(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
請求項1記載の光コネクタ用清掃具において、前記押圧部材における前記後退方向の端部には、前記清掃ヘッドと前記巻取用ボビンとの間で前記清掃布に接触して清掃布の移動方向を変えるガイドが設けられ、
前記ガイドは、前記押圧部材が後退することにより前記清掃布を前記巻取用ボビンの近傍で前記後退方向に引くものであることを特徴とする光コネクタ用清掃具。
請求項1記載の光コネクタ用清掃具において、前記押圧部材の先端部には、光コネクタプラグ用接続部が一端側に設けられるとともに清掃具用接続部が他端側に設けられたキャップの前記清掃具用接続部に接続されるヘッドカバーが設けられ、
前記キャップの前記光コネクタプラグ用接続部には、光コネクタプラグの両側部に係止されて前記キャップに対する光コネクタプラグの上下方向および左右方向への位置決めと、前記突出方向と平行な方向への外れ止めを行う光コネクタプラグ用係止片が設けられ、
前記キャップの前記清掃具用接続部には、前記ヘッドカバーの両側部に係止されて前記ヘッドカバーに対する前記キャップの上下方向および左右方向への位置決めと、前記突出方向と平行な方向への外れ止めとを行う清掃具用係止片が設けられ、
前記清掃具用係止片は、前記キャップの端面が前記ヘッドカバーの突き当て面に当接した状態で前記ヘッドカバー側面の突起を乗り越えて係止されるものであることを特徴とする光コネクタ用清掃具。
請求項1記載の光コネクタ用清掃具において、前記押圧部材の先端部には、光コネクタプラグ用接続部が一端側に設けられるとともに清掃具用接続部が他端側に設けられたキャップの前記清掃具用接続部に接続されるヘッドカバーが設けられ、
前記キャップの前記光コネクタプラグ用接続部には、光コネクタプラグの両側部に係止されて前記キャップに対する光コネクタプラグの上下方向および左右方向への位置決めと、前記突出方向と平行な方向への外れ止めとを行う光コネクタプラグ用係止片が設けられ、
前記キャップの前記清掃具用接続部には、前記ヘッドカバーの両側部に係止されて前記ヘッドカバーに対する前記キャップの上下方向および左右方向への位置決めと、前記突出方向と平行な方向への外れ止めとを行う清掃具用係止片が設けられ、
前記光コネクタプラグ用係止片は、前記光コネクタプラグが接続される光コネクタアダプタに設けられている光コネクタプラグ用係止片と長さが等しくなるように形成され、
前記清掃具用係止片は、前記光コネクタプラグ用係止片より長く形成されていることを特徴とする光コネクタ用清掃具。
請求項1記載の光コネクタ用清掃具において、前記押圧部材の先端部には、光コネクタプラグ用接続部が一端側に設けられるとともに清掃具用接続部が他端側に設けられたキャップの前記清掃具用接続部に接続されるヘッドカバーが設けられ、
前記キャップの前記光コネクタプラグ用接続部には、光コネクタプラグの両側部に係止されて前記キャップに対する光コネクタプラグの上下方向および左右方向への位置決めと、前記突出方向と平行な方向への外れ止めとを行う光コネクタプラグ用係止片が設けられ、
前記キャップの前記清掃具用接続部には、前記ヘッドカバーの両側部に係止されて前記ヘッドカバーに対する前記キャップの上下方向および左右方向への位置決めと、前記突出方向と平行な方向への外れ止めとを行う清掃具用係止片が設けられ、
前記ヘッドカバーには、前記キャップの端面と当接して前記突出方向と平行な方向への位置決めを行う第1の突き当て面と、この第1の突き当て面よりヘッドカバーの先端側に位置し、前記光コネクタプラグが接続される光コネクタアダプタの端面と当接して前記突出方向と平行な方向への位置決めを行う第2の突き当て面とが形成されていることを特徴とする光コネクタ用清掃具。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明に係る光コネクタ用清掃具の一実施の形態を
図1〜
図26によって詳細に説明する。
図1に示す光コネクタ用清掃具1は、同図において左側に位置する把持部2を作業者(図示せず)が手で把持し、同図において右側の端部に露出している清掃布3を光コネクタプラグ(図示せず)の結合端面に押し付けてこの結合端面を清掃するものである。この実施の形態においては、光コネクタプラグを指向する方向を前方(
図1においては右斜め下方)といい、これとは反対方向を後方という。また、後述する各部材を説明するにあたって、上述した前方に位置する部位を指す場合は前部あるいは前側と表現し、後方に位置する部位を指す場合は後部あるいは後側と表現する。
【0013】
この光コネクタ用清掃具1が清掃の対象とする光コネクタプラグは、図示してはいないが、電子機器の光ファイバケーブル接続口の中に既に装着されているものと、電子機器に装着されていない単体のものとがある。この光コネクタ用清掃具1は、前記光ファイバケーブル接続口の奥に位置している光コネクタプラグを清掃できるように、前記把持部2から前方に向けて突出するノーズ部4を備えている。清掃布3は、前記ノーズ部4の前端部に露出している押圧部材5に保持されてノーズ部4の前端に位置している。
【0014】
この光コネクタ用清掃具1によって単体の光コネクタプラグを清掃する場合は、
図2に示すように、前記押圧部材5の前端部にキャップ6を取り付けて行う。キャップ6は、詳細は後述するが、押圧部材5に取り付けられた状態で単体の光コネクタプラグを取付けることができるように形成されている。
【0015】
前記把持部2は、この光コネクタ用清掃具1の筐体7によって構成されている。前記ノーズ部4は、筐体7の前端部に形成された角筒部7aと、この角筒部7aから前方に突出する押圧部材5の前端部とによって構成されている。
前記筐体7は、この光コネクタ用清掃具1の後述する清掃布3や押圧部材5などの構成部品を収納するためのものである。この筐体7は、
図3に示すように、同図において右側に位置する右半部8と、同図において左側に位置する左半部9とによって2分割可能に形成されている。
【0016】
前記清掃布3は、細長い帯状に形成され、
図3に示すように、所定の長さだけ供給用リール11に巻き付けられている。清掃布3は、帯状のものに限定されることはなく、例えば、糸状の清掃布や、糸状の清掃布を複数束ねたものであってもよい。
この清掃布3の先端部は、巻取用ボビン12に取り付けられている。この清掃布3における供給用リール11と巻取用ボビン12との間の部位は、前端に清掃ヘッド13を有する押圧部材5によって前方へ押され、前記角筒部7aを通して筐体7から前方に突出させられている。
【0017】
この清掃布3は、後述する押圧部材5に沿うように形成された清掃布通路14(
図4参照)に通されている。清掃布3は、前記巻取用ボビン12が回転してこの巻取用ボビン12に清掃布3の先端部が巻き取られることによって、供給用リール11から引き出される。この実施の形態においては、帯状の清掃布3の幅方向を以下においては単に左右方向という。また、この実施の形態においては、前記前後方向と、前記左右方向との両方と直交する方向(
図4においては上下方向)を便宜上、上下方向という。
【0018】
前記供給用リール11は、前記筐体7の右半部8の後部に左右方向に延びるように設けられた第1の支軸15に回転自在に支持されている。第1の支軸15は、供給用リール11の軸心部分を貫通している。筐体7の右半部8と左半部9とにおける供給用リール11を収容する部分には、
図3および
図5に示すように、隔壁16,17が設けられている。この隔壁16,17は、供給用リール11を囲むように側方視において円弧状に形成されている。
【0019】
筐体7の右半部8に形成されている隔壁16と、筐体7の左半部9に形成されている隔壁17とは、右半部8に左半部9が組み合わせられることによって互いに突き合わされて接続される。このため、供給用リール11に巻かれた清掃布3は、筐体7内で隔壁16,17によって他の部分から隔離される。清掃布3は、隔壁16,17の一端に設けられたガイドピン18(
図4参照)と、筐体7の底壁19との間に形成された隙間を通して隔壁16,17の内側から前方に引き出されている。
左半部9の後部には、清掃布3の残量を視認するための窓9aが設けられている。この窓9aは、透明なプラスチック製の板によって形成されている。窓を設ける代わりに筐体7の少なくとも左半部9を透明材料で形成してもよい。
【0020】
前記巻取用ボビン12は、前記把持部2の前部に左右方向に延びるように設けられた第2の支軸21に回転自在に支持されている。前記第2の支軸21は、巻取用ボビン12の軸心部分を貫通している。
供給用リール11と巻取用ボビン12は、
図3に示すように、それぞれ円板状のガイド部11a,12aと、このガイド部11a,12aの軸心部に同一軸線上に位置するように設けられた芯部11b,12bとによって構成されている。
【0021】
清掃布3は、前記芯部11b,12bに巻き付けられている。これらの芯部11b,12bに巻付けられた清掃布3は、前記ガイド部11a,12aと、筐体7の左半部9とによって幅方向への移動が規制された状態で筐体7内に収容されている。
