特許第5955416号(P5955416)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5955416竹粉含有成形体、車両用内装材及び建築用材料、並びに竹粉含有成形体の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5955416
(24)【登録日】2016年6月24日
(45)【発行日】2016年7月20日
(54)【発明の名称】竹粉含有成形体、車両用内装材及び建築用材料、並びに竹粉含有成形体の製造方法
(51)【国際特許分類】
   B27N 3/02 20060101AFI20160707BHJP
   B27J 1/00 20060101ALI20160707BHJP
【FI】
   B27N3/02 A
   B27J1/00 H
【請求項の数】8
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2014-554023(P2014-554023)
(86)(22)【出願日】2012年12月28日
(86)【国際出願番号】JP2012084145
(87)【国際公開番号】WO2014103034
(87)【国際公開日】20140703
【審査請求日】2015年9月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004640
【氏名又は名称】日本発條株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079049
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 和詳
(74)【代理人】
【識別番号】100099025
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 浩志
(72)【発明者】
【氏名】竹鼻 俊博
【審査官】 木村 隆一
(56)【参考文献】
【文献】 登録実用新案第3176586(JP,U)
【文献】 特開平6−293008(JP,A)
【文献】 特開2008−307884(JP,A)
【文献】 特開2008−23769(JP,A)
【文献】 特開2012−40701(JP,A)
【文献】 特開平4−307203(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B27N 1/00−9/00
B27J 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
維管束に由来する孔を有し、乳酸菌発酵させた鱗片状の竹粉を含む竹粉含有成形体。
【請求項2】
前記鱗片状の竹粉が厚さ方向に層状に重なっている請求項1に記載の竹粉含有成形体。
【請求項3】
さらにバインダーを含む請求項1又は請求項2に記載の竹粉含有成形体。
【請求項4】
請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の竹粉含有成形体からなる車両用内装材。
【請求項5】
請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の竹粉含有成形体からなる建築用材料。
【請求項6】
維管束に由来する孔を有し、乳酸菌発酵させた鱗片状の竹粉及び水を含む竹粉分散液を用い、抄造法により、前記乳酸菌発酵させた鱗片状の竹粉を含むシート状物を形成するシート状物形成工程と、
前記シート状物から水分を除去して1次成形体とする1次成形工程と、
を含む竹粉含有成形体の製造方法。
【請求項7】
前記竹粉分散液が、さらにバインダーを含む請求項6に記載の成形体の製造方法。
【請求項8】
前記1次成形体をホットプレスして2次成形体とする2次成形工程をさらに含む請求項6又は請求項7に記載の竹粉含有成形体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、竹粉含有成形体、車両用内装材及び建築用材料、並びに竹粉含有成形体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
地球環境への配慮や植物の有効活用を図るため、原料の一部として植物由来の粉末等を配合して成形した各種部材が提案されている。例えば、原料の一部として竹を利用したトレー容器、合成板、空気入りタイヤが提案されている(特開2005−329688号公報、特開2008−030380号公報、特開2011−012110号公報参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
