特許第5955587号(P5955587)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 花王株式会社の特許一覧

<>
  • 特許5955587-計量注出キャップ 図000002
  • 特許5955587-計量注出キャップ 図000003
  • 特許5955587-計量注出キャップ 図000004
  • 特許5955587-計量注出キャップ 図000005
  • 特許5955587-計量注出キャップ 図000006
  • 特許5955587-計量注出キャップ 図000007
  • 特許5955587-計量注出キャップ 図000008
  • 特許5955587-計量注出キャップ 図000009
  • 特許5955587-計量注出キャップ 図000010
  • 特許5955587-計量注出キャップ 図000011
  • 特許5955587-計量注出キャップ 図000012
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5955587
(24)【登録日】2016年6月24日
(45)【発行日】2016年7月20日
(54)【発明の名称】計量注出キャップ
(51)【国際特許分類】
   B65D 47/20 20060101AFI20160707BHJP
【FI】
   B65D47/20 A
   B65D47/20 Q
【請求項の数】8
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2012-42223(P2012-42223)
(22)【出願日】2012年2月28日
(65)【公開番号】特開2013-177174(P2013-177174A)
(43)【公開日】2013年9月9日
【審査請求日】2014年12月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002170
【氏名又は名称】特許業務法人翔和国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100076532
【弁理士】
【氏名又は名称】羽鳥 修
(74)【代理人】
【識別番号】100101292
【弁理士】
【氏名又は名称】松嶋 善之
(74)【代理人】
【識別番号】100107205
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 秀一
(72)【発明者】
【氏名】菅原 博勝
(72)【発明者】
【氏名】森谷 始旦
(72)【発明者】
【氏名】稲葉 真一
(72)【発明者】
【氏名】藤田 実智昭
【審査官】 神山 茂樹
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−120670(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2006/0091152(US,A1)
【文献】 特開平09−077111(JP,A)
【文献】 実開昭63−028655(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 47/20、51/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スクイズ容器の容器本体の口首部に取り付けて用いられ、注出量を確認しながら内容液を注出可能とする計量注出キャップであって、
前記口首部の先端流出開口を覆って配置される液溜め計量室を備えており、該液溜め計量室は、前記口首部の内側に向けて開口する複数の流出口が設けられた底壁部と、容器の外部に向けて開口する注出口が設けられた外周壁部とによって周囲を囲まれることで形成されており、
前記底壁部に設けられた前記複数の流出口は、前記外周壁部に設けられた前記注出口と連通する主流出口と、前記液溜め計量室と連通する補助流出口とからなり、
且つ前記主流出口と前記補助流出口とは、前記容器本体を所定の方向に傾倒させて内容液を注出させた際に、前記主流出口から前記注出口に流出される内容液の流量と、前記補助流出口から前記液溜め計量室に流出される内容液の流量とが、一定の比例関係となるような形状及び位置関係で形成されており、
