特許第5955446号(P5955446)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ パナソニック インテレクチュアル プロパティ コーポレーション オブ アメリカの特許一覧

<>
  • 特許5955446-入力装置、入力支援方法及びプログラム 図000002
  • 特許5955446-入力装置、入力支援方法及びプログラム 図000003
  • 特許5955446-入力装置、入力支援方法及びプログラム 図000004
  • 特許5955446-入力装置、入力支援方法及びプログラム 図000005
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5955446
(24)【登録日】2016年6月24日
(45)【発行日】2016年7月20日
(54)【発明の名称】入力装置、入力支援方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/0481 20130101AFI20160707BHJP
   G06F 3/0485 20130101ALI20160707BHJP
   G06F 3/0488 20130101ALI20160707BHJP
【FI】
   G06F3/0481 170
   G06F3/0485
   G06F3/0488
【請求項の数】9
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-228835(P2015-228835)
(22)【出願日】2015年11月24日
(62)【分割の表示】特願2015-2397(P2015-2397)の分割
【原出願日】2013年3月5日
(65)【公開番号】特開2016-42381(P2016-42381A)
(43)【公開日】2016年3月31日
【審査請求日】2015年11月24日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】514136668
【氏名又は名称】パナソニック インテレクチュアル プロパティ コーポレーション オブ アメリカ
【氏名又は名称原語表記】Panasonic Intellectual Property Corporation of America
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】特許業務法人栄光特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高島 深志
【審査官】 佐藤 匡
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−008827(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/035229(WO,A1)
【文献】 特開2013−218428(JP,A)
【文献】 特開2012−58910(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/0481
G06F 3/0485
G06F 3/0488
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定のアイコンを含む画面を表示可能である表示部と、
前記表示部に形成され、操作の受付が可能である入力部と、を備え、
前記表示部が第1画面を表示している状態において、前記入力部が第1の操作を受けた場合、前記表示部前記第1画面をスクロールしたように描画して、前記第1画面を前記表示部の一端より第1の量離れた位置に配置した第2画面を表示し、
前記表示部が前記第2画面を表示している状態において、前記入力部第2の操作を受けた場合前記第1画面を前記表示部の前記一端より第2の量離れた位置に配置した第3画面を表示し
前記表示部が前記第画面を表示している状態において、前記所定のアイコンに係る第3の操作を、前記入力部受けた場合、前記所定のアイコンに対応する機能を実行するとともに
前記表示部が前記第3画面を表示している状態において、前記入力部が第4の操作を受けた場合常に、前記表示部が、前記第3画面内の前記第1画面をスクロールしたように描画して前記第1画面を表示している前記状態に戻る、
入力装置。
【請求項2】
請求項1に記載の入力装置であって、
前記第2の操作は、スクロール操作である、
入力装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の入力装置であって、
前記第3の操作は、前記所定のアイコンに対するタップ操作である、
入力装置。
【請求項4】
所定のアイコンを含む画面を表示可能である表示部と、
前記表示部に形成され、操作の受付が可能である入力部と、を備える入力装置で利用可能な入力支援方法であって、
