特許第5955425号(P5955425)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】5955425
(24)【登録日】2016年6月24日
(45)【発行日】2016年7月20日
(54)【発明の名称】ゲート駆動回路およびインバータ装置
(51)【国際特許分類】
   H02M 1/08 20060101AFI20160707BHJP
   H02M 7/48 20070101ALI20160707BHJP
【FI】
   H02M1/08 A
   H02M7/48 E
   H02M7/48 M
   H02M7/48 P
【請求項の数】2
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2015-24558(P2015-24558)
(22)【出願日】2015年2月10日
【審査請求日】2015年2月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】000159043
【氏名又は名称】菊水電子工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】特許業務法人 谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】藤田 雄司
【審査官】 神山 貴行
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−059195(JP,A)
【文献】 特許第5318692(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 1/00〜 1/44
H02M 7/48
H03K 17/00〜17/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゲートドライバ電源の一方とスイッチング素子のゲート駆動電圧基準点との間に接続される、前記ゲートドライバ電源から前記ゲート駆動電圧基準点を順方向とする直列接続した2つのダイオードと、
前記スイッチング素子のゲート容量に対して十分に大きな容量の平滑コンデンサと、
前記平滑コンデンサの電圧を所定電圧に維持する定電圧素子と、
前記2つのダイオードの中点に一方を接続したLC直列共振回路と、
を備え、前記2つのダイオード、前記平滑コンデンサおよび前記定電圧素子は、前記ゲートドライバ電源と前記ゲート駆動電圧基準点との間に並列接続され、前記LC直列共振回路のもう一方を前記スイッチング素子のゲートまたはコレクタもしくはドレインに接続したことを特徴とするゲート駆動回路。
【請求項2】
スイッチング素子を直列接続した複数のスイッチング回路を備えたインバータ装置であって、
前記各スイッチング回路のアーム下側のスイッチング素子のゲートドライバを駆動する請求項1に記載のゲート駆動回路であって、前記LC直列共振回路のもう一方を前記スイッチング素子のゲートとする、第1のゲート駆動回路と、
前記各スイッチング回路のアーム上側のスイッチング素子のゲートドライバを駆動する請求項1に記載のゲート駆動回路であって、前記LC直列共振回路のもう一方を前記スイッチング素子のコレクタ又はドレインとする、第のゲート駆動回路と、
前記各スイッチング回路のアーム上側のゲートドライバ電源を前記各スイッチング回路のアーム下側のゲートドライバ電源にブートストラップ接続したことを特徴とするインバータ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スイッチング素子のゲートを電圧で駆動するゲート駆動回路およびインバータ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
インバータやスイッチング電源回路などのスイッチング素子にはMOSFETやIGBTといったゲートを電圧で駆動する素子が幅広く使用されている。これらのスイッチング素子Qには、図9に示す等価回路のように、ゲート−ドレイン間、もしくはゲート−コレクタ間にミラー容量Crが存在している。
【0003】
このためスイッチング素子Qがオフ状態でソース−ドレインまたはエミッタ−コレクタ間電圧が急上昇したような場合、ミラー容量Crの影響でゲート電圧が上昇方向に引きずられて誤点弧してしまう可能性がある。
【0004】
スイッチング素子の誤点弧は、図10のようにブリッジ回路を構成する単相電圧型インバータなどの場合、スイッチング素子の誤点弧、たとえばスイッチング素子Q1がオン時にスイッチング素子Q2が誤点弧すると、スイッチング素子Q1、Q2のアームによってB1を短絡する所謂アーム短絡となるため、素子が致命的なダメージを負いやすく、機器の信頼性を著しく低下させてしまうという問題を引き起こす。