前記補助流出口を介して前記液溜め計量室に流入した液量を視認することで、前記主流出口を介して前記注出口から注出される液量を確認しながら内容液を注出可能となっており、
前記外周壁部に、前記液溜め計量室に外気を取り込む通気孔が形成されている計量注出キャップ。
【請求項2】
前記外周壁部に、前記注出口から注出される内容液を一旦受けてからさらに注出させる凹状ノズル部が設けられており、該凹状ノズル部が下方に配置されるように傾倒させる方向が、前記容器本体を傾倒させる前記所定の方向となっている請求項1記載の計量注出キャップ。
【請求項3】
前記主流出口と前記補助流出口とは、前記液溜め計量室を前記凹状ノズル部が設けられた正面側から見た際に、前記凹状ノズル部を横幅方向に2等分割する中心線を対称軸とする、線対称な形状及び位置関係となるように形成されている請求項2記載の計量注出キャップ。
【請求項4】
前記補助流出口が、一対の前記主流出口の間に挟まれて前記底壁部に開口形成されている請求項3記載の計量注出キャップ。
【請求項5】
前記主流出口及び前記補助流出口が、縦長の矩形形状を有している請求項3又は4記載の計量注出キャップ。
【請求項6】
前記外周壁部に、前記注出口及び前記凹状ノズル部の外側を囲んで環状に連続して配置された、液だれ防止壁が設けられている請求項2〜5のいずれか1項記載の計量注出キャップ。
【請求項7】
前記通気孔が、前記液だれ防止壁の内側領域に形成されている請求項6記載の計量注出キャップ。
【請求項8】
キャップ上部体とキャップ下部体とによる2パーツ構成となっている請求項1〜7のいずれか1項記載の計量注出キャップ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器本体の口首部に取り付けて用いられる計量注出キャップに関する。
【背景技術】
【0002】
内容液として例えば液体洗剤や液体調味料等を収容した容器本体から、内容液を注出して使用する場合は、適量を計量して使用することが好ましい。内容液を計量可能な容器として、例えば容器本体の口首部に、注出ノズル部を備える注出キャップと共に、計量目盛りが描かれた計量キャップを装着しておき、内容液の使用時には、取り外した計量キャップに注出ノズル部から内容液を注出させて計量した後に、洗濯機や調理器具等に投入させるようにした計量キャップ付きの容器が一般に知られている。
【0003】
また、上述の一般的な計量キャップ付きの容器では、計量キャップを取り外したり、装着し直したりする操作に煩わしさを感じやすく、計量キャップを紛失するおそれもある。このようなことから、注出キャップに計量部を一体として設けておくことで、計量キャップを着脱する操作を要することなく、内容液を計量してから注出できるようしたキャップや容器が種々開発されている(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。
【0004】
特許文献1の液体定量計量キャップでは、注出しようとする液体内容物を、一定容積を持つ計量室に一旦流し込んで計量した後に、液体内容物を注出するようになっている。特許文献2の計量注出容器では、外容器の口筒部に取り付けられた注出管を備える計量キャップの計量部に、内容液を注出管を介して一旦流し込んで計量した後に、内容液を注出するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11−29167号公報
【特許文献2】特開2011−31932号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1の液体定量計量キャップや特許文献2の計量注出容器では、内容液を、計量室や計量部に一旦流し込んで計量した後に、注出するようになっている。したがって、計量室や計量部に内容液を流し込んで計量する操作と、計量した内容液を注出口から注出させる操作との、2アクションの操作によって内容液を注出させる必要があるため、操作性の改善が不十分である。また、例えば内容液が粘度の高いものであると、計量された内容液が、計量室や計量部の内側面に付着することで残留しやすくなるため、特に少量の内容液を計量する場合に、所望の量の内容液を精度良く注出させことが困難になる場合がある。
【0007】