供給用リール11の芯部11bにおける筐体7の右半部8と対向する部位には、
図5および
図6に示すように、爪片22が設けられている。この爪片22は、筐体7の右半部8に形成されている多数の爪23(
図3参照)と協働して供給用リール11側の逆回転防止機構24を構成するものである。この爪式の一方向クラッチからなる逆回転防止機構24は、供給用リール11の回転方向を一方向のみに規制する。供給用リール11の回転が許容される方向は、清掃布3が引き出される方向である。清掃布3が引き出されるときに供給用リール11が回転する方向は、
図3においては反時計方向である。
【0022】
前記巻取用ボビン12の芯部12bにおける筐体7の左半部9と対向する部位には、
図3に示すように、爪片25が設けられている。この爪片25は、前記左半部9に形成されている多数の爪26(
図5参照)と協働して巻取ボビン側の逆回転防止機27を構成するものである。この爪式の一方向クラッチからなる逆回転防止機構27は、巻取用ボビン12の回転方向を一方向のみに規制する。巻取用ボビン12の回転が許容される方向は、清掃布3が巻き取られる方向で、
図3においては時計方向である。
【0023】
巻取用ボビン12の芯部12bの外周部分には、
図7に示すように、凹部28が形成されている。この凹部28の中には、清掃布3の先端部を掛けるためのピン29が立てられている。このピン29は、ガイド部12aから巻取用ボビン12の軸線と平行に左方向に延びている。清掃布3の先端部には、粘着剤(図示せず)が予め塗布されている。この粘着剤は、供給用リール部を製造してから組立までに清掃布3が供給用リール11に巻き付けられた後に緩むことを防ぐためのものである。この粘着剤は、清掃布3の内面3a(
図3参照)に塗布されている。ここでいう内面3aとは、供給用リール11に巻き付けられた状態で軸心側を指向する面である。なお、粘着剤の代わりに粘着テープを用い、清掃布3の外面3bに貼り付け、粘着テープの粘着面が清掃布内面3aの延長上に位置するようにしてもよい。
【0024】
清掃布3を後述する押圧部材5に沿うように供給用リール11から引き出し、清掃布3の先端部を巻取用ボビン12に巻かれ易いように導くと、
図7中に二点鎖線で示すように、清掃布3の外面3bが巻取用ボビン12の芯部12bと対向するようになる。このような状態では、清掃布3の先端部を粘着剤によって芯部12bの外周面に接着することはできない。この実施の形態による清掃布3の前端部は、
図7中に実線で示すように、前記ピン29に掛けられ、巻取方向(
図7においては時計方向)とは逆方向に導かれている。このため、清掃布3の内面3aが前記芯部12bの外周面と対向し、清掃布3の前端部が前記粘着剤によって前記芯部12bに固定されている。
【0025】
前記巻取用ボビン12は、
図5および
図6に示すように、この巻取用ボビン12と同一軸線上に位置するボビン回転ギア31と、このボビン回転ギア31に噛み合うラック32とを有する伝動機構33を介して後述する押圧部材5に連結されている。
前記ボビン回転ギア31は、
図8に示すように、前記巻取用ボビン12のガイド部12aと筐体7の右半部8との間に配置されている。
このボビン回転ギア31は、巻取用ボビン12を巻取方向に回転させるためのもので、前記第2の支軸21に回転自在に支持されている。この実施の形態においては、このボビン回転ギア31が本発明でいう「ピニオン」に相当する。
【0026】
前記巻取用ボビン12は、このボビン回転ギア31の筒状軸31aに回転自在に嵌合しており、この筒状軸31aを介して前記第2の支軸21に回転自在に支持されている。この筒状軸31aの内部には、ボビン回転ギア31を巻取用ボビン12に向けて付勢するボビン回転ギアスプリング34が設けられている。このボビン回転ギアスプリング34は、圧縮コイルスプリングからなり、第2の支軸21が貫通する状態で前記筒状軸31aと筐前記右半部8との間に挿入されている。
【0027】
巻取用ボビン12とボビン回転ギア31との間には、ボビン回転ギア31が巻取方向に回転したときにのみ回転力を巻取用ボビン12に伝達する一方向クラッチ35が設けられている。この一方向クラッチ35は、ボビン回転ギア31に形成された多数の爪36(
図3参照)と、これらの爪36に噛み合う巻取用ボビン12側の多数の爪37(
図5参照)とによって構成されている。前記巻取方向は、
図6においては反時計方向である。
【0028】
すなわち、巻取用ボビン12とボビン回転ギア31は、前記巻取方向へは一体に回転する。しかし、巻取用ボビン12は、ボビン回転ギア31が巻取方向とは逆方向に回転する場合は、前記筐体7の左半部9との間に設けられた逆回転防止機構27の作用によって回転が規制されて停止した状態を保つ。このため、伝動機構33は、ラック32(押圧部材5)が前記筐体7に対して後方に移動することによって、ボビン回転ギア31と巻取用ボビン12とを一体に巻取方向に回転させる。巻取用ボビン12が巻取方向に回転することにより、清掃布3が引かれて供給用リール11から繰り出される。
【0029】
前記押圧部材5は、
図9に示すように、複数の部材を組み合わせて一つの組立体として形成されている。この押圧部材5の前端には、清掃布3を光コネクタプラグに押し付けるための清掃ヘッド13が設けられている。この清掃ヘッド13は、前記清掃布3における前記供給用リール11と前記巻取用ボビン12との間の部位に接触し、清掃布3を光コネクタプラグに押し付けるためのものである。
【0030】
押圧部材5は、清掃布3の一部が前記清掃ヘッド13により押されて前記筐体7の角筒部7aから突出するように前記清掃ヘッド13を支持している。清掃布3は、供給用リール11から前方へ引き出され、清掃ヘッド13との接触部で反転して後方に延び、押圧部材5の後端部から巻取用ボビン12に導かれている。前記押圧部材5は、詳細は後述するが、前記筐体7に前記突出方向(前方)およびこの突出方向とは逆方向の後退方向(後方)とに平行移動自在に支持されている。
【0031】
押圧部材5の後端部は、前記ラック32を有するスライダ41によって構成されている。スライダ41は、ラック32が形成されたスライダ本体41aと、このスライダ本体41aの前端から前方に突出するガイドロッド41bとによって構成されている。前記スライダ本体41aには、前後方向に長い長穴42が形成されている。この長穴42には、筐体7の右半部8に立てられた突起43(
図3,4参照)が移動自在に嵌合している。スライダ本体41aは、この突起43に前後方向へ移動自在に支持されている。
【0032】
スライダ本体41aには、清掃布通路14の後端部を形成するための仕切板44が設けられている。この仕切板は、
図4に示すように、供給用リール11から引き出された清浄な清掃布3が通る下側の清掃布通路14を筐体7の底壁19と協働して形成している。
スライダ本体41aの前端部には、清掃布3の移動する方向を変えるための壁45と、円柱状の第1のガイドピン46とが設けられている。この壁45と第1のガイドピン46は、前記清掃ヘッド13から後方に向けて延びた使用済みの清掃布3が前記仕切板44の上面に沿って後方へ移動するように清掃布3を屈曲させるものである。
【0033】
スライダ本体41aの後端部には、清掃布3の移動する方向を変えるための第2のガイドピン47と、打音発生部48とが設けられている。この実施の形態においては、前記第2のガイドピン47が請求項2記載の発明でいう「ガイド」に相当する。
第2のガイドピン47は、円柱状に形成されており、左右方向に延びるようにスライダ本体41aに設けられている。清掃布3は、第2のガイドピン47に掛けられることによって、巻取用ボビン12に向けて屈曲させられる。押圧部材5の後端部に第2のガイドピン47が設けられていることにより、押圧部材5が後退するときに清掃布3が巻取用ボビン12の近傍で第2のガイドピン47によって後方に引かれる。
【0034】
この実施の形態による第2のガイドピン47は、詳細は後述するが、この第2のガイドピン47から巻取用ボビン12まで延びる清掃布3の巻取側端部49(
図10参照)が予め定めた長さになるように配置されている。
第2のガイドピン47は、前記仕切板44とは清掃布3の厚み方向に所定の間隔をおいて離間する位置であって、前後方向において巻取用ボビン12の位置に対応した位置に設けられている。
【0035】
この第2のガイドピン47の前後方向の位置は、押圧部材5の前後方向への移動量と、清掃布3が巻取用ボビン12に巻かれる位置とに基づいて決められている。
第2のガイドピン47は、押圧部材5が前後方向に移動することにより、
図10中に実線で示す前位置と、同図中に二点鎖線で示す後位置との間で平行移動する。前記前位置とは、押圧部材5が突出方向(前方)の端部まで移動したときの位置である。後位置とは、押圧部材5が後退方向(後方)の端部まで移動したときの位置である。
【0036】
第2のガイドピン47は、押圧部材5が前位置に位置しているときに点P1にあり、押圧部材5が後位置に位置しているときには点P2にある。