前記表示部が第1画面を表示している状態において、前記入力部が第1の操作を受けた場合、前記表示部前記第1画面をスクロールしたように描画して、前記第1画面を前記表示部の一端より第1の量離れた位置に配置した第2画面を表示し、
前記表示部が前記第2画面を表示している状態において、前記入力部対する第2の操作を受けた場合前記第1画面を前記表示部の前記一端より第2の量離れた位置に配置した第3画面を表示し
前記表示部が前記第画面を表示している状態において、前記所定のアイコンに係る第3の操作を、前記入力部に受けた場合、前記所定のアイコンに対応する機能を実行するとともに
前記表示部が前記第3画面を表示している状態において、前記入力部が第4の操作を受けた場合常に、前記表示部が、前記第3画面内の前記第1画面をスクロールしたように描画して前記第1画面を表示している前記状態に戻る、
入力支援方法。
【請求項5】
請求項4に記載の入力支援方法であって、
前記第2の操作は、スクロール操作である、
入力支援方法。
【請求項6】
請求項4又は請求項5に記載の入力支援方法であって、
前記第3の操作は、前記所定のアイコンに対するタップ操作である、
入力支援方法。
【請求項7】
所定のアイコンを含む画面を表示可能である表示部と、
前記表示部に形成され、操作の受付が可能である入力部と、を備えるコンピュータに、
前記表示部が第1画面を表示している状態において、前記入力部が第1の操作を受けた場合、前記表示部前記第1画面をスクロールしたように描画して、前記第1画面を前記表示部の一端より所定の量離れた位置に配置した第2画面を表示し、
前記表示部が前記第2画面を表示している状態において、前記入力部に対する第2の操作を受けた場合前記第1画面を前記表示部の前記一端より第2の量離れた位置に配置した第3画面を表示し
前記表示部が前記第画面を表示している状態において、前記所定のアイコンに係る第3の操作を、前記入力部に受けた場合、前記所定のアイコンに対応する機能を実行するとともに
前記表示部が前記第3画面を表示している状態において、前記入力部が第4の操作を受けた場合常に、前記表示部が、前記第3画面内の前記第1画面をスクロールしたように描画して前記第1画面を表示している前記状態に戻る、
動作を実現させるプログラム。
【請求項8】
請求項7に記載のプログラムであって、
前記第2の操作は、スクロール操作である、
プログラム。
【請求項9】
請求項7又は請求項8に記載のプログラムであって、
前記第3の操作は、前記所定のアイコンに対するタップ操作である、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タッチパネルを介した入力操作を受け付ける入力装置、入力支援方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、タッチパネルを搭載した電子機器が増えている。ユーザにとって直感的な操作が可能なタッチパネルは、電子機器の入力操作を受け付けるデバイスとして、広く用いられている。タッチパネルは、電子機器に設けられた表示部(例えばLCD(Liquid Crystal Display)又は有機EL(Electroluminescence)ディスプレイ)の画面に対する入力操作の受け付けと、入力操作に対する電子機器の処理結果の表示とを同一の画面内において行うことを可能にする。
【0003】
そして、そのタッチパネルを装置筐体の前面に設けた多機能携帯電話端末、いわゆるスマートフォンも広く知られている。スマートフォンは、電話機能に加え、無線を介してインターネットに接続して情報を取得するなどパーソナルコンピュータとしての機能も有している。使い方としては、ユーザがスマートフォンの装置筐体を一方の手で支え、他方の手の指でタッチパネルより入力操作を行うのが一般的であるが、片手操作のニーズも高い。すなわち、親指を除く四本の指と手の平でスマートフォンの装置筐体を支え、残る親指によって入力操作を行うことで、片手のみでの操作が可能となる。
【0004】
しかしながら、この片手操作を行う際には、通常、タッチパネル下方部の背面を支えて親指で操作を行うことから、タッチパルの上方部に対しては、親指が届かず、入力操作を行うことが困難である。特に、タッチパネルが大画面化すればする程、この操作はますます困難となる。そこで、よく知られた技術であるが、タッチパネルに表示された画面をスクロール操作により上下に動く構成とし、タッチパネル上方部の画面を下方に移動させることで、入力操作を容易にすることができる。このスクロール操作については、例えば特許文献1に示されている。
【0005】