本発明は、容器本体を傾倒させるだけの1アクションによって、注出量を確認しながら、所望の量の内容液を精度良く注出させことのできる計量注出キャップを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、容器本体の口首部に取り付けて用いられ、注出量を確認しながら内容液を注出可能とする計量注出キャップであって、前記口首部の先端流出開口を覆って配置される液溜め計量室を備えており、該液溜め計量室は、前記口首部の内側に向けて開口する複数の流出口が設けられた底壁部と、容器の外部に向けて開口する注出口が設けられた外周壁部とによって周囲を囲まれることで形成されており、前記底壁部に設けられた前記複数の流出口は、前記外周壁部に設けられた前記注出口と連通する主流出口と、前記液溜め計量室と連通する補助流出口とからなり、且つ前記主流出口と前記補助流出口とは、前記容器本体を所定の方向に傾倒させて内容液を注出させた際に、前記主流出口から前記注出口に流出される内容液の流量と、前記補助流出口から前記液溜め計量室に流出される内容液の流量とが、一定の比例関係となるような形状及び位置関係で形成されており、前記補助流出口を介して前記液溜め計量室に流入した液量を視認することで、前記主流出口を介して前記注出口から注出される液量を確認しながら内容液を注出可能とする計量注出キャップを提供することにより、上記目的を達成したものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明の計量注出キャップによれば、容器本体を傾倒させるだけの1アクションによって、注出量を確認しながら、所望の量の内容液を精度良く注出させことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の好ましい一実施形態に係る計量注出キャップが容器本体に取り付けられたスクイズ容器を示す、(a)は立設させた状態の側面図、(b)は傾倒させた状態の側面図である。
図2】本発明の好ましい一実施形態に係る計量注出キャップを斜め側方から見た斜視図である。
図3】本発明の好ましい一実施形態に係る計量注出キャップを上方から見た正面図である。
図4】本発明の好ましい一実施形態に係る計量注出キャップの、図2のA−Aに沿った破断斜視図である。
図5】本発明の好ましい一実施形態に係る計量注出キャップを斜め下方から見た斜視図である。
図6】本発明の好ましい一実施形態に係る計量注出キャップの、(a)は図4のB−Bに沿った破断斜視図、(b)は図4のC−Cに沿った破断斜視図である。
図7】スクイズ容器を傾倒させて注出量を確認しながら内容液を注出させる状況を説明する略示概念図である。
図8】(a)〜(f)は、主流出口や補助流出口の他の形状や配置を例示する底壁部の略示底面図である。
図9】主流出口や補助流出口の他の形状や配置を例示する、(a)、(b)は略示斜視図、(c)は略示正面図である。
図10】(a)〜(c)は、図9に示す配置の主流出口や補助流出口から内容液を流出させる情況を説明する略示正面図である。
図11】(a)〜(c)は、図9に示す配置の主流出口や補助流出口から内容液を流出させる情況の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の好ましい一実施形態に係る計量注出キャップ10は、内容液を収容した容器として、図1(a)、(b)に示すように、例えばスクイズ容器の容器本体11の口首部に取り付けて用いられる。本実施形態の計量注出キャップ10は、好ましくは後述する外周壁部17を構成する天面壁部18に、弧状の断面形状を備える凹状ノズル部20を備えており(図2図3参照)、例えば使用者が容器本体11の胴部11aを把持してスクイズ容器を傾倒させると共に、胴部11aをスクイズ(圧搾)して変形させることにより、内容液を容器本体11から凹状ノズル部20に、後述する注出口16を介して注出させて(図3図4参照)、内容液を所定量注出させることができるようになっている。また、本実施形態の計量注出キャップ10は、容器本体11の口首部の先端流出開口を覆って配置される液溜め計量室12を備えていることにより(図4図6(b)参照)、注出量を確認しながら、注出口16から所望の量の内容液を精度良く注出できるようにする機能を備えている。
【0012】