清掃布3が巻取用ボビン12に巻き取られる位置は、芯部12bに巻き取られる清掃布3の量が増えるにしたがって巻取用ボビン12の外周側に向けて移動する。押圧部材5が前位置に位置しているときに清掃布3が巻取用ボビン12に巻かれる位置は、
図10中に点P3〜P5で示すように変化する。押圧部材5が後位置に位置しているときに清掃布3が巻取用ボビン12に巻かれる位置は、
図10中に点P6〜P8で示すように変化する。
【0037】
一方、清掃布3の前記巻取側端部49の長さは、押圧部材5が前位置にあるときと、押圧部材5が後位置にあるときとで変化する。例えば、巻始め時などのように、巻取用ボビン12に清掃布3が巻き取られている量が少ない場合は、押圧部材5が前位置にあるときは点P1から点P3を経て点P6に至る長さL1になり、押圧部材5が後位置にあるときは点P2と点P6との間の長さL2になる。この場合、長さL1<長さL2となる。このように巻取側端部49の長さが変化するから、押圧部材5が往復することにより清掃布3が巻き取られたり、あるいは弛んだりする。この巻き取られる量と弛む量は、巻取用ボビン12に巻き取られた清掃布3の量に応じて変化する。この実施の形態による第2のガイドピン47は、この巻き取られたり弛んだりする量が可及的少なくなるような位置に配置されている。
【0038】
ここで、巻始め時の巻取量および弛み量を
図21と
図22とを用いて説明し、巻取終り時の巻取量および弛み量を
図23と
図24とを用いて説明する。
巻始め時に押圧部材5が前位置に位置している状態を
図21に示し、巻始め時に押圧部材5が後位置に位置している状態を
図22に示す。巻取終り時に押圧部材5が前位置に位置している状態を
図23に示し、巻取終り時に押圧部材5が後位置に位置している状態を
図24に示す。
【0039】
これらの図において、A点は、前位置で清掃布3の巻取側端部
49が巻取用ボビン12から離れる点を示す。このA点は、
図10においては点P3〜P5である。B点は、第2のガイドピン47の位置を示す。このB点は、
図10においては点P1である。C点は、清掃ヘッド13に押し付けられた清掃布3の前端を示す。D点は、後位置で清掃布3の巻取側端部
49が巻取用ボビン12から離れる点を示す。このD点は、
図10においては点P6〜P8である。なお、巻取用ボビン12が巻取方向および逆方向に自由に回転できる場合は、清掃布3がB点とC点とにおいて押圧部材5に固定されていたとしても、押圧部材5が前位置から後位置に後退することによりB点がB1点(
図22および
図24参照)に移動し、C点がC1点(
図22および
図24参照)に移動する。また、この場合、押圧部材5が後位置から前位置に前進することによりB1点がB点に移動し、C1点がC点に移動する。
【0040】
[巻始めについて]
図21中のB点とC点との間の清掃布3の長さは、
図22のB1点とC1点との間の清掃布3の長さと一致する。
図21に示す前位置において、B点からA点を経てD点に至る巻取側端部49の長さ(以下、単にAB+ADと表記する)は、
図22に示すB1点とD点との間の巻取側端部49の長さ(以下、単にB1Dと表記する)より短い。すなわちAB+AD<B1Dとなる。
【0041】
(1)巻取用ボビン12が固定されていると仮定した場合
先ず、巻始め時について、巻取用ボビン12が回転しないと仮定して説明する。
(1a)押圧部材5が前位置から後退するとき、清掃布3が
図21中のC点とB点とにおいて押圧部材5に固定されていると仮定すると、AB+AD<B1Dであるために、B点がB1点に到達できない。このとき、B点は、
図22中にB2点で示す位置に止まる。清掃布3のB点がB1点に到達するためには、清掃布3の前端であるC1点がB1Dの長い分だけ
図22中のC2点まで左側に移動する必要がある。すなわち、この場合、新たな清掃布3が供給用リール11から押圧部材5によって引き出されることになる。言い換えれば、実質的に新規の清掃布3が巻き取られる。C1点とC2点との間の清掃布3の長さを以下においては単にC1C2と表記する。ここでは、C1C2を3mmとする。
【0042】
(1b)その後、B1点とC2点とにおいて清掃布3が押圧部材5に固定されていると仮定して押圧部材5が前進すると、AB+AD<B1Dであるために、B点〜A点〜D点間に弛みが生じる。この弛みは、仮に3mmとする。このときは、清掃布3のC1点が
図21中のC点に戻る。
(1c)次にB点とC点が押圧部材5に固定されていると仮定して押圧部材5が後退すると、B点〜A点〜D点間の前記弛みを解消しながら後退するために、上記(1a)項で説明したような移動はなく、C点はC1点に留まる。
(1d)これ以降は、上記(1b)項と(1c)項の繰り返しとなるために、前位置において常に弛みが生じることになる。
【0043】
(2)巻取用ボビン12が巻取動作を行う場合
前記D点は、実際には固定されずに巻取用ボビン12の巻取動作に伴って巻取方向に移動する。
(2a)上記(1a)の状態で実際には巻取りが行われる。巻取量は、仮に10mmとする。この場合、巻取量+C1C2分の新規の清掃布3が送られる。
(2b)上記(2a)の状態から押圧部材5が前進すると弛みが発生する。
(2c)上記(2b)の状態から押圧部材5が後退すると、後退により弛みが解消され、巻取用ボビン12による巻取り(前記10mm)が行われる。このため、実質の新規清掃布3の巻取量は10mmとなる。
(2d)これ以降は上記(2b)項と(2c)項の繰り返しとなる。このため、前位置で3mmの弛みが常に生じるが、清掃布3の送り量は10mmとなる。
【0044】
[巻取終りについて]
図23中のB点とC点との間の清掃布3の長さは、
図24のB1点とC1点との間の清掃布3の長さと一致する。
図23に示す前位置において、B点からA点を経てD点に至る巻取側端部49の長さAB+ADは、
図24に示すB1点とD点との間の巻取側端部49の長さB1Dより長い。すなわちAB+AD>B1Dとなる。
【0045】
(3)巻取用ボビン12が固定されていると仮定した場合
先ず、巻取終り時について、巻取用ボビン12が回転しないと仮定して説明する。
(3a)押圧部材5が前位置から後退するとき、清掃布3が
図23中のC点とB点とにおいて押圧部材5に固定されていると仮定すると、AB+AD>B1Dであるために、AB+ADの長い分だけ弛みが生じる。弛み{(AB+AD)−B1D}を5.6mmとする。
(3b)次に、B1点とD点との間の弛みがなく、かつB1点とC1点とにおいて清掃布3が押圧部材5に固定されていると仮定して押圧部材5が前進すると、AB+AD>B1Dであるために、C1点はC点に戻ることができない。すなわち、B1D−(AB+AD)分だけ手前となるC2点で止まる。C1点がC点に戻るためには、B1D−(AB+AD)=C1C2だけ右側に移動する必要がある。このため、実質的に新たな清掃布3が供給用リール11から押圧部材5によって引き出されることになる。言い換えれば、実質的にC2C分だけ新規の清掃布3が巻き取られる。巻取量C2Cは、5.6mmとする。
(3c)その後、清掃布3のB点とC点とが押圧部材5に固定されている状態で押圧部材5が再び後退すると、上記(3a)項と同様に弛みが生じ、新規清掃布3の巻取量がその分少なくなる。
(3d)これ以降は、上記(3b)項と(3a)項の繰り返しとなるため、前位置で常に清掃布3の巻取りが行われるようになる。
【0046】
(4)巻取用ボビン12が巻取動作を行う場合
前記D点は、実際には固定されずに巻取用ボビン12の巻取動作に伴って巻取方向に移動する。
(4a)上記(3a)の状態で実際には巻取りが行われる。巻取量は、仮に23mmとする。この場合、弛みの解消に5.6mm使用されるため、実質の新規の清掃布3の巻取量は17.4mmとなる。
(4b)上記(4a)の状態から押圧部材5が前進すると、C2C分の新規の清掃布3が巻き取られる。このときの巻取量は5.6mmである。
(4c)上記(4b)の状態から押圧部材5が後退すると、弛み(5.6mm)が発生する。また、このときは巻取用ボビン12によって巻取り(巻取量23mm)が行われる。このため、このときには弛みの解消に5.6mm使用されるため、実質的な清掃布3の巻取量は17.4mmとなる。
(4d)これ以降は上記(4b)項と(4c)項の繰り返しとなる。このため、清掃布3の送り量は、後退時に17.4mmとなり、前進時に5.6mmとなる。
【0047】
押圧部材5の後退時の清掃布3の巻取量と弛み量は、
図25に示すようになり、押圧部材5の前進時の清掃布3の巻取量と弛み量は、
図26に示すようになった。
これらの
図25と
図26とから判るように、巻取用ボビン12に巻き取られる清掃布3が巻取用ボビン12の許容収納量の約50%であるときに巻取量および弛み量が最小となる。このため、この実施の形態による清掃具1においては、巻取用ボビン12の許容収納量の約50%であるとき(巻取用ボビン12に巻始めと巻取終りとの中間となる量だけ清掃布3が巻き取られた状態)の巻取側端部
49の長さL1と長さL2とが等しくなるように、第2のガイドピン47の位置を決定した。
【0048】