【0005】
これを防ぐため、スイッチング素子がオフ時にはゲートを基準点(スイッチング素子Q1〜Q4各々のエミッタ)に対して負電圧で駆動することが1つの解決方法である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実開平2−49388号公報
【特許文献2】特許第5318692号明細書
【特許文献3】特許第3581809号明細書
【特許文献4】特許第3025715号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら図10のように、アーム下側のスイッチング素子Q2、Q4をゲート駆動の基準とした場合、アーム上側のスイッチング素子Q1、Q3のゲートドライバはスイッチング電圧振幅でスイングされる。このため、両アームの下側のゲートドライバU2、U4には共通のB6・B7電源が、一方のアームの上側のゲートドライバU1にはB2・B3電源が、他方のアームの上側のゲートドライバU3にはB4・B5電源がそれぞれ独立して必要とするという課題があった。これが三相インバータともなれば更にもう一組の正負電源が必要になる。また、各電源には所定電圧を発生させるために一定量の電力損失があるため、独立した電源の個数が増えるほど消費電力が増えるため、低消費電力化に対しても不利であった。
【0008】
負電圧の生成には、図10のように複数の電源を用いるものの他に、コンデンサとスイッチ素子によるチャージポンプを用いた手法がある。しかし、エネルギー伝達の際に流れるピーク電流の大きさは配線抵抗やコンデンサのESR、スイッチの内部抵抗といった抵抗成分の大きさに反比例する。このためコンデンサから別のコンデンサにスイッチ素子を通じてエネルギー伝達する場合、半分はジュール熱として失われてしまう。このためPWMのデューティサイクルを幅広く変化させる必要があるインバータやスイッチング電源において、チャージポンプ方式では低消費電力で精度良く負電圧を生成することは難しかった。
【0009】
また、スイッチングによる不要振動抑制や不要雑音発生防止のため、従来は多くの場合スイッチング素子のゲートとゲート駆動回路との間に抵抗を挿入して対処していた(特許文献2参照)。しかし、ゲートに抵抗が挿入されるとゲート電圧はミラー容量Crの影響を受けやすくなり、スイッチング素子は誤点弧し易くなるという課題があった。
【0010】
上記の理由により、従来の負電圧駆動による誤点弧防止対策を施したインバータのゲートドライバ回路は非常に複雑なものとなってしまい、コストダウン、小型化が難しいという課題があった。
【0011】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、共振回路を介して充電される平滑コンデンサを用いて、スイッチング素子をゲート駆動電圧基準点に対して負電圧でオフするゲート駆動回路およびインバータ装置を提供することにある。
【0012】
本発明のゲート駆動回路をブートストラップ回路と組み合わせる事で、単相・三相を問わず1つのゲート駆動用電源とインバータの直流電源のみで全てのスイッチング素子の正負電圧ゲート駆動を可能にするインバータ装置を実現できる。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記の課題を解決するために、本発明は、請求項1に記載のように、ゲート駆動回路であって、ゲートドライバ電源の一方とスイッチング素子のゲート駆動電圧基準点との間に接続される、前記ゲートドライバ電源から前記ゲート駆動電圧基準点を順方向とする直列接続した2つのダイオードと、前記スイッチング素子のゲート容量に対して十分に大きな容量の平滑コンデンサと、前記平滑コンデンサの電圧を所定電圧に維持する定電圧素子と、前記2つのダイオードの中点に一方を接続したLC直列共振回路と、を備え、前記2つのダイオード、前記平滑コンデンサおよび前記定電圧素子は、前記ゲートドライバ電源と前記ゲート駆動電圧基準点との間に並列接続され、前記LC直列共振回路のもう一方を前記スイッチング素子のゲートまたはコレクタもしくはドレインに接続したことを特徴とする。
【0014】
請求項2に記載の発明は、スイッチング素子を直列接続した複数のスイッチング回路を備えたインバータ装置であって、前記各スイッチング回路のアーム下側のスイッチング素子のゲートドライバを駆動する請求項1に記載のゲート駆動回路であって、前記LC直列共振回路のもう一方を前記スイッチング素子のゲートとする、第1のゲート駆動回路と、前記各スイッチング回路のアーム上側のスイッチング素子のゲートドライバを駆動する請求項1に記載のゲート駆動回路であって、前記LC直列共振回路のもう一方を前記スイッチング素子のコレクタ又はドレインとする、第のゲート駆動回路と、前記各スイッチング回路のアーム上側のゲートドライバ電源を前記各スイッチング回路のアーム下側のゲートドライバ電源にブートストラップ接続したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明のゲート駆動回路の応用によって以下の効果を奏する。
