(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5955397
(24)【登録日】2016年6月24日
(45)【発行日】2016年7月20日
(54)【発明の名称】アントラセントリオールをベースとする新規の有機リン化合物
(51)【国際特許分類】
C07F 9/6574 20060101AFI20160707BHJP
C07C 45/50 20060101ALI20160707BHJP
C07C 47/02 20060101ALI20160707BHJP
C07B 61/00 20060101ALI20160707BHJP
B01J 31/22 20060101ALI20160707BHJP
C07F 15/00 20060101ALN20160707BHJP
【FI】
C07F9/6574 ZCSP
C07C45/50
C07C47/02
C07B61/00 300
B01J31/22 Z
!C07F15/00 B
【請求項の数】12
【全頁数】36
(21)【出願番号】特願2014-540383(P2014-540383)
(86)(22)【出願日】2012年10月24日
(65)【公表番号】特表2014-532738(P2014-532738A)
(43)【公表日】2014年12月8日
(86)【国際出願番号】EP2012071060
(87)【国際公開番号】WO2013068232
(87)【国際公開日】20130516
【審査請求日】2015年4月10日
(31)【優先権主張番号】102011085883.0
(32)【優先日】2011年11月8日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】501073862
【氏名又は名称】エボニック デグサ ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】Evonik Degussa GmbH
(74)【復代理人】
【識別番号】100118072
【弁理士】
【氏名又は名称】醍醐 美知子
(74)【復代理人】
【識別番号】100156812
【弁理士】
【氏名又は名称】篠 良一
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100099483
【弁理士】
【氏名又は名称】久野 琢也
(72)【発明者】
【氏名】アンドレア クリスティアンゼン
(72)【発明者】
【氏名】ローベアト フランケ
(72)【発明者】
【氏名】ディアク フリダーク
(72)【発明者】
【氏名】ディーター ヘス
(72)【発明者】
【氏名】ブアカート クライドラー
(72)【発明者】
【氏名】デトレフ ゼーレント
(72)【発明者】
【氏名】アーミン ベアナー
【審査官】
緒形 友美
(56)【参考文献】
【文献】
特表2005−533095(JP,A)
【文献】
特表2004−501927(JP,A)
【文献】
特開2002−193987(JP,A)
【文献】
中国特許出願公開第101332437(CN,A)
【文献】
米国特許出願公開第2003/0195378(US,A1)
【文献】
特表2003−526638(JP,A)
【文献】
米国特許第03792129(US,A)
【文献】
特表平01−503533(JP,A)
【文献】
特表2005−538181(JP,A)
【文献】
特表平09−512817(JP,A)
【文献】
Blackburn, G. M.; Cohen, J. S.; Todd, A. R.,Cyclic phosphate and phosphite triesters. A 31P N.M.R. study,Tetrahedron Letters,1964年,vol.5 no.39,2873-2879
【文献】
Ruzaeva, M. I.; Kukhareva, T. S.; Bel'skii, V. K.; Nifant'ev, E. E.,Synthesis and chemical specifics of bicyclophosphites and bicyclophosphoramidites derived from anthracene-1,4,9,10-tetraol,Russian Journal of General Chemistry (Translation of Zhurnal Obshchei Khimii) ,2000年,70(9),1363-1367
【文献】
Smith, Stuart E.; Rosendahl, Tobias; Hofmann, Peter,Toward the rhodium-catalyzed bis-hydroformylation of 1,3-butadiene to adipic aldehyde,Organometallics,2011年,30(13),3643-3651
【文献】
Kadyrov, Renat; Heller, Detlef; Selke, Rudiger,New carbohydrate bis-phosphites as chiral ligands,Tetrahedron: Asymmetry,1998年,9(2),329-340
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07F 9/6574
B01J 31/22
C07B 61/00
C07C 45/50
C07C 47/02
C07F 15/00
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の(i)〜(iii)の化合物
(i) 構造要素(III):
【化1】
[ここで、
R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7が水素であり、
Zが−OR31であり、かつ、
WがPIII(G2)(G3)基であって、且つG2とG3とが結合しており、
R31が、置換された2−ビフェニル基であり、
G2−G3が、構造要素(VI):
【化2】
[ここで、
R69、R70、R71、R72、R73、R74、R75、R76は、水素;任意の他の置換基を有する、直鎖状又は分枝鎖状の、脂肪族の炭化水素基;F、Cl、Br又はI;又は−OR77、−COR78、−CO2R79、−CO2M1、−SR80、−SOR81、−SO2R82、−SO3R83、−SO3M2、又は−NR84R85であり、
ここで、R69〜R76それぞれの意味は、互いに無関係に選択されていてよく、
R77、R78、R79、R80、R81、R82、R83、R84、R85は、水素、非置換又は置換された、直鎖状又は分枝鎖状の、脂肪族の炭化水素基から選択されており、
M1及びM2は、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム、ホスホニウムから選択されており、かつ、
M1及びM2の意味は、互いに無関係に選択されていてよいものとする]で表される]
によって表される化合物、または前記構造要素(III)においてR1、R2、R3、R5、R6、R7が水素であり且つ前記(III)の構造要素がR4の位置で互いに結合している化合物、
(ii) 構造要素(IV):
【化3】
[ここで、
R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7が水素であり、