このように第2のガイドピン47が配置されていることにより、押圧部材5が筐体7に対して後退するときに押圧部材5に沿う清掃布3が弛み難くなるとともに、押圧部材5が筐体7に対して前進するときに清掃布3が供給用リール11から新たに引き出され難くなる。
押圧部材5が筐体7に対して後退するときは、第2のガイドピン47が清掃布3を後方に引くとともに、前記伝動機構33によって巻取用ボビン12が巻取方向に予め定めた回転角だけ回転させられ、清掃布3が巻取用ボビン12に巻き取られる。前記予め定めた回転角は、押圧部材5が後退したときに清掃布3が弛むことがなく、かつ清掃布3が清掃ヘッド13に対して所定の長さだけ送られるような角度に設定されている。
【0049】
清掃布3が清掃ヘッド13に対して移動することにより、光コネクタプラグの結合端面が清掃布3によって拭かれて清掃される。
押圧部材5が筐体7に対して前進するときは、巻取用ボビン12が停止状態となり、第2のガイドピン47によって引かれた清掃布3が戻されるとともに、清掃布3の不足分が供給用リール11から引き出される。
【0050】
打音発生部48は、
図6に示すように、側面視C字状を呈する弾性変形部48aと、この弾性変形部48aから上方に突出する凸片48bとによって構成されている。打音発生部48は、押圧部材5の後退時に筐体7の右半部8に設けられている第1の突起50と第2の突起51(
図3,4参照)に順次当たるように位置付けられている。
【0051】
前記凸片48bは、押圧部材5が後方に移動することによって前記第1の突起50に当たる。この第1の突起50は、前記隔壁16に凸片48bの先端部のみが当たるように形成されている。凸片48bが第1の突起50に当たった状態で押圧部材5がさらに後方に移動することによって、弾性変形部43aが撓み、凸片48bが第1の突起50を越えて第2の突起51に衝突する。凸片48bが第2の突起51に衝突することにより打音が生じ、作業者に押圧部材5が後端まで後退したことを知らせることができる。
【0052】
スライダ41のガイドロッド41bは、
図9に示すように、円柱状に形成されている。また、このガイドロッド41bは、
図4に示すように、筐体7の後側支持座52を前後方向に貫通し、この後側支持座52に前後方向へ移動自在に支持されている。後側支持座52は、
図3に示すように、筐体7の右半部8に前方から見て横向きのU字状に形成されている。この後側支持座52の開放部分は、筐体7の左半部9によって閉塞される。
このガイドロッド41bは、圧縮コイルスプリングからなるスライドスプリング53の軸心部に通されている。スライドスプリング53は、ガイドロッド41bの前端部に連結されたヘッドプッシュベース54と前記後側支持座52との間に挿入されており、ヘッドプッシュベース54を前方に付勢している。
【0053】
前記ヘッドプッシュベース54は、押圧部材5の中間部を構成するもので、前記ガイドロッド41bの前端部が係合する係合子54aと、この係合子54aから前方に延びる円柱状の支軸54bと、この支軸54bの前端に設けられた支持体54cとによって構成されている。
前記係合子54aと前記ガイドロッド41bとの連結部分は、ガイドロッド41bを係合子54aに左右方向から組み付けることができるように形成されている。この実施の形態によるガイドロッド41bの前端部には、左右方向に延びる切り欠き55が形成されている。係合子54aには、前記切り欠き55に嵌合する爪56が形成されている。
【0054】
係合子54aの左右方向の両端部には、
図11に示すように、切り欠き57が形成されている。これらの切り欠き57は、筐体7の右半部8(
図3参照)に形成されたガイドレール58と、筐体7の左半部9(
図5参照)に形成されたガイドレール59とに前後方向へ移動自在に嵌合している。
前記支軸54bは、
図4に示すように、筐体7の前側支持座60を前後方向に貫通し、この前側支持座60に前後方向へ移動自在に支持されている。前側支持座60は、
図3に示すように、筐体7の右半部8に前方から見て横向きのU字状に形成されている。この前側支持座60の開放部分は、筐体7の左半部9によって閉塞される。
【0055】
この前側支持座60と前記後側支持座52は、筐体7の底壁19および上壁61から清掃布3の厚み以上の距離をおいて離間するように形成されている。前記清掃布通路14は、前記底壁19と前記後側支持座52および前側支持座60との間と、前記上壁61と後側支持座52および前側支持座60との間を清掃布3が通ることができるように形成されている。すなわち、清掃布通路14は、
図4に示すように、筐体7の右半部8から左半部9を取り外した状態において、側方(左方)に向けて開放される。
【0056】
前記ヘッドプッシュベース54の係合子54aは、前記前側支持座60より後方に位置付けられている。すなわち、ヘッドプッシュベース54が筐体7に対して後方に押されると、係合子54aがスライドスプリング53の前端を後方に押し、スライドスプリング53が係合子54aと後側支持座52との間で圧縮させられる。ヘッドプッシュベース54は、後側に連結している前記スライダ41と、前側に設けられている後述するヘッドプッシュ62、ヘッドカバー63および清掃ヘッド13などとともに前後方向に移動する。ヘッドプッシュベース54と、このヘッドプッシュベース54と一体に移動する複数の部材とによって、前記押圧部材5が構成されている。
【0057】
押圧部材5は、スライドスプリング53のばね力に抗して筐体7に対して後退させられた後、作業が完了し、清掃具をコネクタに対して押し付ける力が失われ、押圧部材5を後方へ押す力が失われると、スライドスプリング53のばね力によって筐体7に対して前進し、初期の位置に戻される。この押圧部材5の前方への移動は、スライダ41の壁45が後側支持座52に後方から当接することによって規制される。
【0058】
このヘッドプッシュベース54の前記支持体54cは、前方から見て左右方向に長い長方形状に形成されている。この支持体54cにおける清掃布3の厚み方向(
図9においては上下方向)の両端部には、清掃布通路14の通路壁の一部となる一対の平坦面64が形成されている。
前記支持体54cの前端部には、
図12に示すように、後述するヘッドプッシュ62を支持するための軸孔65が形成されている。この軸孔65は、前側に位置する大径部65aと、この大径部65aの後側に位置する小径部65bとによって構成されている。前記大径部65aは、支持体54cの前端面に開口している。前記小径部65bは、支持体54c内を大径部65aから後方に延びて支持体54cの横穴66に開口している。
【0059】
支持体54cの左右方向の両端部には、
図9に示すように、突起67とガイド溝68とが形成されている。前記突起67は、後述するヘッドカバー63を支持体54cに固定するためのもので、支持体54cの後端部に側方へ突出するように設けられている。この突起67の前面は、後方へ向かうにしたがって次第に突起の突出量が増えるように傾斜している。
前記ガイド溝68は、後述するヘッドカバー63の前端部を支えるためのものである。このガイド溝68は、左右方向と前方とに向けて開口している。
この支持体54cは、
図12に示すように、後述するヘッドカバー63の中に収容されている。
【0060】
前記ヘッドプッシュ62は、押圧部材5の前端部を構成するもので、前記ヘッドプッシュベース54の前記軸孔65に挿入される連結軸71と、この連結軸71の前端に設けられたホルダー72とによって構成されている。
前記連結軸71は、
図9および
図12に示すように、前側に位置する円柱部71aと、この円柱部71aから後方に延びる小径部71bと、この小径部71bの後端部に設けられた一対の係止片71cとによって構成されている。前記円柱部71aは、前記軸孔65の大径部65a内に移動自在に嵌合する形状に形成されている。
【0061】
前記小径部71bは、前記軸孔65の小径部65b内に挿入できる形状に形成されている。前記一対の係止片71cは、前記小径部65b内に前方から押し込むことができるように形成されている。これらの係止片71cは、前記小径部65bから前記横穴66に出ることにより初期の形状に戻り、横穴66の前壁66aに係止される。このヘッドプッシュ62は、前記連結軸71が前記軸孔65に挿入されることにより、前記ヘッドプッシュベース54に前後方向(押圧部材5の移動方向と平行な方向)に移動自在に支持される。
【0062】
前記軸孔65の大径部65a内であって前記円柱部71aより後方には、ヘッドプッシュスプリング73が挿入されている。このヘッドプッシュスプリング73は、圧縮コイルスプリングからなり、前記ヘッドプッシュ62をヘッドプッシュベース54に対して前方に付勢している。すなわち、ヘッドプッシュ62は、前記ヘッドプッシュスプリング73のばね力に抗してヘッドプッシュベース54に対して後方に移動することができる。
【0063】
ヘッドプッシュ62は、後方に押す力が失われると、ヘッドプッシュスプリング73のばね力で初期の位置に戻される。ヘッドプッシュスプリング73は、上述したようにヘッドプッシュ62がヘッドプッシュベース54に対して後方に移動するときに5N〜9Nのばね力が生じるものである。上述したスライドスプリング53は、このヘッドプッシュスプリング73と比べてばね力が大きいものが用いられている。すなわち、押圧部材5が筐体7に対して後退することなく、ヘッドプッシュ62がヘッドプッシュベース54に対して後退する。
