(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
適当な外科器具(3)によるプラズマ凝固のときの組織の炭化を防止するための炭化防止装置(1)であって、前記外科器具(3)は、酸化剤の供給部(7)と、ガスの供給部(5)と、プラズマを生成するための電極(9)とを有しており、前記炭化防止装置(1)によってガス・酸化剤プラズマを生成するためのガス・酸化剤混合物が提供される、そのような炭化防止装置(1)において、前記外科器具(3)の前記供給部(7)によって供給された前記酸化剤を供給するための少なくとも1つの2成分噴霧化装置が設けられ、
前記少なくとも1つの2成分噴霧化装置は、前記ガスと前記酸化剤との2成分が混合される混合領域の負圧により、前記酸化剤を前記混合領域に吸い込むように構成された自動吸引式の2成分噴霧化装置であり、
前記電極(9)は、前記ガス・酸化剤プラズマを生成する
ことを特徴とする炭化防止装置。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1は、本発明に基づく炭化防止装置1の第1の実施形態の模式的な断面図を示している。これはプラズマ凝固のときの組織の炭化を低減し、好ましくは完全に防止する役目をするものであり、プラズマ凝固は適当な外科器具3によって行われる。
【0018】
外科器具3は、以下においてガス供給通路5と呼ぶガスの供給部5と、以下において酸化剤供給通路7と呼ぶ酸化剤の供給部7とを有している。さらに、ここには図示しない高周波電圧源に接続された電極ないし電極先端部9が設けられている。なお、電極先端部9は中空に構成されており、そのようにしていわば酸化剤供給通路7の延長部を形成する。
【0019】
ガス供給通路5、酸化剤供給通路7、および電極9は、
図1では一例として、好ましくはPTEEからなり、ここには図示しない高周波外科器具と結合されたホース11の内部にある。
【0020】
さらに
図1が明らかにしているように、電極9を少なくとも部分領域で同軸に 包囲する絶縁防護部13が設けられている。さらにホース11の内部には、ホース11の内壁17に適当な係止突起19により固定され、遠位領域21で電極先端部9を取り囲む固定スリーブ15が設けられている。
【0021】
なお、電極先端部9を取り囲むホース11の遠位端23は、ガス・酸化剤混合物が通って逃げることができる横方向の開口部25を有しており、それにより、ホース11の遠位端23が組織と接触したときに、ガス塞栓症や気腫形成を回避することが意図される。
【0022】
酸化剤供給通路7は、好ましくはステンレス鋼からなる、特にV2A鋼からなるパイプ27に構成されている。パイプ27は図示しない近位端で高周波電圧源と接続されており、したがって同時に、電極先端部9に高周波電流を供給する電気導体としての役目を果たす。そのためにパイプ27の遠位端29は、電極先端部9と接続されている。
【0023】
さらに、パイプ27はここには図示しない酸化剤源と接続されており、それにより、酸化剤はパイプ27を通り、さらには電極先端部9を通って、電極先端部9の遠位端31へと達することができる。
【0024】
さらに
図1が明らかにしているように、固定スリーブ15とパイプ27の間には、ガス供給通路5からガスが導入される環状スペース33が設けられている。さらにパイプ27は環状スペース33の領域に、少なくとも1つの、ここでは複数の開口部35を有しており、この開口部を通ってガスが環状スペース33から酸化剤供給通路7へ流れ込むことができる。なお、環状スペース33には、
図1には破線でのみ示すディフューザ37が配置されていてよい。
【0025】
