(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
ポリアミド酸溶液を口金からフィルム状に押出して支持体上にキャストする工程において、支持体回転方向側のウェブ圧が支持体回転方向の反対側のウェブ圧に対して100Pa以上500Pa以下高くし、かつ支持体回転速度の口金吐出速度に対する比が1以上20以下であり、さらに支持体回転速度が2m/分以上30m/分以下である、フィルム厚みが4.0μm以上15.0μm以下であるポリイミドフィルムの製造方法。
フィルム長手方向の局所厚みムラの最大値が0.6μm以下であり、かつフィルム長手方向の長さ1m以内に存在する0.1μm以上の局所厚みムラの数が160個以下である請求項1に記載のポリイミドフィルムの製造方法。
【背景技術】
【0002】
芳香族ジアミンと、芳香族テトラカルボン酸二無水物とを有機溶媒中で重合反応させてポリアミド酸重合体溶液を得た後、該ポリアミド酸重合液をフィルム状に形成し、これを熱的及び/又は化学的に脱水閉環、すなわちイミド化させることにより得られるポリイミドフィルムは、耐熱性、絶縁性、及び機械的特性に優れているため、電線の電気絶縁材料、断熱材、フレキシブルプリント基板{以下、FPCと略する}のベースフィルム、ICのテープオートメイティッドボンディング(以下、TABと略する)用のキャリアテープフィルム、およびICのリードフレーム固定用テープ、および導電性回路の保護や絶縁を目的するカバーレイ用途等に広く利用されている。
【0003】
これら用途に対し、ポリイミドフィルムには高い耐屈曲性や破断強度、接着剤との良好な接着力等の機械的特性が求められる。また、特にカバーレイ用途においてはフィルムの色ムラや縞模様が少ないこと等の外観面においても良好であることが要求される。近年、電子機器の小型化に伴いFPC回路の薄膜化が進むにつれ益々ポリイミドフィルムの薄膜化が進んでいるが、フィルム厚みが4.0μm以上15.0μm以下の薄物フィルムについても、このような特性を維持することが極めて重要となる。
【0004】
より薄いポリイミドフィルムを製膜する為には、口金間隙を狭くして支持体上に吐出されるフィルム膜厚自体を薄くすることや、支持体速度を上げて口金吐出と支持体間の延伸倍率を増加させて薄くする等の方法が挙げられる。ポリイミドフィルム製膜工程は溶液製膜にて、口金周りは溶媒結露防止の為にエアーパージをしているが、厚みが薄くなればなるほどこの口金周辺のエアーパージによる振動や支持体周りの機械振動がフィルムに伝わることによる影響が大きくなるため、長手方向の厚みムラの波の振幅が大きくなる現象や、厚みムラの波の波長が短くなる現象が発生する(以下、“厚みムラの悪化”とはこういった現象を指す)。また、支持体速度を上げることに伴うドローレゾナンス現象(フィルム長手方向に発生する不安定伸長現象)が顕著になることも長手方向のフィルム厚みムラが悪化する要因となる。厚みが薄いと、同じ大きさの厚みムラでもベースフィルム厚みに対する比率が大きくなってしまうことから、厚みが薄くなればなるほど長手方向のフィルムの色ムラも顕著となり縞模様状の「横段」と呼ばれるムラが顕在化しやすくなってしまう。
【0005】
こういった横段ムラを改善する方法としては、長手方向の厚みムラを低減するか、フィルムの色の濃さを調整して横段ムラを見えにくくするかのいずれかの方法が考えられる。
【0006】
長手方向の厚みムラを改善する方法については、特許文献1に示す方法等で厚みムラを低減させることの他、口金吐出時のポリマー粘性を低下させたり、支持体速度を低下させることでドローレゾナンス現象を極力弱めること等が挙げられるが、こういった対策はキャスト時のフィルム膜にかかる圧力が増加することやフィルム膜強度自体が低下するため、フィルム破れ等のトラブル発生の確率が増すことの他、生産性が悪化するなどの短所がある。
【0007】
また、ポリイミドのアニール熱処理を弱めフィルムの色全体を薄めたり、逆にアニール処理を強めフィルムの色全体を濃くして横段ムラを目立たなくさせる方法は、フィルムの熱処理を弱めすぎるとイミド化の進行が不十分となってフィルムの耐屈曲性、破断強度、接着性等の機械的特性が悪化してしまい、またフィルムの熱処理を強めすぎると今度はポリイミドが高温劣化を引き起こし、耐屈曲性や破断強度などの各機械的特性が同様に悪化する。
【0008】
このようなことから、特に4.0μm以上15.0μm以下の薄いフィルムについては、生産性・安定性を維持したままフィルムの外観及び機械的特性を両立させることが極めて難しいという問題がある。4.0μm以上15.0μm以下の薄いポリイミドフィルムについての横段ムラと機械的特性を両立させる効果的な方法を示した公知例も見あたらない。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明について具体的に説明する。