特許文献1には、指がオブジェクトにフリック操作したと判定した場合には、フリック操作の方向にスクロールを実行する電子機器が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2012−14524号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、スマートフォン上で動作する全てのアプリケーション画面にて、スクロール可能にするためには、アプリケーションが保有する全ての画面表示について、上下方向にスクロール操作を行えるように設計する必要があることから、アプリケーション開発の負荷を上げ、結果として装置の製造コストの上昇をもたらす、という課題があった。また一般的なスマートフォンは、第三者が作成したアプリケーションのダウンロードとインストールを可能にする機能を保有しており、そういった第三者が作成したアプリケーションにまで全ての画面をスクロール可能なように実装させることは困難である。
【0008】
本発明は、上述した従来の課題を解決するために、簡易な装置構成により、容易にタッチパネルの画面を一方に移動させることができる入力装置、入力方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の入力装置は、所定のアイコンを含む画面を表示可能である表示部と、前記表示部に形成され、操作の受付が可能である入力部と、を備え、前記表示部が第1画面を表示している状態において、前記入力部が第1の操作を受けた場合、前記表示部が、前記第1画面をスクロールしたように描画して、前記第1画面を前記表示部の一端より第1の量離れた位置に配置した第2画面を表示し、前記表示部が前記第2画面を表示している状態において、前記入力部が第2の操作を受けた場合、前記第1画面を前記表示部の前記一端より第2の量離れた位置に配置した第3画面を表示し、前記表示部が前記第3画面を表示している状態において、前記所定のアイコンに係る第3の操作を、前記入力部が受けた場合、前記所定のアイコンに対応する機能を実行するとともに、前記表示部が前記第3画面を表示している状態において、前記入力部が第4の操作を受けた場合常に、前記表示部が、前記第3画面内の前記第1画面をスクロールしたように描画して前記第1画面を表示している前記状態に戻る。
【0010】
また、本発明の入力支援方法は、所定のアイコンを含む画面を表示可能である表示部と、前記表示部に形成され、操作の受付が可能である入力部と、を備える入力装置で利用可能な入力支援方法であって、前記表示部が第1画面を表示している状態において、前記入力部が第1の操作を受けた場合、前記表示部が、前記第1画面をスクロールしたように描画して、前記第1画面を前記表示部の一端より第1の量離れた位置に配置した第2画面を表示し、前記表示部が前記第2画面を表示している状態において、前記入力部が対する第2の操作を受けた場合、前記第1画面を前記表示部の前記一端より第2の量離れた位置に配置した第3画面を表示し、前記表示部が前記第3画面を表示している状態において、前記所定のアイコンに係る第3の操作を、前記入力部に受けた場合、前記所定のアイコンに対応する機能を実行するとともに、前記表示部が前記第3画面を表示している状態において、前記入力部が第4の操作を受けた場合常に、前記表示部が、前記第3画面内の前記第1画面をスクロールしたように描画して前記第1画面を表示している前記状態に戻る。
【0011】
また、本発明のプログラムは、所定のアイコンを含む画面を表示可能である表示部と、前記表示部に形成され、操作の受付が可能である入力部と、を備えるコンピュータに、前記表示部が第1画面を表示している状態において、前記入力部が第1の操作を受けた場合、前記表示部が、前記第1画面をスクロールしたように描画して、前記第1画面を前記表示部の一端より所定の量離れた位置に配置した第2画面を表示し、前記表示部が前記第2画面を表示している状態において、前記入力部に対する第2の操作を受けた場合、前記第1画面を前記表示部の前記一端より第2の量離れた位置に配置した第3画面を表示し、前記表示部が前記第3画面を表示している状態において、前記所定のアイコンに係る第3の操作を、前記入力部に受けた場合、前記所定のアイコンに対応する機能を実行するとともに、前記表示部が前記第3画面を表示している状態において、前記入力部が第4の操作を受けた場合常に、前記表示部が、前記第3画面内の前記第1画面をスクロールしたように描画して前記第1画面を表示している前記状態に戻る。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、スマートフォンに代表される電子機器の片手操作が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】実施形態におけるスマートフォンの画面表示の推移を示す説明図
図2】実施形態におけるスマートフォンの機能的構成を示すブロック図
図3】実施形態におけるスマートフォンの動作を説明するフローチャート
図4図1に示す画面表示の推移の詳細な説明図