X1、X2がOであり、
G1が、構造要素(V):
【化4】
[ここで、
R51、R52、R53、R54、R55、R56、R57、R58は、水素;任意の他の置換基を有する、直鎖状又は分枝鎖状の、脂肪族の炭化水素基;F、Cl、Br又はI;又は−OR59、−COR60、−CO2R61、−CO2M1、−SR62、−SOR63、−SO2R64、−SO3R65、−SO3M2又は−NR66R67であり、
R51〜R58それぞれの意味は、互いに無関係に選択されていてよく、
R59、R60、R61、R62、R63、R64、R65、R66、R67は、水素、非置換又は置換された、直鎖状又は分枝鎖状の、脂肪族の炭化水素基から選択されており、
M1及びM2は、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム、ホスホニウムから選択されており、かつ、
M1及びM2の意味は、互いに無関係に選択されていてよく、
a及びbは、X1及びX2との結合点であるものとする]
で表され、
G5とG6とが結合しており、G5−G6が、
・ 以下の式
【化5】
[ここで、前記R’は、H、OHまたはOSi(CH3)3から選択される]で表される基(但し、1,9位のO−でPIIIに結合する)、
・ 構造要素(VII)
【化6】
[ここで、
R87、R88、R89、R90、R91、R92、R93、R94は、水素;任意の他の置換基を有する、直鎖状又は分枝鎖状の、脂肪族の炭化水素基;F、Cl、Br又はI;又は−OR95、−COR96、−CO2R97、−CO2M1、−SR98、−SOR99、−SO2R100、−SO3R101、−SO3M2、又は−NR102R103であり、
ここで、R87〜R94それぞれの意味は、互いに無関係に選択されていてよく、
R95、R96、R97、R98、R99、R100、R101、R102、R103は、水素、非置換又は置換された、直鎖状又は分枝鎖状の、脂肪族の炭化水素基から選択されており、
M1及びM2は、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム、ホスホニウムから選択されており、かつ、
M1及びM2の意味は、互いに無関係に選択されていてよいものとする]、
・ 以下の式
【化7】
で表される基(但し、1,8位のO−でPIIIに結合する)、
・ 以下の式
【化8】
で表される基、
・ 以下の式
【化9】
で表される基、または
・ 以下の式
【化10】
で表される基
であり、且つ
Wが、H、Si(CH3)3、PIII(G2)(G3)基(G2とG3とが結合している)、または
【化11】
である]
によって表される化合物、または、前記構造要素(VI)においてR1、R2、R3、R5、R6、R7が水素であり且つ前記(VI)の構造要素がR4の位置で互いに結合している化合物、
(iii) 構造要素(I):
【化12】
[ここで、
R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7が水素であり、
構造要素(I)の1位,8位のOがPIII(G2)(G3)基に結合しており、且つG2とG3とが結合しており、且つ
G2−G3が前記構造要素(VI)である]、
によって表される化合物であって、且つ前記構造要素(I)がR4の位置で互いに結合している化合物。
【請求項2】
以下:
− 請求項1に記載の化合物、
− 少なくとも一つの金属中心原子
を含む錯化合物において、
請求項1に記載の化合物が、少なくとも一つのPIIIを介して金属中心原子に配位していることを特徴とする、錯化合物。
【請求項3】
金属中心原子が、元素の周期表の第8族〜第10族から選択されている、請求項2に記載の錯化合物。
【請求項4】
金属中心原子が、ロジウムである、請求項3に記載の錯化合物。
【請求項5】
組成物において、以下:
− 金属中心原子に配位していない、請求項1に記載の化合物、及び
− 請求項2から4までのいずれか1項に記載の錯化合物
を含むことを特徴とする、組成物。
【請求項6】
有機化合物の合成における触媒活性組成物としての、請求項5に記載の組成物の使用。
【請求項7】
オレフィン系不飽和炭化水素混合物のヒドロホルミル化法における触媒活性組成物としての、請求項5に記載の組成物の使用。
【請求項8】
多相反応混合物において、以下:
− オレフィン系不飽和炭化水素混合物、
− 一酸化炭素と水素とを含んでいるガス混合物、
− アルデヒド、
− 触媒活性組成物としての、請求項5に記載の組成物
を含むことを特徴とする、多相反応混合物。
【請求項9】
オレフィン系不飽和炭化水素混合物をヒドロホルミル化してアルデヒドを得る方法において、以下の方法工程:
a)オレフィン系不飽和炭化水素混合物を準備する工程;
b)請求項5に記載の触媒活性組成物を添加する工程;
c)一酸化炭素と水素とを有する混合物を導入する工程;
d)反応混合物を80〜120℃の範囲内の温度に加熱する工程;
e)圧力を1.0〜6.4MPaの範囲内にする工程;
f)反応終了後に、オレフィン系不飽和炭化水素混合物を分離する工程
を含むことを特徴とする、方法。
【請求項10】
もう一つの方法工程:
g)未反応のオレフィン系不飽和炭化水素混合物を分離し、方法工程a)に返送する工程
を含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
もう一つの方法工程:
h)請求項5に記載の触媒活性組成物を分離し、方法工程b)に返送する工程
を含む、請求項9又は10に記載の方法。
【請求項12】
もう一つの方法工程:
i)一酸化炭素と水素とを含む未反応のガス混合物を分離し、方法工程c)に返送する工程
を含む、請求項9から11までのいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アントラセントリオールをベースとする少なくとも一つの構造要素を含むビス−及びトリスホスファイト、並びにその金属錯体、製造、並びに、接触反応における多座化合物としてのビス−及びトリスホスファイトの使用に関する。
【0002】
オレフィン化合物と一酸化炭素と水素を触媒の存在下に反応させて炭素原子が一つ多いアルデヒドを得る反応を、ヒドロホルミル化ないしオキシ化と呼ぶ。この反応における触媒としては、元素の周期表の第8族の遷移金属の化合物、特にロジウム及びコバルト化合物が使用されることが多い。ロジウム化合物を用いたヒドロホルミル化は、コバルトを用いた接触反応と比較して一般に選択性が高いという利点があり、これにより生成物をより経済的に得ることができる。ロジウム触媒によるヒドロホルミル化では、ロジウムと、配位子としての好ましくは三価のリン化合物とからなる組成物が用いられることが多い。公知の配位子は、例えばそれぞれ三価のリンP
IIIを有する、ホスフィン、ホスファイト及びホスホナイトの種類からの化合物である。オレフィンのヒドロホルミル化に関する十分な概要は、B. CORNILS, W. A. HERRMANN, "Applied Homogeneous Catalysis with Organometallic Compounds", Vol. 1&2, VCH, Weinheim, New York, 1996に記載されている。
【0003】