【0064】
このヘッドプッシュ62の前記ホルダー72は、前記清掃ヘッド13をヘッドプッシュ62の前端部に突出する状態で保持するものである。このホルダー72には、
図13および
図14に示すように、前方に向けて開口する清掃ヘッド保持用の凹部74と、第1、第2の壁75,76とが形成されている。この実施の形態による前記一対の第1、第2の壁75,76は、凹部74の内側壁を兼ねている。
【0065】
前記清掃ヘッド13は、ゴムからなる弾性体によって所定の形状に形成されている。この実施の形態による清掃ヘッド13の形状は、
図13に示すように、清掃布3の幅方向から見てT字状である。すなわち、清掃ヘッド13は、T字の縦方向に延びる縦バー部分13aと、T字の横方向に延びる横バー部分13bとによって構成されている。この清掃ヘッド13は、前記横バー部分13bが前端側に位置するように前記凹部74に嵌合して保持されている。
【0066】
清掃ヘッド13における清掃布3と接触する表面部は、前記横バー部分13bの前面および上下方向の両端面である。この表面部は、その他の部位を形成するゴム材料と比べて硬度が高く、摩擦抵抗が小さくなるように処理されている。
【0067】
前記ホルダー72の前記凹部74は、
図14に示すように、清掃ヘッド13の前記縦バー部分13aが嵌合する後側凹部74aと、前記横バー部分13bが嵌合する前側凹部74bとによって構成されている。前側凹部74bは、横バー部分13bより深く形成されている。この前側凹部74bの底面74cと、前記横バー部分13bとの間には、予め定めた広さの隙間S1が形成されている。
【0068】
前記一対の第1、第2の壁75,76は、
図14に示すように、前記凹部74に嵌合した清掃ヘッド13を上下方向(清掃布3の幅方向から見て前後方向とは直交する方向)の両側から挟むように形成されている。これらの第1、第2の壁75,76は、清掃ヘッド13の横バー部分13bを前記両側から保持している。これらの第1、第2の壁75,76における清掃ヘッド13とは反対側の端部には、前記支持体54cの平坦面64と平行な平坦面77が形成されている。
【0069】
前記一対の第1、第2の壁75,76に形成された前記平坦面77は、前記支持体54cの平坦面64と同様に清掃布通路14の通路壁の一部を構成するものである。清掃布3は、
図13に示すように、前記支持体54cの前記平坦面64と、前記ホルダー72の平坦面77とに沿って前方に延び、前記第1、第2の壁75,76の前端を越えて屈曲して清掃ヘッド13の前面に接触している。
【0070】
この清掃布3の一端が前記巻取用ボビン12に巻き取られると、清掃布3は、清掃ヘッド13の前記横バー部分13bに沿って上下方向に移動する。この清掃布3に接触している横バー部分13bは、清掃布3との摩擦によって、清掃布3の移動方向に変位するように弾性変形し、前記一対の第1、第2の壁75,76のうち清掃布3の送り方向下流側に位置する一方の壁に押し付けられる。横バー部分13bの弾性変形は、横バー部分13bが前記壁に押し付けられることにより規制される。
【0071】
前記ヘッドカバー63は、前記ヘッドプッシュベース54の支持体54cとヘッドプッシュ62とを覆い、これらの部材の上下方向の両側に清掃布通路14を形成するためのものである。このヘッドカバー63は、
図9に示すように、前後方向に細長い角筒状に形成されている。このヘッドカバー63の中空部からなる貫通穴81は、
図13に示すように、ヘッドプッシュベース54の支持体54cとヘッドプッシュ62とが挿入された状態でこれらの部材との間に清掃布3を通すことが可能な広さの空間が生じるように形成されている。この空間が清掃布通路14の一部になる。この実施の形態においては、ヘッドカバー63の前記貫通穴81が
請求項8と
請求項9とに記載した「ヘッドプッシュが挿入される穴」に相当する。
【0072】
前記支持体54cと前記ヘッドプッシュ62は、清掃布3が沿わせられた状態で、ヘッドカバー63の後端からヘッドカバー63内に挿入される。
ヘッドカバー63の後部は、清掃布3の幅方向(左右方向)のみにおいて前記支持体54cに嵌合するように形成されている。この嵌合部には、
図9および
図15に示すように、前記支持体54cの突起67が嵌合する穴82と、支持体54cのガイド溝68(
図9参照)に嵌合する凸片83とが形成されている。
【0073】
前記穴82は、ヘッドカバー63の後端部に片持ち支持となるように形成された板片84に形成されている。前記支持体54cの前記突起67は、支持体54cがヘッドカバー63内に後方から挿入されることによって、前記板片84を外側へ僅かに弾性変形させながら前進し、前記穴82にヘッドカバー63の内側から嵌合して係止される。また、前記凸片83は、ヘッドカバー63内に支持体54cが後方から挿入されることによって、支持体54cのガイド溝68に前方から嵌合する。前記突起67と穴82とからなる係止部と、前記ガイド溝68と凸片83とからなる嵌合部は、支持体54cに対してヘッドカバー63が上下および左右方向へ移動することを規制する。また、前記嵌合部は、ヘッドカバー63の前端部と前記ホルダー72の第1、第2の壁75,76との間の上下方向の間隔が変化することを規制する。
【0074】
ヘッドカバー63の前端部の内側には、
図15に示すように、前後方向に延びるガイド溝85が形成されている。このガイド溝85は、ヘッドカバー63の左右方向の両端部に位置する側壁63a,63bにそれぞれ形成されている。このガイド溝85は、前記支持体54cの両側部に形成された凸部86(
図9参照)と、前記ホルダー72の両側部に形成された凸部87(
図9参照)とが前後方向に移動自在に嵌合できるように形成されている。
【0075】
すなわち、前記ヘッドカバー63の両側壁63a,63bは、
図16に示すように、ヘッドプッシュ62のホルダー72と、このホルダー72の後方に位置する前記支持体54c(図示せず)とが嵌合するように形成されている。このため、前記ヘッドプッシュ62のホルダー72の左右方向の両端部と、この両端部と対向するヘッドカバー63の貫通穴81の壁面との間には、ヘッドプッシュ62とヘッドカバー63との嵌合を許容するだけの隙間S2が形成されている。
【0076】
ヘッドカバー63の他の2つの壁、すなわち清掃布3と対向する壁63c,63dは、
図15に示すように、前後方向において前記ガイド溝85の前端と同じ位置まで前方に延びるように形成されている。このため、これらの2つの壁63c,63dの先端(前端)は、
図14に示すように、前記ヘッドプッシュ62(ホルダー72)の先端の近傍に位置付けられている。
【0077】
ヘッドカバー63の前端部の外側部分は、後述するキャップ6や、光コネクタアダプタ(図示せず)などを装着できるように形成されている。すなわち、ヘッドカバー63の前端部には、
図9に示すように、第1の突き当て面91と、第2の突き当て面92と、リブ93と、係止用突起94とが形成されている。この実施の形態においては、前記第1の突き当て面91と前記第2の突き当て面92とによって、請求項6記載の発明でいう「当接部」が構成されている。
【0078】
前記第1の突き当て面91は、キャップ6をヘッドカバー63に対して前後方向に位置決めするためのものである。第1の突き当て面91は、前方を指向する平坦面となるように形成されている。ヘッドカバー63を前方から見たときの外形は、
図16に示すように、略四角形である。前記第1の突き当て面91は、この四角形の四つの辺にわたって延びるように形成されている。
【0079】
前記第2の突き当て面92は、光コネクタアダプタをヘッドカバー63に対して前後方向に位置決めするためのものである。この第2の突き当て面92は、ヘッドカバー63における清掃布3と対向する2つの壁63c,63dのみに形成されている。この第2の突き当て面92は、前記第1の突き当て面91より前側に位置付けられている。ヘッドカバー63に光コネクタアダプタを取り付けた場合は、図示してはいないが、この第2の突き当て面92が光コネクタアダプタの後端面に当接する。第2の突き当て面92に光コネクタアダプタの後端面が当接する状態においては、光コネクタアダプタがヘッドカバー63に対して前後方向に位置決めされる。
【0080】
前記リブ93は、キャップ6をヘッドカバー63に取付けるときの摩擦抵抗を増大させするためのものである。このリブ93は、前記2つの壁63c,63dにおける第1の突き当て面91と第2の突き当て面92との間で前後方向に延びるように形成されている。
前記係止用突起94は、キャップ6の位置決めと固定とを行うためのものである。この突起94は、ヘッドカバー63の前記側壁63a,63bにそれぞれ形成されている。
【0081】
前記キャップ6は、
図2に示すように、筒体6aと、この筒体6aの前端部にヒンジ部6bを介して接続された蓋体6cとによって構成されている。前記筒体6aの中空部内には、前記押圧部材5の前端部と、光コネクタプラグ95(