【0019】
本発明のポリイミドフィルム及びポリイミドフィルムの製造方法におけるポリイミドの先駆体であるポリアミド酸とは、芳香族テトラカルボン酸類と芳香族ジアミン類とからなり、次式で示される繰り返し単位で構成されるものである。
【0021】
ただし、上記式においてR1は少なくとも1個の芳香族環を有する4価の有機基で、炭素数が25以下のものであり、R1に結合する2つのカルボキシル基の各々はR1における芳香族環のアミド基が結合する炭素原子とは相隣接する炭素原子に結合しているものであり、またR2は少なくとも1個の芳香族環を有する2価の有機基で、炭素数が25以下のものであり、アミノ基はR2における芳香族環の炭素原子に結合しているものである。
【0022】
上記の芳香族テトラカルボン酸類の具体例としては、ピロメリット酸、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸、2,3’,3,4’−ビフェニルテトラカルボン酸、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸、2,3,6,7−ナフタレンジカルボン酸、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル、ピリジン−2,3,5,6−テトラカルボン酸およびこれらのアミド形成性誘導体などが挙げられる。ポリアミド酸の製造にあたってはこれらの酸無水物が好ましく使用される。
【0023】
上記の芳香族ジアミン類の具体例としては、パラフェニレンジアミン、メタフェニレンジアミン、ベンチジン、パラキシリレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、1,5−ジアミノナフタレン、3,3’−ジメトキシベンチジン、1,4−ビス(3メチル−5アミノフェニル)ベンゼンおよびこれらのアミド形成性誘導体などが挙げられる。
【0024】
本発明において、ポリアミド酸溶液を形成するために使用される有機溶媒の具体例としては、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドおよびN−メチル−2−ピロリドンなどの有機極性アミド系溶媒が挙げられ、これらの有機溶媒は単独でまたは2種以上を組み合わせて使用するか、あるいはベンゼン、トルエンおよびキシレンのような無極性溶媒と組み合わせて使用してもよい。
【0025】
本発明で用いるポリアミド酸の有機溶媒溶液は、固形分を5重量%以上40重量%以下、好ましくは10重量%以上30重量%以下を含有するものであって、またその粘度はブルックフィールド粘度計による測定値で100ポイズ以上20000ポイズ以下、好ましくは1000ポイズ以上10000ポイズ以下のものが、安定した送液が可能であることから好ましい。
【0026】
また、有機溶媒溶液中のポリアミド酸は、部分的にイミド化されてもよく、少量の無機化合物を含有してもよい。
【0027】
本発明のポリイミドフィルム及びポリイミドフィルムの製造方法において、芳香族テトラカルボン酸類と芳香族ジアミン類とは、それぞれのモル数が等しくなる割合で重合されるか、その一方が10モル%、好ましくは5モル%の範囲内で、他方に対して過剰に配合されてもよい。
【0028】
重合反応は、有機溶媒中で撹拌および/または混合しながら、0℃以上80℃以下の温度範囲で、10分以上30時間以下連続して進められるが、必要により重合反応を分割したり、温度を上下させてもかまわない。この場合に、両反応体の添加順序には特に制限はないが、芳香族ジアミン類の溶液中に芳香族テトラカルボン酸類を添加するのが好ましい。
【0029】
また、重合反応の前に芳香族ジアミン類に少量の末端封止剤を添加して重合反応を制御することを行ってもよい。
【0030】
イミド閉環触媒の具体例としては、トリメチルアミン、トリエチレンジアミンなどの脂肪族第3級アミンおよびイソキノリン、ピリジン、ピコリンなどの複素環式第3級アミンなどが挙げられるが、複素環式第3級アミンから選ばれる少なくとも一種のアミンを使用するのが好ましい。ポリアミド酸に対する閉環触媒の含有量は、閉環触媒の含有量(モル)/ポリアミド酸の含有量(モル)が、0.5以上8.0以下となる範囲が好ましい。
【0031】
脱水剤の具体例としては、無水酢酸、無水プロピオン酸、無水酪酸などの脂肪族カルボン酸無水物、および無水安息香酸などの芳香族カルボン酸無水物などが挙げられるが、無水酢酸および/または無水安息香酸が好ましい。また、ポリアミド酸に対する脱水剤の含有量は、脱水剤の含有量(モル)/ポリアミド酸の含有量(モル)が、0.1以上5.0以下となる範囲が好ましい。なお、この場合には、アセチルアセトンなどのゲル化遅延剤を併用してもよい。