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明に係る入力装置、入力支援方法及びプログラムの実施形態について、図面を参照して説明する。本実施形態の入力装置は、データを画面に表示する表示部を含む電子機器であり、例えば携帯電話機、スマートフォン、タブレット端末、デジタルスチルカメラ、PDA(personal digital assistant)又は電子書籍端末である。以下、実施形態の入力装置の一例として、スマートフォンを用いて説明する。
【0015】
なお、本発明は、装置としての入力装置、又は入力装置をコンピュータとして動作させるためのプログラムとして表現することも可能である。更に、本発明は、入力装置により実行される各動作(ステップ)を有する入力支援方法として表現することも可能である。即ち、本発明は、装置、方法及びプログラムのうちいずれのカテゴリーにおいても表現可能である。
【0016】
以下の説明において、タッチパネルに接触(近接も含む。以下、同じ。)する物体(指示媒体)の一例としてユーザの親指を用いて説明するが、指に限らず、導電性のスタイラスでも良い。タッチパネルに接触する物体は、タッチパネルの構造及び検知方式に応じて、タッチパネルへの接触が検出可能なものであれば限定されない。
【0017】
また、「タップ」とは、タッチパネルを指示媒体で軽く叩く動作であって、装置側においては、予め定められた短い時間の接触により「タップ」と判断する。
【0018】
また、タッチパネルの水平面を表す2軸をx軸及びy軸とし、「接触座標」は、タッチパネルが指の接触を検知した時のタッチパネルの水平面上の位置を特定するための座標(x、y)を示す。
【0019】
さらに、以下の説明において、タッチパネルの面上に表示されている画像をそのままコピーして保持する処理を「キャプチャ処理」と定義する。
【0020】
先ず、本発明の一実施形態のスマートフォンの動作について、図1を参照して説明する。図1は、スマートフォンの前面に設けられたタッチパネル兼表示画面(以下、タッチパネルという)1における画面表示の推移を示す説明図である。
【0021】
図1(a)は、タッチパネル1の初期画面であって、画面の上部には4つのアイコン2が表示されている。このアイコン2には、ユーザが指で接触することにより、アイコン2各々に関連付けられたアプリケーションを起動させる役割がある。そして、この初期画面の下部には、初期画面を引き下げて表示することを指示するマーク3が表示されている。
【0022】
図1(a)の初期画面に対して、ユーザが指(例えば親指)FGで、マーク3に接触をすると、図1(b)に示すように、初期画面は、タッチパネル1の下部に向けて一定量引き下げられて表示される。これにより、ユーザは、例えば片手操作を行う際、親指が届かない画面上部に位置していたアイコン2に対して接触することが可能になる。
【0023】
図1(c)は、図1(b)に示す一定量引き下げられた初期画面に対し、指FGを画面に接触させたまま上下動させることで、初期画面のスクロール操作を行えることを示している。なお、このスクロール操作は、画面位置の微修正を行うためのものであって、必ずしも行う必要はない。
【0024】
次に、ユーザは、図1(d)に示すように、指FGにより所望のアイコン2をタップする。タップされたアイコン2上には、接触したことを示すポインタ(例えば円)を、図1(e)に示すように表示する。この表示により、ユーザは、所望のアイコン2に対してタップできたかを確認することができる。なお、本実施形態では、タップしたアイコン2に対してポインタを表示させているが、この表示はポインタに限られるものではなく、タップしたことをユーザが認識できる表示であればよい。
【0025】
その後、図1(f)に示すように、初期画面はタッチパネル1の上端にまで引き上げられる。そして、図1(g)に示すように、指FGによりタップされたアイコン2が選択されたと判断され、選択されたアイコン2に割り当てられた機能が実行されることになる。
【0026】
以上が、本発明の実施形態におけるタッチパネル1の表示動作の推移であるが、以下にこの表示動作を行うための具体的な構成について説明する。
【0027】
図2は、本発明の一実施形態であるスマートフォン100の構成を示すブロック図であり、1は、タッチパネルであり、より詳細には、タッチパネル等の入力部101とディスプレイ等の表示部102から構成されている。なお、本実施形態では、入力部101と表示部102とを一体に形成しているが、必ずしも両者は完全に一体である必要は無く、例えば入力部の一部を、スマートフォン100の筐体に設けられた物理キーで形成してもよい。
【0028】
103は、座標変換部であり、キャプチャ処理した画面(後述)に対して指FGが接触した位置座標(x、y)を、元の画面の位置座標(x、y)に変換する。104は、メモリであり、指FGが接触した位置座標、及びずれ量(後述)を保持する。
【0029】
105は、制御部であり、例えばCPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)又はDSP(Digital Signal Processor)を用いて構成され、入力部101、表示部102、座標変換部103、及びメモリ104の各部を制御し、後述する実施形態における様々な処理を行う。