成形体の原料の一部として竹を利用する場合、一般的には、維管束の繊維方向(竹の長手方向)に繊維化したものや、竹を炭化して粉化したものが用いられている。
竹を維管束の繊維方向に繊維化したものであれば、強度を高める効果が得られるが、線維化に大きなエネルギーが必要である。また、竹の繊維状物を用いるとささくれ等が発生する恐れがある。
【0004】
一方、竹を炭化して粉末状にした竹粉では強度効果がほとんど得られない。また、例えば、竹を摩砕して得た粉状体をバインダーと配合して複合化するに際しても、押出、射出成形で大きなエネルギーが必要である。
【0005】
ところで、自動車や家の中では臭いがこもり易く、各種、脱臭剤や芳香剤が使用されている。例えば竹を炭化した竹炭や、竹粉に有機酸やビタミンCを塗布して脱臭機能を付与したものがあるが、その形態や用途は限られている。
【0006】
本発明は、少ないエネルギーで製造することができ、安全で、かつ、脱臭及び強度効果が得られる竹粉含有成形体及びその製造方法並びにそれを用いた車両用内装材及び建築用材料を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、以下の発明が提供される。
本発明の第1の側面によれば、維管束に由来する孔を有し、乳酸菌発酵させた鱗片状の竹粉を含む竹粉含有成形体が提供される。
前記鱗片状の竹粉が厚さ方向に層状に重なっていることが好ましく、また、バインダーを含むことが好ましい。
【0008】
本発明の第2の側面によれば、維管束に由来する孔を有し、乳酸菌発酵させた鱗片状の竹粉及び水を含む竹粉分散液を用い、抄造法により、前記乳酸菌発酵させた鱗片状の竹粉を含むシート状物を形成するシート状物形成工程と、前記シート状物から水分を除去して1次成形体とする1次成形工程と、を含む竹粉含有成形体の製造方法が提供される。
前記竹粉分散液は、さらにバインダーを含むことが好ましい。また、前記1次成形体をホットプレスして2次成形体とする2次成形工程をさらに含むことができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、少ないエネルギーで製造することができ、安全で、かつ、脱臭及び強度効果が得られる竹粉含有成形体及びその製造方法並びにそれを用いた車両用内装材及び建築用材料が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】鱗片状の竹粉を製造する方法の一例を示す概略図である。
図2】維管束に由来する孔を有する鱗片状の竹粉(乳酸菌発酵前)を示した画像である。
図3】竹の維管束内で増殖した乳酸菌を示す画像例である。
図4】本発明に係る竹粉含有成形体の製造工程の一例を示す概略図である。
図5】抄造法により鱗片状の竹粉が層状に重なった成形体(1次成形体)の一例を示す画像である。
図6】竹を摩砕して得た竹粉を示した画像である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明に係る竹粉含有成形体及びその製造方法について具体的に説明する。
【0012】
<竹粉含有成形体>
本発明に係る竹粉含有成形体(適宜、「成形体」と称する)は、維管束に由来する孔を有し、乳酸菌発酵させた鱗片状の竹粉(適宜、「乳酸菌発酵させた鱗片状の竹粉」又は「乳酸菌発酵させた竹粉」と称する場合がある)を含んで構成されており、乳酸菌発酵させた鱗片状の竹粉のほかに補強材料としてバインダーを含むことが好ましい。以下、本発明に係る竹粉含有成形体の構成成分について説明する。
【0013】
(乳酸菌発酵させた鱗片状の竹粉)
本発明の成形体に含まれる竹粉は、鱗片状(厚みが薄い板状体、鱗状、Flake状)であり、厚さ方向に維管束に由来する孔を有し、乳酸菌発酵させたものである。本発明で用いる鱗片状の竹粉の大きさは、厚さが好ましくは100〜1000μm、より好ましくは 300〜600μmあり、平面視した場合の径(幅)が好ましくは50〜3000μmであり、より好ましくは100〜800μmである。
【0014】
乳酸菌発酵させるための鱗片状の竹粉は、竹を繊維と交差する方向で切削、好ましくは竹の維管束に対して略直角に切削(スライス)して得ることができる。例えば、図1に示すように、複数の円形のこぎり刃を重ねて配置した切削手段10を回転させ、竹の端面を切削手段10に押し当てて切削しながら竹12の維管束の方向(長手方向)に進行させる。これにより竹12の長手方向に伸びる維管束が垂直に切断され、図2に示すように維管束に由来する孔を有する鱗片状の竹粉を連続的に製造することができる。このような方法によれば、竹の竹齢に無関係に竹粉化することができ、また、竹やぶなどから切り出した竹をそのまま切削して加工することもできるため、少ないエネルギーにより一回の加工で例えば500μm程度の大きさの鱗片状の竹粉を効率的に得ることができる。