【0032】
ポリアミド酸溶液は、フィルムの易滑性を得るため必要に応じて、酸化チタン、微細シリカ、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、リン酸水素カルシウム、ポリイミドフィラー等の化学的に不活性な有機フィラー或いは無機フィラー等を含有していてもよい。
【0033】
本発明のポリイミドフィルム及びポリイミドフィルムの製造方法に用いる無機フィラー(無機粒子)は、全粒子の粒子径が0.005μm以上2.0μm以下の無機フィラーが好ましく、全粒子の粒子径が0.01μm以上1.5μm以下の無機フィラーがより好ましい。粒度分布(体積基準)に関して、粒子径0.10μm以上0.90μm以下の粒子が全粒子中80体積%以上を占める無機フィラーが好ましく、より易滑性に優れる点から、粒子径0.10μm以上0.75μm以下の粒子が全粒子中80体積%以上を占める無機フィラーがより好ましい。平均粒子径が0.05μm以下になると、フィルムの易滑性効果が低下するので好ましくなく、1.0μm以上になると局所的に大きな粒子となって存在するので好ましくない。前記の粒度分布、平均粒子径及び粒子径範囲は、堀場製作所のレーザー回析/散乱式粒度分布測定装置LA−910を用いて測定することができる。前記平均粒子径は、体積平均粒子径を指す。
【0034】
本発明に用いる無機フィラーは、ポリアミド酸溶液の重量に対して0.03重量%以上1.0重量%未満の割合で、フィルム中に均一に分散されていることが好ましく、易滑性効果の点から0.30重量%以上0.80重量%以下の割合がより好ましい。1.0重量%以上では機械的強度の低下が見られ、0.03重量%以下では十分な易滑性効果が見られず好ましくない。
【0035】
本発明のポリイミドフィルムは、ポリイミドフィルムの長手方向の局所厚みムラの最大値が0.6μm以下であり、かつ長手方向の長さ1m以内に存在する0.1μm以上の局所厚みムラの数が160個以下であるポリイミドフィルムである。ここで、フィルムの長手方向とは、製造工程におけるフィルム走行方向を指す。
【0036】
本発明でいうポリイミドフィルムの長手方向の局所厚みムラとは、長さ:2m、幅:50mmのフィルムを、フィルム送り装置により1.5m/分の送り速度で送り出し、アンリツ株式会社製の広範囲電子マイクロメータK301および日本電子科学株式会社製の卓上型自動平衡記録計を用いて厚みチャートを記録し、波形1周期のフィルム長さが4mm以上40mm以下の範囲にあるそれぞれの波形について、凸部と凹部の差を算出した値を言う。ポリイミドフィルムの長手方向の局所厚みムラの最大値とはその記録した厚みチャートに存在する局所厚みムラの中で最大の値を言う。
【0037】
フィルム長手方向の局所厚みムラの大きい箇所が存在すると、その部分で色のコントラストが鮮明になり顕著な横段ムラとなる(
図1参照)。上記理由から、フィルム長手方向の局所厚みムラの最大値は0.6μm以下であり、0.4μm以下であることが好ましい。下限は0μmが望ましいが、通常は0.1μm程度である。
【0038】
また、一つ一つの局所厚みムラの大きさは小さい値に抑えることができていても、長手方向の単位長さに存在する局所厚みムラの数が多く存在する場合は、それぞれの厚みムラで厚みの変化が急激であるために色のコントラストが鮮明になり横段ムラが確認されやすい(
図2参照)。フィルム長手方向の長さ1m以内に存在する0.1μm以上の局所厚みムラの数は160個以下であり、120個以下であることが好ましく、下限は0個が望ましい。
【0039】
フィルム局所厚みの最大値が0.6μm以下であり、かつポリイミドフィルムの長手方向の長さ1m以内に存在する局所厚みムラの数が160個以下のポリイミドフィルムを得るための手段としては、特許文献1にあるような、ポリアミド酸溶液を回転する支持体にフィルム状に連続的に押出し又は塗布して成形するキャスト工程において、キャスト回転方向側のウェブ圧を、反対側のウェブ圧に対して、好ましくは、100Pa以上500Pa以下に高くし、より好ましくは、150Pa以上450Pa以下に高くする。このために前記キャスト回転方向側に気体加圧装置を配置し、フィルムの進行方向側を加圧すること、前記キャスト回転方向逆側に減圧装置を配置し、フィルムの反進行方向側を減圧すること、およびこれらの場合に気体加圧装置を配置した側または減圧装置を配置した側の気体流速を5m/秒以下に制御すること等の方法を用いることで作成することが好ましい。
【0040】
