【実施例】
【0021】
次に、実施例について本発明を説明する。
【0022】
実施例1
HOCH2CF(CF3)OCF2CF(CF3)OCF2CF2OCF(CF3)CH2OH〔OXF3PO〕1250mg、ホウ酸
60mgおよびテトラヒドロフラン〔THF〕2mlを容量30mlの反応容器に仕込み、室温条件下で1日撹拌した。その後、溶媒を留去し、目的とする含フッ素ホウ酸コンポジット粒子
1061mg(収率
81%)を得た。得られた含フッ素ホウ酸コンポジット粒子について、次の各項目の測定を行った。
粒子径およびそのバラツキ:表1
25℃で固形分濃度1g/Lメタノール分散液について、動的光散乱(DLS)測定法によって測定
液滴の接触角(単位:°):表2
メタノール分散液(粒子濃度5g/L)を、ガラスプレパラートにディッピングし、室温条件下で乾燥させ、得られた薄膜表面にn-ドデカンまたは水の液滴4μlを静かに接触させ、付着した液滴の接触角を、θ/2法により接触角計(協和界面化学製Drop Master 300)で測定した。なお、水については経時的な測定が行われた。
各実施例でのガラス基材に対する接触角は、n-ドデカンおよび水に対しいずれも撥水性もしくは撥油性を示した。
【0023】
実施例
2〜10
実施例1において、
OXF3PO量およびホウ酸量が種々変更され、あるいはOXF3POの代りに種々の含フッ素アルコールが用いられ、またテトラエトキシシラン〔TEOS;密度0.94g/cm
3〕も適宜用いられた。THF量は、実施例
5〜7では4ml用いられた。
OXF3PO:HOCH
2CF(CF
3)OCF
2CF(CF
3)OCF
2CF
2OCF(CF
3)CH
2OH
OXF14PO:HOCH
2CF(CF
3)〔OCF
2CF(CF
3)〕
nOCF
2CF
2O〔CF(CF
3)CF
2O〕
mCF(CF
3)CH
2OH
(n+m=12)
DTFAC:C
4F
9(CH
2CF
2)(CF
2CF
2)
2(CH
2CH
2)OH
表1
含フッ素アルコール ホウ酸
TEOS 収量 収率 粒子径
実施例 略号 mg mM (mg) ml mM (mg) (%) (nm)
1 OXF3PO 1250 2.23 60 − − 1061 81 313.0±46.0
2 OXF3PO 1250 2.23 30 − − 1152 90 288.0±78.0
3 OXF3PO 5600 10.0 30 0.05 0.23 1011 79 266.0±30.0
4 OXF3PO 1250 2.23 60 0.10 0.45 1166 89 65.7± 8.9
5 OXF14PO 1000 0.42 6.5 − − 393 39 128.0±14.0
6 OXF14PO 1000 0.42 13 − − 365 36 262.0±59.0
7 OXF14PO 1000 0.42 26 − − 349 34 15.7± 1.0
8 DTFAC 100 0.19 12 − − 108 96 105.0±25.0
9 DTFAC 100 0.19 5.9 − − 103 97 10.8± 1.1
10 DTFAC 100 0.19 2.9 − − 99 96 313.0±78.0
表2
水 (経過時間:分)
例 n-ドデカン 0 5 10 15 20 25 30
実施例1 49 62 56 50 45 36 30 29
〃 2 20 67 65 62 60 59 56 56
〃 3 47 44 42 41 37 36 33 31
〃 4 40 25 21 19 17 16 15 14
〃 5 53 53 50 49 47 46 45 42
〃 6 53 55 56 53 50 48 47 44
〃 7 56 58 49 48 47 44 43 42
〃 8 38 77 74 69 63 57 57 60
〃 9 49 71 69 66 60 53 47 43
〃 10 50 100 93 93 86 80 80 80
【0024】
比較例1
コーティングされていないガラス基材について、実施例1と同様に液滴の接触角測定が行われた。
【0025】
比較例2
ホウ酸を用いてコーティングされたガラス基材について、実施例1と同様に液滴の接触角測定が行われた。
【0026】
比較例3〜
5、
参考例1〜2
実施例1の液滴の接触角測定において、含フッ素ホウ酸コンポジット粒子メタノール分散液の代わりに下記試料のメタノール分散液(5g/L)を用いてコーティングされたガラス基材が用いられた。
比較例3:ホウ酸/TEOS
比較例4:
CF3(CF2)5(CH2)2OH〔FA-6
〕
比較例5:FA-6/TEOS
参考例1:OXF3PO
参考例2:OXF14PO
ただし、比較例3では、実施例1において
OXF3POが用いられず、ホウ酸50mg(0.81ミリモル)、TEOS 0.10ml(0.45ミリモル)が用いられ、生成物の収量は130mg、収率は90%であった。また、比較例5では、実施例1においてホウ酸が用いられず、
OXF3POの代わりにFA-6 1100mg(3.02ミリモル)
が、
さらにTEOS 0.10ml(0.45ミリモル)が用いられ、生成物の収量は763mg、収率は68%であった。
【0027】
以上の各比較例
および参考例で得られた結果は、次の表3に示される。
表3
水 (経過時間:分)
例 n-ドデカン 0 5 10 15 20 25 30
比較例1 0 50 − − − − − −
〃 2 22 66 − − − − − −
〃 3 20 55 − − − − − −
〃 4 30 43 39 35 31 22 21 16
〃 5 11 36 32 28 21 17 13 7
参考例1 45 62 60 58 56 55 50 53
〃 2 58 63 54 51 49 47 45 42