【0030】
次に、本実施形態のスマートフォン100の動作概要を、図3及び図4を用いて説明する。図3は、本実施形態の動作を説明するフローチャートであり、ユーザの指FGにより入力部1から入力を行った場合のスマートフォン100の動作を示す。図4は、図1に示した画面表示の推移をより詳細に示す説明図である。
【0031】
まず、制御部105は、ユーザの指FGが入力部101に接触したか否か、すなわち入力操作があったか否かを検出している(ST1)。ここで、入力操作が無いと判断すれば、引き続き入力操作の検出を継続する。入力操作があったと判断すれば、次に、図1(b)〜(f)示した、画面を引き下げて入力を行う機能(以下、本機能という)が作動中であるか否かを判断する。
【0032】
本機能が作動中ではないと判断(ST2でnoと判断)、言い換えれば、タッチパネル1が図1(b)〜(f)のいずれの状態にもないと判断すれば、当該入力操作が本機能を呼び出すものか否かを判断する(ST3)。具体的には、画面の下部に表示されているマーク3(図1(a)参照)に対してユーザの指FGが接触したか否かを判断する。なお、本実施形態では、マーク3への接触の有無により判断を行っているが、スマートフォン1の筐体上に設けられた物理キーの押下の有無や、指FGによる所定の動きの有無により判断を行う構成としてもよい。
【0033】
入力操作が本機能を呼び出すものではないと判断されれば(ST3でnoと判断)、ST1に戻り、新たな入力操作があったか否かを検出する。
【0034】
入力操作が本機能を呼び出すものであると判断されれば(ST3でyesと判断)、次にキャプチャ処理を行う(ST4)。ここで、図4を用いて、キャプチャ処理について説明する。キャプチャ処理とは、上述したように、タッチパネル1の面上に表示されている画像をそのままコピーして保持する処理であって、図4(a)のマーク3に対して入力操作が行われたとすると、この入力操作がなされた画面A(図1において初期画面として説明した画面)上の画像をその座標位置とともに全てコピーして保持する処理をいう。
【0035】
キャプチャ処理を行った(ST4)後には、画面生成を行う(ST5)。この画面生成とは、ST4でのキャプチャ処理にて保持した画像を、別画面に描画ことである。すなわち、図4(b)に示すように、画面Aとは別に新たな画面Bを生成し、この画面B上に、ST4のキャプチャ処理にて保持した画像を描画する。なお、新たに生成された画面Bは、画面Aと全く同じ表示の画面ではあるものの、単にキャプチャ処理にて保持した画像を描画しただけのものであることから、画面Aのようにアプリケーションが保有する画面ではない。
【0036】
画面生成を行った(ST5)後には、この新たに生成した画面を表示する(ST6)。より詳細には、新たに生成した画面Bは、図4(b)に示すように、まず、元の画面Aに代わってタッチパネル1に表示される。すなわち、画面Aは画面Bに隠され、画面Aは表示部2に表示されなくなる。
【0037】
次に、図4(c)に示すように、画面Bを一定距離αだけ、タッチパネル1の下方にスクロールしたように描画して表示する。画面Bを下方にスクロールしたように描画する際には、一定距離α分だけ空白部分が生じるが、本実施形態ではこの空白部分をブラック表示している。なお、この空白部分はブラック表示以外であってもかまわないが、画面Aの一部分でも表示されると、ユーザに対して画面Bとの混同を生じさせてしまうことから、画面Aが一切表示されない形態であることが望ましい。新たな画面Bの表示がなされた(ST6)後は、ST1に戻り、新たな入力操作があったか否かを検出する。
【0038】
次に、入力操作があったと判断(ST1でyesと判断)され、本機能が作動中であると判断(ST2でyesと判断)された場合について説明する。
【0039】
本機能が作動中であると判断(ST2でyesと判断)されると、まず、入力操作が本機能を終了させるものであるか否かの判断を行う(ST7)。本機能を終了させる入力操作とは、例えば、図示しないストップキーの押下等であって、この入力操作であると判断すると(ST7でyesと判断)、キャプチャ処理により作成された新たな画面Bを破棄し(ST8)、その後、ST1に戻り、新たな入力操作があったか否かを検出する。
【0040】
入力操作が本機能を終了させるものでないと判断すると(ST7でnoと判断)、次に、入力操作が画面をスクロールするものか否かを判断する(ST9)。ここでいうスクロールとは、図1(c)に示したように、画面位置の微修正を行うためのものである。なお、このスクロールにより画面Bの空白部分は、その領域を変化させる。また、画面をスクロールさせる入力操作とは、図4(d)に示すように、タッチパネル1の下方に引き下げられて描画された画面Bに対し、ユーザが指FGを接触させて上または下に移動させる動作である。
【0041】