ポリイミドフィルムは適切な熱処理を施すことでポリマー鎖分子内及びポリマー鎖分子間でのイミド化が進行して機械的特性が向上するが、熱処理を施すほどポリイミドフィルムは吸収波長の変化に伴い色濃く変化する。特に、4.0μm以上15.0μm以下の薄いポリイミドフィルムにおいては、L値が高いほど全体的に色が薄いために厚みムラによる横段ムラは見えにくく外観は良好となるが、イミド化の進行具合が十分では無いためポリイミドフィルムの耐屈曲性及び破断強度等の機械的特性が悪化する。また逆にL値が低すぎると、厚みムラによる色のコントラストが鮮明になるため横段ムラが悪化するばかりか、ポリイミドフィルムが一部炭化して脆弱となりフィルムの機械的特性が著しく後退する。上記理由から、本発明のポリイミドフィルムは、L値を30以上〜55以下とするのが良好な機械的特性を保つのに良く、より好ましくは、L値は38以上〜54以下とするのが良い。
【0041】
フィルムL値は、スガ試験機製SM−7−CHを用い測定した。フィルム幅方向に5分割したそれぞれのサンプルについて、幅方向の中央位置を中心とした30mm×30mmの範囲を切り出して測定し、その5点平均値とした。なおL値はフィルム厚みが薄くなると検出器の感度が鈍くなり適切な評価ができないことから、フィルム厚みが50μm以上のフィルムについては1枚、50μm未満のフィルムについては50μm以上になる最小の枚数を重ねて測定した値である。
【0042】
フィルムL値が30以上55以下となるようなフィルムを得るための熱処理の方法については、例えば、熱風や電気ヒーター(例えば赤外線ヒーターなど)など公知の方法を用いて熱処理量を調整することで作成することができる。
【0043】
本発明のポリイミドフィルムでは、ベースフィルム上の厚みが薄ければ薄いほど、ベースフィルムの厚み平均値に対するフィルム長手方向の局所厚みムラの寄与が大きくなり、厚みムラによる色の差のコントラストが顕著になるため、この発明の効果は特にフィルム厚みが4.0μm以上15.0μm以下の薄いフィルムの製造時に有用である。
【0044】
本発明のポリイミドフィルムの製造方法は、ポリアミド酸溶液を口金からフィルム状に押出して支持体上にキャストする工程において、支持体回転方向側のウェブ圧が支持体回転方向の反対側のウェブ圧に対して100Pa以上500Pa以下高くし、かつ支持体回転速度の口金吐出速度に対する比が1以上20以下であり、さらに支持体回転速度が2m/分以上30m/分以下である、フィルム厚みが4.0μm以上15.0μm以下であるポリイミドフィルムの製造方法である。
【0045】
本発明のポリイミドフィルムの製造方法では、ポリアミド酸の有機溶媒からポリイミドフィルムを製造する代表的な方法としては、閉環触媒および脱水剤を含有しないポリアミド酸の有機溶媒溶液をスリット付き口金から支持体上に流延してフィルムに成形し、支持体上で加熱乾燥することにより自己支持性を有するゲルフィルムとした後、支持体よりフィルムを剥離し、更に高温下で乾燥熱処理することによりイミド化する熱閉環法、および閉環触媒および脱水剤を含有せしめたポリアミド酸の有機溶媒をスリット付き口金から支持体上に流延してフィルム状に成形し、支持体上でイミド化を一部進行させて自己支持性を有するゲルフィルムとした後、支持体よりフィルムを剥離し、加熱乾燥/イミド化し、熱処理を行う化学閉環法が挙げられる。
【0046】
本発明のポリイミドフィルムの製造方法では、上記のいずれの閉環方法を採用してもよいが、化学閉環法はポリアミド酸の有機溶媒溶液に閉環触媒および脱水剤を含有させる設備を必要とするものの、自己支持性を有するゲルフィルムを短時間で得られる点で、より好ましい方法といえる。
【0047】
本発明のポリイミドフィルムの製造方法における工程図の代表例を
図4に示す。
【0048】
本発明のポリイミドフィルムの製造方法では、ポリアミド酸溶液を口金からフィルム状に押出して支持体上にキャストする工程において、支持体回転方向側のウェブ圧が支持体回転方向の反対側のウェブ圧に対して100Pa以上500Pa以下高くする。支持体回転方向側のウェブ圧は、好ましくは150Pa以上450Pa以下高くするのが良い。本工程では、好ましくは、気体加圧装置又は減圧装置を利用することで、支持体回転方向側のウェブ圧を、反対側のウェブ圧に対して100Pa以上500Pa以下高くする。
【0049】
支持体回転方向側のウェブ圧が支持体回転方向の反対側のウェブ圧に対して100Pa未満の場合は、吐出されたポリアミド溶液と支持体との密着が不十分となり、キャスト着地点がばらついて延伸ムラとなることから長手方向の厚みムラが悪化する。また、支持体回転方向側のウェブ圧が支持体回転方向の反対側のウェブ圧に対して500Paより高い場合は、フィルムにかかる圧力が増大してフィルムのばたつきが大きくなり、キャスト着地点がばらついて延伸ムラとなることから長手方向の厚みムラの悪化につながることや、ウェブ圧力にフィルムが耐えきれずフィルム破れが発生しやすくなる等のトラブルを引き起こす。