すなわち、本実施形態の計量注出キャップ10は、図1図5に示すように、容器本体11の口首部に取り付けて用いられ、注出量を確認しながら内容液を注出可能とするキャップであって、容器本体11の口首部の先端流出開口を覆って配置される液溜め計量室12を備えている(図4図6(b)参照)。液溜め計量室12は、容器本体11の口首部の内側に向けて開口する複数の流出口13,14が設けられた底壁部15(図5参照)と、容器本体11の外部に向けて開口する注出口16(図3図4参照)が設けられた外周壁部17とによって周囲を囲まれることで形成されている。底壁部15に設けられた複数の流出口13,14は、外周壁部17に設けられた注出口16と連通する主流出口13と、液溜め計量室12と連通する補助流出口14とからなり、且つ主流出口13と補助流出口14とは、容器本体11を所定の方向に傾倒させて内容液を注出させた際に、主流出口13から注出口16に流出される内容液の流量と、補助流出口14から液溜め計量室12に流出される内容液の流量とが、一定の比例関係となるような形状及び位置関係で形成されている。補助流出口14を介して液溜め計量室12に流入した液量を視認することで、主流出口13を介して注出口16から注出される液量を確認しながら内容液を注出可能となっている(図7参照)。
【0013】
また、本実施形態では、外周壁部17は、底壁部15と対向して配置される天面壁部18と、天面壁18の周縁部と底壁部15との間に介在して設けられた筒状周壁部19とを含んで構成されている。外周壁部17の天面壁部18には、注出口16から注出される内容液を一旦受けてからさらに注出させる、凹状ノズル部20が設けられており、図1(b)に示すように、凹状ノズル部20が下方に配置されるように傾倒させる方向が、容器本体11を傾倒させる所定の方向となっている。
【0014】
さらに、本実施形態では、主流出口13と補助流出口14とは、液溜め計量室12を凹状ノズル部20が設けられた正面側(図1(a)の上方)から見た際に、凹状ノズル部20を横幅方向に2等分割する中心線T(図3参照)を対称軸とする、線対称な形状及び位置関係となるように形成されている(図5参照)。
【0015】
本実施形態では、容器本体11は、スクイズ変形可能な可撓性を有するボトル形状のプラスチック容器であって、図1(a)、(b)に示すように、内容液が収容される胴部11aと、胴部11aの上端部から上方に突出して形成された、上端の開口面が先端流出開口となている口首部(図1では、計量注出キャップ10の装着スカート部21によって覆われた状態で設けられている。)とからなる。口首部には、計量注出キャップ10が、公知の各種の螺合手段や係合手段を介して、着脱可能に装着される。容器本体11は、公知の各種の合成樹脂を用いて、例えばブロー成形によって容易に形成することができる。
【0016】
本実施形態では、計量注出キャップ10は、成形を容易にして製造コストを抑制できるように、好ましくは2パーツ構成となっている、プラスチック製の成形品である。すなわち、計量注出キャップ10は、図4に示すように、キャップ上部体22と、キャップ下部体23とによって構成されている。
【0017】
キャップ上部体22は、図2及び図3にも示すように、計量注出キャップ10の外殻部分を形成するものであり、透明又は半透明の樹脂材料からなる。キャップ上部体22は、上述のように、天面壁部18と、天面壁部18の周縁部から下方に延設して設けられた筒状周壁部19とからなる外周壁部17を備えると共に、さらに、筒状周壁部19の下端部分に一体として接合されて、円筒形状に下方に延設する装着スカート部21が、環状肩部24を介在させた状態で設けられている。装着スカート部21の下端部内側面には、螺合凸条や係合突起が設けられており、これらを容器本体11の口首部の外周面に設けれた螺合凸条や係合突起に螺合したり係合したりすることで、計量注出キャップ10を、容器本体11に着脱可能に装着することが可能になる。
【0018】
外周壁部17の天面壁部18は、本実施形態では、例えば対向配置した一対の弧状部分を、一対の直線部分で連結した略フィールドトラック状の平面形状を有している。天面壁部18には、キャップ下部体23による底壁部15に開口形成された一対の主流出口13(図5参照)と対応する位置に配置されて、一対の注出口16が開口形成されている(図3参照)。また、天面壁部18の下面から下方に突して、注出口16の開口形状と同様の中空断面形状を備える、注出口誘導壁16aが設けられている(図4参照)。この注出口誘導壁16aの下端部には、後述する底壁部15の上面から上方に突して設けられた主流出口誘導壁13aの上端部が嵌め込まれることで、主流出口13と注出口16とが連通することになる。
