特許第5955595号(P5955595)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5955595
(24)【登録日】2016年6月24日
(45)【発行日】2016年7月20日
(54)【発明の名称】建具
(51)【国際特許分類】
   E06B 7/14 20060101AFI20160707BHJP
【FI】
   E06B7/14
【請求項の数】5
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2012-60569(P2012-60569)
(22)【出願日】2012年3月16日
(65)【公開番号】特開2013-194385(P2013-194385A)
(43)【公開日】2013年9月30日
【審査請求日】2014年6月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】390005267
【氏名又は名称】YKK AP株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】一色国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】芦田 真樹
(72)【発明者】
【氏名】松村 心互
【審査官】 佐々木 崇
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭55−101290(JP,U)
【文献】 特開2011−174247(JP,A)
【文献】 特開2007−154488(JP,A)
【文献】 実開平6−20875(JP,U)
【文献】 特開2000−170456(JP,A)
【文献】 特開2003−278462(JP,A)
【文献】 特開2007−120102(JP,A)
【文献】 実開昭61−78984(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 7/00− 7/36
E06B 3/04− 3/46、
3/50− 3/52
E05D 15/00− 15/58
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
2つの空間の間に形成される開口を複数枚の引戸にて閉塞可能な建具であって、
前記複数枚の引戸のうちの見込み方向に隣り合う2枚の引戸の召合せ部において、一方の引戸に上下方向に沿って設けられ他方の引戸に当接されて当該2枚の引戸間を止水する縦止水部材と、
前記一方の引戸の前記縦止水部材の下方に設けられ、前記縦止水部材を伝って下方に移動する水を受けるとともに受けた水を前記一方の引戸の戸先側に案内する案内部材と、を備え
前記案内部材は、前記一方の引戸における前記縦止水部材より戸尻側から戸先側に繋がって前記戸先側が前記戸尻側より低くなる水受部と、
前記水受部の戸尻側の縁部に前記水受部より高く形成された縁壁部と、
を有し、
前記2枚の引戸により前記開口が閉塞された状態で、前記水受部及び前記縁壁部における前記他方の引戸側の縁部は、前記他方の引戸に当接されていることを特徴とする建具。
【請求項2】
請求項1に記載の建具であって、
前記案内部材の、前記縁壁部の前記他方の引戸側の縁部、及び、前記水受部の前記他方の引戸側の縁部は、当該案内部材の他の部位より軟質の樹脂にて形成されていることを特徴とする建具。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の建具であって、
前記2枚の引戸間には、当該2枚の引戸の下端側に各々当接されて止水する横止水部材が設けられており、前記案内部材の戸先側の縁部は、前記横止水部材上面に当接されていることを特徴とする建具。
【請求項4】
請求項に記載の建具であって、
前記案内部材の前記戸先側の縁部は、当該案内部材の他の部位より軟質の樹脂にて形成されていることを特徴とする建具。
【請求項5】
請求項1乃至請求項のいずれかに記載の建具であって、
前記案内部材は、前記引戸が有する戸車ユニットに設けられており、
前記戸車ユニットは、回動して前記引戸を支持するローラーを備えた戸車本体と、前記戸車本体を収容して前記引戸に固定されるハウジングと、
前記戸車本体の前記ハウジングに対する上下方向の位置を調整可能な調整部材と、を有し、