【0050】
本発明のポリイミドフィルムの製造方法では、支持体回転速度の口金吐出速度に対する比は、1.0以上20.0以下であり、好ましくは2.0以上15.0以下にするのが良い。支持体回転速度の口金吐出速度に対する比が1.0未満であると、吐出されたフィルムに十分な張力がかからないためキャスト着地点が安定せず、長手方向の厚みムラが悪化する。また、支持体回転速度の口金吐出速度に対する比が20.0を超えた場合は、吐出されたフィルムに過大な張力がかかり、フィルム破れが発生しやすくなる等のトラブルを引き起こす。
【0051】
本発明のポリイミドフィルムの製造方法では、支持体回転速度は、2m/分以上30m/分以下であり、好ましくは5m/分以上25m/分以下にするのが良い。支持体速度が2m/分未満の場合は、口金−支持体間でのイミド化率が増加し、染み出た溶媒が口金で結露して表面欠点の発生等のトラブルの原因となる。支持体速度が30m/分を超えた場合は、フィルム長手方向に発生する不安定伸長現象(ドローレゾナンス現象)が現れ始め、長手方向の厚みムラが悪化する。
【0052】
本発明のポリイミドフィルムの製造方法では、ポリアミド酸溶液を口金からフィルム状に押出して支持体上にキャストする工程において、支持体回転方向側のウェブ圧が支持体回転方向の反対側のウェブ圧に対して100Pa以上500Pa以下高くし、かつ支持体回転速度の口金吐出速度に対する比が1以上20以下であり、さらに支持体回転速度が2m/分以上30m/分以下とすることにより、キャスト工程でのフィルム微小振動やドローレゾナンス現象等の悪影響が抑えられ、フィルム厚みムラの最大値が0.6μm以下であり、かつポリイミドフィルムの長手方向の長さ1m以内に存在する厚みムラの数が160個以下の薄いポリイミドフィルムを安定して得ることが可能となる。
【0053】
本発明のポリイミドフィルムの製造方法では、支持体から剥離された自己支持性を有するゲルフィルムは、延伸ロールで走行速度を規制することにより長手方向に延伸される。長手方向の延伸は、30℃以上140℃ 以下の温度で1.05倍以上1.90倍以下が好ましく、より好ましくは1.10倍以上1.60倍以下、さらに好ましくは1.10倍以上1.50倍以下の倍率で実施されるのが好ましい。また長手方向の延伸は2段階以上に分けて行っても良い。
【0054】
長手方向に延伸されたゲルフィルムは、クリップに幅方向両端部を把持された状態にてテンターへ導入され、テンタークリップと共に走行しながら、幅方向へ延伸されるのが好ましい。幅方向の延伸倍率特に限定されないが、30℃以上300℃ 以下の温度で1.05倍以上1.90倍以下が好ましく、より好ましくは、1.10倍以上1.60倍以下、さらに好ましくは1.10倍以上1.50倍以下の倍率で実施されるのが好ましい。
【0055】
次いで、延伸処理後のゲルフィルムは、乾燥ゾーンで乾燥される。乾燥ゾーンで熱風などにより加熱する場合、使用済みの熱風(溶媒を含んだエアーや濡れ込みエアー)を排気できるノズルを設置して、乾燥ゾーン内での使用済み熱風の混入を防ぐ手段も好ましく用いられる。乾燥ゾーンでの熱風温度は、150℃以上350℃以下の範囲が好ましい。また、乾燥時間は5秒〜10分程度が好ましく、10秒〜5分がより好ましい。また熱風だけでなく、輻射加熱を使用してもよい。
【0056】
ポリイミドフィルムは適切な熱処理を施すことでポリマー鎖分子内及びポリマー鎖分子間でのイミド化が進行して機械的特性が向上するため、上記の乾燥ゾーンで乾燥したフィルムは更に熱処理されることが好ましい。熱処理は熱風、電気ヒーター(例えば赤外線ヒーター等) などの公知の手段を用いて行われる。熱処理条件は、フィルムL値が30以上55以下となるようにヒーター出力および熱風温度等を調整し、最終的な処理条件が250℃以上500℃以下で処理時間が15秒〜20分間の範囲で適宜行うのが好ましい。熱処理において、フィルムを急激に加熱すると表面欠点が増加する等の不具合が生じるため、加熱方法は適宜選択するのが好ましい。熱処理されたフィルムは、冷却され、巻取コアに巻き取られる。
【0057】
本発明のポリイミドフィルムの製造方法で得られたフィルム厚みが4.0μm以上15.0μm以下のポリイミドフィルムは、フィルムの長手方向の横段ムラが少なく外観良好であり、かつ機械的特性に優れており、FPC保護用カバーレイフィルムの用途などに好適である
【実施例】
【0058】
以下実施例により本発明をさらに詳細に説明する。なお各フィルム特性値は、下記の方法で測定したものである。
【0059】
(1)破断強度