【0019】
本実施形態では、天面壁部18の上面から上方に突出して、凹状ノズル部20が設けられている。凹状ノズル部20は、天面壁部18の弧状部分と同様の曲率半径を有する弧状の断面形状を備える。凹状ノズル部20は、天面壁部18の一方の弧状部分と一対の注出口16との間に配置されて、一対の注出口16に跨る幅を有するように設けられている。また、凹状ノズル部20は、後述する液だれ防止壁25よりも高い高さで天面壁部18から突出して設けられている。さらに、凹状ノズル部20の両側部から、一対の注出口16の各々の外側開口縁部に沿って延設して、一対の注出溢れ防止壁20aが設けられている。一対の注出溢れ防止壁20aが設けられていることで、凹状ノズル部20が下方に配置されるように容器を傾倒させて、内容液を注出させる際に、例えば傾倒させ過ぎて、注出口16から注出された内容液が凹状ノズル部20の側方に溢れ出ようとするのを、効果的に回避することが可能になる。これらの凹状ノズル部20や一対の注出口16や一対の注出溢れ防止壁20aは、凹状ノズル部20を横幅方向に2等分割する中心線Tを対称軸とする、線対称な形状及び位置関係となるように形成されている。
【0020】
また、本実施形態では、外周壁部17の天面壁部18には、図2及び図3に示すように、これの上面から上方に凹状ノズル部20よりも低い高さで突出して、注出口16及び凹状ノズル部20の外側を囲んで環状に連続して配置された、液だれ防止壁25が設けられている。液だれ防止壁25は、本実施形態では、天面壁部18の一方の弧状部分と、凹状ノズル部20との中間部分、及び天面壁部18の両側の一対の直線部分と、凹状ノズル部20の両側の一対の注出溢れ防止壁20aとの中間部分に延設して設けられた、略U字形状部分25aと、略U字形状部分25aの開放側に連続して設けられた、略凸字形状部分25bとからなる平面形状を備えるように形成されている。
【0021】
外周壁部17の天面壁部18に、注出口16及び凹状ノズル部20の外側を囲んで液だれ防止壁25が設けられていることにより、スクイズ容器を傾倒させて内容液を注出した後に、再び容器本体11を立設させた状態に復帰させた際に、凹状ノズル部20から容器本体11の内部に回収される残った内容液が、注出口16を介して容器本体11に戻されることなく、凹状ノズル部20の周囲等を伝って天面壁18の上面に滞留した場合でも、滞留した内容液が、天面壁18の外側や下方に流れ出るのを防止して、手や周囲のものが内溶液で汚れるのを効果的に回避させることが可能になる。
【0022】
さらに、本実施形態では、外周壁部17の天面壁部18には、図3及び図4に示すように、液溜め計量室12に外気を取り込むための通気孔26が、好ましくは液だれ防止壁25の内側領域に配置されて、当該液だれ防止壁25の略凸字形状部分25bの先端部分に形成されている。外周壁部17の天面壁18に、液溜め計量室12に外気を取り込むための通気孔26が形成されていることにより、当該通気孔26を介して、液溜め計量室12の内部の空気置換が可能になって、スクイズ容器を傾倒させて内容液を注出した後に、再び容器本体11を立設させた状態に復帰させた際に、補助流出口14を介して液溜め計量室12に流入した内容液を、当該補助流出口14を介してスムーズに容器本体11に回収させることが可能になる。また、液だれ防止壁25の内側領域に通気孔26が配置されていることにより、通気孔26を介して内容液が外部に漏れ出たとしても、漏れ出た内容液が、天面壁18の外側や下方に流れ出るのを防止して、手や周囲のものが内溶液で汚れるのを効果的に回避させることが可能になる。
【0023】
本実施形態では、外周壁部17の筒状周壁部19は、図2及び図3に示すように、略フィールドトラック状の平面形状を有する天面壁部18の外周縁部から、下方に連続して延設すると共に、下端部を環状肩部24に接合して設けられている。これによって、筒状周壁部19は、天面壁部18と底壁部15(図4参照)との間に介在して、これらの間に相当の高さの間隔を保持することで、底壁部15や天面壁部18と共に液溜め計量室12の周囲を囲んで、相当の容量を備える液溜め計量室12を形成することになる。
【0024】