入力操作が画面をスクロールするものであると判断すると(ST9でyesと判断)、指FGの移動量だけ画面Bを移動させ(ST10)、その後、ST1に戻り、新たな入力操作があったか否かを検出する。
【0042】
入力操作が画面をスクロールするものでないと判断すると(ST9でnoと判断)、次に、入力操作がタップであるか否かを判断する(ST11)。入力操作がタップでないと判断すると(ST11でnoと判断)、ST1に戻り、新たな入力操作があったか否かを検出する。
【0043】
一方、入力操作がタップであると判断すると(ST11でyesと判断)、タップした画面B上の位置にポインタを描画する(ST12)。そして、同時に、そのタップした画面B上の位置を接触座標として、メモリ104に保持する。
【0044】
次に、画面Bにおける空白部分のy軸方向の距離をずれ量βとして、メモリ104に保持する(ST13)。
【0045】
すなわち、本実施形態では、図4(e)及び(f)に示すように、画面B上をユーザがタップすると、そのタップされた画面位置に丸印のポインタを表示するとともに、その画面位置を接触座標として、ずれ量βとともにメモリ104に保持することになる。
【0046】
ずれ量βを保持した(ST13)後は、図4(g)に示すように、画面Bをずれ量β分だけタッチパネル1上端までスクロールしたように描画して表示する(ST14)。そして、画面Bがタッチパネル1上端までスクロールされた描画を表示し終わった段階で、キャプチャ処理により生成した画面Bを破棄する(ST15)。この時点で画面Bはタッチパネル1表示されなくなり、図4(h)に示すように、代わりに元々の表示画面であった画面Aが表示される。なお、図4(g)に示すように、画面Bを一旦タッチパネル1上端までスクロールしたように描画して表示するのは、いきなり画面が変化してユーザに違和感を感じさせないようにするためである。
【0047】
最後に、制御部105は、メモリ104に格納されている、タップされた接触座標と、ずれ量βを読み出して座標変換部103に入力する。座標変換部103は、入力された接触座標のうちx軸座標についてはそのまま、y軸座標については、ずれ量βを加えて入力部101に出力する。入力部101は、その入力された座標を画面Aに対してタップされた座標として制御部105に出力する。
【0048】
制御部105は、その座標変換した接触座標に対してタップが行われたと判断し、その接触座標にアイコン2が存在していれば、図4(h)に示すように、アイコン2の反転表示を表示部102に行わせるとともに、接触座標に位置するアイコン2に割り付けられた機能を実行する(ST16)。そして、その機能の実行が終了した後には、ST1に戻り、新たな入力操作があったか否かを検出する。
【0049】
以上、詳細に説明したように、本実施形態においては、キャプチャ処理(ST4)をすることで新たな画面を生成(ST5)し、この新たに生成された画面に対して、タッチパネル1の下方へのスクロール表示(ST6)、画面位置調整のためのスクロール表示(ST10)、タッチパネル1の上方へのスクロール表示(ST14)を行わせるとともに、新たに生成された画面に対する接触座標を変換して擬似的なタップ処理(ST16)を行っている。
【0050】
そのため、この制御部105による一連の制御は、アプリケーションが保有する画面を制御する場合に比べると、キャプチャ機能と擬似的なタップ処理を実現する仕組みさえ設ければよいため、スマートフォン等に用いられているオペレーティングシステム(Operating System, OS)に手を加える必要も最小限にとどめられ、簡易なプログラミングで実現することが可能である。すなわち、本実施形態によれば、アプリケーション毎に実装を行わずとも、さらに第三者が作成したいかなるアプリケーションであっても、画面下部までスクロールさせることが可能となる。
【0051】
なお、本実施形態においては、キャプチャ処理により生成された画面をタッチパネルの下方に一定量引き下げる構成としているが、例えばタッチパネルの横方向に一定量移動させる構成でもよい。これにより、例えばスマートフォンを縦長ではなく横長に配置して使用した際に、利き腕の方向に画面を寄せることが可能となる。
【0052】
また、本発明はかかる実施形態に限定されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、実施の形態の変更例または修正例、更に各種実施の形態の組み合わせ例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本発明は、ディスプレイ機能を有するタッチパネルを介して入力操作を受け付ける入力装置、入力支援方法及びプログラムとして有用である。
【符号の説明】
【0054】
1 タッチパネル
2 アイコン
3 マーク
100 スマートフォン
101 入力部
102 表示部
103 座標変換部
104 メモリ
105 制御部
図1
図2
図3
図4