(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の一実施例について図を用いて説明する。
図1は本発明の一実施例である撮像装置を説明するためのブロック図である。
図1において、撮像装置100は、SENS部1、減算部2、補正値出力部3、後段部4、制御部5で構成されている。
SENS部1は、撮像手段である撮像素子を有する撮像部101と、A/D変換部(Analog-to-Digital Converter)102で構成され、図示していない光学部品を通して撮像部に入力された光が電気信号に変換され、さらに電気信号をA/D変換部で論理回路が扱えるデジタル信号に変換するまでの一連の動作部で、デジタル出力信号1aを出力する。SENS部1は制御部5から出力される制御信号5aにより制御される。
【0020】
減算部2は、SENS部1からのデジタル出力信号1aが入力され、別の入力である補正値出力信号3aの値が減算処理され、補正後の映像信号2aを出力する。
補正値出力部3は、SENS部1からのデジタル出力信号1aが入力され、補正値出力信号3aを出力する。補正値出力部3は、例えば、クリップ部30、期待値差分判定平均回路300、補正値保持メモリ部38、補正値保持レジスタ部39で構成されている。なお、フレームメモリ40は補正値保持メモリ部38に含まれている。
補正値出力信号3aは補正値出力部3において、内部で動作する期待値差分判定を用いた平均化回路である期待値差分判定平均回路300における参照値入力にも用いられる。
また、補正値出力部3は動作条件を決定するために、制御部5からカメラ調整値設定出力にて調整用データと、カメラタイミング出力4cにて動作切り替えタイミングが入力される。調整用データは平均範囲%や閾値など、動作切り替えタイミングは内部メモリのアドレス切り替えやデータレジスタの内容書き換えに対するタイミング情報である。
【0021】
後段部4は、補正後の映像信号2aが入力され、カメラ映像出力4aを出力する。
映像出力4aは、補正後の映像信号を元に他の映像機器へ接続できるカメラ映像出力する。
制御部5は撮像装置100の全体を制御する。制御部5は、例えば、3b、4b等を入力することにより、制御信号5a、5b、5c等を出力する。
【0022】
図2は本発明の一実施例である補正値出力部3の動作を説明するためのブロック図である。
補正値出力部3は、クリップ部30、差分検出部31、閾値判定部32、加算部33、閾値内画素データ出現頻度検出部34、設定部35、選択部36、正規化部37、補正値保持メモリ部38、補正値保持レジスタ部39で構成されている。
なお、
図1の期待値差分判定平均回路300は、例えば、
図2の差分検出部31、閾値判定部32、加算部33、閾値内画素データ出現頻度検出部34、設定部35、選択部36、正規化部37、設定部35で構成されている。
【0023】
クリップ部30は、SENS部1からのデジタル出力信号1aを補正用に用いるbit幅にクリップし、補正値出力部3で処理するbit幅を制限し、デジタル出力信号30aを出力する。なお、処理bit範囲の制限が不要であれば無くても良い。
【0024】
差分検出部31は、参照値入力3aと、画素データ入力30aから、差分の絶対値を求め、差分絶対値出力31aを出力する。
閾値判定部32は、内部に複数の閾値を持ち、差分絶対値出力31aが各閾値を超えているかどうかをデジタル値で示す閾値判定出力群32aを出力する。閾値判定部32は、閾値を利用者が設定できるように閾値設定データ群35bを入力しても良いし、閾値を自動的に変更するために閾値変遷制御信号38を入力しても良いが、固定した閾値であればそれらは無くても良い。
例えば、閾値設定データ群35bは閾値がabcの3種類である場合、35baの閾値a、35bbの閾値b、35bcの閾値cが入力される。
【0025】
加算部33は、画素データ入力30aと閾値判定出力群32aが入力され、各閾値に対して、閾値を超えない時だけ画素データ入力の値30aを加算する加算回路で、カメラタイミング出力4cにてリセットされた後に、加算動作を繰り返し平均する期間の後に各閾値に対する加算結果を、加算出力群33aとして出力する。
例えば、加算出力群33aは閾値がabcの3種類ある場合、33aaの閾値aに対する加算結果、33abの閾値bに対する加算結果、33acの閾値cに対する加算結果が出力される。
【0026】
閾値内画素データ出現回数判定部34は、閾値判定出力群32aが入力され、各閾値に対して、閾値を超えない時だけカウントする加算回路で、カメラタイミング出力4cにてリセットされた後に、カウンタ動作を繰り返し平均する期間の後に各閾値に対する閾値を下回った回数を、出現回数群34aとして出力する。
例えば、出現回数群34aは閾値がabcの3種類ある場合、34aaの閾値aを下回った回数、34abの閾値bを下回った回数、34acの閾値cを下回った回数が出力される。
【0027】
設定部35は、カメラ調整値設定出力4bを入力とし、補正値出力部3のための設定を保持して内部回路に与える。
利用平均範囲%設定35aは、平均に用いる母数のうちで閾値が出現した回数が何%を超えるまでを平均対象とするかを指定する設定値である。閾値設定データ群35bは、閾値判定部32で用いる各閾値を与える設定値であり、構成によっては無くても良い。他に平均に用いる母数の範囲やタイミングの開始や終了の値を保持する。
【0028】
選択部36は、出現回数群34aの中で利用平均範囲%設定35aによる出現回数を上回るものの内、一番閾値が低いものを選択して、36aの選択された閾値の出現回数36aを出力する。
【0029】
また、選択部36は加算出力群33aの中で選択された閾値の出現回数と同じ閾値に対する加算結果が選択され、選択された閾値に対する加算結果36bとして出力する。