また、筒状周壁部19には、天面壁部18の略フィールドトラック形状の直線部分から下方に延設する側壁部19aに、計量目盛り線27が施されている(図2参照)。計量目盛り線27は、本実施形態では、容器本体11の所定の傾倒方向及び予定する傾倒角度に応じて、筒状周壁部19の軸方向に対して斜めの方向に延設して施されていると共に、主流出口13及び注出口16を介して注出される内容液の注出量に対応させた目盛り27aが付されている。すなわち、液溜め計量室12には、後述するように、容器本体11から主流出口13を介して流出して、注出口16から注出される内容液の注出量と比例する量の内容液が、補助流出口14を介して液溜め計量室12に流入するようになっている。内容液の注出量と比例関係にある液溜め計量室12への内容液の流入量を、注出量と対応させた目盛り27aによって目視によって確認することで、内容液を注出させながら、その注出量を容易に把握することができるようになっている。
【0025】
キャップ上部体22と一体となって計量注出キャップ10を構成するキャップ下部体23は、図4及び図5に示すように、計量注出キャップ10の底壁部15を形成するものであり、本実施形態では、キャップ上部体22と同様に、透明又は半透明の樹脂材料からなる。キャップ下部体23による底壁部15は、キャップ上部体22の円筒形状の装着スカート部21の内側に収めることが可能な、これの内径よりも小さな外形を備える円盤形状に形成されている。底壁部15の周縁部分には、当該周縁部分から上方に突出して、環状係合壁28が一体として形成されている。この環状係合壁28の上端部分を、キャップ上部体22の装着スカート部21の内側上端部と、当該装着スカート部21と同心状に配置されて環状肩部24の下面から下方に突出するインナーリング部24aとの間に、公知の係合手段を介して、装着スカート部21の下方から嵌め込むようにして固定することにより、キャップ上部体22とキャップ下部体23とが一体として接合された、本実施形態の計量注出キャップ10が形成される。
【0026】
そして、本実施形態では、周縁部分に環状係合壁28が設けられた底壁部15の中央部分には、図5及び図6(a)、(b)に示すように、容器本体11の口首部の内側に向けて開口する複数の流出口13,14として、外周壁部17に設けられた注出口16と連通する主流出口13と、液溜め計量室12と連通する補助流出口14とが、好ましくは凹状ノズル部20を横幅方向に2等分割する中心線Tを対称軸とする、線対称な形状及び位置関係となるように開口形成されている。主流出口13と補助流出口14とは、容器本体11を例えば凹状ノズル部20が下方に配置される所定の方向に傾倒させて内容液を注出させた際に、主流出口13から注出口16に流出される内容液の流量と、補助流出口14から液溜め計量室12に流出される内容液の流量とが、一定の比例関係となるような形状及び位置関係で形成されている。
【0027】
また、本実施形態では、主流出口13及び補助流出口14は、いずれも、所定の傾倒方向に対して縦長の矩形形状を有しており、且つ補助流出口14が、一対の主流出口13の間に挟まれて底壁部15に開口形成されている。主流出口13及び補助流出口14が縦長の矩形形状を有していることにより、スクイズ容器を傾ける角度によって吐出量を調整しやすくすることが可能になる。また、補助流出口14が、一対の主流出口13の間に挟まれて開口形成されていることにより、例えばスクイズ容器の軸に対する回転によって、主流出口13及び補助流出口14の対称軸となっている凹状ノズル部20の中心線Tが左右に傾いた状態で内容液が注出される場合でも、例えば各々の主流出口13の開口面積と補助流出口14の開口面積とを同じにすることで、一対の主流出口13を介して注出されるの内容液の量に対して、常に1/2の量の内容液が液溜め計量室12に流入するように、容易に設定することが可能になる。
【0028】
さらに、本実施形態では、底壁部15の上面における、一対の主流出口13の開口周縁部から各々上方に立設させて、図4に示すように、主流出口13の矩形の開口形状と同様の中空断面形状を備える、一対の主流出口誘導壁13aが設けられている。装着スカート部21の下方から、キャップ下部体23による底壁部15がキャップ上部体22に嵌め込まれた際に、これらの主流出口誘導壁13aの上端部は、キャップ上部体22の天面壁18の下面から下方に突する、注出口16の開口形状と同様の中空断面形状を備える注出口誘導壁16aの下端部内側に嵌め込まれることになる。これによって、主流出口13と注出口16とが、内容液を容器本体11から注出可能な状態で連通することになる。
【0029】