【0015】
本発明で用いる鱗片状の竹粉を製造するための切削手段としては、例えば、特開2003−236403号公報に記載されている竹粉製造装置を用いることができる。市販品としては、例えば、丸大鉄工(株)竹粉製造機「PANDA」を用いることができる。
【0016】
なお、前述したように竹の維管束に対して略直角に切削(スライス)した場合、切削粉は通常は全て鱗片状の竹粉となるが、鱗片状以外の竹粉も若干混入する可能性もある。鱗片状以外の竹粉が混入したものを用いてもよいが、使用する竹粉のうち90質量%以上が乳酸菌発酵させた鱗片状の竹粉であることが好ましい。
【0017】
若い竹をそのまま粉化すると、カビ等が発生し工業材料としては使えなかったが、維管束に由来する孔を有する鱗片状の竹粉とした上でサイレージ化することにより、少ないエネルギーによって保管することができる。
切削によって得た鱗片状の竹粉を乳酸菌発酵させる方法としては、竹に土着の乳酸菌を利用する方法又はサイレージ用乳酸菌を添加する方法が挙げられる。例えば、切削後の鱗片状の竹粉を真空パックすることで乳酸菌発酵(サイレージ化)が始まる。発酵時の温度は25℃〜45℃程度が好ましい。なお、乳酸菌は嫌気性雰囲気下で増殖するため、真空パックに限らず、酸素を含まない雰囲気下に置けばよい。乳酸菌発酵により、図3に示すように竹の維管束内で1μm程度の球状の乳酸菌を見つけることができる。
サイレージ化(乳酸菌発酵)を制御することにより、有機酸の生成も制御でき、脱臭効果も制御することができる。
【0018】
本発明の成形体に含まれる乳酸菌発酵させた鱗片状の竹粉の含有量は成形体の用途等に応じて決めればよい。乳酸菌発酵させた鱗片状の竹粉の含有量によって成形体の強度、脱臭性、通気性、重量などを調整することができる。例えば、乳酸菌発酵させた鱗片状の竹粉の含有量が多いほど脱臭性能を高くすることができる。
本発明の成形体において乳酸菌発酵させた鱗片状の竹粉が配合されている形態は特に限定されないが、曲げ強度が必要な時、厚さ方向に層状に重なっていることが好ましい。乳酸菌発酵させた鱗片状の竹粉が積層して一体的な状態となっていることで強度効果が得られるとともに、積層された鱗片状の竹粉は厚さ方向に貫通する孔に多数の乳酸菌を保持することができ、高い脱臭性能を有する成形体とすることができる。
【0019】
(バインダー)
バインダーは、主に成形体の強度を補強するために用いられるが、バインダーの添加により、成形体の強度のほか、密度や脱臭性も調整することができ、設計自由度を大きくすることができる。
【0020】
本発明で用いることができるバインダーとしては、鱗片状の竹粉と混ざり合うことで成形しやすく、成形体の強度を向上させることができ、かつ、竹を劣化させない温度(成形時間にもよるが、例えば250℃以下)で加工することができるものを用いればよい。例えば、鱗片状の竹粉と結合して一体となる繊維状又は粒子状の有機材料が好ましく、具体的には熱可塑性繊維、パルプを含む天然繊維、熱硬化性粉体等が挙げられる。
【0021】
バインダーとして用いることができる熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリビニル系:アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリ塩化ビニリデン、ポリフッ化ビニリデン、ポリ酢酸ビニル、ポリオレフィン系:ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル系:アクリル樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド系:ポリアミド6,11,12、熱可塑性ポリウレタン系などが挙げられ、熱可塑性樹脂又は熱可塑性エラストマー等の被覆層を有する繊維状物を用いてもよい。
繊維状物の繊維長さは好ましくは0.5〜20mmであり、より好ましくは1〜10mmであり、線維径は好ましくは10〜300μmであり、より好ましくは20〜200μmである。
【0022】
また、バインダーとして用いることができる熱硬化性樹脂としては、フェノール樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂などが挙げられる。
バインダーとして用いられる粉状物の粒径は好ましくは5〜20μmであり、より好ましくは2〜10μmである。
【0023】
本発明の成形体におけるバインダーの含有量は、成形体の用途等に応じて決めればよい。高い強度が要求されない場合は、バインダーを含まず、乳酸菌発酵させた鱗片状の竹粉で成形体を構成してもよいが、バインダーを加えることで成形しやすく、強度を高めることができる。
