚)および金の層(100nm厚)の重ね合わせを備える接触電極7(これも第二のステンシルを通じてこの基板上に沈着されている)。
【0052】
この方式で沈着された混合層(図1の番号9)を、80℃で2分間ホットプレート上の熱処理に供し、それによって有機溶媒を除去し、続いて250℃で1時間バキュームアニーリングし、窒素中で急速冷却する。
【0053】
次いで、20nm厚の多孔性クロム層(図1の番号11)を、接触電極7中のポリマー層の機械的なエッチング後に、1nm/秒の速度でのバキュームエバポレーション(真空蒸発)によって、第三のステンシルを通じて沈着させた。ここでは剥離によってポリマー層を除去するために、機械的なエッチングは、スチールのツールで実施した。
【0054】
この多孔性クロム層は、ポリマー層中に存在する穴を通じて接触電極7と接触し、ここでは、この層およびこの接触電極によって形成されたアセンブリが、第二の電極13を形成する。
【0055】
変化型として、第一電極および接触電極上に同時に多孔性クロム層を沈着することを想定することができ、これによって直列に取り付けられた2つの垂直キャパシタ(vertical capacitor)が得られた。
【0056】
上記の方法によって得られるセンサ(垂直キャパシタを形成する)を、湿度試験に供する。
【0057】
これを実施するために、センサをオシレータに挿入し、その結果、コンデンサの容量の変動は、そのコンデンサが湿度の変化にさらされる時に測定することができる。
【0058】
コンデンサの容量の変動のこれらの測定によって(センサが、100kHzの大きさの基本周波数であるオシレータ中に挿入される場合)、11%から97%RHへ変化する相対湿度について、および97%から11%RHへ変化する相対湿度について、極めて急速な応答時間が得られることが示される。
【0059】
実際、11%から97%RHへの相対湿度の変化(曲線a)について、および97%から11%RHへの相対湿度の変化(曲線b)について、時間t(秒数で表現)の関数として偏差Dの変化を示す図2に報告された結果によって示されるとおり、偏差の98%は、上述の2種類の湿度の変化の経過において2分未満(さらに厳密に言えば、11%から97%RHへの変化に関しては1分43秒、および97%から11%RHへの変化に関しては1分55秒)で得られる。
【0060】
上述のセンサはまた、図3に示されるように、以下のサイクル(本明細書において以降はサイクルAと呼ぶ)にかけられる:
−11%の相対湿度で1時間;
−75%の相対湿度で1時間;
−97%の相対湿度で1時間;
−75%の相対湿度で1時間;
−11%の相対湿度で1時間;
−97%の相対湿度で16時間;
−75%の相対湿度で1時間;続いて
−11%の相対湿度で1時間、
容量の逆数(すなわち周波数)は、このサイクルの経過において測定される。
【0061】
上記のサイクルを用いて、湿度センサが比較されるときに考慮されるべき最も重要なパラメーターを特徴付ける。
a)短期間のヒステリシスH(これは相対湿度97%で1時間の一定条件の期間の前と後の相対湿度75%で得られる周波数Fの値の差であり、すなわち以下である):
=F−F=0.5%
b)最大ヒステリシスH(これは相対湿度97%で16時間の一定条件の期間の前と後の相対湿度75%での値の差である):
=F−F=3%
c)感度S(これは、75%の相対湿度での第一の値と、相対湿度97%で16時間の一定条件の期間の後で得られた値との間で得られた周波数Fの値と、11%RHで1時間後に得られた第一の値との間の差である):
S=(F−F)/ΔHRmax=(F−F)/(97−11)
【0062】
本発明によるセンサは、このサイクルの経過において低ヒステリシス値を有することが観察されうる。
【0063】
感度に関して、本発明のセンサは、その感受性要素が単にポリアミド6またはポリアミド6−6のみからできているセンサの感度よりも10%大きい感度を有する。
【0064】
同時に、上述のセンサと同一の本発明によるセンサを、以下のサイクル(サイクルBと呼ぶ)による環境チャンバ中のサイクリングの1カ月後、3カ月後および9カ月後に、上述のサイクルAによるサイクリングにかけた:
−相対湿度30%において10℃で1晩;
−相対湿度45%において20℃で1晩;
−相対湿度90%において60℃で1晩;
−相対湿度45%において20℃で1晩;
ここで、容量の逆数は、前記サイクルAの経過中に測定される。
【0065】
環境チャンバでのサイクリング後、感度(上記で示す式に基づいて決定される)は、サイクルBによるサイクリングの1カ月後、3カ月後および9カ月後、一定のままであることが観察されうる。
【0066】
ポリアミド6またはポリアミド6−6からできている類似のセンサの場合、図4[正の縦軸で時間(月数)の関数としてのヒステリシスの変化(それぞれH1およびH2)を表し、および、負の縦軸で時間(月数)の関数としての感度Sの変化(%として)を表す]に示されるように、サイクルBによる環境チャンバ中で1カ月、3カ月および9カ月のサイクリング後、それぞれの感度は3%、5%および10%減少する。
【0067】
ヒステリシスの値を考慮すれば、それらは、経時的に規則的に増大する。すなわち:
*サイクルBによるサイクリングの1カ月後、H1は2%に等しく、H2は4%に等しい;
*サイクルBによるサイクリングの3カ月後、H1は3%に等しく、H2は6%に等しい;そして、
*サイクルBによるサイクリングの9カ月後、H1は4%に等しく、H2は8%に等しい。
図1
図2
図3
図4