例えば、閾値がabcの3種類あり、33aaの閾値aに対する加算結果、33abの閾値bに対する加算結果、33acの閾値cに対する加算結果と、34aaの閾値aを下回った回数、34abの閾値bを下回った回数、34acの閾値cを下回った回数が存在し、36aの選択された閾値の出現回数に、34acの閾値cを下回った回数が選ばれる場合は、36bの選択された閾値に対する加算結果には、33acの閾値cに対する加算結果が選ばれる。
【0030】
また、選択部36は、閾値判定部32における閾値の値を自動制御変更するために、閾値変遷制御信号36cを出力しても良い。
例えば、閾値判定部32には8段階の閾値を持つが、閾値判定出力群32aは5系統の閾値の結果しか出力せず、加算部33と、閾値内画素データ出現回数判定群部34に、それぞれ5つの加算器しか無いという回路数の削減がなされている場合に、閾値変遷制御信号38bが利用される。選択された閾値の出現回数36aが、現在利用されている5つ閾値の中点でない場合は、8つの閾値のうち利用する閾値を上下に変更するものである。この閾値変遷制御信号36cは、補正値保持メモリ部38に同じ座標の平均に対する閾値制御として合わせて保存され、次に同じ場所を平均化するときに補正値保持メモリ部38から閾値変遷制御信号38bとして利用される。
【0031】
正規化部37は、選択された閾値に対する加算結果36bを、選択された閾値の出現回数36aで除算し、極値除外平均化出力37aを出力する。
【0032】
補正値保持メモリ部38は、極値除外平均化出力37aと、カメラタイミング出力4cを入力し、平均が終了して補正値として保持すべき値が確定したタイミングを元にアドレスの指定する場所にデータを記憶する。なお、フレームメモリ40は補正値保持メモリ部38に含まれている。
また、データ記憶する以外のタイミングではアドレスの指定する場所のデータを補正値メモリ出力38aとして出力している。また、閾値変遷制御信号36cを用いる場合は付加信号として同時に記憶し、閾値変遷制御信号38bとして出力しても良い。
【0033】
補正値保持レジスタ部39は、補正値メモリ出力38aと、カメラタイミング出力4cを入力し、平均を開始するタイミング時に前回の同じアドレスでの平均結果である補正値メモリ出力38aをレジスタに記憶し、補正値出力信号3aを出力する。この時の補正値出力信号は即ち、差分検出部31のための参照値入力としての役割を果たす。
また、補正値保持レジスタ部39は、平均が終了して極値除外平均化出力37aを補正値として補正値保持メモリ部38に記憶した次のタイミング、即ち補正値保持メモリ部38が新たな補正値を補正値メモリ出力38aに出力した時点で、再びレジスタに記憶し、補正値出力信号3aを出力する。
【0034】
図3は撮像素子の遮光画素領域と感光画素領域を説明するための図である。
感光画素領域10は、撮像素子の感光画素領域を示し、撮像素子がレンズなどの光学画像を元に映像を出力できる領域である。
遮光画素領域11は、撮像素子の遮光画素領域を示し、感光画素領域10における感光画素と同等特性の画素が常時遮光されている領域である。
全画素領域12は、撮像素子の全画素領域を示し、外部からの駆動動作的には画素座標として振る舞うが、感光画素領域10における感光画素や、撮像素子の遮光画素領域11における遮光画素とは特性の異なる部分を含む。
【0035】
任意ライン13は、撮像素子の任意ラインの先頭部を拡大した図である。
遮光画素14は撮像素子の遮光画素を示す。この例では水平左部分に24画素並んでいることを示している。
感光画素15は撮像素子の感光画素を示している。
【0036】
図4は本発明の一実施例である補正値出力部の動作を説明するための図である。
図4は
図3における遮光画素14による24画素を、
図1のブロック構成で平均化する効果を信号レベルで示している。
【0037】
14aaは処理開始時の遮光画素の出力レベルを示す。縦方向が出力レベルで横方向が24個の画素に対応する。
14abは参照値不定な状態での差分絶対値の出力レベルを示す。縦方向が出力レベルで横方向が24個の画素に対応する。14aaの処理開始時の遮光画素の出力レベルに対して横方向の画素の位置を合わせて、縦方向を別スケールにて表現している。処理開始時には参照値が存在しないため不定である。
この例では0クリアされている場合を示しているが、不定値がどうあろうとも、差分の出力が全体に大きくなり、以降に示す閾値の大きい範囲が自動的に選択され、全対象画素の平均となるだけなので問題はない。
【0038】
14tは閾値のレベルスケールを示す。14abなどの差分絶対値の出力に対して縦方向のスケールを合わせ、TH0、TH1、TH2、TH3、TH4、TH5の閾値スケールを示している。ここではそれぞれの閾値が倍々である例を示している。
【0039】
14taは14aaで選択された閾値レベルを示している。TH5の倍のTH6となることを表現している。この例では全対象画素の3分の2に当たる16画素の差分絶対値が閾値以内に含まれるよう閾値レベルが選択されている。温度環境の変化などで遮光画素の出力にランダムノイズが重畳されたり、直流加算分が発生したりし、差分絶対値の値が大きくなった時も、この処理開始状態同様に自動的に全対象画素の3分の2に当たる16画素の差分絶対値を含む閾値レベルが選択されるため、追従して収斂動作を行うことができる。
【0040】
14acは同期性の傷を示す。24個の画素中、該当の位置に同期性の傷が毎回存在していることを例示している。
14aeは14aaを単純平均した出力レベルである。14acの同期性の傷を含むため、目視で予想され得る、有るべき平均よりレベルが小さくなっている。
【0041】
14afは本発明により14aaを平均した出力および14baに対する参照値のレベルを示す。処理開始で差分絶対値の判定に用いる参照値が不定であり、14taの閾値レベル以下に全対象画素の差分絶対値が有るため、平均の対象外とされる画素は無い。そのレベルは14aeの単純平均した出力レベルと何ら変わらない。しかしこの後のフレームに本発明の効果が表れる。秒数十枚の画像を出力する映像フレーム速度において、処理開始から数フレームで収斂するため何ら問題にならない。