前記案内部材は、前記戸車本体に設けられていることを特徴とする建具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2つの空間の間に形成される開口を複数枚の引戸にて閉塞可能な建具に関する。
【背景技術】
【0002】
2つの空間の間に形成される開口を複数枚の引戸にて閉塞可能な建具としては、例えば、建築物の屋外開口部に取り付けられた窓枠内を引き違いタイプの障子がスライド開閉するサッシが知られている(例えば、特許文献1参照)。このサッシは、障子にて開口が閉塞されたときには、内障子召合せ部に設けられた召合框タイト材が外障子の側面と摺接しており、内障子と外障子との召合せ部分に入り込んだ雨水等が室内側に進入することを防止し、召合框タイト材に至った水は召合框タイト材を伝って下方に移動するように構成されている。召合框タイト材を伝って下方に移動した水は、召合框タイト材の下方に位置する下枠に設けられた排水口から排出されるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−227550号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような建具は、内障子と外障子との召合せ部分に入り込んだ雨水等は召合框タイト材を伝って下方に移動し、下枠の排水口から排出されるが、雨水等が排出される排水口は、下枠に設けられているので、召合框タイト材を伝った水が排水口に入らなかったり、排水口の周囲に残った場合には、下枠を伝って室内側に進入するおそれがあるという課題がある。
【0005】
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、隣り合う障子の召合せ部に進入した水をより確実に排出することが可能な建具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる目的を達成するために本発明の建具は、2つの空間の間に形成される開口を複数枚の引戸にて閉塞可能な建具であって、前記複数枚の引戸のうちの見込み方向に隣り合う2枚の引戸の召合せ部において、一方の引戸に上下方向に沿って設けられ他方の引戸に当接されて当該2枚の引戸間を止水する縦止水部材と、前記一方の引戸の前記縦止水部材の下方に設けられ、前記縦止水部材を伝って下方に移動する水を受けるとともに受けた水を前記一方の引戸の戸先側に案内する案内部材と、を備え、前記案内部材は、前記一方の引戸における前記縦止水部材より戸尻側から戸先側に繋がって前記戸先側が前記戸尻側より低くなる水受部と、前記水受部の戸尻側の縁部に前記水受部より高く形成された縁壁部と、を有し、前記2枚の引戸により前記開口が閉塞された状態で、前記水受部及び前記縁壁部における前記他方の引戸側の縁部は、前記他方の引戸に当接されていることを特徴とする建具である。
【0007】
このような建具によれば、隣り合う2枚の引戸の召合せ部に進入した水は、縦止水部材に止水され、縦止水部材を伝って下方に移動される。そして、縦止水部材を伝って下方に移動された水は、縦止水部材の下方に設けられた案内部材により一方の引戸の戸先側に案内されるので、2枚の引戸の召合せ部に進入した水が召合せ部を超えて、進入してきた空間と異なる空間側に移動することを防止して、進入してきた空間側に戻すことが可能である。
【0009】
また、縦止水部材を伝って下方に移動された水を受ける案内部材の水受部は、戸尻側から、当該戸尻より低い戸先側に繋がっているので、水受部にて受けた水をより確実に戸先側に移動させることが可能である。また、案内部材は、水受部の戸尻側の縁部に沿って水受部より高い縁壁部が形成されているので、水受部にて受けた水が戸尻側に移動することを防止することが可能である。さらに、2枚の引戸により開口が閉塞された状態では、水受部及び縁壁部における他方の引戸側の縁部は、他方の引戸に当接されているので、案内部材と他方の引戸との間には隙間が生じない。このため、水受部にて受けた水が案内部材と他方の引戸との間から漏れることを防止することが可能である。
【0010】
かかる建具であって、前記案内部材の、前記縁壁部の前記他方の引戸側の縁部、及び、前記水受部の前記他方の引戸側の縁部は、当該案内部材の他の部位より軟質の樹脂にて形成されていることが望ましい。
【0011】