−コバルト又はロジウムをベースとする− 触媒活性組成物は、いずれも固有の利点を有している。そのため、以下の例に示すように、使用物質や目的生成物に応じて異なる触媒活性組成物が用いられている。ロジウムとトリフェニルホスフィンを用いて行った場合には、α−オレフィンを比較的低圧でヒドロホルミル化することができる。リン含有の配位子としては一般にトリフェニルホスフィンが過剰に用いられており、その際、商業的に好ましいn−アルデヒド生成物への反応の選択性を高めるには、高い配位子/ロジウム比が必要である。
【0004】
特許文献US4,694,109号及びUS4,879,416号には、ビスホスフィン配位子と、低い合成ガス圧でのオレフィンのヒドロホルミル化におけるその使用が記載されている。特にプロペンのヒドロホルミル化において、この種の配位子によって高い活性と高いn/i選択性が達成されている。WO95/30680号には、二座のホスフィン配位子と、それを接触反応において、とりわけヒドロホルミル化反応において用いる使用が開示されている。例えば特許文献US4,169,861号、US4,201,714号及びUS4,193,943号には、ヒドロホルミル化のための配位子として、フェロセン架橋されたビスホスフィンが記載されている。
【0005】
二座及び多座のホスフィン配位子の欠点は、その製造に要するコストが比較的高いことである。従って、このような系を工業的プロセスで使用すると利益が得られないことが多い。その上、活性が比較的低いため、これを滞留時間を長くすることによって反応技術的に埋め合わせる必要がある。これにより、またも生成物の望ましくない副反応が生じてしまう。
【0006】
触媒活性組成物におけるロジウム−モノホスファイト錯体は、内部二重結合を有する分枝鎖状オレフィンのヒドロホルミル化に適しているが、末端でオキシ化された化合物については選択性が低い。EP0,155,508号から、立体障害オレフィン、例えばイソブテンのロジウム触媒によるヒドロホルミル化における、ビスアリーレンで置換されたモノホスファイトの使用が知られている。
【0007】
ロジウム−ビスホスファイト錯体をベースとする触媒活性組成物は、末端二重結合と内部二重結合を有する直鎖状オレフィンのヒドロホルミル化に適しており、主に末端でヒドロホルミル化された生成物が生じる。これに対して、内部二重結合を有する分枝鎖状オレフィンはごくわずかな程度でしか転化されない。このホスファイトは、それが遷移金属中心に配位すると活性が高められた触媒をもたらすが、この触媒活性組成物の寿命特性は、特にそのホスファイト配位子が加水分解感受性であるために、満足のいくものではない。EP0,214,622号又はEP0,472,071号に記載されているように、ホスファイト配位子の構成要素として置換されたビスアリールジオールを使用することによって、かなりの改善を達成することができた。
【0008】
この刊行物によれば、ロジウムをベースとするこの配位子の触媒活性組成物は、α−オレフィンのヒドロホルミル化において極めて活性が高い。特許文献US4,668,651号、US4,748,261号及びUS4,885,401号には、α−オレフィンだけでなく2−ブテンとも高い選択性で反応して末端でオキシ化された生成物をもたらすポリホスファイト配位子が記載されている。この種の二座の配位子は、ブタジエンのヒドロホルミル化にも使用されている(US5,312,996号)。
【0009】
EP1,294,731号に開示されているビスホスファイトは、オクテン混合物のヒドロホルミル化の際に98%までのオレフィン転化率を示している。しかしながら同様に、所望されるノナナールへのn−選択率は36.8%から最高でも57.6%までであり、改善が望まれる。このことは、工業的プロセスにおいて触媒活性組成物を使用する上で求められる寿命が数時間ではなく数日間であると見積もられるだけに、いっそう重要である。
【0010】
上記のビスホスファイトは、ロジウムヒドロホルミル化触媒のための良好な配位子ではあるが、新規の配位子の開発が望まれている。
【0011】
この新規の配位子は、
・内部二重結合を有するオレフィン又はオレフィン含有混合物のヒドロホルミル化の際に高いn−選択性 −ひいては異性化特性− を示すことが望ましい;
・さらに、内在的な触媒毒、例えば水に対して改善された耐久性を有しているため、ヒドロホルミル化のための触媒活性組成物において使用した場合に、寿命の延長を可能にすることが望ましい;
・さらに、触媒活性組成物におけるロジウムの公知のクラスター形成傾向を抑制し、それによって同様に、ヒドロホルミル化のための触媒活性組成物において使用した場合、寿命の延長が実現されることが望ましい。
【0012】
前記課題は、構造要素(I):
【化1】
を有している本発明による化合物において、
この化合物は、少なくとも二つのO−P
III結合を有しており、これらのO−P
III結合は、同じP
IIIに由来していても異なるP
IIIに由来していてもよく、
構造要素(I)が化合物中に二つ存在する場合、これらの構造要素(I)はC
10−C
10'炭素結合を介してか、又は以下のX
1−G
1−X
2単位:
【化2】
を介して互いに結合しており、
ここで、X
1は、第一の構造要素(I)のP
IIIと結合しており、X
2は、第二の構造要素(I)のP
IIIと結合しており、
G
1は、任意の他の置換基を有する、直鎖状又は分枝鎖状の、脂肪族又は芳香族又は複素芳香族又は縮合芳香族又は縮合芳香族−複素芳香族の炭化水素基であり、
X
1、X
2は、O、NY
1、CY
2Y
3から選択されており、
X
1及びX
2の意味は、互いに無関係に選択されていてよく、
Y
1、Y
2、Y
3は、水素、非置換又は置換された脂肪族炭化水素基、非置換又は置換された芳香族炭化水素基から選択されており、
Y
1〜Y
3それぞれの意味は、互いに無関係に選択されていてよく、
Y
1〜Y
3のうち二つ以上は、互いに共有結合していてよく、
R
1、R
2、R
3、R
4、R
5、R
6、R
7は、水素、非置換又は置換された、直鎖状又は分枝鎖状の、脂肪族又は芳香族の炭化水素基;F、Cl、Br、I、−OR
8、−C(O)R
9、−CO
2R
10、−CO
2M
1、−SR
11、−SOR
12、−SO
2R
13、−SO
3R
14、−SO
3M
2、−NR
15R
16から選択されており、
ここで、R
8、R
9、R
10、R
11、R
12、R
13、R
14、R
15、R
16は、水素、非置換又は置換された、直鎖状又は分枝鎖状の、脂肪族又は芳香族又は複素芳香族又は縮合芳香族又は縮合芳香族−複素芳香族の炭化水素基;−OR
17から選択されており、
R
17は、水素、非置換又は置換された、直鎖状又は分枝鎖状の、脂肪族又は芳香族の炭化水素基から選択されており、R
1〜R
17のうち二つ以上は、互いに共有結合していてよく、
M
1及びM
2は、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム、ホスホニウムから選択されており、かつ、
M
1及びM
2の意味は、互いに無関係に選択されていてよいことを特徴とする、本発明による化合物により解決される。
【0013】
本発明の一実施態様において、化合物は、構造要素(II):
【化3】
[ここで、Wは、以下から選択されているものとする:
− 水素;
− 任意の他の置換基を有する、脂肪族、芳香族、複素芳香族、縮合芳香族、縮合芳香族−複素芳香族の炭化水素基;
− P
III(G
2)(G
3)基:
【化4】
ここで、G
2及びG