図17参照)とが挿入される。この筒体6aは、
図17および
図18に示すように、一端側に位置する光コネクタプラグ用接続部96と、他端側に位置する清掃具用接続部97とによって構成されている。
【0082】
前記コネクタプラグ用接続部96は、光コネクタプラグ用係止片98を備えている。この光コネクタプラグ用係止片98は、光コネクタプラグ(
図17参照)をキャップ6内に保持するためのものである。この光コネクタプラグ用係止片98は、前記筒体6aの左右方向の両側に位置する側壁99,100に設けられており、光コネクタプラグ95の2側部に係止される爪98aを備えている。
【0083】
この実施の形態による光コネクタプラグ用係止片98は、光コネクタプラグ95の両側部に係止された状態において、キャップ6に対する光コネクタプラグ95の上下方向および左右方向への位置決めを行う機能と、前後方向への外れ止めを行う機能とを有している。また、前記光コネクタプラグ用係止片98は、前記光コネクタプラグ95が接続される光コネクタアダプタに設けられている光コネクタプラグ用係止片(図示せず)と長さが等しくなるように形成されている。
【0084】
前記清掃具用接続部97は、清掃具用係止片101を備えている。この清掃具用係止片101は、キャップ6を前記ヘッドカバー63に固定するためのものである。この清掃具用係止片101は、前記筒体6aの前記側壁99,100に設けられており、ヘッドカバー63の前端部が筒体6a内に後方から挿入された状態でヘッドカバー63の前記突起94に係止される爪101aを備えている。
【0085】
この実施の形態による清掃具用係止片101は、ヘッドカバー63の前記突起94に係止された状態において、ヘッドカバー63に対するキャップ6の上下方向および左右方向への位置決めを行う機能と、前後方向への外れ止めを行う機能とを有している。
前記清掃具用係止片101は、
図17に示すように、キャップ6の後端面102がヘッドカバー63の第1の突き当て面91に当接した状態で、前記ヘッドカバー側面の突起94を乗り越えて係止されるものである。請求項6記載の発明でいう「被当接部」は、キャップ6の前記後端面102と、光コネクタアダプタの後端面(図示せず)とによって構成されている。
【0086】
前記清掃具用係止片101は、前記光コネクタプラグ用係止片98より前後方向に長く形成されている。
前記筒体6aにおける清掃具用係止片101が設けられていない他の2つの壁103,104は、筒体6a内にヘッドカバー63を挿入することによって、前記リブ93を弾性変形させながら前記第1の突き当て面91に当接するように形成されている。
前記第1の突き当て面91と、ヘッドカバー63の前記突起94の前後方向の位置は、キャップ6内に保持された光コネクタプラグ95の前後方向の位置に基づいて決められている。
【0087】
前記第1の突き当て面91と突起94の前後方向の位置は、
図17に示すように、第1の突き当て面91がキャップ6の後端面102に当接した接続状態において、清掃ヘッド13が清掃布3を介して光コネクタプラグ95の結合端面95aに押し付けられるような位置に設定されている。前記接続状態においては、清掃ヘッド13がヘッドプッシュ62を後方に押圧する。この清掃ヘッド13に押されたヘッドプッシュ62は、ヘッドプッシュスプリング73のばね力に抗して後退する。
【0088】
すなわち、第1の突き当て面91と突起84の前後方向の位置は、前記接続状態でヘッドプッシュ62が予め定めた長さDだけヘッドカバー63に対して後退するような位置に設定されている。この接続状態においては、ヘッドプッシュスプリング73のばね力で清掃布3が前記結合端面95aに押し付けられる。
【0089】
単体の光コネクタプラグの前記結合端面95aの清掃は、前記接続状態で作業者が筐体7をキャップ6に対して前進させて行われる。筐体7がキャップ6に対して前進すると、ヘッドカバー63がキャップ6によって後方へ押され、スライドスプリング53のばね力に抗して筐体7に対して後退する。この後退時に清掃ヘッド13は、前記ヘッドプッシュスプリング73によって付勢されて所定の押圧力(例えば5N〜9N)で清掃布3を前記結合端面95aに押し付ける状態を保つ。
【0090】
電子機器の光ファイバケーブル接続口の中に既に装着されている光コネクタプラグを清掃する場合は、前記第2の突き当て面92の前後方向の位置は、図示してはいないが、この第2の突き当て面92が光コネクタアダプタの後端面に当接した接続状態において、清掃ヘッド13が清掃布3を介して光コネクタの結合端面に押し付けられるような位置に設定されている。この接続状態においても、ヘッドプッシュ62が予め定めた長さDだけヘッドカバー63に対して後退し、清掃ヘッド13がヘッドプッシュスプリング73のばね力によって押されて清掃布3を前記結合端面に押し付ける。
【0091】
キャップ6の蓋体6cは、前記ヒンジ部6bを撓ませることによって筒体6aの前端の開口を塞ぐことができるように形成されている。この蓋体6cで前記開口が閉塞されたキャップ6を前記ヘッドカバー63の前端部に取付けることによって、清掃布3や清掃布通路14の開口部分がキャップ6で覆われる。
【0092】
このように構成された光コネクタ用清掃具1は、次の手順で組み立てられる。先ず、
図19に示すように、筐体7の右半部8に供給用リール11と、ボビン回転ギア31とが組み付けられる。一方、ヘッドカバー63を除く押圧部材5の各部品が組み合わせられて一つの部品組立体111が形成される。そして、この部品組立体111が前記右半部8に装着される。これらの部品が右半部8に装着されることにより、右半部8の底壁19および上壁61と、前記部品組立体111との間に清掃布通路14が形成される。
【0093】
次に、供給用リール11から清掃布3が引き出され、前記清掃布通路14に挿入される。この清掃布3の先端部は、巻取用ボビン12に粘着剤によって接着される。この巻取用ボビン12は、清掃布3が接着されている状態で前記右半部8に組み付けられる。なお、巻取用ボビン12を前記右半部8に組み付けた後に清掃布3を巻取用ボビン12に接着することも可能である。
【0094】
その後、筐体7の右半部8に左半部9が取付けられて固定される。そして、筐体7から前方に突出している前記部品組立体111の前端部にヘッドカバー63が前方から被せられる。このとき、ヘッドカバー63の後端部は、筐体7の角筒部7a内に前方から挿入される。そして、ヘッドカバー63は、ヘッドプッシュベース54が内部に嵌合することによって、ヘッドプッシュベース54に固定される。このようにヘッドカバー63がヘッドプッシュベース54に固定され、ヘッドカバー63にキャップ6が取付けられることによって、この光コネクタ用清掃具1の組立が終了する。
【0095】
この光コネクタ用清掃具1は、単体の光コネクタプラグ95の結合端面を清掃する場合は、前記キャップ6に光コネクタプラグ95を接続して使用する。光コネクタ用清掃具1にキャップ6を介して光コネクタプラグ95が接続されることにより、清掃布3が結合端面95aに所定の押圧力で押し付けられる。そして、この状態で筐体7をキャップ6に対して前進させることによって、押圧部材5が筐体7に対して後退し、この動作に伴って清掃布3が巻取用ボビン12によって巻き取られる。この結果、前記結合端面95aが清掃布3で拭かれる。
【0096】
電子機器筐体7の光ファイバケーブル接続口の奥に設置されている光コネクタプラグを清掃する場合は、前記キャップ6が光コネクタ用清掃具1から取り外される。電子機器に設けられている光コネクタプラグには、光ファイバケーブルを簡単に接続できるように、予め光コネクタアダプタが取付けられている。この種の光コネクタプラグの結合端面を清掃する場合は、前記光ファイバケーブル接続口に押圧部材5の前端部が挿入され、ヘッドカバー63の前端部が光コネクタアダプタに接続される。
【0097】
ヘッドカバー63が光コネクタアダプタに接続されることによって、清掃布3が光コネクタプラグの結合端面に押し付けられることにより、押圧部材5が筐体7に対して後退するようになる。そして、清掃布3が前記結合端面に押し付けられた状態で巻取用ボビン12によって巻き取られ、結合端面が清掃布3によって拭かれる。
【0098】
このように、この実施の形態による光コネクタ用清掃具1においては、清掃布3を光コネクタプラグに押し付ける動作に伴って清掃布3が送られる。清掃布3を送るための伝動機構33は、ラック32とピニオンとによって押圧力を回転力に変換するものであるから、螺旋溝を用いる場合と比べて構造が簡単であり、コンパクトに形成することが可能になる。
したがって、この実施の形態によれば、簡単な構造として小型化を図りながら、光コネクタの清掃を簡単に行うことが可能な光コネクタ用清掃具を提供することができる。
【0099】
この実施の形態による前記押圧部材5の後端部(後退方向の端部)には、前記清掃ヘッド13と前記巻取用ボビン12との間で前記清掃布3に接触して清掃布3の移動方向を変える第2のガイドピン47が設けられている。この第2のガイドピン47は、前記押圧部材5が後退することにより前記清掃布3を前記巻取用ボビン12の近傍で後退方向に引くものである。