このような建具によれば、このような建具によれば、縁壁部の他方の引戸側の縁部、水受部の他方の引戸側の縁部は、いずれも当該案内部材の他の部位より軟質の樹脂にて形成されているので、案内部材を他方の引戸及び横止水部材に沿わせて密着させ、より確実に止水することが可能である。
【0012】
かかる建具であって、前記2枚の引戸間には、当該2枚の引戸の下端側に各々当接されて止水する横止水部材が設けられており、前記案内部材の戸先側の縁部は、前記横止水部材上面に当接されていることが望ましい。
【0013】
このような建具によれば、案内部材の戸先側の縁部は、2枚の引戸間にて、当該2枚の引戸の下端側に各々当接されて止水する横止水部材上面に当接されているので、案内部材にて戸先側に案内された水を、横止水部材上面を通して進入してきた空間側へ移動させることが可能である。
【0014】
かかる建具であって、前記案内部材の戸先側の縁部は、当該案内部材の他の部位より軟質の樹脂にて形成されていることが望ましい。
【0015】
このような建具によれば、案内部材の戸先側の縁部は、当該案内部材の他の部位より軟質の樹脂にて形成されているので、案内部材を他方の引戸及び横止水部材に沿わせて密着させ、より確実に止水することが可能である。
【0016】
かかる建具であって、前記案内部材は、前記引戸が有する戸車ユニットに設けられており、前記戸車ユニットは、回動して前記引戸を支持するローラーを備えた戸車本体と、前記戸車本体を収容して前記引戸に固定されるハウジングと、前記戸車本体の前記ハウジングに対する上下方向の位置を調整可能な調整部材と、を有し、前記案内部材は、前記戸車本体に設けられていることが望ましい。
【0017】
このような建具によれば、案内部材は、戸車ユニットの、引戸を支持するローラーを備えた戸車本体に設けられている。すなわち、案内部材は、引戸を支持するローラーとともに戸車本体をなしているので、ローラーと案内部材との相対位置は不変であり、ローラーにより引戸が支持されている状態では、常に一定の位置に案内部材が位置している。このため、調整部材により戸車本体のハウジングに対する位置が調整されたとしても、案内部材にて縦止水部材を伝って下方に移動された水を受けることができるとともに、案内部材の戸先側の縁部が横止水部材上面に当接している状態を維持させることが可能である。このため、より確実に止水することが可能である。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、隣り合う障子の召合せ部に進入した水をより確実に排出することが可能な建具を提供することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本実施形態に係る建具の横断面図である。
図2】本実施形態に係る建具の縦断面図である。
図3】下枠上に配置された脱衣室側引戸の戸尻框を示す斜視図である。
図4】戸車ユニットの構成を示す斜視図である。
図5】位置調整機構による戸尻框と案内部材との相対位置の変化を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の一実施形態に係る建具について図面を参照して説明する。
【0021】
本実施形態の建具は、2つの空間である浴室と脱衣室とを連通する開口に設けられる浴室用の建具1であり、例えば、図1に示すように、脱衣室側から見て左側の領域が閉止可能な開口でなる出入口2をなし、右側の領域が壁部3をなして、壁部3の脱衣室側を見付け方向に沿って移動する2枚の引戸5、6が、前記出入口2を開閉可能に構成された引き込み戸タイプの建具である。
【0022】
以下の説明においては、建物等に取り付けられた状態の浴室用の建具1を脱衣室側から見たときに、上下となる方向を上下方向、左右となる方向を左右方向または見付け方向、浴室内外方向である奥行き方向を見込み方向として示す。また、浴室用の建具1が備える各部材は、単体の状態であっても建物等に取り付けられた状態にて上下方向、左右方向、奥行き方向となる方向にて方向を特定して説明する。
【0023】
浴室用の建具1は、浴室と脱衣室との境界に設けられる枠体10と、枠体10における脱衣室側の部分にて見付け方向に移動可能に設けられ、枠体10における見付け方向の約2/3の領域を占める出入口2を開閉自在に設けられ、見込み方向に互いに隣り合う2枚の引戸5、6と、壁部3側の枠体10の内周側に設けられる壁面材21と、枠体10が有する下枠14の、引戸5、6が取り付けられる位置より浴室側にて下枠14と上下に間隔を隔てて配置される架渡部材22と、を有している。