3は、それぞれ、水素;任意の他の置換基を有する、直鎖状又は分枝鎖状の、脂肪族又は芳香族又は複素芳香族又は縮合芳香族又は縮合芳香族−複素芳香族の炭化水素基;F、Cl、Br、I又は−OR
18、−C(O)R
19、−CO
2R
20、−CO
2M
1、−SR
21、−SOR
22、−SO
2R
23、−SO
3R
24、−SO
3M
2、−NR
25R
26から選択されており、
ここで、R
18、R
19、R
20、R
21、R
22、R
23、R
24、R
25、R
26は、水素、非置換又は置換された、直鎖状又は分枝鎖状の、脂肪族又は芳香族の炭化水素基;−OR
27から選択されており、
R
27は、水素、非置換又は置換された、直鎖状又は分枝鎖状の、脂肪族又は芳香族の炭化水素基;F、Cl、Br、Iから選択されており、
M
1及びM
2は、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム、ホスホニウムから選択されており、かつ、
M
1及びM
2の意味は、互いに無関係に選択されていてよく、
G
2及びG
3の意味は、互いに無関係に選択されていてよく、かつ、
G
2とG
3とは、互いに共有結合していてよいものとする、
− SiR
28R
29R
30;ここで、R
28、R
29、R
30は、水素;任意の他の置換基を有する、直鎖状又は分枝鎖状の、脂肪族又は芳香族又は複素芳香族又は縮合芳香族又は縮合芳香族−複素芳香族の炭化水素基であり;R
28、R
29及びR
30の意味は、互いに無関係に選択されていてよく、R
28とR
29とは、互いに共有結合していてよいものとする]
を有している。
【0014】
本発明の一実施態様において、化合物は、構造要素(III)
【化5】
[ここで、
Zは、G
4又はX
1−G
1−X
2単位を表しており、
G
4は、水素;任意の他の置換基を有する、直鎖状又は分枝鎖状の、脂肪族又は芳香族又は複素芳香族又は縮合芳香族又は縮合芳香族−複素芳香族の炭化水素基;F、Cl、Br、I又は−OR
31、−C(O)R
32、−CO
2R
33、−CO
2M
1、−SR
34、−SOR
35、−SO
2R
36、−SO
3R
37、−SO
3M
2、−NR
38R
39から選択されており、
ここで、R
31、R
32、R
33、R
34、R
35、R
36、R
37、R
38、R
39は、水素、非置換又は置換された、直鎖状又は分枝鎖状の、脂肪族又は芳香族の炭化水素基;−OR
40から選択されており、
R
40は、水素、非置換又は置換された、直鎖状又は分枝鎖状の、脂肪族又は芳香族の炭化水素基から選択されており、
M
1及びM
2は、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム、ホスホニウムから選択されており、かつ、
M
1及びM
2の意味は、互いに無関係に選択されていてよいものとする]
を有している。
【0015】
本発明の一実施態様において、化合物は、構造要素(IV):
【化6】
[ここで、
G
5及びG
6は、水素;任意の他の置換基を有する、直鎖状又は分枝鎖状の、脂肪族又は芳香族又は複素芳香族又は縮合芳香族又は縮合芳香族−複素芳香族の炭化水素基;F、Cl、Br、I又は−OR
41、−C(O)R
42、−CO
2R
43、−CO
2M
1、−SR
44、−SOR
45、−SO
2R
46、−SO
3R
47、−SO
3M
2、−NR
48R
49から選択されており、
ここで、R
41、R
42、R
43、R
44、R
45、R
46、R
47、R
48、R
49は、水素、非置換又は置換された、直鎖状又は分枝鎖状の、脂肪族又は芳香族の炭化水素基;−OR
50から選択されており、
R
50は、水素、非置換又は置換された、直鎖状又は分枝鎖状の、脂肪族又は芳香族の炭化水素基から選択されており、
M
1及びM
2は、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム、ホスホニウムから選択されており、かつ、
M
1及びM
2の意味は、互いに無関係に選択されていてよく、
G
5及びG
6の意味は、互いに無関係に選択されていてよく、かつ、
G
5とG
6とは、互いに共有結合していてよいものとする]
を有している。
【0016】
本発明の一実施態様において、WはP
III(G
2)(G
3)基を表している。
【0017】
本発明の一実施態様において、G
2、G
3は−OR
18である。
【0018】
本発明の一実施態様において、G
5、G
6は−OR
41である。
【0019】
本発明の一実施態様において、X
1、X
2はOである。
【0020】
本発明の一実施態様において、G
1は、任意の他の置換基を有するビスアリーレン基を含んでいる。
【0021】
本発明の一実施態様において、G
1は、構造要素(V):
【化7】
[ここで、
R
51、R
52、R
53、R
54、R
55、R
56、R
57、R
58は、水素;任意の他の置換基を有する、直鎖状又は分枝鎖状の、脂肪族又は芳香族又は複素芳香族又は縮合芳香族又は縮合芳香族−複素芳香族の炭化水素基;F、Cl、Br又はI;又は−OR
59、−COR
60、−CO
2R
61、−CO
2M
1、−SR
62、−SOR
63、−SO
2R
64、−SO
3R
65、−SO
3M
2、−NR
66R
67又はN=CR
68R
69であり、
R
51〜R
58それぞれの意味は、互いに無関係に選択されていてよく、かつ、R
51〜R
58のうち二つ以上は、互いに共有結合していてよく、
R
59、R
60、R
61、R
62、R
63、R
64、R
65、R
66、R
67は、水素、非置換又は置換された、直鎖状又は分枝鎖状の、脂肪族又は芳香族の炭化水素基;−OR
68から選択されており、
R
68は、水素、非置換又は置換された、直鎖状又は分枝鎖状の、脂肪族又は芳香族の炭化水素基から選択されており、
M
1及びM
2は、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム、ホスホニウムから選択されており、かつ、
M
1及びM
2の意味は、互いに無関係に選択されていてよく、
a及びbは、X
1及びX
2との結合点であるものとする]
を含んでいる。
【0022】
本発明の一実施態様において、G
2とG
3とは、互いに共有結合している。
【0023】
本発明の一実施態様において、結合G
2−G
3は、以下の構造要素(VI):
【化8】
[ここで、
R
69、R
70、R
71、R
72、R
73、R
74、R
75、R
76は、水素;任意の他の置換基を有する、直鎖状又は分枝鎖状の、脂肪族又は芳香族又は複素芳香族又は縮合芳香族又は縮合芳香族−複素芳香族の炭化水素基;F、Cl、Br又はI;又は−OR
77、−COR
78、−CO
2R
79、−CO
2M
1、−SR
80、−SOR
81、−SO
2R
82、−SO
3R
83、−SO
3M
2、−NR
84R
85又はN=CR
86R
87であり、
ここで、R
69〜R
76それぞれの意味は、互いに無関係に選択されていてよく、かつ、R
69〜R
76のうち二つ以上は、互いに共有結合していてよく、
R
77、R
78、R
79、R
80、R
81、R
82、R
83、R
84、R
85は、水素、非置換又は置換された、直鎖状又は分枝鎖状の、脂肪族又は芳香族の炭化水素基;−OR
86から選択されており、
R