このように、外科器具3のガス供給通路5と酸化剤供給通路7は共同で、内部混合式で構成された2成分ノズルを形成しており、それにより、ガスと酸化剤が別々に混合室へ供給され、本実施形態では混合室は酸化剤供給通路7によって形成されている。混合の後で初めて、ガス・酸化剤混合物がノズルを通って外部へと案内され、ノズルは本例では電極先端部9の遠位端31によって形成される。遠位端31はそのために特定の内径Dと適当な形状を有することができ、それにより、吐出されるガス・酸化剤混合物の所望のジェット幅を生成する。
【0026】
このようにして、ガス・酸化剤混合物は酸化剤供給通路7から外に出るときに、酸化剤ないしガス・酸化剤混合物がエアロゾルとして存在するように噴霧化される。プラズマ凝固を行うために、電極先端部9が治療されるべき組織へと近づけられ、吐出される噴霧化されたガス・酸化剤混合物が電極先端部9ないしそこに印加される高周波電流によって点火され、それによって組織表面と電極先端部9との間に導電性のガス・酸化剤プラズマが生成され、これを通って高周波電流が電極先端部9から組織へ流れることができ、そこで組織の凝固を惹起する。
【0027】
上に説明した炭化防止装置1は、アルゴンプラズマ凝固で特別に好ましく適用される。すなわちガスとしては、ガス供給通路5と、環状スペース33と、開口部35とを通って酸化剤に供給されるアルゴンが使用されるのが好ましい。酸化剤としては、炭素を酸化させるあらゆる物質を利用することができる。しかしながら、プラズマ凝固のときに生じる炭素を次式に従って酸化する水を、酸化剤として使用するのが好ましい:
【0028】
131.38kJ/mol+C+H2O(g)−>CO+H2(1)
【0029】
CO+H2(g)−>CO2+H2+41.19kJ/mol(2)
【0030】
90.19kJ/mol+C+2H2O(g)−>CO2+2H2(3)
【0031】
酸化剤は液体または気体として酸化剤供給通路7へ導入することができる。酸化剤が液体の形態で酸化剤供給通路7へ導入されるとき、酸化剤が適当な手段によってエアロゾルに移行することが意図されるのが好ましい。酸化剤の注入をそのつど気体物質で行うこともでき、この場合、気体状の酸化剤は事前にたとえば気化器によって生成される。
【0032】
図1の実施形態では一例として、酸化剤が液体の形態で酸化剤供給通路7を通って案内され、ガス供給通路5から出るガスと混合されることが意図されている。引き続いてガス・酸化剤混合物が、電極先端部9の遠位端31のノズルに供給される。このようにしてガス・酸化剤混合物が噴霧化され、それにより、電極から外に出てからはエアロゾルとして存在することになり、そこで高周波電流により点火されてプラズマとなる。このようにしてガス・酸化剤プラズマが成立する。
【0033】
なお、この関連で実験が示すところによれば、細かい酸化剤霧、特に水霧の存在は、ガス・酸化剤混合物の改善された点火につながる。
【0034】
酸化剤は、上に説明したようにガス・酸化剤プラズマを生成するために、細かい液滴に噴霧化されるのが好ましく、それにより、酸化剤の比表面積が大幅に大きくなる。それと同時に、その結果として酸化剤の気化点が大幅に引き下げられるので、酸化剤の一部がプラズマ中で迅速に気体状態へと移行することになる。そして、この気体部分はガスプラズマの存在により電離して酸化剤蒸気プラズマとなり、そのようにして、電極から組織表面へ電流を導くのに貢献する。このとき気体状の酸化剤の点火は、すでに存在しているプラズマによって、特にアルゴンプラズマによってサポートされる。このように、酸化剤ないしガス・酸化剤混合物の噴霧化により、酸化剤の少なくとも一部がプラズマ媒体としての役目を果たす。
【0035】
このようにガス・酸化剤プラズマは、不活性ガスと、噴霧化された酸化剤すなわち小さな酸化剤液滴と、電離した酸化剤とを有している。担体ガスとしてアルゴン、酸化剤として水が用いられる場合、上に説明した帰結として、正に帯電したアルゴンカチオンと、正に帯電した水蒸気ラジカルカチオンと、H、OHおよびOのようなラジカル種とを有するプラズマが生じる。
【0036】
全体として、ガス・酸化剤混合物の提供によって次のような利点が得られる:
【0037】
噴霧化されたガス・酸化剤混合物は大きい比表面積を有しているので、酸化剤液滴がプラズマ凝固中に組織を冷却する。それによって組織の炭化の低減が引き起こされる。
【0038】
さらに、比表面積の増大は酸化剤の気化点の低下につながるので、酸化剤の少なくとも一部が気化し、すなわち気体になる。この気体部分は電気的な交番電界によって電離し、導電性の酸化剤蒸気プラズマを形成する。導電性プラズマにより案内される高周波の交流電流は、行われるべき生体組織への浸入の仕事の過程でジュール熱エネルギーが発生する原因となり、このことは、ひいては生体組織の加熱および相応の望ましい治療効果につながる。したがって、酸化剤は電離状態のときに治療効果に寄与する。
【0039】
最後に酸化剤は、特にプラズマ中の液体の酸化剤液滴は、炭化中に発生する炭素を酸化し、それによって炭化および煤や煙のエミッションが低減される。
【0040】
このように全体として、ガス・酸化剤混合物はエアロゾルとして存在するのが好ましいと言うことができ、すなわちガスは噴霧化された酸化剤と混合される。このようにして酸化剤は、組織表面に対する冷却剤として、炭素の酸化剤として、および高周波電流を電極先端部9から組織へ案内するためのプラズマ媒体としての役目を同時に果たす。
【0041】
これに加えて本発明の炭化防止装置1は、凝固面にわたってのプラズマエネルギーの均等な配分を実現し、それによって集中的な電流経路が回避される。
【0042】
図2は、本発明に基づく炭化防止装置1の第2の実施形態の模式的な断面図を示している。同じ部品には同じ符号が付されており、その限りにおいては繰り返しを避けるために
図1についての説明を援用する。
【0043】
図2の外科器具3は、ガス供給通路5と酸化剤供給通路7を同じく有しており、両方の供給通路はホース11の中に配置されている。さらに
図1の実施形態に準じて、ホース11の中で同軸に配置され、適当な係止突起19によりホース11の内壁17に取り付けられた固定スリーブ15が設けられている。ホース11には、同じく側方の開口部25がガス塞栓症を防止するために設けられている。
【0044】
さらに、電極先端部9は固定スリーブ15の中で実質的に中心に支承されるとともに、酸化剤供給通路7としての役目をするパイプ27と接続されている。電極先端部9は同じく中空に構成されており、いわば酸化剤供給通路7の延長部としての役目をする。電極先端部9の遠位端は、
図2に示す実施形態においても、適当な直径と適当な形状をもつノズルとして構成されたノズルとして構成されており、それにより、酸化剤供給通路7で案内される酸化剤が通路から出るときに噴霧化されるようになっている。
【0045】
図1に示す実施形態とは異なり、
図2では、ガス供給通路5と酸化剤供給通路7とによって形成される2成分ノズルが、外部混合式に構成されることが意図されている。つまりガスと酸化剤は共通の混合室に供給されて噴霧化されるのではなく、ガスと酸化剤が2つに分かれた通路の中で外部へと案内され、それぞれの供給通路5および7から吐出された後で初めてガス・酸化剤混合物を形成する。
【0046】
そのために固定スリーブ15には、電極先端部9が固定スリーブ15から突入する吐出領域41とガス供給配管5とをつなぐ少なくとも1つの軸方向の貫通孔39が設けられている。
図2では、断面図に2つの貫通孔39を見ることができる。しかしながら、環状空間等を設け、ないしは固定スリーブ15を2部分で構成し、それによってガスが環状空間を通って吐出領域41に達するようにすることも考えられる。
【0047】
このようにガス・酸化物混合物は、
図1のように酸化剤供給通路7ですでに準備されるのではなく、吐出領域41で初めて提供される。ガスと酸化剤が電極先端部9の遠位端31における吐出領域41で相互作用して、ガスと酸化剤が互いにぶつかることで酸化剤の噴霧化が惹起されることが意図されていてもよい。その場合、噴霧化ノズルを省略することができる。