【0042】
14baは14aaの次フレームの遮光画素の出力を示す。14aaの処理開始時の遮光画素の出力レベルに対して縦方向レベルの位置を合わせて、横方向に列記している。
14bbは14afを参照値に用いた14baとの差分絶対値の出力レベルを示す。縦方向が出力レベルで横方向が24個の画素に対応する。14baの出力レベルに対して横方向の画素の位置を合わせて、14abの参照値不定な状態での差分絶対値の出力レベルと縦方向を合わせたスケールにて表現している。参照値として14afが存在するため14abに比べて差分絶対値が小さくなり収斂されていく様子が判る。
【0043】
14tbは14baで選択された閾値レベルを示している。TH2となることを表現している。前述の通りこの例では全対象画素の3分の2に当たる16画素の差分絶対値が閾値以内に含まれるよう閾値レベルが選択されている。
14bcは同期性の傷を示す。24個の画素中、該当の位置に同期性の傷が毎回存在していることを例示している。14acと同様である。
14bdは放射線や点滅画素欠陥による傷を示している。放射線の衝突や、点滅性の画素欠陥が存在すると、局所的な時間と空間に急峻な雑音レベルが発生し平均誤差の温床となる。
【0044】
14beは14baを単純平均した出力レベルである。14bcの同期性の傷を含むが、より突出した14bdの放射線や点滅画素欠陥による傷も含むため、目視で予想され得る、有るべき平均よりレベルが極めて大きくなっている。
14bfは本発明により14baを平均した出力および14caに対する参照値のレベルを示す。14bbの差分絶対値を用いて、この例では全対象画素の3分の2以上を残すよう動作設定されているため、14tbの閾値レベルを超える大きく外れた値は外して平均化するため、14beの単純平均とは異なり、前回の14afの参照値よりさらに有るべき平均値に近付いた値となっている事が判る。
【0045】
14caは14baの次フレームの遮光画素の出力を示す。14aaの処理開始時の遮光画素の出力レベルに対して縦方向レベルの位置を合わせて、横方向に列記している。
14cbは14bfを参照値に用いた14caとの差分絶対値の出力レベルを示す。縦方向が出力レベルで横方向が24個の画素に対応する。14caの出力レベルに対して横方向の画素の位置を合わせて、14abの参照値不定な状態での差分絶対値の出力レベルと縦方向を合わせたスケールにて表現している。参照値として14afより平均精度の上がった14bfが存在するため14bbに比べて差分絶対値が小さくなり収斂されていく様子が判る。
【0046】
14tcは14caで選択された閾値レベルを示している。TH1となることを表現している。前述の通りこの例では全対象画素の3分の2に当たる16画素の差分絶対値が閾値以内に含まれるよう閾値レベルが選択されている。
14ccは同期性の傷を示す。24個の画素中、該当の位置に同期性の傷が毎回存在していることを例示している。14acと同様である。
14ceは14caを単純平均した出力レベルである。14ccの同期性の傷を含むため、14aeの場合と同様に目視で予想され得る、有るべき平均よりレベルが小さくなっている。
【0047】
14cfは本発明により14caを平均した出力および14daに対する参照値のレベルを示す。14cbの差分絶対値を用いて、この例では全対象画素の3分の2以上を残すよう動作設定されているため、14tcの閾値レベルを超える大きく外れた値は外して平均化するため、14ceの単純平均とは異なり、前回の14cfの参照値よりさらに、図を目視しても気が付かない部分の精度で、有るべき平均値に近付いた値となっている。
【0048】
14daは14caの次フレームの遮光画素の出力を示す。14aaの処理開始時の遮光画素の出力レベルに対して縦方向レベルの位置を合わせて、横方向に列記している。
14dbは14cfを参照値に用いた14daとの差分絶対値の出力レベルを示す。縦方向が出力レベルで横方向が24個の画素に対応する。14daの出力レベルに対して横方向の画素の位置を合わせて、14abの参照値不定な状態での差分絶対値の出力レベルと縦方向を合わせたスケールにて表現している。参照値として14bfより平均精度の上がった14cfを用いているが、この例ではほぼ収斂されているため14cbと見た目では差分絶対値の違いは判らない。
【0049】
14tdは14daで選択された閾値レベルを示している。TH1となることを表現している。前述の通りこの例では全対象画素の3分の2に当たる16画素の差分絶対値が閾値以内に含まれるよう閾値レベルが選択されている。
14dcは同期性の傷を示す。24個の画素中、該当の位置に同期性の傷が毎回存在していることを例示している。14acと同様である。
14deは14daを単純平均した出力レベルである。14dcの同期性の傷を含むため、14aeの場合と同様に目視で予想され得る、有るべき平均よりレベルが小さくなっている。
【0050】
14dfは本発明により14daを平均した出力および次フレームでの参照値のレベルを示す。14dbの差分絶対値を用いて、この例では全対象画素の3分の2以上を残すよう動作設定されているため、14tdの閾値レベルを超える大きく外れた値は外して平均化するため、14deの単純平均とは異なり、前回の14cfの参照値と同様に、有るべき平均値を示している。この例では前回の14cfの参照値と、14dfの参照値は同じ値であり、有るべき平均値へ収斂されている。
【0051】
14ae、14be、14ce、14deの単純平均が、常に同期性ノイズの影響を受ける上に、放射線など外来ノイズの影響も受けていることに対し、14af、14bf、14cf、14dfの本発明による平均および参照値が、フレームを繰り返す毎に平均精度を上げて収斂していく事が判る。