86は、水素、非置換又は置換された、直鎖状又は分枝鎖状の、脂肪族又は芳香族の炭化水素基から選択されており、
M
1及びM
2は、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム、ホスホニウムから選択されており、かつ、
M
1及びM
2の意味は、互いに無関係に選択されていてよいものとする]
を有している。
【0024】
本発明の一実施態様において、G
5とG
6とは、互いに共有結合している。
【0025】
本発明の一実施態様において、結合G
5−G
6は、以下の構造要素(VII):
【化9】
[ここで、
R
87、R
88、R
89、R
90、R
91、R
92、R
93、R
94は、水素;任意の他の置換基を有する、直鎖状又は分枝鎖状の、脂肪族又は芳香族又は複素芳香族又は縮合芳香族又は縮合芳香族−複素芳香族の炭化水素基;F、Cl、Br又はI;又は−OR
95、−COR
96、−CO
2R
97、−CO
2M
1、−SR
98、−SOR
99、−SO
2R
100、−SO
3R
101、−SO
3M
2、−NR
102R
103又はN=CR
104R
105であり、
ここで、R
31〜R
38それぞれの意味は、互いに無関係に選択されていてよく、かつ、R
86〜R
93のうち二つ以上は、互いに共有結合していてよく、
R
95、R
96、R
97、R
98、R
99、R
100、R
101、R
102、R
103は、水素、非置換又は置換された、直鎖状又は分枝鎖状の、脂肪族又は芳香族の炭化水素基;−OR
104から選択されており、
R
104は、水素、非置換又は置換された、直鎖状又は分枝鎖状の、脂肪族又は芳香族の炭化水素基から選択されており、
M
1及びM
2は、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム、ホスホニウムから選択されており、かつ、
M
1及びM
2の意味は、互いに無関係に選択されていてよいものとする]
を有している。
【0026】
本発明の一実施態様において、P
III(G
2)(G
3)基は、P
III(G
5)(G
6)基の構造式に相当している。
【0027】
このような化合物自体の他に、このような化合物を含んでいる錯化合物についても特許請求の範囲に記載した。
【0028】
本発明の一実施態様において、この錯化合物は、上に記載したような化合物と少なくとも一つの金属中心原子とを含んでおり、その際、この化合物は、少なくとも一つのP
IIIを介して金属中心原子に配位しているものとする。
【0029】
本発明の一実施態様において、金属中心原子は、元素の周期表の第8族〜第10族から選択されている。
【0030】
本発明の好ましい一実施態様において、金属中心原子はロジウムである。
【0031】
このような錯化合物自体の他に、このような錯化合物を含んでいる組成物についても特許請求の範囲に記載した。
【0032】
本発明の一実施態様において、この組成物は、金属中心原子に配位していない、上に記載したような化合物と上に記載したような錯化合物とを含んでいる。
【0033】
組成物の他に、その使用についても特許請求の範囲に記載した。
【0034】
一実施態様において、この組成物は、有機化合物の合成における触媒活性組成物として使用される。
【0035】
一実施態様において、この組成物は、オレフィン系不飽和炭化水素混合物のヒドロホルミル化法における触媒活性組成物として使用される。
【0036】
さらに、多相反応混合物についても特許請求の範囲に記載した。
【0037】
一実施態様において、この多相反応混合物は、オレフィン系不飽和炭化水素混合物、一酸化炭素と水素とを含んでいるガス混合物、アルデヒド、触媒活性組成物としての、上に記載したような組成物を含んでいる。
【0038】
さらに、オレフィン系不飽和炭化水素混合物をヒドロホルミル化してアルデヒドを得る方法についても、特許請求の範囲に記載した。
【0039】
一変法において、この方法は、以下の方法工程:
a)オレフィン系不飽和炭化水素混合物を準備する工程;
b)上に記載したような触媒活性組成物を添加する工程;
c)一酸化炭素と水素とを有する混合物を導入する工程;
d)反応混合物を80〜120℃の範囲内の温度に加熱する工程;
e)圧力を1.0〜6.4MPaの範囲内にする工程;
f)反応終了後に、オレフィン系不飽和炭化水素混合物を分離する工程
を含む。
【0040】
この方法の一変法において、この方法は、付加的な方法工程として、
g)未反応のオレフィン系不飽和炭化水素混合物を分離し、方法工程a)に返送する工程
を含む。
【0041】
この方法の一変法において、この方法は、付加的な方法工程として、
h)記載された触媒活性組成物を分離し、方法工程b)に返送する工程
を含む。
【0042】
この方法の一変法において、この方法は、付加的な方法工程として、
i)一酸化炭素と水素とを含む未反応のガス混合物を分離し、方法工程c)に返送する工程
を含む。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【
図1】NMR分光法による安定性に関する試験結果を示す図。
【実施例】
【0044】
以下に、本発明による化合物の実施例を示す:
本発明による二つのリン原子を有する二座の化合物の実施例は、以下の通りである:
【化10】
【0045】
本発明による三つのリン原子を有する三座の化合物の実施例は、以下の通りである:
【化11】
【0046】
本発明による四つのリン原子を有する四座の化合物の実施例は、以下の通りである:
【化12】
【0047】
選択された化合物の合成法
化合物1
トルエン(6ml)中の1,8,9−アントラセントリオール(0.3549g;1.5686mmol)の懸濁液を、0℃で撹拌下に、トリエチルアミン(0.69ml;4.939mmol)と混合し、次いで少量ずつ、トルエン(15ml)中の4,8−ジ−tert−ブチル−6−クロロ−2,10−ジメトキシジベンゾ[d,f][1,3,2]ジオキサ−ホスフェピン(1.3267g;3.1372mmol)の溶液と混合する。一晩撹拌し、濾過し、濾液を真空中で濃縮乾涸する。40℃、0.1KPaで2時間乾燥させた残渣を、カラムクロマトグラフィーにより精製する(展開溶媒 ジクロロメタン、R
f=0.62)。
【0048】
【化13】
【0049】
化合物2
トルエン(18ml)中の1,8,9−アントラセントリオール(1.076g;4.755mmol)の懸濁液を、撹拌下に、トリエチルアミン(2.09ml;14.973mmol)と混合し、次いで、0℃で少量ずつ、トルエン(45ml)中の2,4,8,10−テトラ−tert−ブチル−6−クロロジベンゾ[d,f][1,3,2]ジオキサホスフェピン(4.518g;9.511mmol)の溶液と混合する。室温で一晩撹拌し、さらに70℃で2時間撹拌し、濾過し、濾液を真空中で濃縮乾涸する。残渣をカラムクロマトグラフィーにより精製し(展開溶媒 ヘキサン/ジクロロメタン=1:2、R
f=0.72)、粗収量4.27g(3.869mmol、81%)を得る。熱アセトニトリルからの再結晶により、純材料を得る。
【0050】
【化14】
【0051】
化合物3