【0024】
枠体10は、図1図2に示すように、左右の縦枠11、12、上下の横枠13、14、及び、左右の縦枠11、12の間に設けられた縦骨20と、を有している。左右の縦枠11、12、上下の横枠13、14、及び、縦骨20は、いずれも押出成形部材である。
【0025】
縦骨20は、見込み方向において左の縦枠11の幅のほぼ半分の幅を有し、浴室内側に設けられており、右の縦枠12は2枚の引戸5、6より脱衣室側にて額縁と接合されており、浴室側の部位が、縦骨20の脱衣室側のほぼ半分の部位と対向している。すなわち、縦骨20の脱衣室側の部位と右側の縦枠12の浴室側の部位とは、見込み方向における中央近傍にて、見付け方向に対向するように配置されており、この対向する部位にて端部が支持されて、壁部3の脱衣室側の壁面をなす壁面材21が設けられている。
【0026】
左側の縦枠11は、右側の縦枠12の脱衣室側と同様に額縁と接合された部位が、右側の縦枠12と対向するように設けられており、左の縦枠11の浴室側は、縦骨20の浴室側の部位と対向するように設けられている。
【0027】
下枠14は、躯体(不図示)に支持されるとともに、図2に示すように、脱衣室側の床材40から浴室側に設けられた防水パン(不図示)に架け渡される下枠本体15と、上面に前記2枚の引戸5、6を案内する2本の下レール16aを有し下枠本体15上に載置されるレール部材16とを有している。
【0028】
本実施形態の建具1は、脱衣室側から見て縦骨20の左側が出入口2をなし、右側が壁部3をなしているので、下枠本体15が有する2本の下レール16aより浴室側において、出入口2側と壁部3側とで形状が相違している。また、下枠本体15は押出成形部材なので、まず断面形状が同一の部材が押出成形された後に、出入口2側と壁部3側とに加工を施して形成されている。
【0029】
レール部材16は押出成形部材である。レール部材16は、図3に示すように、下枠本体15上に取り外し自在に載置されて上面をなす上面部16cに、見付け方向に沿って設けられ見込み方向に間隔を隔てて上方に突出された2本の下レール16aが形成されている。2本の下レール16aの見込み方向における間には、ほぼ中央に上方に突出され先端側に、横止水部材としての引戸間シール材50が嵌合される嵌合溝16eが形成された嵌合突部16dが設けられている。この嵌合突部16dの嵌合溝16eには、見込み方向において嵌合突部16dの両側にて移動する引戸5、6の下框5d、6dとそれぞれ摺接する引戸間シール材50が嵌合される。
【0030】
引戸間シール材50は、下枠14の見付け方向に沿う全域に設けられており、嵌合溝16eに嵌合される嵌合部50bが引戸5、6と摺接するヒレ部50aより硬質な樹脂にて形成されている。ここで、引戸5と摺接するヒレ部50aと、引戸6と摺接するヒレ部50aとは、見込み方向に間隔を隔てて設けられており、引戸5と摺接するヒレ部50aと引戸6と摺接するヒレ部50aとを繋ぐ部位が上面50cを形成している。
【0031】
2枚の引戸5、6は、アルミニウム製の押出部材でなる戸尻框5a、6a、戸先框5b、6b、上框5c、6c及び下框5d、6dが矩形状に框組みされ、内周側に透光性を有する面材7が設けられている。
【0032】
2枚の引戸5、6は、戸先框5b、6bと戸尻框5a、6aと、戸先框5b、6bと戸尻框5a、6aとの間に介在されて戸先框5b、6bと戸尻框5a、6aとの上端部同士及び下端部同士をそれぞれ接合する上框5c、6c及び下框5d、6dとが、面材7を囲むように框組みされて構成されている。
【0033】
見込み方向に隣り合う2枚の引戸5、6のうち脱衣室側に設けられた一方の引戸としての脱衣室側引戸5の戸尻框5aには、戸尻側の端部に上下方向に沿って、軟質樹脂でなる縦止水部材8が設けられている。縦止水部材8は、2枚の引戸5、6にて出入口2を閉塞した状態にて、その先端が他方の引戸としての浴室側引戸6の戸先框6bに当接して脱衣室側引戸5の戸尻框5aと浴室側引戸6の戸先框6bとの間、すなわち、召合せ部を止水するように構成されている。また、浴室側引戸6の戸先框6bには、戸先側の端部に上下方向に沿って、毛状をなし所謂モヘアと呼ばれる毛状止水部材9が設けられている。毛状止水部材9は、2枚の引戸5、6にて出入口2を閉塞した状態にて、その先端が脱衣室側引戸5の戸尻框5aに当接して脱衣室側引戸5の戸尻框5aと浴室側引戸6の戸先框6bとの間を止水するように構成されている。ここで、浴室側引戸6の戸先框6bに設ける止水部材を、軟質樹脂製の縦止水部材8より止水性が劣る毛状止水部材9としたのは、脱衣室側引戸5を開く際に、浴室側引戸6の戸尻框6aに設けられた止水部材が脱衣室側引戸5の面材7と摺接して異音が生じることを防止するためである。