また前出の通り、環境変化により参照値と入力の各値がずれてきた場合も、差分絶対値を求めて、全対象画素の3分の2以上を残すよう動作設定しているため、平均範囲を自動的に拡張し、14afと類似する条件から収斂動作を続行できる。
この自動追従は従来の入力値のみを用いて固定の閾値を用いる方式では得られない、本発明の特徴である。
【0052】
図5は本発明の一実施例である補正値出力部の閾値変遷制御の動作を説明するための図である。
図5は、
図3における遮光画素14による24画素を、
図1のブロック構成で平均化する効果を信号レベルで示している。特に回路規模を削減するために閾値変遷制御信号36cを用いて、閾値変遷制御信号38bにより、閾値判定出力群32aを動的に変化させ、加算部33と、閾値内画素データ出現回数判定部34と、選択部36の内部回路数の削減を実現できる実施例である。
【0053】
14aaは処理開始時の遮光画素の出力レベルを示す。縦方向が出力レベルで横方向が24個の画素に対応する。
14abは参照値不定な状態での差分絶対値の出力レベルを示す。縦方向が出力レベルで横方向が24個の画素に対応する。14aaの処理開始時の遮光画素の出力レベルに対して横方向の画素の位置を合わせて、縦方向を別スケールにて表現している。処理開始時には参照値が存在しないため不定である。この例では0クリアされている場合を示しているが、不定値がどうあろうとも、差分の出力が全体に大きくなり、以降に示す閾値の大きい範囲が自動的に選択され、全対象画素の平均となるだけなので問題はない。
【0054】
14tsは可変する閾値出力のレベルスケールを示す。14abなどの差分絶対値の出力に対して縦方向のスケールを合わせ、THs0、THs1、THs2、THs3の4つの動的な閾値スケールを示している。ここではそれぞれの閾値が倍々の関係を保持し、動作開始時や環境変化時は粗い閾値から開始されることを示している。
14tsaは14aaで選択された閾値レベルを示している。参照値および閾値変遷制御信号が不定なため、閾値が最も粗い状態から開始されており、一番小さい閾値THs0がスケール外である。ゆえにTHs0が選択されていながら全画素が平均の対象となっている。
【0055】
THs0が選択されたため、THs0に割り当てられていた閾値の絶対値が、この例で32aの閾値判定出力群の中心となるTHs2に閾値変遷制御される。
この例では全対象画素の3分の2に当たる16画素の差分絶対値が閾値以内に含まれるよう閾値レベルが選択されている。温度環境の変化などで遮光画素の出力にランダムノイズが重畳されたり、直流加算分が発生したりし、差分絶対値の値が大きくなった時も、この処理開始状態同様に自動的に全対象画素の3分の2に当たる16画素の差分絶対値を含む閾値レベルが選択されるため、追従して収斂動作を行うことができる。
【0056】
14acは同期性の傷を示す。24個の画素中、該当の位置に同期性の傷が毎回存在していることを例示している。
14aeは14aaを単純平均した出力レベルである。14acの同期性の傷を含むため、目視で予想され得る、有るべき平均よりレベルが小さくなっている。
14afは本発明により14aaを平均した出力および14baに対する参照値のレベルを示す。処理開始で差分絶対値の判定に用いる参照値が不定であり、14tsaの閾値レベル以下に全対象画素の差分絶対値が有るため、平均の対象外とされる画素は無い。そのレベルは14aeの単純平均した出力レベルと何ら変わらない。しかしこの後のフレームに本発明の効果が表れる。秒数十枚の画像を出力する映像フレーム速度において、処理開始から数フレームで収斂するため何ら問題にならない。
【0057】
14baは14aaの次フレームの遮光画素の出力を示す。14aaの処理開始時の遮光画素の出力レベルに対して縦方向レベルの位置を合わせて、横方向に列記している。
14bb’は14afを参照値に用いた14baとの差分絶対値の出力レベルを示す。縦方向が出力レベルで横方向が24個の画素に対応する。14baの出力レベルに対して横方向の画素の位置を合わせて、14abの参照値不定な状態での差分絶対値の出力レベルと縦方向を合わせたスケールにて表現している。参照値として14afが存在するため14abに比べて差分絶対値が小さくなり収斂されていく様子が判る。
【0058】
14tsbは14baで選択された閾値レベルを示している。閾値変遷制御された後のTHs0となることを表現している。THs0が選択されたため、THs0に割り当てられていた閾値の絶対値が、この例で32aの閾値判定出力群の中心となるTHs2に閾値変遷制御される。
前述の通りこの例では全対象画素の3分の2に当たる16画素の差分絶対値が閾値以内に含まれるよう閾値レベルが選択されている。
【0059】
14bcは同期性の傷を示す。24個の画素中、該当の位置に同期性の傷が毎回存在していることを例示している。14acと同様である。
14bdは放射線や点滅画素欠陥による傷を示している。放射線の衝突や、点滅性の画素欠陥が存在すると、局所的な時間と空間に急峻な雑音レベルが発生し平均誤差の温床となる。
【0060】
14beは14baを単純平均した出力レベルである。14bcの同期性の傷を含むが、より突出した14bdの放射線や点滅画素欠陥による傷も含むため、目視で予想され得る、有るべき平均よりレベルが極めて大きくなっている。
14bf’ は本発明により14baを平均した出力および14caに対する参照値のレベルを示す。14bb’の差分絶対値を用いて、この例では全対象画素の3分の2以上を残すよう動作設定されているため、14tsbの閾値レベルを超える大きく外れた値は外して平均化するため、14beの単純平均とは異なり、前回の14afの参照値よりさらに有るべき平均値に近付いた値となっている事が判る。
【0061】
14caは14baの次フレームの遮光画素の出力を示す。14aaの処理開始時の遮光画素の出力レベルに対して縦方向レベルの位置を合わせて、横方向に列記している。