トルエン(14ml)中のアントラセントリオール(0.629g;2.782mmol)の懸濁液を、0℃で撹拌下に、トリエチルアミン(0.866g;8.76mmol)と混合し、次いで少量ずつ、トルエン(26ml)中の4,8−ジ−tert−ブチル−2,6,10−トリクロロジベンゾ[d,f][1,3,2]ジオキサホスフェピン(2.611g;5.563mmol)の溶液と混合する。一晩撹拌し、濾過し、濾液を真空中で濃縮乾涸する。ヘキサン(65ml)からの再結晶により、濃縮された生成物(約85%)が得られ、これをさらなる合成に使用した。
【0052】
【化15】
【0053】
化合物4
撹拌下に、トルエン(10ml)中の1,8,9−アントラセントリオール(0.207g;0.928mmol)とトリエチルアミン(0.294g;2.92mmol)とからの溶液を、−20℃で少量ずつ、トルエン(10ml)中の化合物24(0.882g;0.928mmol)からの溶液と混合する。室温で一晩撹拌した後、反応溶液を濾過し、濾液を真空中で濃縮乾涸する。得られた固形物を、50℃、0.1KPaで2時間乾燥させ、アセトニトリル(100ml)から再結晶させる。
【0054】
【化16】
【0055】
化合物5
トルエン(20ml)中の1,8,9−アントラセントリオール(0.538g;2.378mmol)とトリエチルアミン(0.757g;7.49mmol)とからの溶液を、撹拌下に少量ずつ、トルエン(30ml)中の21(2.011g;2.378mmol)からの溶液と−20℃で混合する。室温で一晩撹拌した後、反応溶液を濾過し、濾液を真空中で濃縮乾涸する。得られた固形物を、50℃、0.1KPaで2時間乾燥させ、カラムクロマトグラフィーにより精製する(溶離液:ジクロロメタン、R
f=0.46及び0.51、二つのジアステレオ異性体)。
【0056】
【化17】
【0057】
化合物6
THF(7ml)中の5(0.994g;0.995mmol)からの溶液を、THF(12ml)中に溶解したヘキサメチルジシラザン(0.802g;4.98mmol)と混合する。反応溶液を還流下に10時間加熱し、その後、真空中で濃縮乾涸する。得られた固形物を、50℃、0.1KPaで2時間乾燥させる。残渣をヘキサンから再結晶させる。
【0058】
【化18】
【0059】
化合物7
トルエン(12ml)中の1(0.966g;0.967mmol)の溶液を、室温で撹拌下に、トリエチルアミン(0.42ml;3.035mmol)と混合し、次いで0℃で、トルエン(4ml)中の2−クロロ−4H−ベンゾ[d][1,3,2]ジオキサホスフィニン−4−オン(0.196g;0.967mmol)の溶液と混合する。室温に加熱し、一晩撹拌し、濾過する。濾液を真空中で濃縮乾涸し、残渣を40℃、0.1KPaで3時間乾燥させ、その後、カラムクロマトグラフィーにより精製する(展開溶媒 ヘキサン/ジクロロメタン、1:10、R
f=0.8)。
【0060】
【化19】
【0061】
化合物8
トルエン(20ml)中の1(2.0g;2.002mmol)の溶液を、室温で撹拌下に、トリエチルアミン(0.88ml;6.314mmol)と混合し、次いで0℃で、トルエン(7ml)中の2−クロロ−4H−ナフト[1,2−d][1,3,2]ジオキサホスフィニン−4−オン(0.656mg;2.602mmol)の溶液と混合する。室温に加熱し、一晩撹拌し、濾過する。濾液を真空中で濃縮乾涸し、残渣を50℃、0.1KPaで1時間乾燥させ、その後、カラムクロマトグラフィーにより精製する(展開溶媒 ヘキサン/ジクロロメタン、1:10、R
f=0.62)。
【0062】
【化20】
【0063】
化合物9
トルエン(15ml)中の2(1.329g;1.204mmol)の溶液を、室温で撹拌下に、トリエチルアミン(0.53ml;3.781mmol)と混合し、次いで0℃で、トルエン(5ml)中の2−クロロ−4H−ベンゾ[d][1,3,2]ジオキサホスフィニン−4−オン(0.243mg;1.204mmol)の溶液と混合する。室温に加熱し、48時間撹拌し、濾過する。濾液を真空中で濃縮乾涸し、残渣を50℃、0.1KPaで1時間乾燥させ、その後、カラムクロマトグラフィーにより精製する(展開溶媒 ヘキサン/ジクロロメタン、2:1、R
f=0.22)。
【0064】
【化21】
【0065】
化合物10
a)2−ヒドロキシニコチン酸からのクロロホスファイトである、2−クロロ−4H−[1,3,2]ジオキサホスフィニノ[4,5−b]ピリジン−4−オン
【化22】
【0066】
THF(20ml)中の2−ヒドロキシニコチン酸(0.5g;3.594mmol)とトリエチルアミン(1.5ml;10.783mmol)との溶液を、撹拌下に、THF(8ml)中に溶解したPCl
3(0.494g;3.594mmol)と、−20℃で混合する。室温で一晩撹拌し、さらに70℃で2時間撹拌した後、反応溶液を濾過し、固形物をTHF(5ml)で洗浄する。濾液を真空中で濃縮乾涸し、黄色の残渣を、50℃、0.1KPaで1時間乾燥させる。収量:0.519g(2.550mmol;71%)。固形物は、NMR分光法によれば95モル%の純度を有しており、これを後精製せずに次の合成工程で使用した。
【0067】
【化23】
【0068】
b)化合物10への転化
トルエン(22ml)中の1(1.859g;1.861mmol)の溶液を、室温で撹拌下に、トリエチルアミン(0.82ml;5.869mmol)と混合し、次いで0℃で、トルエン(14ml)中の2−クロロ−4H−[1,3,2]ジオキサホスフィニノ[4,5−b]ピリジン−4−オン(0.4544g;2.233mmol)の溶液と混合する。室温に加熱し、一晩撹拌し、濾過し、フィルターケーキをTHF(4ml×2)で洗浄する。まとめた濾液を真空中で濃縮乾涸し、50℃、1mbarで3時間乾燥させる。残渣をヘキサン50mlと一晩撹拌する。濾過し、溶剤を真空中で留去し、得られた固形の塊状物を、70℃、0.1KPaで5時間乾燥させる。
【0069】
【化24】
【0070】
化合物11
トルエン(18ml)中の22(2.135g;1.941mmol)の溶液を、室温で撹拌下に、トリエチルアミン(1.08ml;7.765mmol)と混合し、次いで0℃で、固体の1,8,9−アントラセントリオール(0.439g;1.941mmol)と混合する。室温に加熱し、一晩撹拌し、濾過し、溶剤を真空中で除去し、50℃、0.1KPaで5時間乾燥させる。
【0071】
【化25】
【0072】
化合物12
トルエン(10ml)中の22(1.082g;0.983mmol)の溶液を、室温で撹拌下に、トリエチルアミン(0.55ml;3.934mmol)と混合し、次いで0℃で、固体のアントラセンジオール−1,9(0.207g;0.983mmol)と混合する。室温に加熱し、一晩撹拌し、次いで70℃で2時間撹拌し、濾過し、溶剤を真空中で除去し、60℃、0.1KPaで4時間乾燥させる。残渣をカラムクロマトグラフィーにより精製する(ジクロロメタン/ヘキサン=1:1、R
f=0.27)。
【0073】
【化26】
【0074】
化合物13
THF(4ml)中の11(0.674g;0.537mmol)の溶液を、少量ずつ、THF(8ml)中のヘキサメチルジシラザン(0.433g;2.689mmol)からの溶液と混合し、還流下に14時間沸騰させ、その後、濃縮乾涸する。残渣をカラムクロマトグラフィーにより精製する(溶離液 ヘキサン/ジクロロメタン、1:2、R
f=0.47)。
【0075】
【化27】
【0076】
化合物14