【0034】
また、引戸5、6の戸先框5b、6b及び戸尻框5a、6aの下端には、下レール16aに支持されつつ転動するローラー61(図4参照)を有する戸車ユニット60がそれぞれ設けられている。
【0035】
戸車ユニット60は、図4に示すように、ローラー61と、ローラー61を回動自在に保持するホルダー62とを有する戸車本体としてのローラーユニット63と、戸先框5b、6bと戸尻框5a、6aの下端に嵌合されて保持され、ローラーユニット63が上下方向に移動可能に収容されるハウジング68と、を有している。
【0036】
ハウジング68は、戸先框5b、6bと戸尻框5a、6aの小口を覆うように嵌合され、下方に開放されたローラーユニット収容部68aを備え、ローラーユニット収容部68aには上部に備えられ、戸先框5b、6bと戸尻框5a、6aの外側から回動可能なビス68bによりローラーユニット63を引戸5に対して上下方向に移動させることが可能な、ローラーユニット63の調整部材としての位置調整機構69が設けられている。このため、引戸5、6が下レール16aに支持された状態で位置調整機構69のビス68bを回動させることにより、引戸5、6の下枠14に対する上下方向の位置を調整することが可能である。
【0037】
脱衣室側引戸5の戸尻框5aに設けられる戸車ユニット60には、ローラーユニット63のホルダー62と一体をなし、戸尻框5aに設けられた縦止水部材8を伝って下方に移動する水を受け脱衣室側引戸5の戸先側に案内する案内部材30が設けられている。
【0038】
案内部材30は、ローラーユニット63がハウジング68に収容された際に、ホルダー62の、ハウジング68より下側に位置する部位から浴室側に延出された水受部31と、水受部31の戸尻側の縁部が水受部31より高くなるように上方に延出された縁壁部32と、を有している。
【0039】
水受部31は、戸車ユニット60が戸尻框5aに取り付けられた状態で、戸尻側にて戸尻框5aに設けられた縦止水部材8の下方に位置してほぼ水平な面をなす水平面部31aと、水平面部31aから戸先側に向かって高さが低くなる面を形成する傾斜面部31bと、傾斜面部31bの先端、すなわち、戸先側の縁部にて引戸間シール材50の上面50cに当接するシール当接部31cとを有している。水平面部31aの上面は、ハウジング68が戸尻框5aの小口を覆う部位とほぼ同じ高さを有しており、位置調整機構69により引戸5が最も低くなるように調整されているときには、戸尻框5aに設けられた縦止水部材8の下端が当接されるように構成されている。
【0040】
縁壁部32は、水平面部31aの戸尻側の縁から鉛直方向に立設されており、戸車ユニット60が戸尻框5aに取り付けられた状態では、縁壁部32の、左の縦枠11と対向する面32aが、戸尻框5aの右の縦枠12と対向する面5eに当接するように構成されている。
【0041】
案内部材30の水受部31及び縁壁部32の浴室側の縁、すなわち、水平面部31a、傾斜面部31b、シール当接部31c、及び、縁壁部32の浴室側の縁は、面一に形成されており、2枚の引戸5、6にて出入口2を閉塞した状態にて、浴室側引戸6の戸先框6bの脱衣室に臨む面に当接され、引戸5が見付け方向に移動する際には、戸先框6bの脱衣室に臨む面を摺動するように構成されている。このため、水平面部31a、傾斜面部31b、縁壁部32の浴室側の縁、及び、引戸間シール材50の上面に当接するシール当接部31cは、当接された面に沿うように、案内部材30の他の部位より軟質の樹脂にて形成されている。図4では、案内部材30の軟質の樹脂にて形成されて部位をグレーに着色して示している。
【0042】