【0016】
1.スイッチング素子のミラー容量による誤点弧防止
本発明は、定電圧素子の値を変更することにより、スイッチング素子がオフのときゲート電圧をゲート駆動電圧基準点に対して容易に任意の負電位とする事ができるため、スイッチング素子の誤点弧防止に大いに効果を発揮する。
【0017】
2.インバータ装置などの小型化、低消費電力化
本発明は、正負電圧のゲート駆動回路を容易かつ省スペースで実現でき、またゲート駆動回路毎に負電圧ゲート駆動のための独立した電源部が不要であるため、インバータ装置などの小型化、低消費電力化、更には低コスト化を可能にする。
【0018】
3.高デューティPWMパルスでも精度良く負電圧を生成
本発明、エネルギー伝達経路にLC直列共振回路があるため、印加電圧変化量をΔVとすると、ゲート駆動回路を流れる最大電流ipkは、
【0019】
【数1】
【0020】
に抑えることができ、配線抵抗などによるジュール熱損を大幅に低減し、高い効率で負電圧を生成できる。そのため、高デューティ比のPWMパルスでも容易に精度の高い負電圧が生成可能となる。
【0021】
4.SiCやGaNなどのスイッチング素子駆動
スイッチング電源やインバータ装置の小型化、高効率化のため、近年SiCやGaNといったデバイスが注目されている。これらのデバイスは、SiのMOSFETやIGBTに対してオン時は高い精度で正のゲート駆動電圧が必要で、またゲート閾値電圧が低いためオフ時は負電圧の駆動が望ましい。本発明は、これらのデバイスに好適なゲート駆動回路を構築可能となり、小型化や高効率化に更なる効果を発揮できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】(a)はゲート駆動電圧基準点に対する電圧変化点をゲートドライバの出力とした場合の本発明の一実施形態に係るゲート駆動回路の構成例を示す図であり、(b)はゲート駆動電圧基準点に対する電圧変化点をスイッチング素子のコレクタ(ドレイン)とした場合の本発明の一実施形態に係るゲート駆動回路の構成例を示す図である。
図2】本発明のゲート駆動回路とブートストラップを組み合わせたインバータ装置の実施例を示す図である。
図3】本発明の一実施形態に係るゲート駆動回路に関してゲートドライバの出力がLowからHighに遷移したときの電流経路を示す図である。
図4】本発明の一実施形態に係るゲート駆動回路に関してゲートドライバの出力がHighからLowに遷移したときの電流経路を示す図である。
図5】本発明の一実施形態に係るゲート駆動回路においてゲートドライバ出力、ゲートドライバ出力が変化したときのコンデンサC1、平滑コンデンサC2の電圧Vc1、Vc2の変化、およびコンデンサC1を流れる電流Ic1の変化を示す図である。
図6】本発明の一実施形態に係るゲート駆動回路に関してスイッチング素子Q5がオフ、スイッチング素子Q6がオンしたときの電流経路を示す図である。
図7】本発明の一実施形態に係るゲート駆動回路に関してスイッチング素子Q5がオン、スイッチング素子Q6がオフしたときの電流経路を示す図である。
図8】本発明の一実施形態に係るゲート駆動回路においてスイッチング素子Q1のコレクタ−エミッタ電圧、スイッチング素子Q1のコレクタ−エミッタ電圧が変化したときのコンデンサC14、平滑コンデンサC15の電圧Vc14、Vc15の変化、およびコンデンサC14を流れる電流Ic14の変化を示す図である。
図9】スイッチング素子のミラー容量の等価回路を示す図である。
図10】従来のインバータ装置の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。
【0024】
図1に、本発明の一実施形態に係るゲート駆動回路の構成例を示す。図1(a)は、ゲート駆動電圧基準点に対する電圧変化点をゲートドライバの出力とした場合の構成例で、インバータなどのアーム下側のゲート駆動回路に適した構成である。図1(b)は、ゲート駆動電圧基準点に対する電圧変化点をスイッチング素子のコレクタ(ドレイン)とした場合の構成例で、アーム上側のゲート駆動回路に適した構成である。
【0025】
図1(a)の構成では、コンデンサC1とリアクトルL1とを直列接続した共振回路を、直接接続されたダイオードD1、D2の中点に接続する。ダイオードD2のカソードには、平滑コンデンサC2、定電圧素子ZD1が並列接続されている。コンデンサC2は、スイッチング素子Q1オフ時にゲート電荷を完全に抜くことができるよう、スイッチング素子Q1のゲート容量に対して十分大きな容量を有している。