【0048】
図2の実施形態でも、酸化剤は液体または気体であってよい。たとえば、酸化剤をすでに気体として酸化剤供給通路7により案内することが考えられる。しかしながら、酸化剤は吐出領域41でエアロゾルとして存在しているのが好ましい。エアロゾルを生成するために、外科器具3は気化器または加熱器を有しているのが好ましい。さらに、超音波生成装置によってエアロゾルを生成することもできる。しかしながら、酸化剤が衝突して噴霧化される衝突面を利用することも考えられる。
【0049】
図3は、本発明に基づく炭化防止装置1の第3の実施形態の模式的な断面図を示している。同じ部品には同じ符号が付されており、その限りにおいては繰り返しを避けるために先行する図面についての説明を援用する。
【0050】
図3に示す炭化防止装置1は、2成分ノズルを形成するガス供給通路5と酸化剤供給通路7とを含む、プラズマ凝固を実施するための外科器具3を有している。さらに、電極先端部9がホース11の中に設けられている。
【0051】
これに加えて、第3の供給通路43が設けられており、これによって任意選択でナノ粒子がガス・酸化剤混合物へと案内される。ナノ粒子は組織表面53の上に堆積し、そのようにして所望の治療効果の促進を惹起することができる。
【0052】
ガス供給通路5は、
図1および
図2の両方の実施形態と同じく、相応のガス源45に接続されたホース11で実質的に構成される。ホース11の中には、高周波源47と接続され、ガスが周囲を流れる電極9が配置されている。
【0053】
酸化剤供給通路7は側方の開口部49を介してホース11に接続されており、それにより、酸化剤が開口部49を介して吐出領域41に達することができ、そこでガス供給通路5に由来するガスに当たり、その結果、ガス・酸化剤混合物が吐出領域41で提供される。なお、第3の供給通路43についても同じことが当てはまる。すなわちナノ粒子も、相応の開口部51を介して吐出領域41へと達し、そこで酸化剤およびガスとともに混合物を形成する。
【0054】
開口部49は、液体の酸化剤が酸化剤供給通路7から吐出されるときに噴霧化されるように構成されているのが好ましく、それにより、吐出領域41では酸化剤液滴とガスからなるエアロゾルが存在することになる。しかしながら、酸化剤を酸化剤供給通路7への導入前に気化器によって気化させておいて、吐出領域41に酸化剤蒸気を供給することも考えられる。しかしながら、吐出領域41で初めて酸化剤を気化させることも考えられる。
【0055】
さらに、液体の酸化剤の噴霧化は、たとえば衝突プレートや超音波によって、吐出領域41で初めて生起することができる。
【0056】
図4は、本発明に基づく炭化防止装置1の第4の実施形態の斜視図を示している。同じ部品には同じ符号が付されており、その限りにおいては繰り返しを避けるために先行する図面についての説明を援用する。
【0057】
図4では、外科器具3から突き出す、中央に配置された棒状の電極先端部9が設けられている。電極先端部9の周囲には、3つの吐出開口部55,55’および55’’を有する、詳しくは図示しない3つの2成分ノズルが設けられている。たとえば外科器具3は
図1または
図2に示すように構成されていてよく、1つの2成分ノズルに代えて、全部で3つの内部混合式または外部混合式の2成分ノズルが設けられる。そして吐出開口部55,55’および55’’から、ガス・酸化剤混合物または酸化剤が流れ出る。吐出開口部55,55’および55’’は、ガス・酸化剤混合物が噴霧化されるように構成されており、それによってエアロゾルの形態で吐出領域41に存在するのが好ましい。
【0058】
図5は、炭化防止装置1の第5の実施形態の斜視図を示している。同じ部品には同じ符号が付されており、その限りにおいては繰り返しを避けるために先行する図面についての説明を援用する。
【0059】