本発明の成形体を、例えば車両用内装材や建築用材料として用いることができるハードボードとする場合は、強度確保のため、成形体中のバインダーの含有量は5質量%以上とすることが好ましく、10質量%以上とすることがより好ましい。一方、脱臭性確保のため、成形体中の乳酸菌発酵させた鱗片状の竹粉の含有量は65質量%以上とすることが好ましく、80質量%以上とすることがより好ましい。
成形体中の乳酸菌発酵させた鱗片状の竹粉の含有量とバインダーの含有量の比率(質量比)は90:10〜65:35とすることが好ましく、80:20〜70:30とすることがより好ましい。
【0024】
(その他の成分)
本発明の成形体は、成形体に要求される特性や成形体の製造容易性などを考慮して他の成分を含んでもよく、例えば、難燃剤、密度調整剤(充填剤)、分散剤、消泡剤などが挙げられる。
【0025】
本発明の竹粉含有成形体は、乳酸菌発酵により、生成した有機酸が付着した鱗片状の竹粉を含んで構成されているため、有機酸によりアンモニア等の脱臭(反応)機能を発揮することがき、また、鱗片状の竹粉に形成されている多孔質内への吸着によっても脱臭が行われると考えられる。
【0026】
<竹粉含有成形体の製造方法>
本発明の竹粉含有成形体を製造する方法は特に限定されないが、抄造法を利用して好適に製造することができる。すなわち、本発明の竹粉含有成形体の製造方法は、維管束に由来する孔を有し、乳酸菌発酵させた鱗片状の竹粉及び水を含む竹粉分散液を用い、抄造法により、前記乳酸菌発酵させた鱗片状の竹粉を含むシート状物を形成するシート状物形成工程と、前記シート状物から水分を除去(脱水及び乾燥)して1次成形体とする1次成形工程と、を含んでいる。また、シート状以外の成形体とする場合、あるいは、強度を高める場合は、1次成形体をホットプレスして2次成形体とする2次成形工程をさらに含むことができる。
【0027】
以下、本発明の竹粉含有成形体の製造方法の各工程について説明する。図4は本発明に係る竹粉含有成形体の製造方法の一例を概略的に示している。
【0028】
(シート状物形成工程)
まず、維管束に由来する孔を有し、乳酸菌発酵させた鱗片状の竹粉及び水を含む竹粉分散液を用い、抄造法により、前記乳酸菌発酵させた鱗片状の竹粉を含むシート状物を形成する。
【0029】
竹粉分散液は、切削後の鱗片状の竹粉を乳酸菌発酵させた後、乾燥(絶乾状態:例えば115℃×1時間以上の条件で乾燥)させた後に水を添加し、混合することで得ることができる。水と竹粉との配合比は、鱗片状の竹粉が水中で分散した状態を保つことができればよく、例えば、水100質量部に対し、0.1〜10質量部の竹粉を添加する。鱗片状の竹粉が水中で安定して分散させた状態を保つため、竹粉分散液に界面活性剤を添加してもよい。
竹粉分散液は、製造する成形体の強度を向上させるため、前記したバインダー(マトリックス)を含むことが好ましい。乳酸菌発酵させた鱗片状の竹粉とバインダーの配合比(質量基準)は、目的とする成形体の用途等に応じて決めればよい。
さらに、目的とする成形体の用途に応じて、難燃剤などの他の成分を添加してもよい。
【0030】
竹粉分散液を容器内で撹拌混合し(図4(A))、抄造法により、鱗片状の竹粉を漉して乳酸菌発酵させた鱗片状の竹粉を含むシート状物を形成する(図4(B))。
抄造は、和紙などを製造する技術であり、紙を製造する際、紙の原料となる繊維を水を含む分散液から繊維をすくい取る方法、あるいは、繊維を水から濾別する方法が挙げられる。手抄きと機械抄きに大別されるが、本発明はいずれも適用することができる。
【0031】
乳酸菌発酵させた鱗片状の竹粉を含む分散液を原料として抄造によりシート状物を形成することで、乳酸菌発酵させた鱗片状の竹粉が厚さ方向に層状に重なったシート状物を得ることができる。水を媒体とした抄造法によりシート状物を形成するため、製造エネルギーが少なく、大型のシート状物を形成することもできる。
また、抄造法によれば、少ないバインダー(マトリックス)でシート状物を製造することができ、特に乳酸菌発酵させた鱗片状の竹粉と繊維状のバインダーでは、よく絡み合うことで、強度が顕著に向上する。
目付量は、成形体に求められる強度と密度に応じて決めればよいが、成形体としての強度を得るため0.2g/cm以上とすることが好ましい。
【0032】
本発明における抄造は、例えば、バッチ用として手抄き機を用いてもよいし、長尺用として連続機を用いてもよい。手抄き機として、例えば、印刷朝陽会「新版 製紙・印刷の計測機器」 p.178−179 (2002)に記載されている「TAPPI式手すき機」、「角型シートマシン」などを用いることができる。また、連続機として、CMC出版「機能性不織布の開発」 p.232−233 (2004)に記載されている「傾斜ワイヤー型長網(短網)抄紙機」、「円網抄紙機」などを用いることができる。