【0026】
共振回路を構成するコンデンサC1はゲートドライバU1の出力端子およびスイッチング素子Q1のゲートに接続され、平滑コンデンサC2はスイッチング素子Q1のエミッタ又はソースに接続される。ゲートドライバU1のVB端子は、電源B1の正極側に接続され、ゲートドライバU1のVC端子は、電源B1の負極側、ダイオードD1、定電圧素子ZD1および平滑コンデンサC2に接続される。
【0027】
図1(a)の構成では、後述するように、ゲートドライバ電源B1とゲートドライバを利用してゲート駆動回路への電圧印加と短絡の切り換えを行う。ゲート駆動回路に電源B1から電圧が印加されると、電流が2つの経路間を振動しながら流れ、一方の経路中に位置する平滑コンデンサC2が充電される。ゲートドライバU1が切り替わってゲート駆動回路が短絡されると、電流が別の2つの経路間を振動しながら流れ、一方の経路中に位置する平滑コンデンサC2が充電される。スイッチング素子Q1がオフ時には、スイッチング素子Q1のゲートとエミッタとが平滑コンデンサC2を介して接続されるため、スイッチング素子Q1は負電圧でオフ駆動される。
【0028】
図1(b)の構成は、図1(a)のコンデンサC1が、スイッチング素子Q1のコレクタ又はドレインに接続されている点が図1(a)の構成と異なり、直流電源B2とスイッチング素子Q1を利用してゲート駆動回路への電圧印加と短絡の切り換えを行う。ゲート駆動回路に電源B2から電圧が印加されると、電流が2つの経路間を振動しながら流れ、一方の経路中に位置する平滑コンデンサC2が充電される。スイッチング素子Q1が切り替わってゲート駆動回路が短絡されると、電流が別の2つの経路間を振動しながら流れ、一方の経路中に位置する平滑コンデンサC2が充電される。スイッチング素子Q1がオフ時には、スイッチング素子Q1のゲートとエミッタとが平滑コンデンサC2を介して接続されるため、スイッチング素子Q1は負電圧でオフ駆動される。
【0029】
図2に、本発明のゲート駆動回路とブートストラップを組み合わせたインバータ装置の実施例を示す。アーム下側のゲートドライバU2とスイッチング素子Q2との間に図1(a)の構成のゲート駆動回路GD3を設け、アーム上側のゲートドライバU1、U3とスイッチング素子Q1、Q3との間に図1(b)の構成のゲート駆動回路GD1、GD2を設けている。尚、スイッチング素子Q4を負電圧駆動するための平滑コンデンサC12は、GD3の定電圧素子と並列接続されているため、GD3の平滑コンデンサと同様に充電される。
【0030】
ゲートドライバU1〜U4のゲートドライバ電源は、電源B1と電源B1によって充電されるコンデンサC1、C2、C7、C8からなり、アーム上側のコンデンサC1、C7はダイオードD1、D8を介して電源B1と接続され、ブートストラップを構成している。
【0031】
<動作の説明>
ここで、図1(a)のゲート駆動回路を例に動作の説明をする。
【0032】
図3に、本発明の一実施形態に係るゲート駆動回路に関してゲートドライバの出力がLowからHighに遷移したときの電流経路を示す。また、図4に、本発明の一実施形態に係るゲート駆動回路に関してゲートドライバの出力がHighからLowに遷移したときの電流経路を示す。
【0033】
さらに、図5に、本発明の一実施形態に係るゲート駆動回路においてゲートドライバ出力、ゲートドライバ出力が変化したときのコンデンサC1、平滑コンデンサC2の電圧Vc1、Vc2の変化、およびコンデンサC1を流れる電流Ic1の変化を示す。
【0034】
ゲートドライバの出力がLowからHighに遷移すると、図3に示す(1)の経路で電流が流れ始め、周期が
【0035】
【数2】
【0036】
である正弦波を描きながら電流は上昇し始める。電流Ic1は、電源B1の電圧をVb1、ダイオードD2の電圧降下をVd2とすると、最大値
【0037】
【数3】
【0038】
に達すると減少に転ずる。尚、最大電流点で電圧Vc1は(Vb1−Vd2−Vc2)と等しくなるが、電流が減じ始めても電流方向は変わらないため、電圧Vc1は上昇を続け、最大で電源B1の電圧Vb1の2倍近くまで達する。
【0039】
(1)の経路を流れる電流Ic1が最大値から減少を始めてゼロまで達すると、電圧Vc1は電圧Vb1より高い点にあるため、電源B1およびコンデンサC1を流れる電流の向きが反転して電流経路が(1)から(2)に切り替わり、電流Ic1は(2)の経路で正弦波を描きながら流れ始める。
【0040】