14cb’ は14bf’ を参照値に用いた14caとの差分絶対値の出力レベルを示す。縦方向が出力レベルで横方向が24個の画素に対応する。14caの出力レベルに対して横方向の画素の位置を合わせて、14abの参照値不定な状態での差分絶対値の出力レベルと縦方向を合わせたスケールにて表現している。参照値として14afより平均精度の上がった14bfが存在するため14bbに比べて差分絶対値が小さくなり収斂されていく様子が判る。
【0062】
14tscは14caで選択された閾値レベルを示している。閾値変遷制御された後のTHs0となることを表現している。THs0が選択されたため、THs0に割り当てられていた閾値の絶対値が、この例で32aの閾値判定出力群の中心となるTHs2に閾値変遷制御される。前述の通りこの例では全対象画素の3分の2に当たる16画素の差分絶対値が閾値以内に含まれるよう閾値レベルが選択されている。
【0063】
14ccは同期性の傷を示す。24個の画素中、該当の位置に同期性の傷が毎回存在していることを例示している。14acと同様である。
14ceは14caを単純平均した出力レベルである。14ccの同期性の傷を含むため、14aeの場合と同様に目視で予想され得る、有るべき平均よりレベルが小さくなっている。
【0064】
14cfは本発明により14caを平均した出力および14daに対する参照値のレベルを示す。14cbの差分絶対値を用いて、この例では全対象画素の3分の2以上を残すよう動作設定されているため、14tscの閾値レベルを超える大きく外れた値は外して平均化するため、14ceの単純平均とは異なり、前回の14cfの参照値よりさらに、図を目視しても気が付かない部分の精度で、有るべき平均値に近付いた値となっている。
【0065】
14daは14caの次フレームの遮光画素の出力を示す。14aaの処理開始時の遮光画素の出力レベルに対して縦方向レベルの位置を合わせて、横方向に列記している。
14dbは14cfを参照値に用いた14daとの差分絶対値の出力レベルを示す。縦方向が出力レベルで横方向が24個の画素に対応する。14daの出力レベルに対して横方向の画素の位置を合わせて、14abの参照値不定な状態での差分絶対値の出力レベルと縦方向を合わせたスケールにて表現している。参照値として14bfより平均精度の上がった14cfを用いているが、この例ではほぼ収斂されているため14cbと見た目では差分絶対値の違いは判らない。
【0066】
14tsdは14daで選択された閾値レベルを示している。THs1となることを表現している。THs1が選択されたため、THs1に割り当てられていた閾値の絶対値が、この例で32aの閾値判定出力群の中心となるTHs2に閾値変遷制御される。ただし閾値が下限であればTHs0からTHs3の値は保持される。前述の通りこの例では全対象画素の3分の2に当たる16画素の差分絶対値が閾値以内に含まれるよう閾値レベルが選択されている。
【0067】
14dcは同期性の傷を示す。24個の画素中、該当の位置に同期性の傷が毎回存在していることを例示している。14acと同様である。
14deは14daを単純平均した出力レベルである。14dcの同期性の傷を含むため、14aeの場合と同様に目視で予想され得る、有るべき平均よりレベルが小さくなっている。
14dfは本発明により14daを平均した出力および次フレームでの参照値のレベルを示す。14dbの差分絶対値を用いて、この例では全対象画素の3分の2以上を残すよう動作設定されているため、14tsdの閾値レベルを超える大きく外れた値は外して平均化するため、14deの単純平均とは異なり、有るべき平均値を示している。
【0068】
14ae、14be、14ce、14deの単純平均が、常に同期性ノイズの影響を受ける上に、放射線など外来ノイズの影響も受けていることに対し、14af、14bf、14cf、14dfの本発明による平均および参照値が、フレームを繰り返す毎に平均精度を上げて収斂していく事が判る。
【0069】
この一実施例では可変閾値のTHs0、THs1、THs2、THs3と全平均の5つに対して、33の画素データ加算回路群と、34の閾値内画素データ出現回数判定群と、36の選択回路の内部回路を持てばよい。実施例1によるTH0乃至TH6以上と全平均では少なくとも8回路必要であり、回路の簡略化を図ることができる。
また前出の通り、環境変化により参照値と入力の各値がずれてきた場合も、差分絶対値を求めて、全対象画素の3分の2以上を残すよう動作設定しているため、平均範囲を自動的に拡張し、14afと類似する条件から収斂動作を続行できる。4つの可変閾値に加え、全平均を持つことで、環境変化で値が大きくずれても最初から収斂動作を継続できる。
【0070】
図6はフレームメモリへのデータ記憶を説明するための図である。
図2の期待値差分判定は、複数フレームの画像平均化に対しても有効である。
図6はフレームメモリへのデータ記憶の一実施例である。40はフレームメモリを表している。映像の垂直と水平のアドレスが相関を持って記憶されることを示している。
【0071】
通常の場合は、
図6(A)に示すように撮像素子の全画素領域12に対して、フレームメモリ40に撮像素子の感光画素領域10による、感光領域データ10aが記憶される。
従来、画像補正用に遮光画像領域を用いたい場合は
図6(B)に示すように撮像素子の全画素領域12に対して、フレームメモリ40に撮像素子の感光画素領域10による感光領域データ10aに加えて、撮像素子の遮光画素領域11による遮光領域データ11aが記憶される。この時、垂直と水平の画素座標が相関するように記憶される。
本発明の一実施例では
図6(A)や
図6(B)のフレームメモリへのデータ記憶の他に、より効率的かつ精度良く平均化を行うために
図6(C)や
図6(D)のフレームメモリへデータ記憶する。
【0072】
図6(C)はフレームメモリへの記憶データに撮像素子の感光画素領域10による感光領域データ10aと、撮像素子の遮光画素領域11からデータを平均化した遮光領域平均データ11faを記憶する形式を示している。