また、抄紙機を用いず、例えば、竹粉含有分散液を筒状容器内で撹拌混合した後、竹粉を沈降させてフィルターで漉すことでシート状物を得ることもできる。
【0033】
(1次成形工程)
抄造法により、乳酸菌発酵させた鱗片状の竹粉を含むシート状物を形成した後、シート状物から水分を除去して1次成形体とする。
例えば、容器内から乳酸菌発酵させた鱗片状の竹粉を含むシート状物30を取出し(図4(C))、両面からプレス機22により圧縮して脱水する(図4(D))。脱水後のシート状物に水分が残留する場合は、乾燥させて残留水分を蒸発させることが好ましい。なお、シート状物の両面からプレスして脱水する際、プレスとともに加熱して乾燥させてもよい。
乾燥手段は特に限定されず、例えば、温風又は熱風を当ててもよいし、ヒータによって加熱してもよいし、高温又は低湿の乾燥室内に放置してもよいし、自然乾燥してもよい。
抄造法により形成した乳酸菌発酵させた鱗片状の竹粉を含むシート状物から水分を除去することで1次成形体31を得ることができる(図4(E))。
図5は1次成形工程後の成形体を示しており、鱗片状の竹粉が厚さ方向に層状に重なっている。
【0034】
(2次成形工程)
水分を除去したシート状物は1次成形体として利用することもできるが、強度をさらに高める場合、あるいはシート状以外の成形体とする場合は、1次成形体31をホットプレスして2次成形体32とすることができる(図4(F))。
脱水・乾燥後、所定の型に入れてホットプレスにより圧縮成形することで、強度が高まるとともに所望の形状に成形することができる。なお、2次成形工程を行う場合は、成形容易性及び強度の向上の観点から、竹粉分散液に、バインダー、好ましくは熱可塑性樹脂、より好ましくは熱可塑性の繊維状バインダーを予め含ませて竹粉とバインダーを含むシート状物を形成することが好ましい。
【0035】
2次成形工程における条件(温度、圧力、時間など)は、製造すべき成形体の形態、バインダーの種類、バインダーの配合量等に応じて決めればよく、2次成形工程におけるホットプレス条件は、バインダーの融点、流動性等に応じて決めればよい。例えば、熱可塑性バインダーを含む場合は、加熱後、型で圧縮成形が可能である。
【0036】
上記工程を経て、乳酸菌発酵させた鱗片状の竹粉及びバインダーを含む2次成形体32を得ることができる。上記方法では、抄造法によりシート状物を得るため、例えば大きなボードを製造することもできる。なお、2次成形体の形状は用途に応じて決めればよい。
本発明の竹粉含有成形体は、上記のように乳酸菌発酵させた鱗片状の竹粉を用い、水を媒体とした抄造法によりシート状物を得て、乾燥、圧縮等により成形体を製造することができるため、省エネルギーで、カーボンニュートラルに近い成形体を得ることができる。
【0037】
また、本発明では、厚さ方向に孔を有し、乳酸菌発酵させた鱗片状の竹粉を用いて成形体を製造するため、脱臭性能を有することができるほか、単に粉状の竹粉を用いる場合に比較して曲げ強度を大きくすることができる。例えば、鱗片状の竹粉を65質量%以上99質量%以下、バインダーを1質量%以上35質量%以下で含むことで、以下の曲げ強度、板厚、及び密度を有する2次成形体を製造することができる。
曲げ強度:20(MPa)以上
板厚:0.5(mm)以上
密度:0.2(g/cm)以上
【実施例】
【0038】
以下に実施例について説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。なお、以下の説明において、特に断りのない限り、配合量(含有量、添加量)に関する「部」、「%」は全て質量基準である。
【0039】
<実施例1>
−竹粉分散液の調製−
丸大鉄工(株)製の竹粉製造機「PANDA」を用い、竹を維管束に対して直角に切削(スライス)して鱗片状の竹粉(切削粉)を得た。竹粉の平均厚さは400μmであり、平均幅は600μmであった。
【0040】
得られた鱗片状の竹粉を真空パックして大気中に、45℃以上にならないところに放置することで乳酸菌発酵を行った。
【0041】
乳酸菌発酵させた鱗片状の竹粉と熱可塑性バインダー繊維(材質:ポリプロピレン、サイズ:2.4dtex×5mm)を水に配合した。具体的には、乳酸菌発酵させた鱗片状の竹粉と熱可塑性バインダー繊維との配合比(質量比)は、竹粉:熱可塑性PP(ポリプロピレン)バインダー繊維=80:20とし、また、水1000質量部に対して竹粉と繊維を合わせて8.3質量部(希釈率:120倍)を撹拌混合して竹粉分散液A1を得た