本実施形態の建具1によれば、見込み方向に隣り合う2枚の引戸5、6の召合せ部をなす脱衣室側引戸5の戸尻框5aと浴室側引戸6の戸先框6bとの間に進入した水は、縦止水部材8に止水され、縦止水部材8を伝って下方に移動される。そして、縦止水部材8を伝って下方に移動された水は、縦止水部材8の下方に設けられた案内部材30の水受部31により、水平面部31aから傾斜面部31bを通って脱衣室側引戸5の戸先側に案内されるので、2枚の引戸5、6の召合せ部に進入した水が召合せ部を超えて、進入してきた浴室と異なる脱衣室側に移動することを防止する。このため、脱衣室側引戸5の戸尻框5aと浴室側引戸6の戸先框6bとの間に進入した水を、進入してきた浴室側に戻すことが可能である。
【0043】
また、縦止水部材8を伝って下方に移動された水を受ける案内部材30の水受部31は、戸尻側から、当該戸尻より低い戸先側に繋がった傾斜面部31bを有しているので、水受部31にて受けた水をより確実に戸先側に移動させることが可能である。また、案内部材30は、水受部31の戸尻側の縁部には水受部31より高い縁壁部32が形成されており、左の縦枠11と対向する面32aが、戸尻框5aの右の縦枠12と対向する面5eに当接するように構成されているので、水受部31にて受けた水が戸尻側に移動することを防止することが可能である。
【0044】
さらに、2枚の引戸5、6により出入口2が閉塞された状態では、面一に形成された水平面部31a、傾斜面部31b、シール当接部31c、及び、縁壁部32の浴室側の縁は、浴室側引戸6の戸先框6bの脱衣室に臨む面に当接されているので、案内部材30と浴室側引戸6との間には隙間が生じ難い。このため、水受部31にて受けた水が案内部材30と浴室側引戸6との間から漏れることを防止することが可能である。
【0045】
また、案内部材30の戸先側の縁部となるシール当接部31cは、脱衣室側引戸5の戸尻框5aと浴室側引戸6の戸尻框6aとの間において、当該2枚の引戸5、6の下端側に各々当接されて止水する引戸間シール材50の上面50cに当接されているので、案内部材30にて戸先側に案内された水を、引戸間シール材50上を通して進入してきた空間側、すなわち浴室側へ移動させることが可能である。
【0046】
また、水平面部31a、傾斜面部31b、縁壁部32の浴室側の縁、及び、引戸間シール材50の上面に当接するシール当接部31cは、当接された面に沿うように、案内部材30の他の部位より軟質の樹脂にて形成されているので、案内部材30を確実に浴室側引戸6に密着させて止水することが可能である。
【0047】
また、案内部材30は、戸車ユニット60の、脱衣室側引戸5を支持するローラー61を備えたローラーユニット63のホルダー62に設けられており、案内部材30は、脱衣室側引戸5を支持するローラー61とともにローラーユニット63をなしているので、ローラー61と案内部材30との相対位置は不変である。すなわち、ローラー61により脱衣室側引戸5が支持されている状態では、常に一定の位置に案内部材30が位置している。このため、図5に示すように、位置調整機構69によりローラーユニット63の、ハウジング68に対する位置が調整されたとしても、案内部材30にて縦止水部材8を伝って下方に移動された水を受けることができるとともに、案内部材30の戸先側の縁部が引戸間シール材50上に当接している状態を維持させることが可能である。このため、より確実に止水することが可能である。
【0048】
上記実施形態においては、出入口2を開閉可能な引戸5を2枚備えた浴室用の建具1の例について説明したが、これに限らず、3枚以上の引戸を備えていても構わない。
【0049】
上記実施形態においては、脱衣室側から見たときに、左側の領域に出入口が設けられ、右側の領域に袖部が設けられている例について説明したが、出入口が右側の領域に設けられ、袖部が左側の領域に設けられていてもよい。
【0050】
上記実施形態においては、浴室用の建具を例に挙げて説明したが、建具を備える場所は浴室に限らず、例えば、玄関、勝手口や、サービスヤード、サンルーム、テラスの出入口を備える部位であっても構わない。
【0051】
また、上記実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0052】
1 建具、2 出入口、5 脱衣室側引戸(引戸)、5a 戸尻框、
6 浴室側引戸(引戸)、6b 戸先框、8 縦止水部材、30 案内部材、
31 水受部、31a 水平面部、31b 傾斜面部、31c シール当接部、
32 縁壁部、50 引戸間シール材、60 戸車ユニット、61 ローラー、
63 ローラーユニット、68 ハウジング、69 位置調整機構、
図1
図2
図3
図5
図4