この時、垂直と水平の画素座標が相関するように記憶される。この遮光領域の平均化を行ったデータは、フレームメモリに記憶する時に、該当画像データの遮光領域の平均化を完了しておくことで、その後にフレームメモリに記憶されたデータと、現在撮影しているデータを比較する場合に、現在撮影しているデータの遮光領域を平均化すれば、フレームメモリの記憶データ側の平均化を同時に行う必要なく比較できる利点が有り、平均化回路の共通化や、回路重複の冗長性、動作電力の低減を図れる。
【0073】
遮光領域平均データ11faに関しては
図6(S)で説明する。
11Lは遮光領域の左部である。11の撮像素子の遮光画素領域を平均化する部位ごとに取り出した一部となる。11Lfは遮光領域左部の平均化データである。11Lに示す遮光領域の左部に関して水平方向にデータの平均化を完了したものとなる。同様に、11Rは遮光領域の右部であり、11Rfは遮光領域右部の平均化データとなり、11Rに示す遮光領域の右部に関して水平方向にデータの平均化を完了したものとなる。
【0074】
同様に撮像素子の遮光画素領域11を平均化する部位ごとに取り出す一実施例を示すものとして上部について、11LUは遮光領域の左上部、11LfUは遮光領域左の平均化データ上部、11Uは遮光領域の上中央部、11RUは遮光領域の右上部、11RfUは遮光領域右の平均化データ上部を、それぞれ示す。
上記各該当領域及びデータに関して、遮光領域上部を垂直方向に平均化完了したデータとして、11LUfは遮光領域左上部の垂直平均化データ、11LfUfは遮光領域左平均化データ上部の垂直平均化データ、11Ufは遮光領域上中央部の垂直平均化データ、11RUfは遮光領域右上部の垂直平均化データ、11RfUfは遮光領域右平均化データ上部の垂直平均化データを、それぞれ示している。
【0075】
同様に撮像素子の遮光画素領域11を平均化する部位ごとに取り出す一実施例を示すものとして下部について、11LDは遮光領域の左下部、11LfDは遮光領域左の平均化データ下部、11Dは遮光領域の下中央部、11RDは遮光領域の右下部、11RfDは遮光領域右の平均化データ下部を、それぞれ示す。
上記各該当領域及びデータに関して、遮光領域下部を垂直方向に平均化完了したデータとして、11LDfは遮光領域左下部の垂直平均化データ、11LfDfは遮光領域左平均化データ下部の垂直平均化データ、11Dfは遮光領域下中央部の垂直平均化データ、11RDfは遮光領域右下部の垂直平均化データ、11RfDfは遮光領域右平均化データ下部の垂直平均化データを、それぞれ示している。
【0076】
図6(C)における遮光領域平均データ11faでは、4角にあたる11LfUfの遮光領域左平均化データ上部の垂直平均化データと、11RfUfの遮光領域右平均化データ上部の垂直平均化データ、11LfDfの遮光領域左平均化データ下部の垂直平均化データ、11RfDfの遮光領域右平均化データ下部の垂直平均化データ、および左右にあたる11Lfの遮光領域左部の平均化データから10aの感光領域データとの相関部と、11Rfは遮光領域右部の平均化データから10aの感光領域データとの相関部、および上下にあたる11Ufの遮光領域上中央部の垂直平均化データと、11Dfの遮光領域下中央部の垂直平均化データを、垂直と水平の画素座標が10aの感光領域データと相関するように記憶される一実施例が示されている。
図6(C)の構成の場合、10aの感光領域データと相関する11faの遮光領域平均データが記憶されていれば、その記憶部位については多々の形式が有る。
【0077】
図6(D)はフレームメモリへの記憶データに10の撮像素子の感光画素領域10による感光領域データ10aと、撮像素子の遮光画素領域11による遮光領域データ11aに加えて、撮像素子の遮光画素領域11からデータを平均化した11faの遮光領域平均データを記憶する形式を示している。この時、垂直と水平の画素座標が相関するように記憶される。
この遮光領域の平均化を行ったデータ記憶は、フレームメモリ40に記憶する時に、該当画像データの遮光領域の平均化を完了しておくことで、その後にフレームメモリに記憶されたデータと、現在撮影しているデータを比較する場合に、現在撮影しているデータの遮光領域を平均化すれば、フレームメモリ記憶データ側の平均化を同時に行う必要なく比較できる利点が有り、平均化回路の共通化や、回路重複の冗長性、動作電力の低減を図れる。
【0078】
さらに平均前の元データである遮光領域データ11aも記憶しておくことで、平均前のデータについてと、平均後のデータについて、記憶データと現在データを比較する事が可能となり、周囲温度などの環境変化の確認に用いる事ができる。
図6(D)においては、遮光領域データ11aと、遮光領域平均データ11faに関して、全てのデータについて、垂直と水平の画素座標が10aの感光領域データと相関するように記憶される一実施例が示されている。
図6(D)の構成の場合、感光領域データ10aと相関する遮光領域データ11aと、遮光領域平均データ11faが記憶されていれば、その記憶部位については多々の形式が有る。
【0079】
次に、
図1と
図7を用いて、本発明の一実施例である複数フレーム同一画素平均化の動作を説明する。
図7は本発明の一実施例である複数フレーム同一画素平均化の動作を説明するための図である。
40はフレームメモリを表している。左のフレームメモリ40は本発明の処理前、右のフレームメモリ40は本発明の処理後を示している。
各画像の撮影時には光学的な遮光状態がある状態とし、感光画素領域のデータも遮光された時の出力データがメモリに記憶されていることを示している。
【0080】