【0042】
−シート状物形成工程−
竹粉分散液A1を用いて以下のようにして抄造法によりシート状物A1を作製した。
水30Lに竹粉と繊維を合わせて250g含む分散液(希釈率:120倍)を撹拌機で1分間撹拌し、250メシュ付きの容器に移して水をろ過(脱水)後、真空引きする。その時間は、およそ30秒とした。
【0043】
−成形工程−
残ったシート状物(竹粉+繊維)A1を容器から取り出し、脱水プレスにて脱水(3MPaで2分)した。それを、110℃×4時間乾燥し、1次成形体を得た。
乾燥後、ホットプレス機により成形した。ホットプレス条件は、150℃、2分間、3MPaとした。これにより、実施例1の成形体A1を得た。
【0044】
<実施例2>
−シート状物形成工程−
実施例1の竹粉分散液A1の調製において、乳酸菌発酵させた鱗片状の竹粉と熱可塑性バインダー繊維との配合比(質量比)を、乳酸菌発酵させた竹粉:熱可塑性バインダー繊維=70:30としたこと以外は実施例1と同様にして竹粉分散液A2を調製し、竹粉分散液A2を用いて実施例1と同様に抄造法によりシート状物A2を作製した。
【0045】
−成形工程−
シート状物A2を用い、実施例1の成形工程と同様にして成形体A2を製造した。
【0046】
<比較例1>
−竹粉分散液の調製−
石臼方式の摩砕機を用い、竹を摩砕してすり潰し状の竹粉(摩砕粉)を得た。図6に摩砕粉を示す。
得られた摩砕粉を実施例1と同様にして真空パックし、実施例1と同様の条件下で放置 した。竹粉として上記の摩砕粉を用いたこと、また、成形工程におけるホットプレス条件を表1に示すように変更したこと以外は実施例1と同様にして竹粉分散液B1を調製した。
【0047】
−シート状物形成工程−
実施例1のシート状物形成工程において、竹粉分散液A1の代わりに竹粉分散液B1を用いたこと以外は実施例1と同様にして抄造法によりシート状物B1を作製した。
【0048】
−成形工程−
実施例1の成形工程において、シート状物A1の代わりにシート状物B1を用いたこと以外は実施例1の成形工程と同様にして成形体B1を製造した。
【0049】
<実施例3>
−シート状物形成工程−
実施例1の竹粉分散液A1を用いて実施例1と同様に抄造法によりシート状物A3を作製した。
−成形工程−
シート状物A3を用い、実施例1の成形工程において、ホットプレスの圧力を1MPaに変更したこと以外は実施例1と同様にして成形体A3を製造した。
【0050】
<実施例4>
−シート状物形成工程−
実施例2の竹粉分散液A2を用いて実施例1と同様に抄造法によりシート状物A4を作製した。
−成形工程−
シート状物A4を用い、実施例1の成形工程において、ホットプレスの圧力を1MPaに変更したこと以外は実施例1と同様にして成形体A4を製造した。
【0051】
<比較例2>
−シート状物形成工程−
実施例1のシート状物形成工程において、竹粉分散液A1の代わりに竹粉分散液B2(すり潰し状の竹粉:PPバインダー繊維=70:30)を用いたこと、また、成形工程におけるホットプレス条件を表1に示すように変更したこと以外は実施例1と同様にして抄造法によりシート状物B2を作製した。
【0052】
[評価]
実施例及び比較例で得られた成形体について、以下の評価を行った。
【0053】
(曲げ強さ)
成形体の曲げ強さをJIS A5905に準じて測定した。
【0054】
(密度)
成形体の重量と体積から密度を求めた。
【0055】
(脱臭性能)
臭覚測定法を用い、臭気強度(官能評価)で各成形体の脱臭性能を評価した。
A:2≦A<3
B:3≦B<4
C:4≦C≦5
【0056】
実施例及び比較例で製造した成形体の原料、ホットプレス条件、評価結果について表1にまとめた。
【0057】
【表1】
【0058】
表1に示すように、乳酸菌発酵させた鱗片状の竹粉を用いた実施例では、鱗片状以外の竹粉を用いた場合に比べて曲げ強さ及び脱臭性能が高いことがわかる。
【0059】
本発明は、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更して実施できる。また、本発明の権利範囲が上記各実施形態に限定されないことは言うまでもない。
【0060】
本発明に係る竹粉含有成形体は、乳酸菌発酵させた鱗片状の竹粉とバインダーを含めた成形体とすることで、自然発酵の匂い(芳香性)をもつボードを得ることができ、車両用内装材(例えば背面ボード等)、建築用材料(例えば無音響室の壁面材料等)として好適に適用することができるが、これらに限定されない。例えば鱗片状の竹粉の含有量を高めた成形体であれば、脱臭性能を有するフィルター、緩衝材などにも適用することができる。
図1
図4
図2
図3
図5
図6