以後このサイクルが繰り返されるが、ダイオードD1、D2の電圧降下、平滑コンデンサC2の電圧分が電圧Vb1から減じられるので、電圧Vc1は減衰振動しながら(Vb1−Vd2−Vc2)の値に収束する。
【0041】
ゲートドライバU1の出力がLowからHighに遷移すると、図4に示す(3)の経路と(4)の経路とを電流が交互に流れ、電圧Vc1は減衰振動しながらゼロに収束する。
【0042】
(1)および(3)の経路の間は、平滑コンデンサC2には常にひとつの方向の電流が流れるので徐々に電圧Vc2は上昇して行き、電圧Vc2が定電圧素子ZD1の制御電圧に達すると、平滑コンデンサC2を流れていた電流は定電圧素子ZD1に流れ、最終的に電圧Vc2は一定電圧に維持される。
【0043】
次に、図1(b)のゲート駆動回路を例に動作の説明をする。
【0044】
図6に、本発明の一実施形態に係るゲート駆動回路に関してスイッチング素子Q5がオフ、スイッチング素子Q6がオンしたときの電流経路を示す。また、図7に、本発明の一実施形態に係るゲート駆動回路に関してスイッチング素子Q5がオン、スイッチング素子Q6がオフしたときの電流経路を示す。
【0045】
さらに、図8に、本発明の一実施形態に係るゲート駆動回路においてスイッチング素子Q1のコレクタ−エミッタ電圧、スイッチング素子Q1のコレクタ−エミッタ電圧が変化したときのコンデンサC14、平滑コンデンサC15の電圧Vc14、Vc15の変化、およびコンデンサC14を流れる電流Ic14の変化を示す。
【0046】
この例ではコンデンサC14とリアクトルL4とを直列接続した共振回路および平滑コンデンサC15に電流を流すための電源はB2となること、平滑コンデンサC15はコンデンサC14が放電するときに充電されること、スイッチング素子Q5、Q6を利用してゲート駆動回路への電圧印加と短絡の切り換えを行うことを除き、図1(a)に示したゲート駆動回路の説明と同様に動作する。
【0047】
スイッチング素子Q1がオンからオフに、スイッチング素子Q2がオフからオンに遷移すると、図6に示す(1)の経路で電流が流れ始め、周期が
【0048】
【数4】
【0049】
である正弦波を描きながら電流は上昇し始める。電流Ic14は、電源B2の電圧をVb2、ダイオードD4の電圧降下をVd4とすると、最大値
【0050】
【数5】
【0051】
に達すると減少に転ずる。
【0052】
(1)の経路を流れる電流Ic14が最大値から減少を始めてゼロまで達すると、電圧Vc14は電圧Vb2より高い点にあるため、電源B2およびコンデンサC14を流れる電流の向きが反転して電流経路が(1)から(2)に切り替わり、電流Ic14は(2)の経路で正弦波を描きながら流れ始める。
【0053】
以後このサイクルが繰り返され、電圧Vc14は減衰振動しながら(Vb2−Vd4−Vc15)の値に収束する。
【0054】
スイッチング素子Q1がオフからオンに、スイッチング素子Q2がオンからオフに遷移すると、図7に示す(3)の経路と(4)の経路とを電流が交互に流れ、電圧Vc14は減衰振動しながらゼロに収束する。
【0055】
(1)および(3)の経路の間は、平滑コンデンサC15には常にひとつの方向の電流が流れるので徐々に電圧Vc15は上昇して行き、電圧Vc15が定電圧素子ZD1の制御電圧に達すると、平滑コンデンサC15を流れていた電流は定電圧素子ZD1に流れ、最終的に電圧Vc15は一定電圧に維持される。
【0056】
このようにして本発明は、ゲートドライバ駆動用電源の数を減らし、かつ、ゲート駆動回路を流れる最大電流を抑制しながらスイッチング素子を負電圧駆動するための平滑コンデンサを充電することを可能にしている。
【符号の説明】
【0057】
U ゲートドライバ
Q スイッチング素子
V 直流電源
C コンデンサ
L リアクトル
D ダイオード
ZD 定電圧素子
R 抵抗
GD ゲート駆動回路
【要約】
【課題】共振回路を介して充電される平滑コンデンサを用いて、スイッチング素子をゲート駆動電圧基準点に対して負電圧でオフするゲート駆動回路およびインバータ装置を提供すること。
【解決手段】ゲートトライバ電源B1とゲートドライバを利用してゲート駆動回路への電圧印加と短絡の切り換えを行う。ゲート駆動回路に電源B1から電圧が印加されると、電流が2つの経路間を振動しながら流れ、一方の経路中に位置する平滑コンデンサC2が充電される。ゲートドライバU1が切り替わってゲート駆動回路が短絡されると、電流が別の2つの経路間を振動しながら流れ、一方の経路中に位置する平滑コンデンサC2が充電される。スイッチング素子Q1がオフ時には、スイッチング素子Q1のゲートとエミッタとが平滑コンデンサC2を介して接続されるため、スイッチング素子Q1は負電圧でオフ駆動される。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10