10a1は1フレーム目の感光画素領域のデータであり、11a1は1フレーム目の遮光画素領域のデータである。10a2は2フレーム目の感光画素領域のデータであり、11a2は2フレーム目の遮光画素領域のデータである。10a3は3フレーム目の感光画素領域のデータであり、11a3は3フレーム目の遮光画素領域のデータである。10a4は4フレーム目の感光画素領域のデータであり、11a4は4フレーム目の遮光画素領域のデータである。10a5は5フレーム目の感光画素領域のデータであり、11a5は5フレーム目の遮光画素領域のデータである。10a6は6フレーム目の感光画素領域のデータであり、11a6は6フレーム目の遮光画素領域のデータである。10a7は7フレーム目の感光画素領域のデータであり、11a7は7フレーム目の遮光画素領域のデータである。10a8は8フレーム目の感光画素領域のデータであり、11a8は8フレーム目の遮光画素領域のデータである。
【0081】
10a0は感光画素領域の単純平均データであり、11a0は遮光画素領域の単純平均データである。前出の1フレーム目から8フレーム目までの出力を画素毎に単純平均されたデータが記憶されることを示している。
【0082】
10a1aは1フレーム目の感光画素領域における処理画素のデータである。
10a2aは2フレーム目の感光画素領域における処理画素のデータである。
10a3aは3フレーム目の感光画素領域における処理画素のデータであり、放射線や点滅画素欠陥により、急峻な雑音レベルが発生している事を示している。
10a4aは4フレーム目の感光画素領域における処理画素のデータである。
10a5aは5フレーム目の感光画素領域における処理画素のデータである。
10a6aは6フレーム目の感光画素領域における処理画素のデータである。
10a7aは7フレーム目の感光画素領域における処理画素のデータである。
10a8aは8フレーム目の感光画素領域における処理画素のデータである。
10a0aは感光画素領域の単純平均における処理画素のデータであり、平均化に10a3aの3フレーム目の感光画素領域における処理画素のデータから放射線や点滅画素欠陥による急峻な雑音レベルが含まれてしまった事を示している。
【0083】
300は本発明の中心構成となる期待値差分判定平均化回路である。
図2の本発明の一実施例に用いる期待値差分判定を用いた平均化回路のブロック構成図が用いられる部分である。
水平遮光領域の平均化においては画素データ入力30aに水平同一ラインの画素が順次入力されていた。本発明を複数フレーム同一画素平均化へ適用する場合は、画素データ入力30aに記憶された複数フレームの同一座標の画素データを入力として用いる。前出の処理画素のデータが順次入力される。
水平遮光領域の平均化においては参照値入力3aに前回の同一ラインの平均値を用いていた。本発明を複数フレーム同一画素平均化へ適用する場合は、参照値入力3aに複数フレームの同一座標の画素データを平均化した値を用いる。前出10a0aの感光画素領域の単純平均における処理画素のデータが入力される。この例では単純平均を用いているが、本発明の一実施例を用いた帰還を繰り返して精度を上げても良い。
【0084】
10a0aaは単純平均における処理画素データのレベルである。縦方向に出力レベルを表現している。
10a1aaは1フレーム目における処理画素データのレベルである。縦方向の出力レベルを10a0aaと同一スケールで表現している。
10a2aaは2フレーム目における処理画素データのレベルである。縦方向の出力レベルを10a0aaと同一スケールで表現している。
10a3aaは3フレーム目における処理画素データのレベルである。縦方向の出力レベルを10a0aaと同一スケールで表現し、放射線や点滅画素欠陥により、急峻な雑音レベルが発生している事を示している。
10a4aaは4フレーム目における処理画素データのレベルである。縦方向の出力レベルを10a0aaと同一スケールで表現している。
10a5aaは5フレーム目における処理画素データのレベルである。縦方向の出力レベルを10a0aaと同一スケールで表現している。
10a6aaは6フレーム目における処理画素データのレベルである。縦方向の出力レベルを10a0aaと同一スケールで表現している。
10a7aaは7フレーム目における処理画素データのレベルである。縦方向の出力レベルを10a0aaと同一スケールで表現している。
10a8aaは8フレーム目における処理画素データのレベルである。縦方向の出力レベルを10a0aaと同一スケールで表現している。
【0085】
10bbは処理画素における差分絶対値のレベルである。横方向に各フレームの処理画素データと合わせて、縦方向の座標をずらした位置に表現している。放射線や点滅画素欠陥の影響の有る10a3aaに対応する場所が突出している。
10tは処理画素において選択される閾値である。この一実施例では全処理対象フレームの画素から3/4以上が含まれる閾値が選択されるため、前出の10a3aaに対応する突出したフレームに対応するデータが平均化から除外される。
10b0aaは本発明を用いた処理画素データのレベルである。放射線や点滅画素欠陥の影響の有るデータが除外され、有るべき平均値となっている。37aの極値除外平均化出力に10b0aaの本発明を用いた処理画素データのレベルが出力され、処理画素の座標データとしてフレームメモリに記憶される。
10b0は本発明の一実施例を用いた感光画素領域の平均データであり、11b0は本発明の一実施例を用いた遮光画素領域の平均データである。10a0の感光画素領域の単純平均データや、11a0の遮光画素領域の単純平均データに対して、放射線や点滅画素欠陥の影響が除外され、より良い精度で複数フレーム同一画素平均化が行えている。
【0086】
次に、
図1と
図8を用いて、本発明の一実施例である補正値出力部の再平均化の動作を説明する。
図8は本発明の一実施例である補正値出力部の再平均化の動作を説明するための図である。
図2の期待値差分判定は、フレームメモリに記憶されているデータ領域を再平均化する場合に対しても有効である。
本一実施例では上述の期待値差分判定平均化回路300を用いて画素単位の平均化が完了していることを示しており、10b0は本発明の一実施例を用いた感光画素領域の平均データであり、11b0は本発明の一実施例を用いた遮光画素領域の平均データである。