トルエン(5ml)中の23(0.47g;0.390mmol)とトリエチルアミン(0.158g;1.561mmol)とからの溶液を、0℃で、固体の1,8,9−アントラセントリオール(0.088g;0.390mmol)と混合する。室温で一晩撹拌し、さらに70℃で2時間撹拌した後、反応溶液を濾過し、濾液を真空中で濃縮乾涸する。残渣をカラムクロマトグラフィーにより精製する(溶離液 ヘキサン/ジクロロメタン、2:1、R
f=0.4)。
【0077】
【化28】
【0078】
化合物15
トルエン(20ml)中の3(1.479g;1.455mmol)とトリエチルアミン(0.462g;4.568mmol)とからの溶液を、撹拌下に、トルエン(10ml)中の2−クロロ−4H−ベンゾ[d][1,3,2]ジオキサホスフィニン−4−オン(0.338g;1.673mmol)からの溶液と、0℃で撹拌する。室温で一晩撹拌した後、反応溶液を濾過し、濾液を真空中で濃縮乾涸する。得られた固形物を50℃、0.1KPaで2時間乾燥させ、精製のためにアセトニトリルから再結晶させる。
【0079】
【化29】
【0080】
化合物16
トルエン(12ml)中の5(0.999g;1mmol)からの溶液を、室温で撹拌下に、トリエチルアミン(0.53ml;3.781mmol)と混合し、次いで0℃で、トルエン(4ml)中の2−クロロ−4H−ベンゾ[d][1,3,2]ジオキサホスフィニン−4−オン(0.203g;1mmol)からの溶液と混合する。室温に加熱し、一晩撹拌し、濾過する。濾液を真空中で濃縮乾涸し、残渣を40℃、0.1KPaで3時間乾燥させ、その後、カラムクロマトグラフィーにより精製する(展開溶媒 ヘキサン/ジクロロメタン、1:10、R
f=0.8)。
【0081】
【化30】
【0082】
化合物17
トルエン(17ml)中の1(1.487g、1.489mmol)とトリエチルアミン(0.472g;4.673mmol)とからの溶液に、0℃で、トルエン(10ml)中の2−クロロナフト[1,8−de][1,3,2]ジオキサホスフィニン(0.333g;1.489mmol)からの溶液を添加する。室温で一晩撹拌した後、反応溶液を濾過し、濾液を真空中で濃縮乾涸する。得られた固形物を、50℃、0.1KPaで2時間乾燥させ、アセトニトリル(20ml)から再結晶させる。
【0083】
【化31】
【0084】
化合物18
THF(12ml)中の1(1.289g;1.289mmol)の溶液を、−20℃で、ヘキサン(5ml)中の等モル量のn−BuLiと混合する。室温に加熱し、一晩撹拌し、このようにして得られた混合物を、0℃で、THF(9ml)中の4,8−ジ−tert−ブチル−6−クロロ−2,10−ジメトキシジベンゾ[d,f][1,3,2]ジオキサ−ホスフェピン(0.545g;1.289mmol)の溶液に添加する。この混合物を室温で16時間撹拌し、真空中で濃縮乾涸する。残渣をトルエン(12ml)と撹拌し、濾過し、濾液を真空中で濃縮乾涸し、50℃、0.1KPaで3時間乾燥させる。
【0085】
【化32】
【0086】
化合物19
a)W. Geiger, Chem. Ber. 1974, 107, 2976-2984による二量体アントラセントリオール
b)トルエン(2ml)中のアントラセントリオール二量体(0.298g;0.6615mmol)の懸濁液を、撹拌下に、トリエチルアミン(0.29ml;2.083mmol)と混合し、次いで0℃で少量ずつ、トルエン(10ml)中の4,8−ジ−tert−ブチル−6−クロロ−2,10−ジメトキシジベンゾ[d,f][1,3,2]ジオキサホスフェピン(1.119g;2.646mmol)の溶液と混合する。室温で一晩撹拌し、さらに70℃で6時間撹拌し、濾過し、フリット残渣を温トルエン(5ml)で洗浄し、濾液を真空中で濃縮乾涸する。粗収量:0.589g(0.295mmol、44%)。アセトニトリル(10ml)と撹拌し、濾過し、フリット残渣をTHF(5ml)中に取り込み、アセトニトリル(8ml)を添加した後に、晶出が生じる。得られた固形物を真空中で乾燥させる。
【0087】
【化33】
【0088】
化合物20(×2 トルエン)
トルエン(28ml)中のアントラセントリオール二量体(0.400g;0.888mmol)の懸濁液を、撹拌下に、トリエチルアミン(0.4ml;2.892mmol)と混合し、次いで−20℃で少量ずつ、トルエン(32ml)中の21、4,8−ジ−tert−ブチル−6−(3,3’−ジ−tert−ブチル−2’−(ジクロロホスフィノオキシ)−5,5’−ジメトキシビフェニル−2−イルオキシ)−2,10−ジメトキシジベンゾ[d,f][1,3,2]ジオキサホスフェピン(1.488g;1.776mmol)の溶液と混合する。室温で一晩撹拌し、さらに70℃で2時間撹拌し、濾過し、濾液を真空中で濃縮乾涸し、残渣を50℃、0.1KPaで2.5時間乾燥させる。得られた固形物を、アセトニトリル(40ml)と一晩撹拌し、濾過し、50℃、0.1KPaで4時間乾燥させる。
【0089】
【化34】
【0090】
化合物21
4,8−ジ−tert−ブチル−6−(3,3’−ジ−tert−ブチル−2’−(ジクロロホスフィノオキシ)−5,5’−ジメトキシビフェニル−2−イルオキシ)−2,10−ジメトキシ−ジベンゾ[d,f][1,3,2]ジオキサホスフェピン
トルエン(133ml)中の3,3’−ジ−tert−ブチル−2’−(4,8−ジ−tert−ブチル−2,10−ジメトキシジベンゾ[d,f][1,3,2]ジオキサホスフェピン−6−イルオキシ)−5,5’−ジメトキシビフェニル−2−オール(D. Selent, D. Hess, K.-D. Wiese, D. Roettger, C. Kunze, A. Boerner, Angew. Chem. 2001, 113, 1739による)(11.37g;15.26mmol)とトリエチルアミン(3.09g;30.54mmol)との溶液を、撹拌下に、トルエン(17ml)中に溶解したPCl
3(2.51g;18.31mmol)と、0℃で撹拌する。室温で一晩撹拌し、さらに85℃で3.5時間撹拌した後、反応溶液を濾過し、濾液を真空中で濃縮乾涸する。残渣を、60℃、1mbarで2.5時間乾燥させ、その後、ヘキサン(125ml)中に溶解させ、5℃で一晩放置する。得られた結晶質の材料を濾過し、冷ヘキサン(20ml)で洗浄し、乾燥させる。
【0091】
【化35】
【0092】
化合物22
トルエン(6ml)中の1(1.0g;1.001mmol)の溶液を、室温で撹拌下に、トリエチルアミン(0.28ml;2.002mmol)と混合し、次いで0℃で、トルエン(2ml)中の三塩化リン(0.152g、1.1mmol)の溶液と混合する。室温に加熱し、一晩撹拌し、濾過し、溶剤を真空中で除去する。残渣を、ヘキサン10mlと16時間撹拌し、濾過し、50℃、0.1KPaで3時間乾燥させる。
【0093】
【化36】
【0094】
化合物23
トルエン(9ml)中の2(0.6g;0.545mmol)とトリエチルアミン(0.109g;1.087mmol)とからの溶液を、撹拌下に少量ずつ、トルエン(2ml)中のPCl
3(0.070g;0.516mmol)からの溶液と、0℃で混合した。室温で一晩撹拌した後、反応溶液を濾過し、濾液を真空中で濃縮乾涸する。残渣を、50℃、0.1KPaで3時間乾燥させ、後精製せずに次の合成工程で使用した。
【0095】
【化37】
【0096】
化合物24