図5では、電極先端部9は外科器具3に対して偏心的に配置されるとともに、吐出領域41に突き出している。それに対して、ここには詳しくは図示しない2成分ノズルの吐出開口部55は、外科器具3に対して中心に配置される。2成分ノズルは、この実施形態でも、内部混合式または外部混合式に構成されていてよい。
【0060】
図5がさらに明らかにしているように、電極先端部9は、その偏心的な吐出位置から吐出開口部55の長軸Lの領域へ突き出すように成形されている。なお、外科器具3の本体57は電気絶縁性に構成されているのが好ましい。
【0061】
図6は、電極と2成分ノズルを備える外科器具3の模式図を示している。同じ部品には同じ符号が付されており、その限りにおいては繰り返しを避けるために以前の図面についての説明を援用する。
【0062】
図6では、外部混合式に構成された2成分ノズルが設けられている。さらに、電極先端部9は電気引込線57を備える金属プレートとして構成されており、ガスは金属プレートのそばを通って流れていく。
【0063】
酸化剤供給通路7は電極先端部9に、すなわち金属プレートに取り付けられるとともに、酸化剤が液体である場合には層流のジェットを生成する。そして吐出領域41では、ガス・酸化剤プラズマを生成するためのガス・酸化剤混合物が提供される。
【0064】
図7は、外科器具3の吐出領域41の平面図を示している。同じ部品には同じ符号が付されており、その限りにおいては繰り返しを避けるために以前の図面についての説明を援用する。
【0065】
図7には、外部混合式の2成分ノズルシステムが示されており、電極先端部9は中央に配置されるとともに、ガス供給通路5で取り囲まれている。ガス供給通路5と同軸かつ対称に、4つの腎臓形の酸化剤供給通路7が設けられている。
【0066】
図8は、ガス・酸化剤混合物ないしエアロゾル・酸化剤プラズマまたはガス・酸化剤プラズマが(ガス)ジェットポンプの原理によって、すなわちベンチュリ原理によって生成される、本発明の別の実施形態を示しており、このとき供給通路の狭隘部によって負圧が生成される。このような種類のジェットポンプは基本的に周知である。このような種類のポンプの原理は、ノズルから液体または気体のジェットが高い速度で吐出され、これがその周囲にある液体、気体、または固体を引きさらって加速させることにある。
【0067】
これに準じて本発明では、壁部59を有するガス供給通路5がガスのために、特にアルゴンのために設けられていてよい。ガスは特にガス供給通路5の遠位端に配置された絞り61を通って、特に絞り61にある中央の吐出開口部63を通って、アタッチメント67の円筒形の混合領域65へ流れ込み、アタッチメント67はガス供給通路5の遠位端に配置されている。アタッチメント67はガス供給通路5ないしはその壁部59と一体的に構成されていてよい。あるいは、アタッチメント67を別個の部品として構成し、ガス供給通路5と適当な仕方で、特に接着、はんだ付けなどで、ガス供給通路5と結合することも考えられる。円筒形の混合領域65の後には、同じくアタッチメント67の中心に形成された、円錐台形の噴霧化領域69が続いている。
【0068】
図8が明らかにしているように、ガス供給通路5、開口部63、混合領域65、ならびに噴霧化領域69は中心軸Mに沿って延びるとともに、これに対して実質的に対称に相前後して配置されている。中心軸Mに対して横向きに、酸化剤供給通路7が中に設けられた酸化剤供給管71が半径方向軸Rに沿って延びている。酸化剤供給管71は、図示しない酸化剤源と接続されている。酸化剤供給管71は、半径方向で軸Rに沿って延びるアタッチメント67の対応する穴に挿入されており、またはこれと一体的に構成されており、その端部区域73が遠位の円筒形の混合領域65に連通する。
【0069】