【0087】
14’は任意のラインにメモリ記憶された遮光画素のデータである。撮像素子からの画素の代わりに、30aの画素データ入力に順次入力される。14aa’は記憶された遮光画素のデータレベルであり、横軸は14’と位置を合わせ、縦軸に出力レベルを示している。この例では画素単位の平均化の後であるため放射線や点滅欠陥の影響は無い。14ac’は同期性の傷である。この同期性の傷の他、画素固有のノイズは画素単位の平均化では残っており、遮光画素領域の平均値を正確に求めるために記憶データからの再平均化を行う。
【0088】
3aの参照値入力は初回不定となるため、37aの初回出力は単純平均となる。14af’は単純平均出力のレベルである。同期性の傷などの除外すべきデータを含む平均である。このため1回以上は3aの参照値入力へ帰還して、37aの極値除外平均化出力が有効に働いたデータを生成する。この時、30aの画素データ入力は同じラインのデータを繰り返し用いれば良い。14bf”は本発明の一実施例を用いて遮光領域を再平均化したレベルである。この14bf”の再平均化レベルを、40のフレームメモリ上で同じラインに相関させて保存する。
【0089】
11b0fは遮光領域再平均化データである。14bf”の再平均化レベルをライン毎に記憶していき生成されるものである。再平均化にて遮光領域の平均値を生成する手法を用いることで、本発明の一実施例の中心構成となる期待値差分判定平均化回路300を複数搭載せずに必要とする平均値を精度良く得ることができる。
【0090】
次に、
図1と
図9を用いて、本発明の一実施例である補正値出力部の環境変化追従固定ノイズ除去の動作を説明する。
図9は本発明の一実施例である補正値出力部の環境変化追従固定ノイズ除去の動作を説明するための図である。
10cは撮影中の感光画素領域のデータであり、11cは撮影中の遮光画素領域のデータである。300の本発明の中心構成となる期待値差分判定平均化回路は、11cは撮影中の遮光画素領域のデータをライン毎の水平方向で平均化している。
【0091】
フレームメモリ40には、上述の実施例を用いて既に、10b0の遮光時での感光領域データと、11b0の遮光領域データ、11b0fの遮光領域再平均化データが記憶されている。これらデータは固定ノイズ除去のための補正信号のために用いる。
51は再平均データの読出し信号である。37aの極値除外平均化出力に対応するラインについて、11b0fの遮光領域再平均化データが読み出される。
52は5連の係数乗算回路である。現在の中心係数kに対して上下2つの係数を用いて、51の再平均データの読出し信号に乗算した値を生成する。例えばkに対してk±0.1の上下の係数として、k±0.2をさらに上下の係数として用いて、51の再平均データの読出し信号に乗算を行う。
【0092】
53はライン相関の図である。37aの極値除外平均化出力の動作しているラインと、51の再平均データの読出し信号のラインと、52の5連の係数乗算回路の出力しているラインが同一であることを示すために記載している。
54は5連の差分絶対値生成回路である。37aの極値除外平均化出力と、52は5連の係数乗算回路による5つの各出力の差分絶対値を出力する。
55は最小値判定回路である。54の5連差分絶対値生成回路から差分絶対値が最少となる係数にフラグを立てる。
56は5連のシフトレジスタである。55の最小値判定回路が出力するフラグを各係数に対して一定分シフトレジスタに溜めておく。
【0093】
57は係数補正回路である。56の5連シフトレジスタの各列のフラグの量を監視する。必要に応じて、4bのカメラ調整値設定出力で利用するシフトレジスタの範囲を設定し、4cのカメラタイミング出力で垂直同期や複数フレームに同期させて補正係数の切り替えを管理しても良い。kの列以外が出現頻度最大となった場合は、係数kの値をその最大となった列に置き換え、57aの係数出力に出力する。2つの列の出現頻度がほぼ等しい時は、係数kの値をその2つの平均値に置き換えて57aの係数出力に出力する。57aの係数出力をk以外に置き換えた場合には、57bのシフトレジスタクリア信号を出力し、56の5連シフトレジスタをクリアする。56の5連シフトレジスタに一定の数のフラグが溜まるまでは新しく設定した係数kを57aの係数出力に出力しておく。
【0094】
58は係数乗算回路である。10b0の遮光時での感光領域データに係数kを乗算して補正用のデータを生成する。55の最小値判定回路にて撮影中の遮光領域平均と補正用の遮光領域平均の差が最少になる係数が算出され、57の係数補正回路にて差が最少になる係数へ変更されるため、記憶されているデータと現在撮影中のデータでの環境の差異が最少となる係数kが選択されている。この係数kを10b0の遮光時での感光領域データに乗算することで、撮影中の感光領域データに含まれる固定ノイズと等価な値を生成する。
59は固定ノイズ減算回路である。10cの撮影中の感光画素領域のデータから、補正用のデータを減算する。撮影中の感光領域データに含まれる固定ノイズと等価な値が減算されることで、環境変化に追従した固定ノイズ除去を行うことができる。
【0095】
本発明の上述の一実施例によれば、雑音低減のため、撮像素子のオプティカルブラック領域の画素から得られる画像信号を平均するにあたり、平均から除外すべき極値を除外しつつ、データの並べ替えを行わずに適切な閾値にシフトする動作を行うことで、環境追従する極値除外平均回路を小規模論理で実現できる。
さらに本発明の上述の一実施例による期待値すなわち現在迄の補正値と新しい補正元データとの差分を用いて差分の近い値から平均を取り新しい補正値を求める方式は、温度などの環境変動への追従ができる。
【0096】
以上本発明について詳細に説明したが、本発明は、ここに記載された単板方式の撮像装置に限定されるものではなく、上記以外の複数板方式の撮像装置に広く適用することができることは言うまでもない。