破断強度は、JIS−K7113に準じて、室温でORIENREC社製のテンシロン型引張試験器により、引張速度300mm/分にて試料が破断するときの強度を取った。破断強度は、おおむね320MPa以上で良好、それ以下は不良と判断した。
【0060】
(2)耐折回数(MIT)
JIS−P8115に従って、2万回を上限として試験片が切れる迄の往復折曲げ回数を測定した。
【0061】
(3)横段ムラの目視レベル観察
横段ムラの確認については、接着剤フィルムであるパイララックスR(デュポン社の登録商標)LF−0100を用いて、試験ポリイミドフィルムと一般的な白い離型紙とを180℃、4.5kPaで、20分間加熱圧着することにより得られた積層体を、蛍光灯下でポリイミドフィルム側から目視評価した。評価方法としては、
Aランク:横段ムラが全く確認できない、
Bランク:凝視すれば横段ムラが確認できる、
Cランク:容易に横段ムラが確認できる、
の3段階で評価した。
【0062】
(4) 長手方向の厚みムラ
長手方向の厚みムラについて、長さ:2m、幅:50mmのポリイミドフィルムを、フィルム送り装置により毎分1.5mの送り速度で送り出し、アンリツ株式会社製の広範囲電子マイクロメータK301および日本電子科学株式会社製の卓上型自動平衡記録計を用いて厚みチャートを記録した。チャートを確認し、波形1周期のフィルム長さが4mm以上40mm以下の範囲にあるそれぞれの波形について、凸部と凹部の差を算出した値でもっとも大きいものを局所厚みムラの最大値として記録した。また、フィルム長さ1.0mの範囲において、厚みムラのそれぞれの波形について凸部と凹部の差を算出した値が0.1μm以上である局所厚みムラの数をカウントした。
【0063】
(5) フィルムL値
フィルムL値は、スガ試験機製SM−7−CHを用い測定した。フィルム幅方向に5分割し、それぞれのサンプルの中央位置を測定し、その5点平均値とした。L値はフィルム厚みが薄くなると検出器の感度が鈍くなり適切な評価ができないことから、フィルム厚みが50μm以上のフィルムについては1枚、50μm未満のフィルムについては50μm以上になる最小の枚数を重ねて測定した。
【0064】
(6) 粘度測定
ポリアミド酸溶液の粘度は、JIS K6726 1994に従い、ブルックフィールド粘度計を用いた回転粘度計法により測定した。
【0065】
[実施例1]
ピロメリット酸二無水物(分子量218.12)/3,3’,4、4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(分子量294.22)/4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(分子量200.24)/パラフェニレンジアミン(分子量108.14)を、モル比で94/6/87/13の割合で用意し、DMAC(N,N−ジメチルアセトアミド)中19重量%溶液にして重合し、25℃で3500ポイズであるポリアミド酸溶液を得た。このポリアミド酸溶液にβ−ピコリンと無水酢酸をそれぞれポリアミド酸に対するモル比が4.5となるように添加したのち、支持体速度/口金吐出速度の比を5.0、支持体回転速度を15m/分、支持体回転方向側のウェブ圧を反対側のウェブ圧に対して400Pa高く設定して支持体上に流延し、自己支持性のあるポリイミドゲルフィルムを得た。このゲルフィルムを支持体上からはがし、端部をピン止めした状態でフィルム長手方向に1.3倍、幅方向に1.6倍にそれぞれ延伸しながらテンター内で乾燥し、次いで電気ヒーターを用いて熱処理を実施することで、フィルム幅2400mm、平均厚さ12.5μmのポリイミドフィルムを得た。また、テンター内熱処理ゾーンにおける電気ヒーター出力を調整することによりフィルムL値を44に調整した。
【0066】
このフィルムの破断強度および耐折回数(MIT)を測定したところ、それぞれ382MPaおよび2万回以上の値であった。また、このフィルムの長手方向の厚みムラの最大値は0.3μm、厚みムラの波の数は114個存在しており、横段ムラの評価ではもっとも外観の良好なAランク(横段ムラが全く確認できない)となった。
【0067】
[実施例2]
テンター内の電気ヒーター出力を調整することによりフィルムL値を54に調整した以外は、実施例1と同様にして製膜した。このフィルムの破断強度および耐折回数(MIT)を測定したところ、それぞれ366MPaおよび2万回以上の値であった。また、このフィルムの長手方向の厚みムラの最大値は0.3μm、厚みムラの波の数は118個存在しており、横段ムラの評価ではもっとも外観の良好なAランク(横段ムラが全く確認できない)となった。
【0068】
[実施例3]