化合物24を、21と同様に、相応するホスファイトフェノール(D. Selent, D. Hess, K.-D. Wiese, D. Roettger, C. Kunze, A. Boerner, Angew. Chem. 2001, 113, 1739)とPCl
3との反応により製造した。粗生成物をヘキサンで洗浄し、50℃、0.1KPaで2時間乾燥させた後、分光法により純粋な材料を得た。
【0097】
【化38】
【0098】
NMR分光法による安定性に関する試験
配位子17と、二座の比較配位子であるビフェホスとを、それぞれ未処理のトルエンD
8に溶解させ、NMR管へ移し、封をした。32日間にわたり、配位子の含分をNMR分光法により追跡した。
【0099】
結果を
図1に示す。
図1において明らかに認められるように、配位子17は、比較配位子ビフェホスよりもはるかに高い安定性を有している。例えば、比較配位子ビフェホスは32日後にNMR技術ではもはや検出不可能であるのに対して、配位子17は初期値に対して60%の濃度で測定された。
【0100】
この、それぞれの遊離配位子17とビフェホスについての安定性試験から、例えばこれらから形成されたロジウム錯体誘導体からの相応する触媒活性組成物についての安定性を直接推論することができる。つまり、これらの触媒活性組成物を用いて運転したヒドロホルミル化法について、配位子17をベースとした触媒活性組成物の寿命は明らかに延びており、ひいては経済的に最適化されている。このことは、安定化作用を有する他の成分、例えば −EP2,280,920号に開示されている− 立体的に要求の高いアミン誘導体の添加を必要としない。後出の、種々のオレフィンないし種々のオレフィン含有炭化水素流を用いた接触反応試験により、この技術的教示を詳細に実証する。
【0101】
三座特性の例示的構造
配位子17からロジウム錯体を製造し、X線に適合した品質で単離できた。X線写真から推定される構造を以下に示す。
【0102】
【化39】
【0103】
得られたデータは、ロジウムへのP
IIIの三配位を裏付けるものである。従って、溶液中で遷移金属上に潜在的に比較的高いP
III濃度が存在しており、その結果、
・ロジウムが、溶液中で、ひいては触媒活性組成物の形で、より良好に保持され、かつ、
・文献から公知であるロジウムのクラスター形成が抑制される。
【0104】
配位子解離とクラスター形成は二座系の場合よりも優先的でなく、触媒活性組成物の寿命がより長くなる。
【0105】
二核構造形の三座特性の例示的構造
配位子17からロジウム錯体を製造し、X線に適合した品質で単離できた。X線写真から推定される構造を以下に示す:
【化40】
【0106】
得られたデータは、触媒活性組成物における二核ロジウム錯体の構造を裏付けるものである。これにより、触媒活性組成物における錯体一つにつき第二のロジウム原子の安定化が実証され、さらにこのようにして、ロジウムのクラスター形成、即ちロジウムの損失が妨げられる。
【0107】
冒頭に記載した新規の配位子に対する要求のうち、
・内在的な触媒毒に対する改善された耐久性という点、並びに
・三座配位子を用いた多重配位による、並びに、本発明による化合物の提供による二核錯体の形成及び配位子としてのその使用による、ロジウムクラスター形成の抑制という点が満たされている。
【0108】
異性化を伴うヒドロホルミル化のための触媒活性組成物において配位子として使用する場合の本発明による化合物の能力について、以下のオレフィン及びオレフィン含有混合物に関する接触反応試験で開示する。
【0109】
接触反応試験の操作法
ヒドロホルミル化を、定圧保持器、ガス流量測定器、ガス供給撹拌機及び圧力ピペットを備えた200mlのオートクレーブ中で実施した。湿分と酸素の影響を最小化するために、溶剤(Tolはトルエンであり、PCはプロピレンカーボネートであり、THFはテトラヒドロフランである)のみならず基質も乾燥させた。試験のために、オートクレーブ中に、アルゴン雰囲気下で、トルエン中の、触媒前駆体としての[(acac)Rh(COD)](acacはアセチルアセトネートアニオンであり、CODは1,5−シクロオクタジエンである)の形のロジウムの溶液を充填した。次いで、トルエンに溶解したホスファイト化合物を、相当量、通常はロジウム一つにつき2〜5配位子当量混入した。その都度入れたトルエンの質量を計量した。オレフィンの秤量分:1−オクテン(10.62g;94.64mmol)、n−オクテン(10.70g;95.35mmol)、2−ペンテン(2.81g;40.0mmol(後出の表中で(P)で示したもの)、又は9.75g;139.00mmol)。1−ブテン、2−ブテン及びイソブテンの添加も同様に行う。オートクレーブを、a)最終圧が5.0MPaの場合には4.2MPa;b)最終圧が2.0MPaの場合には1.2MPa;及びc)最終圧が1.0MPaの場合には0.7MPaの全ガス圧(合成ガス:H
2(99.999%):CO
2(99.997%)=1:1)で、撹拌下に(1500rpm)、それぞれ示された温度に加熱した。反応温度に達した後、合成ガス圧を、a)最終圧が5.0MPaの場合には4.85MPaに;b)最終圧が2.0MPaの場合には1.95MPaに;及びc)最終圧が1.0MPaの場合には0.95MPaに高める。それぞれ表中に示されたオレフィン又はオレフィン含有混合物を、圧力ピペット中で設定した約0.3MPaの過圧で加圧する。反応を、それぞれ5.0、2.0ないし1.0MPaの定圧で4時間行った。反応時間が経過した後、オートクレーブを室温に冷却し、撹拌下に放圧し、アルゴンでパージした。撹拌機のスイッチを切った直後に、それぞれ反応混合物1mlを取り出し、ペンタン5mlで希釈し、ガスクロマトグラフィーにより分析した:HP 5890 シリーズII plus、PONA、50m×0.2mm×0.5μm。残留するオレフィンとアルデヒドの量の測定を、内部標準としてのトルエン溶剤に対して行った。
【0110】
化合物6〜17を用いた接触反応試験
Ausb.は、使用したオレフィン又はオレフィン含有混合物に対する収率を表す。
【0111】
Sel.(%)は、n−選択率(%)を表す。
【0112】
【表1】
【0113】
使用した全ての配位子は三座であり、転化において、良好ないし卓越した収率、並びにそれぞれ卓越したn−選択率を示している。表中のL/Rh比に示されているように、このような成果を挙げるにあたってそれぞれの触媒活性組成物が必要とする配位子過剰は、ごくわずかである。
【0114】
【表2】
【0115】
使用した全ての配位子は三座であり、転化において、良好ないし卓越した収率、並びにそれぞれ卓越したn−選択率を示している。表中のL/Rh比に示されているように、このような成果を挙げるにあたってそれぞれの触媒活性組成物が必要とする配位子過剰は、ごくわずかである。表中の配位子7の実施例で明らかであるように、より高度の配位子過剰は不要である。
【0116】
【表3】
【0117】
【表4】
【0118】
2−ペンテンを用いたこれらの詳細な一連の接触反応試験は、他の一連の試験に対して二つの特徴を有している:
・配位子6により二座化合物を使用した場合、使用した他の配位子と比較して明らかな収率の低下が認められる;
・三座配位子7を、立体的に要求の高いアミン誘導体 −商標TINUVIN
(R) セバシン酸ジ−4(2,2,6,6−テトラメチルピペリジニル)エステル− を併用した試験で反応させたが、その際、収率についてもn−選択率についても改善された結果は得られない。
【0119】
【表5】