このため、この実施の形態によれば、押圧部材5の後退動作に伴って清掃布3が弛むことを防ぐことができるから、押圧部材5を後退させることにより清掃に寄与する清掃布を供給用リール11から引き出すことができる。
【0100】
前記第2のガイドピン47は、この第2のガイドピン47から前記巻取用ボビン12まで延びる前記清掃布3の巻取側端部49が所定の長さになるように配置されている。
前記第2のガイドピン47の位置は、前記巻取用ボビン12に巻始めと巻取終りとの中間となる量だけ清掃布が巻き取られた状態において、前記押圧部材5が前記前位置に位置している場合の前記巻取側端部49の長さL1と、前記押圧部材5が前記後位置に位置している場合の前記巻取側端部49の長さL2とが等しくなるように位置付けられている。
【0101】
このため、この実施の形態によれば、押圧部材5の往復に伴う清掃布3の巻取量および弛み量が可及的少なくなる。
したがって、この実施の形態によれば、清掃布3が無駄に消費されたり、清掃布3が大きく弛んで清掃性能が低下したりすることがないから、光コネクタの清掃を効率よくかつ清掃が安定するように行うことが可能な光コネクタ用清掃具を提供することができる。
【0102】
この実施の形態による前記清掃ヘッド13は、ゴムからなる弾性体によって形成されている。
この実施の形態において、清掃布3の清掃面は、清掃ヘッド13が弾性変形することにより傾斜することができる。光コネクタプラグ95としては、
図20に示すように、結合端面
95aが傾斜したものがある。このように傾斜した結合端面
95aに清掃布3が押し付けられた場合は、清掃ヘッド13の横バー部分13bが結合端面
95aに倣うように傾斜する。そして、清掃布3の清掃面が前記結合端面
95aに密着する。
したがって、この実施の形態によれば、光コネクタプラグ95の結合端面
95aが傾斜している場合であっても正しく清掃することができるから、清掃性能の安定化を図ることができる。
【0103】
この実施の形態による前記清掃ヘッド13における前記清掃布3と接触する表面部は、他の部位と比べて摩擦抵抗が小さくなるように形成されている。
このため、清掃布3を送るために必要な力が相対的に小さくなるから、清掃時に作業者が加える押圧力を低減できる。
また、清掃ヘッド13が清掃布3との摩擦により押されて過度に傾くことがないから、清掃ヘッド13が清掃布3を押す力の分布が清掃布3の送り方向の一方に偏るようなことはない。
【0104】
したがって、この実施の形態によれば、清掃作業を楽に行うことができるとともに、清掃性能の安定化を図ることが可能な光コネクタ用清掃具を提供することができる。
この実施の形態においては、清掃ヘッド13における前記清掃布3と接触する表面部の硬度を高く形成することによって、摩擦抵抗の低減を図っている。このため、この実施の形態によれば、清掃ヘッド13が摩耗し難い光コネクタ用清掃具を提供することができる。
【0105】
この実施の形態による前記押圧部材5は、前記清掃ヘッド13を前端部(前記突出方向の先端部)に突出する状態で保持するヘッドプッシュ62を備えている。
前記ヘッドプッシュ62の前端部には、前記突出方向に向けて開口する清掃ヘッド13保持用の凹部74が形成されている。
前記清掃ヘッド13は、前記清掃布3の幅方向から見てT字状に形成されているとともに、T字の横方向に延びる横バー部分13bが先端側に位置するように前記凹部74に嵌合して保持されている。
【0106】
前記横バー部分13bが嵌合する前記凹部74の底面74cと、前記横バー部分13bとの間には、予め定めた広さの隙間S1が形成されている。
この実施の形態においては、前記T字の横バー部分13bが横方向(横バー部分13bが延びる上下方向)に傾き易くなる。このため、光コネクタプラグ95の傾斜した結合端面
95a(
図20参照)に清掃布3がより一層密着し易くなる。
したがって、この実施の形態によれば、光コネクタ用清掃具1の清掃性能をより一層安定させることが可能になる。
【0107】
この実施の形態による押圧部材5は、前記ヘッドプッシュ62を押圧部材5の移動方向と平行な方向に移動自在に支持するヘッドプッシュベース54を備えている。ヘッドプッシュ62は、ヘッドプッシュスプリング73によってヘッドプッシュベース54に対して前方(前記突出方向)に付勢されている。また、この実施の形態による押圧部材5は、前記ヘッドプッシュベース54と一体に前記筐体7に対して移動するヘッドカバー63を備えている。
【0108】
前記ヘッドカバー63は、光コネクタプラグ側の被当接部(キャップ6の後端面102や光コネクタアダプタの後端面)に当接する当接部(第1の突き当て面91および第2の突き当て面92)を有している。
この実施の形態による前記清掃ヘッド13は、前記ヘッドカバー63の前記当接部が前記被当接部に当接した状態で前記ヘッドプッシュスプリング73のばね力で清掃布3を介して光コネクタプラグ95に押し付けられる。
【0109】
このため、この実施の形態による前記押圧部材5は、清掃時に清掃布3がヘッドプッシュスプリング73のばね力で光コネクタプラグ95に押し付けられている状態を維持しながら筐体7に対して後退する。
したがって、この実施の形態によれば、清掃時に清掃布3が一定の押圧力で光コネクタプラグに押し付けられるから、作業者が代わったとしても常に一定の清掃性能を得ることが可能な光コネクタ用清掃具を提供することができる。
【0110】
この実施の形態において、前記清掃ヘッド13が前記ヘッドプッシュスプリング73のばね力によって清掃布3を光コネクタプラグ95に押し付けるときの押圧力は、5N〜9Nに設定されている。
清掃性能と前記押圧力とには密接な関係がある。この実施の形態においては、5N〜9Nの適正な押圧力で清掃布3が光コネクタプラグに押し付けられる。
したがって、この実施の形態によれば、より一層清掃性能が安定する光コネクタ用清掃具を提供することができる。
【0111】
この実施の形態による前記ヘッドプッシュ62は、前方(前記突出方向)に向けて開口しかつ前記清掃ヘッド13が嵌合して保持される凹部74を有している。また、このヘッドプッシュ62は、前記凹部74に嵌合した前記清掃ヘッド13を清掃布3の幅方向から見て前記突出方向とは直交する方向(上下方向)の両側から挟む一対の壁75,76を有している。
清掃ヘッド13が過度に傾くと、清掃ヘッド13の一端部が他端部と比べて前方へ大きく突出するようになる。この突出部分は、清掃布3を光コネクタプラグ95に強く押し付ける。
【0112】
このため、清掃布3を光コネクタプラグに押し付ける押圧力が前記突出部分側に偏り、清掃布3が送られるときの摩擦抵抗が増大する。
この実施の形態による前記一対の壁75,76は、清掃ヘッド13が過度に傾斜することを規制する。このため、この実施の形態によれば、清掃布3の清掃面の全域を略均等な押圧力で光コネクタプラグ95に押し付けることができるから、清掃性能が安定した光コネクタ用清掃具を提供することができる。
【0113】
この実施の形態による前記押圧部材5は、前記ヘッドプッシュ62が挿入される貫通穴81を有する筒状のヘッドカバー63を備えている。
前記貫通穴81とヘッドプッシュ62との間には、前記清掃布3を通す空間が形成されている。
前記ヘッドカバー63における前記清掃布3と対向する壁63c,63dの先端は、前記ヘッドプッシュ62の先端の近傍に位置付けられている。
【0114】
清掃布3の幅方向への移動は、前記ヘッドカバー63の内壁面によって規制される。この実施の形態においては、前記内壁面がヘッドプッシュ62の先端近傍まで延びているから、清掃布3の幅方向への移動をヘッドプッシュ62の先端近傍において規制することができる。清掃布3は、主に光コネクタプラグ95との接触部分から受ける力で幅方向へ移動するものである。したがって、この実施の形態によれば、清掃布3の幅方向への移動を確実に規制することが可能な光コネクタ用清掃具を提供することができる。
【0115】
この実施の形態おいて、前記ヘッドプッシュ62における清掃布3の幅方向の両端部と、ヘッドカバー63の前記貫通穴81の壁面との間には、ヘッドプッシュ62とヘッドカバー63との嵌合を許容するだけの隙間S2が形成されている。
このため、ヘッドカバー63の内壁とヘッドプッシュ62の側壁との間の隙間S2を可及的狭く形成することができる。したがって、この実施の形態によれば、清掃布3の幅方向への移動をより一層確実に規制することが可能な光コネクタ用清掃具を提供することができる。
【0116】
この実施の形態による前記押圧部材5の先端部には、ヘッドカバー63が設けられている。このヘッドカバー63は、光コネクタプラグ用接続部96が一端側に設けられるとともに清掃具用接続部97が他端側に設けられたキャップ6の前記清掃具用接続部97に接続されるものである。
前記キャップ6の前記光コネクタプラグ用接続部96には、光コネクタプラグ95の両側部に係止されてキャップ6に対する光コネクタプラグ95の上下方向および左右方向への位置決めと、前記突出方向と平行な方向への外れ止めを行う光コネクタプラグ用係止片98が設けられている。