ピロメリット酸二無水物(分子量218.12)/4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(分子量200.24)を、モル比で1/1の割合で用意し、DMAC(N,N−ジメチルアセトアミド)中24重量%溶液にして重合し、25℃で3800ポイズであるポリアミド酸溶液を得た。このポリアミド酸溶液にβ−ピコリンと無水酢酸をそれぞれポリアミド酸に対するモル比で3.5となるように添加したのち、支持体速度/口金吐出速度の比を7.7、支持体回転速度を23m/分、支持体回転方向側のウェブ圧を反対側のウェブ圧に対して350Pa高く設定して支持体上に流延し、自己支持性のあるポリイミドゲルフィルムを得た。このゲルフィルムを支持体上からはがし、端部をピン止めした状態でフィルム長手方向に1.3倍、幅方向に1.6倍にそれぞれ延伸しながらテンター内で乾燥させ、フィルム幅2400mm、平均厚さ12.5μmのポリイミドフィルムを得た。また、テンター内の電気ヒーター出力を調整することによりフィルムL値を50に調整した。このフィルムの破断強度および耐折回数(MIT)を測定したところ、それぞれ330MPaおよび2万回以上の値であった。また、このフィルムの長手方向の厚みムラの最大値は0.6μm、厚みムラの波の数は105個存在しており、横段ムラの評価ではもっとも外観の良好なAランク(横段ムラが全く確認できない)であった。
【0069】
[実施例4]
ピロメリット酸二無水物(分子量218.12)/3,3’,4、4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(分子量294.22)/4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(分子量200.24)/パラフェニレンジアミン(分子量108.14)を、モル比で94/6/87/13の割合で用意し、DMF(N,N−ジメチルホルムアミド)中19重量%溶液にして重合し、25℃で3500ポイズであるポリアミド酸溶液を得た。このポリアミド酸溶液にβ−ピコリンと無水酢酸をそれぞれポリアミド酸に対するモル比で4.5となるように添加したのち、支持体速度/口金吐出速度の比を6.7、支持体回転速度を23m/分、支持体回転方向側のウェブ圧を反対側のウェブ圧に対して300Pa高く設定して支持体上に流延し、自己支持性のあるポリイミドゲルフィルムを得た。このゲルフィルムを支持体上からはがし、端部をピン止めした状態でフィルム長手方向に1.2倍、幅方向に1.6倍にそれぞれ延伸しながらテンター内で乾燥させ、フィルム幅2400mm、平均厚さ10.0μmのポリイミドフィルムを得た。また、テンター内の電気ヒーター出力を調整することによりフィルムL値を43に調整した。
【0070】
このフィルムの破断強度および耐折回数(MIT)を測定したところ、それぞれ369MPaおよび2万回以上の値であった。また、このフィルムの長手方向の厚みムラの最大値は0.5μm、厚みムラの波の数は128個存在しており、横段ムラの評価ではもっとも外観の良好なAランク(横段ムラが全く確認できない)であった。
【0071】
[実施例5]
ピロメリット酸二無水物(分子量218.12)/3,3’,4、4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(分子量294.22)/4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(分子量200.24)/パラフェニレンジアミン(分子量108.14)を、モル比で65/35/82/18の割合で用意し、DMF(N,N−ジメチルホルムアミド)中20重量%溶液にして重合し、25℃で3500ポイズであるポリアミド酸溶液を得た。このポリアミド酸溶液にβ−ピコリンと無水酢酸をそれぞれポリアミド酸に対するモル比で4.5となるように添加したのち、支持体速度/口金吐出速度の比を8.9、支持体回転速度を23m/分、支持体回転方向側のウェブ圧を反対側のウェブ圧に対して300Pa高く設定して支持体上に流延し、自己支持性のあるポリイミドゲルフィルムを得た。このゲルフィルムを支持体上からはがし、端部をピン止めした状態でフィルム長手方向に1.2倍、幅方向に1.6倍にそれぞれ延伸しながらテンター内で乾燥させ、フィルム幅2400mm、平均厚さ7.5μmのポリイミドフィルムを得た。また、テンター内の電気ヒーター出力を調整することによりフィルムL値を51に調整した。
【0072】
このフィルムの破断強度および耐折回数(MIT)を測定したところ、それぞれ344MPa、2万回以上の値であった。また、このフィルムの長手方向の厚みムラの最大値は0.4μm、厚みムラの波の数は141個存在しており、横段ムラの評価ではもっとも外観の良好なAランク(横段ムラが全く確認できない)であった。