図8の実施形態の機能原理は次のとおりである。開口部63の後の円筒形の混合領域65の狭隘個所で、ガスの静圧はエネルギー保存の理由により、装置の狭くない個所よりも低くなくてはならない。したがってガス供給通路5ないし混合領域65におけるガス流により、噴霧化されるべき酸化剤は、特に水は、酸化剤供給通路7から混合領域65の負圧によって吸い込まれ、ガス流によって引きさらわれる。すなわちこれは、(外部混合式の)自動吸引式の2成分ノズルないしベンチュリノズルであり、酸化剤の供給のための別個のポンプを省略できるという利点を有している。むしろ酸化剤はガス流によって自動的に混合領域65へ吸い込まれる。したがってガス供給通路5と酸化剤供給通路7は、本発明のこの実施形態では、自動吸引式の2成分噴霧化装置または(外部混合式の)ベンチュリノズルとして構成されるのが好ましい。
【0070】
そして混合領域65を起点として、噴霧化領域69で所望のガス・酸化剤混合物が特にエアロゾルとして存在することができ、適当な電極によってガス酸化剤プラズマを点火することができる。
【0071】
全体として本発明は、外科器具3を用いてガス・酸化剤プラズマを生成するためのガス・酸化剤混合物を提供するという利点を有する、炭化防止装置1を創出することが示されている。
【0072】
ガス・酸化剤混合物は少なくとも2つの成分を有しており、1つの成分はガス、特に希ガス、たとえばアルゴンやヘリウムであり、別の成分は炭素の酸化剤である。このとき酸化剤は固体または液体の浮遊粒子、たとえば水霧として存在する小さな水滴で成り立っている。液体の酸化剤は非常に細かく噴霧化されるので、その表面積が大幅に増える。このようにして気化が著しく促進され、それにより、液体の酸化剤液滴に加えて、著しく高い割合の酸化剤蒸気も存在することになる。高周波の交流電流により、酸化剤分子も、特に水分子も、気相で電離させて水蒸気プラズマ・混合物にすることができる
【0073】
以上の説明から明らかなとおり、ガス・酸化剤混合物は、このように気体の粒子と細かく噴霧化された酸化剤液滴とを有するエアロゾルであるのが好ましい。エアロゾルプラズマによって組織の炭化をほぼ回避することが意図され、酸化剤霧は、特に水霧は、すなわちH2O液滴は炭素の酸化剤として、組織表面の冷却剤として、およびプラズマ媒体として同時に作用する。
【0074】
さらに、炭化の大幅な低減は、有機的な生化学分子のCO2,CO,NO,NOx、SOxといった煤や煙ガスのエミッション量と直接結びついているので、提案される装置およびこれに対応する方法は、上述したエミッションの明らかな削減を結果としてもたらし、それによって患者や手術スタッフの暴露リスクを低減する。
【0075】
さらに、提案される炭化防止装置によって均一で組織保全的な凝固と失活が実現され、それが目的とするところは、本方法を保全的に特に腫瘍外科の分野で、あるいはその他の医療分野で、たとえば特に薄壁で神経の敏感な構造における腫瘍摘除のために神経外科や泌尿器科で、および癒着を低減する手術技術として婦人科や臓器外科で、開放外科としても内視鏡式(剛直および柔軟)にも適用することである。
【0076】
さらに、内部混合式または外部混合式に構成されていてよい、少なくとも1つの2成分ノズルが設けられていてよい。さらに、外科器具3は酸化剤エアロゾルないしガス・酸化剤エアロゾルを生成するために適当な手段を備えることができ、たとえば気化器、超音波発生器、または衝突プレートを備えることができる。このとき酸化剤はガスと合流する前または後で、噴霧化することができる。決定的に重要なのは、液体の酸化剤液滴がガスの中に存在しており、それによって上に説明した利点を惹起することだけである。
【0077】
本発明は、このように炭化と煤発生および煙発生を効率的に低減する。さらに、組織表面におけるプラズマエネルギーのいっそう均等な分布が実現される。
【0078】
上に挙げた利点は、プラズマ凝固を実施するためのガス・酸化剤混合物を提供する本発明の方法によっても実現される。また、組織の炭化を防止するための炭化防止装置1の利用法についても同様のことが当てはまる。