そして、上述の構成を備える本実施形態の計量注出キャップ10によれば、例えばスクイズ容器の容器本体11の口首部に取り付けて用いられて、容器本体11を傾倒させるだけの1アクションによって、注出量を確認しながら、所望の量の内容液を精度良く注出させことが可能になる。
【0030】
すなわち、本実施形態の計量注出キャップ10は、容器本体11の口首部の先端流出開口を覆って配置される液溜め計量室12を備えており、この液溜め計量室12の底壁部15に設けられた、注出口16と連通する主流出口13と、液溜め計量室12と連通する補助流出口14とが、好ましくは主流出口13から注出口16に通じる流路の一部と、補助流出口14から液溜め計量室12に通じる流路の一部とが、高さ方向で同水位となる箇所を有し、かつ主流出口13またはその流路の一部と補助流出口14またはその流路の一部とで同程度の面積を持つ流量調整路を一つ以上形成することで、これらの流出口13、14から流出される内容液の流量が、一定の比例関係となるような形状及び位置関係で形成されている。
【0031】
したがって、図7に示すように、例えば使用者が容器本体11の胴部11aを把持してスクイズ容器を傾倒させると共に、胴部11aをスクイズ(圧搾)して変形させることで、主流出口13を介して注出口16から内容液を注出させる際に、注出口16から注出された注出量と比例する液量の内容液が、補助流出口14を介して液溜め計量室12に流入して、当該液溜め計量室12に貯留されて行くので、この貯留された内容液の液量を、好ましくは計量目盛り線27を指標として視認することで、注出口16から注出された注出量を容易に確認しながら、胴部11aをスクイズすることを含む容器本体11を傾倒させるだけの1アクションによって、注出口16から所望の量の内容液を、精度良く注出させることが可能になる。
【0032】
なお、本発明は上記実施形態に限定されることなく種々の変更が可能である。例えば、計量注出キャップは、スクイズ容器以外の、例えば容器を傾倒させることのみによって内容液を注出させる容器の口首部に、取り付けて用いることもできる。また、注出口から注出される内容液を一旦受けてからさらに注出させる、凹状ノズル部を設ける必要は必ずしもなく、容器本体を傾倒させる所定の方向は、主流出口や補助流出口の形状等を鑑みて、適宜設定することができる。さらに、外周壁部に、通気孔や液だれ防止壁を設ける必要は必ずしもない。
【0033】
また、補助流出口は、一対の主流出口の間に挟まれて開口形成される必要は必ずしもなく、主流出口や補助流出口は、縦長の矩形形状を有している必要は必ずしもない。主流出口や補助流出口の数や形状、配置等は、主流出口から注出口に流出される内容液の流量と、補助流出口から液溜め計量室に流出される内容液の流量とが一定の比例関係となるような位置関係で、適宜設計することができる。例えば図8(a)〜(f)に示す形状や配置となるように、主流出口13や補助流出口14を開口形成することもできる。
【0034】
さらに、図9(a)〜(c)に示すように、主流出口13や補助流出口14を縦並びタイプとして形成することもできる。図9(a)〜(c)に示すように主流出口13や補助流出口14を配置することで、例えば図10(a)〜(c)及び図11(a)〜(c)に示すように、液が排出可能となる液面高さA=B(図10(a)、図11(a)参照)や、液が排出可能となる液面高さA>B(図10(b)、図11(b)参照)や、液が排出可能となる液面高さA<B(図10(c)、図11(c)参照)で、角度によって液が排出可能となる高さが多少異なっていても、その落差を非常に小さくすることが可能になる。
【符号の説明】
【0035】
10 計量注出キャップ
11 容器本体
11a 胴部
12 液溜め計量室
13 主流出口(流量調整路)
13a 主流出口誘導壁
14 補助流出口(流量調整路)
15 底壁部
16 注出口
16a 注出口誘導壁
17 外周壁部
18 天面壁
19 指掛けつば部
20 凹状ノズル部
20a 注出溢れ防止壁
21 装着スカート部
22 キャップ上部体
23 キャップ下部体
24 環状肩部
24a インナーリング部
25 液だれ防止壁
25a 略U字形状部分
25b 略凸字形状部分
26 通気孔
27 計量目盛り線
27a 目盛り
28 環状係合壁
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11