【0117】
前記キャップ6の前記清掃具用接続部97には、前記ヘッドカバー63の両側部に係止されて前記ヘッドカバー63に対するキャップ6の上下方向および左右方向への位置決めと、前記突出方向と平行な方向への外れ止めとを行う清掃具用係止片101が設けられている。
前記清掃具用係止片101は、前記キャップ6の後端面102が前記ヘッドカバー63の第1の突き当て面91に当接した状態で前記ヘッドカバー側面の突起94を乗り越えて係止されるものである。
【0118】
この実施の形態による光コネクタ用清掃具1で単体の光コネクタプラグ95を清掃する場合は、ヘッドカバー63にキャップ6を介して光コネクタプラグ95が接続される。キャップ6は、清掃具用係止片101によってヘッドカバー63に固定される。清掃後に光コネクタプラグ95をキャップ6から外すときには、キャップ6がヘッドカバー63に取付けられた状態でキャップ6から光コネクタプラグ95が外れる。
したがって、この実施の形態によれば、清掃後に光コネクタプラグ95をキャップ6から確実に外すことができるから、操作性が高い光コネクタ用清掃具を提供することができる。
【0119】
この実施の形態による前記キャップ6の前記光コネクタプラグ用係止片98は、前記光コネクタプラグ95が接続される光コネクタアダプタに設けられている光コネクタプラグ用係止片と長さが等しくなるように形成されている。キャップ6の前記清掃具用係止片101は、前記光コネクタプラグ用係止片98より長く形成されている。
このため、ヘッドカバー63に光コネクタアダプタを接続したときに光コネクタアダプタの係止片がヘッドカバー63に係止されることはない。
したがって、この実施の形態によれば、ヘッドカバー63が光コネクタアダプタに不必要に係止されることを確実に防ぐことができるから、より一層操作性が高い光コネクタ用清掃具を提供することができる。
【0120】
この実施の形態による前記ヘッドカバー63には、第1の突き当て面91と第2の突き当て面92とが形成されている。前記第1の突き当て面91は、前記キャップ6の後端面102と当接して前記突出方向(前後方向)と平行な方向への位置決めを行うものである。前記第2の突き当て面92は、前記第1の突き当て面91よりヘッドカバー63の前端側に位置し、前記光コネクタプラグ95が接続される光コネクタアダプタの後端面と当接して前記突出方向と平行な方向への位置決めを行うものである。
【0121】
このため、ヘッドカバー63にキャップ6を接続するときと、ヘッドカバー63に光コネクタアダプタを接続するときの両方において、前後方向(前記突出方向)への位置決めを正確に行うことができる。
したがって、清掃布3を光コネクタに押し付ける押圧力が常に一定になるから、さらに清掃性能の向上を図ることが可能な光コネクタ用清掃具を提供することができる。
【0122】
この実施の形態による光コネクタ用清掃具1は、押圧部材5を筐体7に対して前方に付勢するスライドスプリング53を備えている。このスライドスプリング53には、スライダ41のガイドロッド41bが貫通している。このため、スライドスプリング53が圧縮時に座屈により変形することを前記ガイドロッド41bで防ぐことができる。
したがって、スライドスプリング53として相対的に細いものを使用することができるから、ノーズ部4の小型化を図ることができる。また、スライドスプリング53とスライダ41およびヘッドプッシュベース54とを一つの組立体として筐体7に組み付けることができるから、組立作業性が向上する。
【0123】
この実施の形態による巻取用ボビン12とボビン回転ギア31との間には、ボビン回転ギア31が巻取方向に回転したときにのみ回転力を巻取用ボビン12に伝達する一方向クラッチ35が設けられている。このため、押圧部材5が後退後に前進するときにボビン回転ギア31が巻取用ボビン12を巻取方向とは逆方向に回転させることがない。この結果、清掃布3が正しく一方向に送られる。
【0124】
この実施の形態による巻取用ボビン12と筐体7の左半部9との間には、爪25と多数の爪26とからなる逆回転防止機構27が設けられている。このため、後退した押圧部材5が前進するときに巻取用ボビン12が巻取方向とは逆方向に回転することがないから、巻取用ボビン12の逆回転が原因で清掃布3が弛むことはない。したがって、清掃布3の送り量のばらつきが低減される。
【0125】
この実施の形態によるヘッドカバー63の前部には、ヘッドプッシュベース54の両側部に形成されているガイド溝68に嵌合する凸片83が設けられている。このため、ヘッドプッシュ62がヘッドカバー63内で上下方向に傾動して清掃布通路14が狭くなることがない。また、清掃ヘッド13を強固に保持できるから、清掃ヘッド13が清掃布3を押すときの押圧力の分布がばらつくようなこともない。したがって、清掃布3の挟み込み防止を図ることができるとともに、清掃性能の安定化を図ることができる。
【0126】
この実施の形態によるヘッドカバー63は、キャップ6の壁103,104に接触するリブ93を有している。このため、ヘッドカバー63にキャップ6を着脱させるときの摩擦抵抗が増大する。この結果、キャップ6を使用して清掃を行った後、キャップ6から光コネクタプラグ95を引き抜くときに、キャップ6が光コネクタプラグ95とともにヘッドカバー63から外れてしまうことがない。したがって、この実施の形態によれば、キャップ6がヘッドカバー63から不必要に外れることがないから、操作性が高い光コネクタ用清掃具を提供することができる。
【0127】
この実施の形態による筐体7は、供給用リール11を囲む隔壁16,17を備えている。このため、巻取用ボビン12に巻かれた清掃後の清掃布3に付着している塵埃が供給用リール11の清掃布3に移ることがない。すなわち、未使用の清掃布3の汚染防止を図ることができる。
【0128】
この実施の形態による光コネクタ用清掃具1は、前端の開口部分を閉塞することが可能なキャップ6を取付けることができるものである。このため、空気中の塵埃が未使用時に清掃ヘッド13側から筐体7内に侵入することを確実に防ぐことができる。したがって、この光コネクタ用清掃具1は、キャップ6が取付けられることによって、保管時に清掃性能が低下することがないものとなる。
【0129】
この実施の形態による前記打音発生部48の弾性変形部48aは、側面視C字状に形成されている。このため、打音発生部48が使用されるときに弾性変形部48aに応力が集中することがない。したがって、この打音発生部48は、繰り返し使用したとしても、変形したり破損することがない。すなわち、打音発生部48の耐クリープ性が向上する。なお、弾性変形部48aの形状は、側面視C字状に限定されることはなく、適宜変更することができる。弾性変形部48aは、例えば側面視U字状に形成することができる。
【0130】
この実施の形態によるスライドスプリング53は、前方に送られる清掃布3と、後方に引かれる清掃布3との間に位置付けられている。このため、清掃布3がスライドスプリング53の外に配置されるから、組立を容易に行うことができ、組立作業性が向上する。
【0131】
この実施の形態による筐体7の右半部8は、清掃布通路14が全域にわたって左半部9側に向けて開放されるように形成されている。このため、清掃布3を清掃布通路14に置く作業を簡単に行うことができるから、組立作業性が向上する。
【0132】
この実施の形態による清掃布通路14の前端部は、ヘッドプッシュベース54と、清掃ヘッド13を有するヘッドプッシュ62と、これらの部材を囲むヘッドカバー63とによって形成されている。このため、ヘッドプッシュベース54とヘッドプッシュ62とに清掃布3を沿わせた状態でこれらをヘッドカバー63の中に挿入することによって、清掃布通路14に清掃布3が通るようになる。したがって、この実施の形態による光コネクタ用清掃具1は、細いスリットに清掃布3を通すことなく組立てることができるから、組立作業性が高いものである。
【0133】
この実施の形態による巻取用ボビン12の芯部12bには、凹部74が形成されているとともにピン29が設けられている。このため、清掃布3の先端部を巻取用ボビン12に取付けるに当たって、清掃布3を捩る必要はなく、清掃布3の先端部を供給用リール11に仮止めするための粘着剤を使用して行うことができる。このため、清掃布3の先端部を簡単に巻取用ボビン12に固着させることができるから、組立作業性が向上する。
【0134】
この実施の形態による供給用リール11と巻取用ボビン12は、円板状のガイド部11a,12aを備えている。清掃布3は、前記ガイド部11a,12aと、筐体7の左半部9とによって幅方向への移動が規制された状態で筐体7内に収容されている。このため、供給用リール11と巻取用ボビン12に清掃布3を保持させるに当たって、2つのガイド部で挟む構造に比べると、ガイド部の数が少なくてよい。したがって、この実施の形態によれば、筐体7が清掃布3の幅方向にコンパクトに形成される。また、筐体7の左半部9を右半部8から取り外すことによって清掃布3の全域が露出するから、清掃布3を組付けたり交換したりする作業の作業性が向上する。