【0073】
[実施例6]
ピロメリット酸二無水物(分子量218.12)/3,3’,4、4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(分子量294.22)/4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(分子量200.24)/パラフェニレンジアミン(分子量108.14)を、モル比で65/35/82/18の割合で用意し、DMAC(N,N−ジメチルアセトアミド)中20重量%溶液にして重合し、25℃で3500ポイズであるポリアミド酸溶液を得た。このポリアミド酸溶液にβ−ピコリンと無水酢酸をそれぞれポリアミド酸に対するモル比で4.5となるように添加したのち、支持体速度/口金吐出速度の比を13.3、支持体回転速度を23m/分、支持体回転方向側のウェブ圧を反対側のウェブ圧に対して300Pa高く設定して支持体上に流延し、自己支持性のあるポリイミドゲルフィルムを得た。このゲルフィルムを支持体上からはがし、端部をピン止めした状態でフィルム長手方向に1.2倍、幅方向に1.6倍にそれぞれ延伸しながらテンター内で乾燥させ、フィルム幅2400mm、平均厚さ5.0μmのポリイミドフィルムを得た。また、テンター内の電気ヒーター出力を調整することによりフィルムL値を39に調整した。
【0074】
このフィルムの破断強度および耐折回数(MIT)を測定したところ、それぞれ324MPa、2万回以上の値であった。また、このフィルムの長手方向の厚みムラの最大値は0.3μm、厚みムラの波の数は132個存在しており、横段ムラの評価ではもっとも外観の良好なAランク(横段ムラが全く確認できない)であった。
【0075】
[比較例1]
支持体回転速度を23m/分に設定及び支持体回転方向側のウェブ圧を反対側のウェブ圧に対して80Pa高く設定して支持体上に流延した以外は、実施例1と同様にして製膜した。このフィルムの破断強度を測定したところ、377MPaの値であった。また、このフィルムの長手方向の厚みムラの最大値は0.9μmと実施例1に比べ大きくなっており、横段ムラの評価ではCランク(容易に横段ムラが確認できる)となった、厚みムラの波の数は133個存在した。
【0076】
[比較例2]
ピロメリット酸二無水物(分子量218.12)/3,3’,4、4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(分子量294.22)/4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(分子量200.24)/パラフェニレンジアミン(分子量108.14)を、モル比で94/6/87/13の割合で用意し、DMAC(N,N−ジメチルアセトアミド)中24重量%溶液にして重合し、25℃で3800ポイズであるポリアミド酸溶液を得た。このポリアミド酸溶液にβ−ピコリンと無水酢酸をそれぞれポリアミド酸に対するモル比が3.5となるように添加したのち、支持体速度/口金吐出速度の比を7.7、支持体回転速度を27m/分、支持体回転方向側のウェブ圧を反対側のウェブ圧に対して550Pa高く設定して支持体上に流延し、自己支持性のあるポリイミドゲルフィルムを得た。このゲルフィルムを支持体上からはがし、端部をピン止めした状態でフィルム長手方向に1.3倍、幅方向に1.6倍にそれぞれ延伸しながらテンター内で乾燥し、次いで電気ヒーターを用いて熱処理を実施することで、フィルム幅2400mm、平均厚さ12.5μmのポリイミドフィルムを得た。また、テンター内熱処理ゾーンにおける電気ヒーター出力を調整することによりフィルムL値を44に調整した。
【0077】
このフィルムの破断強度および耐折回数(MIT)を測定したところ、それぞれ378MPaおよび2万回以上の値であった。また、このフィルムの長手方向の厚みムラの最大値は0.6μm、厚みムラの波の数は270個存在しており、横段ムラの評価ではCランク(容易に横段ムラが確認できる)であった。
【0078】
[比較例3]
支持体回転方向側のウェブ圧を反対側のウェブ圧に対して200Pa高く設定し、支持体速度を33m/分およびテンター内の電気ヒーター出力を調整することによりフィルムL値を56に調整した以外は、実施例1と同様にして製膜した。このフィルムの破断強度を測定したところ、273MPaと下がっており、MITは8050回で破断した。また、このフィルムの長手方向の厚みムラの最大値は0.8μm、厚みムラの波の数は185個存在していたが、横段ムラの評価ではBランク(凝視すれば横段が確認できる)であった。
【0079】
前記実施例1〜4 と比較例1〜3で得られたフィルムの性状等をまとめると下記表1 の通りである。
【0080】
【表1】